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サキョウ見聞録 その28 岩倉史謡・舞踊保存会

ページ番号350136

2026年3月5日

 1月某日、京都市立岩倉北小学校で、子どもたちが踊りの練習に励んでいました。

 「みんなもっと手をピシッと伸ばして!前をしっかり見て!」と体育館には、熱のこもった指導の声が響きます。

岩倉史謡舞踊の練習

リハーサル中の児童と先生たち

 子どもたちが練習しているのは、左京区岩倉に伝わる「岩倉史謡・舞踊」です。

 「岩倉史謡・舞踊」は、岩倉具視公没後50年にあたる昭和7年、国家事業(国葬)として開催された「岩倉公50年祭」にて、作詞を西条八十氏、作曲を松平信博氏、振付を井上八千代氏に依頼して誕生しました。藍の着物に、絣(かすり)の三巾(みはば)前垂れ、そして頭に載せ手ぬぐい、背にうちわ、腰に「時は宝なり」の手ぬぐいを差して、正式な装いとなります。

・絣:1本の糸を2色以上に染め分けた絣糸(かすりいと)を用いて文様を表す織物技法。

岩倉史謡舞踊の衣装

岩倉史謡・舞踊の衣装

保存会で使用する児童用の前垂れ

保存会で使用する児童用の前垂れ

 この歴史的な地域の文化を後世に引き継ぐため、平成30年に設立されたのが「岩倉史謡・舞踊保存会」です。今回、保存会の活動の様子を取材させていただき、安馬(あんま)英男会長や岩渕信明副会長をはじめ、会員の方々にお話をお伺いしました。

 保存会の活動として、敬老会や区民運動会など地域のイベントで踊りを披露しています。「岩倉史謡・舞踊」は、かつて自分も踊っていたという方が多くおられることもあり、踊りの時間になると会場が一体となって盛り上がり、特に子どもたちが踊る姿は地域の皆さんにとても喜ばれるのだそうです。

学区民運動会で披露する様子

学区民運動会で披露する様子

敬老会で披露する様子

敬老会で披露する様子

 取材では、岩倉北小学校で開催された「岩倉北地域文化祭」での本番の様子を見学させていただきました。大トリを飾ったのが「岩倉史謡・舞踊」。開演前から来場者がステージ前に集まり、とても楽しみにされている様子がうかがえました。

 本番が始まると、手拍子をする人、手振りを真似て一緒に踊る人など、会場は笑顔に包まれていました。出演した児童たちは、一つ一つの動きを丁寧に踊り切り、堂々とした姿を披露!練習の成果が存分に発揮されていました。

岩倉北地域文化祭での本番中の子どもたちの様子

本番中の子どもたち。素晴らしいパフォーマンスでした!

 このように地元を元気にするきっかけとなっている保存会の活動ですが、立ち上げ時には、着物や小物の数が足りず調達するのに時間がかかったり、苦労されたそうです。

 しかし、そうした大変な時期でも、「着物を作る際に地域の方が集まってくれたり、使わない衣装を提供してくれたりと、色々なつながりが生まれたことはよかった。」と、当時のことを振り返り、お話しくださいました。今でも練習や衣装制作時は、保存会会員を中心に地域の方が集まる機会にもなっているそうです。

衣装づくりの様子








衣装はすべてハンドメイド!

 昨年度からは、地域の小学校で児童を対象とした部活動も始まり、子どもの踊り手は一定確保できていますが、大人の踊り手の確保が課題となっているそうです。

 「昔は、自治会などに入って地域の情報を集めたり、知り合いを作ったり、伝統行事に携わるのが当たり前だった。今はそのような組織に入らなくても、ネットなどで知りたい情報をすぐに得られ、地域に関わろうという人は少ない。今の岩倉地域は、地域のことも近隣の住民のことも知らない人が多いという状況になっている。今後は、特に若い人に保存会や自治会に入ってもらえるように考えていかなければいけないのかな。」というお悩みも伺うことができました。

 一方で、「保存会の活動を続けてきた甲斐あって、この地域に「岩倉史謡・舞踊」の存在を知る人が増えていることは実感できる。引き続き地道に文化を継続させていくことが大切だと思う。」と岩渕信明副会長は話されました。

 「「岩倉史謡・舞踊」が地域の人たちが集まるきっかけになったら嬉しい。」と庶務の髙橋久美子さん。「発表の場には地域の方がたくさん来るため、岩倉の持つ文化に触れられるだけでなく、同じ地域に住む人と顔見知りになることもできる。何回でも踊りを見に来てもらいたい。」と語られました。

学区民運動会で大人と子どもが一緒に踊る姿

大人と子どもが一緒に踊る姿

 「保存会としてもっと様々な場所で発表する機会を設けたい。」と会長の安馬英男さん。ただ練習するだけでなく、人前で踊りを披露するという目的を持って取り組むことが大切であり、後継者を育てることにつながるのではないかと考えておられます。地域を盛り上げたいという思いと踊りを大切に継承していきたいという思いが伝わりました。

 最後に、保存会の皆さんにとって左京区は、「豊かな自然や街中の便利な施設や大学など、なんでもあるのが魅力的。」と教えてくださいました。私は、地域の未来のことも考えながら、地域の文化を大切に守っておられる皆さんのお姿こそ、左京区の魅力の一つであると感じています。「岩倉史謡・舞踊」という共通のテーマを通じて、地域の人同士のつながりがこれからも増え、岩倉が更に活気あふれる地域となることを願っています。

 読者の皆さんも、ぜひ、岩倉を訪れ、機会があれば「岩倉史謡・舞踊」を実際に見ていただきたいです!

この記事を書いた人

藤原達也(左京区役所 地域力推進室左京の魅力づくり推進担当)

一乗寺のラーメン街によく出没します。好きな言葉は「ニンニクアリ、ヤサイマシ、アブラマシマシ」。


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