共同記者会見(2025年9月9日)
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2025年9月26日
「ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence」 共同記者会見
概要
1 日時
令和7年9月9日(火曜日)午後3時から4時
2 場所
京都市役所 正庁の間
3 出席者
松井孝治 京都市長
サンドリン・ムシェ 在京都フランス総領事、関西日仏学館館長
朝田志穂 関西日仏学館 文化プロジェクト担当職員
カルドネル佐枝 ニュイ・ブランシュKYOTO プロデューサー、
コーディネーター(MUZ ART PRODUCE 代表取締役)
4 次第
(1) 出席者紹介
(2) 挨拶
(3) ニュイ・ブランシュKYOTOの概要紹介
(4) 今年のテーマ、プログラム紹介
(5) 質疑応答
挨拶
(松井市長)
本日、「ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence」共同記者会見においで下さいまして、誠にありがとうございます。サンドリン・ムシェ在京都フランス総領事を京都市役所にお迎えし、このような場を持たせていただいていることを大変光栄に存じます。また、本日はアデル・フレモル ヴィラ九条山館長をはじめ、ニュイ・ブランシュKYOTOを京都市と一緒に開催していただいている関西日仏学館の皆様、アーティストの方々にも心から歓迎をしたいと思います。ありがとうございます。
京都市がパリと友情盟約を結んで67年になります。長きにわたり、文化・芸術・スポーツなどの分野で交流を進めてきました。再来年は関西日仏学館の開館100周年、2028年はパリとの友情盟約締結70周年と、これからいろんな周年行事が目白押しでございます。そのパリ市との友好の象徴の一つとして、パリ市で毎年開催されるニュイ・ブランシュ、白夜祭をモデルに2011年から開催してきたニュイ・ブランシュKYOTOも今回で15回目となります。後ほど詳しく説明しますが、今年は京都市でアスタリスク・イン・レジデンスという事業を行っており、その事業とのコラボレーション、特別バージョンとして「ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence」という形で開催させていただきます。審査を経て選出された、今日おいでのアーティストの方を含む5組6名のアーティストの方々が、1箇月間京都に滞在し、制作をしていただいたり、皆様に作品を御覧いただいたり、あるいは交流していただくアーティスト・イン・レジデンスに焦点を当てた初の試みになります。
アスタリスク・イン・レジデンスは、京都に多彩なクリエイティブな人材を呼び込み、一定期間滞在できる機会を作り、作品の制作・創作、発表はもちろん、地域との交流の機会を創出する取組でございます。今回、レジデンスの知見が豊富な関西日仏学館、そしてヴィラ九条山とともに「ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence」として開催できるというのは、京都市としてもとても喜ばしいことでありまして、初日であるスペシャルデーには市内のレジデンス施設約30箇所と連携し、オープンスタジオを実施させていただきます。市民の方々、市外の観光の方々、もちろんフランスの方々も含めて取組を知ってもらうよい機会となることを心から期待しております。
このアスタリスク・イン・レジデンスは、ヴィラ九条山が行っておられる活動から我々が非常に大きなインサイトを得て、それをアーティストだけでなくて、様々なクリエイティブな人材を京都に集めたい、ということで事業に至ったものでありまして、本場フランスの皆様と共同で事業できるということは大変ありがたいことです。
長い歴史の中で、京都というまちは本質的な価値と強みを培ってきました。それをいかに磨いていくか、私がずっとキャッチフレーズとして掲げている「突き抜ける世界都市 京都」を目指していくために、日本中、世界中から突き抜けた才能を持つ人材が多彩な分野で京都に集まっていただきたいと思っておりまして、世界中から京都の価値に共感していただくような方々が集い、市民・地域・企業や様々な方々と混ざり合って、その繋がりから新しい価値を見つけていく、私がいつも言っています、 「ぬか床」のようなまち、京都を国際的につくっていきたい、その一つの大きな機会としていきたいと思います。
9月27日からの一週間、市内多くの会場でパフォーマンスや展覧会など多彩な現代アートが繰り広げられます。開催中ぜひ多くの皆様に会場に足をお運びいただきたい、そのことをお願いいたしまして、私からの開会の御挨拶とさせていただきます。
(ムシェ総領事)
皆様こんにちは。京都市長 松井様、京都市役所の皆様、御臨席の記者の皆様、そしてすべての皆様。
まずは松井市長と京都市のチームの皆様には、本日この場に温かくお迎えいただき、そして2025年のニュイ・ブランシュKYOTOの記者会見を、今年は初めて市長御臨席のもとで、このように京都市役所で開催いただく運びとなりましたことを心よりお礼申し上げます。また、ヴィラ九条山のアデル・フレモル館長、そしてヴィラのチームの皆様、ニュイ・ブランシュKYOTOのプロデューサーのカルドネル様、関西日仏学館やフランス総領事館の職員一同、また、多くのアーティストやパートナー、参加会場の皆様に対して、その御協力と本日の御出席に感謝申し上げます。
松井市長も述べられましたように、ニュイ・ブランシュKYOTOは私が館長を務めております関西日仏学館の発案で2011年に開始されました。パリのニュイ・ブランシュに着想を得たものでありますけれども、そのように市長からも申し上げていただきました。
今回の15回目の開催は、新しく、そして特別な性格を帯びているというふうに申し上げられます。と言いますのも、私たちは今回レジデンスに焦点を当て、京都市とのパートナーシップをさらに強化しているからであり、それは市長からもお話ありました、京都市のアスタリスク・イン・レジデンスとの連携のみならず、ヴィラ九条山と連携することによって可能になりました。ヴィラ九条山は、30年以上にわたって京都に存在しており、フランス国外のアーティスト・イン・レジデンスでも、最も名高い施設の一つでございます。
そして、もう一つの特徴といたしまして、私たちは今回、ニュイ・ブランシュKYOTOの一般公開の期間というものを集中的に設けることに決めました。参加するフランス人アーティストやクリエイターたちが9月27日から10月4日の一週間にわたって、各会場で京都において1箇月間の滞在中に制作した作品を発表いたします。2025年のニュイ・ブランシュKYOTOは、多くの方々に御参加いただいており、非常に素晴らしい協力関係を構築しており、そのことをこのうえなく喜ばしく思っております。それはまた、フランスと日本、とりわけ京都が何十年にもわたって紡いできた特別な絆の具体的な例でもあります。皆様御存じかと思いますが、京都は常にフランス人を魅了してまいりました。フランス人は、このまちや文化・伝統、その魅力や、その本物としての風格を愛しております。そうしたことから、フランスは京都において唯一の比類のない存在感を示しております。ここには関西日仏学館、これは日本にあるフランス公式文化機関の中で最も古く、また、2年後には創立100周年を迎えるわけですが、そしてフランス総領事館、こちらは2009年に大阪から京都に移転して16年が経ちますが、フランスが唯一京都に外交の拠点を有しております。そしてもちろん、ヴィラ九条山がありますし、京都国際フランス学園、そしてフランス国立極東学院もございます。こうした仕組みのおかげで、京都とフランスがこれほど強固な関係を築くことができました。
松井市長は、京都が特別な世界都市となって、そこに日本や世界の才能が集まり、地域の人々と交わって創造の要因を刺激する、いわゆる「ぬか床」のようなまちとなることを望んでおられるとおっしゃいました。アスタリスク・イン・レジデンスと連携する2025年のニュイ・ブランシュKYOTOは、そのような基準に完璧に合致するものと信じております。この催しは、アーティストと会場だけでなく、京都に住む人々との間での深い交流を築くことを可能にいたします。
最後に、この「ぬか床」という考えについて2つのことを付け加えさせていただきたいと思います。まずは、皆様に賛辞を贈らせていただきたいです。京都にはもちろん、そのための特別な強みがございます。京都には寺社仏閣、町屋、そして庭園があり、職人や芸術家がおり、歴史と文化、創造性に満ちております。そして、京都市と市民の皆様に、フランスはこのようなプロセスにおいて、皆様のそばにいるということをお伝えしたく思います。私たちにはそのために必要なあらゆる材料が揃っております。それはすでに申し上げましたが、京都ならではのフランスの存在感、そして日本人とフランス人の間で共有している伝統や匠の技、現代的な創造への関心といった事柄です。そして最後に、フランスは長年にわたり文化政策を展開しており、特に国内外にあるアーティスト・イン・レジデンスに関する政策も進めていますので、それに関しても喜んで情報交換をさせていただきたいと願っております。
最後に一言申し上げますと、ニュイ・ブランシュKYOTOは今日、日本とフランスの文化協力の象徴的な祭典となり、京都の風景にしっかりと定着しております。このフェスティバルは、2025年の開催が示すように進化しております。私たちはこれからも京都市と連携しながら、あらゆる可能性を歓迎したいと思っております。
通訳を挟みましたため御挨拶が長くなってしまいまして申し訳ございません。御清聴ありがとうございます。そして皆様に素晴らしいニュイ・ブランシュ、2025年を過ごされますことをお祈り申し上げます。
ニュイ・ブランシュKYOTOの概要紹介
(長谷川氏)
はじめに、ニュイ・ブランシュを簡単に御紹介させていただきます。
京都の姉妹都市であるパリで2002年に生まれたニュイ・ブランシュに着想を得た「ニュイ・ブランシュKYOTO」は、2011年より毎年、京都市と関西日仏学館が主催する現代アートの祭典です。日仏のアーティストによるプログラムを京都市内各所で実施します。この祭典は、普段とは異なる場所で現代アートに親しむ機会を無料で提供することを目的としております。また、1958年に結ばれた京都・パリの友情盟約を記念する機会でもあります。
15回目を迎える本年は、「ニュイ・ブランシュKYOTO in Residence」と題して、アーティストが滞在しながら制作をするアーティスト・イン・レジデンスに焦点を当てた初の試みとなります。アスタリスク・イン・レジデンスとのコラボレーションを実施するとともに、公募で選出されたアーティストによる滞在型の創作・発表を中心としたプログラムを組んでおります。京都市内の個性豊かなレジデンス施設も一般公開されます。開催は9月27日から10月4日まで、開催日は会場によって異なりますが、9月27日のスペシャルデーには、全会場をお楽しみいただけます。入場は無料ですが、9月27日のスペシャルデー以外は有料となる会場もございます。以上、簡単ですが、概要を御説明させていただきました。
質疑応答
(記者)
まず、今年のニュイ・ブランシュが今までと何が違うのかというのをもう一度教えていただきたい。これまでも九条山のレジデントの方が制作されて、発表されて、あるいは招聘のアーティストを公募で選ばれて、その方たちを招いて制作してもらうということをされてきたと思うんですけれども、今回のレジデントというのは何が違うのかというのを教えてください。
(カルドネル氏)
関西日仏学館側は、レジデンスの期間がちょっと長くなるということで、1箇月京都でレジデンスができるということで作家さんに来ていただいています。これまでは来られない場合や、作品だけ日本にコレクションがあるのでみせるという形、もちろん来られて制作されることもあったんですが、今年はレジデンスということで、制作のプロセスも公開することを前提にアーティストに来ていただいてます。その設定で応募していただいてます。
あとはやはり京都市のアスタリスク・イン・レジデンスの誕生とともに開催できるという点。京都市側もレジデンスのプログラムを行っていて、ヴィラ九条山をはじめ、こちらもレジデンスプログラムですが、全体がレジデンス、つまりアーティストの制作、地元の人との交流、その制作のすべてをオープンにする、できあがった作品を見せるだけではなく、制作するところも、覆われたところじゃないということです。イン・レジデンスというのがキーワードです。
(記者)
1箇月間というのは、いつからいつまでいらしているということでしょうか。
(カルドネル氏)
早い方は他のプロジェクトもあるため、そのプロジェクトで早く到着されている方もいらっしゃいます。もちろん「これくらいには来てください」という目安はあるのですが、開催1箇月前ですね。皆様ご自身の都合に合わせて来られるので、この時に絶対、というわけではないのですが、できるだけ長く滞在していただくという形で参加していただいています。
(記者)
9月27日から10月4日までを挟む1箇月間ということでしょうか。
(カルドネル氏)
展示の終わりを大体10月4日に揃えているので、そこから逆算して1箇月くらいのときにはいてください、ということなんですが、お忙しい方は必ずしもということなので、滞在期間は様々です。すでに来られているアーティストもいますし、数日後にもまた到着される予定です。
(記者)
5組6名の方を選んだということですが、お金の出所はフランス政府が3組分、市が2組分出しているということでしょうか。
(カルドネル氏)
そのとおりです。
(記者)
この公募は、「京都市内に滞在して制作したい者」というだけの条件で公募されているんでしょうか。
(カルドネル氏)
今回のニュイ・ブランシュKYOTO in Residenceに参加されたい方、という形で応募していただきました。あとは京都側か、ニュイ・ブランシュ側か、どちらのプログラムで紹介されたいかのアンケートを添えたところ、大体皆様どちらでも良いとおっしゃいましたが、ニュイ・ブランシュ側ならホスト役を関西日仏学館が、アスタリスク・イン・レジデンス側なら京都市が務める、ということになります。
(記者)
ある程度何を制作したいかは、応募する時点で構想として提出していて、それで実際レジデントの何を意味するのかというころが、最終的に変わっていかないといけないような気がしますが、実際に京都に滞在して生まれるものをみせるのがレジデントの目的だと思うのですが。
(カルドネル氏)
企画書をいただいて、大体補助金をどう使うかを見せていただいて、過去の実績等すべての情報をいただくが、例えばダニエルさんなら、おーなりりゅうじさんとコラボしますと応募される、などそれぞれ御提案くださいます。
(記者)
選考にあたって、どういうことを期待されてこの方たちを選んだか、最後にお聞かせいただきたい。
(カルドネル氏)
投票で決まったところはありますが、フランス側と京都市側で選びました。どれだけ地元と交流できるか、どれだけ場所を有効に使って発表してくださるか、といった点を考慮しました。
(記者)
市長とムシェ総領事にお伺いしたいのですが、こういったアートイベントを自治体や国として支援することに対して、どういった意義があるか、また、アーティスト・イン・レジデンスとかけあわせて行われますが、どんな効果が期待されるとお考えでしょうか。
(市長)
我々としては、基本的にニュイ・ブランシュとの協力事業なので、日仏間の文化交流が大きな意義です。しかもアーティストが今回は長い時間、京都で制作・交流していただける。アーティスト間の交流もあれば、また京都のまちの人たちとの交流をしていただける。日仏の文化交流でもあるし、日本のアーティストにとっても、フランス人のアーティストにとっても、お互いに刺激を与えあう素晴らしい文化的な取組だと思うし、それが京都のまち全体をアーティストが主役のアスタリスク・イン・レジデンスという形で、京都の土地でいろんなクリエイティブな活動をしていただこうということについて、最もアーティスト・イン・レジデンスの長い歴史のあるフランスの政府と一緒になってやることで、我々も新しい気付きを得たいですし、これから京都でのアスタリスク・イン・レジデンスの可能性を追求していきたいと思います。
今はいろんな協力をしていただいて、町屋であるとか、いろんなところがありましてですね、そこで活動していただいていますが、さらに我々のアスタリスク・イン・レジデンスでは、そういう民間の京町屋、他のいろんな京都の施設、もちろん芸術センターもアーティスト・イン・レジデンスの京都の一つの拠点ですが、それ以外のアーティスト・イン・レジデンスでいろんなクリエイターをお迎えする、それは場合によっては市営団地なんかを将来活用するとかいう可能性もありますし、お寺とか神社に御協力いただくという可能性もあるので、我々にとってはアスタリスク・イン・レジデンスの事業にこれからもっと弾みをつけたい、そのときの大きな刺激という意味もあります。
(記者)
今の話だと、市が入ることで、より公共性を持たせて継続的にできるというメリットがあるということでしょうか。
(市長)
はい、そうです。さらに本腰をいれていきたい、今までいろんな篤志家の方からの御寄付の財源なども得てますが、これを恒常的なアスタリスク・イン・レジデンスを運営するためには、市の公費も含めて、議会の了承を得て、投下していきたいと思っています。
(ムシェ総領事)
まずは外交官の一人としてグローバルな立場から申し上げたいが、こういう取組は国家間、つまり政府の高官や大臣同士であったり、そのような高いレベルで話し合うこともあれば、あるいは市民同士のレベルで話し合いを行っていくこともあります。そして個人間での話し合いとなると、往々にして大学のプロジェクトであったり文化的なプロジェクトとなるのですが、個々の話し合いの中で行うプロジェクトというのは、長期にわたっていくものだと思います。こうした長期の取組は、例えばヴィラ九条山の場合でしたら、レジデントのアーティストというのは、一度来ると4~6箇月滞在しますが、その中で京都という土地と関係性を築き、その後に、よく日本に戻ってきて、さらにそれよりも強い関係を築いていく、というふうに申し上げることができると思います。国家間の関係と市民間の関係を築き上げていくという関係にヒエラルキーがあるというわけではないですが、個人同士で個々に築かれていく関係は、非常に長期にわたって形成されていくものだと感じています。
それからフランスは、文化政策に強みがあり、他の国と比較してもよく言われることですが、レジデンスに関しても文化政策という面で非常に手厚く行っています。住居提供や助成金支出など、真の意味でアーティストの支援に取り組んでいる国であるので、その点でも一層京都と協力関係を築きたいと思っています。
記者配布資料
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