令和5年度京都市広告デザインセミナーを開催しました!
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2023年11月1日
令和5年度京都市広告デザインセミナーを開催しました!
中坊壮介先生を講師にお迎えし、「広告デザインは何のためにあるのか。」をテーマに、街の景観に大きく影響するデザインと、街を美しく機能的にするためのデザイナーの役割、デザインすることの魅力についてお話いただき、グループワークを通じてご参加いただいたた方と共に考えました。
開催日時:令和5年10月22日(日曜日)午後1時45分~午後4時15分
会場 :京都経済センター 6ーC会議室
講演の様子です。
グループで意見交換を行いました。
令和5年度京都市広告デザインセミナーのチラシ
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当セミナーの申込時に、御記入いただきました質問について、セミナー当日に全てにお答えいただく時間がありませんでしたので、中坊先生にご回答いただいた内容を紹介させていただきます。
申込時に御記入いただいた質問 | 中坊先生の回答 | |
1 | 将来、地下鉄の駅構内に貼ってあるポスターのイラストを描きたいと思っています。そのような職業に就くには美大からデザイン会社に就職すれば良いですか。 | デザイナーやイラストレーターになるにはいくつかの方法があります。全て独学でプロになる人もいれば、デザイナーやイラストレーターの元で働いて学ぶ人、高校、専門学校、大学等でデザインやイラストを学びプロになる人もいます。それぞれの学びのプロセスの違いでプロとしての能力やスタンス、アプローチが変わってきます。 どんな人になりたいかを具体的に想像し、そのためのプロセスはどういったものがあるのかをよく調べてみてください。大学や専門学校で専門性を学び、関連の企業等で実戦経験と実績を付けるというのが多分最も一般的な方法かとは思いますが、独学で建築を学び世界で活躍する建築家などもいます。 |
2 | 広告物を作る上で大切にされていることや、広告物を作る過程について詳しく知りたいです。 | 私はプロダクトデザイナーで、通常は広告物のデザインを行っていません。ただ、グラフィックやパッケージ、ウェブサイト、空間など他の領域のデザインを行うことも少なくなく、自分自身が何かしら制作する時は考えていることはいつも大きく変わらないと感じています。 製品の設計をするとき、写真を撮影するとき、絵を描くとき、平面の構成をするとき、家具を作るとき、いつも脳の同じ様な部分を使っていると思います。一方でデザインは専門性も重要なので、基本的なスタンスはプロダクトデザイナーであり、プロダクトデザインに付随する場合にのみ他の領域のデザインも手がけるという感じです。 |
3 | どんなことを考えてデザインをしているのかや、デザインが思いつかない時はどのように乗り越えているのかなどをお聞きしたいです。 | 日々、人が関わるあらゆる物事に対してデザイン的視点で観察しています。そういった日々の観察がデザインのアウトプットにつながっていきます。 私はデザインにおいてアイデア以上にエクスキューション(どの様にアウトプットするか)を重視しています。どんなアイデアでも良いアウトプットにつなげるのが仕事だと思っています。 その点では「思いつかない(アイデアがでない)」ということはありません。料理に例えると、美味しいかどうかはアイデアではなく、どのように調理するかが重要であるのに近いかもしれません。 |
4 | 気に入っていらっしゃる書籍や参考にされている書籍は何ですか。 | デザインの経験値に関係なくデザインに興味をお持ちの方にお勧めするのであれば、イギリスの雑誌MONOCLEは良いと思います。 |
5 | お仕事をされながら、業務に必要なことをどういった方法で学ばれていますか。 | ビジネス情報は新聞や雑誌から積極的に取り入れるということはしておらず、逆にデザインやアートについては積極的に情報収集をしています。具体的な実務スキルに関してはインターネットなどからの情報と日々の実践を心がけています。 例えば英語に関してはテキストブックを購入したりスクールに通ったりということはしませんが、毎日英文サイトを見て、英語による英語の掲示板などで情報収集し、たくさん英文メールを書きます。 |
6 | デザインソフトについて知りたいです。バナーやチラシを作成するにあたり、フリーソフトより、Adobeなど専用のソフトを使用した方がいいでしょうか?フリーソフトの方が簡単で見栄えの良いデザインになることが多いですが、イラストレーターやPhotoshopを練習した方がいいでしょうか。 | デザインソフトはツールであり、デザイン自体はそれを操作をする人が行うものです。ソフトによって良いデザインがアウトプットされるわけではありません。Adobeのソフトとほぼ同等の機能を持つフリーのソフトも存在しており、フリーでも同様の表現がある程度可能ですが、仕事に使うのであれば使い勝手や互換性などを考慮して専用のソフトがいいかと思います。 |
7 | 限られた時間の中で、デザインのスキルを上げるにはどうしたらいいでしょうか。 | あらゆることと同様、一歩一歩積み上げることが必要です。ただ、独学でもプロレベルの思考力や技術を身につけることは可能だと思います。 |
8 | デザインの添削を受ける方法はありますか。 | 今回の様なレクチャーやワークショップに積極的に参加されると、ご自身のデザインに対するフィードバックを得ることは可能だと思います。デザインの能力を上げるには、インプットとアウトプットのバランスが大切です。良いデザインをたくさん見て、考えて、自ら多くのアウトプットを行います。 私自身もデザインやアートに対して常にアンテナを立てながら、多くのデザインを行っています。 |
9 | 広告のデザインで大切なことが5つあるとしたら、何ですか。 | 広告に限らずあらゆる分野において大切なことを5つに絞るのは難しいと思います。学校や書籍にてデザインにおける多くの大切なことは学べますが、「木を見て森を見ず」の様に細かなことに囚われすぎると、大きなものを見失いがちです。 その点では社会の一員として何をすべきか、ということがデザインにおいては大切だと思っています。 |
10 | デザインを依頼する際に、自分のブランドのらしさを外部デザイナーさんに共有するには、どのような方法が伝わりやすいのでしょうか。 | あらゆるブランドに共通した絶対的な共有方法というのは無いと思います。言い方を変えれば、ブランドについて外部デザイナーと共有する方法はブランドによりけり、デザイナーのタイプによりけり、ケースバイケースです。 その上で外部として引き受ける際や逆に依頼する際のことを考えると、基本的に情報量は多いほど良いです。 ただ、その情報量をいかにシンプルにコンパクトに伝えるか、ということが重要になってきます。「百聞は一見に如かず」という言葉が示す様にビジュアルは大変有効です。どの様にすればより良く共有できるかについて考えることは、都度ケースに応じ最良のデザインについて考えるのと似ています。 |
11 | 日本は広告が街に溢れ、しばしば景観の調和を見出している様子が見られます。また、本当にその広告が必要ない人はそれがうるさく不快に感じることもあります。そういった街にある広告の負の側面とその向き合い方についてお聞きしたいです。 | 宣伝広告が景観を乱したり人を不快にさせたりということがしばしば起こっています。しかしながら一定のルールの範囲内で行われているのであれば、自由権の考え方の下に止めることはできません。 ではルールを厳しくすればこの問題は解決されるのかというと、それもそう簡単ではありません。 |