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人権総合情報誌「きょう☆COLOR」vol.24(令和7年12月号)(HTML版)

ページ番号348129

2025年12月11日

人権総合情報誌「きょう☆COLOR」vol.24(令和7年12月号)

輝き☆People

俳優・タレント

副島 淳さん

違いを認め合い、個人として向き合う

 

われら、企業市民

有限会社シサム工房

 

特集企画

子どもの権利

 

読者プレゼント

抽選で3名様に

副島 淳さんのサイン入り色紙

+

有限会社シサム工房から

『コーヒー3種味比べ+ブロックプリントのハンカチ』

をプレゼント

輝き☆People  俳優・タレント 副島 淳さん

違いを認め合い、個人として向き合う

 テレビでおなじみの副島淳さんは、父親がアフリカ系アメリカ人、母親が日本人というルーツをお持ちです。小学生の頃は見た目の違いから、いじめを受けたことも。御自身の経験を通じて、人それぞれの違いを認め合い、個人として向き合うことについてお話をお伺いしました。

 

副島 淳(そえじま じゅん) 

1984年、東京都生まれ。大学時代までバスケットボールに没頭し、卒業後に俳優・タレントとしてデビュー。2009年1月には舞台「パンク侍、斬られて候」殿様役で出演。2017年4月からNHK「あさイチ」、その後CBC「チャント!なりゆきアフロ」、フジテレビ「Live News it!」、テレビ東京「東京GOOD!」にもレギュラー出演。ジャンルの垣根を越えてキャラクターを活かし、映画・ドラマ・バラエティー・舞台・MC・CM等で活動中。

 

 

転校して受けた

いじめに絶望、

そのとき母がくれた言葉

 

 僕は東京都大田区の蒲田というまちで幼少期を過ごしました。生まれたときから父は家にいなく、母と祖母の三人暮らし。貧しかったのですが、近所の人々からとてもかわいがられ、楽しかったことを覚えています。

 小学校4年生のときに、千葉県の団地に引っ越しました。新しく通い始めた学校で、僕はいじめを受けるようになります。肌の色や髪質をからかわれてひどい言葉を受け、はじめて「僕は周りの人と違う」ということを意識しました。「汚い」「臭い」などの言葉に傷つけられ、それまでは、明るかったのに、自分が大嫌いになってしまいました。

 ある日、ついに僕は自分の中に溜まっていた鬱憤を母にぶちまけてしまいます。「なんで俺を産んだんだ!」働きながら僕を育ててくれた母に対して、とんでもないことを言ってしまったと思います。しかし母は、笑顔でこんな言葉を掛けてくれました。

 「お前は特別なんだよ。今は自分のことが大嫌いかもしれないけど、きっと自分のことが大好きになるときが来るよ」。そのとき僕は、母から「もう学校に行かなくていいよ」と言ってもらいたかった。だから母の言葉に反発を覚えました。

 しかし自分にも子どもができて父親になってから振り返ると…どれだけ母が僕に向き合い、寄り添ってくれていたかが痛いほどわかります。悔しいですけれど、その後の僕の人生は母が言ってくれた通りになりました(笑)。今、父として自分の子どもに同じ問いかけをされたとき、僕は母のような言葉を子どもに掛けられるだろうか…まだ自信がありません。

 また、いじめに関して忘れてはいけないのは、僕自身がいじめの加害者になったことです。小学校時代に足の不自由な子がいて、その子の歩き方を真似したんですね。そして担任の先生にこっぴどく叱られた。僕はただその子と遊んでいるつもりだったので、いじめているつもりはありませんでした。でもその子はきっと傷つき、いまだに僕のことを許してくれていないかもしれません。誰もがいじめる側にもなり得るし、いじめられる側にもなり得るのではないか…と自身の経験でそう感じました。

 

中学校のバスケットボール部で、

顧問の指導が大きな転機に

 

 中学生になって、僕はバスケットボール部に入部します。先輩から「なんでお前そんなに肌が黒いんだよ」などとからかわれましたが、その頃には「いや、日焼けサロン行ったら寝ちゃって」みたいに、冗談で返せるようになっていました。おちゃらけることで、自分を守っていたのだと思います。

 ところが、バスケ部に新しい顧問の先生がやってきて、僕は大きな転機を迎えました。先生は熱血教師で、僕はすでに身長がすごく高かったこともあり、「これからうちの部は副島を軸にやっていく」と宣言。それまで僕は、自分を押し殺して過ごしていました。顧問の先生はそれを見透かし、一対一でじっくり語り合ってくれたんです。

 「なぜ、自分を出そうとしないんだ。もっとチームメイトに、自分から言葉を発していかないと。そして、言葉に責任を持ち、同時に相手の意見をしっかり聴かないとダメだ」。この叱咤激励を機に、僕はチームメイトたちと心からの「会話」ができるようになったんです。その後バスケの推薦で僕は高校・大学に進学し、バスケを続けることになります。

 

芸能界での出会いと、

憧れていた人からの言葉

 

 芸能界に入ったのは、僕が子どもの頃からテレビっ子だったからです。いじめられていても、テレビを観ているとつらさを忘れることができました。ただ、オーディションを受けていく中で、どうしても「アフリカ系ルーツ」のステレオタイプを求められることには疑問を感じました。たとえば、「踊れる?」「身体能力は高いでしょ?」「ラップできる?」といったようなことです。すっかり嫌気がさして、事務所を辞めようと思ったくらいです。

 しかし、社長は僕を引き留めてくれました。「わかった。そういうオーディションはもう受けなくていい。これからは“日本人”としてあなたらしく活躍できるような仕事を探していこう」。

 やがて、ステレオタイプではないイメージでお芝居などにも出られるようになりました。そこで、俳優の宇梶剛士さんに出会います。「辞めると言っても自分から看板を下ろさない限り、俺たちの仕事は辞めることにならない。今やっていることを続けていくことが大事だよ」。そんな言葉をいただきました。

 また、憧れの志村けんさんのコントに出演した際には、飲みに誘っていただいて、なんと一対一でお話ししたことがあります。

 「自分のアフリカ系ルーツに染まっていく必要はないよ。これから君が“副島淳”としてがんばっていけば、もっと芸能界自体も広がっていくよ」。志村さんはブラックミュージックの大ファンだったようですが、僕の抱えていたジレンマを理解してくださっていたようです。

 社会に出てからこうした人々から掛けていただいた言葉は、それぞれ自分にとっての座右の銘になっています。言葉は人の心をえぐることもありますが、その反面、人生の支えにもなるのです。

 今の僕は、自分のルーツに誇りを抱いているというわけでなく、“副島淳”という個人として自分に誇りを持って生きています。

 

激しい言葉がぶつかる時代に

自分の目で見て考えること

 

 ここ最近、インターネット上では異なる属性や意見を持つ人々が、互いに激しい言葉をぶつけ合っている様子が見られます。そうした中で、傷つけられたり、つらい思いをされたりしている方も多いのではないでしょうか。ただ、こうした風潮に対して真っ向から立ち向かえるような本来の「力強い言葉」を私たちは持っているのか…。これは一朝一夕に生み出せるものではありません。

 しかし、希望はあります。以前は今よりハラスメントが世間に横行していました。でも今は、その時代がいかに歪だったかがわかります。それと同じようにゆっくりと時間をかけて人々の意識が変わっていき、何十年後かに現在を振り返って「あの時代、ヤバかったよね?」と言えるときがきっと来るかと。ただ、それを待つしかないのか、もどかしく思いますが…。

 こうした過渡期の時代に大切なのは、それぞれがしっかりした「目」を持つことではないでしょうか。一人一人が個人として向き合い、自分の目で見て、何が真実なのかを自分の頭で判断することです。僕自身もいろんなものを自分の目で見て、未来に向けて考え方をブラッシュアップさせていきたいと思っています。

 

京都の強みを活かして、

様々な人々と語り合いを

 

 伝統的な文化を受け継ぎながら、国際的なコミュニケーション力を併せ持っているのが京都の人々の強みではないでしょうか。国内外から多くの人が訪れる京都は、いろんなアイデンティティの人と触れ合えるチャンスにあふれているかと思います。あらぬ噂や偏見にとらわれるのではなく、長い歴史の中で培われてきた目でしっかり判断していただいて、様々な違いと向き合い、語り合ってください。きっと、より楽しい人生になるでしょう!

 

母にあやされて

 

小学生の頃

 

バスケ部で活躍(右)

 

志村けんさんと

 

読者プレゼント

サイン入り色紙・有限会社シサム工房からのプレゼントを差し上げます!

副島淳さんのサイン入り色紙と有限会社シサム工房の『コーヒー3種味比べ+ブロックプリントのハンカチ』をセットで3名様にプレゼントします。

 

応募方法

以下のいずれかの方法で御応募ください。

(1)ハガキに郵便番号・住所・氏名・年齢・電話番号を記入のうえ、以下の宛先に郵送

(2)京都市共生社会推進室公式SNS「Live Together」(@kyosei_kyoto)をフォローし、ハッシュタグ「#きょうCOLOR」を付けて投稿

(2)でお申込みいただき当選された場合は、ダイレクトメッセージにより、必要事項を確認します。

いずれも必ず本誌への御意見・御感想をお書きください。

 

締切

令和8年2月28日(土曜日)(当日消印有効)

宛先

〒604-8571(住所不要)

 京都市共生社会推進室

「きょう☆COLOR」Vol.24プレゼント係

 

★抽選結果の発表は発送をもって代えさせていただきます。

 

どしどし御応募ください!

 

京都市共生社会推進室公式SNS

「Live Together」

(@kyosei_kyoto)

是非フォローしてください!

京都市では重層的支援体制を推進しています

重層的支援体制って?

高齢、障害、子ども、生活困窮など、従来の分野・属性別の支援体制では対応が困難な地域住民の複雑化・複合化した福祉課題や支援ニーズにきめ細やかに対応するため、既存の支援体制や取組をいかしながら、分野・属性を問わない「相談支援」、社会とのつながりや参加を支援する「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に実施するものです。

 

取組を通じてどんな姿を目指しているの?

これまでの支援は、困っていることに気付いていない人や、人に頼るのが苦手な人には届きにくいという課題がありました。また、地域では、困っている人が気にはなっていても声を掛けられなかったり、時には「課題があるのは本人の責任だ」として、遠ざけてしまうこともありました。

これからは、お互いを気にかけ、助け合う関係の中で、困りごとがあっても孤立しない地域づくりを目指していきます。また、行政・支援関係機関は、分野を超えた連携の中で、助けを求められない人にも積極的に関わり、一人一人の状況に合わせて、地域とのつながりを大切にしながら、その人らしい生き方を支えていきます。

 

● 福祉のお悩み・お困りサポートリンク集

  様々な福祉のお悩みやお困りごとに対応する相談先などを掲載しています。

 

● 京都市版お悩みハンドブック

  あてはまる悩みにチェックをつけると、役立つ支援制度や相談窓口が分かります。

 

引用元:【上画像】厚生労働省「地域共生社会のポータルサイト」

【下画像】三菱UFJリサーチ&コンサルティング「「包括的な支援体制」の整備が市町村の努力義務になっているなんて知らなかったという人へのガイドブック」

われら、企業市民

有限会社シサム工房

 

お買い物とは、どんな社会に一票を投じるかということ

シサム工房は1999年から「フェアトレード」※に取り組む企業。発展途上国の生産者との

公正な取引を行い、人々の幸せを最優先する活動を続けています。フェアトレードを通して私たち消費者にできることは何か? 副代表の人見とも子さんにお話を伺いました。

※フェアトレード…開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組み。「作る人(生産者)」の暮らしや文化をよく知る「つなぐ人(NGO)」を介して「使う人(消費者)」につなぐことで、国際協力関係を実現する。

 

人見 とも子(ひとみ ともこ)さん

 

Q フェアトレードとの出会いと、事業の始まりを教えてください。

 学生時代、研究でタイの山岳地帯にある二つの村を訪れました。最初の村では年端もいかない少女たちが人身取引され、その親たちは麻薬の蔓延により無気力な生活を送っていました。その惨状を目にして「私にはいったい何ができるんだろう?」と、自分の無力を痛感したものです。一方、もう一つの村で見たのはまるで違う光景でした。そこでは女性たちが刺繍ポーチを手工業とし、東京にあるボランティア団体と取引をしていたんです。女性たちがいきいきと働き、ビジネス方針について会議を開き、議論している姿に深く感銘を受けました。この違いは何だろう?…そう思ったことが私自身のフェアトレードに対する関心の第一歩です。この経験から、人身取引という「悪意のつながり」ではなく、フェアトレードという「善意のつながり」で何かできるかもしれないと考え、帰国後、彼女たちと公正な取引をしていた日本の国際協力団体に紹介してもらったフェアトレードショップで働きました。

 その後、大学院の先輩でもあった水野泰平氏(同社代表)とともに1999年にショップを京都大学の近くにオープンさせたのが、シサム工房の始まりです。

 

Q シサム工房のフェアトレードの特徴は?

 フェアトレードとはつまり、利潤よりも公平性を重んじ、生産者の生活の向上を目指す貿易です。消費者が公正な価格を通して商品を購入することにより、作り手である途上国の人々の自立支援につなげていくことが目的。その上で私たちが大切にしているのは、「人々の幸せ」です。

 たとえば取引をしているインドのクリエイティブ・ハンドクラフトは、ムンバイの巨大スラムにあるフェアトレードNGOで、200人以上の女性たちが縫製作業を行っています。女性たちに働く場所と賃金を提供するのはもちろんですが、団体には現地のソーシャルワーカーが常駐し、彼女たちをサポートしています。パートナーからのDV相談・対応、健康診断の推奨、預金口座の開設や、計画的に貯蓄を行う方法、暴漢に襲われたときの護身術まで、彼女たちが人間らしく自尊心を持って生きられるように支えているのです。いわば職場を超えた、よりよく生きるためのコミュニティです。

 私たちのフェアトレードの特徴は、必ずこうした現地のNGOを介して仕事をすること。地域のことや働いている人々の状況などを良く知るNGOと仕事をすることで、ムンバイの例のように働いている人々の「幸せ」に貢献できるのです。取引するNGOは人々の暮らしに貢献していることを証明できるWFTO(世界フェアトレード連盟)に加盟していることが条件。また、私たちもWFTOに正式加盟し、その厳格な基準に準拠しています。

 現在、アジア各地12のNGOと「フェアトレードパートナー」として取引中。取扱商品はオーガニックコットンやコーヒー、手編みのバスケットなど様々。インドで取引しているNGO「サシャ」の商品は伝統的な手工業であり、働く人々の生活はもちろん現地の伝統工芸を守っていくという役割もあります。生産品を日本のマーケットに紹介するには、各地域が何を重んじてその商品を作っているかということを知る必要があります。

 私たちが各生産地の人々から学んだものは数知れません。

 

Q フェアトレードの社会的な意義とは何でしょうか?

 人権を最優先にしてもビジネスが成り立つというモデルを示す役割があります。これにより他の団体が模倣しやすくなります。大学などで私たちの活動やフェアトレードについて講演しています。かつては「フェアトレードって何?」という状態だったのに、今は幅広くその活動が知られるようになったと実感できるようになりました。「今までただ高いだけだと思っていた」「こんなに商品のバリエーションが広いことを知らなかった」など、反応は様々。こうして知っていただいた上で、私たちがお伝えしたいのは、お買い物で『何を買うか』を選ぶことが、すでに世界に対しての意思表示になるということです。単に「公正な支払い」という理解だけでなく、それが手段であり、生産者を360度支援する活動であるという深い部分まで話すと、そこまでは知らなかったという反応がある。生産する人々の暮らしや幸せを思って商品を選んで買うのは、自分自身がこの先「どんな社会で生きていきたいか」を考えるきっかけになると思います。労働そのものや何のために働くのかを問い直し、社会をどうしていきたいのか…買い物を通じて、考える機会になればと願っています。

 

Q 京都市民の皆さんや、京都の中小企業の方々にメッセージをお願いします。

 学生時代、タイで私は悲惨な状況を前に、「私一人にできることは何もない」と絶望を感じました。しかし、決してそうではありませんでした。フェアトレードを知ってから多くのことを調べ、関連する団体や企業と関わりを持ちました。常に「自分にできることは何か?」を考え、行動してきました。

 学校などでフェアトレードに関する講演をした際、学生の皆さんから「そんな活動があるんだ、知らなかった…」という反応があったら、私は自分に何ができるか「マイフェアトレードアクション」を考えてもらうようにしています。

 たとえばフェアトレードのお店のSNSをフォローして、友達や家族に教えたり紹介したりすること。それだけでもひとつのアクションとなります。または、お気に入りのお店のアンケートにフェアトレード商品を置いてもらうよう書く。それも大切なアクションです。自分のできる範囲でインパクトを上げるアクションを考えてほしいです。アクションを伴わないと社会は変わりません。

 これは企業の皆さんに対しても同じです。フェアトレードの手法に基づいて遠く離れた生産者の暮らしや尊厳を守るためには、どうすればいいか?それを事業にどう組み入れていくか?各企業の強みを活かしてアクションを起こすことが大切だと思います。

 自分のできることから始め、ネットワークを活かしてアクションを広めること…そのうちに、できることは無限に広がっていきます。少しずつ周囲の人々に「気づき」のインパクトを与えていきましょう。よりよい未来と社会をつくることに向けて、私たち一人一人は決して無力ではありません。

 

注目の事業

2スマイルズノベルティ

一定のロット数から発注を受け、生産数を確保することで生産者の利益向上を目指すノベルティグッズを提案。エコバックやTシャツ、マグカップなど種類も豊富で、企業PRや学園祭グッズ、結婚式のギフトなどに最適です。

 

店内ツアー

修学旅行生や一般のお客様を対象に、シサム工房の全店舗で店内ツアーを実施。店内スタッフと交流し、お買い物を実際に体験しながら、フェアトレードについて考える機会を提供しています。

 

フェアトレードの講演

小中高校や大学、企業、自治体や各種団体を対象に、フェアトレードそのものについて、またシサム工房の活動について講演会を行っています。ロータリークラブや関西広域連合シンポジウムなどでの講演実績もあります。

 

プレゼント

本誌への御意見・御感想を送ってくださった方に

有限会社シサム工房から

コーヒー3種味比べ

ブロックプリントのハンカチを

プレゼント!

応募方法についてはP3プレゼントコーナーを御覧ください

応募者多数の場合は抽選となります

みんなで考えよう 子どもの権利 ~後編~

食べ物や水、着るものや安全にくらせる家、くすりや病院…。子どももおとなも人が生きていくためには欠かせないものがたくさんあるね。

そして、日々成長している子どもたちが心も体も健やかに大きくなっていくためには、子どもだからこそ必要なこともいろいろある。たとえば、教育を受けられること。友達と遊んだり、きちんと休んだりする時間があること。まわりのおとなに自分の意見や思いを聞いてもらえること。愛情をもって育ててくれる保護者がいること。おとなの保護やサポートを受けられること…。

そうした子どもたちが必要とすることすべてが「子どもの権利」なんだ。

子どもたち一人ひとりがもっている、とても大切な権利だよ。

 

すごいな!「子どもの権利条約」

子どもたちのもつさまざまな権利は、「子どもの権利条約」という条約で国際的に守るべきものとして定められているよ。この条約では、18歳未満の人を「子ども」と定めている。世界中のすべての子どもたちが、幸せに健やかに育つためにもっている権利。そしてさらに、障がいのある子どもや、住むところを追われた難民の子どもなど、特別な保護や配慮が必要な子どもたちの権利も定めているよ。

 

「子どもの権利条約」が誕生したのは、1989年のこと。

国際連合の総会で、すべての国が賛成して、成立したんだ。それから、次々と各国が条約に入り、日本も 1994年にこの条約に入ったよ。いまでは、世界196の国と地域がこの条約に入っていて、世界でもっとも広く受け入れられている人権条約になったんだ。

 

出典:(公財)日本ユニセフ協会発行「学習資料 子どもの権利条約(第1~40条抄訳一覧付き)」一部抜粋

ユニセフ『子どもの権利条約』「子ども向け学習サイト」

https://www.unicef.or.jp/crc/kodomo/

 

子どもの権利条約を見てみよう!

「子どもの権利条約」は前文と54条の条文から成り立っています。

たとえば、このようなことが書かれています。

 

第2条

差別の禁止

すべての子どもは、みんな平等にこの条約にある権利をもっています。子どもは、国のちがいや、性のちがい、どのようなことばを使うか、どんな宗教を信じているか、どんな意見をもっているか、心やからだに障がいがあるかないか、お金持ちであるかないか、親がどういう人であるか、などによって差別されません。

 

第3条

子どもにもっともよいことを

子どもに関係のあることが決められ、行われるときには、子どもにもっともよいことは何かを第一に考えなければなりません。

 

第6条

生きる権利・育つ権利

すべての子どもは、生きる権利・育つ権利をもっています。

 

第12条

意見を表す権利

子どもは、自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子どもの発達に応じて、じゅうぶん考慮されなければなりません

 

「子どもの権利条約」では具体的にどんな権利を定めているのか、条約の第1条から第40条をカードで見てみよう!

 

カードで見てみよう!

「子どもの権利条約」第1〜40条

 

こんなキャンペーンもあるよ

 

ユニセフ・こども家庭庁共催キャンペーン

 

みんながひとしくもっている

こどものけんりプロジェクト

 

こどものけんりプロジェクトとは?

ユニセフ・こども家庭庁共催キャンペーン「こどものけんりプロジェクト」は、日本における「子どもの権利」の正しい理解と普及を通じた子どもたちのウェルビーイングの向上を目指すキャンペーンです。

 

「人権週間」に法務省と連携、ジーン&ケーンのスペシャル動画公開!2024/12/2

動画も見てね!


インターネット上の人権侵害

曽我部 真裕(京都大学大学院法学研究科教授/(公財)世界人権問題研究センタープロジェクトチーム1リーダー)

 

1 SNSの時代と人権侵害の可視化

 ここ数年、インターネット上の人権侵害への関心と理解が高まってきました。スマートフォンの普及率は9割を超え、多くの人がSNSで日常的に情報を発信しています。SNSの拡散機能により、たとえ匿名の一般市民の投稿であっても、何万回、何十万回と閲覧されることがあり、「普通の人」が大きな社会的影響力を持つ時代になりました。

 このような情報発信環境は、差別や不当な扱いを受けた少数者の声を広く届け、社会の関心を喚起するなど、ポジティブな力を発揮することもあります。しかし一方で、誹謗中傷、民族や出身地に基づく差別的発言、さらには偽情報や陰謀論の拡散といった深刻な問題も広がっています。

 

2 ネット上の加害構造と法制度の整備

 投稿の背景にはさまざまな要因があります。近年では広告収入目当てにセンセーショナルな内容を投稿する例も見られますが、一般市民が誤った情報を信じ込み、それに基づいて攻撃的な投稿を行ってしまうことも珍しくありません。匿名性や「顔の見えない相手」であること、「みんなもやっている」という心理も、責任感の低下につながっています。

 しかし、標的となった人はしばしば多数の他者から一斉に非難され、「社会全体に否定された」という感覚を抱き、大きな精神的苦痛を受けることになります。時にはそれが、人生や命に関わるような重大な被害を引き起こすこともあります。こうした被害を防ぎ、すべての人が安心してインターネットを利用できる社会をつくることは、私たち共通の責務です。

 このような状況を受け、2025年には「情報流通プラットフォーム対処法」が施行され、大手SNSや動画共有サイトなどに対して、違法・有害な情報の削除体制の整備や、透明性のある運営を義務づける規制が始まりました。プラットフォーム側の責任が制度的に明確になったことは前進ですが、それだけでは十分ではありません。利用者一人ひとりの意識と行動が、インターネット空間の質を左右するのです。

 

3 生成AI時代の情報リテラシー

 さらに最近では、生成AIの急速な発展も新たな課題を投げかけています。テキストや画像を自動生成するAIを用いた「フェイクニュース」や「ディープフェイク映像」が拡散され、人権侵害につながるケースが増えています。虚偽の情報が、誰かを陥れたり、差別や偏見をあおる道具として使われる危険性が現実のものとなっています。

 だからこそ、私たちは情報との向き合い方を今一度見直す必要があります。SNSや動画サイトは、利用者の関心に応じて情報を自動的に選別・表示する仕組みをもち、それによって思考が偏っていくことがあります。匿名でも法的責任が問われうることを意識し、信頼できる報道機関などで情報の真偽を確認する習慣を持つべきです。そして何よりも、「対面では言えないことはネットでも言わない」という基本的な倫理感を、あらためて共有することが必要です。

 法制度の整備と、個々人の情報リテラシーの向上。その両輪があってこそ、インターネットは真に人権が尊重される空間となるのです。

 

プロフィール

京都大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了。同大学院法学研究科講師、准教授を経て2013年から教授。専門は憲法・情報法。2013年から2025年までBPO放送人権委員会委員・委員長。

京都市 困難を抱える女性への支援が進んでいます

▶京都市女性のための相談支援センター『みんと』

 暴力や性被害、生活困窮など様々な困難を抱える女性に寄り添い、多様な関係機関と連携し、包括的な支援を行う窓口です。

 令和6年度の相談内容は右図のとおりで、40代までの若い世代をはじめ、幅広い年代から相談いただいています。

(支援事例)親からの虐待により家に帰れない若年女性のケース

 社会福祉士等の資格を有する女性の相談員が、丁寧にお話をお聞きし、本人の意向を確認しながら民間シェルター等への避難やカウンセリングの提供、居場所事業を実施する民間団体の紹介、必要な福祉施策へのつなぎ、自立して暮らすための家探し等の支援を行いました。

 

令和6年度の相談内訳

氏名の判明している方

DV 以外 8%

DV 92% (DVセンターにて支援)

〈DV以外の相談内容の内訳〉

DV 以外の家庭内暴力 54%

家族問題(暴力以外) 15%

住居問題 12%

人間関係 5%

経済関係 3%

男女問題 3%

性被害 3%

医療関係 2%

その他 3%

 

女性のための相談支援センター「みんと」

電話:075-874-6312

(月~土 9:00〜17:15) 祝日・12/29~1/3を除く

 

花言葉:元気回復

相談してみんと やってみんと

 

▶民間団体との協働による若年被害女性等支援事業【令和7年度新規】

 みんとの支援を通じ民間団体と連携する中で、特に若年女性は、自ら支援につながることができないケースも多く、早期に支援につなげることの重要性を改めて認識。行政と民間団体が協働して早期発見からアフターケアまで一貫した女性支援を行う新規事業に着手しました。

 令和7年度に協働する3団体の取組を紹介します。

 

早期発見 相談支援 居場所支援 自立支援 アフターケア

アウトリーチ支援

居場所の提供

自立支援(ステップハウスの提供など)

 

特定非営利活動法人コミュニティ・スペースsacula

 「専門性より関係性」を基本理念に、居場所や相談サポートを通じて、子どもや若者が『達成』や『経験』をできる世の中を目指して活動されています。

★ 街頭アウトリーチやSNSアウトリーチを通して、若者の深夜の孤独や孤立を軽減

★ 下京区の拠点カフェを若者の深夜の居場所として開放

★ シェアハウスとステップハウスを開設し、自立を目指す女性の支援を拡充

 

特定非営利活動法人happiness

 生まれた場所や環境に関わらず、互いに支え合いながら生きていける地域を目指し、子どもと保護者の孤立をなくすことを目指す活動をされています。

★ アウトリーチ支援として、SNSでの相談を常時受付

★ 行き場のない女性たちの居場所作りとして、食事付の居場所を月1回提供

★ ステップハウスを増設し、自立を目指す女性の支援を拡充

 

一般社団法人京都わかくさねっと

 「すべての少女たちが自分らしく心豊かに生きられる社会」の実現を目標に活動されています。

★ 夜の繁華街でつながりをつくる「小さな居場所」を実施

★ 食事や生活用品、昼寝スペース等を提供する「わかくさカフェ」で定期的にワークショップも開催し、女性の居場所を充実

★ ステップハウスを開設し、自立を目指す女性を支援


12月は人権月間です。

一人一人の人権意識を高め、

人権文化が根付く社会を築きましょう!


「ヘイトスピーチは許さない」をみんなの合言葉に。 ~互いの人権、多様な文化を尊重できる社会を目指して~

特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動は、人の尊厳を傷つけ、差別意識を生じさせることになりかねず、許されるものではありません。近年ではインターネット上での差別的な書き込みも問題となっています。

被害を受けられたら、行政の窓口へ御相談を。

 

〈法務省が運営する窓口〉             

⃝みんなの人権110番    0570-003-110

⃝外国語人権相談ダイヤル              0570-090-911(多言語対応)

⃝インターネット相談  インターネット人権相談  検索

 

※本市でも区役所・支所などで人権擁護委員による特設相談を行っています。

日時など詳細は、京都市文化市民局共生社会推進室へお問い合わせください。

電話:075-222-3096 FAX:075-366-0139

(京都市)共生社会推進室 SNSやっています!

京都市の人権関連イベントや

企業向け人権啓発講座等の開催案内のほか、

人権に関する様々な情報を発信しています。

 

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「拉致問題を考える国民の集いin京都」を開催します!

日時 令和8年1月31日(土曜日)14:00~15:45

場所 京都府立京都学・歴彩館 大ホール(京都市営地下鉄烏丸線北山駅徒歩約4分)

定員 300名(事前申込制)

主催者 政府拉致問題対策本部、京都府

共催 京都市

 

「取り戻す」ための

シンボル―

ブルーリボン


 問合せ・申込みの詳細は京都府総務部調整課「国民の集い」担当へお問い合わせください。

編集後記

見た目の違いから受けた差別、偏見、いじめ、多くの理不尽な経験をしたにも関わらず、副島さんがおっしゃったのはたくさんの感謝の言葉でした。一つ一つの偶然を通り過ぎるのではなく「出会い」にしてきた副島さんだからこそ、家族や恩師、社会人になってからも出会った人々の言葉を受け止め、自分自身と向き合ってこられたのだと思います。

 気軽に人と関われるSNSも便利ですが、まずは目の前の人と目線を合わせ、耳を傾け、言葉通り「向き合う」姿勢が大切なのかもしれません。


<法務省委託事業>

人権総合情報誌 きょう☆COLOR vol.24 (発行 令和7年12月)

発行:京都市 文化市民局 共生社会推進室

電話075-222-3096 FAX075-366-0139

〒604-8571 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488番地 分庁舎地下1階

URL https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/soshiki/6-1-3-0-0.html

この冊子はホームページでも御覧いただけます。また、区役所・支所、市役所案内所ほかで配布しています。

 

京都市は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています。

 

この印刷物が不要になれば「雑がみ」として古紙回収等へ!

 

京都市印刷物第071764号


お問い合わせ先

京都市 文化市民局共生社会推進室人権文化推進担当

電話:075-222-3096

ファックス:075-366-0139

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