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共同記者会見(2025年9月8日)

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2025年9月25日

「BEYOND2025」 開催に向けての共同記者会見

記念撮影の様子

概要

1 日時

令和7年9月8日(月曜日)午前9時40分~10時30分

2 会場

京都市役所本庁舎4階 正庁の間

(〒604 8571 京都市中京区寺町通御池上る上本能寺前町488 番地)

3 出席者

BEYOND実行委員会 委員長(株式会社taliki 代表取締役CEO) 中村 多伽

京都リサーチパーク株式会社 代表取締役社長 浅野 貢男

京都市長 松井 孝治

4 内容

・「BEYOND 2025 」が目指すこと、実施背景

・「BEYOND2025 」プレイベント、サイドイベント

・京都市のソーシャルイノベーション施策・今後の方向性 他

出席者による「BEYOND2025」開催に向けてのスピーチ

司会 加藤氏

皆さま、おはようございます。本日はお忙しい中、「BEYOND 2025」開催にあたっての記者会見にご出席いただき、誠にありがとうございます。

本日は、これからの社会における「再分配のかたち」を問い直す、そのはじまりの場としてのBEYOND 2025についてご紹介します。

本日の進行を務めます、株式会社talikiの加藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本日は、こちらのタイムラインに沿って記者会見を進めさせていただきます。

短い時間ではございますが、ぜひ最後までお付き合いください。

それでは最初に、実行委員会を構成する各組織の代表よりご挨拶をいただきます。「BEYOND」は今年度から初めて、京都市、京都リサーチパーク株式会社、株式会社talikiの三者による実行委員会形式で開催する運びとなりました。

はじめに、今回の開催地であり実行委員会を共に構成する京都市より、松井孝治(まつい・こうじ)市長にご挨拶をいただきます。

 松井市長

おはようございます。月曜の朝からお集まりいただき、ありがとうございます。スライドを共有させていただきます。私ども京都市が今回実行委員会に加わらせていただいた理由になります。「新しい公共円卓会議」というものが、今から15年前の平成22年、2010年の6月4日に開催し、鳩山内閣退陣間際に「新しい公共」宣言をまとめ、内閣の継承にあたっては、これをぜひ尊重してほしいという最終閣議で発言していただいた文章です。文章は後ほど差し上げます。色々なことを書いていますが、次のスライドのページ、これは私が何度か皆様にご説明したかもしれませんし、学生の講義、あるいは講演で時間がある時はこれを説明しています。公の世界というのが一番左(スライド内)ですね。政府・行政というセクターがあって、市場・企業のセクターがあって、国民のセクターがある。これはコミュニティと言っても良いが、これらが社会問題の解決にあたって、今まで独立していて、第三セクターもこういうセクターがいかに組み合わさったかということ。それが色々な社会問題の解決に当たって、いかに政府・行政、市場、あるいは企業、そして国民(人々)が一緒になって協力をするかという、そういう時代であると。それに応じて国民や業態も変わらなければいけないし、市場や企業も変わらなければいけないし、政府・行政も変わらなければいけないということを、実は15年前にまとめているわけです。(BEYOND2025のテーマである)新しい再分配を考えると、再分配というのは、本来は政府の仕事だろうという風に皆さん思われていると思いますが、そうではなく、再分配を含めた社会問題の解決とは、政府だけではなく、国民や企業、あるいは市場セクターも入っていかなければいけないというのが私の信念であります。今日こういう形でご一緒に会見をさせていただくことができたのは大変ありがたいと思います。私から以上です。ありがとうございました。

司会 加藤氏

ご挨拶ありがとうございました。

続きまして、京都エリアのイノベーション支援を牽引する京都リサーチパーク株式会社を代表して、代表取締役社長の浅野貢男(あさの・みつお)様よりご挨拶をいただきます。

 浅野氏

皆さんおはようございます。京都リサーチパークの社長の浅野と申します。我々京都リサーチパークは35年前に創業し、社会に対して新しいイノベーションを起こす人たち、色々なプレーヤーに場を提供することを営んできました。我々のこれまでの取組は、京都の強みを発揮できるような、例えばヘルスケアや大学との連携、そのような分野で取組を進めてまいりました。

ソーシャルの分野につきましてはここにいらっしゃる中村さん、talikiさんと一緒に、2018年から共に活動を進めてまいりました。今回京都市様にもご参加いただいたということで、我々としても非常に楽しみにしておりますし、またこの活動の幅が広がるというところに期待しています。今回のBEYONDを契機にこれから先、ますます持続的な社会というのを継続していくために、必要な色々な要素を、色々なプレーヤーを繋いでいくといった活動をして、次に繋がる契機になればと考えております。本日はどうぞよろしくお願いします。

司会 加藤氏

ご挨拶ありがとうございました。

最後に、「BEYOND」の企画・運営を担ってまいりました株式会社taliki代表取締役CEO、中村多伽(なかむら・たか)よりご挨拶申し上げます。

中村氏

皆様本日は月曜日の朝からお越しいただき、ありがとうございます。株式会社taliki代表取締役CEOの中村多伽と申します。

BEYONDは2018年から私たちが続けてきた取組でして、従前から京都市さん京都リサーチパークさんは、ご協力をいただいていたところではありますが、今年度ありがたいご縁をいただきまして、実行委員形式で運営することになりました。私自身も、この新しい挑戦に大変ワクワクしておりますし、皆様にも官民が一体となった新しいBEYONDを、ぜひ楽しみにしていただけたらなと思っております。

本日よろしくお願い致します。

司会 加藤

皆さま、ご挨拶ありがとうございました。

それでは続きまして、松井市長より京都市のソーシャルイノベーションの施策と今後の当該分野の方向性についてご共有いただきます。松井市長、よろしくお願いいたします。

松井市長

改めてよろしくお願いします。今申し上げたような次第で、私ども今年から実行委員会に参加させていただくことになりました。これまでtalikiさんと京都リサーチパークさんが取り組まれてきたBEYONDになぜ京都市が参加するのか。その意図をこれまで京都市の社会起業家の支援政策や社会変化を踏まえて、今後の方向性と合わせて説明させていただきます。

先ほどご紹介しました新しい公共円卓会議は、これは少し異例のことでしたが、内閣府が事務局を務めるということで、実はその下には、松山健士さんという、後に内閣府の事務次官をされた方をはじめとする省庁のチームが支えていました。その4年後には、「京都市ソーシャルイノベーションクラスター構想」が策定されていて、その推進チームとしてSILK(シルク)すなわち京都市ソーシャルイノベーション研究所を編成して、社会起業家の成長支援、企業のマッチングやネットワークに取り組んできたという面では、京都市は先進的な自治体の1つであったと思います。また2021年から公民連携事業として「KYOTO CITY OPEN LABO」(キョウトシティオープンラボ)を運用し、企業と行政の連携をコーディネートしてきたということも、私は特筆に値することではないかと思います。

次に、社会の変化です。まず行政側の動きとしては、政府のスタートアップ政策において活動の結果として生じた社会的、環境的アウトカムである「社会的インパクト」が重視されるようになってきました。

具体的には、地域の社会課題解決の担い手となるローカルゼブラ企業の創出・育成に向けた方針の発表、第2期スタートアップエコシステム拠点形成計画では、社会全体の課題解決に資する取組として公共調達が重視される等、相次いで社会的インパクトが取り入れられています。

また、京都市でも、京都市とForbes JAPANが連携し、長期目線で文化芸術を振興・創造する社会的インパクトを目指す「カルチャープレナー」の取組や策定中の基本構想、間もなく答申受けをいたします基本構想においても長期視点での社会の在り方を提示しています。

民間においても、京都に根差して、長期目線で課題解決・価値創造に取り組むプロジェクトが顕在化しています。

具体的には、2008年から2021年まで実施されてきた、数値化できない価値を研究・発信してきた京都流議定書が、この間の政府の取組や全国での機運の高まりを受けて3年振りに再開されます。

また、今年の春、ワークシェアリングで地域との関係性を深める場「梅小路ACWA」(うめこうじあくわ)、新しい価値をつくる「人」との対談がメインの観光プログラム「1/KYOTO」(きょうとぶんのいち)、文化のインパクトを大学の研究知を活かしながら分析・可視化する取組、京北で世界のトップ大学生等への里山の暮らしや知恵をいかした次世代人材育成プログラム、大学においてイノベーション創出を目的とした哲学等をテーマとした学びの場の創出等、多数のプロジェクトが動いています。

社会へのインパクトを意図した起業が当たり前になり、京都に社会起業家が集まりつつある状況の中で、次の10年は、企業の成長支援と長期的・持続的な都市の豊かさを繋ぎ、好循環を生み出してまいりたいと思っています。

企業の成長段階に応じた取組を実施していく中で、初期の「新たな挑戦者を生み出す土壌づくり」を進めるため、BEYONDの充実に取り組みます。

次に「成長・発展」のフェーズでは、社会起業家の共創コミュニティの形成とまちの課題と接続し、社会実装するため、SILKをはじめ社会実装に向けた仕組みの機能強化に取り組みます。

最後に「安定的活躍」のフェーズでは、京都流議定書など様々なセクターが連携して、次代への新しい価値や新しい視点の提示、「問い」の投げ掛けをすることで、挑戦者を生み出す土壌を豊かにすることへつなげてまいりたいと三段階で考えています。

では、BEYONDの充実として、どのようなことに取り組んでいるかを紹介させていただきます。

第一線の社会起業家らの共創機会を充実させ、新たな挑戦者を生み出すため、新たに4点の取組を実施します。

1つ目は、本番までに全国4都市で5回のプレイベントを開催することにしました。

既に5回のうち、4回は実施済みです。全国の社会起業家や支援者と繋がり、その熱量を本番の京都に繋げていきたいと考えています。

今週10日には、最後のプレイベント、京都でもプレイベントを開催しますので、是非取材にお越しいただき、本番の雰囲気を事前に味わってください。

2つ目は、社会起業家や中高生は無料で招待させていただきます。

教育委員会を通じて市内中高生にはご案内し、社会課題に真剣に取り組む社会起業家から刺激を受けていただきたいと考えております。

3つ目は、ビジネスで解決できない深刻な社会課題に取り組むNPOにもピッチやブース出展いただいています。参加者には、応援チケットをお配りし、共感した出展者にチケットと一言を渡してもらい、集まったチケットに応じて実行委員会から賞金をお渡しして、社会課題解決の取組を広げていきたいと考えています。参加者が具体的な商品の分配に自ら関与することになりますね。

4つ目、会期中や前後には参加者が主催するサイトイベント、IVSにおいてもサイドイベントが非常に盛り上がりましたが、サイドイベントを各地で開催したいと思っています。

京都はサイドイベントを開催するのに、まちの大きさからいっても繋がりの濃さからいっても、すごくいいと思います。これを今回は取り入れるということで社会起業家に投資するKIBOW(きぼう)投資ファンドが実施される、ファイナンス入門の取組やSILKが社会起業家のための京都の関係先案内の取組を行うなど、8つのイベントが開催される予定です。

京都市も一緒に取り組むことで、BEYONDを更に盛り上げてまいります。そして、今後、社会起業家の成長を長期的・持続的な都市の豊かさに繋げるよう、施策を展開していきたいと思います。私からは以上ですが、新京都戦略でも申し上げているように京都は世界にインパクトを与えるような企業や部分的であってもグローバルニッチを獲得するような企業を輩出してきたという自負があります。同時に世界と社会にインパクトを与える、そういう意味では、非常にディープテック含めてグローバルにインパクトを与えてくれる企業、そして同時に、これはグローバルであるということと掛け算ですから、グローバルにやってもいいのですが、社会変革にインパクトを与えるような人材が京都に集まってくるというのは、非常に京都らしい。単にマーケットだけではなくて、冒頭に私が申し上げていた社会の変革に寄与するということに、京都のまちはコミットしたいと思いますし、そういう人材を大いに歓迎し応援していきたいと思います。

以上でございます。ありがとうございました。

司会 加藤氏

松井市長、ありがとうございました。

それでは続いて、「BEYOND 2025」の概要についてご説明させていただきます。

株式会社talikiの代表取締役CEO・中村多伽よりお話しいたします。

中村氏

改めまして、株式会社talikiの中村です。

私からは「なぜBEYONDを立ち上げたのか」、そして「どのように発展してきたのか」をご紹介できればと思っております。

はじめに、今年のBEYONDが取り組む3つの新しいポイントについて簡単にご紹介させてください。

1点目は、「再分配」をテーマに、初めて官民連携の実行委員会形式で開催すること。

2点目は、実行委員会体制への進化により、過去最大となる1,000名規模での開催を予定していること。

そして3点目は、京都市さん、京都リサーチパークさんとの連携を通じて、京都を日本で最も社会起業家フレンドリーな都市へと進化させていくことを目指している点です。

それぞれ、この後のスライドにて詳しくご紹介させていただきます。

 元々、BEOYNDはtalikiの事業として始まった取組です。簡単に私たちのことをご紹介させてください。

株式会社talikiは、社会起業家を生み育てる仕組みを作るため、2017年、私が京都大学在学中に設立した会社です。社会課題解決のための事業立ち上げに伴走するインキュベーション事業、社会起業家への投資と拡大支援を行うファンド事業、大手企業との連携を含めた離陸までをサポートするオープンイノベーション事業、それから社会課題や社会起業家に関連したリサーチを行うシンクタンク事業などを展開しています。

2017年の法人設立当初、社会起業家は今ほど着目されておらず、今以上に孤独に挑戦を続けている状況でした。そして、投資家とNPOといった異なる性質を持つセクター間の隔たりも大きいものでした。その状況を変えるため、社会課題解決のプレイヤーがつながり、発展し合う場として立ち上げたのが「BEYOND」です。

BEYONDは、社会課題の解決に挑む起業家、企業、行政、投資家、メディアなど、社会課題の解決に挑む起業家や支援者が一堂に会し、これからの社会のあり方を模索する、京都発・国内最大級の「ソーシャルカンファレンス」です。2018年の初開催以来、京都を拠点に累計2,500名以上の方にご参加いただき、多様な議論や協働を生み出してきました。

こちらの写真のように、イベント当日は、全国各地から本当に多くの、そして多様な立場の方々に集まっていただけることが特徴です。トークセッション、ピッチ、ブース展示、ネットワーキングを通じて新たな関係性を築き、未来につながる協働を育んでいくことを目指しています。

昨年のBEYOND 2024(ニセンニジュウヨン)には、815名の方々にご参加いただきました。その中には200名以上の社会起業家、34名のゲストスピーカーも含まれています。多くの皆さまのお力添えにより、こうして開催を続けられていると強く感じています。

こちらは昨年度のゲストの一覧です。京都に限らず、全国から多様なゲストやパートナーにご参加いただいています。

そしてこちらがご協賛・パートナー企業の皆さまです。多くの方々に支えていただき、BEYONDは年に一度、社会課題解決に携わる人々が京都に集う場へと育ってきました。

それではここから、「BEYOND 2025」の概要についてご説明いたします。

BEYONDは、社会課題解決に向けた機運の高まりとともに、社会の要請に応える形で規模を拡大してまいりました。京都リサーチパークさん、京都市さんにも以前よりご協力をいただいてきましたが、一方で、より多くのセクターを巻き込んで影響範囲を広げていくには、私たちtalikiだけの単独開催ではできることの幅に限界を感じていました。より複雑化する社会課題に応えるためには、行政や民間企業と連携した新しい仕組みが必要だという思いがあり、新しい展開を模索していました。

もう一点、打ち上げ花火のような単発のイベントで終わるのではなく、京都というフィールドにも影響を及ぼし、持続的な変化を起こしていく必要があると考えました。

そこで今年度からは、主催の形をあらため、京都市さん、京都リサーチパークさんとともに「BEYOND実行委員会」を立ち上げました。それぞれの強みを活かし合いながら、より踏み込んだ企画運営を進めています。

この新体制のもとで初めて開催する「BEYOND 2025」のテーマは「再分配のはじまり」 です。

開催は10月3日・4日、会場は京都リサーチパーク。過去最大となる約1,000名の参加を見込んでいます。トークセッション、ピッチ、ブースなど多彩なコンテンツをご用意しています。

“再分配”というと、福祉や行政のイメージを最初持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

私たちが捉える「再分配」とは、より広い概念です。一言で申し上げると、「産官学民による、意志を持ったリソースの届け方・使い方」 だと捉えています。

私たちが定義する再分配は、単なる寄付や慈善ではなく、民間企業や行政が持つ資金やアセットを、営利・非営利を問わず社会の未来に価値を生む取組に“意志を持って”届ける仕組みを指しています。

そのためには、リソースをどこに届けるべきか、どのようなインセンティブ設計が必要かという市場・経済も含めた合理性を問い直し、新しいリソースの流れを考える必要があると考えています。もともと発想としては、トリクルダウンが本当に起きているのか、起きているとすれば、なぜこんなに社会課題解決がなされないのかという問題意識からスタートしました。稼ぎやすい領域には自然とリソースが流れますが、それでは届かないところがある。「社会課題が成長エンジンになる」という言葉の裏で、取り残されているセクターに光を当てたいと考えています。

そうした歪みを踏まえた新しい全体最適を模索するために、私たちはあえて「再分配」という言葉を掲げています。

営利か非営利かにかかわらず、社会の未来に価値を生み出そうとする個人・団体・事業に、資金・人材・情報・機会を意志を持って流す”仕組みをどうつくるか。これこそが、今年のBEYONDが皆様と共に考えたい「問い」であり、官民連携で実行委員を立ち上げて挑む大きなチャレンジです。

ここまで「再分配」というテーマについてお話ししましたが、BEYONDの目的を簡単にご紹介します。大きく3つあります。

まず1つ目は、社会課題解決に挑む起業家が資金調達や採用、大企業・行政との協業につながる場を提供すること。

2つ目は、市場が小さい社会課題領域にリソースを届ける再分配を加速させること。

そして3つ目は、社会起業家支援の機運を醸成し、幅広い主体を巻き込んで理解を深めることです。

この3つを通じて、「再分配のはじまり」を具体的に形にしていきたいと考えています。

実施コンテンツについてのご紹介です。まず一つ目は 「トークセッション」 。

多彩なゲストを迎え、「再分配のはじまり」を軸に、社会課題解決に関わるさまざまなテーマを議論します。また、全体ワークショップでは、トークセッションの内容を受けて参加者が再分配の実践に向けたアウトプットを行います。

二つ目は 「ピッチ」。

talikiが京都リサーチパークさんと共に進めてきた社会起業家支援プログラム参加者による「COM-PJファイナルピッチ」、社会起業家による「SCALE PITCH」と、ブース出展者によるNPOピッチ、企業や行政による「リバースピッチ」の4本立てです。

三つ目は 「ブースエリア」。

現場で活動する起業家や非営利団体が、自らのプロダクトやサービスを直接紹介します。

四つ目は 「VCスクランブル」。

これはインパクト投資家を含むキャピタリスト、ベンチャーキャピタリストと、起業家が「1on1」で向き合う壁打ちセッションです。

そして最後、五つ目は 「ネットワーキングおよび交流会」。

セクターを越えた出会いを促進し、イベントをきっかけに持続的な関係が育まれることを目指します。

次にゲストをご紹介します。今回の「BEYOND2025」には、金融、教育、テクノロジー、メディアなど、多様な分野からゲストが集まります。例えば、西武信用金庫 理事長の高橋一朗(たかはし いちろう)様、こども政策シンクタンク代表の白井智子(しらい ともこ)様、公益財団法人Soil代表理事の久田哲史(ひさた てつし)様、The HEADLINE編集長の石田健(いしだ けん)様、株式会社iiba代表の逢澤奈菜(あいざわ なな)様など、各分野を代表する方々にご登壇いただきます。

この他にも、総勢30名ほどのゲストが2日間にわたり登壇予定です。

登壇者の詳細はWebサイトにて公開しております。

また、本日、記者会見の場で初めて発表となりますが、京都市長・松井孝治(まつい こうじ)様にご登壇いただく特別セッションが決定いたしました。

タイトルは、『「成長か分配か」を超えて ‑ インパクト・エコノミーが問う新たな価値創造と配分の形』です。

このセッションでは、現在の資本主義や社会システムが抱える「成長か分配か」という二項対立を超え、持続可能かつ包摂的な未来を目指す「インパクト・エコノミー」の可能性について議論します。

このセッションを通じて、行政と民間がともに再分配の仕組みを築いていくための土台を提示できればと考えています。私がモデレーターを務め、フィランソロピーの活動をされている小柴さんやNPOとスタートアップを両方で重度障害領域において展開されている岡さんにもご登壇いただく予定です。

本日は、様々なコンテンツの中でも、セッション、ピッチ、ブースについて重点的にご紹介させていただきます。ここからはKRPの浅野さんにバトンタッチしていきたいと思います。

浅野氏

BEYONDの詳しい中身について説明します。このBEYONDの場をデモデイとしてピッチいただく社会起業家支援プログラム「COM-PJ(コンプロジェクト)」は、弊社とtalikiさん共催のプログラムとして2020年より実施し、今年で6期目を迎えました。

その集大成のデモデイとなるCOM-PJファイナルピッチも含め、今年の実施コンテンツの詳細について、私からご紹介させていただきます。

トークセッション、ピッチ、ブース展示、ワークショップの4つになります。

一つ目のトークセッションは、先ほどの松井市長にご登壇いただくセッションに続き、「再分配のはじまり」に関わる多様な視点から紐解くトークセッションを全7テーマで開催いたします。2つピックアップしてご紹介させていただきます。

「金融」というテーマでは、収益を上げにくいと言われてきた社会課題解決にどのようにして金融資本を届けてきたのか。その仕組み・実践の知恵と創意工夫を第一戦で取り組んできた皆さまにお話いただきます。

そして、この2日間の締めくくりとなる「共に歩む、再分配のはじまり」のセッションでは、沖縄での実践や、非営利スタートアップへの助成など、前例が少ない社会課題解決領域において、長年にわたって取り組んでこられた皆さまにご登壇いただき、次の時代をどう見据えているのかをお話いただきます。

そのほかにもテクノロジー、行政連携といった様々なセクターの方にご登壇いただくセッションをご用意しております。

2つ目がBEYONDの目玉でもあるピッチです。今年は史上最多の4つのピッチコンテンツで30組織以上が登壇予定です。NPO、事業会社・行政機関、社会起業家など社会課題解決に携わる様々な立場からピッチいただきます。

その中でも、弊社KRPとtalikiさんと2020年より共催しているCOM-PJは2日目のメインコンテンツとなります。毎年全国から選抜された若き社会起業家に3箇月間にわたり、弊社とtalikiさんによる伴走支援を提供しております。

昨年度の第5期までに68名が卒業され、プログラムとこのデモデイを経て、現在全国各地でご活躍いただいております。過去卒業生についてはお手元資料をご覧ください。

今年も全国各地から30名以上ご応募いただき、採択させていただきました14名の方々に登壇いただきます。

登壇者としては、水と衛生問題をテクノロジーで解決を目指す株式会社Nocnum大森 様(ノックナム・おおもり)や、高齢者・障がい者の移動問題を解決する介護タクシー事業を展開する合同会社ReeveSupport三澤 様(リーブサポート・みさわ)など、福祉、ヘルスケア、教育、介護といった様々な社会課題解決に事業で向き合う起業家が14名登壇いたします。オーディエンス賞もございますので、是非とも会場にてご参加ください。

そして3つ目は社会起業家、NPO、事業会社など多様なセクターのブース出展になります。今年も全国から約40近い団体・組織の皆さまにご出展いただく予定です。2つご紹介いたします。

一般社団法人WelcomeJapan様(ウェルカムジャパン)は難民の方々の就労機会を環境負荷の低いリサイクルパソコン事業で創出しながら、難民雇用と環境負荷低減の両立に取り組んでおられます。

株式会社デジリハ様は、デジタルアートとセンサーを活用して年齢・障がいを超えて使用できる全く新しいリハビリツールを提供しておられます。

デジリハ様は昨年の京都市様の補助事業であるIMPACTFLOW KYOTO(インパクトフロウキョウト)を経て、京都にも進出されておられます。

最後の4つ目はこの2日間の体験を通じた気づきを基に、参加者の皆さま自身が、「社会課題解決」に向けて、どのような一歩を踏み出していくのかを考えるワークショップを、玄性寺(げんしょうじ)霊河様(よしかわ)に行っていただきます。

これらの非常に充実したコンテンツを2日間にわたってご用意しております。参加いただいた皆様にとって、様々な形で触れて、考えていただく非常に貴重な機会になっておりますので、是非ともご参加いただければと思います。

では、最後に実行委員長であるtalikiの中村さんにマイクをお渡ししたいと思います。

中村氏(まとめコメント)

このように、実行委員会形式での開催となったことで、BEYONDの活動の幅は大きく広がりました。

京都発のカンファレンスとして、「再分配」をテーマにしたエコシステムを描き、誰もが“生まれてきてよかった”と思える社会をつくる。BEYONDがその発信地となれると確信しています。

ぜひこの後の質疑応答でも、ご質問やご意見をいただければ幸いです。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答

記者

今回改めて主催者に京都市さん・リサーチパークさんが加わったことによって、これまでの2018年からのBEYONDと違う部分、こんなところがパワーアップしたところを改めてお伝えいただけますでしょうか。                                                                                     

中村氏

ありがとうございます。質・量一点ずつとても重要なポイントがあると思っています。質はやはり私たち社会課題解決というクロスセクター、特に公共性の高い領域で運営しておりますので、説得力が増したといいますか、色々なセクターが混じっているよと言いつつ、私たち単体で開催するよりも、より本質的なトークセッションやブースの中身が作れるようになったと思っています。量の点においては、実際ご来場いただく数が過去最大というところもありますが、やはり全国でプレイベントを開催させていただいたという点がかなり大きな違いで、もともとは京都で10月に2日間ないしは1日開催しているだけでしたが、京都がソーシャルイノベーションシティであることをしっかりとアピールしに行くぞという文脈で、全国5箇所でプレイベントをさせていただいたというところは、接触する人数や接触する規模感というところでも、非常にパワーアップしたなと感じています。

記者

ありがとうございます。2点目お伺いいたします。松井市長にお伺いいたします。ソーシャルイノベーションシティという言葉もありましたが、社会起業家にとってフレンドリーなまちである京都市にしたいということですが、なぜほかの都市ではなく、京都市でないといけないのか。大学生が多いとか、行政課題の先進地でもあるかもしれませんが、京都市の強みというか、ほかの都市にはない社会起業家フレンドリーなまちになるポテンシャルについて教えてください。

松井市長

ありがとうございます。いくつかあると思いますが、今まさにおっしゃった大学生がたくさんいることです。これは私の前職の関係でもありますが、大学生がいかに単にキャンパスとバイト先と自宅の三角形を移動しているだけになり、社会に関わっていないことに対してすごく強い問題意識を持っていて、それをなんとかしてあげたい、あげたいというより機会を我々も提供していきたいと考えています。それは大学のまち京都としての1つの特性だと考えています。それから2つ目は、コミュニティ。京都というのは、町衆が色々なところで、その戦乱の荒廃から京都を立て直すというようなことを度々経験した、あるいは色々な、例えば疫病を払うというようなことも含めて、お祭りを行ってきて団結をしてきました。その町衆の、社会課題に対する取組を再確認し、それを促進するのは非常にふさわしいというまちではないかと思っています。そして3つ目はやはり企業も単に京都で新しい商品を作って、それを世界に売って儲けるというだけではなくて、社会課題に対して積極的に関与してきたのは京都の企業の特徴。我々は地域企業という言葉を使っていますが、規模の大小にかかわらず、地域社会に貢献するということを視野にいれて活動していただいたのが、京都の企業の特徴だと思いますので、そういうことを含めて大学にとって、そして人々のコミュニティにとって、企業にとっても社会課題の解決ということで、協働する、それが1つのコンパクトなまちとして、連携を強めて協働する。その中で行政が入るのは、先ほど申し上げたようにごく自然なことだと思っています。むしろそれを国全体中央省庁として、こういう問題は昔の内閣府でしたが、内閣府に限りません。色々な手がかかる問題でありますが、今後は認識していただきたいし、さらにパワーアップしていきたいと思っています。

記者

ありがとうございます。最後にお伺いしますが、まちの課題と接続したいとご説明にありましたが、具体的にどんな課題に取り組んでほしいということが市からありますか。

松井市長

社会課題はあらゆる分野であるので、特にこの課題ということを限定的に申し上げるのは不適切だと思いますが、京都もほかのまちと同様で、孤独孤立ということが大きな社会の課題になっています。単身世代が世代構成上の最大になって、久しいわけでありますし、それが色々な形で社会には、孤独孤立というものがどこに出てくるか、それはケアラー、ヤングケアラーというような問題で出てくる場合もあれば、ペットの多投飼育崩壊で出てくることもあります。ほかにも、子どもたちの不登校につながることもあります。色々な形で、孤独孤立という問題、あるいはあの本当に単身世代でなくても例えば親御さんがお1人であるというようなことで、子どもさんにケアが及ばない、結果として、色々な課題が出てくる。それをいかに社会的につなげて、そういう不幸というものをより縮小していくのか、あるいは我々が目指すウェルビーングなまちにしていくのか。自分だけ良ければいいということではなくて、他者であるとか、その場もあの豊かなものにしていかなければ、物質的な豊かさだけではなくて、精神的な豊かさを作っていかなければいけない。このような課題がBEYONDで提起される領域にしてふさわしいと思っています。

記者

中村CEOに伺います。大きく2点あります。まず1点目は、中村さんtalikiさんは社会起業家と行政を結ぶ媒介する役割を果たされていると思います。社会企業家を支援するうえで、今回京都市さんとは良好な関係ができているわけですが、京都市以外の自治体や他の地域かもしれませんが、どのような行政側のアプローチ、行政側の支援があるとより社会起業家が活動しやすい日本になっていくかというお考えはございますか。

中村氏

ありがとうございます。全国各地の自治体さんと連携させていただく中で、主に2つあると思っています。1つがプレーヤーを増やすというところにお力添えをいただくところかなと思っています。例えば私たちが連携させていただくときに、地域課題解決のプレイヤーを増やす文脈でよくご一緒させていただきますが、やはり最初に社会性、公共性の高い課題をビジネスでやることに取り組もうと思っても、すごくハードルが高いですが、普通のスタートアップよりも手厚い支援が必要な領域になっていますので、行政の方々とご一緒できる方がいいなと思っています。もう一つが、実際には公共性の高いサービスを開発したときに、ちゃんとそれを公正なプロセスの後に、行政課題の解決として利用いただけるかというところでして、例えば弊社でも投資先のフードロスに関連する会社や重度障害児のリハビリツールを作っている会社さんですとか。そういったところが京都市さんにお話を聞いていただいていて、その理由も地域の困難な課題を解決するソリューションがあるのに、それを使っていただかないと苦しむ人が減らないし、逆にそのサービス側も一般企業を対象にしているサービスではないので、行政さんは積極的に導入を進めてくださることで初めてその効果があるので、そういうプレイヤーを増やすというところと、実際にサービスができたときに、それをちゃんと活用いただくというところが連携余地としてあると嬉しいなと思っています。

記者

もう一点ですが、今はそのビジネスハードルが高いということもご指摘いただいたとおりですね。NPOによっては、なかなかファンドレイジングがうまくいかず、再分配とはいっても再分配されたパイをまたそれぞれのNPOがNPOとか、社会起業家を奪い合う、市場原理の中で限界があるということが、よく指摘されます。さらに生活困窮者支援などですね。自己責任というようなイメージがあって、なかなか資金が供給されにくい部分がインパクト評価でですね、なかなか出しにくいとで、それをインパクト評価を出すための、その事務方の経費なども、なかなかこう賄うというのが起業家からの理解が得られないというような話を伺います。そうした中でNPOの中でも不遇な立場にいる人たちですね。きらきらNPOがどうだとかですね、妬ましいようなご発言をされる方もいらっしゃるのですけれども、こういう資金をもっと色々な分野に供給するということを考えると、BEYONDもそうですけれど、どういったことが必要か、また、資金に困ってらっしゃる団体が多いと思いますが、どういうメッセージを出されるか伺ってもよろしいでしょうか。

中村氏

ありがとうございます。こっち側の業界の方ですかというくらい解像度高い質問ありがとうございます。BEYONDも結構楽しんでいただけると思いました。まさに再分配というテーマを設定したのが、その課題意識から来ていまして、私たちとしては流れる量を増やすということと、流れる仕組みを作る2点が重要だと思っています。流れる量を増やすところですと、市長からご紹介いただいたような応援チケットを、参加者の皆さんにお渡しして賞金の分配を決めるということですが、この応援チケットを手にする方の中に、恐らくNPOに今までの人生で寄付したことがない方が大半かなと思っています。こういった形でその寄付行為に関与するのもいいですし、今までリソースを流してこなかったプレーヤーが流すことに関与する。そういったことが今回作れるといいなと思っています。仕組みを作るというものですが、今回BEYONDの広報の中で強調しているのが、合理的な再分配は何かというところで、やはり私もこう8年間会社をやってきて、かわいそうだからやりましょうとか、やるべきだからやりましょうみたいなことを社会課題解決に対してはすごく言ってきたものの、それで人間もビジネスセクターも動かないなっていうのを痛感しています。逆にどうすれば、大企業のまっとうな稟議のプロセスの中で、合理性を持たせられるのか、例えば社会課題解決で大きなリターンは出ないかもしれないが、マーケティングの付加価値が高いですとか、ないしは公共性が高い分、リスク低減ができますといった説明ができるとなると、例えば大企業中の、金融機関の中の財務的リターンのロジックの中で説明できるとかですね。そういう合理的な理由や仕組みみたいなものを新たに作ることで、より大企業や金融機関みたいなお金がたくさんあるところが還元する仕組みが、流れができるのではないかというところを考えています。

記者

またインタビューさせていただきます。

記者

今回初めて京都市さんが加わるということですが、これは中村さんのほうから京都市さんにラブコールを送られたのかあるいは松井市長のほうから一緒にやりたいとおっしゃったのか経緯を簡単に教えてください。

中村氏

実は京都市さんは昨年からスポンサーとして、協賛いただいてまして、かつ後援という文脈ですと2019年くらいから、すみません、ちょっと正確なものが言えませんで。もともと繋がりがありましたし、BEYOND以外のイベントでもご一緒する機会がたくさんありました。松井市長がご就任された後に、意見交換させていただく場をいただく中で、恐らく私が結構しつこく社会課題を進めるとか、自分たちの活動の説明をしていく中で、ご関心を持っていただいたというのもありますし、これまでご協力いただいていた分、京都市の職員の皆様もご登壇いただくこともありましたので、よりご一緒できる機会はないかというのをお話しいただいて、私たちも是非という感じとなりました。時期的には去年末ぐらいに、じわじわと一緒にやったらいいよねとの話が進んで、じゃあ実行委員会形式にしましょうかとなりました。

記者

松井市長いかがですか。

松井市長

新京都戦略を昨年の年末からたたき台を作って、パブコメをいただいて3月末に策定したときのリーリングプロジェクトとして、「社会課題の解決など長期目線で社会にインパクトを与えるグローバル企業を京都から創出」を明記し、BEYONDが寄与する取組であるという中で、予算化を決定していきました。中村さんから、色々なリクエストもいただいていましたし、我々自身としても非常に大切な領域だと思っています。冒頭で「新しい公共」について申し上げましたが、私が2010年の頃から、あの色々言われる民主党政権の中で、総理の演説なんかでも取り上げさせていただいたものを、しばらく私は政界に対して、お休みしていました。行政の実務に戻りまして、それはなんとか実現していきたい、少しでも分厚くしていきたい。さらに分厚くしていきたいと思っているところでありますが、その中で両者の考え方が一致し、当然ずっとご支援いただいていたKRPさんも含め、その三者の考え方が一致したということだと思います。

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