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人権総合情報誌「きょう☆COLOR」vol.8(平成30年5月号)(HTML版)

ページ番号227983

2018年4月16日

人権総合情報誌「きょう☆COLOR」Vol.8(平成30年5月号)

輝きピープル お笑い芸人・シンガーソングライターはなわさん

君たちを幸せにするために,パパとママは頑張っているんだよ。

 デビューから20年を経て「イクメン」と呼ばれて。
 スキンシップも会話もたくさん、愛情たっぷり。

 ふるさとの佐賀県や有名人をネタにした歌やモノマネ、漫談でヒットを飛ばしてきたはなわさんは、デビューから20年余り。最近では、家族そろってテレビ出演の機会も増え、イクメンキャラクターが浸透してきています。独自の芸歴や家族のこと、子育てについて幅広く語ってもらいました。

芸人になりたくて
 僕は、1976年に埼玉県で生まれました。よくネタにしている佐賀県に引っ越したのは小学6年生の頃で、父親の転勤がきっかけです。商社マンだった父は、生真面目で無口、素朴で控えめな性格でした。3人兄弟の真ん中の僕と弟(漫才コンビ「ナイツ」の塙宣之(はなわのぶゆき)さん)がお笑いをやっているので、父を知る人からは「こんな父親からよく2人も芸人が生まれたね。」と言われます。父からは力持ちで相撲や柔道が得意なところを受け継ぎましたが、「ステージに立ちたい」「脚光を浴びたい」と思うようになったのは、学生時代に演劇をやっていた母の血を引いたからかもしれません。
 中学時代から将来は芸人になりたい、テレビの仕事がしたいと思っていました。誰かに憧れたからではなく、自分のキャラクターで芸能界にデビューするんだという気持ちが強かった。名字を平仮名にした「はなわ」を芸名にしようとその頃から決めていました。
 今の芸風は、その頃に原型があるように思います。仲の良い友達の歌や家族の歌を作詞作曲して歌っていましたね。また、当時流行っていたファミコンが欲しくて、『ファミコン買って』という歌を作り、まんまと父親にファミコンを買わせたこともありました。
 高校時代には、何のために高校へ行くのか真剣に悩みましたが、バンド活動やアルバイトにも打ち込んで、色々と経験を積みました。そんな中で、芸能界に自分の人生を賭けてみたいという思いが段々と強くなり、頭の中はもう「早く東京に出て芸人になりたい」という気持ちで一杯でした。

18歳でデビュー
 ただ両親には、この気持ちはひた隠しにしていました。恥ずかしいという思いと思春期特有の反抗心があったからかもしれません。そんな頃、大事件が起きました。なんと弟の宣之が、今とは別の相方と組んでテレビのお笑いオーディション番組で優勝し、吉本興業株式会社のスカウトが家にやって来たのです。びっくりするやら、羨ましいやらで、心中穏やかではありませんでした。弟がお笑いをやりたいなんて全然聞いていませんでしたからね。
 結局このとき、弟は吉本興業株式会社には行かず、僕は親には「照明の仕事に就きたいから。」と嘘をついて東京のお笑いタレント養成所に入学。養成所の講師を務めていた漫才コンビB&Bの島田洋七(しまだようしち)師匠の前で一人コントをやって「おまえ、面白いな。」と褒めてもらい、彼に誘われてライブに出たのが舞台デビュー。18歳のときでした。それからしばらく鳴かず飛ばずの時期があって、佐賀県をネタにしたベース弾き語り漫談がブレイクするのが26歳のとき。この期間は正直長いと感じましたね。

子育てに夢中に
 妻の智子(ともこ)には、僕の方が高校時代に片思いをしていて、先輩から写真を売ってもらって大事にしていました。それが、19歳の時に友人の結婚式で偶然再会して、スマホとかはまだなかったので文通して、遠距離恋愛が実って2000年に結婚。24歳のときに長男が誕生しました。
 長男を筆頭に3人の男の子に恵まれましたが、子どもができてすっかり変わりましたね。それまでは自分のための人生だと思っていましたが、父親になってからは常に子どもに親として見られていることを意識し、いつも子どものためを思いながら行動しています。
 3人とも柔道をやっていることはテレビ番組でも紹介してもらいましたが、僕も試合に応援に出向いたり、柔道部の合宿の炊き出しのお手伝いに行ったりもしています。子どもがケガをしたときは病院で車椅子を押しながら付き添っていました。
 そんな様子が知られて「イクメン」と呼ばれるようになったことで、子育ての極意というものをよく聞かれます。極意といえるのかどうか、とにかく僕は面倒くさいと思われるぐらい愛情を注ぐタイプで、できるだけスキンシップを取るようにしていますね。長男が高校生の頃は寝ているベッドに入っていって抱きついていたので、本人には嫌がられましたが、かわいいのでついやってしまう。次男にはギターをプレゼントしたのですが、初めて弾いたにもかかわらずコードをちゃんと押さえていたので、僕の初めてのときより断然上手いと感心しましたね。三男はベースが欲しいらしいので、いっそのこと長男にはドラムをやらせて、はなわ家でバンドを組んで営業回りしようかと妄想しています。
 
明るい家庭が一番
 家族円満の秘訣というのは、やはり明るい家庭の雰囲気を保つように心掛けることでしょうか。僕はたとえ仕事で嫌なことがあっても、家では絶対に出さないようにしています。帰宅した時はスイッチを切り替えて、元気よく「ただいま!」と言いますね。
 それに、夫婦げんかが一番良くないと思います。これは、ぜひ夫の皆さんに申し上げたいのですが、妻の意見が自分と多少違っていても寛容に受け入れて、プラス思考で接するようにしてはいかがでしょうか。私なんか、雲行きが怪しくなったらすぐに謝っちゃいますよ。きっと妻も少しは「悪いな」と思ってくれていると信じていますから。
 その影響を受けてか、うちは兄弟げんかもありません。弟たちはお兄ちゃんが大好き。親がけんかばかりしていると、子どもたちもけんかが多くなるような気がします。
 今はおかげさまで仕事が忙しく、東京のほか全国を飛び回り、佐賀での生活は1箇月に10日ほどです。しかし帰れば、一番下の三男がまだ小学1年生なので、柔道を教えたり一緒に洗い物をしたりしています。「おとうさんだいすき」と書いてある手作りの湯のみをプレゼントされたときは感激しましたよ。宝物がまた一つ増えたと、東京の部屋に飾りました。
 僕たち夫婦2人は子育てを通じて、「君たちを幸せにするためにパパとママは頑張っているんだよ。」というメッセージを伝えています。その3人の子どもたちが妻を大切にし、尊敬してくれているのが何よりもうれしいですね。
 
唯一無二を目指して
 僕は、お笑い芸人やものまねタレント、シンガーソングライターと様々な肩書で呼ばれますが、それは自分にしかできない「唯一無二」の道を目指してきたからだと自負しています。今後の目標は、リアルにいい曲を作ってヒットさせ、紅白歌合戦にもう一度、今度は歌手として出場することですね。これからも仕事と子育てを頑張ります!

Profile
はなわ さん
昭和51(1976)年7月20日生まれ。本名は塙 尚輝(はなわ なおき)。デビュー曲「佐賀県」(2003年)はオリコン5位(推定売上25万枚)、1stアルバム「HANAWA ROCK」はオリコン9位(同15万枚)を記録し、同年の紅白歌合戦にも出演。数々のテレビ出演を重ねる中、2018年1月放送のNTV「有吉ゼミ」では息子愛について放送され話題となる。現在は男装ユニット・風男塾(ふだんじゅく)をプロデュースする等、多彩な音楽活動を展開中。

プレゼント
サイン入り色紙を差し上げます!
はなわさんのサイン入り色紙を3名様にプレゼントします。どしどし御応募ください!
応募方法
ハガキに郵便番号・住所・氏名・年齢・電話番号・
「きょう☆COLOR」への御感想・御意見を
必ずお書きのうえ、以下の宛先へお送りください。
締切り 7月31日(当日消印有効)
宛先 〒604-8571(住所不要)京都市人権文化推進課
「きょう☆COLOR」Vol.8プレゼント係
★抽選結果の発表は発送をもって代えさせていただきます。

京都市人権レポート

京都市人権文化推進計画に基づく事業報告書

 京都市では、人権文化推進計画に基づき様々な取組を進めています。平成29年度の取組の一部を御紹介します。

「女性の活躍推進に関する取組」
 我が国における女性の就業率は、近年、着実に上昇していますが、就業を希望しつつも、出産や育児を理由に離職する女性はいまだ多く、離職後の再就職では非正規雇用となるケースが多いなど、働く場面において、女性の力が十分に発揮できているとは言えない状況があります。
 京都市では、女性も男性も全ての個人が互いにその人権を尊重し、共に支え合う男女共同参画社会の実現のため、自らの意志によって働き、又は働こうとする女性がその個性と能力を十分に発揮できるよう、経済団体等や京都府等の行政と連携し、女性の活躍推進に関する取組を進めています。

京都ウィメンズベース
 経済団体等と行政が連携して発足した、オール京都での女性活躍推進組織である「輝く女性応援京都会議」(構成団体 21団体)の下、京都における女性活躍支援拠点「京都ウィメンズベース」を設置しています。
【主な取組】
●企業やそこで働く社員が集い、女性活躍推進に係る研修・交流・政策立案・実践を行う「京都ウィメンズベースアカデミー」の運営
●「女性活躍推進法」に基づく企業の事業主行動計画の策定支援
●企業における働き方改革やワーク・ライフ・バランスの実現支援
●女性起業家の顕彰、事業ブラッシュアップ及びネットワーク構築支援 等

京都ウィメンズベースホームページ(平成29年4月開設)
 女性活躍推進に関するイベント情報等を掲載しています。
 URL:http://kyoto-womens.org/外部サイトへリンクします

京で輝く!女性活躍推進プロジェクト
 京都市では、企業の経営層や人事担当者等の関心と理解を深めるとともに、働く女性等の意識啓発を図るため、「京で輝く!女性活躍推進プロジェクト」として、シンポジウムやセミナー等を実施しています。

文化市民局 男女共同参画推進課 (TEL 075-222-3091)


子ども若者はぐくみ局 子ども家庭支援課 (TEL 075-746-7625)

「子どもが安心して過ごせるための居場所づくり」
 子ども食堂や学習支援といった子どもの居場所づくりは、子どもが親以外の大人や地域と関わることで、社会的孤立に陥ることを防止する重要な取組であることから、平成29年3月に策定した「京都市貧困家庭の子ども・青少年対策に関する実施計画」において、地域や大人など社会とつながるための「子どもが安心して過ごせるための居場所づくり」の推進を盛り込み、支援を充実することとしています。
 平成29年度には、子どもの居場所づくりに新たに取り組まれる団体等に対して初期費用の一部を補助する「京都市子どもの居場所づくり支援事業補助金」の創設や、取組の立ち上げや運営についてのアドバイザーを派遣し相談支援や助言を行う「京都市子どもの居場所づくりアドバイザー事業」の創設等により、きめ細かなサポートに取り組んできました。
 今後とも、こうした取組が多くの地域で継続的に行われていくよう、引き続き支援を進めていきます。

我ら,企業市民

株式会社 オックス・クリエーション

美容業界でワーク・ライフ・バランスを実践
経営理念の「関係者の幸福実現」を形に

 京都市内を中心に美容院を出店するオックス・クリエーション(本社・京都市伏見区、野村智彦社長)は、経営理念に掲げる「関係者の幸福実現」を実践する業界きってのワーク・ライフ・バランスの良い会社として知られています。けん引役の同社取締役営業部長、入江文一郎さんに育児・介護休業法を超える制度づくりに取り組んだ理由や経過、その成果、今後の目標などについて、お話をお聴きました。


子育てしながら、美容師を続けて欲しい
2011年ワーク・ライフ・バランス実践スタート

 オックス・クリエーションは平成3(1991)年12月に「美を愛する心を育み、平和を愛する心を尊び、お客様と全関係者の幸福実現を目指す」という経営理念を掲げて創業、丁寧で正確な技術とこだわりのヘアケア、大人の女性に愛される上質な店舗空間がセールスポイントのヘアサロンとして京都市内に3店舗、宇治市内に2店舗を展開しています。
 同社がより働きやすい会社を目指したのは、ワーク・ライフ・バランスに対する社会的関心が高まってきた7年前の平成23(2011)年のことでした。ちょうど子育て世代の美容師が増えてきて、子育てしながら美容師を続けたいという社内ニーズが広がったことや、お客様とのより良い関係を維持するうえで長く働き続けることのできる職場づくりが重要だという社内認識が深まったのがきっかけでした。
 美容業界は「朝が早く、帰りが遅い」「みんなが休みの時に忙しいうえに、休みが少ない」と思われがちで、結婚・出産を機に優れた美容技術や接客術を持った美容師が仕事を辞めてしまうケースが後を絶たないのが大きな経営課題になっています。同社の改革は、そうした業界の体質に風穴を開ける試みでした。

時短勤務をより使い勝手のいい制度に
時短勤務週に一度5時間

 これまでの出産後1年間の育児休業(法定)に加え、短時間勤務制度を小学校就学時まで(法定3歳未満)延長しました。と同時に、勤務時間を週に一度は5時間(法定5時間45分~6時間)に短縮しました。
 同制度の利用者は、同社の全従業員35人中4人。両親が近くにいるかいないかなど各人で事情は異なりますが、育児休業若しくは育児休暇中に保育所を見つけて、育児のための時短勤務に切り替えるのが共通のパターンです。
 制度導入後、従業員の意識は大きく変わりました。「子育て世代の女性美容師は出産しても職場復帰するのが当然という気持ちですし、もっと若い美容師の間で自分が将来結婚して子どもができてもこういう形で働けるというモデルが身近にあるので、安心して働き続けられます。」と入江さん。お客様も自分の担当美容師が出産後も辞めずに職場復帰することを大歓迎しているようです。

社内結束を高め、人材育成面の効果も

週2回店舗にキッズルーム

 子育て支援の取組が、思わぬ波及効果となって現れました。京都市伏見区の桃山店(清水由佳マネージャー)では木・金の週2回、保育士の資格を持ったベビーシッターを呼んでキッズルームを開設。子育て世代のお客様にも好評で、毎回4人程度の利用があります。
 また、同社は社会貢献にも力を入れています。2箇月に一度、各店舗の美容師計10人が京都市内の児童養護施設を訪問、幼児から高校生までの子どもたち約40人の髪の毛をきれいに整えます。また、中高生の職業体験も積極的に受け入れ、桃山店では桃山中学校や伏見中学校の中学生2、3人が毎年4日程度の美容師修業を体験します。これも経営理念実践の一環です。
 入江さんは「子育て支援は、お互いに助け合うという社内の結束力を高め、人材育成や人材確保の面でも効果を発揮している。仕事もプライベートも大事にしたいという気持ちは子育て世代だけでなく、社内全体に広がっているので、職場全体でワーク・ライフ・バランスを浸透させて、今は仕事の効率化で週40時間の勤務時間実現を目指しています。」と話しています。

取締役営業部長  入江文一郎 (いりえぶんいちろう)さん


従業員の声
石川 祐子(いしかわゆうこ) さん
桃山店・スタイリスト

仕事と育児の両立がすっかり職場に浸透
 私は平成12(2000)年入社で、小倉店勤務時代の平成23(2011)年の第1子出産時に初めて新しい時短勤務制度を利用しました。1年間の育児休業と育児休暇を取得して、平成25(2013)年の職場復職後は、午前9時から午後3時までの時短勤務をさせてもらいました。夫の両親が近くにいるのですが、2人とも仕事があるので、お店全体で支えようという雰囲気はとても有り難かったです。平成27(2015)年に第2子を産んだときには1年余りで職場復帰したのですが、今も時短勤務をしています。以前は結婚・出産を理由に辞めてしまう先輩もいましたが、今は私たちの世代も含めて仕事と育児の両立の意識が浸透しているのがとてもうれしいです。


従業員の声
岸波 眞由(きしなみまゆ) さん
宇治東店・スタイリスト

会社の手厚いサポートを受けて、充実した日々
 私は福島県出身で、京都に憧れて平成25(2013)年に入社しました。2015年に男の子を出産し、保育所に預けることができたので、平成29(2017)年4月に職場復帰しました。最初は6時間、今は7時間の時短勤務で、保育園への送り迎えや食事の準備でとても忙しいですが、充実した毎日です。成人式の折などの保育時間外に仕事があるときは、保育士の資格を持っておられる野村社長の奥様に子どもの面倒を見てもらっていますし、会社のスタッフの皆さんにも手厚くサポートしていただいています。今は子どもを立派に育てて、早く後輩を引っ張っていけるような存在になりたいと思っています。

見て・知って人権 京の学生が行く

 このコーナーでは、京都で学ばれている学生の皆さんなどに、取材や誌面作りに参加いただき、毎号、京都市の人権関連施設を1箇所ずつ紹介していきます。

第8回 京都市教育相談総合センター (こどもパトナ)


京都経済短期大学2回生 竹内 一(たけうちはじめ) さん
京都産業大学3回生 武田 小雪(たけだこゆき)さん
立命館大学3回生 松岡 彩奈(まつおかあやな)さん

お話を伺った方
こどもパトナ カウンセリングセンター長
椙村 文彦(すぎむらふみひこ) さん


こどもパトナはどのような施設ですか。
 こどもパトナは、平成15年4月にオープンした総合的な相談機関です。
 京都市では先進的に学校教育にカウンセリングの考え方を取り入れたり、生徒指導を重視してきたところですが、教育相談を担うカウンセリングセンターと京都市教育委員会事務局生徒指導課を集約し、不登校の子どもたちの活動の場である教育支援センター「ふれあいの杜」も一体化して、総合的な支援・相談機能を実現した全国初の施設です。
 カウンセリングセンターでは、子どもたちの様々な課題や保護者の悩みに対して約50人のカウンセラーが教育相談に応じています。また、子どもの健全育成、いじめなどの問題行動への対応等、学校への指導助言や支援を行うのが生徒指導課です。ふれあいの杜は「学校と長い廊下でつながった別室」という位置付けで、学校への登校や社会への適応を支援しています。

発足後の取組や成果はいかがですか。
 カウンセリングセンターでは毎年度、子どもと保護者合わせて延べ1万8千人程度の利用があります。教員経験者や臨床心理士などの教育や児童心理の専門家による来所相談のほか、電話で悩みに応じた窓口を知らせるこども相談総合案内、日曜不登校相談、学校教職員への研修会なども実施しています。
 また、生徒指導課では「見逃しのない観察」、「手遅れのない対応」、「心の通った指導」をモットーに関係機関とも連携し、規範意識の向上や健全育成事業など様々な取組を展開しています。
 ふれあいの杜は、パトナ学習室開設以降、市内4箇所に新たに設置拡大し、年間100名程度が入級して学習活動や体験活動を行っています。
 さらには、不登校を経験した子どもたちが通う洛風中学校が平成16年に敷地内に開校、同19年には洛友中学校が下京区に開校しました。

読者の皆さんにメッセージをお願いします。
 こどもパトナは「子どもと保護者のよきパートナーでありたい」という願いを込めて、市民公募で名付けられた愛称です。子どもたちを取り巻く課題は社会情勢や世相に合わせて変化しますが、いつも子どもたちと保護者に寄り添い、一緒に問題を解決していくというスタンスであり続けることが、こどもパトナに課せられた一番の使命だと考えています。地下鉄烏丸線と東西線が交差する烏丸御池のすぐそばにある施設のため交通の便も良く、付属施設として一般の方々が利用できる京都万華鏡ミュージアムもありますので、安心して気軽に訪ねてみてください。

明るく開放的な施設・設備
 ガラス張りのモダンな外観は、採光効果も抜群。「初音(はつね)の庭」という小さな庭園に続く1階エントランスホールは明るい雰囲気で、建物東側には中心市街地には珍しい天然芝のグラウンドが広がります。
 緑いっぱいの芝生のグラウンドにいると、京都の街中にいることを忘れてしまいそうですね。

カウンセリングセンター
 2・3階に相談室が16室、遊具を備えたプレイルームが8室あります。待合室やロビーは明るく静かで、来所者同士の視線が合わないよう配慮が行き届いた空間づくりを心掛けています。
 落ち着いた雰囲気で、来館者のプライバシーにも細やかな配慮がなされている点に感心しました。

ふれあいの杜
 4階には、子どもたちが学習する学びの部屋が大小4室あるほか、調理実習を行うクッキングルームや音楽に親しむサウンドルーム、緑豊かな眺望空間が広がる青空テラスもあります。
 施設の中に陶芸用の窯があるのを見付けてびっくり。陶芸教室で作った立派な作品も並んでいました。

施設情報
■所在地
〒604-8184
京都市中京区姉小路通東洞院東入曇華院前町706-3
075-254-7900(代表)
■ホームページ
http://www.edu.city.kyoto.jp/patona/
■開館時間
平日:午前9時~午後9時 土日:午前9時~午後5時
■休館日
第2、第4水曜日、祝日、年末年始
※ただし利用される内容により、対象者や利用時間等が異なります。来所前に御確認ください。
■交通案内
地下鉄「烏丸御池」駅から徒歩3分
市バス15・51・65系統、京都バス61・62・63・65系統「烏丸御池」下車して徒歩3分
駐車場有(有料)
※できるだけ公共交通機関を御利用ください。

特集 LGBT等の性的少数者について

 最近、テレビや新聞で「LGBT」、「性的少数者(セクシュアルマイノリティ)」という言葉がしばしば取り上げられていますが、その意味を正しく知っていますか?
 実は、LGBT等の性的少数者の方は、「いない」ように見えるだけで、あなたの身近にも「いる」かもしれません。
 正しい知識がないことや、間違った考えに基づく言動で人を傷つけないように、まずは知ることから始めてみましょう。

1身体の性…「からだ」の性別。一般的には性器の形で判別されますが、精巣・卵巣の有無や染色体の検査で判断することもあります。
2性自認…「こころ」の性別。自分が認識している性別のことで、性別を聞かれた時に真っ先に出てくる自分の答えに該当します。
3性表現…「らしさ」の性別。服装や言葉づかい、振る舞い方など、周囲の人からみた性別の特徴を指します。
4性的指向…「すき」の性別。恋愛感情や情緒的・性的な関心が自分の性別からみてどの性別に向かっているかを示します。
参考『平成28年度新たな人権課題に対応した指導資料』(埼玉県教育委員会作成)

Lesbian(レズビアン)
同性を好きになる女性
Gay(ゲイ)
同性を好きになる男性
Bisexual(バイセクシュアル)
同性も異性も好きになる人
Transgender(トランスジェンダー)
性自認が身体の性と違う人

ひとの性のあり方は多様です
 「あなたの性別は何ですか?」と聞かれたら、どう答えますか。その答えは何を基準にしていますか?周りに戸惑われたことはあるでしょうか。男/女らしくない、と言われたことは?好きな人のことを友人や家族に気軽に話せますか?
 ひとの性のあり方にはいろいろな特徴があります。性のあり方は、おもに次の4つのどれか、またはいくつかの組み合わせで特徴づけられています。
 この4つについて、性自認(2)が身体の性(1)と同じ人のことをシスジェンダー、性自認(2)と違う性別に性的指向(4)が向かう人のことをヘテロセクシュアルといいます。多様な性のあり方のうち、マジョリティ(多数派)といわれるのが、このシスジェンダーのヘテロセクシュアルの人たち(たとえば、身体と心の性が女性で、男性を好きな人)です。
 マジョリティではない性のあり方として、性自認(2)と同じ性別に性的指向(4)が向かう人を、女性はレズビアン(Lesbian)、男性はゲイ(Gay)といい、両方の性別に性的指向(4)が向かう人をバイセクシュアル(Bisexual)といいます。また、性自認(2)が身体の性(1)と違う人のことをトランスジェンダー(Transgender)といいます。性的指向がマイノリティ(少数派)のLGB、性自認がマイノリティのTをあわせた「LGBT」という言葉が、マジョリティではない性のあり方を示す単語として使われています。もちろん、4つの組み合わせはもっとありますので、マイノリティはL・G・B・Tだけではありません。

ひとつのあり方が正しい?
 性のあり方を考える4つの要素は、マイノリティだけでなく、すべての人がもっている特徴です。ところが、わたしたちの暮らしている社会は、マジョリティの性のあり方を前提に作り上げられてきました。多様性が尊重される社会の実現が課題となる中で、マジョリティだけでなく、マイノリティも安心・安全に暮らせるようにすることが求められています。

よくある意見から考えてみよう
 このように問いかけると、「私のまわりにはLGBTの人はいないから、何に困っているかわからない」という意見が多く寄せられます。実はこのように、「いない」とされてしまうことこそが、「困っている」ことそのものなのです。
 たとえば、海外の調査や日本で出されている統計をみると、およそ2〜5%の人が「LGBT」の人々だといわれます。確率的に考えて、当事者と出会わずに生きることは不可能なはずです。それなのに、なぜ「いない」と言えてしまうのでしょうか。
 「LGBT」の人々が、自分の性のあり方について周囲に明らかにすることをカミングアウトといいます。見た目から判断できないことが多いため、何も言わなければ、その人の性のあり方はマジョリティだと勝手にみなされてしまいます。

・あの人なんかオカマっぽくない?気持ち悪いよねー。
・そんなに可愛いのになんで彼氏つくらないの?もしかしてレズとか?
・早く結婚して子どもつくって親を安心させてあげなよ。

 このような発言をしたり聞いたり、また聞いた時に一緒に笑ったり同調したりした経験はありませんか?こういう中で当事者がカミングアウトしづらいことや、隠して生きていこうとする気持ちは想像に難くないと思います。まわりに「いない」のではなく、「いない」ことにしておく状況は社会の側が作っているのです。
 もちろん、当事者は必ずカミングアウトしなければならないわけではありませんし、カミングアウトを強要してもいけません。言うか言わないかは個人の自由です。また、誰かにカミングアウトされても、本人の同意なく他者にそれを勝手に言いふらすことは、アウティングといって、プライバシーの侵害になります。とくにSNSなどでの不用意なアウティングは、自分がコントロールできる範囲を超えて広がります。カミングアウトの内容や範囲、対象などは、本人のみが選択するものです。
 大切なのは、「どこにでも「LGBT」の当事者がいる」、という当たり前のことに十分な認識をもつことです。「いない」ことを前提にした言動こそ、「困っている」ことの根源にあります。そういった言動は、当事者本人を傷つけるだけでなく、友人や家族に当事者をもつ人々をも深く傷つけることになります。
 ひとの性のあり方は多様です。ひとつのあり方だけを前提にして考えず、いろいろな生き方を尊重しあいながら、すべての人が安心・安全に暮らせる社会を作っていきましょう。

文・谷口洋幸(たにぐちひろゆき)さん
(公益財団法人世界人権問題研究センター研究員・金沢大学国際基幹教育院准教授)

《お知らせ》

講座開催の御案内
参加費無料
京都市主催 平成30年度  企業向け人権啓発講座
※ 対象は、京都市内に事業所を持つ企業等の経営者層、総務・人事責任者、人権研修推進者等です。


第1回 講演 多様な性を知っていますか? ~誰もが働きやすい職場を目指して~
●日時
平成30年6月15日午後2時~午後4時
●場所
京都市男女共同参画センター ウィングス京都 セミナー室
(中京区東洞院通六角下る御射山町262)
●定員
70名(先着順)
●申込期間
平成30年4月16日~平成30年6月8日
●講演
橋本 竜二 氏(NPO法人虹色ダイバーシティ 大阪スタッフ)


第2回 講演及びロールプレイ ハラスメントによるメンタルヘルス不調を防ぐ ~安心して働き続けられる職場をつくるために~
●日時
平成30年7月3日午後2時~午後4時
●場所
京都市男女共同参画センター ウィングス京都 イベントホール
(中京区東洞院通六角下る御射山町262)
●定員
100名(先着順)
●申込期間
平成30年4月16日~平成30年6月26日
●講演
三木 啓子 氏(アトリエエム株式会社 代表取締役)

第3回 講演及びグループディスカッション 介護とワーク・ライフ・バランス ~企業が理解すべきこと~
●日時
平成30年7月23日午後2時~午後4時
●場所
京都市男女共同参画センター ウィングス京都 セミナー室
(中京区東洞院通六角下る御射山町262)
●定員
70名(先着順)
●申込期間
平成30年4月16日~平成30年7月17日
●講演
斎藤 真緒 氏(立命館大学産業社会学部 教授)

第4回 事例紹介及びグループワーク 実践!働き方改革!! ~他社事例に学ぶ多様な取組のヒント~
●日時
平成30年8月8日午後2時30分~午後5時
●場所
メルパルク京都 研修室4・5
(下京区東洞院通七条下る東塩小路町676番地13)
●事例紹介
市内企業による、働き方改革実践事例の紹介
●グループワーク
●ミニ労働法セミナー(京都労働局担当官)
●定員
70名(先着順)
●申込期間
平成30年4月16日~平成30年8月1日

第5回 講演 同和問題を改めて考える ~部落差別解消推進法が施行されて~
●日時
平成30年9月7日午後2時~午後4時
●場所
京都市男女共同参画センター ウィングス京都 セミナー室
(中京区東洞院通六角下る御射山町262) 
●定員
70名(先着順)
●申込期間
平成30年4月16日~平成30年8月31日
●講演
吉田 栄治郎 氏(天理大学非常勤講師、(公財)世界人権問題研究センター登録研究員)

申込方法
ホームページ「京都市:トップページ(https://www.city.kyoto.lg.jp/)」から
画面上部「暮らしの情報」→画面右下部「人権」→「企業啓発」→ 「企業向け人権啓発講座」
を御覧ください。
申込書(開催案内の一部)に必要事項を記入のうえ、
FAX(075-366-0139)でお送りいただくか、
電子メール([email protected])に必要事項を記載して送信してください。
また、手話通訳・要約筆記(事前申込みが必要です。)など、詳細については、各講座の開催案内を御覧ください。

『2018年は世界人権宣言が採択されてから70年』
 今年は、「世界人権宣言」が国連で採択されてから70年を迎えます。
 「世界人権宣言」を通して、人権について改めて考えてみましょう。
 詳しくはこちら。京都市 世界人権宣言70周年 検索
URL https://www.city.kyoto.lg.jp/menu1/category/19-3-1-0-0-0-0-0-0-0.html

編集後記
 熱戦が繰り広げられた平昌(ピョンチャン)オリンピック・パラリンピック。日本のメダル獲得数も冬季オリンピックでは最多となるなど、大いに盛り上がりました。開会式で話題になった人面鳥は韓国で平和の象徴とされているとのことで、平和の祭典、オリンピックにふさわしい演出でした。オリンピック憲章に基づく根本原則には、平和な社会の推進とともに、人権尊重がうたわれています。2020年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピック。選手たちに熱い声援を送るとともに、平和や多文化共生、今号でも特集したLGBT等の性的少数者の方への理解を深め、多様性を尊重する人権感覚を磨いていきたいですね。

人権総合情報誌 きょう☆COLOR vol.8 (発行平成30年4月)
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京都市印刷物第303014号

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