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京都市消防局

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平成28年2月号 あの日あの頃

ページ番号192527

2016年2月1日


 私が京都市消防局で職に就いたのは昭和52年4月1日で,それまで消防のことは全く知らず,「火事を消す」,「救急車で傷病者を病院へ搬送する」といった程度の認識しかなく,また,消防学校の初任教育で「消防法」という言葉を聞くのも初耳の状況で,若干不安を感じたことを思い起こします。

 このような私も60歳となり,まもなく退職を迎えようとしており,「よく39年間勤められたな。」と思うとともに,この仕事を続けられたことに感謝の気持ちを感じています。

 在職の39年余りを振り返ってみますと,予防業務を通算で29年行いました。

 この予防業務の中で,私の記憶に残った主な事柄について述べますと,初めに,昭和62年6月6日に発生し,死者17名を伴った東京都東村山市の「松寿園火災」があります。この火災により消防法令が改正され,消防法施行令別表第1 (6)項ロ対象物のうち,特別養護老人ホームや老人保健施設などが特定(6)項ロ対象物(施行規則第13条第1項もの)として,スプリンクラー設備の設置基準が6,000㎡から1,000㎡に,また,(4)項及び(6)項イ対象物についても3,000㎡に変更されました。当時,私は東山消防署の予防課で設備担当をしており,既存の遡及対象物(病院等)に対して,足繁く設置指導に行き,猶予期間内に設置することができました。

 しかし,平成7年4月に伏見消防署へ異動となり,そこでも,まだ未設置の病院に対して設置指導を行いましたが,猶予期間の平成8年3月31日を過ぎても設置されず,指導を強化し,5箇月遅れで設置してもらうことができました。そのとき私は,「まだまだ指導が甘い。」と思いました。

 「松寿園火災」の次は,平成13年9月1日に発生し,死者44名を伴った新宿歌舞伎町の「明星56ビル火災」です。この火災によっても消防法令が改正され,特定1階段対象物(特定用途対象物で,階数3階以上かつ階段が1箇所のもの)に対して,一動作型の避難器具や面積にかかわらず自動火災報知設備の設置義務,防火対象物定期点検報告制度,消防法第4条の改正(通告義務の廃止及び24時間実施が可能),避難上必要な施設の管理義務,罰則の強化が図られました。既存の対象物に対する自動火災報知設備の設置猶予期間が平成17年10月1日で,この猶予期間を過ぎても未設置の対象物に対して,初めて未設置に係る消防法第17条違反の命令を行ったことを思い出します。

 続いて,平成18年1月8日に発生し,死者7名を伴った長崎県大村市での「グループホーム『やすらぎの里さくら館』火災」です。この火災は,社会に「認知症高齢者のグループホーム」を広く知らしめ,(6)項ロ対象物に対して,床面積にかかわらず自動火災報知設備の,床面積が275㎡以上の施設へのスプリンクラー設備の設置等が義務付けられました。消防法令改正時から設置指導を行っていた老人介護施設で,遡及期限の平成24年3月31日を過ぎても設置されず,3箇月遅れで設置してもらうことができました。

 最後に,平成19年1月20日に発生し,死者3名を伴った兵庫県宝塚市での「カラオケ店火災」です。この火災によっても消防法令が改正され,新たに(2)項ニ対象物(個室型店舗)が追加され,床面積にかかわらず自動火災報知設備の設置が義務付けられるとともに,誘導灯の設置基準が強化されました。また,京都市火災予防条例も併せて改正され,避難通路の幅,避難経路図等の設置等が義務付けられました。このときも,消防法令の改正時から,警告・命令を前提に自動火災報知設備の設置指導を何度も何度も行ったものの,自動火災報知設備の遡及期限平成22年9月30日を過ぎても設置されず,警告を行い,命令の一歩手前の履行期限ぎりぎりになって,ようやく設置してもらうことができた個室型ビデオ店のことを思い出します。

 また,この消防法令の施行日(平成20年10月1日)に,大阪市にある個室ビデオ店で火災が発生し,15名の方が亡くなったことも併せて思い出します。

 以上の主だった消防法令の改正以外にも,小さな改正が毎年のように行われ,消防法令の改正に伴う既存対象物に対する遡及指導の連続であったように思います。

 前述のように,数々の消防法令の改正は,消防の目的の達成を図るうえでの権限の強化であり,それだけに消防職員の責務の遂行義務を課したものです。裏返して見ると,市民(国民)からの消防に対する期待の増大であるものと考えます。

 結びに,後輩の皆さんの活躍を願っています。


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