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2026年3月6日

みなさんは、社寺建築を前にした時、どこをご覧になりますか?
全体のフォルムであったり、建物を支える大きな柱、彫刻や装飾、門構え。もしかしたら、建物だけにとどまらず、庭との調和、掲げられた画や床の間の飾りなども含めて、味わい尽くされる方もおられるかもしれません。
しかし、何と言っても、おススメは、「屋根」!「屋根」なんです!!
「屋根」にこそ、当時の伝統技術が結集されているのです!
私も、宮大工 匠弘堂の横川総一郎社長と出会う前は、社寺建築の「屋根」にこれほどの魅力があるとは、正直知りませんでした。
今回、左京区役所では、横川社長を講師としてお招きし、社寺建築の魅力を学ぶ「社寺建築フィールドワーク」を実施しました。その際に、横川社長から、宮大工の目線で、社寺建築に込められた伝統技術の数々を教えていただきました。
誰かに語らずにはいられなくなったので、ここで語りたいと思います。
横川社長との出会いは、ちょうど1年前。
河原町御池のQUESTION1階で左京のイベントをしていた際、お隣の飲み会にご参加中の横川社長と出会いました。「宮大工」とお聞きすると、私のような未熟者が気軽に話しかけてはいけないような気がしていましたが、横川社長は本当に気さくな方で、優しく、お茶目なお人柄に、一瞬でファンになりました。
横川社長は、「社寺建築の老朽化が問題に。多くの方に、社寺建築の魅力を知っていただき、ファンになっていただくことで、保存や継承につながる。」と語られます。
私自身、京都で働き、数ある神社仏閣の建築に触れる機会があるにもかかわらず、その魅力を勉強したことがなかったなと気づきました。“京都人の嗜み”ではないのですが、京都にいるからこそ、“ほんまもん”を知り、なぜ“ほんまもん”たるのかも語れるようになるとカッコいいなと思い、フィールドワーク企画へと発展していきました。
開催日の1月25日(日曜日)は、朝から雪。
銀世界の大原にて、フィールドワークを開催しました。
参加者は、文化財マネージャーや建築を研究されている学生、地元の方やまちづくりに携わる方など、多様なバックグラウンドを持つ9名ととも学びました。
午前中は大原出張所にて、横川社長による座学からスタート。これまでの施工事例や社寺建築の構造について、スライドを交えて解説いただきました。
特に強調されたのは「屋根」の重要性!社寺建築の土台や柱を、雨から守る屋根は、木造建築の寿命を左右する要です。重厚な軒をせり出させるため、天井裏でテコの原理のように支える「桔木(はねぎ)」。鎌倉時代に日本人が編み出した、外からは見えない「宮大工の英知の結晶」について学びました。
【大原出張所:座学の様子】

【桔木構造。内部で支える桔木に思いを馳せます。】
午後からは、いよいよ雪の残るフィールドワークへ。
まずは、三千院 往生極楽院(重要文化財)を拝見しました。
平安時代の構造を今に伝えるお堂で、まず圧倒されたのは「船底天井」です。三角形の屋根ギリギリまで高さを確保した天井に、穏やかな表情の巨大な国宝 阿弥陀三尊像が納められています。軒反りを眺め、見えない桔木に思いを馳せます。雪が残る場所と流れ落ちた場所の対比により、屋根の勾配が可視化され、冬ならではの貴重な観察ができました。
円融蔵の展示室では、復元された極彩色の柱や天井画を鑑賞。当時の人々が願った「極楽浄土」を鮮明にイメージすることができました。
向拝(ごはい)を拝見している様子
妻飾りや懸魚(げぎょ)を拝見
高台から屋根を拝見
続いて訪れた勝林院 本堂(京都市指定有形文化財)では、江戸時代の平和な世相を反映した、華麗な装飾が目立ちます。
加工が難しい「けやき」の柱や、彫刻が施された「木鼻(きばな)」、「手挟(たばさみ)」や「蟇股(かえるまた)」などには、当時の職人による細工のわざが目を引きます。泰平の江戸時代に建てられた社寺建築だからこその構造。部材を見るだけで、当時の社会情勢をうかがい知ることができます。
まずは、高台から建物を眺め、構造の全体像を教えていただいてから、中へ。そして、鼻が高く特徴的なお顔をした仏像や、一部に禅宗様を用いた構造など、三千院とはまた異なる魅力を多角的に堪能しました。
高台から全体像を拝見
豪奢な部材を拝見
軒の構造を拝見している様子
最後は大原出張所へ戻り、横川社長が考案された「レーダーチャート」を用いて振り返りを行いました。各々が感じた建築の魅力を数値化し、共有することで、学びをより深いものに。
参加者の皆様には、今後も社寺巡りで活用できる「横川社長の拝見術」を記した“しおり”をプレゼント。主な部材の見どころをまとめたこの一冊が、皆様のこれからの視点を変えるきっかけになれば幸いです。

レーダーチャート

講義資料

匠弘堂 横川秘伝
「社寺建築の拝見の術」しおり

参加者のみなさんの声
”左京区に住む私は、区役所の方の様々なチャレンジを聞く度に、行政のあり方も時代ともに変化しているんだと感じていました。そんな中、宮大工さんが左京区におられ、その方のお話が聞ける会があることを知り、直ぐに申し込みたいと思いました。宮大工さんは、普段の暮らしのレベルでは居られず、皇族の方々や神社仏閣の建物を専門とされていて、なかなかお話を聞く機会なんぞ無いという思いで直ぐに申し込みました。匠弘堂の横川社長は建築に興味のない私でも楽しく理解できるように図や映像、熱い語りで説明してくださり、あっとい間の2時間でした。屋根の端の反り上がりは、私の中では神社仏閣の形という認識だけのものでしたが、隠された所に技術がつまり、見える所は直線と曲線を繰り返す美があり、日本の技術と美を誇りに思う事ができました。そしてそれを後世に繋ぐために技術を継承される宮大工さんへのリスペクトは止みません。午後からの三千院、勝林院の見学は、歴史と人の限界を超えようとする力を体感でき、建物に込められた思いを享受しました。
後日、「最近、神社仏閣の昔の建築物を観るのが好きなんですよ。」と言う方に、この匠弘堂さんのお話を聞いたと話すと、参加出来なかったことを残念がっておられました。またお父さんが建築関係のお仕事で自身も建築の深さに興味を持っておられる方や、京都の伝統工芸を伝えるお仕事をされている方も次は教えて欲しいと言われました。来年も是非企画していただきたいです。
大寒波の雪が降る日でした。中止にするか迷よわれたかと思います。プログラム中に怪我のないよう十分なご配慮をしていただいた事に改めて感謝申し上げます。区長さんのご挨拶に、京都の伝統や文化を京都の人が語れるということは・・・と言うお話にとても共感しました。他府県の方海外の方とご一緒する際に、京都人としての知識を披露出来たら、京都で暮らした自身を誇りに思える大切な事ではないかと思いました。これからのこのような企画を期待しております。”
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左京区役所
〒606-8511 京都市左京区松ケ崎堂ノ上町7番地の2 電話番号:050-1722-5561(代表)
開庁時間
区役所・支所、出張所:午前9時から午後5時 市役所本庁舎:午前8時45分から午後5時30分 (いずれも土日祝及び年末年始を除く)その他の施設については、各施設のホームページ等をご覧ください。