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京都市上質宿泊施設候補選定に係る有識者会議の開催結果について

ページ番号283897

2021年4月23日

案件名

京都市上質宿泊施設候補選定に係る有識者会議

開催日時

令和3年3月31日(水曜日)13時00分~15時30分

開催場所

京都朝日会館 会議室

議題

(仮称)京都御室花伝抄計画について

公開・非公開の別

非公開

非公開理由

京都市情報公開条例第7 条第2 号に規定する情報を取り扱うため。

議事内容

【次第(抜粋)】
1 開会
2 計画説明(事務局から計画書の内容説明)
3 有識者への意見聴取
4 有識者意見まとめ
5 閉会

※非公開会議であるため,議事要旨として,以下のとおり有識者会議の講評を掲載します。

【有識者会議の講評】
○計画地は,1994年世界文化遺産に登録された「古都京都の文化財」の1つ「仁和寺」のバッファゾーンに位置する。そのため仁和寺の長い歴史と登録後26年の取組,また「遺産影響評価(HIA)」(※1)の主旨に沿って,京都市の景観政策手法を駆使し,地域住民を含むより幅広い関係者の理解を得た仁和寺の普遍的価値への影響を考慮した計画が求められる。
(※1)(出典)『世界文化遺産の遺産影響評価にかかる参考指針』文化庁,2019年

○また,計画地は,都市計画で敷地の過半が第一種住居地域,残りが第一種低層住 居専用地域の用途地域に指定されており,敷地全体に第一種住居地域の制限が適用される。第一種住居地域は,住居の環境を保護するため定める地域であるが,3千㎡までの店舗やホテル,50㎡までの小規模な工場等を建てることはできる。

○この計画地は長年,資材置場等,住環境にふさわしくない用途に使われていた。その後も,結婚式場や給油所とコンビニ等の建築計画が出るたびに,周辺住民が対処してきた。現在は,この経過を踏まえ,仁和寺門前まちづくり協議会(※2)を組織され,地域景観づくり計画書を定め,仁和寺門前の景観を保全する取組が続けられている。
(※2)「仁和寺門前まちづくり協議会」は,京都市市街地景観整備条例に基づき2016年4月28日付で「地域景観づくり協議会」として認定を受け,同年7月7日に「地域景観づくり計画書」の認定を受けた。また,協議会はこの計画書の内容に沿って意見交換を行う仕組みとしている。

○今回の計画は,周辺住民(※3)の理解と協力を得るため,事業者が,2017年10月に仁和寺門前まちづくり協議会と協議を始め,2018年5月の協議会総会で承認された後,同年6月に第1回周辺住民説明会を開催,2019年6月の協議会総会で経過報告をし,同年12月に第2回周辺住民説明会を開催,その後2020年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため各戸ポスティングで周辺住民を対象とした意見照会等を2021年2月まで続けてきた。
(※3)「京都市上質宿泊施設誘致制度」において,合意形成の対象となる住民のこと。計画区域の土地の境界線からの水平距離が100m以内を目安に,市と住民組織が協議のうえ,決定する区域に居住し,又は周辺区域に存する事務所若しくは事業所に勤務する者。

○事業者は周辺住民から示された住環境や景観等の保全に関する意見に対して計画を変更するなどの意見調整を重ねた。一方,世界文化遺産仁和寺の環境を考える会から京都市長宛に「世界文化遺産仁和寺周辺地域の景観と住民の生活環境を守る要望書」が2019年9月に提出された。また,2019年12月には京都・まちづくり市民会議から市長宛に「世界文化遺産仁和寺門前のホテル計画に関する公開質問書」が出される等,ホテル計画の中止への賛同を募る活動が続けられた。

○懸案だった計画地の利用を巡って,長年活動してきた仁和寺門前まちづくり協議会の努力を思うと,今回,計画中止を求める意見がでていることはたいへん残念である。事業者の努力だけでは乗り越えるのは難しいが,周辺住民に対して説明と意見調整を粘り強く重ねてきたこれまでの努力と,上質宿泊施設候補の選定後も説明を続け,意見を聴き,地域貢献に取り組んでいくと宣言した姿勢は,評価できる。

○事業者は,この計画において,真言宗御室派総本山仁和寺門前に建つがゆえに総本山への敬意を払う(※4)とともに,御寺の支援の下,参拝等を通じて宿泊客の崇仏の念に応える取組を提案している。京都,御室仁和寺門前に固有の伝統と文化を理解し,その門前に立地することをよく理解した上で,地域の伝統的特質の継承を目指す姿勢は上質な宿泊施設として期待できる。
(※4)UNWTO(国連世界観光機関)が提唱する持続可能な観光では,Travel Enjoy Respectを提唱し,文化遺産や伝統的地域社会への理解と尊敬を観光の重要な目的に掲げている。

○この計画では,事業者と設計者が京都市の定める「京都市優良デザイン促進制度」による専門家のアドバイスを受け,「事前協議(景観デザインレビュー)制度」の歴史的景観アドバイザーと協議し,建物デザインを検証し,世界文化遺産・仁和寺とその周辺への影響を抑え,優れた景観を創出する努力を続けてきた。これらの制度は,1994年の世界文化遺産登録後,京都市が1995年の市街地景観整備条例制定,2007年の新しい景観政策として,全国で初となる眺望景観創生条例を制定し,2018年に同条例を改正するなど発展させ,市民・関連事業者と協議を重ね,進化させた制度であり,世界遺産の緩衝地帯にふさわしい建築デザインを実現する制度である。この計画の事業者は,その点を理解し,再三にわたり計画変更を重ねている。

○とは言え,この計画建物は3階建ながら,用途地域の制限の3千㎡を上回る,建築基準法の用途の許可が必要となる建築物であり,周辺に長く住む住民に懸念があることは確かである。また,市内では,この間急激に増加した観光客が,新型コロナウイルス感染症の拡大により急減し,ホテル建設の是非を巡る意見がでている。しかしながら,世界文化遺産・古都京都の文化財は,適切に保存しつつも,周辺住民と京都市民が独占すべきではなく,日本人はもとより世界人類にも広く公開すべきものである。古都京都の文化財の公開を通じて,世界の人々が京都に集い,文化や習慣の多様性を認め合いながら自由に交流することは,世界人類の相互理解,ひいては世界平和につながる。このことは十分理解されていると考える。

○これらの点を踏まえ,引き続きこの計画を進める事業者が御室地域の一員として,選定後も住環境や景観の保全に向け,周辺住民との対話を継続していくことが重要である。少子高齢化がさらに進む中で,総本山仁和寺門前の地域社会が持続し良質な住環境が維持されるためにも宿泊事業者の貢献が期待される。なお世界文化遺産・仁和寺や住環境への影響は,今後継続される法定手続でも引き続き丁寧な分析・検証を行い,さらに関連機関とその専門家の意見も出されることになる。その検討を通じて,京都の世界文化遺産の保存と活用の優れた事例として,また京都市の景観政策の成果として評価されるような上質な宿泊施設として発展することを望む。

担当課等

産業観光局 観光MICE推進室

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京都市 産業観光局観光MICE推進室

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