スマートフォン表示用の情報をスキップ

現在位置:

第33回市民対話会議(伝統産業)

ページ番号347299

2025年11月5日

第33回市民対話会議(伝統産業)を開催しました

1 概 要

 職人やデザイナー、販路開拓、海外展開に携わる方など、伝統産業に携わる様々な立場の方に御参加いただき、伝統産業の振興策について、松井孝治京都市長を交えて意見交換を行いました。

日時:令和7年8月27日(水曜日)午後3時30分~午後5時30分

場所:京都市役所 本庁舎 正庁の間

参加者:6名
(参加団体等/五十音順)
 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社、京都芸術大学、京都精華大学、小嶋商店、株式会社Showyou、
 Pieces of Japan株式会社

シェイプ1
シェイプ2

2 会議内容

▶出席者の主な発言内容
(若い人が伝統産業に長く携わるために必要なこと)

・若者が伝統産業の職人に関心を持つ機運が高まっている一方で、受け皿がなく、どう惹きつけるかよりもそれをどう長く続けていけるかが課題。

・男性の職人が、十分な給料をもらえず、家族を養えない、と辞めてしまうケースをよく聞く。一方で、女性が職人になるケースも増えている。配偶者の扶養の範囲内で働きたい方や、伝統産業とは全く関係のない別の事業を営む空き時間で働きたい方など様々。

・SNSの発展により、若者の興味関心は細分化されている。京都では伝統産業でも多様な品目・業界がある中で、1つの仕事だけではなく、色々な場所で色々な仕事を組み合わせるハイブリッドな働き方で生計をたてていく、ということができれば、若者にとってより魅力的な働き方を提示できるのではないか。

・若者は、自身の将来に向けて、何を達成したらどのような報酬が得られ、どういうポジションに着けるのか、といったキャリアパスがある程度はっきりと見えていないと、仕事として選びづらいのではないか。

・伝統作業の中でも、焼物のように、「作家」として、自分の名前を世に出しやすいものと、織物・染物のように分業制で工程の一部を担うため「作家」になりにくいものがあり、分けて支援する必要がある。

・人が辞める原因は、仕事を管理するマネージャーにあることが多く、次世代の職人を育てる立場の人たちに、マネジメントに関する研修を行う必要がある。

・近年、伝統産業業界では、様々な属性の方の活躍が進んできている。若手職人の中では、他府県から移住してきた方や、転職した30代後半ぐらいの方が増えてきた印象がある。

・「伝統産業」という言葉はとっつきにくく、小難しい、古いものというイメージが広まりすぎている。伝統産業に携わる若者を増やすためには、生業にすることがかっこいい、自慢できる、幸せ、というイメージが広まるよう、イメージを変えることが必要ではないか。

・日本の伝統産業に海外の人が携わってもらうのは1つの手。海外で日本の工芸が評価され人気が出れば、来日して自ら伝統産業に携わりたいと考える海外の若者も増えるのではないか。

(伝統産業の需要・販路) 
・伝統産業製品の生産額が落ち込みだして以降、販路が大きく変化し、インターネットが活用されるようになったが、伝統産業事業者がそれについていけていない。これからは、アート分野への展開も含めた新たな販路の開拓や、海外の消費者も意識したインターネットの活用が必要。

・近年、自社のリブランディングに取り組む中で、伝統産業を取り入れるケースが増えている。自社のブランドや価値を改めて振り返り原点回帰する動きと、自然や生活様式に根差した伝統産業は相性が良いのだと思う。

・伝統産業は、職人が手間暇かけて生み出しているという点に価値を見出してもらい、購入につなげていくことが大切。また、そうした価値やストーリーを理解していることがかっこいいという風潮が、更なる需要につながるのではないか。

・作っているものは同じでも、消費者の見方や捉え方が変われば、新しい販路を開拓できる可能性が広がる。

・伝統産業製品の小口のロットで生産することができる小回りが利く点は、他の業界にはない利点である一方、需要が増えすぎてしまうと小規模な事業者だけでは対応しきれないという難点もある。

 ・伝統産業を海外に広げていく中で、世界の潮流に合わせ過ぎてしまい、日本の良さが失われてしまうのではないかという危機感もある。 

(伝統産業製品を販売するために必要なこと)
・職人が、自身の作品・商品に安い価格を付けすぎてしまい、十分な収益が上がらないというケースをよく見かける。販路や流通に詳しい人に、伝統工芸品の製作スケジュールや納期など伝統産業独特の文化を理解したうえで、適切な価格設定や宣伝・販売方法について相談に乗ってもらうことが重要である。しかし、こうした「職人と消費者の間をつなぐ」人材が少ないことが課題であり、どう育成していくかは確立されていない。こうした人材は、客の実際の反応を見ながら店舗販売の経験を積むことで育つものなのかもしれない。

・英語をはじめとする外国語を話せると、海外に出る・海外の人と接する機会が増え、どんな価値観を持ち、どんなルールで動いているかに興味・関心を持ちやすくなる点で、語学力は強力なツールである。様々な国の文化を理解している人材が、京都の魅力・アイデンティティを自分の言葉で伝えることが大切。

・制作だけでなく、プロモーションや販売なども手がける非常に多忙な職人が増えてきている。今後、海外販路を開拓していく際には、海外の生活文化や法律、規制などを理解し、流通・販路をサポートしてくれる方がいてくれると良い。

(アートと工芸の関係について)
・アート市場において工芸の需要はあるが、一般的に「アート」を身近なものだと感じる若者は少ないので、伝統工芸があまりアートに寄りすぎると、自分とは遠い世界のもののように感じ、興味を持つ人が減ってしまうかもしれない。

▶市長の主な発言内容
・若い人たちに伝統産業に長く関わり、支えてもらうことが本質的な課題。

・日本の若者に限らず、海外の若者でも、京都の伝統産業に魅力を感じ、技能を習得し、優れた技術をいかしたものづくりを発展させる、そのものづくりが世界中の多様な文化の中で多くの人から選ばれるということが大切。

・従来は問屋や商社が担ってきた「職人と消費者の間をつなぐ」機能が、うまく発揮できなくなってきており、この機能の担い手が不足しているが、行政だけで解決できる問題ではなく、現状、社会全体での明確な解決策があるわけでもない。

・アートを生業にできる人はほんの一握りで、伝統工芸をアートの領域にまで高めてしまうと、伝統産業の活性化にはつながらないかもしれない。しかし、職人として商品を作って仕事をする中で、趣味の範囲で少し凝ったものを作ると、それが思わぬ評価を得てアート作品として扱われ、高値が付くこともあると聞く。働き方改革により、就業時間の制約もあるが、個人事業主として働く職人であれば、合間の時間に、アート作品のようなものを作ってみるといった挑戦もできるかもしれない。

・世界のトレンドは時代によって移り変わるものだが、必ずしも職人自身が世界の潮流に合わせていかなければならないというものではなく、その潮流を読み、職人の仕事に付加価値をつけていく人材こそが重要であると感じる。

・日本の文化や伝統は自然の中で育まれてきた、ということが、特に海外や若い人の中で再評価されているが、その再評価が、現在の社会のシステムや生産体制などがボトルネックになり、うまく大きな流れへと転換しきれていない。

・大量生産・大量消費ではない時代の価値観や、伝統産業の美しさが日本に、そして京都にあるのだということを、若い人に知ってもらい、また、多言語で世界に発信することで、既存の枠組みを超えた新しいものが生まれると思う。

・様々な課題に対する解決策はすぐに導き出せるものではないが、府市連携で開催しているこの伝統産業対話会を通じて、今後も皆さんと一緒に議論しながら対策を考えていきたい。

このページに対してご意見をお聞かせください

このページは役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか?

お寄せいただいたご意見は、今後のホームページ運営の参考とします。

お問い合わせ先

京都市 文化市民局地域自治推進室連携改革・区政担当 (連携改革担当)

電話:075-222-3047、075-222-3049

ファックス:075-222-3042

メールアドレス:[email protected]

フッターナビゲーション