第26回市民対話会議(多文化共生)
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2025年3月25日
第26回市民対話会議(多文化共生)を開催しました
1 概 要
各地域・分野で活躍されている外国籍の方々にお集まりいただき、「京都における多文化共生」をテーマに、本市の多文化共生や国際交流に係る現状・課題、今後の展望について、松井孝治京都市長と意見交換を行いました。
日時:令和7年2月7日(金曜日)13時30分~
場所:京都市国際交流会館 2階特別会議室
参加者:10名
(参加いただいた方々の国籍・関わりを持つ国/五十音順)
イギリス、インドネシア、カナダ、韓国、中国、ドイツ、ネパール、フィリピン、フランス 、
ベトナム


2 会議内容
▶出席者の主な発言内容
(京都の魅力について)
・京都には、交通網、インフラ、スポーツ施設、自然、他府県へのアクセスなどの魅力があり、伝統や歴史、京都に住む市民の意識なども京都の財産。
・私が所属するインターナショナルスクールでは、保護者等を合わせると500名程が京都に住んでおり、みんな京都が大好きである。
・米国にも留学・就業した経験があるが、京都は自然や観光地が近く、また、大学や大企業、部品メーカーが想像以上に存在し、混ざり合っているイメージがある。
・ムスリムにとって、昔は給食でハラル対応がなかったが、今は配慮されるようになりありがたい。
(地域との交流について)
・地域住民に、外国籍も同じ市民であるということで受け入れて欲しい。
・地元との交流が大事。交流会やお祭りの機会を作って、いろんな国の人が一緒に実施することが大事。
・訪問先の企業で、京都でも外国人が住み始めたという話を聞く。京都は観光客が多いまちであるため、京都市民にとって外国人は全て観光客というイメージがあるのではないか。
・国際交流会館は外国人用の施設というイメージがある。外国籍市民と地域の京都市民との交流の場をどう作るかが大切。自身もこれまでも交流イベントを実施してきたが、日本人が足を運ぶまでには至っていない。
・京都にある各国籍のコミュニティ一つひとつでは、それぞれのネットワークの中でしか繋がらない。市が主体となって、各国の人やコミュニティを一堂に集めて交流する機会を設けることで、外国籍と日本人だけでなく、各国籍のコミュニティ同士がつながり、良い相乗効果が生まれ、それが京都全体に波及し、日本人も外国籍も同じコミュニティの市民であるという一体感につながるのではないか。
(日本語でのコミュニケーションについて)
・所属する大学の修士・博士課程の留学生は、25歳前後で来日し、英語で授業を受けているため、ほぼ日本語が分からない。研究室でも他の日本人とコミュニケーションが取れず、困っている学生もいる。
・日本語でのコミュニケーションの機会がないと日本語が上達しないため、代表を務める留学生会が実施する交流イベントでは、日本の学生や他の国の留学生を含め、日本語でコミュニケーションをするようにしている。
(外国籍の児童・生徒への支援について)
・イギリスでは、DSL(指定保護指導者)制度が導入され、子どもたちが悩みを相談しやすい環境が整い、多くの問題が解決することとなったが、日本では未だ存在していないことから、DSLのような子どもの味方となる子どものSOSコミュニケーション支援システムを開発した。
・京都の中に根付く教育に対する意識や制度等は非常に優れているが、子どもの頃から、外国人をウチとソトで分け隔てる意識ではなく、皆ひとつの市民であるという認識を持ち、自然と相互に接し、探求し合うような交流をすべき。
(情報発信について)
・京都で就職したいと思う留学生はいるものの、就職に関する情報が十分に得られず、ホテルの仕事しかないと思い込み、他の仕事を探して東京や大阪に行く人も多い。介護などの分野の人手不足解消のため、情報発信に力を入れるべき。
・日本人と外国人の間に言語や文化の壁があり、情報の伝達が難しい。SNSを活用して伝えることが効率的だと感じる。行政や地域等の活動について発信したい場合は、各国籍のコミュニティや団体等を経由した方が効果的である。
・海外ルーツを持つ子どもと家族の支援をするグループを運営している。年5回ほどイベントを実施する際に、SNS等で広報しているが、参加して欲しい層に情報が伝わらず参加者が増えないという課題があり、情報伝達の難しさを感している。
・行政だけではなく、自治会や町内会など地域においても、外国籍市民への情報伝達の必要性を感じている。
(今後のまちづくりの課題について)
・ヨーロッパから見る京都の魅力は、歴史、観光のまちというイメージがあるが、住んでみると、大企業や大学、歴史関係の仕事など外から見ても分からない魅力があった。そうした魅力をもっと発信していけば、京都のイメージが変わるのでは。
・京都の治安の良さは財産であるが、交通面では非常に危険が多い。自転車でどこでも行けるような、移動しやすいコンパクトなまちだが、車両など妨げになるものもある。生活の質を重視して移住する人も多いため、快適さだけでなく環境問題に対する配慮なども必要だと思う。
・京都はインターナショナル教育が充実しておらず、東京・大阪に人が流出していた。海外から見ると、インターナショナル教育が充実しているかどうかは重要な点であり、海外の先生も来日するにあたり重視している。
・スタートアップの観点では、日本に長く住み、新しい会社を作ろう、社会問題に取り組もうとする外国籍の人への支援が少ないように感じる。
▶市長の主な発言内容
・人口減少に伴い、相対的に京都の外国人比率は増加していることに加え、海外からの観光客も増えており、留学生や外国人観光客がいる中で、京都市民から見ると、外国人旅行者と外国籍市民との区別が付いていないのではないか。
・地域コミュニティの交流の場の創出は、重要なテーマのひとつ。地域ごとに外国人と市民との交流の場をもっと作れないか。日本語でコミュニケーションが取れることが分かれば、地域の人々ももっと受け入れられると思う。
・京都の強みは地域コミュニティだったが、今、崩壊の危機にある。他都市に比べれば地域のつながりは強いものの、だいぶ弱ってきており、そうした状況を打破するため、学生などの若者をもっと巻き込みたい。
・例えば、区民運動会に、外国籍市民にどうすればもっと参加してもらいやすいか。児童館で能や狂言など京都の伝統芸能を学んでもらう体験ができないか考えており、そこに外国籍の方も入ってもらい、共に経験してもらうこともできるのでは。
・今日話題に挙がった東九条地域は、チームラボを中心に、多文化交流のエリアになっていくことを期待している。
・こうした意見交換の場を、異文化・多文化が交ざるよう、日本人も入れながらもっと増やしていく必要がある。国際交流会館が提供するプログラムをどのように地域に広げていくかという視点も大切である。
・「京都探求エキスポ」にインターナショナルスクールも参加していただくのも良い。探求学習の一つとして、様々な学校から30人程度の生徒に集まっていただき、1泊2日でディスカッションするような機会も考えており、インターナショナルスクールの外国籍の生徒も参加できれば良い。