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京都市消防局

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平成28年12月号 ザ☆消防

ページ番号207749

2016年12月1日



  表題は私が大切にしている言葉です。私は拝命当初から不出来な隊員でした。そんな私が今日まで何とかやってこられたのは,素晴らしい先輩方に出会えたお陰です。数ある中から,特に感銘を受けた先輩方との出会いを紹介させていただきます。


 私が理想的な消防士と仰ぐT士長が異動してきたのは,拝命から1年が経った10月でした。厳しく怖いという前評判とは裏腹に,優しいいたずら好きの楽しい先輩でした。ここでは書ききれない数々のいたずらや,面白おかしい話をいつもしてくれたおかげで,毎日が楽しく仕事を嫌だと思ったことは一度もありませんでした。職場全体がとても良い雰囲気になり,消防署にはT士長のような人が必要だなぁと心底思いました。そしてT士長は現場が滅法出来る人でした。私はどうしても傍で勤務がしたくて,T士長が代勤の際に「一緒に行かせてくれ」と無茶なお願いをして,上司を困らせたこともありました。T士長は「こんな消防士になりたい」という理想の消防士像を示してくれました。


   私の永遠の隊長であるT係長に出会ったのは拝命から3年が経った頃でした。私は現場でも訓練でも毎日怒られました。半年で見切りをつけられても仕方ない出来でしたが,T係長は辛抱強く私を使ってくれました。本当に感謝しています。反対に現場では即断即決でした。救出方法の選択や隊員への指示がとにかく速く簡潔です。要救助者を如何に早く速く救出するかを一番に考えていたように思います。一例を挙げるとこんな現場がありました。ある有名な橋の下の中州に要救助者が倒れていました。橋の中央付近に車両を停車させ,橋下の要救助者を確認したT係長は即座に「懸垂降下で一人降りろ。」と指示し素早く設定し始めます。高さは7メートル強程,副隊長が三連梯子の逆伸悌や橋詰めから回り込むルートを提案すると「遅い。これが一番速い。」と一蹴でした。そして私が懸垂降下し要救助者に接触している間に逆伸悌を行い,三連梯子を活用して橋上へ救出しました。私は副長の提案は妥当だと思いましたが,瞬時に懸垂降下を選択したT係長に速さへの強い思いを感じました。T係長とはK出張所でも勤務させていただき,災害現場活動に係るあらゆることを学ばせていただきました。


 拝命から9年が経った頃,最強の上司であるS課長と一緒に勤務しました。S課長は一言で表現すれば「親分」です。やるべきことさえしていれば好きにしてええ,という懐の深さと,任せるからやってみろと責任を与える度量を持っていたので,伸び伸びと,やり甲斐を持って訓練や現場活動に打ち込めました。しかし,任された防災訓練で失敗したり,火災で延焼を食い止めることが出来なかったり,信頼に応えることが出来ず悔しい思いをしたことも度々ありました。さらにS課長は人一倍現場への熱い思いを持っていました。当時,後数年で退職を迎えるS課長は,自分の経験や知識,思いを懸命に後輩へ伝えようとしていました。消防という仕事への情熱や誇りに裏付けられた教養や言葉は,消えることのない炎を私に灯してくれました。私も引き継いだ思いを次の世代に伝えるべく,情熱と誇りを持って仕事をしたいと思います。

   他にも数えきれない良い出会いがありました。近頃は後輩の方々からも学ばせていただき,良い出会いだなぁと感謝しています。そして,今度は私自身が誰かにとっての良い出会いになれるよう精進し,消防人生を全うしようと思っています。

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電話:075-682-0119

ファックス:075-671-1195