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「てまえどり」の食品ロス削減効果について

ページ番号296815

2022年4月6日

「てまえどり」の食品ロス削減効果を確認

 京都市では,「食品ロス削減・食品リサイクル推進モデル事業」(環境省)の採択を受け,公募した市民モニターに「てまえどり」を実践していただくなどにより,「てまえどり」の食品ロス削減効果を検証する取組を進めてきました。

 その結果,市民モニターの食品ロスが減少するとともに,店舗の食品廃棄も減少し,消費者側・事業者側の両面から「てまえどり」の食品ロス削減効果を確認することができました。

 環境省に提出した報告書(令和4年3月31日付け)の概要は以下のとおりです。

※てまえどり(手前取り)

 食品を購入するときに,商品棚の奥からではなく,手前の商品(消費期限・賞味期限の近い食品)から取り,購入する消費行動。店舗で期限切れにより廃棄される食品を減らすことで,食品ロス削減につながります。


「てまえどり」啓発ポスター

1 モデル事業による取組内容

(1) 消費者側からの「てまえどり」の効果検証

・ 公募により選定した119名のモニターに,令和3年9月~11月の各家庭からの食品ロス排出量を記録していただいた。

・ モニターには9月は「てまえどり」を意識せず買い物していただき,9月下旬に本市から「てまえどり」の依頼と食品ロス削減の啓発情報を送付。10月・11月はできる限り「てまえどり」を実践していただいた。

・ モニター活動前(8月)と活動後(12月)に,食品ロスに関する意識・行動,「てまえどり」の実践割合等に関するアンケートを実施した。

(2) 事業者側からの「てまえどり」の効果検証

・ 京都生活協同組合(以下「京都生協」という。)の協力を得て,令和3年10月から市内12店舗で,牛乳,豆腐,食パン,うどん(生麺)の4品目の売り場を中心に,ポスター,レールポップ等による「てまえどり」の呼び掛けをしていただいた。

・ 京都生協から令和3年10・11月と前年同時期の食品廃棄数量等のデータを提供していただいた。

・ 令和3年12月に,京都生協各店舗に対して,「てまえどり」PRへの従業員,来店客の反応等に関するアンケートを実施した。

レールポップ等による「てまえどり」の呼び掛け

2 検証結果

(1) 消費者側からの検証結果

☆ 食品購入時に期限を確認する人ほど,「てまえどり」を実施しない傾向が見られた。

☆ 「てまえどり」をしない理由は,家庭で使いきれずに食品ロスになることへの懸念が最も多かった。

☆ 食品ロスを意識しながら「てまえどり」を実践した結果,家庭からの食品ロスは増加せず,むしろ減少し,他の食品ロス削減行動にも好影響が見られた。

ア 食品の期限や「てまえどり」に対する意識

・ モニター活動前のアンケートでは,食品購入時に消費期限・賞味期限を「必ず確認する」「食品の種類によっては確認する」が9割以上を占めたが,食品の期限を「必ず確認する」人は「てまえどり」の実施頻度が低い結果となり,期限への意識が高い人ほど「てまえどり」を実施しない傾向にあることが明らかになった。

・ 期限を確認した後の購入行動については「期限までの期間が長い食品を買う」が過半数を超え,期限が短くても購入する場合については「値引きされていれば購入する」が最も多くなっており,「定価なら期限まで短い食品は損」という意識が強いことが確認された。

 「てまえどり」をしない理由は「期限までに使い切れない心配があるから」が突出していた。

イ 食品ロス排出量や食品ロス削減行動の変化

・ 本市からモニターに対して,食品ロス削減の啓発情報を9月末に送付するとともに,10月からの「てまえどり」実施を依頼した結果,食品ロス排出量は10月に大きく減少し,11月も微減した。

・ 「てまえどり」による食品ロス削減効果を抽出するため,アンケートを基に「てまえどり」の実施頻度が高まった度合いに応じて3グループに分けて,食品ロスの排出量の推移を比較した。その結果,「てまえどり」の実施頻度が高まった順に食品ロスの減少割合も高い傾向が見られ,「てまえどり」による食品ロス削減効果が確認された。(表1参照)


【表1】「てまえどり」実施頻度の変化度合い別の食品ロス平均重量推移

・ 買い物時・保存時・食事時の食品ロス削減行動について,事前と事後のアンケートで共通の設問を設けて変化を検証したところ,全15項目で増加が見られ,中でも,見切り品の購入,保存食品の消費・賞味期限のチェック,料理の食べきりの増加率が高くなっている。

・ 調査終了後も「てまえどり」を実践しようと思うモニターが約8割にのぼり,意識向上,行動変容につながったといえる。

(2) 事業者側からの検証結果

☆ 店舗で「てまえどり」のPRを重点的に行った品目について,食品廃棄率の大幅な減少が見られた。

☆ 店舗が「てまえどり」PRを行うことについては,従業員,消費者とも概ね好意的な反応が得られた。

ア 食品廃棄率の変化

・ 京都生協では,食料品全体の廃棄率も前年比で減少(△13.2%)しているが,とりわけ「てまえどり」PR対象4品目合計の廃棄率は約6割減(△59.6%)と,大幅な減少が見られ,廃棄削減効果が確認できた。

・ 品目別では,減少率が高い順に食パン,牛乳,豆腐,うどんで,これは前年同時期に廃棄率が高かった順番と概ね一致することからも,「てまえどり」の廃棄削減効果がうかがえる。(表2参照)

イ 従業員,消費者の反応

・ 京都生協各店舗への事後アンケートでは,「てまえどり」をPRすることへの従業員の反応は「肯定的な意見が多かった」との回答が8割以上を占めている。

・ 店舗が「てまえどり」をPRすることへの消費者の反応は,店舗へのアンケートでは「肯定的・否定的が半々」「その他(特に意見なし)」が9割以上を占めたが,モニターに対するアンケートでは「良いことだと思う」が約8割を占めている。

【表2】「てまえどり」PR対象品目別の廃棄率の変化

【表2】「てまえどり」PR対象品目別の廃棄率の変化

3 検証結果の総括

・ 買い物時に消費期限・賞味期限を確認する行為は市民(消費者)に定着しているが,期限に加えて,使いきるまでの期間も考慮して購入する行為はまだ定着しておらず,できるだけ期限まで長い商品を購入したいという志向が強いことが確認できた。

・ 「てまえどり」をせず期限まで長い商品を買う理由としては,家庭での食品ロスが 増えることへの懸念が最も大きいが,モニターが食品ロスを意識しながら「てまえどり」を実践した結果,家庭からの食品ロスは増加せず,むしろ減少したため,この結果も活用して市民(消費者)の懸念を払拭していく必要がある。

・ 事業者側にとっても,「てまえどり」を呼び掛けることが従業員・消費者に概ね好意的に受け止められ,食品廃棄量の削減にもつながる結果が出たことから,より多くの事業者が「てまえどり」のPRに取り組むよう働き掛けていく必要がある。

モデル事業報告書全文

モデル事業報告書(全文)

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お問い合わせ先

環境政策局 循環型社会推進部 資源循環推進課
TEL 075-222-3946 FAX 213-0453

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