八丁平について
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2016年4月18日
八丁平の概要
京都市の北部,左京区久多にあり,西側の峰床山とこれからのびる尾根,東側の滋賀県境となる稜線に囲まれた,90ha余りの盆地状の谷間で,豊かな自然が残されています。
八丁平の地形と植生
八丁平は,琵琶湖に注ぐ安曇川の支流,江賀谷川の水源にあたります。湿原の南側にある硬いチャートの岩盤が浸食を防いだので,ゆるやかな谷間が残りました。中央に拡がる5haほどの湿原は,近畿地方ではめずらしい高層湿原です。泥炭が堆積した湿原には植物が豊かに育ち,湿性植物がびっしりとおおっているので,土砂の流失をまぬがれました。こうした安定した条件のおかげで,豊かな自然が保たれ,多様な動植物が息づく,八丁平の特徴的な景観が形成されました。
湿原の植生
湿原内は単純な植生にみえて,じつは60科107属150種もの植物が確認されています。
湿原内のほとんどに,イヌツゲ,オオミズゴケが生育しています。
水分が多い箇所では,ニッポンイヌノヒゲ,アオコウガイゼキショウ,ミズオトギリ,ヒツジグサ,ホタルイなどが生育し,湿原内を流れる水路は,フトヒルムシロが水面をおおっています。
土壌水分が少ない箇所では,ヒカゲノカズラ,レンゲツツジ,ヤマウルシ,ノリウツギなどが生育しています。
オオミズゴケ群落
ニッポンイヌノヒゲ
ヒツジグサ
イヌツゲと防鹿柵
森林の植生
八丁平の森林は,ミズナラやクリが中心ですが,地形の違いなどで特徴の異なる森林が拡がっています。
【ミズナラ,クリを中心とする森林】
湿原周辺のほとんどの斜面にはこの森林が拡がり,八丁平の景観を代表する森林です。高木層はミズナラ,クリ,イタヤカエデ,コハウチワカエデ,ウリハダカエデ,コシアブラなどが占めます。
亜高木層はタムシバ,リョウブ,ナツツバキ,マルバマンサク,ネジキ,タンナサワフタギなどで構成されています。
【サワグルミを中心とする森林】
湿原の西にあるクラガリ谷にみられる森林で,湿潤な環境を好むサワグルミが高木層の多くを占め,ミズキ,オオバアサガラ,テツカエデ,キハダなどが多く,低木層にはサワフタギ,タニウツギ,マユミなどがみられます。
【ブナを中心とする森林】
オグロ坂峠周辺の尾根にみられる森林で,ブナが多く,ミズナラ,クリ,アカシデなどが混生しています。
八丁平の森林
ブナ
テツカエデ
イタヤカエデ
自然環境調査
京都市では,八丁平の保全と利用のために,昭和54年以降,京都大学と京都府立大学の協力の下,下記の調査を行ってきました。
昭和54年度~昭和58年度 八丁平環境調査
調査内容:地象,気象,動物,湿原植生,森林植生,自然景観,人文・歴史等
「八丁平環境調査 報告書」(昭和60年3月発行)
昭和59年度~平成5年度 八丁平湿原保全観測調査
調査内容:湿原植生,森林植生,土砂流出量,地下水位・流量,気象
「八丁平湿原保全観測調査 報告書」(平成7年10月発行)
平成6年度~平成26年度 八丁平植生継続調査
調査内容:湿原植生,森林植生,ナラ枯れ
「八丁平植生継続調査 報告書」(平成28年3月発行)
お問い合わせ先
京都市 産業観光局農林振興室
電話:【農林企画課】075-222-3351【林業振興課】075-222-3346
ファックス:【農林企画課】075-221-1253【林業振興課】075-221-1253