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門川市長記者会見(2018年12月12日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2018年12月12日)

本庶佑氏の京都市名誉市民の内定について

 ノーベル賞を御受賞されました本庶佑先生に敬意を表し,改めてお祝いを申し上げたいと思います。そして,本日は,市会の議決をいただいたうえで,京都市名誉市民の称号をお贈りし,表彰させていただくことを決定しましたので,お知らせさせていただきます。

 受賞会見,また,昨日の授賞式,改めて感動いたしました。本庶先生は,このようなコメントをされていました。「名も知らない人が,突然に声をかけてこられて『自分は肺がんで,これが最後のゴルフだと思っていたけども,あなたのお薬のお陰で,これからもゴルフができる』と言われた。これ以上,自分としての幸せはない。自分の生きてきた存在として,これほど嬉しいことはない。正直いって,どんな賞をもらうよりも,そういう患者さんの声が嬉しい。」と。本庶先生の「患者さんをガンから救いたい」という熱いお気持ちが伝わってまいります。

 本庶先生が発見されたのは,単なる「がん治療薬」ではありません。人々が希望を見出すお薬でもあります。この治療薬が世界の人々に希望を与えている。

 昨日の授賞式の様子も拝見させていただきました。川端康成先生以来の和装姿での御出席です。日本人ならではの堂々とされたお姿。日本の伝統産業,伝統文化は厳しい状況にありますが,その姿を見て,多くの日本人が勇気付けられたことと思います。

 本庶先生は京都でお生まれになり,医者であるお父上の仕事の関係で山口県に移られた後,医師として人を救いたいという思いから,京都大学医学部で学ばれ,永年にわたって私たちのまち京都で,研究に励んでこられました。私たち京都市民の喜びであり,また,誇りであります。

 本庶先生と京都市の関係につきましては,平成14年に策定しました「京都バイオシティ構想」の策定委員,そして,その構想を実現するための「医工連携プロジェクト検討委員会」では,座長をお務めいただきました。さらに,事業総括を努めていただいた「京都市地域結集型共同研究事業」では,様々な分野で取り組みが進み,平成23年4月には,京都大学の中に開設された「先端医療機器開発・臨床研究センター」内に「京都市医工薬産学公連携支援オフィス」を設置しました。医学・工学・薬学分野の研究者と京都の企業,これを結んで,ライフサイエンス分野の研究成果を事業に結び付けていく取組が広がっております。時あたかも,「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマの下で,大阪・関西で,万博の開催が決定しました。京都・関西を拠点にしまして,命の課題,ライフサイエンスに取り組んでこられた本庶先生の御功績も大きいものと感じております。

 こうした御功績と,京都市への永年の御尽力に対し,平成26年の自治記念式典において,京都市特別功労賞を既にお贈りしております。そして,今回,京都市の最高の栄誉である名誉市民としての称号をお贈りすることにいたしました。先生の高潔なお人柄,さらに多くの実績,そして親しみやすさは,市民の尊敬を集めておられます。京都市の名誉市民に相応しい方であると感じております。

 来年2月の市会に議案として提案し,御同意いただいたうえで,表彰させていただきたいと思います。私からは,以上でございます。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(本庶佑氏の京都市名誉市民への内定について)

記者 

 名誉市民の称号を贈る件について,市長御自身がお伝えした時に,本庶先生からどういった言葉がありましたか?

 

市長 

 京都賞の時に,お時間を取っていただき,名誉市民の件をお伝えしました。本庶先生は非常に喜んでいただきました。「しかし今は,ノーベル賞の授賞式に意識を集中したいので,名誉市民の称号をいただくのは,その後にしてほしい。」と仰っていましたので,来年2月以降にお送りすることとしました。

 

記者 

 本庶先生が,授賞式等で燕尾服ではなく和服で出席されたことは注目を集めました。市長も和服がトレードマークですが,改めて和服に注目が集まったという点について感想があればお願いします。

 

市長 

 嬉しいですね。あの厳かな華麗な式典の場に,本庶先生のお姿と,黒の紋付羽織袴,御令室の和服も非常に合っていると感じました。

 こんなことを仰る方がおられました。「男性の民族の衣装で,あのような場に着ていけるのは,日本の和服ぐらいではないか」と。もっとも,イギリスの民族衣装はスーツだったかどうかわかりませんが。

 また,こんなことを仰る方もおられました。「女性の民族衣装というのは,まだ比較的,それぞれの国,地域で伝承されている。男性の民族衣装というのは,なかなか厳しいものがある。」と。

 ある海外の市長が「公式の式典でも,普段着でも,男性が民族衣装を着ているというところは日本だけではないか。トルコでは,男性の民族衣装は,ほぼ絶滅した。民族舞踊の時だけ着ている。生活の中では絶滅した。これが世界の流れだ。」と,仰っていました。100年後も200年後も,日本において民族衣装が,公式の場や普段着として,使用され続けることが大事であると考えております。

報告案件以外に関する質疑

(北陸新幹線整備工事に伴うボーリング調査について)

記者

 北陸新幹線のボーリング調査で,宝ヶ池公園内で水道管を破損させ,大規模断水が発生した件について,発注元の機構の事前調整不足があったと思いますが,市長の受け止めをお聞かせください。また,地下水をはじめとする工事の影響について,市民の不安もあると思いますが,国に対してどのような要望をしていくのでしょうか。

 

市長

 施工事業者において,基本的なことが抜けており,言語道断だと思っています。幸い,早期に復旧することができましたが,あってはならない,起こりえない事故です。復旧等については,上下水道局を中心に対応をしており,機構側からお詫びがありましたが,これからが大仕事ですので,教訓にしていただきたいと思っています。

 

 

(予算編成方針について)

記者

 来年度の予算編成について,10月段階で350億円の財源不足。市長3期目の最後の予算ですが,財源不足をどうしていくのでしょうか。また,新規充実の要望が庁内から上がっていますが,どういった点に重点を置くのでしょうか。

 

市長

 市長就任以来,市民生活の今と京都の未来をしっかりと見据え,さらに市民ぐるみで議論を深め,議会の議決も経て策定した基本計画と,私が市民の皆様にお約束した公約の実現に向けて全力で取り組んできました。一方で厳しい財政状況の下,この10年で1万6千人を超えていた職員を1万3千人に削減するという行財政改革を進めてまいりました。様々な経済政策により,税収は昨年度も本年度も伸び,来年度も堅調に伸びると予想されますが,税収が延びれば,地方交付税が削減されます。したがって,京都市の歳入はピーク時の平成12年度から300億円も下がったままの状態であるという,非常に財政の脆弱な状況であります。

 京都市の課題であると同時に,我が国の地方財政制度を根本から議論しないといけない構造的な問題もあると思います。しかし,泣き言ばかりではなく,現実の政策に取り組んでいかなければなりません。まずは,聖域なき行財政改革を徹底し,メリハリのある予算編成にしていきたいと考えています。

 市民の声,議会,とりわけ各会派からいただいた要望をお聞きする事も重要です。さらに,今年は台風,大地震,豪雨と,様々な自然災害がございました。この10年,徹底して東日本大震災,阪神淡路大震災,台風18号を教訓にした安心安全対策を実施してきたおかげもあり,京都市内で1人も命が失われませんでした。引き続き安心安全対策を重点的に取り組まなければなりません。

 同時に,高齢化社会を踏まえた福祉施策や子育て日本一を掲げ,待機児童をゼロにする子育て環境の維持・充実。そして,環境問題,更に文化庁の全面的な移転。京都の最大の強みである文化に重点を置き,文化で経済を活性化していきたいと考えています。

 

 

(京阪バスの撤退について)

記者 

 市バス事業についてお聞きします。11月に京阪バスがバス運営の受託から撤退するという方針を発表されましたが,市長の率直な受け止めをお聞かせください。

 

市長

 10数年前,市バスは単年度で約50億円の赤字という時代もありましたが,交通局が徹底してコスト削減やサービス向上などに全力で取り組んできました。また,競争の原理も生かすため,京都市が国に対して管理の受委託制度を要望して実現しました。こうした取組が功を奏して,昨年は,約20億円の黒字になりました。交通局の努力だけではなく市民の皆様の御理解御支援のおかげです。何よりも歩くまち京都の取組として,公共交通優先の取組を実施してきた結果だと思います。

 京都市では,黒字路線になればますますバスが便利になることがわかるよう,営業成績を示す分かりやすい指標として,100円の収入を得るためにかかる費用を表す営業係数というものを公表しています。

 この間,74系統を84系統に増やし,バスも58台増やしました。全国の路線バスの経営が公も民間も厳しい中,持続可能な公共バスとして,全国のモデルとして評価されてきました。

 来年度以降,また厳しさが増してきます。管理の受委託からの撤退もあります。もう一つは,燃料費の高騰です。経由単価が1円上がると年間1500万円,10円上がると1億5千万円の負担が増える中,今は30円位上っていると思います。そうした燃料費の問題もあります。

 また,運転手不足について,全国的にも2種免許を取得する人が減っており,こうしたことも含めて取り組んでいかなければなりません。新たに100名の運転手の確保に目途が付きました。その中には,2種免許を持っていない方が相当数おられますが,のちに免許を取得することを条件に採用しました。こうした取組も進めており,一応の見通しは持てました。京阪バスの撤退は残念ですが,一気に撤退するのではなく,もう一年は継続していただくことを合意いただきました。何としても市民の足を守ることが大事です。民間バスの管理受委託の撤退部分については,直営で運営してまいります。

 

記者

 今後のコスト削減には限界があると思いますが,運賃の値上げや価格転嫁の可能性はありますか。

 

市長

 まずは頑張るだけ頑張ることが大事だと思っています。先程84系統に増やしたと言いましたが,もし赤字で路線を撤退していく事になれば,周辺部では半分以上が赤字の路線です。一部の黒字路線で利益を上げて,赤字路線を維持しているという状況の中,市民の皆様の足を守るためにどうした方策があるのか,あらゆる視点からの検討が必要になります。

 また,観光客が増えていることも注目されていますが,歩くまち京都,公共交通優先,マイカーで通うよりも市バスが便利だという事が市民の皆さんに理解していただけてきました。大きな企業ができたわけではない中,着実に定期利用のお客さんが増えています。こうしたことに希望を見出していきたいと思っています。

 

記者

 経営ビジョンにおいて,赤字路線からの撤退という事も一つの可能性としてあるということですか。

 

市長

 赤字路線からの撤退はありません。

 

 

(市バス管理受委託について)

記者

 赤字路線の撤退はないと仰いましたが,委託料も年々上がり,交通局の直営職員の増加による人件費の増加も見込まれます。管理の受委託制度は限界にきていると思いますが,民営化という選択肢はあるのでしょうか?

 

市長

 民営化というのは,経済の法則でしか動かないわけです。民間会社は赤字のままでは運行が継続できません。したがって,そこで廃止せざるを得ないというのが全国の状況です。

 京都市は,交通事業が本当に厳しく,年間50億円の赤字という時でも,市民の足を徹底して守りました。同時に,民間事業者の競争原理も生かして,直営部分のサービスの向上,経営効率化,コストカットを進め,切磋琢磨してやってきました。民間事業者も5年毎に色々な会社に参入していただきますが,全体の枠組みは京都市が責任を持つ。これは,苦しい状況の中で,京都市が編み出してきた方式です。

 一時期,民間委託を3分の2まですれば良いという話もありましたが,今思うと,直営と民間で5分5分を維持してきて良かったと思います。3分の2ならもっと深刻になっていました。

 もし,民間に完全委託するということになってしまえば,将来に渡り,路線が維持できるかどうかは民間次第になってしまいます。行政が責任を持てないことは非常に危険です。

 したがって,今は厳しいですが,民間事業者の皆様の御理解を得ながら,良い意味での共存,共営,切磋琢磨しながら,京都の市民の足,路線バスを守っていくことに知恵を絞っていきたいと思います。

 

 

(2025年国際博覧会について)

記者 

 国際博覧会の事業計画の中では,京都や兵庫,奈良などを想定してサテライト会場を設けるという話がありますが,サテライト会場に応募していくなどのお考えはあるのでしょうか?

 

市長

 大阪での国際博覧会の開催決定は本当に喜び合いたいと思います。京都市も,歴史都市会議や姉妹都市,パートナーシティと,あらゆる機会に誘致へ取り組み,さらに,多くの市民の皆様の署名等も集めてきました。先頭に立たれていた大阪と喜び合い,なんとしても成功したいと思っています。

 そして,大阪万博に合わせて,立石会頭はじめ,経済界等々と一緒になり,京都でどういったことができるのかということも検討を始めなければならないと思っています。しかし,サテライト会場となると,大阪万博の主催者との連携無しにできることではないので,主催者側からの提案を待ちたいと思います。

 

記者

 兵庫県の井戸知事は,神戸市内でサテライト会場を設ける方向で前向きな見解をされていますが,市長としては,まず大阪からお話を聞きたいというスタンスということでしょうか

市長

 そうです。姿勢として関連事業はしっかり取り組んでいきたいですが,サテライトとして位置付けするのかどうかは,筋道として,主催者側から京都でという提案があってのことだと思いますので,しっかりと情報を確認しながら連携を深めていきたいと思っています。

 

 

(高級宿泊施設について)

記者

 近年高級ホテルが市内に増えてきたことに対する市長の御感想は。また,帝国ホテルなどの話がある中で,現状で高級ホテルが十分と考えるか,まだ足りないと考えるのか市長の展望をお聞かせください。

 

市長

 私が市長に就任した時に,京都には5つ星のホテルは一つもないと,外国で旅行業をやっておられるトップリーダーの方が仰っていました。フランスの評価と,京都の価値観が違うのではないですかと笑いながら申し上げました。

 京都には100年,200年の伝統がある料理旅館が素晴らしいおもてなしをされています。そうした料理旅館が,京都の価値,伝統の価値を大事にされており,5つ星に対してあまりこだわっておられないのです。

 そして,平成28年10月に策定した京都市宿泊施設拡充・誘致方針において,世界に冠たる宿泊施設を京都へ誘致する必要があると掲げた結果,いくつかの高級ホテルが京都にできました。そして,そのことが,京都の伝統ある料理旅館,あるいは,既設のホテルのバージョンアップにつながっています。

 例えば,京都の伝統的なあるホテルは,部屋数を半分にし,温泉を掘り,建物の高さも景観に合うようにとバージョンアップされました。京都というのは,昔から外の物を受け入れて,そして,切磋琢磨しながら新たな文化を作ってきたまちです。

 美術商をしておられる方が,京都ではお客さんになかなか売れないものでも,東京に持っていけば売れる。しかし,近くに高級ホテルができることでそういった京都の高額な伝統産業品等が売れ出したと仰る方が少し増えてきました。

 京都はたくさんの外国人観光客が泊まっているのでしょうね」と言われますが,京都に泊まっているのは日本全体の12%(353万人)です。そして京都に来られているのがまだ25%ですから,やはり京都は国内客が圧倒的です。しかし,京都は,欧米人のような見た目で外国人とわかりやすい外国の方が多いので,ものすごく外国人があふれているように思われます。確かに,フランスから来て泊まられる方が4倍になり,イタリアから来られる方は,フィレンツェとの姉妹都市50周年ということもあり,3年間で2.46倍になりました。このように欧米からの評価が高まっていることは事実です。

 京都ならではの宿泊施設,京都の伝統文化,伝統産業としっかりとつなげていき,そして,市民の皆様の豊かさにつながっていく取組に集中していきたいと思います。

 

 

(宿泊客数について)

記者

 宿泊施設の客室数について,京都市としては2020年までに4万室必要という試算をしていましたが,京都新聞の試算では,5万室を超えるという見通しとなりました。以前の記者会見では4万2千室ではまだ足りないと仰っていましたが,5万室という数字についてはいかがお考えですか?

 

市長

 国の目標では,外国人観光客が2020年に4000万人になり,国の方針である観光客の広域化が功を奏していけば,低く見積もっても,少なくとも2020年には440万を超える外国人が京都に泊まられます。したがって,当時は,最低,4万室が必要という計算式をお示しして,高品質なホテル,宿泊施設を拡充して行こうという方針を発表しました。

 現時点でも,京都では宿泊予約ができないという声も多く聞きます。パリ60周年でフランスに行ってきましたが,現地の方が,「ニューヨークに行く時には,宿泊施設をあまり心配しなくてもいいが,京都に行く時に,一番頭が痛いのは宿泊施設の確保です。」と仰られました。その宿泊施設というのは,高品質な宿泊施設を前提にされているということです。高品質な宿泊施設というのは,なお充足されているという状態ではないと思います。

 

記者

 高品質なものが充足されていないということですが,基本的にホテルなどの建設に関しては市場原理であり,上質なものも建っていくと思いますが,例えば地域的に,中京区,下京区,東山区といった一定の中心部について,京都市として増加のペースを抑制していくような誘導策などは考えておられますか?

 

市長

 中心部だけに京都の魅力があるわけではありません。ヨーロッパに行った時,車で真っ暗な道を1時間半も行き,ワイナリーが宿泊施設を兼ねていることもある。京都で40分,50分走れば素晴らしい自然の中に豊かな文化や歴史が感じられる場所があります。宿泊施設の建設を考える場合はそういったところにお願いしますということを申しています。

 今後は,地域と連携した高品質な宿泊施設の誘致を強化していきたいと思っています。そう言いながら,京都市は規制が厳しく,手続きが非常に複雑で時間がかかるというのも現実です。法的にすぐに建設できる場所では,計画を発表してから1,2年で建てられるのですが,例えば,大原などの素晴らしい自然と調和した場所で建てるとなると時間がかかります。

 しかし,妥協はせず,手続きはきっちり踏んでいただきます。そしてスピード感を持って,時間を短縮してやっていくのかが大事だと,都市計画の中でも議論しています。

 以前,マンガミュージアムの隣のパナソニックの跡地に,「なぜホテルでなくマンションが建つのだ」。あるいは「高島屋の隣の良い場所にマンションを認めている京都市は何をしているのだ」とお叱りを受けたことがありますが,今では,なぜマンションにならないのだというお叱りを受けます。

 例えば,「もうカプセルホテルが京都には似合わない,抑制する,できれば禁止するような制度はできないか」と専門家も含めて議論しました。その際に,東京にはカプセルホテルがすごく集中しているので,東京でなら議論の対象になるが,京都ではそれほどカプセルホテルはない。したがって,京都でカプセルホテルを禁止するということが法律の根拠無しにできるはずがないというのが,今の日本の制度です。

 京都は75%が森であり,その森の中に素晴らしい歴史と自然,集落があります。農家民宿も含めて,良い宿泊施設が建ち,そうしたところにお客さんを誘導していかなければなりません。

 

 

(今年の漢字について)

記者

 今年の漢字を1文字で表すとしたら何でしょうか?

 

市長

 今年の漢字を表すとしたら,それは自由の「自」です。自治の自,自らの自,自分事の自,という「自」という言葉が今年の京都にふさわしいと思います。あれだけの災害が続きましたが人の命は守られました。これは地域の人がみんな,安心・安全を他人事と思わず,自分事として取り組んでいただいたからです。また,世界文化自由都市40周年として様々な取組を展開できましたし,京都市が自治権を獲得してまちづくりをしてきたという意味で自治120周年の都市です。こうしたことから,「自」という字がふさわしいと感じています。

 

 

 

(改正入管法について)

記者

 12月4日,改正入管法が参院本選で可決され成立した件について,京都市の傾向としては,そこまで外国人の方々が大きく必要というわけではないと思いますが,各自治体ではこれから外国人を受け入れて行かなければいけないと思います。国は制度を創るけれども,対応は自治体に求められると思いますが,京都市としては,どのような支援や対応をお考えでしょうか。

 

市長

 担い手不足というのは,京都の中小企業,あるいはモノづくり企業,またサービス産業においても深刻です。しっかりと担い手不足対策に全力を上げていかなければいけないと思っています。しかし,安易に外国人労働者に頼るというのも難しい課題が生じてきますので,節度というものが求められると思います。

 この間,京都市では,留学生を増やす,また留学生が京都の企業に就職できるための取組を進めてきました。その点において,一部上場企業でなら外国人留学生の就労についての手続きが簡素化されています。京都市では,優良な中小企業にも認められるよう国に要望しています。

 受入体制では,国際交流会館等で外国人に対する日本語教室を行っておりますが,そうした様々な取組も飛躍的に充実させていくことが,自治体としての大きな責任だと思っています。法律は可決しましたが,制度の具体的な設計はこれからですので,国においては,職種や人数上限など,地方の声をしっかりと聴いていただきたい。そして,しっかりと必要な要望をしていきたいです。

 

 

 

(自衛隊への市民の個人情報提供について)

記者

 自衛隊への情報提供について,先日,18歳と22歳になる市民の個人情報を宛名シールにして自衛隊京都地方協力本部に提供すると決定されました。一部の市民から撤回を求める声がありますが,市長はどのようにお考えでしょうか。

 

市長

 我々は,個人情報保護のあらゆる法令,また,審議会においても必要な手続きを踏んでおり,名簿を提供することについてなんら問題はないと考えています。

 これは全国の自治体でも同じですが,自衛隊の方が住民基本台帳を閲覧して名簿を写しています。こうしたことは過去からあることです。

 日本は民主主義国家ですので,色々な意見を表明されることは結構ですが,法的にもなんら問題ないと考えています。

 

(出生率の減少について)

記者

 京都市の出生率が8年振りに減少に転じたことについて,若い方の人口流出や,住宅価格が高いということが関係しているという見方もありますが,市長はどのように受け止めていますか?

 

市長

 この間,京都の都市格が高まり,京都が非常に活性化しています。したがって,京都の土地の価格が上がり,京都市内に若い人が住めず,周辺に住まれるという現象が出生率の8年振りの低下に繋がっていると思います。

 おおよそ,府や県よりも政令市の方が,出生率が低いことが多いのですが,過去に,京都市域と京都府下を比べると,京都府よりも京都市の方が出生率が高いという時期があり,不思議がられたことがあります。

 これは,子育て環境を日本一にしようという姿勢のもと,保育所・待機児童ゼロ,また,小学生の学力が全国の政令指定都市で1番といった背景もあり,京都市内は非常に住宅価格が高かったですが,それでも京都に住もうという声が多く,順調に上がってきました。しかし,あまりにも景観規制が厳しく,若い人が住むマンションが減り,価格が高くなりすぎていると厳しく指摘される方もいます。

 京都市では,新しい景観政策を実施し,10年間,徹底して景観問題に取り組んできましたが,景観というのは,単に外形だけでなく,そこに活き活きとした暮らし,文化,産業があっての景観です。進化する景観でなければならないというのは当初から掲げていることですが,この原点に返った議論と持続可能なまちづくりの議論を進めていただき,年明けにパブリックコメントをすることになっています。

 もう一つは空き家対策です。空き家をしっかりと活かしていくという取組もしていかなければなりません。生活者は利便性を求めます。マンションが建てば若い人が住みますが,路地の中の空き家を買って町家として住もうという雰囲気にはなかなかなりません。そういった町家の魅力などを発信していきたいと思います。

 そして,地価高騰については局地的です。西京区,山科区,伏見区,北区では住宅地価格が高騰しているわけではありません。そうした情報を正しく伝え,京都にお住まいいただくことが大事だと思います。

 同じことが企業にも言えます。素晴らしい企業がありますが,企業が立派になれば,本社は京都ですが,工場を他都市,地域外に移されるということもありますので,産業用地を確保し,京都で暮らす,住む,働く,学ぶ,子育てするという調和の取れたまちづくりを原点に返って議論して,しっかりと取組に活かしていきたいです。

 

 

記者

 京都市内ではインバウンドが好調に増えていますが,それが原因で住みにくいのではないかという声もあります。今後,京都市が求めていく方向性として,観光都市として観光に重点を置いていくのか,それとも住環境に重点を置いていくのか,市長はどのようにお考えでしょうか。

 

市長

 京都は観光都市ではありません。お寺も神社も素晴らしい自然も,食文化も観光のためにできたものではありません。大都市の中で,これだけ日本の心が今も脈々とつながっているのは京都だけです。祇園祭も時代祭も葵祭も観光のためにできたものではありません。京都に伝わる市民の暮らしの美学,生き方の哲学といったものを大事にし,今の京都があります。これが訪れる方に評価されている。お寺も神社も食文化もそういうことです。

 特に観光客に一番評価いただくのは,「まちが美しい,清潔」ということです。市民の皆様が「門はき」を復活させるなど,まち美化行動を行っていただいているというのが観光の面でも評価されています。また,景観政策として,看板の撤去や,建物の高さを整えてきたことも観光のためでありません。京都に伝わる文化,哲学を大事にしようということです。

 明治維新で都の地位を事実上失い,都市存亡の時に,明治4年に幕末の色々な災難で焼けなかった西本願寺で,日本で最初の博覧会をしたのが京都です。明治5年から京都博覧会を半世紀続けてきたのも京都です。観光も京都の良さを生かしながら取り組んできました。市民の暮らしと文化を大事にする。そしてそれを観光的にも活かしていくという順番です。

 京都はリゾート地ではありません。したがって,観光都市として観光に重点を置くのか,住環境に重点を置くのかというは議論の外であり,京都の哲学には合わないと思います。

記者会見資料

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