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京都市消防局

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散水ホースを有効活用する初期消火術の提案

ページ番号183100

2015年7月1日



 多くの火災現場では,市民が水道ホースを延長し,懸命な初期消火が実施されています。

 しかし,それらの初期消火活動を消防のプロの目で観察すると,多くの場合において,「ホースが短かった。」や「放水圧力が足りない。」などの理由によって有効な初期消火が実現されていないことがわかります。

 一方,街角を観察すると,園芸用や洗車用としてホームセンター等で販売されているノズルやコネクターを備える散水ホースを玄関前等に設置している住宅を数多く見つけることができます。

 また,これらの散水ホースには,ホースを接続するための器具やホースを分岐させる器具等といった多彩なオプション品が比較的安価な価格で市販されているのです。

 つまり,この散水ホース等に消防職員が備えている発想と工夫を加えることで,自宅のみならず,近隣の住宅までも守備範囲として含む,身近で有効な初期消火器具となる可能性があるのです。

 加えて,住宅用火災警報器の普及によって,初期消火が有効となる初期段階の火災を発見できる可能性が高まっている状況が背景にあることもあり,この研究に取り組むこととしました。


 では,どのように研究を進めたかについてお話します。

 研究に使用するためのホースリールやオプション品を多彩な製品群の中から吟味したうえで購入し,市販品である散水ホース等に,初期消火器具として,いかに具体的な有効性と説得力を持たせた結果を導き出すことができるかという点について知恵を絞りました。

 まず,初期消火器具としての有効性を図るための基準値について,消火器の性能など様々な要件を考慮して定めました。

 そして,ホースの全長やオプション品の組み合わせについて工夫したうえで,17通りの設定について放水能力を検証した結果,1.簡単な操作でホースやリール同士を連結することが可能であること,2.定めた基準値を上回る放水能力を有すること,3.性能を数値化できること,が確認できました。


 さらに,消火器や水バケツといった一般的な初期消火器具と操作性や安全性などに関して比較することで,散水ホース等の持つ有効性を放水能力とは別の側面から明らかにできました。


 以上から,家庭に備えているホースリールを持ち寄って活用することで,有効な初期消火器具となることが明らかになりましたが,家庭用として広く普及している散水ホースを初期消火器具として「有効に活用する」ということについて,使用者も製造者も「想定していない」ということが,研究を通して浮き彫りになりました。

 このことから,製造者へ研究結果を情報提供することで,「散水ホースによる初期消火」を定着させるためのきっかけを作ることが重要であると結論付けました。

 そこで,研究で使用した器具の製造者であり,ホースリール等に関するシェアの過半を占める製造者に研究結果を情報提供した結果,提案の趣旨について,理解と賛同を得ることができました。


 隣家のホースリールと連結して初期消火を実施するような初期消火方法が定着すれば,住宅用火災警報器の普及と相まって初期消火シーンが刷新されるきっかけとなるかも知れません。




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