第14回市民対話会議(保健福祉)
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2024年10月6日
第14回市民対話会議(保健福祉)を開催しました
1 概 要
保健福祉分野において、市民の身近な場で活躍されている(これから活躍される)方にお集まりいただき、市民と行政の協働によってより住みやすい京都のまちづくりを進めていくための方策について、松井孝治京都市長と意見交換を行いました。
日時:令和6年8月19日(月曜日)午後1時~
場所:COCO・てらす4階研修室
参加者:15名
(参加団体等/五十音順)
社会福祉法人イエス団愛隣館、京都看護大学、社会福祉法人京都市社会福祉協議会、
京都市東山区地域介護予防推進センター、京都市老人施設協議会、
京都の医療的ケアを考える会「KICK」、京都府公衆浴場業生活衛生同業組合、京都薬科大学、
食育指導員、社会福祉法人世光福祉会ベテスタの家/イマジン、
公益財団法人ソーシャルサービス協会、中京区生祥学区民生児童委員協議会、
公益社団法人認知症の人と家族の会京都府支部、ねこから目線株式会社、
ボランティアグループGreen thumb


2 会議内容
▶出席者の主な発言内容
(担い手づくり)
・介護予防の取組として、地域で運動サークルを行っているが、サークルの代表の高齢化が進み、代替わりが大きなテーマになっている。60、70歳代の方は仕事をされている方も多く、地域の活動と両立できないのが課題。介護予防推進センターでは、フレイル予防の教室を手伝ってくれるサポーターを育成し、次のリーダー育成を目指していきたいと考えている。
・地域の活動において、いわゆる番組小学校の学区が基本的な活動単位であることは、非常に便利であり、活動しやすい。一方、人口減少により担い手不足の学区が多く、今後、学区単位で地域福祉を進めることは無理が生じると思う。
(地域づくり)
・医療的ケア児に対するケアについて、現状では看護師しか行えないところを、日頃からよく知るヘルパーでもケアが可能とできないか。また、18歳以上の重度障害のある方の居場所が少ないため、新たな居場所として就労継続支援事業所の新しい類型を作れないか。
・高齢者が活躍できる場を作りたい。自身で健康を管理し、やりがいを見出す活動は大切であり、自己有用感を高める活動を市内で行っていきたい。このような活動を促進する政策や事業はないため、今後、クローズアップしてほしい。介護人材が不足し、やりたくてもできないケアが山のようにある。介護保険における報酬加算も実施されているが、ICTの活用で手一杯であり、ケアの充実には届かない。高齢者に介護助手として入ってもらえる仕組みを京都市で作ってほしい。
・向島ニュータウンの市営住宅内で子ども大人食堂を実施する中で、月1回朝ごはんでも実施しているが、開催場所が学校から遠いため参加人数が少ない。子どもたちが朝ごはんを食べる場として、学校を借りて実施したい。
・認知症の方や家族の居場所と出番が必要。認知症カフェは月1、2回の開催が多く、居場所としての活用には少し物足りないため、京都市内のアクセスがいい場所に、常設の認知症カフェを作ってはどうか。
・山科区西野山市営住宅は高齢化率が高く、自治会の担い手不足や孤立化が進む高齢者の支援などの課題があることから、自治会と社会福祉法人が連携し、行政も含めたいろんな事業体の人たちと話し合える場づくりを行っている。今後も、他の場所で活動を行っていきたいが、活動を引っ張っていける人や主体となる人や団体がなかなかいないのが現状。
・地域の交流の場づくりとして、花壇の手入れやハーブづくりを行っている。モットーはおだやかにのんびりとした場を作ることで、一生懸命やりすぎると、こういった活動は続かない。また、コアメンバーが働きすぎると、参加のハードルが高くなる。これまで地域に関わりがなかった人が地域に入りやすい場を作るためにも、土日の活動などは、おだやかに活動を継続していきたい。
・京都の銭湯では、大半(80軒)が井戸水を使用しているため、電気さえ通れば井戸水を生活用水としても使用可能であるほか、薪で風呂を沸かしている場合は、薪さえあればお風呂に入ってもらえ、資材置き場にもなるなど発災時の避難拠点として活用することも可能である。また、コミュニティの場としても活用いただけると考えている。
・向島ニュータウンの市営住宅で障害のある方が居住するグループホームを運営している。老朽化による空き部屋の増加が課題となる中で、自分たちで改修等の工夫をしてグループホームを開設したことで、障害のある方が親が亡くなった後も住み慣れた地域で生活が可能となり、空き部屋の課題も解決したことに加え、運営に伴う働き手の需要により、地域住民や障害のある方の就労にもつながっている。今後は、車いす住宅を活用しながら医療的ケアが必要な方や重症心身の方でも住み慣れたまちで住めるような暮らしの場を作る必要がある。
・障害のある方が通う生活介護事業所で、古紙回収や薪割り、農作業など、積極的に地域に出ていく活動に取り組んでいる。その他、向島・巨椋池の農地で花火大会を年2回開催しており、地域の農家から花火の打ち上げ場所とお米を無償で提供いただき、京都向島花火米の名称で地域住民、企業、事業所などに販売し、活動資金を捻出している。地域の方々、支援学校の生徒、事業所の利用者など、様々な立場の人々と花火を楽しみ、つながりの輪の拡大に取り組んでいる。
(その他)
・どの世代でも健康づくりにつながる食への関心は高いが、食育活動の際に必要な調理設備がないところも多く、栄養指導室や市の関連施設の調理室を借りたい。青少年層にも学校と協力して、食育活動を行いたいが、学校への働きかけは難しく、ぜひ行政から力添えいただきたい。
・災害時やレスパイトにより、緊急時の医療的ケア児の受け入れ先がない。介護と看護の事業者が連携し、京都モデルとして受入先を作れるかアイデアを出し合いたい。
・現在の京都市におけるヤングケアラーの取組に対して、正直心許ないと感じている。京都府と連携し、ヤングケアラーに特化した窓口を、予算措置して作るべき。また、子ども若者はぐくみ局と教育委員会での連携をもっと密にすべき。
・生活困窮者支援を行う中で、知的障害や精神障害、アルコール、薬物の依存症等をお持ちの方は、行政が行っている困窮者支援の情報を知らないことが多く、情報が届いていない。
・薬剤師として、薬局での様子に違和感があった患者さんに対して、受診勧奨や担当医師への情報提供、患者家族への説明などでコミュニケーションをとることにより、より早く福祉サービスへとつなぐことができると考えている。
・人と動物が安心して暮らせる社会を目指し、20年ほど猫に関する活動を行ってきた。猫に関する問題は多岐にわたるが、例えば多頭飼育崩壊は、多数の猫がいることが問題の本質ではなく、そういう状態を作り上げている飼い主の貧困・孤立等、様々な要因にある。課題解決には、動物愛護と福祉の連携が不可欠であるため、動物愛護関係者も福祉関係者も同じ場に集まって、ペットと人の問題について考えて話し合う場を作っており、今後は市内でも開催したい。動物にやさしい社会を作るということは、人が安全・安心に暮らせる社会を作ることである。
・地域の活動の拠点である区役所・支所にWi-Fi環境を整えてほしい。
▶市長の主な発言内容
・色んな方々が学校の場を舞台にして活躍されている。これからも皆さんのお話を聞きながら、所属間の垣根を取り払い、学校を含め、様々な施設を地域で使っていただけるよう、壁をできる限り低くしていきたい。
・一方で、学校などの施設について、地域の方が集まりやすい場として活用するためには、万が一にでも事件が起こらないよう、お互いの信頼による安全管理の仕組みづくりを考えていく必要がある。
・コミュニティの中で、お年寄りしか知らない地域の歴史やいろんな人の知恵や経験を教えてもらうことで、地域にその知恵が共有でき、ちょっとした出番として、多幸感や自己有用感を感じてもらいやすい。このようなウェルビーイングを、まち全体としてどう高めていくかが大切である。
・銭湯は、ワンコインで飲み物を飲みながら喋れるようなスペースがあれば、喫茶店と同じようにコミュニティの場になる。地域の人たちが、お風呂というやや独特な場で、人の心身をほぐす、そこで会話できる場所があれば素晴らしいと思う。
・部屋の中にこもっても生活できてしまうのが現代社会であり、高齢化、孤立化が進んで、人々のつながりが薄くなっている。その中で対話できる場をどのように作っていくかが大切であり、月1回の子ども食堂や認知症カフェなどを、毎週開催したり常設することで、そこで会話をしながら、自分の役割や居場所を見出すことのできる場を作っていただきたい。
・多くの市営住宅が困難な状況にある。どう立て直すかも大事だが、若い学生がもっと活動に参画することで、社会の課題にどう向き合うかという学びになるだけでなく、今後の仕事にもつながる可能性もある。大学のまち京都という特徴を活かし、若い人が地域に入って活動することを応援したい。