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区政改革に向けた今後の取組 目的

ページ番号4396

2012年3月27日

1 区政改革の目的

 本格的な地方分権の時代を迎え,その精神を踏まえた大都市における行政区の役割についての確固たる考え方を確立することが必要である。また,高度情報化の進展,区民によるまちづくりの活動の多様化,少子・高齢化など暮らしの多様化といった社会情勢の変化を踏まえ,市民にとって最も身近な行政機関である区役所の在り方も変化していかなければならない。
 本市では,これまで,各行政区を単位として,地域の個性を生かしたまちづくりを推進することを目標に,「個性あふれる区づくり推進事業」の創設や各区基本計画の策定等を行うとともに,地域の総合行政機関としての区役所の機能強化(いわゆる「大区役所制」の推進)及び総合庁舎化を推進してきた。
 しかしながら,今日,特に区民との関係において,次のような課題がある。
(1)市民サービスの質の向上と提供方法の改善
(2)NPO等も含む幅広い地域の活動団体とのより一層の連携・協働の推進による,区民参加の推進,区民ニーズの的確な把握及び市政への反映
(3)区民との協働による各区基本計画のより一層の推進
(4)各区の特性に応じたサービス提供のための区役所独自の執行体制や取組の検討
 区政改革は,これらの課題の解決を目指し,京都市基本計画に掲げる「各区の個性を生かした魅力ある地域づくりの拠点としての区役所機能の強化」や京都新世紀市政改革大綱に掲げる「市民の目線で良質なサービスを提供する区役所づくり」の趣旨を,より一層推進していくための取組と位置付けられる。

 

2 検討の経過

 区政改革を達成し,今後の目標となる区役所の在り方やその実現に向けた具体的な方策を明らかにするため,平成14年8月,庁内に「区政改革検討委員会」(以下「委員会」という。)を設けた。また,併せて,市民・学識者の参画により,総合的・中長期的視点から行政区及び区役所の将来像について検討する「京都市行政区制度検討調査会」を平成14年10月に設置した。
 委員会では,まず改革のスタート地点とゴール地点のイメージを明らかにすることから着手し,最初の一歩を踏み出す取組を明確化するため,委員会幹事会(部長級で構成),検討部会(課長級で構成),検討部会ワーキングチーム(課長補佐級以下(公募職員を含む。)で構成)での検討を重ね,平成15年6月に,主に市民サービス向上の取組を中心としたとりまとめを行うとともに,順次,その実施に着手してきた。
 以降,引き続き,区役所機能及び区長権限の強化に係る方策を明らかにするため,検討を行ってきたものであり,この度,「京都市行政区制度検討調査会」の報告及び検討の経過を踏まえ,今後における区政改革の取組をまとめるものである。

 

3 基本的な考え方

 今後,区役所が区民主体で行う地域のまちづくりの拠点として,各区基本計画をより一層推進し,個性あふれるまちづくりの取組を展開していくには,地域のニーズを的確に市政に反映させていくことが必要である。そのためには,区行政の総合性の向上を図りつつ,区長権限,区役所機能の強化を図っていかなければならない。更に,それら権限や機能が十分に発揮できるよう,まず,市政を推進するうえで区行政及び区役所の果たす役割を明確に位置付けることが肝要である。
 一方,厳しい財政状況を踏まえ,限られた行財政資源の効率的かつ効果的な配分を図る視点から現在の区役所の組織や業務の見直しを行い,より一層の効率化を推進する必要がある。
 更に,区政改革の取組を実効性のあるものにするためには,職員一人一人の意識改革をより一層進めることが必要であり,職員一人一人が,各区基本計画の推進や市民サービスの向上など,積極的に区政改革に取り組むことが不可欠である。
 このことを踏まえ,次に掲げる基本的な考え方に基づき,区政改革の具体的な取組を推進していく。

 

(1)地域の視点に基づく行政経営方法の改革
ア 各区基本計画のより一層の推進に向けた取組の重点化
 区民の主体的な活動と行政とのパートナーシップにより,行政区のまちづくりを進めていくうえでは,目指すべき将来像とその実現に向けた取組の方向性を明確にする必要がある。そのため,本市では,区民とともに実現を目指す行政区のまちづくりの将来像を掲げた各区基本計画に基づき,行政区の個性を生かした魅力あふれるまちづくりを推進しているところである。
 今後,各区基本計画のより一層の推進を図っていくこととしているが,同基本計画に掲げる政策や施策は,市政の各分野に及ぶ幅広いものとなっている。したがって,同基本計画の進ちょく状況を的確に把握し,特に重点的に取り組むべき事項を明確にしたうえで,これらを予算編成等に的確に反映させていく。
 更に,それら重点課題の解決に向けて,区行政の運営方針を策定し,その推進を図る。

イ 区民の意見を市の意思形成過程に反映させるための仕組みづくり
 区役所では,市政協力委員等を通じて,行政区の課題や区民要望などを把握しており,その解決に向けて,必要に応じて各局との協議,調整を行っている。
 しかしながら,予算編成などの市としての意思形成過程において,地域の視点からの意見等を反映させる仕組みが明確になっているとは言えない。
 また,各区基本計画に掲げる政策,施策は,各区の地域特性の違いにより達成目標や優先順位が異なるため,区民の意見等を基に施策の重点化を図ることにより,予算編成や各種事業計画の策定などに十分反映していくことが求められる。
 今後,区役所が区民の意見等を的確に市政に反映していくとともに,区役所の行う業務について,全市的な公平性を確保しつつ,各行政区の地域の実情に応じたきめ細かな施策,事業を推進していくことが必要である。
 このため,区役所の総合的・横断的な政策の企画機能の充実及び事業実施に係る裁量の拡大と併せて,市の意思形成過程において,地域課題の解決や要望等の実現に向けた各局との協議,調整の過程を制度化し,市政各部門との連携を強化し,地域ニーズを予算編成や各種事業計画の策定等により一層反映させていく。

 

(2)区行政の総合性向上のための組織運営方法の改革
 区行政には,区民の生活にかかわるあらゆる分野に及ぶ総合性が求められる。このため,本市ではこれまで,区役所に福祉事務所及び保健所を移管するなど,いわゆる大区役所制を推進してきたところであり,今後,各区基本計画を指針とする行政区のまちづくりを推進する観点から,区役所の各部署間における課題の共有と相互連携を一層強固なものとし,実効性を高めることが必要である。
 一方,これまで以上に区役所の組織を拡大することは,組織運営の効率性の観点からは望ましいとは言えない。行政区内には,市民生活に身近な業務を行う各種行政機関等が設置されており,これらの機関の連携を緊密なものとすることで,区民生活全般に渡る総合性を発揮することが可能である。
 現在,区役所と関係行政機関との間においては,行政区内の課題解消に向け,区役所の依頼に基づく措置の実施のほか,対応策の協議,調整が日常的に行われているものの,各行政区に設置されている「区行政連絡協議会」の活動状況としては,行事予定の連絡に止まっているものも見受けられる。
 このため,区長のリーダーシップの下に,区役所各部署間の連携を一層強め,また,区行政に関連する行政機関等との分野横断的な協議,調整を図る場の充実を図ることにより,区行政の総合性を更に高める。

 

(3)区民の目線に立ったサービスの改革
 区役所は,地域における行政機関として市民生活に身近で,きめ細かな総合的行政サービスを提供しており,窓口業務を中心とした市民応対や行政サービスの内容を改善・向上していくことが大きな課題である。区政改革第一次集約では,「市民サービス向上計画」の実施や昼休み窓口の拡大など市民サービスの向上を目指した取組を行うこととしたが,より一層の改善を目指し,更なる取組を推進していく。

 

(4)行財政運営の一層の効率化のための業務,組織の改革
 本市を取り巻く財政状況は厳しさを増しており,より一層の行財政運営の効率化が不可欠である。したがって,これらの制度・仕組みを構築していくうえでは,今後,一層厳しさを増す行財政資源の枠の中で,その配分を見直すことにより達成していかなければならない。すなわち,市民サービスの向上を図りつつ,区役所等の行政の現行の業務,組織などの見直し,効率化を図り,そうして生み出された行財政資源を,今後の区役所に求められる機能を発揮するうえで必要となる部分の強化に充てていくこととする。

 

4 具体的な方策

 上記の基本的な考え方に基づき,また,「京都市行政区制度検討調査会」の報告を踏まえ,下記(1)~(5)のとおり,今後速やかに実施すべき取組の内容と骨子を掲げ,早期の具体化に向けて検討を進める。

 

(1)各区基本計画の推進と区民の声を市政に反映するためのシステムの構築
 ア システムの概要
 厳しい財政状況の中,各区基本計画に掲げる政策,施策及び行政区内の課題解決に必要な措置を,市の政策や予算に的確に反映していくためには,区役所が各区基本計画の進ちょく状況を把握し,区民とともに評価すること,また,区民の意見を踏まえ,重点的に取り組むべき項目を明らかにすることが不可欠である。区民の声を基に抽出した重点的に取り組むべき項目を実現するためには,市の政策形成及び予算編成に,区役所が関与していくことが必要である。このため,区民の声に基づいてとりまとめた区行政重点課題を市長に説明するなどにより,市の政策への反映を求めるとともに,具体的な施策,事業の実施を担う各局等に対して,必要な措置等の要請を行う過程の制度化が求められる。
 また,区長の下に区行政の総合化を図る観点から,区行政に関する情報の区長への集約を行うとともに,各局等の行う事業に,行政区の実情や区民の意見を反映していくことが求められる。このため,各局等が行政区内で実施する主要事業等のあらかじめ定められた項目に関して,区長への事前協議を制度化するなど,行政区にかかわる事務事業の実施に区役所が関与する過程を明確化する。なお,こうした区長,区役所の市の政策形成及び予算編成にかかわる仕組みの構築に伴い,区長による市会での説明を行うことについても検討していく。
 更に,区長は,区行政推進の理念や基本姿勢と単年度ごとの重点的取組項目・事業からなる「区運営方針」を策定するとともに,広く区民に公表する。

 

各区基本計画の推進と区民の声を市政に反映させるためのシステムのイメージ

 

イ 各プロセスの具体的取組
(ア)区行政重点課題の抽出
 区民の意見を市の意思形成過程に反映させるため,各区基本計画推進組織等での議論を踏まえ,局の方針や予算編成への反映を求める事項からなる区行政重点課題をとりまとめ,上局への説明及び各局等への通知を行う。各局等は,それが区民の声に基づき区として十分検討されたものであることを踏まえ,局の方針及び予算等に反映させるよう努める。

 

<対象及び手法,手順の骨子案>

a 対象
 各区基本計画に掲げる政策,施策及び行政区内の課題解決に必要な措置のうち,重点的に取り組むべき事項で,局の方針や予算編成への反映を求めるもの
b 手法,手順
(a)重点取組事項の収集
 市政協力委員等からの要望等に基づき,各区基本計画に掲げる政策,施策及び行政区内の課題解決に必要な措置のうち,重点的に取り組むべき事項を収集する。
(b)区行政重点課題の抽出
 各区基本計画推進組織等の意見を基に,「区役所経営会議(仮称)」及び「区行政推進会議(仮称)」(10ページ参照)での検討を行ったうえで,区長がとりまとめる。
(c)上局への説明
 上局に対して説明を行うとともに,各局等に通知し,必要な措置等の実施を要請し,調整を行う。(新規項目については,区政策提案予算への反映を検討する。)
 また,各局等は,それが区としての十分な検討が行われたことを踏まえ,局の方針及び予算等に反映させるよう努める。

 

(イ)区政策提案予算システムの創設
 区役所が,各区基本計画推進や行政区内の課題解決等の観点から政策,施策の提案を行うとともに,具体的な事業実施に要する予算の要求を行う。
 各局等は,当該事業の実施権限に応じて,各区役所に対してヒアリング又は協議,調整を行い,計上された予算は,区役所又は所管局に配当する。

 

<対象及び手法,手順の骨子案>
a 対象
 区行政重点課題として掲げる項目

b 手法,手順
(a)事業の実施権限が区長にあるもの(区役所業務)
 区役所が,戦略的予算編成システムにおける政策重点化枠での予算要求を行う。理財局に要求書を提出し,理財局査定及び市長査定を経て計上された予算は,区役所に配当し,区長権限で執行する。

  • 区役所で予算要求書を作成する。なお,要求内容に各局等所管事業とのかかわりがある場合は,事前に調整を行う。
  • 文化市民局でとりまとめのうえ,理財局へ提出する。
  • 各局等の政策重点化枠要求と同様に,理財局が各区役所からヒアリングを行い,理財局及び上局の査定を経て,市の予算案として確定する。

(b)事業の実施権限が各局長等にあるもの(各局等の所管業務)
 区役所から事業所管局に対して,各局等の枠配分予算での予算計上又は政策重点化枠での予算要求の実施を要請する。要請に当たっては,区役所と事業所管局等との協議・調整の場を設定する。

  • 区役所で,事業の概要,実施期間,必要性,目的,見込まれる成果及び見込所要額を記入した「施策・事業提案調書」を作成する。
  • 文化市民局でとりまとめのうえ,事業所管局に提出する。
  • 区長から事業所管局の局長に対して趣旨を説明した後,課レベルで詳細ヒアリングを実施する。
  • 各局は,「施策・事業提案調書」を各局配分枠予算計上対象分と政策重点化枠予算要求対象分に分類する。各局配分枠予算対象分については,予算措置の状況を,政策重点化枠対象分については予算要求状況及び内容を,各区役所に報告する。
  • 各区役所は,必要に応じて理財局ヒアリングに出席し,復活要求においても,必要に応じて区長が出席して区の実情などの説明を補足的に行う。

 

(ウ)区役所業務関連予算の一元化・枠配分
 各局等が所管する区役所業務関連予算の費目を一元化して区役所配分枠として配分し,区役所が所管局の設定する一定の幅の範囲内で,行政区の実情に応じた事業展開のための区役所独自取組を企画,実施する。
 ただし,現在,予算編成システムの変革期であること等を踏まえ,十分な検討が必要である。

 

<対象及び手法,手順の骨子案>

a 対象
 区役所の実施権限に属する業務で,各局等からの令達又は配分により,区役所で執行している経費
 例:区役所各課の経常事務費及び経常的事業の実施・広報経費
  「個性あふれる区づくり推進費」等の区役所独自事業経費 など
b 手法,手順

(a)区役所関連事業経費の抽出
 各局等の所管する事務事業で区役所への令達により実施しているもので,各区役所の裁量に委ねることによる支障がない経費を抽出する。

(b)所管局から区役所への枠配分及び事業実施資料の通知
 各局は,これまでの実績を踏まえ,区役所との調整のうえ,区役所ごとの枠配分額を決定するとともに,当該事業の趣旨や目的,実施上の留意点などを実施資料としてとりまとめて,各区役所に通知する。
(c)区事業実施計画の策定,枠予算の編成
 区役所において,区運営方針及び各局からの事業実施資料に基づき,区事業実施計画を策定するとともに,区枠配分予算編成案を作成し,事業所管局及び理財局に提出する。
(d)各局の確認
 各区役所から提出された区事業実施計画及び区枠配分予算編成案について,各事業所管局で事業実施資料との整合性を確認する。また,理財局に各区枠予算編成案を確認した旨の通知を行う。
(e)市長,上局の確認,市予算案の確定
 各局の各区枠予算編成案について,市長及び上局の確認を経て,市予算案として確定する。

 

(エ)区行政関連事項の事前協議
 「京都市事務分掌規則」において,局長は行政の総合化を図るため,区行政に係るもので重要と認められるものについては,あらかじめ区長と協議しなければならないとなっており,区長会での協議や個別の協議が行われているものの,そのシステムが明確なものとはなっていない。
 このため,今までの取組に加え,各局等が行政区内で実施する事業等に係る予算の執行に関して,区長への事前協議など,区役所が関与する過程を明確化し,区行政に関する情報の区長への集約を行うとともに,行政区の実情に応じた予算執行を行う。

 

<対象及び手法,手順の骨子案>
a 対象
 各局等が実施する事務事業のうち,行政区に関連するもの
 例:各区基本計画に関する事務事業
  各区運営方針に定めるべき事務事業
  その他,新規に実施される重要事務事業
b 手法,手順
(a)各局等の予算要求内容の情報提供
 各局等が行う政策重点化枠での予算要求のうち行政区にかかわるものについて,理財局への予算要求や市原案内示の時点で,区役所に情報提供し,必要に応じて協議,調整を行う。
 
(b)各局等の配分枠予算案の情報提供
 各局等の配分枠予算案のうち,行政区にかかわるものについて,理財局への提出時及び市長・上局確認の各時点で,区役所に査定状況等の情報提供を行う。
(c)重要事務事業の説明
 各局等の重要事務事業について,市予算案の市会への提出時点で各区役所への通知,説明を行う。
(d)各局方針の策定時の区役所との事前協議
 区役所に対し,各局の方針の策定段階での情報提供を行うとともに,区運営方針に掲げるべき施策等のうち,各局等の所管に係る事項の反映について協議,調整を行う。また,策定された局の方針は,各区役所に通知する。
(e)行政区にかかわる事業計画の事前協議
 各局等の実施する事務事業のうち行政区にかかわるものについて,行政区の実情に応じたものとなるよう,区役所に事業の内容や手法,実施場所などの情報提供を行うとともに,必要な協議,調整を行う。

 

(オ)区運営方針の策定,公表
 区行政運営の理念及び中期的な展望を踏まえた単年度ごとの重点取組項目,各区が主体的に進める事業及び区民とのパートナーシップにより進める事業からなる区運営方針を策定する。
 また,この方針は,ホームページを活用するなどにより,広く区民に公表するとともに,区民とともに,その進ちょく状況の確認及び評価を行う。

 

<対象及び手法,手順の骨子案>
(ア)対象
 区役所が主体となって解決に向けて重点的に取り組む行政区内の課題,区民とのパートナーシップにより取り組む事業,区役所が実施する業務及び市民サービス向上の取組
(イ)手法,手順
 a 区運営方針の策定
  区行政重点課題を踏まえ,区長が策定する。策定に当たっては,各区基本計画推進組織等での区民の意見や区行政推進会議(仮称)等での関係機関の意見を尊重する。
 b 区運営方針の公表等 
  区運営方針は,市民しんぶん区版やホームページ等を活用して広く区民に公表する。区長は,その説明責任を果たすとともに,区民の参画の下に,進ちょく状況の確認や評価を行い,今後の区行政運営に反映していく。

 

(2)区の独自性を発揮し,総合性の強化を図る組織づくり
 ア まちづくり担当部署の再編
  現在,各区基本計画に係る進行管理や同計画推進会議の運営等は企画総務課で,区民参加事業の実施や区内で活動する様々な団体との連絡調整,区民からの要望等の把握等は地域振興課で,それぞれ行っている。
  今後,各区基本計画をより一層推進していくため,例えば,各区基本計画の進行管理等と区民の各種活動団体との連絡調整等を同じ部署で行うなど,各区の状況に応じて,柔軟にまちづくり推進体制を編成することにより,区民主体で行う地域のまちづくり活動の支援の拠点としての区役所機能を強化していく。
  併せて,平成15年度には,「市民参加推進条例」の制定や「市民活動総合センター」の開館など,市民参加推進のための制度的基盤を整えたところである。今後,市民参加がより一層広がりを見せていく中で,区民とのパートナーシップにより,地域のまちづくりの取組を展開していく必要性が高まることを踏まえ,区役所・支所がこれまでから行ってきたまちづくり活動への支援を区役所・支所の所掌業務として明確に位置付ける。
  また,市民の主体的な活動の支援を行うため,市民参加推進計画にも掲げられている学区担当制の導入に向け,検討を行う。

イ 「区役所経営会議(仮称)」の設置
 各区基本計画の推進,「区運営方針」に基づく業務の運営・改善,部門間の連携をより一層促進し,大区役所制の実効性の向上を図る必要がある。
 このため,区長をはじめとする部長級,課長級職員が,区民を顧客として捉え,より満足度の高いきめ細かな行政サービスの効率的な提供を目指し,業務・組織を運営するという区役所経営の観点から,行政区の課題の認識を共有するとともに,区役所の業務,組織の運営に係る方針の確認と,その推進のための各部署間における協議,調整を行う「区役所経営会議(仮称)」を設置する。

ウ 「区行政推進会議(仮称)」の設置
 行政区内に設置されている各種出先機関等のほか,区行政に関連する各種行政機関等との連携を緊密なものとし,区長のリーダーシップのもと,区民生活全般に渡る総合性を発揮するため,行政区内の情報の共有と課題解決に向けた分野横断的な協議,調整を行う「区行政推進会議(仮称)」(以下「推進会議」という。)を設置する。

 

<構成及び事務の骨子案>

(ア)構成
  推進会議は,下記に掲げる機関等で構成することを基本として,各行政区の状況に応じて,区長が具体的な構成員を決定する。
 a 区役所及び区関係市行政機関
  区役所(区長・支所長,副区長・副支所長,関係課長),まち美化事務所,土木事務所,消防署,小学校等の教育機関,本庁関係部署,その他行政区内の事業所等
 b その他区長が必要と認める機関
  本市以外の関係機関(警察署,大学等の教育機関など)
(イ)事務
  推進会議では,主に下記に掲げる項目を行う。
a 区民からの要望等に基づく課題への対応の要請及び措置状況の報告
b 区行政重点課題及び区運営方針の検討
c 各区基本計画推進組織や地域活動団体等への支援(個別事業への協力,各機関の権限で実施可能な内容など)
d 区行政の状況把握のための情報交換(区民要望等への対応状況,各機関で把握する区民意見等の共有,区民意見への対応方法や回答内容の協議,各機関が所管する各区基本計画関連事業の進ちょく状況の報告など)
e 現行の各区基本計画期間終了後のまちづくり指針の策定に向けた準備

 

(3)区民の目線に立ったサービスの改革のための取組
 平成15年6月にとりまとめた「区政改革第一次集約」においては,「早期に取り組む項目」として,昼休み窓口の拡大など,主に市民サービスの向上を目指した項目を掲げ,これまで,その実施に取り組んできているところである。
 それらの項目の中には,区役所・支所において,窓口応対等の更なる向上を目指して,職員自らが課題を出し合い,その解決に向けた取組を進めている「市民サービス向上計画」など,職員の意識改革に結び付く事例も見られる。
 今後とも,第一次集約に掲げた取組を継続・発展させていくことはもちろんのこと,「京都市行政区制度検討調査会」の報告で示された取組等について,その具体化に向けた検討を行うとともに,順次,実施していくことにより,区民の目線に立った満足度の高いきめ細かな行政サービスを提供していく。

 

「区政改革第一次集約」に掲げた市民サービス向上の主な取組項目

 

【具体化の検討を行う「京都市行政区制度検討調査会」報告で示された市民サービス向上の主な項目】

  • 電子申請・電子届出,証明書の自動交付機による交付の実現等
    高度情報化技術を活用した,インターネットによる電子申請や電子届出,自動交付機による各種証明書交付など,ワンストップ,ノンストップの電子自治体サービスを実現するため,電子自治体の確立に向けて積極的に取り組むことが望まれる。
  • 総合案内の実施
    コンシェルジュ(総合案内人)の配置などにより,来庁者の用件を聞いて担当窓口を案内するなど,利用者の立場に立ったサービスの提供を行う。
  • ホームページの充実
    現在の各課・窓口別の業務内容の案内から,各種届出や証明書の交付などの用件別に,手続きの内容や窓口の場所,開設時間,必要な書類などを案内するなど,利用しやすい業務案内となるよう充実を図る。
    など

 

(4)行財政運営の一層の効率化に向けた業務,組織の見直し
 「京都市行政区制度検討調査会」の報告の趣旨を踏まえ,今後,「区政改革推進委員会(仮称)」(14ページ参照)において,早期に検討を行うこととする。

京都市行政区制度検討調査会報告

 

(5)区役所・支所の親しみやすい呼称
 区政改革を推進することで実現を図る「新しい区役所」像を市民に示していくことと合わせて,市民に親しみやすく,新しい区役所・支所にふさわしい呼称の公募を行う。

 

5 継続的取組のために

(1)区政改革の推進に向けた規則等の制定

 以上の区政改革の取組を推進するために,既存の規則等の改正を行うとともに,区行政の総合化及び区役所機能の強化に関する規則等を新たに制定する。
また,これまでから行っている関係機関との個別的な協議,調整などにより,課題の解決が図れるものについては,それらの取組をより一層十分なものとしていく。
 なお,規則等の制定に当たっては,各区役所の独自性を十分発揮できるような体系にすることが必要である。
更に,今年度から区長による幹部職員の指名人事や職員定数枠配分方式など,区長の人事,組織に関する権限強化の端緒となる手法がとられたところであり,今後,更に,各区役所の独自性を発揮していく観点から,これらの権限の在り方について,検討を継続していくこととする。

 

(2)市政改革の重点項目としての位置付け
 これらの取組は,区役所のみの体制・制度等の改編だけではなく,全庁的な取組によってその趣旨が実現されるものである。このため,平成16年度中に策定予定の次期市政改革の実行計画において,重点的取組として明記する。

 

(3)具体的取組の継続的検討,推進体制
 「京都市行政区制度検討調査会」の報告を踏まえ,今後,更に,行政サービスの向上,権限,区役所機能の強化及び業務・組織の効率化などに関する具体的取組の検討を継続するとともに,具体化された取組の推進と進行管理を行うため,各局区の主体的な活動を基本とする体制の構築を行う。

 

ア 区政改革推進委員会(仮称)
 現在,設置されている「区政改革検討委員会」を「区政改革推進委員会(仮称)」に改称し,全庁的取組項目の検討を引き続き行うとともに,具体化された取組の進行管理として,総括的な取組推進のガイドラインの策定,達成目標の設定と評価(アウトプット評価:具体的取組の進ちょく状況,アウトカム評価:目標に照らした達成度評価)を行う。
 また,この組織は,新たな都市経営戦略推進体制における都市経営調整会議のうち,市政改革調整会議の部会として位置付ける。

 

イ 区政改革推進部会(仮称)
 「区政改革推進委員会(仮称)」の実働部隊としての機能を担うため,局区の部長級,課長級及び係長級などの職員による,職階横断のプロジェクト形式による部会を編成する。取組項目ごとに局区の役割分担,目標設定,評価指標の調製等を行い,取組状況,達成状況等を集約し,「区政改革推進委員会(仮称)」に報告する。また,各局区の改革行動計画策定の支援を行う。

 

ウ 各局区における区政改革推進体制
 「区政改革推進委員会(仮称)」において決定された区政改革の取組は,各局区に設置する市政改革推進体制において,主体的に推進する。
各区の推進体制においては,「区政改革推進委員会(仮称)」が提示する総括的な取組推進のガイドラインに基づき,各区における改革の具体的な内容や実施時期をとりまとめた「改革行動計画」を策定するとともに,区運営方針の中に位置付けるなどにより,区民に明らかに示していく。
 各局の推進体制においては,区政改革の推進が,市行政全般の改革につながる課題であるとの認識の下,「区政改革推進委員会(仮称)」の提示する改革への取組を推進する。
 なお,区政改革の推進状況は,定期的に「区政改革推進委員会(仮称)」に報告するものとする。

 

区政改革推進体制

6 取組の実施計画
  
 「京都市行政区制度検討調査会」報告は,主に,行政内部の制度・仕組みの整備を集中して行う「基礎づくり期(平成16~18年度)」と,これらの定着を図るとともに,継続して区民のまちづくり活動への支援,協働の仕組みを整備する「始動・定着期(平成19~22年度)」の段階を経て,「新しい区役所」への移行を行うことを求めている。
 今回着手する取組は,行政内部での改革を集中して行う「基礎づくり期」に該当するものであることから,平成16~18年度の3箇年で実施していくものとする。なお,取組ごとの推進指標の設定と年度単位での進行管理は,「区政改革推進委員会(仮称)」で行う。
 また,こうした取組と並行して,「京都市行政区制度検討調査会」の報告で示された「始動・定着期」の段階を含む取組項目について,その具体化に向けた検討を継続し,地域における住民主体のまちづくりの機運の高まりなど,地域の実情に応じて,順次,実現を図ることとする。

 


 

取組の実施計画
「新しい区役所」の「始動・定着期」の段階を含む取組

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お問い合わせ先

京都市 文化市民局地域自治推進室区政推進担当

電話:075-222-3048

ファックス:075-222-3042

メールアドレス:[email protected]

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