スマートフォン表示用の情報をスキップ

現在位置:

人権総合情報誌「きょう☆COLOR」創刊号(HTML版)

ページ番号175148

2015年5月29日

人権総合情報誌「きょう☆COLOR」創刊号(HTML版)

輝きピープル  サッカー選手 澤 穂希さん

お互いを尊重し、認め合うこと。

 

「なでしこジャパン」を優勝に導き、女子サッカー選手の第一人者として常にチームをリードしてきた澤選手。サッカーで培った経験を基に、人権に対する思いなどをお聞きしました。

 

女子選手の第一号として

 

 私がサッカーを始めたのは、小学校の低学年の頃に、一つ歳上の兄が通うサッカークラブに遊びに行ったことがきっかけです。コーチの方が私に、「一緒にボールを蹴ってみないか。」と声を掛けてくださり、私が蹴ったボールがゴールに吸い込まれていく感覚がたまらなく心地良く、それ以来、サッカーのとりこになりました。しかし、そのクラブは男子だけのチームだったので、女子の入部はかないませんでした。クラブ側は「前例がない。」という理由で、私の入部を断り続けたのですが、悲しむ私を見て、母は何とかしたいという思いで、クラブの代表の方に「女子選手の入部の前例がないのなら、この子で新しい歴史を作ってください。」と強く迫り、入部が許可されたのです。

 当時は、小学生の全国大会にも「男子のみ出場可能」という制限があって、自宅から近いよみうりランドで開かれていた全国大会にも「女子」という理由だけで参加することができず、あふれる涙を抑えながら、スタンドでチームメイトを応援した記憶があります。今は普通に男女一緒に参加できる大会になりましたが、当時はただ「女子」ということだけで、大会に参加できないことに対して、とても不条理を感じていました。

 

言葉の壁を乗り越えて

 

 過去2度にわたりアメリカのリーグでプレーしましたが、初めての海外生活では、まず言葉の壁がありました。最初はアメリカの選手たちが話すことが聴き取れず、また自分が思うこともうまく伝えられず、もどかしい面もありましたが、私と一緒にサッカーをするチームメイトたちが、私の実力を認めて尊重してくれたので、特別な苦労はありませんでした。そのときに感じたことは、「サッカーは世界共通の言語なんだ。」ということ。アメリカの選手たちの中には同性愛者もいましたが、人それぞれ価値観が違うので、私は全てを受け入れて、相手を尊重してアメリカの生活を楽しく過ごしました。

 また、アメリカのチームにいた頃は、選手同士がプレー中、お互いの要望を言い合うときに「放送禁止用語」ではないかと思うような過激な言葉を平気で使っているのには驚きました。激しい自己主張だと理解しながら、「言葉がなくても通じ合う。」ということと、「主張しなければ相手には通じない。」という2つの面を同時に考えることになりました。それは、今の自分の中で、いかされていると思います。私は試合中や練習中にチームメイトに余り指示をせず、自分自身のプレーでみんなを引っ張って行くタイプですが、やはりここぞというときには、きちんと言葉で示して、自分の意図を正確に伝えることにしています。アメリカでの生活は、意思疎通を正確に行うことがコミュニケーションを潤滑にすることも学べたので、とても価値のある期間だったと思います。

 

試合中は激しく競り合っても、相手あってこそのサッカー。相手を尊重することが基本です。

 

相手を尊重することが基本

 

 そのような経験もあって、2011年女子ワールドカップ準決勝のスウェーデン戦の試合前に、差別撤廃についてスピーチしました。人権においては、地球上の全ての方々が平等で、全てのことにおいて同じ権利を有していると思います。人が人を尊重し、相手の立場で考えてみることは、とても大事なことです。相手を尊重できない人は、結局、自分を尊重してもらえないし、認めてもらえないと思います。

 サッカーの応援というのは、時として過激になり、過去には目の前で行われているサッカーそのものよりも、その試合のバックグラウンドの問題で、サポーター同士や国同士がもめることもありました。サッカーは対戦する相手がいなければ、試合さえできません。相手がいるからこそ、サッカーの試合をすることができます。試合中は激しく競り合っても、相手あってこそのサッカー。人は一人一人、みんな個性があります。一人として同じ人はいません。自分と違う肌の色、民族、国籍、生活習慣、宗教など、違いがあって当たり前です。自分と他人を比較せず、自分の良さと他人の良さを認め合って相手を尊重することこそが、サッカーの基本であり、人権の根底にある大事なことだと思います。

 

 

「なでしこジャパン」が優勝できたのは、日本の皆さんの熱い応援があったから。その恩恵に報いたい。

 

復興支援で恩返ししたい

 

 2011年3月11日に発生した東日本大震災のことは忘れられません。特に福島を本拠地にしていた「なでしこリーグ」の選手たちは、サッカーをするどころではなくなりました。そんな中でも私たちは日々のトレーニングを続けて、7月にドイツで行われたFIFA女子ワールドカップに出場しました。私たちは被災された方々を思い浮かべながら、その方々に背中を押される思いで、試合に臨みました。そして、優勝して、国民の皆さんに良い報告をすることができました。「なでしこジャパン」のワールドカップでの優勝は、被災地の方々を含めて、日本の皆さんの強い後押しと熱い応援があったからこそ、成し遂げられたのです。

 私たち、「なでしこジャパン」の全員が、頂いたその恩恵にどのように報いることができるのかを考えました。そして、被災地の方々に、少しでも生きる力や活力を取り戻していただければという一念で、女子サッカーの総力を挙げてチャリティーマッチを開催しました。そこで得られる収益金で被災地のために何か力になれると信じて、試合を行いました。私たちの気持ちを理解してくださった男子の日本代表OBの方々も快く参加してくださいました。また、2回目のチャリティーマッチのときには、アーティストの方々もチームを編成して参加してくださいました。

 私たちは被災地の方々を試合に御招待して、その日は一緒に過ごしました。陸前高田市のがれきの山だった場所に新設された天然芝のサッカー場の横には、現在、立派なクラブハウスが建っています。それは、私たちの2回の試合を通じて得た収益と、他の団体や個人の方々の寄付で建てられたものです。陸前高田市の小学校の運動場にはいまだに仮設住宅が設置されていて、子どもたちが遊ぶ場がありませんでしたが、その天然芝のグラウンドが体育の授業や放課後のスポーツを可能にし、地域の全ての方々が立ち寄る憩いの場所になりました。また試合のときには、着替えをしたり、シャワーも使えます。何と言ってもトイレを設置したことで、仮設のトイレでいつも悪臭に苦しんでいた皆さんが気持ち良くトイレを使用することができるようになりました。

 私たちは、ワールドカップで優勝する原動力の一つになった被災地を含めた日本国民の皆さんの応援を、決して忘れることができません。今後も、自分たちができる範囲で、この取組を続けていきたいと考えています。

 

サイン入り色紙を差し上げます!

澤穂希さんのサイン入り色紙を3名様にプレゼントします。どしどし御応募ください!

応募方法 ハガキに郵便番号・住所・氏名・年齢・電話番号・「きょう☆COLOR」への御感想・御意見を必ずお書きのうえ、以下の宛先へお送りください。

締切り 1月31日(土曜日)(当日消印有効)

宛先 〒604-8571(住所不要)京都市人権文化推進課「きょう☆COLOR」Vol.1プレゼント係

★抽選結果の発表は発送をもって代えさせていただきます。

 

プロフィール

澤 穂希(さわ ほまれ)さん

1978年東京都出身。15歳で日本代表入り。

以後、オリンピック4大会、ワールドカップ5大会に出場。日テレ・ベレーザとアメリカ女子プロリーグでのプレーを経て、2011年INAC神戸レオネッサに移籍。

2011年FIFA女子ワールドカップで優勝し、大会MVPと得点王。2011年度FIFAバロンドール授賞式にて、「FIFA女子年間最優秀選手」を受賞。2012年のロンドン・オリンピックでは、銀メダルを獲得。2014年AFC女子アジアカップで優勝し、アジアカップ初制覇を達成。国際Aマッチ出場197試合、82得点。(2014年5月25日現在)

 

特集 ひとがつながり みんなでつくる やさしさあふれる 人権文化の息づくまち・京都 京都市人権文化推進計画(案)について ~皆さんの御意見を募集します!~

 

 京都市では、市政の基本方針である京都市基本構想、その具体化のために全市的観点から取り組む主要な施策を示した、京都市基本計画(はばたけ未来へ!京プラン)に基づく分野別計画として、京都市人権文化推進計画を策定し、人権文化の息づくまちづくりを推進しています。現計画が、平成26年度末をもって終了することから、平成27年度以降の新たな計画の策定に取り組んでおり、平成26年11月18日(火曜日)から新しい京都市人権文化推進計画(案)について、皆さんからの御意見を募集します。

 計画(案)は、市役所、区役所・支所、市立図書館、文化会館等で配布するほか、京都市情報館(京都市の公式ホームページ)からもダウンロードすることができます。

 

募集期間 平成26年11月18日(火曜日)から12月17日(水曜日)まで(必着)

 

応募方法 郵送、FAX、電子メールのいずれか。様式は自由。電話では受け付けておりません。

 

送付先及び問合せ先

〒604-8091 京都市中京区寺町通御池下る下本能寺前町500番地の1 中信御池ビル6階 

京都市文化市民局市民生活部人権文化推進課

【電話】075-366-0322 【FAX】075-366-0139 【電子メール】[email protected]

 

ここでは、計画(案)の概要について、御紹介します。

計画期間 平成27(2015)年度から平成36(2024)年度までの10年間

計画の目標~10年後の目指す姿

●市民や企業・団体等が、人権文化の息づくまちを目指して、家庭、地域、職場等において、自らが行動する社会

●ひとりひとりが可能性を伸ばし能力を発揮することができる機会が保障され、また、そのために互いを認め合い、つながりを持ち、支え合う社会

●人権に関わる問題が発生した場合に、市民が安心して相談をすることができ、また、救済を受けられる体制が整備されている社会

 

 

 

基本理念

ひとがつながり みんなでつくる やさしさあふれる 人権文化の息づくまち・京都

 

基本方針

●市民との協働による人権文化の土壌づくり

●権尊重の理念を基調とした行政の推進

●社会状況に対応した戦略的な人権施策の推進

●各部局の連携による総合的な人権施策の推進 

 

各重要課題について

 人権に関わる各重要課題について、市民等と共に、各部局連携の下、解決に向け取り組みます。昨今の社会状況を踏まえ、新たに「犯罪被害者等の人権尊重」、「安心して働き続けられる職場づくり」等の項を設けました。

 

人権施策の推進

 人権施策について、「教育・啓発」「保障」「相談・救済」の分類に基づき、それぞれ重点的に取り組む事項を掲げ、各重要課題の取組との総合的な取組により、人権文化の構築を進めます。

我ら,企業市民

JR西日本京都支社

 

女性の車掌、運転士が活躍。職域広げる制度、職場環境の整備。

 

 かつては「男性の職場」とされた列車の乗務員職に女性の進出が目立ちます。関西では、平成11(1999)年度から女性の乗務員の採用を始めた西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)が、制度や職場環境の最も整った鉄道会社の一つです。JR西日本京都支社を訪ね、人事育成課長の濱野英範さんと京都車掌区係長の上川はつみさん、同車掌の柴田奈穂さん、米原列車区運転士の藤村沙織さんにお話を聞きました。

 

育児休職、短日数勤務制度などの充実進む

 

近畿統括本部 京都支社

人事育成課長 濱野英範(はまの ひでのり)さん

 

 京都支社の社員約2000人中、女性は約400人、うち運転士と車掌が約150人います。昨年度は乗務員と駅係員合わせて約50人を採用し、その約3割が女性です。平成11年度から深夜業務を伴う乗務員職に女性の採用を始めました。それまで男性だけの職場でしたので、まずトイレや更衣室、宿直室などの施設整備から始まり、次に育児休職などの制度面を充実させてきました。

 より使い勝手のよい制度にするため、育児休職も1年から2年、3年へと延長。また現在では、育児のために月の労働日数を4日減らせる短日数勤務制度や、保育所への送迎などのため勤務時間を短縮できる短時間勤務制度などを整備してきました。制度普及のためにワーク・ライフ・バランスサポートBOOKを作成して配布したり、社内報でも制度利用者のレポートや座談会を積極的に掲載しています。

 お客様の半分が女性です。女性社員が増えたことにより、女性ならではの視点で様々な所に目が行き届きますので、お客様の満足感や安心感につながっていると思います。また、男性も積極的に子育てに関わるなど家庭と仕事を両立する風土が職場に広がっています。女性が活躍できる職場づくりはまだ道半ばですが、今後とも制度充実と職場環境の整備を進めていきたいと考えています。

 

 

緊張感を持って働くことがやりがいにつながった

 

 上川さんは、旅行センターの営業職として入社。平成6(1994)年に開港した関西国際空港まで特急はるかを運行するのに伴って女性車掌の社内募集があり、応募して採用されて以来20年間、女性車掌一期生として特急はるかでの勤務を続けてきました。「今年6月からは係長となり、若い乗務員の指導に当たっています。」と話します。柴田さんは、東海道本線のほか湖西、嵯峨野、草津、奈良など各線の普通列車や特急の車掌として働いています。「入社時には既に女性乗務員の採用が始まっていましたので、初めから乗務員を希望して入社しました。」ときっぱり。藤村さんは、駅務や車掌の経験と1年間の訓練期間を経て運転士になりましたが、今年8月に出産・育児に伴う休職から駅勤務を経て4年3箇月ぶりに復帰したばかり。「ブランクがありましたので、今は指導操縦者に付いてもらって列車を運転しています。」と言います。

 女性乗務員の本格的な採用は平成11年度からですが、上川さんはそれよりも5年早く女性車掌としての第一歩を踏み出しました。「乗務員の仕事は安全のために確認を積み重ねることが基本。女性だから不向きとは考えていませんでしたが、女性だからできないと言われないように健康管理や自己研鑽に努めてきました。やはり張り詰めた気持ちで仕事をしていたと思います。」と振り返ります。「女性車掌の先輩がいましたから、入社当時から『男性だから、女性だから。』と意識はしなかった。」と言うのは柴田さん。高校時代にJRで通学していて、制服姿の女性乗務員にあこがれて車掌になりました。父親が元国鉄マン。「泊まり勤務も平気でした。」と真顔で話します。藤村さんは、高校の進路指導の先生に勧められてこの道に進みましたが、当時は女性運転士はまだ珍しい存在でした。「好意的に声を掛けてもらうこともあれば、奇異な目で見られることもありました。緊張感を持って仕事を続けてきたことが、やりがいにつながっていました。」と言います。

 

感謝の気持ちが職場を良い方向に変えていく

 

 女性乗務員としての苦労や悩みは、先輩の上川さんが一番経験しているようです。「一期生用に試作された制服はタイトスカートでした。これではいざというときに仕事にならないと女性乗務員が声を上げ、膝丈のキュロットスカートになり、今はスラックスです。」と笑います。「今ではマタニティーのワンピースの制服もありますよ。全て、先輩たちが頑張っていただき、職場全体にも理解が広がった結果です。」と柴田さん。上川さんは「当初は男性社員の何気ない言葉に嫌な思いをしたこともありました。それが人権研修を受けたり、職場で男性社員とコミュニケーションを重ねることで、少しずつ意識も変わってきたように思います。」と話します。

3人は共に職場結婚で、子どもたちのお母さんでもあります。「私が出産・育児を経験したときは育児休職や短日数勤務制度など子育てを支援する様々な制度の充実へと取組が進められていく時期でした。」と上川さん。柴田さんは「私のときは育児休職も1年間から2年間、更に3年間へと延長になり、選択肢が広がりました。」と言います。「私も一人目が2年間休職、二人目が3年間休職でした。」と藤村さんも話します。

 育児・出産を経た女性が働きやすい職場環境を整備してきたJR西日本ですが、少し前まではまだまだ出産をきっかけに退職してしまう女性乗務員が多いのが現実でした。柴田さんは「悩んでいたとき、当時の上司から『絶対辞めるな、会社も頑張るから君も頑張れ。』と言われたのが職場復帰の大きな励みになりました。」と振り返ります。藤村さんも「今は制度的にも充実しているので、後輩たちは育児休職が終わったら復職しやすい環境になったと話しています。」とうなずきます。上川さんも「今では育児休職から復職したら、『お帰り。』という言葉が男性社員からも自然に出ますからね。」と笑顔を見せました。

 制度面の充実が進み、女性が働きやすい職場環境が整ってきましたが、上川さんは「男性も女性もやる気を持って、生き生きと働けば、それがきっと職場をより良い方向に変える力になるはずです。」と話します。「後輩たちには周囲への感謝の気持ちを忘れずに仕事を続けて欲しいと思います。」と柴田さん。藤村さんは「女性乗務員として働こうと決めたからには、やる気と負けん気を持って頑張って欲しい。」と、そろって女性乗務員の後輩たちにエールを送りました。

 

見て・知って人権 京の学生が行く

  

このコーナーでは、学生の皆さんに取材や誌面作りに参加していただき、毎号、京都市の人権関連施設を1箇所ずつ紹介していきます。

 

第1回 ツラッティ千本 京都市人権資料展示施設

 

第1回は、千本北大路にある「ツラッティ千本」。この施設の運営にボランティアとして携わっている佛教大学の学生たちが館内を御案内します。

 

「ようこそ!私たちが御案内します!」

 

佛教大学 4回生

佐藤 祐亮(さとう ゆうすけ)さん

 

佛教大学 4回生

倉田 千春(くらた ちはる)さん

 

佛教大学 4回生

笠井 心(かさい しん)さん

 

佛教大学 4回生

境 重貴(さかい しげき)さん

 

ツラッティ千本とは、どのような施設ですか?

 

 同和問題をはじめとする様々な人権問題について、幅広く学習するための京都市の人権資料展示施設です。常設展では、千本(楽只)地域の歴史やまちづくりの歩みを中心とした展示を行っています。このほか、研修や、地域のフィールドワークにも取り組んでいます。また、特定の人権テーマを採り上げての特別展と企画展を年1回ずつ開催しています。今年は、10月から11月にかけて、柳原銀行記念資料館と共同で、「全国水平社創立宣言」をテーマとした特別展を開催しました。

 

 

この施設の成り立ちを教えてください。

 

 従来、地域の隣保館兼保育所だったこの場所は、施設の移転に伴い、地域の熱い思いも受けて、京都市が、人権資料展示施設を設けることになり、平成6(1994)年12月1日に開設されました。京都市内には、下京区に柳原銀行記念資料館という同様の人権資料展示施設がありますが、それに先立って整備されました。当初は、京都市が直接運営する施設でしたが、5年前からNPO法人くらしネット21が市から委託を受けて運営しています。もうすぐ20周年になりますので、記念のシンポジウム等も開催したいと思っています。

 

施設の特徴や特色はどのようなところにありますか?

 

 千本(楽只)地域は、被差別身分の廃止を明治政府に求めた村年寄の益井元右衛門・茂平親子や、大正11(1922)年の全国水平社創立に際して初代委員長に選出された南梅吉などの部落解放運動の先駆者を輩出するなど、長年にわたり同和問題の解決に向けた広範な市民ぐるみの取組が進められてきました。

 益井元右衛門・茂平親子や南梅吉関連の資料はもとより、地域の子どもたちが作った八軒長屋の模型等、町の移り変わりが分かる様々な資料や古地図のほか、「共生・永住・自治」を目指して取り組まれてきた、まちづくりに関する資料などを展示しています。これらの展示物は、差別と人権について事実を正しく学んでもらうための重要な資料です。また、差別を受けていた人々を主人公にした物語「千本の赤」は、地域の子どもたちに自分の故郷に誇りを持ってもらうため、後に絵本になりましたが、その原画等も展示しています。

 なお、佛教大学のゼミの学生たちには、ボランティアとして来館者への施設案内をしてもらうだけでなく、企画展・特別展の準備・運営や、歴史的資料の調査・収集にも携わってもらうなど、隣接する佛教大学と密接な連携の下で運営しているのもこの施設の大きな特徴の一つだと思います。

 

読者に対するメッセージをお願いします。

 

 「ツラッティ」という名称は、この地域の人々が「連れ合って生きてきた」という意味と、同和問題を正しく理解していただくため、市民の皆さんに「連れ合って来ていただきたい」という願いがこめられています。京都の町には、NHKの大河ドラマや歴史の教科書に出てくる人物にゆかりの場所がたくさんありますが、ツラッティ千本では、そうした歴史上に名を残さない人たちについても、きちんと発信している人権資料展示施設です。年間4千人もの方が国内外から訪れ、今年6月には開設以来、通算7万人目の来館者がありましたが、まだまだ十分とは考えていません。差別や偏見は時代ごとに姿を変えて、日常の中に潜んでいます。生きていくうえで一番大切な人権について学ぶことができる施設ですので、より多くの人に「連れ合って来てください」と呼び掛けていきたいと思っています。

 

お話を伺った方

ツラッティ千本

古川 豪(ふるかわ ごう)さん

 

第1展示室

京都市の住環境整備と同和行政の展開

 

「見学に来てくれた中学生の皆さんに展示物について解説しています。」

 

※写真キャプション

千本地域現況模型

楽只小学校5年生製作の「八軒長屋」模型

 

第2展示室

千本のあゆみⅠ

千本のあけぼのと村の改善事業

 

「洛中洛外図屏風には、当時の被差別地域の生活が描かれています。」

 

※写真キャプション

千本地域の歴史が分かる年表

住民の生活向上に尽力した益井茂平

洛中洛外図屏風高津本(複製)

 

第3展示室

千本のあゆみⅡ

野口村のくらしと全国水平社

 

「千本の歴史と水平社宣言のことをもっとみんなに知って欲しいです。」

 

※写真キャプション

全国水平社 初代委員長 南梅吉

 

生活民具類

手作りの履物

特別財産設立に関する事由書

 

第4展示室

「共生・永住・自治」のまちづくりをめざして

 

「千本地域の第2のまちづくりとその課題などが理解できます。」

 

※写真キャプション

昭和26(1951)年当時の千本地域を復元した模型

 

第5展示室

「千本の赤」

 

「部落の人々の活躍ぶりが、部屋いっぱいに展示された絵本の原画に生き生きと描かれています。」

 

※写真キャプション

「千本の赤」の絵本

絵本の原画

 

「私たちは来館者への人権研修の講師を務めたり、展示物の作成や、千本地域の歴史や課題についての調査・研究も行っています。」

 

案内後記

 

人権の大切さを再確認できました。このまちの歴史だけでなく、良い面も伝えていきたいです。これからも活動を通してたくさんのことを学び、自分の糧にしていきたいです。

(境 重貴)

ガイドや研修を通して仲間と共に自分の思いを伝えるというのは、とても貴重な体験です。将来教員になれたら、自分の生徒にもここで学んだことを伝えていきたいと思います。

(倉田 千春)

改めて自分自身が色々なことを学ばせてもらっていると再認識できました。千本地区の歴史や発展の歩みを学ぶことで、皆さんの人権感覚が養われると思います。

(佐藤 祐亮)

ツラッティ千本のことを知らない人はまだ多いはず。今回はいろんな方に知っていただける良い機会になったと思います。僕たちと同じ世代の来館が増えるとうれしいです。

(笠井 心)

 

施設情報

 

■所在地 〒603-8302 京都市北区紫野花ノ坊町23-1

■問合せ先 ツラッティ千本 TEL:075-493-4539

■ホームページ 京都市情報館(https://www.city.kyoto.lg.jp/)から「ツラッティ千本」で検索

■開館時間 午前10時〜午後4時30分

■閉館日 日曜日、祝・休日、月曜日、年末年始(12月29日〜1月3日)

■入館料 無料

■交通案内 市バス「千本北大路」下車

 

イベント情報・お知らせ

京都市が主催する人権啓発イベント等のお知らせです。

参加費は無料です。各会場などにお越しの際は公共交通機関を御利用ください。 

詳細については、問合せ先に直接お尋ねください。

 

講演会

人権を考える講演会

日時 平成26年12月7日(日曜日)13時半~15時

場所 醍醐交流会館ホール

内容

講師 矢吹文敏(日本自立生活センター代表、障害者権利条約の批准と完全実施をめざす京都実行委員会副実行委員長)

演題 思いやりを形に!〜「合理的配慮」を標語だけにしてはならない〜

定員 200名

申込み 不要

手話通訳 有

問合せ 醍醐支所地域力推進室 TEL 571・6135 FAX 571・2673

 

心のふれあい みんなの広場 講演会

日時 平成26年12月12日(金曜日)18時半〜20時

場所 龍谷大学響都ホール校友会館

内容 講師 渡部 陽一 (戦場カメラマン・ジャーナリスト)

演題 「戦場からのメッセージをあなたに」~ファインダー越しに見た命の現場~

定員 約300名

申込み 不要

手話通訳・要約筆記 有

希望者は11月25日(火曜日)までに、左記問合せ先へFAX等で申し込み。

問合せ 南区役所地域力推進室 TEL 681・3417 FAX 671・9653

 

ふしみ人権の集い2014 第2回学習会

日時 平成26年12月13日(土曜日)13時半〜16時半

場所 深草総合庁舎4階会議室

内容 次の社会をつくる子どもたちの教育を担う若い先生方と、これからの人権教育・啓発の在り方を考えます。

定員 150名

申込み 不要

手話通訳 有

問合せ 深草支所地域力推進室 TEL 642・3203 FAX 641・0672

ヒューマンステージ・イン・キョウト2015

日時 平成27年1月31日(土曜日)14時~16時

場所 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ

内容 樋口了一(シンガーソングライター)によるトーク&ライブほか

定員 500名

手話通訳・要約筆記 有

託児 有

申込み 12月2日(火曜日)から12月31日(水曜日)までに京都いつでもコール(年中無休/8時~21時)

TEL 661・3755 FAX 661・5855

又は「京都いつでもコール」のホームページ「現在申込受付中のイベント」から。

問合せ 文化市民局市民生活部人権文化推進課

TEL 366・0322 FAX 366・0139

 

第20回ふしみ人権の集い

日時 平成27年2月7日(土曜日)13時半〜16時半

場所 京都府総合見本市会館 京都パルスプラザ 稲盛ホール

内容 テーマ 人権文化のまちをひとりひとりの心から-20年間の学びをふしみの町に広げよう!-

第1部 20年間のあゆみを振り返って

第2部 記念公演 届け!共に生き、互いに尊びあうことのすばらしさを!〜浪速の太鼓と竹田の子守唄にのせて〜

出演 太鼓集団「怒」を中心としたユニット

部落解放同盟改進支部女性部

定員 600名

申込み 不要

手話通訳 有

問合せ 伏見区役所地域力推進室 TEL 611・1144 FAX 611・0634

 

 

 

 

 

 

 

 

展示

 

児童絵画展

日時 平成26年12月1日(月曜日)~12日(金曜日)8時半~21時(土曜日、日曜日、最終日については17時まで)

場所 左京区総合庁舎1階 区民ロビー

内容 左京区内の小学校児童が描いた人権をテーマにした絵画の展示。

問合せ 左京区役所地域力推進室TEL 702・1029 FAX 702・1303

 

人権啓発ポスター展

日時 平成26年11月20日(木曜日)~12月18日(木曜日)

場所 アートロードなぎつじ(地下鉄椥辻駅)

内容 山科区内の中学生の作品を展示

問合せ 山科区役所地域力推進室 TEL 592・3088 FAX 502・8881

 

人権啓発絵画ポスター展

日時 平成26年12月1日(月曜日)~25日(木曜日)

場所 伏見区総合庁舎1階ロビー、向島図書館、地下鉄竹田駅構内、深草総合庁舎1階コミュニティホール、醍醐総合庁舎2階ロビー、京都銀行小栗栖出張所、滋賀銀行醍醐支店、京都中央信用金庫醍醐支店・石田支店、伏見東郵便局

内容 伏見・深草・醍醐管内の小・中学生の人権啓発をテーマにした絵画ポスター作品を展示。

問合せ

伏見区役所地域力推進室 TEL 611・1144 FAX 611・0634

深草支所地域力推進室 TEL 642・3203 FAX 641・0672

醍醐支所地域力推進室 TEL 571・6135 FAX 571・2673

 

人権啓発パネル展

日時 平成26年12月1日(月曜日)~6日(土曜日)

場所 ゼスト御池 河原町広場

内容 LGBT等の性的少数者に関するパネル展示。

問合せ 文化市民局市民生活部人権文化推進課 TEL 366・0322 FAX 366・0139

 

 

 

 

映画上映

 

山科区人権映画のつどい

日時 平成26年12月5日(金曜日)13時30分~16時

場所 京都市東部文化会館ホール

内容

講演 深田麗美(京都リップル代表) 

映画 「オカンの嫁入り」

定員 500名

申込み 不要

副音声・日本語字幕 有

視覚・聴覚に不自由のある方の優先枠有り(先着20名)。

問合せ 山科区役所地域力推進室 TEL 592・3088 FAX 502・8881

 

北区人権のつどい

日時 平成26年12月6日(土曜日)13時~16時20分

場所 京都市北文化会館

内容

講演

講師 薬師寺 公夫(立命館大学大学院法務研究科教授)

演題 国際人権と多文化共生社会

映画 「42 世界を変えた男」

定員 400名

申込み 12月2日(火曜日)までに「京都いつでもコール」(年中無休/8時~21時)

TEL 661・3755 FAX 661・5855

又は「京都いつでもコール」のホームページ「現在申込受付中のイベント」から。

手話通訳・要約筆記 有(講演)

副音声・日本語字幕 有(映画)

問合せ 北区役所地域力推進室 TEL 432・1208 FAX 441・3282

 

その他

右京区人権啓発事業「右京はーとふるシアター」

映画産業のまち、右京区ならではの人権啓発事業として、平成25年度に、大学生等の若者を啓発対象に作成した映画「しあわせ色のレンズ」を「右京コミュニTV」で随時配信中。

人権月間(12月)には「右京コミュニTV」トップページでリピート再生を行います。

問合せ 右京区役所地域力推進室 TEL 861・1264 FAX 871・0501

 

 

講座開催のご案内

京都市主催 平成26年度 企業向け人権啓発講座のお知らせです。

参加費は無料です。

各会場などにお越しの際は公共の交通機関をご利用ください。

※対象は、京都市内に事業所を持つ企業等の経営者層、人事・総務責任者層、人事・総務責任者、人権研修推進者等です。

 

第9回 講演と寸劇

障害(バリア)のない社会への企業の責任

〜障害者差別解消法と京都府条例が企業に求めること〜

 本講座初の試みとして、寸劇という手法を講演に採り入れています。この分野の研究に著名な講師からの講演と、障害のある方々による寸劇の実演を通じて、法令遵守と共に、企業が持つべき視点と取り組むべき課題について共に考えましょう。

●日時 平成27年1月22日(木曜日) 14時~16時半

●場所 京都市国際交流会館 イベントホール(左京区粟田口鳥居町2番地の1)

●講演 松波めぐみ((公財)世界人権問題研究センター 専任研究員)

●寸劇 障害のある方々の劇団サークルの皆さん

●定員 200名(先着順)

●申込期間 平成26年11月17日(月曜日)~平成27年1月15日(木曜日)

(中小企業庁委託事業)

 

第10回 地域の集い

第20回 ふしみ人権の集い

~人権文化のまちをひとりひとりの心から~

‐20年間の学びをふしみの町に広げよう!‐

 伏見区内の企業約100社・学校・区民・行政が手を携えて取り組んでいる「ふしみ人権の集い実行委員会」が主催する地域の集いに参加し、地域社会の一員として企業にできることについて共に考えましょう。

●日時 平成27年2月7日(土曜日) 13時半~16時半

●場所 京都府総合見本市会館 京都パルスプラザ 稲盛ホール(伏見区竹田鳥羽殿町5番地)

●内容

【1部】活動報告 20年間のあゆみを振り返って

【2部】記念公演 届け!共に生き、互いに尊びあうことのすばらしさを!〜浪速の太鼓と竹田の子守唄にのせて〜

出演 太鼓集団「怒」を中心としたユニットの皆さん ほか

●申込期間 平成26年11月17日(月曜日)〜平成27年1月30日(金曜日)

※先着順で受け付けます。ただし、満席見込みとなった時点で受付終了となります。

 

※詳細につきましては、京都市人権文化推進課のホームページから企業啓発担当を御覧ください。

※「企業向け人権啓発講座」の講演録等を京都市人権文化推進課ホームページにて公開していますので、御参照ください。

 

申込方法

京都市人権文化推進課又はそのホームページ(企業啓発担当)から入手した申込書に必要事項を御記入のうえ、FAXで申し込んでください。

FAX 366-0139 (お問合せは TEL 366-0322へ)

※手話通訳・要約筆記を必要とされる方は事前にお申し込みください。

※御来場の際は、公共交通機関を御利用ください。自家用車での来場を必要とされる方は、京都市人権文化推進課まで御連絡をお願いいたします。

※定員を超えた場合は、その旨をホームページに掲載し、受付を終了しますので、あらかじめ御了承ください。

個人情報の取扱いについて/いただいた個人情報は、京都市個人情報保護条例に基づき、他の目的には使用しないとともに厳重に管理します。

 

<人権啓発サポート制度>

 市民の皆さんや会社などの10人以上のグループで、人権に関する研修を行われる際に、実施方法やテーマ選定の相談、講師の派遣、ビデオやパネルの貸出し、資料の提供などを行っております。お気軽に御相談ください。(申込み及び問合せは、下記課名及びTEL・FAXのとおり)

 

―編集後記―

 人権総合情報誌「きょう☆COLOR」創刊号はいかがでしたか。「きょう☆COLOR」は、全国の皆様方から200点を超える御応募を頂いた作品の中から採用させていただいた名称であり、「「京から」「今日から」人権意識を高め、人が自分の色を発揮していけるカラフルな社会を目指して」という意味がこめられています。

 本誌は、年2回発行する予定であり、次号は来年4月中旬です。

 今後、更なる誌面の充実に努めてまいりますので、皆様からの御意見・御感想をお待ちしております。

 

 

人権総合情報誌 きょう☆COLOR vol.1 (発行日 平成26年11月17日)

発行:京都市文化市民局市民生活部人権文化推進課 

TEL 075-366-0322 FAX 075-366-0139   

〒604-8091

京都市中京区寺町通御池下る下本能寺前町500番地の1 中信御池ビル6階

URL https://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/soshiki/6-2-3-0-0.html

この冊子はホームページでも御覧いただけます。また、区役所・支所地域力推進室、市役所案内所ほかで配布しています。

 

お問い合わせ先

京都市 文化市民局共生社会推進室人権文化推進担当

電話:075-222-3096

ファックス:075-366-0139

フッターナビゲーション