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門川市長記者会見(2011年1月4日)

ページ番号93362

2023年4月12日

年頭に当たっての抱負

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

 今年,早いもので市長に就任してから3度目のお正月を迎えました。市長就任以来,徹底して現地現場主義で,市民の皆さんの活動の場に,また市役所の第一線の事業所にと,足を運んできました。2300箇所を超えました。改めて,京都の地域力,市民力,京都のすばらしい魅力を感じるとともに,市役所の第一線で,職員が市民と一緒に汗をかいている,がんばってくれている,その変化を実感しております。

 同時に,この不況の影響で,厳しい市民生活の現実があります。中小企業,零細企業,地場産業は厳しい。その中で,何としても,この京都の強みを活かして,未来へ展望の開ける「跳躍」の本年にしたいとの決意を新たにいたしております。

 今年は,私が市民の皆様にお約束したマニフェストをもとに策定いたしました「京都未来まちづくりプラン」の総仕上げの年であります。既に8割以上を実施しておりますが,完遂へ向けて一層努力して参りたい。

そして更に,京都市の新しい基本計画,議会でも高い評価を得て,議決いただきました。徹底した市民参加,職員参加,未来志向で戦略性を重視して策定しました「はばたけ未来へ!京プラン」を力強く,スタートさせる年であります。

市民,大学,企業,NPOなどと行政が,夢と希望,危機感と責任感を共有する,また共に汗をかいて実行していく共汗型の計画であります。徹底して,生活者を基点とした,市民目線で京都の6つの未来像を明確にしながら,その実現に向けて,スタートを切っていきたいと思っています。

国の経済,京都市の経済は,厳しい状況であります。その中で雇用は厳しい。特に若い方々の働く場が厳しい。そんな中ではありますけれども,ピンチをチャンスと捉えて,「市民目線」,「コスト意識」,「未来志向」のもとに,市民生活をしっかりと守りながら,京都のあらゆる強みを活かして,50年後100年後を見据えた,将来に評価される取組を積極果敢に進めていきたいと思っております。

 こうした観点から,今年の抱負を4点申し上げたいと思います。

 1点目は,何としても,市民の安心安全をしっかりと守るセーフティーネットの確立であり,子育て支援,高齢者福祉をはじめ,中小企業支援,雇用対策など,市民生活に直結する課題には,限られた予算,厳しい財政状況にあっても,最優先で取り組んで参りたいと考えております。保育所待機児童の解消,府市協調による中小企業融資制度の充実などに,引き続きに取り組んで参ります。

 2点目は,京都ならではの市民力,地域力を活かす取組であります。 

私は,京都市の一番の宝は地域力であると認識しており,常にそのことを申しております。これを活かしていく,活性化させていくことが大切であります。昨年8月に,「地域コミュニティ活性化検討委員会」を設置し,地域の活性化に向けた具体的な方策や条例制定に向けた議論を深めていただいているところであります。

また,子どもを地域社会全体で育もうと市民の皆様の情熱によって制定された「子どもを共に育む京都市民憲章」,これの条例化にも取り組んでいく年であります。また,「一人暮らしお年寄り見守りサポーター」の登録人数が,2千人に近づいてきました。子育て支援から高齢者福祉の課題に至るまで,まさに市民力,地域力で取り組んでいきたいと考えています。

ここでひとつ,うれしいニュースをお知らせしたいと思います。昨年の京都市の火災件数は170件と,対前年比16件減少しました。昭和23年の自治体消防発足以来の最少件数を更新しました。しかも,平成20年から3年連続の最少件数の更新。平成19年に231件であった火災が,この3年間で61件の減少であります。4分の1減りました。京都は,戦災にあっていませんので,木造住宅が多く密集しており,以前は火災が多く,昭和30年には756件でした。これが,4分の1以下に減少しました。人口一万人当たりの火災発生件数は,一昨年の数字ですが,全国の大都市平均で3.5件であります。京都市は1.2件になりました。全国の出火率の3分の1ということであります。今も木造住宅が,京都市は5割,大阪は2割と,このような条件の中で,これだけのことができた。これは何と言っても,「自分たちのまちは自分たちで守る」という,この地域力であり,またコミュニティの力であります。消防団,自主防災会,様々な人が懸命に努力していただいたおかげであります。

また,国宝の20%が京都市にある。この日本の宝,世界の宝を守ろうと,お寺も神社も,自衛消防隊を組織する。あるいは,様々な企業が,そうした取組をしていただいている。そんな成果でもあります。

更に,住宅用火災警報器の設置,京都市では,昨年9月末現在で約85%です。少し時点は違いますが,全国では6月末時点で58%と,これを見ましても,京都市の地域力が現れています。しっかりとこうした取組も進めていきたいと思っています。

そして,「世界一安心安全のまち京都」を,地域力を活かして実現できると,私はそのように確信しております。

3点目は,環境の取組であります。

「歩くまち・京都」公共交通優先の取組,夜型人間から朝型へ「ライフスタイルの転換」の取組,ごみの徹底した減量,「木の文化を大切にするまち・京都」,そして環境に関する「新産業の創出」など,環境をキーワードにした施策に取り組み,京都議定書誕生の地,環境モデル都市として,全国をリードしていきたいと考えております。

昨年,「京都市地球温暖化対策条例」を改正し,温室効果ガスを1990年度比で,2020年度までに25%,2030年度までに40%削減するという高い目標を掲げました。今年は,この条例に基づき策定中であります2020年度までの25%削減の具体的な施策,事業を盛り込んだ新たな計画に着手して参ります。「DO YOU KYOTO?」を合言葉に,市民ぐるみで,また府市協調で,全国も巻き込んだ,低炭素社会の実現に向けて,京都が積極果敢に挑戦していく,また京都が持つ環境分野での強みを活かして,経済の活性化,まちの活性化にも貢献させていきたいと思っています。

4点目は,先端産業と伝統産業,文化・芸術をはじめ,京都の強みを活かした,それらを融合した産業の振興であります。観光も含めてでございます。

昨年10月に,京都リサーチパーク内に「産業技術研究所」を新たに開設しました。11月には,伝統産業の技術の強みと先端産業の技術を融合する,さらに大学の力と産業界の力を融合する,そうした京都ならではの強みを活かした「知恵産業融合センター」を開設いたしました。これを核として,財団法人京都高度技術研究所「ASTEM(アステム)」とも連携し,また京都に立地しますあらゆる産業支援機関と有機的な連携を図りまして,知恵産業の創出を加速させていきたい,そのように決意を新たにいたしております。

とりわけ,観光振興につきましては,「5000万人観光都市・京都」を実現した以降の,京都観光が次に目指す「旅の本質」を堪能していただくための戦略や施策を明らかにした「未来・京都観光振興計画2010+5」と,国際会議等を積極的に誘致する,全国の自治体で初となる「京都市MICE戦略」を,昨年策定いたしました。

京都の奥深い魅力をじっくりと体感していただく「滞在・宿泊型観光」,旅の本質を堪能していただく「ふれあう観光」等を推し進めまして,京都の文化・芸術・伝統産業を見て,感じて,体験していただくことで,京都の「ほんまもん」の良さ,日本の素晴らしさを知っていただくことに注力していきたいと思います。このことが,京都の優れた和装・伝統工芸品への需要の拡大,購買意欲の拡大にも繋がっていく,伝統産業の活性化や次の世代への継承に繋がると思っております。また,観光庁と京都市の共同プロジェクト「観光立国日本・京都拠点」の立ち上げもいたしまして,さらに日本の観光立国の牽引役としての京都の役割を果たしていきたいと思っています。

2月には,市長就任4年目を迎えます。この間,市政改革に全力で取り組んできました。なお,この不況のもとで,多くの課題を抱えております。これらに対して,着実に,かつ「突破力」をもって解決に取り組んでいきたいと,決意を新たにしております。そして,地域主権時代のモデルとなる京都を,市民の皆様とともに汗する「共汗」と,縦割り行政を廃した政策の「融合」によって,実現していきたい。そのように決意を新たにいたしております。

最後になりますけれど,本年10月29日から11月6日まで,9日間に亘りまして,国内最大の文化祭典であります「国民文化祭」が京都で開催されます。京都市におきましても,合唱の祭典,吹奏楽,ジュニアオーケストラ,吟詠剣詩舞道,あるいは日本舞踊,邦楽,能楽,連句,美術展,暮らしの文化展,お茶,お香,生け花,マンガアートフェスティバル等々,多彩な事業を展開します。

京都府と一緒になって,また多くの文化団体,経済界と一緒になって,京都ならではの「国民文化祭」が開催できるように,そして,国民文化祭の認知度がぐっと高まるような,そんな取組を進めていきたいと思います。

「京都スポーツの殿堂」殿堂入りについて

次に,本年度,京都にゆかりのトップアスリートの功績を讃える,そして,その力で市民スポーツの振興を図り,また子供たちや市民に夢と希望を抱いていただくための「京都スポーツの殿堂」を創設いたします。この度,その殿堂に入っていただく3名の方を,京都市の各界を代表する委員の方々からなる「京都スポーツの殿堂」委員会,内田昌一さんに委員長を務めていただいていますが,において決定しましたので,新年のおめでたいニュースとして発表させていただきます。

 「京都スポーツの殿堂」は,スポーツのメッカであります西京極総合運動公園の市民スポーツ会館内に殿堂ホールを新たに設置します。この西京極総合運動公園は,戦後第1回の国体が開催された場所でもあり,また2巡目の国体が開催された,全国のまた,京都のスポーツのメッカであります。さて,殿堂入りされた方の功績を讃えるとともに,殿堂入りされた方が,市民や子どもたちにスポーツの素晴らしさを伝える,伝える道「伝道事業」も行っていただくことを通じて,トップアスリートの力を活かすことを目的に,今年度新たに創設した新規事業でございます。

 殿堂入りされる方をご紹介いたします。

1人目は,プロ野球の吉田義男氏であります。京都市出身で阪神タイガースでは,華麗で俊敏な遊撃手として,さらには監督として,野球界で抜群の実績,知名度を誇り,「野球殿堂入り」も果たされておられます。また,野球フランス代表の監督にも就任され,野球を国際的な視野から,振興を図っておられます。

 2人目は,同じくプロ野球の衣笠祥雄(さちお)氏であります。京都市立洛東中学校で野球を始められ,平安高校を経て,広島カープの選手として,鉄人との愛称が示すとおり,2千試合を超える連続出場という世界記録を打ちたてられるなど,屈指のオールラウンドプレーヤーとして活躍され,さらに,国民栄誉賞,京都市市民栄誉賞を受賞され,京都が誇るアスリートでございます。

 3人目は,朝原宣治氏であります。京都市にお住まいで,同志社大学出身であり,西京極陸上競技場で人一倍厳しい練習を積まれてこられました。日本記録を3回更新され,2008年北京オリンピックのリレー競技では,見事銅メダルに輝かれました。日本陸上短距離界のパイオニアとして後進の育成にも努められるなど,指導者としても今最も注目されておられます。

このお三方であります。

また,京都スポーツの殿堂創設を記念いたしまして,長年にわたり,京都市のスポーツ振興に大きく寄与していただいております「財団法人京都市体育協会」「京都市体育振興会連合会」に対しても,今回,団体特別表彰を行うことといたしました。

殿堂入りしていただく方々には,今後市民を対象とした講演会やスポーツ教室などの伝道事業を通して,その功績や実力を市民や子どもたちのために,遺憾なく発揮していただけるものと確信いたしております。

この事業が,京都の子どもたちや市民にとってスポーツの素晴らしさを感じる機会となるとともに,京都から全国に向け,次代を担う子どもたちが夢や希望を抱くことができるスポーツ文化の発展に寄与するものと考えております。

私からは以上でございます。

質疑応答(要旨)

<報告案件に関する質疑>

(殿堂入り選定の基準と今後の展開について)
記者 殿堂入りされたお三方を選んだ基準はあるのか。また今後,どういう形で「スポーツの殿堂」を発展させていくのか。

市長 何人を選ぶのか,どういう基準で選ぶのかということにつきまして侃侃諤諤の議論をしていただきました。そして,指導者として,また実践者として,輝かしい実績があり,京都市民がなるほどと納得できる方に第一回目は絞ろう,同時にこのスポーツの殿堂が長く続いていくように,殿堂入りの候補者はたくさんおられますが,一度にたくさんの方に殿堂入りしていただきますと後が続かないということもありますので,3名がいいのではないかなということであります。それからもう1つは,殿堂という語呂合わせで,「伝える道(伝道)」ということを強調しています。単なる個人を讃えるということだけではなく,そのスポーツの世界で頂点に達した方が,どのような生き方をされたか,どのような失敗を克服されたか,そういうことから市民が学ぶ,子どもたちが学ぶ,そういうことを主眼にしておりますので,それに貢献していただける,こういうことも殿堂入りのひとつの大きな要素です。この点が他の殿堂入りと少し違うところではないかなと思っております。

今後は,お三方に西京極を中心に様々な所で実演をしていただく,お話をしていただく,また講演会等でスポーツの振興に大いに貢献していただく,こういうことを具体的な事業として実施していきます。同時にこの事業が続いていくようにしっかりとサポートする体制をスポーツ振興室の方でも作っていきたいと考えています。

記者 毎年3人選ぶのか。

市長 そこまで厳密に決めておりませんが,毎年おおむね3人ぐらいに殿堂入りしていただいたら良いのではないかと会議に参加していて感じました。おかげさまで,このお三方につきましては,満場一致で殿堂入りが決まりました。

<その他の質疑>

(子ども手当の地方負担について)
記者 子ども手当の地方負担が示されたが,京都市として地方負担を受け入れるのか。予算として計上するのか。

市長 (地方負担は)非常に残念なことであります。これから地域主権時代,国と地方の信頼関係が大事だというときに政令指定都市との協議のないままに今年度限りと言われた地方負担が継続されたということについては,極めて遺憾であり,政令指定都市としても国に対して抗議の意思表明をしていく。

この部分は全国市長会や知事会よりも政令指定都市は強い姿勢を示しているということが言えると思います。その次に地方負担をどうしていくのかということです。まず政令指定都市市長会において,市民の皆さんに御迷惑をかけないということを確認しました。したがって,歳出においては,きちっと国の政策通りの支出ができる予算を組みます。一方で,歳入においては,本来なら全額国の予算で組むべきであります。(地方負担のうち,都道府県負担分について)京都府の場合,京都府が支出するということをおっしゃっておられますから,国の予算と府の予算で全額組むことになるわけですが,市の予算の歳入については,各都市の実情等を勘案しながら,取り組んでいこうということになっていますので,予算編成まで他の政令指定都市とも協議しながら,検討していきたいと思っています。

記者 国の予算だけで考えると最終的に年度末に足らなくなるのではないか。

市長 そういうことですね。政令指定都市では,ひとつの方法として,歳入欠損にしてしまうということがあります。平成24年度予算編成について,概算要求がまたあります。そのときに,今後どうなるのか見極めていく必要があります。平成23年度限りということを国が表明されていますが,それらの推移を見ていかなければならない。大臣の合意だけで受け入れるのではなく,政令指定都市として,引き続き何らかの抗議の意思表示を続ける必要があるのではないかということであります。予算で歳入欠損になるような形にするのか,どういう形がいいのか,これはじっくりとまた協議していきたいと思っています。

記者 子ども手当を保育料と給食費の滞納に当てる方法について,国は地方の判断に任せるとしている。京都市では,導入する予定はあるのか。

市長 基本的に導入したいと思っています。

記者 その場合,保護者の同意が必要な部分も出てくると思うが,手続きはどうするのか。

市長 これからの詳細は,国の考え方も他府県の事例等も参考にしながら,考えていけばよいと思っていますが,例えば入学時点で,入所時点で同意書をもらっておけば,それでいけるのではないかとの見解もございます。

記者 (子ども手当を)保育料に当てる条例は,2月市会に提案するのか。

市長 そのあたりは今後詰めていきたいと思っています。

(環太平洋経済協定(TPP)について)
記者 TPPの是非について市長のスタンスは。

市長 非常に難しい課題です。国内の農林業や伝統産業等をしっかりと守るための手立てを尽くし,議論を深めていくべきだと思います。しかし,いつまでも問題を先送りし続ける訳にもいきません。影響を見極め,しっかりと議論を深めたうえでの判断が必要です。

(来年度予算編成と観光庁との共同プロジェクトについて)
記者 来年度予算においてどの様な方向性を強く打ち出そうとしているのか。 観光庁との共同プロジェクトについて,今後どの様な形にしたいのか。

市長 冒頭の話と重なりますが,厳しい社会経済状況のもと,セーフティーネットとしての役割を果たすことが第一であります。中小企業支援,あるいは雇用・経済対策をしっかりとしなければなりません。更に,待機児童ゼロを目指した保育所の増設や高齢者福祉施設の整備・充実にも取り組んでいきます。また,縮み思考で守るばかりであってはなりません。新しい京都市基本計画「はばたけ未来へ!京(みやこ)プラン」を力強くスタートさせていきます。特に,観光振興,新産業・知恵産業の創出,環境政策,歩くまち・京都総合交通戦略等に重点を置きたいと思います。同時に,起債総額を抑制し借金を増やさない,少しでも減らしていくといった取組もバランス良く推進していきます。

 観光庁との共同プロジェクトである「観光立国・日本 京都拠点」の創設については,かねてから観光庁に対して「京都分室を作って欲しい」,「東京一極集中,東京から発信する日本の文化・伝統,日本の心だけでは,ほんまもんの日本はわからない」と言い続けてきました。そして,この度,その前段として,分室という組織を作るのではなく,共同プロジェクトという形で京都でなければできない事業をすることを合意いただきました。観光庁の英断に敬意を表したいと思います。この共同プロジェクトでは,まずラグジュアリー層を中心とした外国人の受入体制を整備していきます。そのために,ALTMの誘致を観光庁と共同で進めていきます。ALTMは2月以降に動き出しますので,そうした動きに先駆けて始動したいと思っています。また,スマートフォンを活用した多言語のバスナビゲーションシステムの開発や24時間対応の多言語コールセンターの整備など,外国人観光客の受入環境の充実を図るとともに,京都をモデル都市として,外国人観光客の国別・年齢別等の動向調査を実施し,海外マーケティングの基礎資料として活用していく取組も共同でやっていきたいと思います。

記者 国と一緒にやることで,特にどのようなことを期待しているか。

市長 私は,去年の6月に上海で開かれたALTMに行き,(ALTMを主催する)Reed社の責任者の方に「是非とも京都で開催していただきたい」ということをお話しました。

その際,先方は,「オール京都で取り組もうという熱意を感じた」「京都市が国を動かしてここまでこられたということに感銘を受けた」「地方自治体と国が共同で行うのは極めて珍しいケースだが,その意気込みと体制作りに感銘した」とおっしゃいました。地方分権,地域主権時代に,地方自治体がしっかりとリーダーシップを発揮しながら国を動かしていく。今回はそんな事例のひとつになるのではないかと思います。

同時に,京都府,商工会議所,観光協会等との連携も重要です。今後は,これまで以上に連携を密にし,取組を進めていきたいと思います。国は国,地方は地方で事業を行う,あるいは,地方が国の下請けとして事業を行うといった場合に,しばしば二重行政になったり,ちぐはぐになったりしてしまいがちです。観光行政の分野で,日本で最も長い歴史と実績のある京都市が中心となり,国と力を合わせていくことによって,「ビジットジャパン」「観光立国・日本」を牽引していけると確信しています。

(統一地方選挙について)
記者 4月の統一地方選挙への展望は。

市長 地域主権時代に,住民が自らのまちをどんなまちにしていくのか。これは,首長の選挙でも議会の選挙でも大いに議論されるべきです。同時に,新しい時代にふさわしい首長と議会の在り方についても,大いに議論がなされるべきだと思います。また,選挙が空中戦にならないように注意しなければなりません。制度論ばかりに議論が流れ,一つ一つの政策をどうしていくのかについて注目されない可能性があります。

京都市と京都府はしっかりと政策を融合させ,二重行政,縦割行政を打破していきます。そして,最も効率的な行政のモデルを京都から発信していきます。そうした中で,私は「特別自治市」というものを国に求めています。今ある制度を最大限に活かし,限界を打破しながら改革を進め,市と府の政策を徹底的に融合させていきます。

(議員定数の削減について)
記者
 議員定数の削減条例について,提案される際に付す市長意見について,どのようにお考えか。

市長 私は,議員の定数がいかにあるべきかについて市民ぐるみで議論されることは大いに良いことだと思います。しかし,二元代表制の下で,議会の定数削減につきましては,今日まで市議会が主体的な力を発揮して議論され,改革されてきました。従いまして,首長側が先に「こういう議席数が好ましい。」という見解を表明するのは望ましくないと基本的に考えています。

記者 現在の議員定数のままで良いとするのか,それとも,議論そのものは議会に任せるということか。

市長 議会での議論にお任せするということです。

(祇園祭の後祭の復活について) 
記者
 今後の祇園祭について,山鉾連合会の吉田理事長は,後祭(あとまつり)の復活を見込んでいらっしゃるが,市長はどのようにお考えか。

市長 後祭の山鉾巡行を復活させて欲しいというのは,かねてからの私の願いであり,吉田理事長にも度々お願いしてきたところであります。昭和40年代に,後祭と前祭(さきまつり)の山鉾巡行が一つになりました。そして,現在の後祭は本来の姿ではございません。神幸祭(しんこうさい),還幸祭(かんこうさい)が行われ,神輿が出て,その日のお昼に山鉾が巡行する。これが本来の姿でした。こうした伝統ある祭りが本来の姿に戻って欲しいというのが私のかねてからの願いであります。

また,最近は少なくなりましたけれども,7月17日の山鉾巡行が終わりますと,祇園祭が終わりましたというニュースが発せられることがありました。決してそうではありません。しかし,全国の人はそのように思っておられる。観光振興の観点から,そうではないことをはっきりさせたい。

同時に,7月24日の後祭の山鉾巡行は夏休みにあたります。子どもたちが全国から家族ぐるみで来られる時期でもあります。7月17日といいますと,梅雨が明けた時期であります。祇園祭は,7月1日から31日までの長い祭りですけれども,クライマックスは17日の先祭の山鉾巡行,夜の神幸祭と24日の後祭の山鉾巡行,還幸祭ということを再認識したいと思っております。ただ,もう40年を超えて今の形が続いており,そう簡単なことではないということは認識しています。24日の後祭に山鉾が巡行するという本来の姿について,地域の祭りに関わる方々に十分な議論をしていただきたい。

それから,大船鉾が後祭の山鉾巡行の最後尾です。あれを復活させていこうという動きが地道に進んでおります。まだまだハードルがあろうかと思いますけれども,そういう取組も含めて吉田理事長の下で,議論していただければありがたいと思っています。

記者 具体的に,市としてどのようにバックアップするのか。

市長 まずは,ヨドバシカメラの一角に無償で提供いただく場所が出来まして,そこに大船鉾が,まだ完全に復元されたものではないですけれども,展示されます。そうしたことも大きな支援の一つになると思います。
 
大船鉾を皆さんが見て,そして感動していただく。これが後祭の最後尾であるということをみんなに再認識していただける。そうしたことが大きな契機になると思います。

 

記者会見資料(平成23年1月4日)

第1回「京都スポーツの殿堂」殿堂入りについて

                             文化市民局市民スポーツ振興室スポーツ企画課 電話:366-0168

 京都市では,本年度から,京都にゆかりのトップアスリートの功績を讃えるとともに,その力で市民スポーツの振興をはじめ,子供たちや市民の皆様に夢と希望を抱いていただくため,「京都スポーツの殿堂」を創設します。「京都スポーツの殿堂」では,西京極総合運動公園の市民スポーツ会館内に「京都スポーツの殿堂」ホールを設置し,殿堂入りされた方の功績を讃えるとともに,「殿堂入り」したトップアスリートが,子供たちや市民を対象とした講演会やスポーツ教室などの「伝道事業」を行います。

 この度,京都スポーツの殿堂委員会による審議の結果,第1回の殿堂入りされる方が決定しました。また,「京都スポーツの殿堂」創設を記念して,スポーツ振興に寄与された団体の特別表彰を決定しましたので,併せてお知らせします。

1 殿堂入りされる方                                                       

吉田氏写真

○吉田 義男(よしだ よしお) 昭和8(1933)年7月26日生 77歳

 山城高校から立命館大学を経て,昭和28年阪神タイガース(当時:大阪タイガース)入団。遊撃手として17年間不動のレギュラーとしてプレーし,ベストナイン9度,盗塁王に2度,打撃ベストテン入り7度を果たすなど,走攻守の三拍子揃った名選手として一時代を画した。現役時代の背番号「23」は阪神タイガースの永久欠番。
 引退後,監督として3期にわたり,阪神タイガースを率い昭和60年には日本一に輝く。平成4年に日本野球殿堂入り。 また,平成元年から平成7年まで野球フランス代表の監督を務めるなど野球の普及に努める。 現在,野球解説者。



衣笠氏の写真

○衣笠 祥雄(きぬがさ さちお)  昭和22(1947)年1月18日生 63歳

京都市立洛東中学校で野球を始め,平安高校(現:龍谷大学付属平安高校)の強肩捕手4番打者で春夏の甲子園大会で活躍。昭和40年,広島東洋カープ(当時:広島カープ)入団,強打のチームリーダーとして球団初を含む5度のリーグ優勝と3度の日本シリーズ優勝に貢献した。
  昭和45年10月19日から連続出場を続け,昭和62年にはメジャーリーグ記録を破り,2215試合連続出場記録(当時)を樹立した。この年,国民栄誉賞,京都市市民栄誉賞を受賞した。平成8年日本野球殿堂入り。その不断の努力と不屈の精神から「鉄人」の愛称で親しまれる。現役時代の背番号「3」は広島東洋カープの永久欠番。  現在,野球解説者,龍谷大学客員教授他。


朝原氏の写真

○朝原 宣治(あさはら のぶはる) 昭和47(1972)年6月21日生 38歳

 同志社大学出身,陸上100m競技において,日本記録を3回更新,世界選手権国際大会でも5回準決勝に進出するなど日本陸上短距離界のパイオニアである。オリンピックに4回連続出場し,2008年北京オリンピックにおいてリレー競技で銅メダルを獲得した。
 京都市在住で,現在大阪ガスに所属しており,現役時代から練習している西京極総合運動公園などでスポーツ教室の実施にも精力的に取り組んでおり,今後,指導者としての活躍が期待される。


2 団体特別表彰について

  次の団体については,長年にわたり,京都市のスポーツ振興の発展に大きく寄与しているため,殿堂設置を記念して特別に表彰します。

(1)財団法人京都市体育協会

   主な競技種目を網羅し,スポーツ教室等様々なスポーツイベントを実施するなどで市民スポーツの振興に貢献している。

(2)京都市体育振興会連合会

   京都市内を地域的,年齢的に網羅し,スポーツクラブ活動の育成やスポーツレクリエーション活動などで市民スポーツの振興に貢献している。

3 今後の予定

殿堂入りされる3名の表彰及び団体特別表彰を2月上旬に予定しています。殿堂入りされた方の功績等を展示する「殿堂ホール」(約200㎡(うち展示室110㎡))を西京極総合運動公園の市民スポーツ会館内に,今年度中に設置し,また,今後,殿堂入りされる3名には,市民スポーツ振興のため,講演会やスポーツ教室などの伝道事業を行っていただきます。

4 京都スポーツの殿堂委員会委員

京都スポーツの殿堂委員会委員(敬称略・五十音順)

氏 名

役 職 等

内田 昌一

財団法人京都市体育協会会長  (委員長)

海原 

前京都市小学校スポーツ連盟会長

小林 

日本放送協会京都放送局局長

白石 方一

株式会社京都新聞社代表取締役会長兼社長

田中 鶴子

京都商工会議所前副会頭・元京都市教育委員長

中澤 隆司

株式会社京都放送代表取締役社長

細見 吉郎

京都市副市長

松永 敬子

龍谷大学経営学部准教授

横山 勝彦

同志社大学スポーツ健康科学部教授

お問い合わせ先

京都市 総合企画局市長公室広報担当

電話:075-222-3094

ファックス:075-213-0286

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