(P15)〈昭和30年代の取組〉防火診断,防火モデル地区等
ページ番号193322
2023年7月26日
(P15)〈昭和30年代の取組〉防火診断,防火モデル地区等
当時の状況
昭和23年に自治体消防が発足して以降,京都市では消防の近代化に努めてきました。しかしこの時期,全国的な火災増加という傾向の中で京都市もその例外ではなく,昭和30年には戦後最高の756件という火災件数を記録しました。
そこで,京都消防では,過去の火災を徹底的に分析した結果,ほとんどの火災が防火を意識することで防止することが可能であるとの結論に至り,広く市民に協力をお願いすることとなりました。
具体的な手段として進めたのが,主に次の事業です。
1 一般家庭に対する防火診断の責任分担制
2 防火モデル地区の設定
3 防火に関する各種表彰制度の創設
1 一般家庭に対する防火診断の責任分担制
それまで,一般の御家庭への防火指導は,綿密に計画して実施していたものではなく,また,指導方法もごく初歩的なものでした。
火災を減らすためにはもっと消防署員と地域の皆様との結び付きを強めて,暮らしの中に防火意識を持っていただくことが必要であったことから,この制度が設けられました。
この制度は,消防署員に全世帯を割り当てて担当し,しっかりと受け持ち世帯の防火診断を実施するものです。
また,その指導内容は記録に残すなど,一貫したきめ細かい防火指導ができるよう取り組んだ結果,地域の皆様と消防署員の結びつきが強まり,火災を減少させることにつながりました。
2 防火モデル地区の設定
当時,一般住宅の防火のために,「まちぐるみの防火」が必要という観点がようやく着目されるようになりました。
そこで,手始めとして,各行政区ごとに学区を単位とした「防火モデル地区」を1箇所ずつ指定されました。
この学区では,各町内から防火委員を選出し,この委員によって構成される防火委員会を開催して,学区内における火災危険への対応や,消火器の設置などを協議するなど,住民に防火に取組んでいただき,効果を上げました。
その後,モデル地区が増えていくなかで,「まちぐるみの防火」が全市的に展開されたため,「防火モデル地区」の制度は発展的に解消されました。
3 防火に関する各種表彰制度
当時,まちぐるみの防火の取組を更に推進するため,「無火災表彰」と「火災減少表彰」の2つの区分において,各町を単位として表彰する制度が創設されました。
その後,個人や団体を「消防篤行者」として表彰する制度や「京都市自主防火推進者」等として表彰する制度など,時代時代に合った形に改められ,現在では,3月7日の「消防記念日」の市民表彰となっています。
現在の住宅防火等における取組
現在は,消防職員が住宅等を個別に訪問し,防火や防災に関する指導の実施や,町内会等を対象にした防火防災教育訓練を実施するなどして,住宅防火を推進しています。
住宅用火災警報器の設置指導
万一の火災に早く気付き,知らせる「住宅用火災警報器」は,全ての住宅の寝室・階段・台所に設置する必要があります。
市内では,住宅用火災警報器の設置が進むにつれ,住宅用火災警報器の効果により,火災を未然に防いだ事例や火災の被害を小さく抑えることができた事例が増加しています。
今後も,これらの奏功事例を活用して住宅用火災警報器の重要性を訴え,設置後の適正な維持管理について指導するとともに,訪問防火指導等の機会を利用して未設置世帯に対する粘り強い是正指導を行い,住宅火災及び火災による死傷者の減少を図っていくこととしています。
火災を未然に防ぎ,又は火災の被害を軽減した事例が増えています。
住宅用火災警報器の設置確認の様子
住宅避難困難者の防火安全対策
高齢化や核家族化が進行し,一人暮らしの高齢者や高齢者同士の世帯の増加に伴い,高齢者が火災で死傷されるケースが多くなっています。
そこで,高齢者や身体に障害のある方のうち,火災等の際が発生した場合に自ら避難できない方を在宅避難困難者と位置付け,これらの方を火災から守るための防火安全対策を実施しています。
防火安全指導の実施
防火安全指導の様子
その他の取組
1 高齢者等のための安心アドバイザー研修
普段,高齢者等に接する機会が多いホームヘルバーや老人福祉委員等の方々を対象に「安心アドバイザー研修」を実施し,高齢者宅等を訪問した際に防火,防災,救急事故防止のアドバイスをお願いしています。
2 緊急通報システム(安心ネット119)
消防局と保健福祉局共同で,一人暮らしの高齢者や身体に障害のある方等が家庭内で緊急事態に逢われたときに機器のボタン等を用いて自動的に消防指令センターへ通報できるシステムを運用しています。
3 その他
消防ファクシミリ,京都市Web119,ふれあい手帳,また,安心カート゛などで高齢者等の防火安全を図っています。