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共同記者会見(2025年12月19日)

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2026年1月29日

「こども本の森」整備に向けた寄付申出に伴う共同記者会見

記念撮影

概要

 1 日時

  令和7年12月19日(金曜日)午前11時30分から正午

 2 場所

  京都市役所 第一応接室

 3 出席者

  株式会社安藤忠雄建築研究所 代表取締役 安藤忠雄

  京都市長 松井孝治

 4 次第

(1)  出席者紹介

(2)  挨拶

(3)  質疑応答

出席者による挨拶

(安藤忠雄建築研究所 安藤忠雄氏)

 こんにちは。最近、小・中学生くらいの子どもたちが移動中もずっと、スマートフォンやタブレットを見ている光景をよく目にします。大丈夫かなと。昔のように、通学中に本を読んでいるような子は見かけなくなりました。大人でも新聞や雑誌すら読まないという人が増えていますが、それで確かな情報が得られているのかなと疑問に思っています。

 活字離れの進む子どもたちに読書の楽しさを知って貰おうと、彼らが自由に利用できて、本と触れ合うことのできる「こども本の森」という図書施設をつくる取り組みを数年前から始めました。

 アメリカの鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーはカーネギーホールをつくったことで有名ですが、引退後、それまで築き上げた私財を投じて、各地に図書館をつくり寄贈したことでも知られています。それには及ぶべくもありませんが、私も自分のできる範囲で、子どもたちの為の図書館をつくろうと考えました。そこから、次の時代を考える子どもたちが育てば良いな、と。

 最初につくったのは、大阪の中之島です。同じ並びには、大阪市中央公会堂があります。約100年前、岩本栄之助という大阪の株式仲買人が大阪市に寄贈したものです。残念ながら、岩本は建物の完成前に、株で失敗して自決してしまいます。その際も、寄付金を返してもらおうとはしませんでした。誇り高き大阪人として、まちに貢献することを選んだのです。

 こうして建設された公会堂は、公に尽くした岩本栄之助の遺志の象徴と言えます。だから、「こども本の森」をつくるのであれば、公会堂のそばが良いのではないかと考えました。大阪市に相談すると、予算がないと言われましたが、そんなことは百も承知だと(笑い)。費用は私が負担して設計・建設し、大阪市に寄贈しました。

 この「こども本の森 中之島」の前には車道がありましたが、施設の開館に合わせて、歩行者空間として整備できないかと考えました。当初関係者からは「それは難しいのでは」と言われましたが、大阪市や国土交通省と協議を重ねたところ、最終的に車両通行は廃止され、広場になったのです。

 気合いを入れて対話を重ねれば、不可能と思うようなことでも実現することがあります。困難を乗り越えて物事を成し遂げていく気概と力が、次の時代の日本を支えていく子どもたちにも求められていると思います。

 エントランスに設置した青りんごのオブジェのテーマは「永遠の青春」です。人生100年の時代、想像力、教養を育む読書は、長い人生を最後まで充実させ、いつまでも「青春」を生きる助けにきっとなる。そんな思いを込めています。

 「こども本の森」は、その後岩手県の遠野市、兵庫県の神戸市、そして熊本、松山と展開しています。子どもたちに、自分の生まれ育ったまちに誇りと愛情を持つきっかけを与えることが出来るような施設を目指し、それぞれの地域の特性を活かして計画しました。常に、ここにしかない「こども本の森」をつくるんだと、考えながら取り組んでいます。

 香川県では「こども図書館船 ほんのもり号」が2025年4月に就航しました。瀬戸内海の沿岸部や離島の子どもたちに本と読書体験を届けるために、船の図書館を整備し、寄贈しました。子どもの頃に瀬戸内海で思い出をつくれば、大きくなってから郷土愛につながる――このプロジェクトもまた、瀬戸内海でしかできないことをやろうという思いから始まったものです。

 こうして各地に展開している「こども本の森」の取り組みですが、大阪、神戸につくったので、やはり京都にもつくれないかと考えました。この度、京都大学の北川進先生がノーベル賞を受賞されましたが、京都はやはり古くから多くの叡智を輩出してきた学問のまちです。学校も多いし学ぶ人たちも多い。6月に大阪で展覧会をした際に、松井市長が会場までお越し下さったのですが、その時に京都にも「こども本の森」をつくるべきではないかという話をさせて頂きました。京都から、豊かな感性をもった子どもたちが世界に羽ばたいてくれれば良いなと。その後、話し合いを進めていく中で、明倫幼稚園を候補とした計画が具体性を帯びてきました。

 「明倫の寺子屋」というコンセプト、私は良いなと思っています。歴史と文化を育んできたまちの中心であり、かつて学び舎として子どもたちを育ててきた施設であったことも含めて。

 ここでは、元々ある古い建物を再利用しながら、新しい命をそこに注ぎ込むことによって、子どもたちが自分だけの1冊と出会う場に相応しい空間をつくりたいと考えました。縁側に腰かけて、庭の緑を感じながら、歴史や自然や文学と対話するような場所になれば良いなと。実際に現場へ行っていただくとわかりますが、非常に良い場所です。

 この「明倫の寺子屋」に通った子どもたちの中から、また新たにノーベル賞を受賞するような人たちが現れたり、次の時代の京都を、日本を支えるような人材が育ったり――そんな施設になってくれることを期待しながら、今、設計をさせて頂いています。

(松井市長)

 安藤先生ありがとうございます。安藤先生から、今、思いのこもった「こども本の森」の全体の構想のお話がありましたが、京都でもですね、ぜひこの安藤先生の思いというものが、お受けできたらいいなあと思っていたところですね、今、まさにおっしゃっていただいたように、「大阪、神戸にもあるし、やっぱりぜひ京都に」というお申し出をいただきまして、心から本当に感謝をいたしております。

 京都は、知事ともいつも話をすることですが、子育て環境日本一を目指そうということで、様々な取組を京都府と京都市で行っております。そんな中で、例えばソフト面ではですね、第2子以降の保育料無償化という判断もさせていただきましたし、7月にはSNSを活用した妊娠、出産、子育てに関する相談支援を府市で行うというようなこともやっておりますし、その他ソフト面でこれから府市協調でさらに前に進めていかなければいけないこともまだまだあるんですが、ハード面では、子供の居場所づくり、例えば、御所のすぐ南にこどもみらい館っていうのがあって、非常に評判が良く、いろんな他都市からも御視察をいただいております。ああいうものがもうちょっとあった方がいいんじゃないか、ガタゴトもありますけれども。ということで、例えば山科の駅前のラクトについてですね、子どもの屋内の遊び場を整備する、図書館も一体的に整備するという構想を出させていただいているところであります。特に、今、夏が暑くて、子どもが安全な環境で、しっかり伸び伸びと、本を読むもよし、遊び場としてゆっくり過ごせる、そういう環境が欲しいなという声もありました。

 その中で、安藤先生の方からですね、「京都でも」というお話をいただいて、じゃあどこが一番京都らしいのか、いろんな方々が利用しやすく、また文化的な背景もあるところがないかということで、安藤先生にもいろいろ見ていただいて、我々もいろんな場所を御案内したうえで、やっぱり一番良いのは、本当に多くの方々が御利用いただける可能性がありますし、芸術センターのまさに正面、芸術センターはもともと番組小学校であり、明治2年にできた明倫小学校、室町の旦那衆が作ってくれはった明倫小学校、そして昭和の時代に、明倫幼稚園ができましたが、未利用であったものを、何とか活用できないか。これですね。ちょっとこう、趣がある。そしてエリアは四条烏丸、京都経済センターから北側、京都芸術センターがあって、アーティストインレジデンス、その向かい側の元京都市立明倫幼稚園の土地建物を使い、できるだけ京都らしい、「新しいものをつくる」というよりは「既存の建物をうまくリノベート」して、「こども本の森京都」を実現できないかということで、今回こういう形で開設できれば、我々としては本当に幸せであると。

 もちろんこれから、京都市会において御議決いただいた上でありますが、子どもたちだけじゃなくて、元々の番組小学校の由来の土地でもありますから、地域の皆さんにも親しまれるようなものにしていきたいと思います。

 この明倫幼稚園ですが、昭和12年に建てられた木造平家建ての建物で、四条烏丸の交差点から5分、ちょうど京都芸術センターの向かい側、明倫小学校と明倫幼稚園の関係でありまして、この明倫幼稚園は、地元の方々に御寄付いただいて、昭和12年(1937年)に開園をして、平成8年(1996年)まで、約60年間、多くの子どもたちを育んできたところでありまして、閉園後は、祇園祭の山鉾連合会の事務所として、そして明倫学区の自治会館としても利用されるなど、長きにわたって、この京都の皆さんに親しまれてきた歴史ある場所でありまして、現在、耐震性の問題もありまして利用を中止し、土地活用の公募をしていたところ、今回安藤先生の目に留まったと。まさに「こういう建物がええんや」、「やっぱりこういう古い建物をいかすのが京都らしいんだ」と言っていただいた。

 「こども本の森」という新たな魅力を持った施設として活用できるということになりましたら、向かいにある京都芸術センター、これはもう日本の最も古いアーティストインレジデンスでありますが、それと合わせてですね、「京都の文化とか芸術に触れる機会」、あるいは「子どもたちの読書の機会」、そして「少し夏の暑いときなんかでも涼をとりながら、子どもたちを遊ばせる場所」と、非常に発展可能性のある土地でありまして、私としても大変喜ばしいお申し出について感謝を申し上げたいと思います。

 今後の予定でございます。この度の御寄附というのは、京都市が公の施設として「こども本の森」を設置運営していくことが条件であります。したがって、京都市会で御議決をいただくことが前提になります。そのため、負担付き寄附受納に係る市会議案を提案して、市会の先生方はじめとして、市民の皆さまからしっかり御理解をいただくように、これから丁寧な説明に努めてまいりたいと思いますし、これから私どもとしては、安藤先生、安藤忠雄建築研究所様の御協力をいただいて、令和9年度中に「こども本の森」を開設できるように力を尽くしてまいりたいと考えております。

 令和9年度に開設ということになりますと、できるだけ速やかに設計、そして着工して、それを前に進めていきたい。前提として、京都市会に議案を提案して、しっかりと御了解いただけるように努めてまいりたいと考えております。この絵にありますように、本当に趣のある建物を、希望の縁側で育む子どもたちの未来ということで、明倫の寺子屋、前に進めていきたいと思いますので、ぜひ、関係者の皆さんにも御理解をいただけたらありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

質疑応答

(記者)

 安藤さんにお尋ねします。先ほど、あちらこちらで場所を探されていたということでしたが、この場所がいいなと思った理由や、こういった場所になっていけばいいなということについて、改めて伺えればなと思います。

(安藤忠雄建築研究所 安藤忠雄氏)

 哲学の道を川沿いに歩いて行くと、やっぱり京都はいいなと、しみじみ思います。幾つかのお寺がありますが、そういうものを見ながら、考える力を養うことができる。そんな京都らしさを感じながらも、子どもたちが集まり、次の時代へと一歩前進できるような場所が、「こども本の森」に相応しいのではないかと考えました。

 実際には他にも候補は探しましたし、結構良いところもあったのですが、少し大き過ぎたり、条件が合わなかったり。そんな中で、この明倫幼稚園の辺りは最も良いのではと考えました。

 (記者)

 安藤さんにお伺いします。マンションとかホテルとか、そういうものだけじゃなくて「文化的な場所」というものもないといけないというお話があったと思いますが、子どもたちにとってそういう文化的な場所がまちにあるというのはどのような価値があるとお思いかお聞かせください。

 (安藤忠雄建築研究所 安藤忠雄氏)

 まず、やっぱり文化というのは自分たちだけで生み出せるものではありません。例えば、私は京都の街のスケール感は素晴らしいと感じています。京都駅から主要なスポットに、歩いて行けないことはない。先ほども申し上げましたが、哲学の道を銀閣寺までずっと歩くと、これが京都か、と感じることが出来る。この街のスケール感が、京都の独特の文化を育んできたんだと思います。そこには、歴史と、自然と、積み重なった人の知恵が息づいています。そういう場所で人々は、過去を見つめ、未来を予想し、人生を考えます。歩きながら思索にふけることのできるまち。やはり子供たちは、そういうところで育つべきだと思っています。その意味で、京都は良い街です。

 (記者)

 ありがとうございます。

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