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人権総合情報誌「きょう☆COLOR」Vol.3(平成27年12月号)(HTML版)

ページ番号190923

2015年11月19日

人権総合情報誌「きょう☆COLOR」Vol.3(平成27年12月号)

輝きピープル 女優 東 ちづるさん

SOSを発信して、助け合い、支え合う。

 

ふとしたことからボランティアの世界に入り、今やライフワークになっているという東ちづるさん。誰もが生きやすい「まぜこぜの社会」を目指し,東日本大震災を機に※マイノリティのPR・表現団体を発足。その活動の広がりについて語っていただきました。

※「マイノリティ」とは社会的少数者を意味し、「セクシュアルマイノリティ」とはLGBT等の性的少数者のことです。また、「カミングアウト」とは、自分がマイノリティ等であることを告白、公表することです。

 

ボランティアで気付いたこと

 

 私がボランティアを始めたのは、23年前。テレビ番組で慢性骨髄性白血病の少年を知ったことがきっかけでした。骨髄移植すれば助かる可能性があることを知り、骨髄バンクについて勉強をし、ポスターを作って骨髄バンクへの登録や募金を呼び掛けたり、患者さんのお見舞い、講演やシンポジウムを行うようになりました。それから活動は色々広がり、戦争や紛争で傷付いた世界各地の子どもたちを治療してリハビリを行うドイツ平和村の支援など、これまで国内外で様々なボランティア活動を続けてきました。

 そうした活動の中で社会への気付きはたくさんあるのですが、支援する側と支援される側で区別することに特に違和感を覚えるようになりました。障がいのある人を、弱い人やかわいそうな人と思うのは違うんじゃないかと。逆に弱い立場に追い詰めてるということもある。様々な特性を障がいとして括り、生きづらくするのはおかしい。障がい者も健常者も(こう区別して呼ぶのも日本が後れているから)同じ人間で、誰もが幸せになりたい、自分らしく生きたいと思っているのです。

 

「まぜこぜの社会」をつくりたい

 

 色々な団体の人たちと活動していると、街はバリアフリーにはできないけど、人の心のバリアーはなくせるよね、という話になります。そうなると、障がい者を健常者に近付けようとするのではなく、障がいといわれる特性をいかせる社会の方がいい。それをどう伝えていくか。講演会やシンポジウムでは意識の高い人しか集まってくれません。そこで他人事と思っている人を巻き込んでいくために、ワクワクする活動に移行していきました。みんなが楽しめるイベントやアート展、ライブなどを企画し、「まぜこぜ」の人々が参加する。近年、「ダイバーシティ」や「共生社会」という言葉が見られますが、親しみやすく「まぜこぜの社会」という言葉を使って、既に多様な人たちと暮らしていると表しています。

 こうした「まぜこぜの社会」を体験できる企画を全国各地の団体や学校、企業などに提案し、私がトークで盛り上げる活動を展開してきました。そのおかげで全国各地にネットワークが出来ました。「まぜこぜの社会」をつくる種をまいていたのでしょうね。

この社会には色々な人がいる。どんな状況でも誰もが暮らしやすい「まぜこぜの社会」をつくりたい。

 

意を決して団体を立ち上げる

 

 私は元々集団行動が苦手でしたので、団体を立ち上げる気はありませんでした。ですが、2011年3月11日に東日本大震災が起き、そうは言っていられなくなったのです。

 避難所では、マイノリティの人々が受け入れてもらえないという過酷な現実がありました。ここは段差があるから車椅子(くるまいす)の人は無理だとか、自閉症の子どもがパニックを起こすからうるさいなどと、普段から生きづらさを感じている人がますます追い詰められる現場もあったようです。また、あるお宅に障がいのある子どもさんがいることを近所の人が避難所で初めて知ったということもありました。普段は見えにくかったことが緊急時に浮き彫りになったのです。避難所は正に日本の縮図で、社会の本当の姿でした。この衝撃の現実に気付き、単独で活動していては間に合わないと。団体で活動すれば、信頼性が増し、メッセージの発信力も大きくなるなどメリットは大きいですから。

 どんな状況でも、どんな状態でも、誰も排除しない、されない社会で暮らしたいという思いで、「まぜこぜの社会」をつくろうと各団体のベテラン活動家にも呼び掛けて「Get in touch」というマイノリティをPRする表現団体をスタートさせました。中心となるメンバーは数人ですが、一つのイベントで150人ものスタッフが集まります。クリエイター、弁護士、医療関係者などのあらゆるプロや学生、障がいのある人、※セクシュアルマイノリティなど当事者の人たちも参加。企業の協賛もあります。Tシャツ、バッチ、風船、リボンやプリペイドカードなどイベントに必要な物は提供してもらい、企業名を入れます。そしてその企業の社員の皆さんに「Get in touch」の理念を知ってもらうため、会社へレクチャーに行くこともあります。企業にとってもCSR(社会的責任)をアピールできる良い機会だと思いますが、もう一つの現象として社員の中から※カミングアウトする人が出てきたのです。それにはトップの人たちも驚いていました。今までは隠していて言い出せなかっただけで、世の中には色々な人がいると実感できたと。

 

横のつながりが出来た

 

 どの団体も一生懸命活動していますが、仲間の絆(きずな)が深まる一方で、関係者だけの集まりになってしまうこともあり、世間に広がりにくいという葛藤があるようです。

 「Get in touch」では、聴こえない人、見えない人、義足の人、難病の人、セクシュアルマイノリティなどあらゆる人が「まぜこぜ」で活動しているので、お互いの交流もでき、横のつながりが出来ています。ダブルマイノリティ(例えば発達障がいでセクシュアルマイノリティなど)の人も活動しやすくなったという声をもらっています。団体同士で手をつなぎ始めたことにも、この活動での手応えを感じています。色々な人が一緒に企画し、苦悩し、失敗して乗り越えれば大きな力となります。

 こういう活動の場合、まず正しい理解や知識を求められることもありますが、それは後からでいいと思っています。例えば、発達障がいの特性でも人それぞれです。理解しなければ活動できないというのでは前に進みません。とにかく一緒にいる。それが一番大事。そうすれば、段々と分かってくることもあります。「結局のところ、私たちのこと分かってないでしょ。」と言われることもあります。「分からないけれど、分かろうとしている。あなたもそんなことを言われた私の気持ちは分からないでしょ。分からない者同士分かろうとしましょう。一緒にやっていきましょう。」と話します。

 

福祉のイメージを変えたい

 

 ボランティアや福祉のイメージは、真面目で我慢強くて深刻、泥臭い・・・かもしれません。そんなイメージも変えたい。かっこいい、仲間が出来る、居心地が良い、キュート、ファッショナブル…とそんな風に。「Get in touch」が主催するイベントでも、ボランティアさんにはオリジナルTシャツをプレゼントして着てもらいます。「ボランティアってかっこいいじゃん!」となるように。「Get in touch」の目標は一日も早く解散すること。「まぜこぜの社会」が実現すれば、この活動は必要ありませんから。「Getの活動、頑張ったよね~。」とみんなで笑いながら振り返ることを今から楽しみにしているんですよ。

 

SOSを発信しよう

 

 生きづらさを感じていない人など、世の中にいないのではないでしょうか。誰しも不安や不満はあると思います。その生きづらさを自分自身が受け入れて出し合って、そこからつながることが肝心です。自分からSOSを発信するというのは、自分の人生に責任を持つということ。自分を大切に生きるから、他者を大切にできる。支援する側・される側の区別ではなく、みんなが助け合い、支え合い、救い合い、癒やし合う。そんな関係が築ける社会が健全だと思います。

 「Get in touch」のメンバーで、プロのコピーライターがイベント用にこんなキャッチコピーを作ってくれました。「おまえもヘンだろ、あいつもヘンだろ、おれもヘンなんだよ。」

 誰もが生きやすい「まぜこぜの社会」をみんなで実現していきましょう!


 

プレゼント

サイン色紙を差し上げます!
東ちづるさんのサイン色紙を3名様にプレゼントします。どしどし御応募ください!

 

応募方法

ハガキに郵便番号・住所・氏名・年齢・電話番号・「きょう☆COLOR」への感想・意見を必ずお書きのうえ、以下の宛先へお送りください。

 

締切り

1月31日(日曜日)(当日消印有効)

 

宛先

〒604-8571(住所不要)京都市人権文化推進課「きょう☆COLOR」Vol.3プレゼント係

★抽選結果の発表は発送をもって代えさせていただきます。

 

Profile

東 ちづる(あずま ちづる)さん

広島県出身。会社員生活を経て芸能界へ。ドラマから情報番組のコメンテーター、司会、CM、講演、出版など幅広く活躍。プライベートでは骨髄バンクやドイツ平和村、アールブリュットの活動支援等のボランティア活動を20年以上続けている。2012年10月、アートと音楽を通じて「まぜこぜの社会」を目指す、一般社団法人「Get in touch」を設立し、代表として活動中。

東ちづるさんの近著「らいふ」(講談社)

一般社団法人Get in touch【公式サイト】http://getintouch.or.jp/外部サイトへリンクします

 

 

 

「京都市人権相談マップ」を配布しています。~1人で悩まずに御相談ください。~

 

無料

 

 人権に関することでお困りの際に、適切な機関・窓口に相談ができるように、「京都市人権相談マップ」を配布しています。

 相談機関・窓口の概要や地図だけでなく、具体的な相談例を掲載していますので、適切な相談先が探しやすくなっています。

 市役所案内所、区役所・支所(地域力推進室)、市立図書館や文化会館等で配布しているほか、ホームページでも御覧いただけますので、御活用ください。

 https://www.city.kyoto.lg.jp/menu1/category/19-2-0-0-0-0-0-0-0-0.html

 

フェイスブックで情報発信中!!~人権文化推進課フェイスブックページ「きょうCOLOR」~

 

いいね!

 

 京都市人権文化推進課のフェイスブックページ「きょうCOLOR」では、人権に関するホットで、タイムリーな情報を発信中です。

 

例えば・・・

 ● 人権に関するイベント、講演会の開催案内
 ● 人権について楽しく学べる「人権クイズ」
 ● 人権に関する記念日を紹介する「きょうは何の日?」など

 

是非、一度御覧ください!! → 京都市人権文化推進課 フェイスブック 検索

 

多文化が息づくまちづくりに向けて

 

 皆さんは「世界文化自由都市宣言」を御存じですか?

 今から37年前の昭和53(1978)年10月、私たちは全世界に向けて我が京都が「世界文化自由都市」であると宣言しました。

 「世界文化自由都市とは、全世界のひとびとが、人種、宗教、社会体制の相違を超えて、平和のうちに、ここに自由につどい、自由な文化交流を行う都市」をいい、京都市ではこの理想の実現に向けてまちづくりを進めてきました。

 近年、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチが社会問題となっていますが、人としての尊厳を傷付け、差別意識を拡散させるこのような行為が「世界文化自由都市」の理念と相容れないことは言うまでもありません。

 全ての人が暮らしやすく、活躍できるまちづくりを進め、やさしさあふれる人権文化の息づくまち・京都を共につくっていきましょう。

我ら,企業市民

44 株式会社藤井大丸の場合

 

女性社員のキャリアアップとワーク・ライフ・バランスを実現

 

 藤井大丸は明治3(1870)年に創業した地場の老舗百貨店。高感度なファッションを提案するためには、豊富な商品知識とコミュニケーション能力を持った人材の確保が重要です。特に、従業員の過半数を占める女性の活躍は欠かせません。平成26年度の京都市「真のワーク・ライフ・バランス」推進企業市長賞を受賞した同社の取組について、人事部部長の上杉雪恵(うえすぎ ゆきえ)さんと人事・庶務課課長の谷本萌(たにもと もゆる)さんにお話を聴きました。

 

産休・育休や短時間 勤務制度を充実

 

 元々呉服店だった藤井大丸が、現在の場所に移転して百貨店業を始めてから、今年でちょうど80周年。平27年9月1日現在の社員数は、正社員と契約社員、嘱託社員、パートナー(パート)社員を合わせて129人、女性比率は61.2%で、正社員比率は40.3%となっています。同社では育児休業制度や法を上回る短時間勤務制度などで女性のモチベーションアップに努めています。また、『エコ・CO2排出削減デー』や年次有給休暇の積立制度などでワーク・ライフ・バランスを実現しています。 

 同社は、平成20年にCO2排出削減の一環として『エコ・CO2排出削減デー』を設けました。週2回、午後9時には売場の電気を消して、少しでも早く帰宅する日を設けたのです。エコ推進と同時にプライベートの時間を大切にする一石二鳥の狙いでした。また、平成23年からは2月と8月に閉店時間の繰上げを実施。この結果、年間の残業時間は社員1人当たり平均33時間にまで減少しました。

 この間に社員の意識も大きく変わりました。特に、産休・育休を取得して職場復帰する社員が少しずつ増え、今では出産・育児を理由に退職する女性社員はほとんどいなくなりました。また、復帰後の支援として、平成18年に、子どもが小学校に入学した年の5月末まで労働時間を短縮する育児短時間勤務制度を導入しました。その後、全社員を対象に実施したアンケートの結果を尊重し、平成22年には、適用期間を小学校3年生修了時まで延長できるよう、見直しました。

 現在、産休・育休の取得者は4人、短時間勤務制度の適用者は9人いますが、女性の働き方についての、トップをはじめとした役員や管理職の考え方も徐々に変わってきました。

 上杉部長は「短時間勤務制度は、労働組合がまず声を上げ、会社もその必要性を認め、労使協議で決まりました。女性の働き方そのものが大きく変わり、今では出産・育児後に復職するのが当たり前になっています。」と話します。

 

 

スムーズな職場復帰の支援策も併せて整備

 

 正社員が年次有給休暇の未使用日数を最高300日まで積み立てることができる積立休暇制度は、平成4年から実施され、育児休業制度や短時間勤務制度が一般化する中で積極的に活用されるようになりました。本人の長期療養には300日、家族の介護には90日など、事由によって使える日数に限度がありますが、これまでに、3名の方が本人の長期療養を理由として利用した実績があります。また、永年勤続表彰時の記念旅行や自己啓発のための研修などに利用する社員も出てきました。

 スムーズな職場復帰を支援する仕組みも整っています。育児休業者には在宅講習と職場環境適応講習の機会が設けられています。前者は休業中にスキルアップを図るもので、後者は状況に応じて一、二箇月に1回出社して、人事担当者と1時間程度の情報交換を行うものです。また、会社の近況が分かるように社内情報誌を毎月自宅に送付しています。休業中に簿記3級やファイナンシャルプランナーの資格を取得した女性社員の例もあります。

 谷本課長は「制度はしっかりしているし、上司の理解もありますが、部署によって偏りはまだあります。まずは、取得例が増えることで全員が取りやすくなり、周囲の理解もより深まると思います。みんながワーク・ライフ・バランスのすばらしさを感じられるようにしていきたい。」と話します。

 

キャリアアップ制度で社員のやる気を引き出す

 

 同社は、平成18年から非正規の正社員化などのキャリアアップ制度を年1回、実施しています。キャリアアップにはパートナー社員から契約社員、契約社員から正社員への2つのステップがありますが、今年5月には、5人がパートナー社員から契約社員に、6人が契約社員から正社員になりました。11人のキャリアアップは過去最多で、うち女性が10人を占めました。

 キャリアアップには、まずエントリーシートの提出があり、その後、筆記と小論文、面接の試験があります。正社員になった女性社員の1人は、これまでに2回チャレンジしており、今回は、育児短時間勤務制度を利用している状況にありましたが、仕事に対する真摯な姿勢と職場から信頼を得ている働きぶりが評価され、正社員採用となりました。また、パートナー社員から契約社員になった1人は「どうせパートだから。」という意識を変えて「もっと幅広い仕事に就いてみたい。」とエントリーシートに志望動機をつづりました。更に上の正社員を目指す意欲を見せています。

 女性の登用も進んでいます。同社の管理職21人のうち、女性は計8人、割合にして38.1%。政府が日本企業の女性管理職の割合を平成32年までに30%にするという目標を掲げていますが、同社は既にその目標値を大きく上回っています。しかも、現在、女性管理職のうち2人が育児休業に入っています。

 上杉部長は「今、世間ではブラック企業が問題になる中で、それらとは反対に、キャリアアップやワーク・ライフ・バランスなどの取組を表彰していただくまでに進めることができたのは、創業から受け継いできた当社の企業姿勢・風土によるところが大きく、大変誇らしく思います。職場でのやり繰りなどに課題はありますが、工夫次第で休みは取れます。これからは育児だけでなく、介護などで短時間勤務制度を使う必要性がますます高まるでしょう。まずは上司が率先して休みを取り、職場全体が休みを取りやすい雰囲気にすることが重要だと思います。」と話します。

 

第8回企業向け人権啓発講座で事例発表があります。(裏表紙講座案内参照)

 

 

 

見て・知って人権 京の学生が行く

  

このコーナーでは、学生の皆さんに取材や誌面作りに参加していただき、毎号、京都市の人権関連施設を1箇所ずつ紹介していきます。

 

第3回 ウィングス京都 京都市男女共同参画センター

 

中京区にある「ウィングス京都」。この施設で活動している私たちが御案内します!

 

京都大学3回生

大井 美里(おおい みさと)さん

 

立命館大学4回生

早川 真桜子(はやかわ まおこ)さん

 

立命館大学4回生

亀谷 祐貴(かめたに ゆうき)さん

 

ウィングス京都とはどのような施設ですか。施設の沿革や特徴について教えてください。

 

 平成6(1994)年に「女性の自立と社会参加を支援する」ことを目的に「京都市女性総合センター」として開館した施設です。鳥が左右の翼を広げて飛び立つように、女性と男性が協力し合って住みよい平等な社会の実現を目指そうと、「ウィングス(翼)京都」と名付けられ、平成18(2006)年には「京都市男女共同参画センター」へと名称が改められました。誰もが性別にかかわらず個性と能力を発揮し、いきいきと生きられる社会、男女共同参画社会の実現に向けた取組を行っています。

 センターは「京都のおへそ」と言われる六角堂の近くにあり、明治末に建設された京都商工銀行の外壁を再利用した魅力ある建物です。4階建ての建物には中京青少年活動センターも入り、幅広い年齢層の方に御利用いただいています。年間を通して実施している講座やセミナーには保育が付いているため、子育て中の方も安心して学習やスポーツに打ち込めるのも魅力だと思います。また、イベントホールやスポーツルーム、会議室等の会場の提供や、図書情報室、相談室も備え、多くの方に御利用いただいています。

 

 

市民の皆さんの施設の利用状況などはどうですか。

 

 立地条件が良いうえに、開館時間が午前9時から午後9時までなので、仕事帰りやちょっとした空き時間にも多くの市民の皆さんに御利用いただいています。利用者数は開館当初、年間26万人だったのが右肩上がりに伸び、平24(2012)年度には過去最高の年間50万人を突破しました。施設の中でも1階にある図書情報室は、くつろげる場所として人気があります。女性学の専門書はもちろん、男女共同参画の視点で選んだ図書、DVD、コミック、雑誌など約77,000点の資料がそろっていて、現在約36,000人の方に登録いただいています。講座は「女性の就業継続支援事業」、「男性の生き方講座」など幅広い層を対象にした内容で、昨年度は65講座を実施しました。また、相談室では、一般相談とDVや法律などの専門相談で、2,000件を超える相談がありました。

 

男女共同参画に対する市民の意識はどのように変わってきたでしょうか。

 

 開館当初は、「女性大学」という女性学を体系的に学ぶ年間カリキュラムがあり、女性の自立と社会参加について、研究者や受講者の皆さんが熱心に語っておられたのを思い出します。しかし、「男女共同参画」という言葉が分かりにくいこともあり、依然として浸透していないという課題もあります。若い人たちの意識がより良い方向に変わってきた半面、それよりも上の世代が旧態依然という実態もあります。私たちの使命は、男女共同参画社会とは「性別にかかわらず誰もが自分らしくいきいきと暮らせる社会」だということを全ての人に分かりやすく伝えていくことだと考えます。

 

読者の皆さんにメッセージをお願いします。

 

 ウィングス京都は、人それぞれに自分らしく生きるきっかけを提供できる場です。あらゆる社会資源の中から自分に必要な何かを発掘したり、新しい価値観に出会える場でもあります。特にこれからの社会を担う若い方々には是非ウィングス京都を拠点に活動していただきたいです。当協会では大学生を対象にした講座やインターンシップも実施しています。今、世界的にLGBTの方々の生き方が注目されているように、自分の価値観にとらわれずに多様な生き方を認め合う社会を市民の皆さんと一緒に創っていきたいと思います。是非、一度ウィングス京都を訪ねてみてください。

 

お話を伺った方

公益財団法人 京都市男女共同参画推進協会 事業企画課 事業企画課長

今井 まゆり(いまい まゆり)さん


 

子どもの部屋

お子様連れの方が安心して講座を受講できるように、主催講座で保育を実施。小児用トイレや給湯設備を備え、市民活動グループ「マザーグース」のスタッフが保育を担当しています。

私が子どもの頃に、母が講座を受けている間、この部屋で楽しく遊んだ記憶があります。子育て中の人が存分に活動するには、こうした保育のサポートは欠かせません。

京都大学3回生

大井 美里(おおい みさと)さん

 

相談室

女性の悩みや男性の生き方等に関する相談に専門の相談員が無料で応じています。男女共同参画に関する苦情や要望の受付も行っています。もちろん秘密は厳守されます。

専門の相談員さんなら安心して悩みを話せると思います。多目的施設の中に相談室があるので、気軽に足を運びやすいですね。

立命館大学4回生

早川 真桜子(はやかわ まおこ)さん

 

図書情報室

男女共同参画社会の実現を応援するため、約77,000点の資料を取りそろえています。図書は独自の分類で、雑誌や行政資料のほか、ビデオやDVDも所蔵。ジェンダーにとらわれずに描かれているコミックを館内で閲覧することもできます。

仕事と家庭の両立など、就職活動中の学生が将来を考えるうえで参考になる本や、女性はもちろん男性の生き方に関する本も充実しているから、とても役に立ちますよ。

立命館大学4回生

亀谷 祐貴(かめたに ゆうき)さん

 

 

施設情報

所在地 〒604-8147 京都市中京区東洞院通六角下る御射山町262

問合せ先 TEL:075-212-7490(代表)

ホームページ http://www.wings-kyoto.jp/外部サイトへリンクします

開館時間 【平日】9時〜21時 【日曜日・祝日】 9時〜17時

閉館日 毎週水曜日、12月29日〜1月3日

入館料 無料

地下鉄烏丸御池駅(5番出口)又は地下鉄四条駅・阪急烏丸駅(20番出口)から徒歩約5分

 

 

特集 LGBT等のセクシュアルマイノリティ(性的少数者)

ひとがつながり みんなでつくる やさしさあふれる 人権文化の息づくまち・京都

 

多様な性、知っていますか?

 

 「最近は、テレビでもオネェ系の人たちがいっぱい出てくるようになったよね。」「性同一性障害のこと、新聞で読んだよ。最近は時代も変わってきたよね。」「ニュースで海外の同性婚のこと、やってたよ!」……昨今では、同性愛や性同一性障害などの人たちを含む「セクシュアルマイノリティ」について、世の中で色々語られる機会が増えてきました。

 実は、セクシュアルマイノリティと呼ばれる人たちは、30人に1人くらいいると言われています。学校のクラスに1人くらいの割合。これは、とても身近なことだと思いませんか?「左利きの人たち」と実は同じくらいの割合で存在しているけれど、社会の偏見や無理解から、自分のことをなかなか言い出せずにいます。

 セクシュアルマイノリティの人たちが嫌がる言動には、誰もが嫌がる言動も含まれています。みんなが学びやすい環境・働きやすい職場作りを目指して、セクシュアルマイノリティについて、知ることから始めてみましょう。

 

“セクシュアルマイノリティ”ってどんな人たち?

 

(1)からだの性(身体的な性別)

生殖器や性染色体の形などによって分けられる性別。

※どちらかに分けられないインターセックス/性分化疾患の人たちも約2,000人に1人います。

 

(2)こころの性(性自認)

「自分は女である。」「自分は男である。」など、その人が自認している性別。

「からだの性」と一致していない人は、トランスジェンダー/性同一性障害(医学的な概念)と呼ばれ、約300人に1人います。

 

(3)好きになる人の性(性的指向)

恋愛感情を持つ相手の性別。「異性を好きになる人」が多いですが、そうでない人もいます。レズビアン/ゲイ(同性を好きになる人)、バイセクシュアル(恋愛感情等において性別を問わない人)、Aセクシュアル(恋愛感情や性欲が希薄な人)は、約40人に1人います。

 

 皆さんの「性」は、どんな在り方でしょうか?こうして改めて考えると、「性」とは簡単に「男か女か」で二分できるようなものではなく、個人によって少しずつ異なっていたり、一人の人間の中にも色々な面があったりするのが見えてきます。これらセクシュアルマイノリティの人たちを、最近では「LGBT」という言葉で表すことが増えています。

 

LGBTの基礎知識

 

LGBTは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)、T(トランスジェンダー)の頭文字を取って並べた言葉です。

 

L レズビアン(女性同性愛者):女性を恋愛や性愛の対象とする女性

G ゲイ(男性同性愛者):男性を恋愛や性愛の対象とする男性

B バイセクシュアル(両性愛者):男女どちらにも恋愛や性愛の対象が向く人


LGBTという言葉の最初の3文字は、「恋愛や性愛の対象とする相手の性別」(性的指向)に関するマイノリティを表しています。


T トランスジェンダー(性別越境者):出生時に割り振られたジェンダーと、自らのアイデンティティが一致しない人の総称。いわゆる身体の性別と心の性別が一致せず違和感を持つこと。

LGBTという言葉の最後の1文字は、「自分の性別をどう捉えているか。」に関するマイノリティを表しています。

「身体の性別と心の性別が一致しない。」というと、性同一性障害という言葉が思い浮かんだ方もいるかもしれません。性同一性障害は、トランスジェンダーの中でも、「医療を必要とする人たち」を指した医学的な概念になります。

 

LGBTの置かれている現状

 

 宝塚大学の日高庸晴氏らによる調査では、同性愛/両性愛の男性の場合には、約半数が「ホモ」「オカマ」などといじめられた経験を持ち、65%が自殺を考えたことがあり、15%が実際に自殺未遂を経験していることが指摘されています。

 LGBT等の性的少数者は人口の約3~5パーセントほど存在するといわれています。当事者の子どもの多くは思春期にかけて同性が好きであることなどを自覚し、メンタルヘルス上の危機を抱えやすくなります。しかし、子どもたちの声は、大人たちの知識不足や間違った思い込みから適切に受け止められないことが多いのです。教師や親も、適切な情報がないためにどう対応してよいか分からないし、叱責したり、かえって当事者を追い詰めるよう振る舞ったりする場合も多くあります。このように、どこにも相談できないことで不登校、抑うつ、自傷、家出、※自殺念慮、※自殺企図など、様々なリスクに高い確率でさらされていくことが考えられます。

 

※「自殺念慮」とは、自殺について思い巡らすこと。

※「自殺企図」とは、自殺しようとすること。

 

LGBTへの配慮

 

LGBTへの配慮についての取組の一例です。皆さんの身近な所から第一歩を踏み出してみませんか。

 

差別的な呼び方(ホモ・オカマ・レズ・オネエ)に注意しましょう。

 あなたの一言でLGBT当事者の心に大きな傷跡を残す可能性があります。冗談であってもこのような表現は慎みましょう。

 

いわゆる「ホモネタ」(LGBTをネタとした冗談やからかい)はやめましょう。

● おまえの仕草はオカマっぽいな。

● 結婚してないのはホモだからか。

● 女同士で仲良くしておまえらはレズか。

など、誰もが不快に思うような言動に気を付けましょう。

 

性の多様性に関する肯定的なメッセージを伝えてください

  「いろんな人がいていい。」という肯定的なメッセージを常に添えて、「いざとなったら相談できる人がいるんだよ。」というサインを出しましょう。

 

保健室、図書室などにポスターやチラシを置いてください

 周囲に対して正確な知識を提供し、真面目な話題として採り上げやすくなります。また、面と向かってカミングアウトができない人たちにも「ここは安全な場所だ。」というメッセージを伝えることができます。

 

 

文:明智カイト

いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン代表

 

 

 

《お知らせ》

講座開催の御案内 京都市主催 平成27年度 企業向け人権啓発講座

 

参加費無料

 

※対象は、京都市内に事業所を持つ企業等の経営者層、人事・総務責任者、人権研修推進者等です。

 

第8回 講演及び事例発表

どうすれば日本(京都)で「ワーク・ライフ・バランス」が実現するか~ヴァカンス大国フランスとの国際比較から見える課題について~

 フランスとの比較を中心に、多様な働き方について調査・研究をしてこられた講師からの講演とワーク・ライフ・バランスの推進に積極的に取り組む企業からの事例発表を通じて、我が国において見直すべき課題について共に考えましょう。


●日時 平成27年12月14日(月曜日) 午後2時~午後4時30分

●場所 京都私学会館 大会議室(下京区室町通高辻上る山王町561番地)

●講師 藤野 敦子(京都産業大学経済学部 教授)

●事例発表 株式会社藤井大丸*、日栄無線株式会社

 *6~7ページに紹介記事があります。

●定員 100名(先着順)

●申込期間 平成27年8月20日(木曜日)~平成27年12月7日(月曜日)

(中小企業庁委託事業)

 

第9回 シンポジウム

京のまちで“障害のある方への配慮や工夫”を!~いよいよ障害者差別解消法が施行~

 平成28年4月から障害者差別解消法が完全施行されます。障害のある人にとって何が障壁なのか?
 それを取り除くための「合理的配慮」とは何か?共に考えましょう。


●日時 平成28年1月29日(金曜日) 午後2時~午後4時30分

●場所 京都市男女共同参画センター ウィングス京都 イベントホール

(中京区東洞院通六角下る御射山町262番地)

●基調講演 谷口 明広(愛知淑徳大学福祉貢献学部 教授)

●パネリスト 障害当事者、企業関係者、行政関係者 ほか

●定員 240名(先着順)

●申込期間 平成27年11月19日(木曜日)~平成28年1月22日(金曜日)

(中小企業庁委託事業)

 

第10回 地域の集い

第21回 ふしみ人権の集い~人権文化のまちをひとりひとりの心から~

‐学ぼう!平和と平等 受け継ぎ、伝え継ぐために‐

 伏見区内の企業約100社・学校・区民・行政が手を携えて取り組んでいる地域の集い(主催「ふしみ人権の集い実行委員会」)に参加し、地域社会の一員として企業にできることについて共に考えましょう。


●日時 平成28年2月20日(土曜日) 午後1時30分~午後4時30分

●場所 京都市呉竹文化センター ホール(伏見区京町南七丁目35番地の1)

●内容 【1部】活動報告 学習会など今年度の活動や取組について

【2部】記念公演 「2016年 いま私たちの音楽を通して伝えたい想い(おもい)!」

出演 小室等 ほか

●申込不要 参加の事前手続は不要です。当日受付で参加票(ホームページで入手)を御提出ください。先着順で入場いただきます。満席になれば、入場をお断りする場合がありますので、あらかじめ御了承ください。手話通訳が必要な方は、当日受付でお申し出ください。

(中小企業庁委託事業)

 

申込方法

京都市ホームページ(企業啓発担当)から入手した申込書に必要事項を御記入のうえ、FAXで申し込んでください。(第10回を除く。)

FAX 366-0139(お問合せはTEL 366-0322へ)

 

※各会場などにお越しの際は、公共の交通機関を御利用ください。

※手話通訳・要約筆記を必要とされる方は事前にお申し込みください。(第10回は当日で可。)

※定員を超えた場合は、その旨をホームページに掲載し、受付を終了しますので、あらかじめ御了承ください。(第10回を除く。)
※頂いた個人情報は、京都市個人情報保護条例に基づき、他の目的には使用しないとともに厳重に管理します。

※詳細につきましては、京都市人権文化推進課のホームページから「企業啓発」のページを御覧ください。
 また、過去の「企業向け人権啓発講座」の講演録等も公開していますので、御参照ください。


 

人権啓発サポート制度

 

人権に関する研修を行われる際に、実施方法やテーマ選定の相談、講師の派遣、ビデオやパネルの貸出し、資料の提供などを行っております。お気軽に御相談ください。

(申込み及び問合せは、下記課名及びTEL・FAXのとおり)


 

御利用ください!! 企業向け人権クイズ

 

人権研修のノウハウがなくても、時間に制限があっても、15分程度で手軽に研修が行えるクイズ形式の教材と実施マニュアルを作成しました。「人権クイズ」で社内研修をやってみませんか?

ホームページ 「京都市:トップページ(https://www.city.kyoto.lg.jp/ 又は上記名称で検索)」から画面上部「暮らしの情報」→「人権▶企業啓発」→「人権啓発サポート制度」→「人権クイズ」を御覧ください。


 

編集後記

 

 秋もすっかり深まり、「師走(しわす)」の足音が近付いています。「師走」の語源は諸説あるようですが、文字どおり読めば、「師(先生)さえもが忙しく走り回る」です。今年最後の締めくくりの月、来るべき2016年に向け、皆様方も日々忙しく走り回られることと思いますが、少し立ち止まって、身近な「人権」について考えてみませんか。12月は「人権月間」なのですから。

 

人権総合情報誌 きょう☆COLOR vol.3 (発行 平成27年11月)

発行:京都市 文化市民局 くらし安全推進部 人権文化推進課

☎ 075-366-0322 FAX 075-366-0139

〒604-8091

京都市中京区寺町通御池下る下本能寺前町500番地の1 中信御池ビル6階

URL https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/soshiki/6-2-3-0-0.html

この冊子はホームページでも御覧いただけます。また、区役所・支所地域力推進室、市役所案内所ほかで配布しています。

 

この印刷物が不要になれば「雑がみ」として古紙回収等へ

京都市印刷物第273107号

お問い合わせ先

京都市 文化市民局共生社会推進室人権文化推進担当

電話:075-222-3096

ファックス:075-366-0139

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