児童相談所第三者評価の令和5年度受審結果について
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2024年8月5日
京都市においては、平成28年度から、児童相談所の適切な運用の確保を図ること等を目的として、児童相談所職員が行った自己評価を、第三者である本市審議会(京都市はぐくみ推進審議会児童福祉分科会児童支援・里親部会(※))の委員が評価する制度を実施してきました。
令和4年度からは、児童相談所の業務の質をより高め、子どもの権利擁護を推進するとともに、より客観性が高い評価を実施するため、民間評価機関による第三者評価を受審しています。
この度、令和5年度における評価結果をお知らせします。
当該結果を踏まえて、引き続き、児童相談所の質の確保及び向上に向けて取り組んでいきます。
(※)令和4年度からは「児童支援部会」及び「里親部会」に分離のうえ再編
1 評価概要
⑴ 目的
児童相談所における支援内容及び児童相談所の体制等について、児童相談所業務を理解し適切な評価を 実施できる第三者機関からの評価・講評により、児童相談所が機能しているかを確認するとともに、改善 点や今後必要な取組等を確認し、児童相談所の質の確保及び向上を図ることを目的として実施します。
⑵ 評価機関
一般社団法人 日本児童相談業務評価機関
⑶ 被評価機関
京都市第二児童相談所
⑷ 評価方法
児童及び関係機関並びに児童相談所職員等へのアンケート及び実地調査(2日間)等
2 令和5年度評価結果
⑴ 概要
- 職員が熱意をもって取り組み、組織的に業務を遂行している。
- 組織的で的確なアセスメントや判断がなされている。
- 職員の異動が早く、専門性の蓄積や子ども・家族及び関係機関との関係で不利を抱える。短い年数では、やりがいを感じにくくなることも懸念される。
- とりわけ、スーパーバイザーに児童相談所の経験がない職員が就いており、的確な判断や明確な方向性をもった対応において不安を抱える。異動周期の長期化や経験者の配置などの人事配置を検討いただきたい。
- 児童心理司が担当すべき事例すべてには対応できていない。児童心理司が障害相談以外の相談に確実に対応できるよう、体制の拡充が求められる。
- 援助方針会議資料の改善を検討するとよい。
- 施設入所児童等に対して定期的な面会を実施している点は評価できるが、頻度や内容については検討の余地がある。自立支援計画の策定等においては、一層の努力を期待する。
⑵ 評価結果
〇 個々の職員が熱意をもってソーシャルワークに取り組んでおられるとともに、児童相談所が組織的に一 体となって業務を遂行されていることを強く感じました。職員同士で日常的に相談し合いながら対応を進め られており、職員にとって安心して仕事ができる職場環境であることがうかがえました。また、困難を抱える家庭が多いという地域の特徴に対しても、区と連携した取り組みが意識されていました。区への送致の際には必ず赴いて引き継いでおられる点も評価できます。 〇 リスクアセスメントシートが丁寧に作成されており、進行管理についても重症度に応じて頻度を変えながら定期的に実施され、組織的で的確なアセスメントや判断がなされていると評価できると思います。市町村との事例対応区分については重症度判定基準により、明確化された方法が取られていました。 〇 一方で職員の異動が早く、そのために専門性を蓄積することや、子ども・家族及び関係機関との関係を継続する点で不利を抱えています。児童相談所業務を短い年数しか経験できないままでは、ケースの転帰を知って、自己の業務が子どものより良い人生に繋がった場面に接することのできるチャンスも少なくなり、やりがいを感じにくくなることも懸念されます。 〇 とりわけ、スーパーバイザー(以下、「SV」)に児童相談所の経験がない方が就かれている現状は、的 確な判断を行ったり、明確な方向性をもって対応を進めていく上で不安を抱えることが考えられます。またSVに経験者が少ないために、課長に業務上の負担が集中することを懸念します。児童相談所職員の異動周期を長くすることや、経験者からSVを配置することができるような人事配置を早急にご検討いただきたいと考えます。そのためには、児童相談所職員の長期的な育成体系を整備することも求められると思います。その中には、区と児童相談所との人事異動を活発化させること及び児童相談所間での異動も含めて検討されるとよいと考えます。 〇 児童心理司の配置について、令和6年度には児童福祉司に対して2対1という基準を満たす必要がありますが、それを下回っており、児童心理司が担当すべき事例すべてには児童心理司をつけることができていない現状があります。特に一時保護児童にはすべての子どもに対して担当児童心理司をつける必要があります。 〇 京都市第二児童相談所の特徴として、児童心理司が発達相談とそれ以外の相談を一体的に対応していることを挙げることができると思います。ただ、そのため児童心理司が発達相談以外の相談に十分に関与できなくなることを懸念します。児童心理司が障害相談以外の相談に確実に対応できるように、組織体制の拡充が求められていると考えます。 〇 援助方針会議では、事例の課題や支援の具体的内容について、ポイントを押さえた説明を行うことが必要だと思います。また、そのために援助方針会議資料に各種診断情報や子どもの意向等が明記され共有されるよう、書式を改善することを検討されるとよいと感じました。その上で、会議参加者による意見交換を十分に行うことを期待したいと思います。 〇 里親委託及び施設入所児童に対して定期的に面会を実施されている点を評価します。ただし頻度や内容については検討の余地があるように感じました。子どもアンケートの結果によると、「入所等の理由を説明されなかった」が里親委託児童で6割強、施設措置児童で5割弱見られたため、面会において可能な限り子ども達の気持ちをすくい上げ、子ども達が納得できるような説明に努めていただきたいと考えます。 〇 里親委託ケースの自立支援計画の策定に十分関与できていないことや、施設入所ケースにおける自立支援計画策定の支援が十分にできていないことに関しては、なお一層の努力を期待します。日ごろから自立支援計画策定等における協働等、施設や里親との連携を図っていただくことを期待します。 |
職員 |
〇 経験の浅い職員が多い中、お互いにサポートし合って業務に取り組んでおられる様子がうかがわれました。 〇 組織としての支え合いや人材確保、人員配置については様々な機会をとらえて、より一層着実に、職員の立場から声を上げ、要望していく必要があるように思います。 〇 今回実施した子どもアンケートや関係機関アンケートでの意見や要望についても、しっかりと受け止めて日常業務に反映していただきたいと考えます。 |
児童相談所 |
〇 課長級職員を中心として、日々の業務にしっかり取り組もうとしている姿勢は十分にうかがえました。ただし、職員の力量や経験の問題等から一部の職員に負担が偏っているように感じられましたので、人員配置の問題については、人事当局とも協議の上、よりよい解決策を図ってください。 〇 児童心理司の配置と担当業務については見直しが必要と考えます。発達相談の経験から得られるメリットについては異論ありませんが、一方で心理アセスメントが必要な子ども達への関与が不足してしまうことは、適切なアセスメント及び援助指針の策定にも影響し、ひいては子どもの最善の利益を担保できないことにもなりかねないのではないかと考えます。 〇 業務遂行を容易かつ効果的にするためには、経験の浅い職員でも理解しやすく業務の参考となるような、マニュアル等の整備や技法の導入等についても積極的に取り組んでいただければと考えます。 〇 精神的な課題を抱える子どもの相談が増える中、児童相談所ケースに対して組織の特性から発達相談所の医師の応援が得られることはとても有益だと思われます。今後もこの協力体制を維持していただきたいと考えます。 |
設置自治体 |
〇 児童相談所職員の異動サイクルの見直し及びSVの人材確保と育成について、改善が必要と考えます。現在はあまり実施されていないようですが、2か所の児童相談所間での異動による経験の蓄積もひとつの方法であると考えます。他の自治体の取り組み等も参考にしていただき、検討をお願いします。 〇 児童心理司について、令和6年度には児童福祉司2人に対して1人配置することとされていますが、現状では、その基準に達していません。早急な人員確保による配置増をお願いします。 〇 里親担当者については、二つの児童相談所それぞれに配置される体制の検討をお願いします。 |
国 |
〇 人事異動の周期が自治体の職員の一般的な異動ルールに則って行われるため、児童相談所職員としての専門性蓄積が十分に行えない実情があります。児童相談所については異動の周期を長くするよう、自治体に対する積極的な働きかけをお願いします。 |
報道発表資料
発表日
令和6年8月5日
担当課
子ども若者はぐくみ局(子ども若者未来部子ども家庭支援課 電話:075-746-7625)
報道発表資料
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お問い合わせ先
京都市 子ども若者はぐくみ局子ども若者未来部子ども家庭支援課
電話:075-746-7625
ファックス:075-251-1133