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人権総合情報誌「きょう☆COLOR」Vol.5(平成28年12月号)(HTML版)

ページ番号209550

2016年11月15日

人権総合情報誌「きょう☆COLOR」Vol.5(平成28年12月号)

輝きピープル 野球解説者・タレント・元プロ野球選手 金村義明さん

在日の壁を乗り越え,たくましく生き抜く。

在日の壁を乗り越え、たくましく生き抜く。

高校野球で甲子園に行き、プロ野球選手になる――。 報徳学園時代の夏の甲子園大会で4番・エースとして全国優勝に貢献、ドラフト1位で入団した近鉄バッファローズなどで活躍した金村義明さんは、そんな小学生時代の夢を見事に実現しました。その原動力が「負けたらあかん。」という在日2世の母の教えでした。金村さんにたくましく生き抜く「在日魂」についてお聞きしました。

「ヨッちゃんは朝鮮人なんや」

 「ヨッちゃんはな、日本人やない。朝鮮人なんや。」。母は内職の手を止めて、幼い私に言い聞かせるように話しました。「だから、負けたらあかんで。絶対にあかん。」。小さかったので、母の言うことが初めは何のことか分かりませんでした。それがやがて宝塚朝鮮初級学校附属幼稚園という幼稚園に通い始めて、だんだんと自分が日本人ではない、周囲とは違うということが分かってきました。

 私は、在日2世の両親の下で、男2人、女2人の4人兄弟姉妹の3番目として生まれました。トラック運転手で家庭では存在感の薄かった父に比べて、民族意識が高くて強烈な個性とバイタリティーの持ち主だった母。典型的な「お母ちゃん子」だった幼い私にとって、そんな母の教えが全てでした。

 私は民族系の幼稚園から日本の小学校に進学しました。1年生のとき、「僕、何で朝鮮人やの。」「僕、日本人に生んでほしかったわ。」などと言って母を困らせたこともありましたが、やがて母の教えが心の中にまで染み込んで「僕は朝鮮人や。」と自分から周囲に自己アピールするほどになっていました。

 自分で言うのも何ですが、私は学校の成績は抜群に良かったです。どの学科もクラスでトップ、体育も得意で親分肌でしたから、いつもクラスのリーダー的存在でした。小学校では1年から6年まで、ずっと学級委員を務めました。そんな気持ちの勢い、心の余裕が「僕は朝鮮人や。」と言わせたのかもしれません。それがあだになって、上級生から「おまえ生意気やぞ、懲らしめたる。」と、どつかれたこともありますが。

青春時代がなかった母の人生

 母は小学生の頃、父親と死別しています。その後、自分の母親と姉、妹、2人の弟と一緒に日本にやって来ました。母は弟たちの面倒を見るため、心ならずも学校を中退しなければなりませんでした。同世代の若者たちが青春時代を謳歌(おうか)しているときにもゴルフ場のキャディーとしてひたすら働き続けたのでした。

 18歳で父と結婚しましたが、それも本人の意志ではありませんでした。双方の親の意向だけで強引に見合いをさせられ、次に会ったときが結婚式の当日という慌ただしさ。身内だけの簡素な結婚式、新婚旅行をする余裕もありません。父の長兄の下に居候(いそうろう)して新婚生活が始まりましたが、その後、宝塚に住む自分の母の家に身を寄せ、日本人社会とは一線を画した状態でゼロから2人で生活をスタートさせました。

 私が生まれる前年に、母は21坪の土地を購入し、そこに木造2階建ての家を建てました。夜を日に継ぐ内職で家計を支え、父の稼ぎをこつこつとためてやっと手に入れた「自分の城」でしたから、喜びはひとしおだったことでしょう。「朝鮮人には売らない。」と差別的な扱いを受けて、土地を手に入れることさえ大変だったそうですから。

 母は、この家の1階の6畳間で内職をしながら、私に「在日の心得」を説くのが日課でした。「野球でも勉強でも日本人と同じことやってたら、絶対に目立たへん。一番でなくては駄目なんや。」。母の教えは実にストレートで、分かりやすかった。私が今日までへこたれずにやってこれたのは本当に母のおかげなのです。

小学校時代の恩師との出会い

 小学校時代には、幸せな出会いもありました。3年生のときに担任になった植本絹江先生です。植本先生はやんちゃだがクラスのリーダー的存在だった私に何かと目を掛けてくれて、学校で子どもの小競り合いがあったときに、私が暴力を振るったという保護者からの名指しの非難に対して「金村君は絶対に弱い者いじめをする子ではない。」と冷静に対処してくれました。

 家庭訪問をきっかけに母も植本先生を心から信頼するようになりました。在日2世である母は、私たち在日3世とは比較にならないほど「差別」について敏感です。それが初対面から「先生は私らが朝鮮人やというて、差別されませんね。」と在日であるという話題を自分から持ち出したのです。植本先生もその母の率直さが気に入って、たちまち意気投合したのでした。

 その頃、野球に熱中し始めていた私は作文に「将来は報徳学園に行って甲子園に出場し、プロ野球の選手になる。たくさんお金を稼いで、阪急電車の線路より高い所にお母ちゃんに家を建ててやりたい。」と書きました。小学生の夢のような話ですが、思えばそのとき、私はその夢に向かって歩み出したのかもしれません。植本先生はその後プロ入りした私のことを自分の教え子たちに話してくれたそうです。植本先生とは家族ぐるみの親しいお付合いが今も続いています。本当に有り難いことです。

 

お世話になった方々に感謝しながら、野球人として自分が体験してきたことをさまざまな形で伝えていきたい。

 

甲子園で全国制覇、プロ野球選手に

 報徳学園では1年時から頭角を現し上級生に交じってベンチ入り、3年では投打の要であるエースで4番として、1981年には春夏連続で甲子園大会に出場しました。春の選抜は1回戦で大府高(愛知県)に初戦敗退しましたが、夏の甲子園大会では決勝戦で対戦相手の京都商(京都府)打線を3安打完封に抑え、2対0で悲願の深紅の優勝旗を手にすることができました。

 この決勝戦には別の意味でも思い入れがあります。報徳対京都商の組合せは、別名「在日対決」と呼ばれ、在日韓国・朝鮮人の間で大変な評判になっていました。報徳学園は私と高原、岡部の3人、京都商はレギュラー4人が在日だったのです。京都商には韓、鄭と本名で出場している選手もいて「韓国・朝鮮人であることに誇りを持っている。すごいやつらやな。」と思いました。また、自分自身も在日と日本の両方の人に応援してもらって、ダブルのパワーをもらっていると考えられるようになりました。

 その年のドラフト会議で1位指名で近鉄バッファローズに入団。夢にまで見た憧れのプロ野球選手になることができて、今から思えば有頂天でした。ところが、いきなりプロの壁にぶつかって、3年目までは1軍と2軍を行き来しました。佐々木恭介コーチの特訓のおかげで4年目には1軍に定着、5年目からは1軍レギュラーの座を獲得し、持ち前の勝負強いバッティングで3塁手として活躍することができました。

 プロ野球選手として、近鉄のほか中日、西武でプレーし、18年間に3度のリーグ優勝を経験。通算1262試合に出場して打率2割5分8厘、127本塁打、487打点の通算成績を残すことができました。

 プロ野球選手を長年やって来て、有り難いなと思うのはいろんな人からパワーをもらうことができたことです。在日であることで、日本人と付合いがあるうえに在日の人たちとも付合えるという2種類の人脈を持つことができました。プロ野球選手を辞めた後も野球解説者やタレントとして活動する機会をもらったり、本を出版したり、講演会に講師として呼んでいただいたりしています。周囲からもそう言われますが、私自身、今は在日でよかったと考えています。

人間としての生き方が大事なんや

 2つ年上の女房と1987年に結婚し、3人の息子がいます。1番上の子はもう28歳です。子育ての中で息子たちにどう「在日」を意識させるかは、かなりデリケートな問題でした。私は、母のように「頑張らなあかん。」と在日たるものの心得を説くことはしませんでした。時代が母や私たちの頃とは大きく変化し、在日に対する環境は柔軟、寛容になっていると私も女房も考えてきました。

 ただ、差別や偏見はなかなかなくなるものではありません。グローバル化が進んで、身の周りに外国籍の人がごく当たり前にいる時代になってきていますが、その一方でヘイトスピーチのように時代に逆行するような現象が起きています。本当に残念ですが、これが現実です。

 差別や偏見を乗り越えるには、まず弱い立場の者がくよくよせずに明るく前向きに生きることです。そうすれば周囲も変わります。ヘイトスピーチを規制する法律が国会でも成立しました。これは日本社会の多くの日本人が差別される弱い立場の人たちを支え、応援してくれている何よりの証(あか)しだと思うのです。

 息子たちが望むので5年前に帰化申請して、日本国籍を取得しました。日本で生活しているのに参政権がなく、外国人登録証の問題があり、パスポートの色が違うなど、何よりも生活面での不便さが大きかった。また、在日か日本人かは私にとってそんなに大きな問題ではなくなっていたのです。

 私はこれからも野球人として自分が体験してきたことを放送や著作、講演など様々な形で伝えていこうと考えています。これまでお世話になった方々に感謝しながら、ひたむきに継続することで、若者たちに伝えられることがきっとあるはずです。日本人だから、在日だからは大きな問題ではなくて、人間としての生き方が大事なんやと思っています。

Profile

金村義明(かねむらよしあき)さん

昭和38(1963)年、兵庫県宝塚市生まれ。昭和56(1981)年夏の甲子園大会で報徳学園のエース、4番打者として全国優勝に貢献。同年ドラフト1位で近鉄に入団、3塁手として活躍。その後、中日、西武でプレーし、平成11(1999)年引退。

プレゼント

サイン入り色紙を差し上げます!

金村義明さんのサイン入り色紙を3名様にプレゼントします。

どしどし御応募ください!

応募方法

ハガキに郵便番号・住所・氏名・年齢・電話番号・

「きょう☆COLOR」への御感想・御意見を必ずお書きのうえ、

以下の宛先へお送りください。

締切り

1月31日(火曜日)(当日消印有効)

宛先

〒604-8571(住所不要)京都市人権文化推進課

「きょう☆COLOR」Vol.5プレゼント係

★抽選結果の発表は発送をもって代えさせていただきます。

 

ヘイトスピーチ解消のための法律が施行されました!!

~国籍や文化の違いを超えてお互いを理解し尊重し合う社会をつくりましょう!~

 平成28(2016)年6月、ヘイトスピーチ解消のための法律(「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」)が施行されました。

 この法律は、前文において「不当な差別的言動は許されない」と宣言し、基本理念として、私たち国民は不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない、と定めています。また、不当な差別的言動の解消のために、国の責務及び地方自治体の努力義務として、相談体制の整備、教育の充実、啓発活動の基本的施策を講じることとされています。

 昭和53(1978)年、京都市は全世界に向けて「世界文化自由都市」であると宣言しました。「世界文化自由都市」とは、「全世界のひとびとが、人種、宗教、社会体制の相違を超えて、平和のうちに、ここに自由につどい、自由な文化交流を行う都市」をいい、京都市ではこの理想の実現に向けてまちづくりを進めてきました。

 平成32(2020)年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。私たちが外国人など国籍や文化の違う人々と触れ合う機会は今後ますます増えていくことでしょう。

 全ての人が生き生きと暮らせる社会の実現に向けて、国籍や文化の違いを超えて互いを理解し尊重し合う、多文化共生のまちづくりを共に進めていきましょう。

 

保護司の活動を御存じですか?

保護司は、更生保護のボランティアで、犯罪や非行をした人の立ち直りを助けるとともに、犯罪予防の活動に取り組み、全国で約5万人が地域の安全・安心に貢献しています。

 保護司になるには、熱意、原則66歳以下(最初の委嘱時)などが条件になっています。

保護司の具体的な仕事は、

1保護観察になった人への助言や指導

2刑務所や少年院などに入っている人の出所後の生活環境等の調整

3地域での犯罪予防の啓発活動

などです。

 なお、保護司は法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員であり、給与は支給されませんが、活動内容に応じて、一定の実費弁償金が支給されます。

 保護司の活動に興味をお持ちの方は、京都保護観察所企画調整課(電話075-441-5141)まで御連絡ください。

詳しくは

http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_hogo04.html外部サイトへリンクします

 

(法務省ホームページ「更生保護」を支える人々)

保護司として活動する澤井早和乃(さわの)さん

(京都市保護司会連絡協議会会長)

「保護観察対象者の中には会話を拒み無気力、無反応、無関心な面接態度で終始し戸惑うこともありますが、その対象者の家庭生活や、家族の環境等に目を向けてみると、お互いの関係を結ぶ糸口がつかめます。少しずつ心を開き更生の道を選んだ少年の姿に教えられ、感動と喜びを励みに更なる活動を続けてまいります。」

 

我ら,企業市民

ホテルグランヴィア京都の場合

性的マイノリティにフレンドリーなホテルを実現

 ホテルグランヴィア京都は平成9(1997)年に開業した、京都では比較的新しいホテルですが、京の玄関口・京都駅ビルにあり、海外からの観光客にも人気の宿泊施設です。近年、ようやく社会的に認知されてきたLGBT※等の性的マイノリティ(以下「LGBT」という。)にも安心して利用していただけるよう、その受入対策を積極的に押し進めてきた同ホテル営業推進室担当室長の池内志帆さんに取組の経緯や成果、今後の展望などについてお聞きしました。

LGBT国際団体に日本のホテルとして初加盟

 ホテルグランヴィア京都がLGBTの積極的な受入れを始めたのは、開業10年目の平成18年。日本のホテルで初めてIGLTA(国際ゲイ&レズビアン旅行協会)に加盟しました。その背景には、世界的に認知度が高まっているLGBT層の観光需要の増加と同ホテルがLGBT先進国と言われるアメリカを含む欧米からの宿泊客が多いという実情がありました。

 UNWTO(国連世界観光機関)とIGLTAの共同調査によると、世界のLGBT旅行者は約5600万人、市場規模も大きく、その経済効果は2000億ドルと言われています。また、日本でも東京都渋谷区が全国に先駆けて同性パートナーシップ条例を制定し、「パートナーシップ証明書」を発行するなど、国内でもLGBTの認知度が高まってきています。

 ホテルグランヴィア京都の宿泊客の約35%が海外からの観光客・ビジネス客で、そのうち6割を欧米からの旅行客が占めています。海外からの旅行客を呼び込むインバウンドを手掛けていた国際戦略室(当時、現営業推進室)は、平成25年にIGLTA年次総会に初めて参加し、LGBTフレンドリーホテルとしてのPRを開始。翌年には世界最大規模といわれるベルリンの旅行見本市「ITB Berlin」 にて仏式での同性婚プランを発表し、国内外で大きな反響を呼びました。

 LGBT受入れの推進役を担ったのが池内さんでした。米シアトルでのホテル勤務経験を持つ池内さんにとって、LGBT宿泊客はよくある普通の存在でした。「まずアクションを起こさないと、LGBT旅行者受入れのスタートラインにも立てない。ホテルグランヴィア京都はLGBTにフレンドリーなホテルだというメッセージを世界に届けたいという思いでした。」とプロジェクトスタート当時を振り返ります。

社員教育でスタッフの意識も高まった

 同性婚プラン発表以降、海外での旅行博や見本市出展、国内のLGBTイベント参加、海外のLGBT向けメディア媒体への広告掲載やホームページでの情報発信等を継続して行っていくうちに、少しずつ問合せが増加し、昨年は4組のレズビアンカップルが挙式や披露宴を行いました。宿泊客がLGBTかどうかは確認が難しいですが、現場スタッフの感触では同性カップルのお客様が確実に増えていると感じているようです。

 差別や偏見をなくし、ホスピタリティ(おもてなし)を高めるため、スタッフの社内教育にも力を注いできました。最初はフロントやコンシェルジュを中心に、現場スタッフへの実務トレーニングによる指導が中心でしたが、最近では全部署を対象とした社内研修を行い、ホテル全館での意識を高めています。社内研修では、LGBTの基礎知識からLGBTツーリズムの現状までを幅広く学んでいます。

 研修の成果は、着実に実を結びつつあります。以前は同性の2人がダブルルームを予約するとツインルームを勧めるスタッフもいましたが、今では誰もが自然に対応できるようになりました。スタッフの発案で、LGBTにフレンドリーである意思表示にもなるレインボーバッチ(IGLTAのロゴ)を積極的に着用したり、2階のロビーフロアにあるユニバーサルトイレの表示を「ジェンダーニュートラル」(性別に関係ない)に変更し、トランスジェンダーの方でも快適に利用いただきやすい環境を整備するなどの工夫を積み重ねています。 

 池内さんは「スタッフはLGBTだけでなく、全てのお客様に対して接客センサーの感度が高まったようです。」と話します。

多様性を受容する心を京都から広めたい

 ホテルグランヴィア京都の取組をきっかけにLGBTに対する認知度は京都から各地へと広がっています。LGBT旅行者向けのホテル予約システム「ワールド・レインボー・ホテルズ(WRH)」に加盟した際、京都市内の老舗料亭やレストランなど約40店がWRHのウェブサイトでの紹介を承諾。その店は同ホテルのコンシェルジュがLGBT宿泊客から相談を受けた際に紹介する名簿にもリストアップされています。

 世界80箇国で2000社以上が加盟しているIGLTAの国内メンバーも増えてきました。3年前には僅か4社だったのが、平成28年8月には28社にまで広がりました。その中にはIGLTAのアンバサダーを務める池内さんの働き掛けで、京都の個性的で特色のあるホテルや料理旅館も名前を連ねています。

 池内さんはその活動歴が評価されて、今春に南アフリカ・ケープタウンで開かれたIGLTA年次総会で、アンバサダー・オブ・ザ・イヤーとして表彰を受けました。また、アルゼンチンで今夏開かれたLGBTビジネス&ツーリズム国際会議に講師として招待を受け、「日本とアジアのLGBTツーリズム」をテーマに講演しました。

 G7の国の中で、日本は同性カップルへの法的権利が認められていない唯一の国という現状がありますが、草の根レベルではLGBTに対する関心と理解が着実に広がっているといえそうです。

 平成27年に京都市を訪れた外国人宿泊客数は約316万人で、前年の約183万人から7割以上増えています。池内さんは「京都は昔から多様な文化を受け入れてきた懐の深い土地柄。LGBTを特別視せずに普通の観光客として受け入れるおもてなしの気持ちを京都から広めていきたい。」と話しています。

※「LGBT」とは

L(レズビアン=女性同性愛者)

G(ゲイ=男性同性愛者)

B(バイセクシュアル=両性愛者)

T(トランスジェンダー=性同一性障害を含む体と  心の性が一致しない人)

の頭文字を取って並べた言葉で、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)を表しています。ある民間の調査では、13人に1人くらい存在するといわれ、最近では社会的認知が進み、同性婚や登録パートナーシップなど同性カップルの権利を保障する制度を持つ国・地域が増えています。

見て・知って人権 京の学生が行く

このコーナーでは、京都で学ばれている学生の皆さんに、取材や誌面作りに参加いただき、毎号、京都市の人権関連施設を

1箇所ずつ紹介していきます。

第5回

京都市障害者スポーツセンター

左京区にある「京都市障害者スポーツセンター」。

この施設でお手伝いしている私たちが御案内します!

大谷大学3回生小笠原 優(おがさわら ゆう)さん

大谷大学3回生永田 眞也(ながた なおや)さん

大谷大学2回生武田 翼(たけだ つばさ)さん

――京都市障害者スポーツセンターとはどのような施設ですか。施設の沿革や概要について教えてください。

 昭和63年の京都国体に引き続き開催された第24回全国身体障害者スポーツ大会(愛とふれあいの京都大会)で、京都市の水泳会場として、まずプールが整備されました。その後2期工事が行われ、3年後の平成3年に全体が完成しました。障害のある人々のスポーツ・レクリエーションの推進拠点として健康の維持・増進と一層の社会参加を促すとともに、障害のない人々との交流のための共同利用の場として設置、運営されています。

 鉄筋コンクリート造り2階建て延べ約7000平方メートルの施設内には、1階に体育室、温水プール、プレイルーム、重度体育室、卓球室などがあり、2階にはトレーニング室、アーチェリー場、会議室、研修室などがあります。全館バリアフリーで木の温かみを感じさせる内装など、安全で快適に利用できる様々な工夫があり、17人の職員及びアルバイトスタッフが従事しています。なお、指導に携わる職員の多くが上級障害者スポーツ指導員や健康運動指導士などの資格を持っています。

――市民の皆さんの利用状況はどうですか。どんな人がどんな風に利用していますか。

 おかげさまでオープン以来、利用者は右肩上がりに伸びており、平成27年度の利用者は過去最多の17万6552人でした。うち障害のある人は10万4897人、障害のない人が2万2905人、残りが介助者とボランティアでした。施設別にはプールが利用者全体の3分の1を占めて一番人気があります。

 増加要因としては、この施設では事業を多角的に運営していますので、施設の認知度が高まっているからだと考えています。また、障害のある人とない人との交流のための共同利用の場という理念を掲げていますので、これも利用促進につながっていると思います。

 リハビリテーションや健康の維持・増進など利用者の目的は様々ですが、アスリート志向の強いスポーツ選手にも利用してもらっています。リオ・パラリンピックに出場した水泳の一ノ瀬メイさん(近畿大学在籍)は幼児の頃から通ってくれていました。

――多角的な事業というお話がありましたが、特徴のある事業にはどんなものがありますか。

 事業は「スポーツ教室」「体験会・イベント」「大会」などがあり、一番伝統があって注目度も高いのが障害者シンクロナイズドスイミングです。オープン間もない頃から毎年、全国大会の障害者シンクロナイズドスイミングフェスティバルが開催され、それに向けてスポーツ教室も開かれます。立ち泳ぎでなく足のつくプールで団体・ソロ演技を行うものですが、教室には多くの人が参加してフェスティバル出場を目指し、熱心に練習を続けています。

 それから特徴があるのは、人と環境に優しい障害者スポーツを目指して独自ルールで体験会や大会が開催されているエコロベースです。ペットボトルなどを再利用したバットとボールを使い、野球と似たルールでプレーするのですが、当センターのルールでは同じチームのピッチャーが味方に打ちやすいボールを投げます。大会には約50人が参加し、クラブチームもあります。このほか、最近ではスポーツ以外にもコーラス教室・書道教室・よし笛教室などの文化事業や夏祭り、クリスマス会や文化芸術祭など、障害のある人とない人がともに楽しめる催しも行っています。

――最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

 京都市障害者スポーツ協会が指定管理者として管理運営している京都市障害者教養文化・体育会館(南区)と合わせた利用者数が、平成27年度に20万人に達しました。障害者スポーツセンター単独でも初めて17万人台に乗りましたので、更なる利用者の拡充を目指していきたいと思っています。そのためには、まず現在1万6800人いる利用登録者数を増やすことだと考えています。

 利用者のニーズや意識は更に多様化していますので、意識調査などによる事業内容の更なる充実・発展も必要です。

 みなさん、是非一度ここに来て、まずスポーツ教室や体験会に参加してみてください。

お話を伺った方

公益財団法人 京都市障害者スポーツ協会

京都市障害者スポーツセンター

支援グループサブリーダー

松宮智志(まつみや さとし) さん

 

プール

25メートルプールのほか、円形とひょうたん型の小さなプールがあります。メインプールは歩く人も利用できるよう水温を30度に設定。円形プールは35度に設定して、できるだけたくさんの方が通年利用できるよう温度管理しています。

車いすの方は、まずスロープを使ってプールの中に入り、水の中で車いすから降りてもらいます。楽しくコミュニケーションしながら、利用者を介助していますよ。

体育室

広さが約1280平方メートルあり、バスケットボール1面、バレーボール2面のコートが確保できます。これらのほか、卓球や電動車いすサッカーなど、主に球技に活用されています。2階部分にはウォーキングやジョギングができる周回コースがあります。

自分もサッカーやフットサルをやっているので、電動車いすサッカーができる場所があるのはよいことだと思います。練習や試合をやっていると、思わず応援したくなりますね。

重度体育室

重い障害のある人のための体育施設で、約180平方メートルのフロアは床暖房を完備。マットや畳が敷いてあり、壁面も柔らかいので、安心・安全に運動することができます。天井部分に専用鉄骨が組んであり、ハンモックやブランコをぶら下げて遊ぶこともできます。

子どもの利用が圧倒的に多いですね。親子で来て、子どもたちはブランコやトランポリンで遊び、お父さんやお母さんに畳の上で絵本を読んでもらったりしていますよ。

 

施設情報

所在地

〒606-8106 京都市左京区高野玉岡町5番地

問合せ先

TEL:075-702-3370

ホームページ http://www.kyoto-syospo.or.jp外部サイトへリンクします

開館時間 9時~21時

利用時間

午前:9時30分~12時30分

午後:13時30分~16時30分

夜間:17時30分~20時30分

休館日

毎週火曜日、毎月第3金曜日

国民の祝日の翌日(休館日の場合はその翌日)

年末年始(12月28日~1月4日)

利用料金

障害のある方とその介助者は無料

その他の方は有料

(詳細はホームページを御覧ください)

交通案内

JR京都駅・阪急河原町・京阪三条・出町駅から京都バス大原岩倉方面行で「高野玉岡町」下車

※送迎バス(無料)も御利用ください。

地下鉄北山駅3番出口エレベーター降りてすぐの乗り場

【地下鉄北山駅発】9:10/12:50/17:10 【センター発】12:35/16:50/20:35

 

みやこユニバーサルデザイン~すべての人が暮らしやすく~

ひとがつながり みんなでつくる やさしさあふれる 人権文化の息づくまち・京都

「ユニバーサルデザイン」(UD)は、全ての人にとって、できる限り利用可能であるように、製品、建物、環境をデザインすることで、1980年代にアメリカの建築家・デザイナーのロナルド・メイス氏らが提唱し、その考え方が広がりました。特定の人のために特別なことをしなくてよいように、あらかじめ、年齢、性別、言語、習慣、心身の状態などの違いにかかわらず誰もが利用できるようにすることを目指すものです。

UDの7原則とは?

  UDには、7つの原則があり、これを様々なものにできるだけ採り入れていきます。

1公平性              誰にでも公平に利用できること

2柔軟性              使ううえでの自由度が高いこと

3単純性              簡単で直感的に分かる使用方法となっていること

4分かりやすさ    必要な情報がすぐに理解できること

5安全性              うっかりエラーや危険につながらないデザインであること

6省体力              無理な姿勢や強い力なしで楽に使用できること

7空間性              アクセスしやすい空間と大きさがあること

 

どんなところがUD?

(生活の中、まちの中のUD)

 例えば、自動ドアは、両手に荷物を持っている人も、車いすの人も、誰でもその前に行くだけで開いてくれます。これは、7原則の1と6が当てはまります。

 色々な言語で観光案内の冊子を作成すれば、より多くの外国人観光客に情報が伝わります(1・4)。

 シャンプーの容器には凹凸があるので、目の不自由な人も、髪を洗っていて目をつぶっている人も、触るだけでシャンプーとリンスを区別できます(3・4)。

 ピクトグラム(絵文字)を使えば、言葉に頼らずに一瞬で情報を伝えられます。漢字や文章の苦手な人、外国人、子ども、知的障害のある人も理解しやすくなります(3・4)。

 低い所にも高い所にもボタンがあり、コイン投入口や取出口の位置が工夫された販売機は、背の高い人も、小さい子どもや車いすの人も、無理せずに使えます(1・2・6)。

 このような工夫は、公衆電話、水飲み場、エレベーターなどにも見られ、車いすの人がアクセスしやすいよう台の下などに空間を設けているものもあります(7)。

 高さの違う手すりを設置している階段や、段の端が分かりやすいように色を塗っている階段もありますね(2・5・6)。

 

【P11】

「京都市みやこユニバーサルデザイン推進条例」

 このようなUDの考え方を採り入れた社会環境の整備を総合的に進めていくため、京都市は、平成17年に「京都市みやこユニバーサルデザイン推進条例」を制定しました。

 「みやこユニバーサルデザイン」とは、「長い歴史の中ではぐくまれてきた支え合いの精神、芸術、技術等の京都が有する多様かつ豊かな蓄積にユニバーサルデザインを採り入れた社会環境の整備(製品の製造及び情報の伝達その他のサービスの提供を含む。)をいう。」と定義されています。

 その目指す方向は、「すべての人が、個人として尊重され、その能力を最大限に発揮し、心豊かに、生きがいを持って、安心で安全な生活を営むことができる社会」です。役所も企業も、京都に住む人も訪れる人も、それぞれの立場から、そして、皆がお互いに協力しながら、そんな社会の実現に向かって進んでいくための条例です。

 

10年の歩み

 

 条例制定から10年以上がたちました。その間、京都市では、様々な取組を進めてきました。ものや場所などのハード面だけでなく、手続やルール、コミュニケーション、意識や行動といったことにもUDを反映させることが重要と考えています。

https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000197233.html

 

 例えば、UDの考え方を普及推進するため、生活の中のUDに関するアイデアの募集・表彰(みやこUD賞)、アドバイザーの派遣なども行っています。まちづくりの分野では、市が計画などを策定する際には必ず市民の皆様の意見をお聴きしていますし、事業者の方が一定の旅客施設等の新築・改築をされる際には、事前に審議会で意見を聴く場を設定しています。情報発信については、分かりやすい広報印刷物の作成や視覚障害のある方への配慮を心掛けています。サービスの分野では、人にやさしいサービスを行う店舗の拡大や、ユニバーサルツーリズム(障害のある人や高齢の人も楽しめる観光)にも取り組んでいます。

 

大切なこと(おわりに)

 

 全ての人のニーズを満たすことは簡単なことではありませんし、残念ながら、まだまだ特定の人が暮らしにくい社会状況も完全になくなったわけではありません。様々な分野の技術も進歩していくでしょう。ですので、みやこUDの取組も「これで終わり」はありません。全ての人が暮らしやすい京都の実現に向けて、共に歩みを進めていきましょう。

 一度に多くは難しくても、まずは、次のような視点を大切にしていただければと思います。

○「気付き」の姿勢

 多様な人がいることや自分と違う立場の人に気付き、理解し、思いやる姿勢です。自分にとって「当たり前」でも、別の立場の人にとってはどうなのかを考えましょう。様々なニーズを把握しようとする姿勢でもあります。

○「できることから」「ちょっと工夫」

 ちょっとした気付きや配慮で、少しでも多くの人が使いやすくなることはないか考えます。まずは、身の周りの「もの」や「仕組み」の使いにくい所や分かりにくいことに気付き、できることから改善していきます。

○「心のユニバーサルデザイン」

 ハードで対応できないこともハートで。「もの」がなくても、心遣いと行動でできることがあります。例えば、困っている人や不安そうにしている人への声掛け。譲る心。ちょっとした手助けや配慮で困りごとが解消することがあります。

 逆に、せっかく「場所」や「もの」が整備されても、理解不足やマナー違反のせいで役に立たなくなることもあります。

写真:「京都市みやこUDかるた」より (京都市保健福祉局障害保健福祉推進室)

 

《お知らせ》

講座開催の御案内

京都市主催 平成28年度  企業向け人権啓発講座

参加費 無料

※ 対象は、京都市内に事業所を持つ企業等の経営者層、総務・人事責任者、人権研修推進者等です。

第8回

講演及び事例発表

なぜ日本人は「働きすぎ」なのか ~「働き方改革」のあり得べき道筋~

●日時

平成28年12月19日(月曜日) 午後2時30分~午後4時30分

●場所

京都市男女共同参画センター ウィングス京都 セミナー室

(中京区東洞院通六角下る御射山町262)

●講演

筒井 淳也(立命館大学産業社会学部教授)

●事例発表

株式会社minitts

●定員

80名(先着順)

●申込期間

平成28年11月15日(火曜日) ~平成28年12月12日(月曜日)

 

第9回

講演及び事例発表

障害に対する理解を深め、合理的配慮の実践を! ~障害者差別解消法が施行されて~

●日時

平成29年1月26日(木曜日) 午後2時~午後4時

●場所

京都市男女共同参画センター ウィングス京都 イベントホール

(中京区東洞院通六角下る御射山町262)

●講演

松永 信也(京都府視覚障害者協会副会長)

●講演テーマ

“見えない世界”で生きること

●事例発表

株式会社PHP研究所

●定員

240名(先着順)

●申込期間

平成28年11月15日(火曜日) ~平成29年1月19日(木曜日)

 

第10回

地域の集い

第22回ふしみ人権の集い ~人権文化のまちをひとりひとりの心から~

●日時

平成29年3月4日(土曜日)午後1時30分~午後4時30分

●場所

京都市呉竹文化センター ホール 

(伏見区京町南七丁目35番地1)

●申込不要

参加の事前手続は不要です。当日受付で参加票(ホームページで入手)を御提出ください。先着順で入場できますが、満席になれば入場をお断りする場合がありますので、あらかじめ御了承ください。手話通訳、託児が必要な方は受付でお申し出ください。

●内容

【1部】活動報告 学習会など今年度の活動や取組について

【2部】記念講演「2017年 東北さ、いい事いっぺ、来い来い来い!」

-誰もが誇りをもって「ふるさと」を語れる社会を!-

 

申込方法

ホームページ「京都市:トップページ(https://www.city.kyoto.lg.jp/」から

画面上部「暮らしの情報」→画面右下部「人権」→「企業啓発」→ 「企業向け人権啓発講座」を御覧ください。

申込書(開催案内の一部)に必要事項を記入のうえ、FAX(075-366-0139)でお送りいただくか、

電子メール([email protected])に必要事項を記載して送信してください。(第10回は申込不要です。)

また、手話通訳・要約筆記(事前申込みが必要です。)など、詳細については、各講座の開催案内を御覧ください。

 

ヒューマンステージ・イン・キョウト2017

本当のことを言える自分になろう ~私らしく生きるために~

ミッツ・マングローブ

トーク&ライブ ほか

参加費 無料

日 時

平成29年1月28日(土曜日)午後2時~午後4時(開場は午後1時)

会 場

ロームシアター京都サウスホール

(京都市左京区岡崎最勝寺町13)

定 員

700人

申込期間

平成28年12月2日(金曜日)~12月31日(土曜日)申込多数の場合は抽選。

申込方法

京都いつでもコール(年中無休、受付時間:午前8時~午後9時)

電話 075-661-3755 FAX 075-661-5855

電子メール(送信フォームによる申込み)

パソコン:https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000012821.html

携帯電話:http://www.city.kyoto.lg.jp/mobile/main/page/0000180068.html

※電話番号、住所、氏名(フリガナ)、同伴者数(3名まで)を明記してお申し込みください。

※託児(1歳以上就学前、人数と年齢も明記)、手話通訳、要約筆記、磁気ループ席を希望される場合、

その旨をお申し出ください。

※御来場は公共交通機関を御利用ください。

※入場券は1月中旬に当選者にのみ発送します。

 

編集後記

 今年は、4年に1度のオリンピック・パラリンピックの年でした。日本は、過去最多の41個のメダルを、また、パラリンピックにおいても24個のメダルを獲得するなど、選手たちの活躍には、多くの方が感動されたことでしょう。ただ、私は、そのことよりもっと感動したことがあります。それは、自らをLGBT等の性的少数者であると表明している選手の出場数が過去最多であったということです。平成26年12月に改正されたオリンピック憲章において、権利及び自由は、性的指向を理由とした差別を受けることなく、確実に享受されなければならないことが新たに盛り込まれました。真の多様性にまた一歩、確実に近付いた出来事ではなかったでしょうか。

人権総合情報誌 きょう☆COLOR vol.5 (発行 平成28年11月)

発行:京都市 文化市民局 くらし安全推進部 人権文化推進課 

☎ 075-366-0322 FAX 075-366-0139   

〒604-8091

京都市中京区寺町通御池下る下本能寺前町500番地の1 中信御池ビル6階

URL https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/soshiki/6-2-3-0-0.html

この冊子はホームページでも御覧いただけます。また、区役所・支所、市役所案内所ほかで

配布しています。

この印刷物が不要になれば「雑がみ」として古紙回収等へ!

京都市印刷物第283108号

 

お問い合わせ先

京都市 文化市民局共生社会推進室人権文化推進担当

電話:075-222-3096

ファックス:075-366-0139

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