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京都市教育委員会

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京都市立高等学校スクール・ミッション

ページ番号289750

2021年9月29日

スクール・ミッションの策定にあたって

 

 京都市では,明治5年の学制発布以前の明治2年に町衆が私財を投じて64の番組小学校が創設された。これは,明治維新による都市の衰退が危惧される中,「まちづくりはひとづくりから」との思いから,「教育」にまちの将来を託した町衆の願いが日本初の地域制の学校という形に結実したものである。

 京都市立高等学校(以下,「市立高校」という)はその前身となる学校が,明治13年に日本初の公立美術学校「京都府画学校(後の京都市立美術工芸学校,現銅駝美術工芸高校)」として,また,同19年には日本初の工業学校「京都染工講習所(後の京都市立第一工業学校,現京都工学院高校)」や商業学校「京都府商業学校(後の京都市立第一商業学校,現西京高校)」として創設されるなど,市民から人づくりへの熱い期待を受け,創設以来,京都や国の発展の担い手を育んできた。

 こうした下,平成7年には,21世紀を目前にして,市立高校の更なる発展と21世紀の時代に生徒に育むべき資質を見据え,次代を展望した魅力ある新しい市立高校の在り方を検討するため,「京都市立高等学校21世紀構想委員会」を設置し,2年を超える議論を経た「答申」に基づき,堀川高校をパイロット校として位置付けた新たな普通科系専門学科を創設した。その後の「答申」に基づく改革の経過は下のとおりであるが,堀川高校における「探究科」の実践と成果は,新学習指導要領の中核の理念として全国の学校現場に広まっている。

 市立高校は,社会の変化を見通した新たな教育改革に一早く取り組み,その成果を全国に発信するとともに,市内小・中学校へ還元していくなど,全国に先駆けた教育改革を実現してきた。

 <主な市立高校改革の経過>

 *平成11年 堀川高校に人間探究科,自然探究科を設置

 *平成15年 西京商業高校を改編し,西京高校エンタープライジング科を設置(翌16年 附属中学校併設)

 *平成19年 塔南高校に教育みらい科を設置

 *平成21年 日吉ケ丘高校の英語科を国際コミュニケーション科へ改編

 *平成22年 音楽高校を城巽の地へ移転し,京都堀川音楽高校に校名変更

 *平成26年 京都市・乙訓地域の公立高等学校入学者選抜制度の改革

          日吉ケ丘高校を進学型単位制普通科へ移行

          紫野高校の普通科第Ⅲ類英文系をアカデミア科へ改編 

 *平成28年 洛陽工業高校,伏見工業高校の再編・統合により京都工学院高校を創設

 令和の時代を迎え,一層急速な社会の変化と生徒のニーズの更なる多様化を踏まえ,伏見工業高校定時制と西京高校定時制を再編・統合し,発達の特性や不登校など「困り」を抱える生徒に寄り添う教育活動を実践する京都奏和高校を令和3年に開校,令和5年には,銅駝美術工芸高校を市立芸術大学とともに京都駅東部地域へ移転合築し,オンリーワンの美術専門高校として新たなスタートを迎える。同時に,塔南高校を移転・再編し,公立高校ならではの多様な生徒に対して,新しい普通科教育を創造する「新普通科系高校」として創設する。これら一連の20年を超える取組により,京都市立高等学校21世紀構想委員会「答申」に基づく市立高校改革は大きな節目を迎えることとなる。

  時を同じくして,「社会に開かれた教育課程の実現」を目指して「何を学ぶのか」ではなく「どのように学び」「何ができるようになるのか」の観点から資質・能力を総合的に育むこと等が重視された新学習指導要領が,高等学校においては令和4年度から本格実施(年次進行)となる。令和3年1月には,新学習指導要領の着実な実現に向けた教育の在り方について,中央教育審議会から「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(令和3年1月26日)」が答申されている。

 「京都市立高等学校スクール・ミッション」は,この中教審答申を基に,市立高校の発展と改革の経過と国の教育改革の動向を踏まえつつ,今後も市立高校が,新しい時代の教育のあり様を内外に示す役割を担うべく,各校が学校改革を推進する上での大綱となる方針として,市立高校総体としての存在意義や期待されている社会的役割,目指すべき学校像を明確化するために策定する。

 なお,本ミッションについては,今後,市立高校の改革状況や,高校教育をとりまく社会情勢の更なる変化を受け,再定義することとする。

(令和3年9月 京都市教育委員会)

 

京都市立高等学校スクール・ミッション

 京都を未来へつなぐ

 

 京都の学校文化を継承・発展させ,京都の発展に寄与する学校

 

 京都市は1200年を超える悠久の歴史を刻んできた。その歩みは,伝統を生かしつつ未来に向かって創造を続ける永久に新しい文化都市として,その時代に生きた人々が常に未来を見据え,重ねてきたものである。

 その原動力は,京都に脈々と受け継がれてきた「進取の気風」であり,市立高校においては,本市が掲げる都市理念である「世界文化自由都市宣言」の下,歴史や伝統を大切にしつつ,未来を切り拓くたくましい創造性と多様な他者を尊重し協働する豊かな人間性を備えた社会の担い手を育んできた。

 市立高校は,先人が人づくりを基盤として築きつないできたこの学校文化を継承・発展させ,校風や教育目標,教育実践を通して体現することで,京都の発展に寄与する学校であり続けなければならない。

 

 京都の魅力を豊かな学びに

 

 魅力あふれる都市特性やその価値を活かし,京都ならではの豊かな学びを実現する学校

 

 京都は,山紫水明の自然環境に恵まれた都市であり,その中で有形無形の豊かな文化や歴史遺産が保全継承され,文化,芸術,学術の営みが弛まず積み重ねられてきた。そして,国内外から多くの人が訪れ,多様な文化的背景をもつ人々同士が出会う機会に恵まれた都市でもある。

 あわせて,世界に誇る「大学のまち・学生のまち」,伝統産業から先端技術産業に至るまで多様な産業が集積する「ものづくり都市」,また,「環境先進都市」,「文化芸術都市」,「国際都市・多文化共生都市」など,京都には誇るべき多くの都市特性がある。

 市立高校は,こうした京都ならではの魅力が存分に活かされた幅広い学習活動や多様な人々との交流を通して,生徒の豊かな感性や人間性を育み,知識や技術を深める場として,学びを通じて自己を変革しながら,新しい価値やよりよい人生を創造する意欲の下に,社会に貢献する力を育成する学校でなければならない。

 

 京都から高校教育を先導する

 

 先進的で魅力ある教育を創造・実践・発信し,いつの時代も市民に信託される学校

 

 急速に変化する社会を見据え,高校教育では,生徒に育むべき資質・能力を明確にし,多様な可能性及び能力を個性や特性等に応じて最大限に伸長し,高等教育機関や実社会との接続機能を果たし,持続可能な社会の担い手を育成することが求められる。

 そのためには,普通科から工業,芸術等の多彩な専門学科を擁する市立高校においては,「一人一人の子どもを徹底的に大切にする」という京都市の教育理念の下,中学生の様々な教育的ニーズとともに個の多様性にも的確に対応するため,教職員が社会の変化を見通し,知識・技能の研鑽に努め,その専門性をさらに広げ,高め続けるとともに,学校が組織として時代を先き取り,自己変革し続けることが肝要である。

 あわせて,初等中等教育の最終段階の教育機関として,小学校・中学校での学びと育ちをしっかりと受け継ぎ,より専門性の高い学習内容に生徒が主体的かつ探究的に取り組むことで,個の可能性を広げ,社会の様々な分野で活躍できるよう,教育活動を絶え間なく刷新し続ける必要がある。

 市立高校は,今後とも府立高校・私立高校と切磋琢磨し,常に先進的で魅力ある教育を創造・実践・発信し,高校教育全体,さらには京都市の教育全体を高めていくことに寄与し,市民の信託に応える学校でなければならない。

 

※「世界文化自由都市宣言」
 

 都市は,理想を必要とする。その理想が世界の現状の正しい認識と自己の伝統の深い省察の上に立ち,市民がその実現に努力するならば,その都市は世界史に大きな役割を果たすであろう。われわれは,ここにわが京都を世界文化自由都市と宣言する。

 世界文化自由都市とは,全世界のひとびとが,人種,宗教,社会体制の相違を超えて,平和のうちに,ここに自由につどい,自由な文化交流を行う都市をいうのである。

 京都は,古い文化遺産と美しい自然景観を保持してきた千年の都であるが,今日においては,ただ過去の栄光のみを誇り,孤立して生きるべきではない。広く世界と文化的に交わることによって,優れた文化を創造し続ける永久に新しい文化都市でなければならない。われわれは,京都を世界文化交流の中心にすえるべきである。

 もとより,理想の宣言はやさしく,その実行はむずかしい。われわれ市民は,ここに高い理想に向かって進み出ることを静かに決意して,これを誓うものである。

(昭和53年10月15日 京都市)

  

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電話: 075-222-3811 ファックス: 075-222-3751