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市長定例記者会見(2023年3月7日)

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2023年4月12日

市長定例記者会見(2023年3月7日)

実施日:令和5年3月7日(火曜) 午後1時15分~2時15分

会場:京都市役所 本庁舎4階 正庁の間

※本記者会見は、市長と記者の質疑応答形式で実施されました。

質疑応答(摘録)

記者

 京都市では今、人口減少対策に非常に力を入れておられて、ワーキングチームを設置されたりしていますが、この春の人事異動と組織改正で、何か対応等を考えておられますか。

市長

 人口減少問題は、我が国においても、また京都市においても喫緊の課題で、全庁を挙げて、また区役所も含めて、総合的な政策が極めて重要です。そこで、来年度4月の異動で、総合企画局に司令塔となる部長級ポストを新設します。そして、全庁的な取組をさらに加速化させていきます。

 少子化対策としては、来年度予算でも、保育、教育、子育て支援について、京都ならではの地域力を生かした取組も含めて、さらに充実を図っています。それらをしっかりと推進していく、必要なものがあればさら充実させてまいります。また、京都市の充実した子育て支援策を、しっかりと市民の皆さんに知っていただくことが大事だと思います。

 この間の調査等で、大学等卒業の時期に就職先を求めて首都圏等に転出する方が多い。また、結婚期或いは子どもが誕生されたときに、住宅を求めて、相対的に若い人が手に入りやすい場所を求めて、京都市外に出ていかれる傾向にあります。ただ、勤務地は京都市のままという方も多く、昼間人口は比率では全国トップ水準です。

 そこで、大きく2点の取組があります。

1点は、景観政策についてです。都市計画の守るべき骨格を堅持しながら、産業用地やオフィス、ラボ等の働く場を創出します。また、若い方が住みやすい、購入しやすい住居を創造してまいります。

 もう1点は、空き家、非居住住宅の利活用です。流通に乗っていないものが約4万5,000軒あります。相対的に若い人が手に入れやすい物件が多いにもかかわらず、なかなか若い人がそこにたどり着けていない、マッチングできていない。そうした課題につきましても、民間事業者と一緒になって対応していきたいと考えています。

 そして、文化庁がいよいよ京都に移転してきます。若い人が生活の中、子育ての中で文化を求められるような総合的な取組を全庁挙げて推進してまいりたいと考えています。

記者

 新たな部署(部又は室)を設置され、部長級をトップにされるということでしょうか。

市長

 部長級職員は司令塔として大事な役割ですが、その人がトップということではなく、トップはあくまでも私と3副市長、全局長・区長で構成しています。また、今までもワーキングチームを編成してきましたが、そのチームのあり方等についてもこの機会に再点検して、より機動的に、また課題に的確に対応できるような組織、チーム編成を図っていきたいと考えています。

 

記者

 保育園等の補助金の削減の件で、現場から様々な声が上がっています。議会では、赤字の保育園等の人件費補助を3年間に限って時限的に実施する新たな制度を提案されていますが、こういったサポートをされる理由は何でしょうか。

市長

 そもそも、この保育園等の補助金のあり方の見直しについては、たまたま行財政改革と同じ時期になりましたが、それ以前から指摘されていたことです。保育園等は、国の給付費で運営されます。国費と市費と府費、これが給付費と言われ、保育園等の規模などに応じて支給されます。これで人件費から、あらゆる運営費を賄っていくというのが国の考え方です。

 京都市では、それにプラスして保育士の人数を加配しています。これは、国の基準の1.3倍になっており、90人定員の場合、国基準では12人のところ、京都市では16人配置しています。

 もう一つは、優れた保育士を確保するために、全国の民間保育園と比べ、一園当たり100万円を超える処遇改善の予算を確保しています。

 ところが、令和元年度に市の保育園等への調査の結果、保育士の給料等の人件費として使われるべき経費のうち約20億円が、各園で積立金や他の職種の人件費に上積みされており、保育士等に適正に支給されていないという課題が出てきました。ただし、これは制度上、不正ということではありません。京都市がモデルは示していましたが、このような使途で使ってはならないということは示していませんでした。しかし、これらについて、もう一度、透明性を高めて、効果的な制度にしようというのが今回の制度の見直しです。

 そして、令和4年度も50億円を超えて保育士の加配と処遇改善のための予算を確保していますが、障害児保育の加配の在り方について、年度途中ではありますが改善を実施しました。認定こども園については、事務職員が忙しいということで、年度途中ですがその部分も改善しました。

 本来、この国の給付費に京都市が加配している補助金で運営いただくものですが、園ごとの様々な事情で運営が厳しいと言われるところにつきましては、様々な専門家のアドバイス体制をつくり、そして、3年間に限って、なお加配する予算を4億6,000万円(令和5年度)確保し、全国トップ水準の保育環境をしっかりと充実させ、持続可能なものにしていきたいと考えています。

記者

 市長は昨年11月の会見で、この補助金をしっかり運用すれば、保育士の給与水準が保たれると発言されていました。人件費補助の3年間というのは時限的なものですが、その後しっかり園として自立した運営ができると思われますか。

市長

 専門家等による経営診断も実施しながら、国からの適正な給付金と京都市の補助金を生かしていただき、より効率的な運営によって、保育水準もしっかりと維持できると確信しています。国の基準を超える処遇改善のための、また定員確保や保育士確保のための予算を来年度も53億円確保しているので、十分運営いただけると思います。

 昨日、指定都市市長会の緊急提言で、私と神戸市長と仙台市長で一緒に、こども政策担当大臣に要望しましたが、要望している水準が違うと思いました。例えば、神戸市長は学童保育について、まだ待機児童ゼロにならないとおっしゃっていました。保育園については、やっと去年の4月に待機児童ゼロを実現したとのことです。しかし、保育士の配置については、ほぼ国基準のままで、50年前から変わっていないそうです。そのことを思うと、いかに京都市の水準が高いかということを皆さんに知っていただきたいと思います。

記者

 保育園等の現場の声として、最初の制度設計が甘かったのではないかという声もあります。1年で見直すということはそのように取られても仕方がないと思いますが、いかがお考えでしょうか。

市長

 確かに、長く制度が続き、あまりにも大きな課題が出てきた。それを透明性のあるものにしなければならない、ということで、保育園連盟等の関係機関としっかりと議論し、制度設計を行ってきました。全体としては高い評価を得ていると思います。なお、個々の保育園の運営について、ここで私が何か申し上げる立場にはございませんので、それぞれの保育園等において、より透明性の高い、また制度の趣旨に沿った運営をしていただくことで、保育力を向上していく、子どもと保護者に責任を持っていただく運営がより充実するものと考えています。

記者

 保育園の人件費補助について、手厚い職員配置と保育の充実が京都市の子育て環境のウリだと思いますが、今回の市会で提案されている新制度は、勤続年数の長い保育士や調理師等の資格を持った方(相対的に給与が高い方)の雇用を守りながら持続的に運営することが難しい、という批判や不安の声が上がっています。今後、例えば、保育園の決算状況を見て、制度を抜本的に見直す、といったお考えはないでしょうか。

市長

 本市から民間保育園等への人件費等補助金については、調査の結果、約20億円が人件費以外に使われていました。これは不正ということではないのですが、是正して、より透明性のあるものしていく必要があり、税金を効果的かつ効率的に使っていくためにも、当然の措置であると考えております。新制度においても、国の基準を上回る水準の補助金にしています。

それでも運営できない、厳しいという保育園等については、過去の様々な経過も考慮し、さらに4億6,000万円の予算を使い、3年間かけてソフトランディングしていきましょう、ということです。もちろん各園の経営方針があることは承知していますが、全国トップ水準の保育環境、子育て環境を継続、充実させていくためにも、適正な見直しであると考えております。

 

記者

 3月13日からマスク着用が個人の判断に委ねられますが、京都市職員に関してはどのような取扱いにされますか。

市長

 国において方針が明確にされ、今までの「マスク着用の推奨」から「個人の判断」ということになりました。それに基づいて京都市も対応していきたいと考えています。

 ただ、国においてもマスクを着用するほうが効果的な例として、例えば、高齢者施設への訪問など示されています。私どもも、当面は窓口業務の職員等についてはマスク着用を推奨していきたいと考えています。

記者

 窓口業務以外の職員に関しては、どのような取扱いにされる方針でしょうか。

市長

 基本的には、個人の主体的な意思に任せます。

記者

 3月13日以降、京都市動物園など、市民や観光客が利用する施設の利用者に対しては、今後のマスク着用の取扱いはどのように対応されますか。

市長

 国において、病院で診察を受ける際や、高齢者施設訪問の際は、マスク着用の効果があると例示されております。例えば、その中に動物園はなかったと認識しております。したがって、原則としては、「マスク着用を推奨」から「個人の主体的な判断」に変わるということです。

記者

 市長御自身は、3月13日以降、マスク着用はどうされますか。

市長

 私自身は、道を歩く時など、屋外では概ね外していきたいと思います。ただ、人と面談する時、それも一定の距離があればいいのですが、近いところで面談する時などは、相手との関係や、相手がマスクをしておられるかということも考慮しながら、適宜、マスクを着用するか、外すか判断していきたいと思います。窓口職場の職員に対しては、原則マスク着用という当面の措置ですから、それに準じた対応になります。

 

記者

 都市計画の見直しについて、今春にも実施されるということで、議会では、関連議案について話し合われていますが、次回の都市計画審議会の開催はいつ頃になるか、目途は立っていますでしょうか。

市長

 後日発表しますが、現時点では、3月末には都市計画審議会が開かれる予定です。

記者

 正式に都市計画が変わるタイミングはいつでしょうか。都市計画審議会に付議し、その場で決定されるのでしょうか。若しくは、そこから何日間か置いて決定されるのでしょうか。

市長

 市町村が定める都市計画決定の手続きについては、都市計画審議会への付議、そして、都道府県知事との協議を経て、正式な決定・告示を行います。

記者

 最終的に告示されるのは4月になるのでしょうか。

市長

 都市計画審議会や府知事との協議は3月末の見込みですが、決定・告示の日時は未定です。

記者

 都市計画の見直しについて、その狙いを改めてお聞かせください。今回の見直しは、平成19年に高さ制限が緩和された都市計画の効果を検証したうえで、更なる規制緩和を実施していくものという認識でよいでしょうか。

また、特に、山科の一部エリアで高さ規制を緩和されることについて、そのエリアの特性を踏まえた狙いはどのようなものでしょうか。

市長

 新景観政策は、私が市長に就任するとともにスタートしたと言ってもよい取組です。前市長の当時、六つの条例が全会一致で可決されましたが、私はこの新景観政策は、京都の都市格が大きく向上した偉大な政策だと考えております。景観政策は、保全・再生・創造のバランスが重要であり、その骨格はしっかりと維持しなければなりません。例えば、らくなん新都は100mビルが建てられるところでありますが、15年間、一つも建ちませんでした。保全・再生・創造のバランスを取っていこうとしたにもかかわらず、再生、創造の分野が機能していませんでした。これには、手続が複雑であることなど、様々な要因があります。また、新たな産業用地が足りない、オフィスが足りない、若い方が住む住居が足りない、そんな皆さんの声も湧き上がっています。

 こうした経過から、新景観政策の10年目(平成29年)に、その成果と課題を審議会のフルオープンな場で議論していただき、また、令和3年9月には都市計画マスタープランの見直しを行い、そして、今回、具体的な見直しを実施します。景観政策の骨格を堅持しながら、伸びしろのあるところに若い人が住む住居、或いは、オフィス、イノベーションの拠点をつくってまいります。

 今、京都の企業が輝いております。ただし、新たな事業拡張のためのスペースがないということで、他都市や他府県に出ていかれる事例が後を絶ちません。 「京都市内に場所さえあれば」或いは「若い人が住まいする住居が足りない。手の届きにくい値段である。」そういった皆さんの声にも応えた改革を実施するものです。

 先日、京都市立西院小学校創立150周年と新校舎竣工のお祝いの会に行ってきました。 少し都心からは距離がありますが、交通利便性がよく、子どもが増えてきています。若い方が住むマンションが建っており、非常に元気な地域になっています。そのような事例があると、そこに住まれる方も増えるということです。

 したがって、山科地域については、山科盆地の守るべき都市計画はしっかりと守ったうえで、外環沿い等に、オフィスや若い方が住む住居を積極的に創設できるようにしていく、そんな都市計画の見直しを行ってまいります。これにはパブリックコメントでも多くの御賛同いただきました。スピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。

 

記者

 北陸新幹線整備計画について、国土交通省では、環境アセスメントが終わっていない中で、並行して、事業推進調査費の予算を付けられました。これについて、実施ありきであり、アセスメントが形骸化しているのではないか、という指摘もあります。市長は以前から、北陸新幹線整備計画自体は必要、というお話をされていましたが、こうした国の進め方について、どのようにお考えでしょうか。

市長

 環境アセスメントは極めて大事です。しっかりと実施されるものと確信していますし、関係者からそれを軽視しているような話は聞いたことがありません。環境アセスメントは、何よりも我が国において大事にされているものだと認識しています。

記者

 環境アセスメントを踏まえ、工事が認可された後の地元負担について伺います。市長はかねてから、負担の極小化を訴えてこられましたが、仮に地元が数%負担することになった場合、それでも数百億の負担になります。市の財政状況を踏まえると、こうした負担は極めて現実的でないと思われますが、どのように対応していかれますか。

市長

 北陸新幹線整備については、国、機構、そして都道府県が負担するということです。基礎自治体の負担は法的に何ら明記されておりません。ただ、私どもとしては、京都府も市民の皆さんの税金で運営されていますので、京都府も含めて、地方の負担は極小化していくべき、ということを申し上げています。まして、地方の負担は、経済効果も含めて議論がなされるべきだと考えておりますので、引き続きゼロないし極小化に向けて、府とも一緒になって要望してまいります。

 

記者

 20日後の3月27日には文化庁がいよいよ移転します。盛んに文化庁移転記念というような冠のついたイベントや行事をたくさん見ますが、今ひとつ実感が湧きません。必ずしも東京で業務を行う必要のない職員250人がこちらに移ってくることについて、どのように聞いておられるのでしょうか。

市長

 文化庁の京都への移転は、昭和の時代からその趣旨を京都市独自で国に要望してきました。画期的なのは、平成14年に河合隼雄先生が文化庁の長官になられた時に、何度も固辞されての就任でしたが、週末は京都で仕事をしたいということで、文化庁長官分室を京都に作ることを条件にされて、週末は京都に帰ってこられ、国立京都博物館の中の長官分室で勤務されておられました。これが文化庁の具体的な移転の先駆けだったと思います。

 河合先生は、「文化で経済を元気にしよう」と仰っておられた。デフレが長く続くという現象は、心理学が専門の河合先生は、心理学の鬱と同じ傾向であり、同じ語源であるということで、文化で日本を元気にする、とおっしゃっておられました。志半ばにお亡くなりになりましたが、先生のお考えが今生きてきたなと、改めて感謝申し上げたいです。

 生活文化を大事にしようということで文化芸術基本法が改正(平成29年)されました。食文化と生活文化をより重視するということが明記されました。そして昨年、岸田総理が京都に文化庁が移転することの意義を大きく二つ仰られました。一つは、奥深い生活文化がある、豊かな生活文化がある、歴史、伝統があるということです。国内外に、とりわけ世界に日本の文化を発信していく時に、自ずと京都であれば受け止め方が違うということです。もう一つは、文化で経済を活性化していくことが人々の豊かさに繋がっていくということでありました。

 もう1点、働き方改革、東京にいなくてもオンラインで十分な役割が果たせるということも付け加えて仰っておられました。

 文化で日本中を元気にするというときに、京都の役割が大きいと思います。全国津々浦々の方々が京都に文化庁が来て良かった、移って良かったと言っていただけるようにしたい。さらに世界の人にそう思っていただきたい。同時に、文化庁の職員にも思っていただけるような取組を進めてまいりたいと思っています。

 明治維新以後、150年間、我が国において、こうした改革(中央省庁の移転)ができたのは初めてであります。ちょうどこの直近3年間がコロナで、移転の機運醸成が非常に厳しい状況でしたが、この半年、非常に盛り上がっております。例えば、京都市京セラ美術館、土日ですと1万人を超える方にお越しいただいております。あらゆる京都の文化力を生かし、全国と繋がりながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 コロナ禍により、当初、文化が不要不急の象徴のように扱われましたが、コロナ禍が明けて、文化こそが、人間が人間らしく、コミュニティを活性化し、人と人の心をつないで、生きていてよかったと感じられるようにするものだと多くの人が確信されました。そして、私どもは多様性を認め合い、包摂性を大事にする、そうした京都に息づく日本の心も大事にしながら取り組んでまいりたいと思います。

 

記者

 京都市では新年度予算で、医療的ケア児の支援に向けて予算を拡充しておられます。地域の小学校でも看護師を雇って医療的ケア児を受け入れる動きも出ている一方で、医療的ケア児が食べられるミキサー食を京都市の学校給食では提供していない。その点について、今後、運用を改める考えはありますか。

市長

 医療的ケア児につきましては、京都市は、全国と比べて異次元の取組をしてきたと自負しています。保育所待機児童9年連続ゼロ、学童クラブ11年連続ゼロというのは、医療的ケア児を看護師が配置できていないから受け入れられないと1人断れば、達成できません。学童クラブ、保育所、こども園においても、医療的ケア児の受入れを実行してきたからこそ、待機児童ゼロという実績を積むことができました。

 それにプラスして、今回、医療的ケア児の送迎も含めた取組をさらに前進させようという予算の拡充であります。前進させる中で新たな課題が出てくることは事実です。全部の課題を解決してから前進させるのではなく、できる前進はしていこうということで御理解いただきたいと思います。

記者

 現段階では、ミキサー食の提供は考えておられないということでしょうか。

市長

 はい。

記者

 京都市で掲げているインクルーシブ教育の実践について、現場の保護者からするとなかなか理解が得難いという声も聞きます。ミキサー食については、豊中市、枚方市、政令市で言えば名古屋市などでも導入されています。医療的ケア児については、全国的な動きが、今後も増えてくると思いますが、全国的な動向についてどう考えますか。

市長

 十分調査しながら、教育委員会と相談していきたいと思っていますが、医療的ケア児含む学童クラブ、保育所含めて待機児童ゼロを継続しているのは、全国の大都市で京都市だけです。その点も含めて、医療的ケア児の送迎支援について、2億円以上の予算も作っているわけです。何を最優先すべきか、ということです。例えば、総合支援学校だったら、ミキサー食の提供が可能ですが、地域の学校を選択された場合には、課題が出てくるということです。課題が全て解決してからということではなく、できることをいち早くやっていこうということです。

 

記者

 暖かくなってきて、春の観光シーズンを迎えますが、海外の方もかなり来られていると思います。コロナ以前、観光客による混雑で市民の不満もたまっていたと思います。コロナ禍の3年間は、混雑対策の準備期間でもあったと思いますが、この春、そういう不満は抑えられますか。

市長

 先週、フランス・ニース市の副市長と視察団が来られました。パリに次いでフランス観光の人気都市ですが、非常に混雑しているとのことでした。国際的に見れば、京都市の観光政策が最先端を行っているということで、3日間の視察に来ていただきました。京都市のコロナ以前の様々な取組、そして、コロナ禍における研究、検討してきたこと、そして今スタートさせていることをそれぞれの担当者から説明させていただき、総括のところで私が出させていただきましたが、感激していただきました。

 例えば、時期の分散。20年近く前、2月と11月の観光客の差は3.6倍でした。これがコロナ以前、1.3倍まで平準化しました。外国人観光客では平準化されたとの声がありますが、依然として京都観光は7、8割が日本人観光客です。

 それから、もう一つは時間の分散。日帰りが8割で、お昼から夕方までが混んでいて、夜7時になったら空いていました。これが、日帰りが7割になった、つまり宿泊客が1.5倍になりました。泊まってこそ京都ということで、朝観光、夜観光等を充実させてきた結果だと思います。

 もう一つは、場所の分散。これは大きくは前進していますが、一部のところで、例えば伏見稲荷大社。10年前、お祭りの時だけ混んでいて、通常は混んでいなかった。インスタ映えという言葉に象徴されるように人が人を呼ぶという現象から教訓を得て様々な取組をしてきました。新たな観光政策として、地域の市民生活と観光との調和を最優先にして、さらなる場所の分散を図りました。その一つとして、ビックデータを駆使して、観光快適度を5段階で予測し、それを多言語で発信していく取組をさらに充実させております。

 さらに、ライブカメラを増設して、混雑の見える化をしていく。例えば、花見小路通が混んでいますが、一筋、通りを変えれば混んでいません。渡月橋界隈は混んでいますが、奥嵯峨は極めて観光客が少ないです。こういうところに分散させていく。その取組をあらゆる手段を総動員して行っております。

 そして、バスと鉄道をうまく使っていただく。バスばかり乗るから、特定の路線バスだけ混むということのないように、市民の皆さんの御理解も得つつ、バス1日券を廃止して、地下鉄・バス1日券に誘導します。バス1日券の利用者の9割が観光客です。これがあるがゆえに必要以上にバスに誘客してしまっているということも含めて、あらゆる取組を最優先して、混雑対策に取り組んでいきたいと思っています。何よりもそうした取組が観光客の方に伝わることが大事ですので、出発前、途中で、そして、到着時点で、あらゆる情報発信を強化してまいりたいと考えています。

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