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市長定例記者会見「令和5年度予算案の概要」(2023年2月6日)

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2023年4月12日

市長定例記者会見(2023年2月6日) 

「令和5年度当初予算案の概要」について、京都市長が記者会見を実施しました。

 ※発表内容は、令和5年2月6日時点の情報です。

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市長記者会見動画(令和5年2月8日)

記者会見要旨(摘録)

(門川市長)

 本日は、令和5年度予算にあたって、この間、市民の皆様に御協力いただいた改革によって、京都のまちはどうなったか、そして、来年度市政運営は何に重点をおくのかということを、私の思いも含めて市民の皆様へお伝えしたいと思います。

 私は、市長就任以来、市民の皆様の参加と協働をまちづくりの根幹に据え、福祉・子育て・教育に加えて、文化を基軸としたまちづくり、京都の守るべき骨格を堅持しつつ創造的に継承していく景観政策、いのちと暮らしを守る防災基盤の整備、環境先進都市、地域コミュニティの活性化など積極的な政策を進め、まちの活性化、都市格の向上を図ってまいりました。また、本市のまちづくりがSDGs先進都市として評価され、誰一人取り残さない持続可能な社会の実現という理念のもと、全国のモデルとなる取組が、市民の皆様との協働により着実に広がっております。

 こうした取組により、京都のまちづくりが大きく前進し、創造的な人や企業が京都で生まれ、また集積し始めており、スタートアップ・エコシステムの構築、イノベーションを生み出す機運も高まっております。

 そうした中、財政問題が最大の課題でありました。3年前、今、改革に着手しなければ、市民の皆様とともに積み上げてきた魅力あふれる京都の未来が、これまで皆さんと努力してきたことが、水泡に帰すという危機感にあふれ、私の4期目の市政にあたって、これまでの延長線上にない挑戦と改革を掲げ、未来に責任を持ち、持続可能な財政を確立することを市民の皆様とお約束いたしました。

 フルオープンでの議論、議会での深い議論を踏まえて、令和3年8月に行財政改革計画を策定。この計画では、都市の成長戦略も含めて、10年を超える将来を見据える中で、当面5年間を計画期間とし、とりわけ、直近の令和3年度から5年度の3年間を集中改革期間として位置づけ、スピード感を持って改革を進めることにより、持続可能な行財政への道筋をつけることとしました。 

 そして、この間、私自身が覚悟を持って、また全庁一丸となって市民の皆様に説明責任を尽くし、この改革を成し遂げ、明るい展望を開く決意で、市政に臨んでまいりました。


 資料を御覧ください。1ページでございます。私の4期目の総仕上げとなる令和5年度予算において、22年ぶりに収支均衡を達成、財政難克服への道筋をつけることができました。

 本市は、これまで多くの関係者の皆様の御努力もいただき、国や他都市の水準を大きく上回る福祉、子育て支援、教育、安心安全等の施策を推進する中で、地方交付税が大幅に削減されたこと等により、高い水準の施策に必要な財源を確保できず、収支不均衡が長年にわたって継続してまいりました。

 この収支不均衡を完全に解消し、ITバブル崩壊に端を発する平成13年の財政非常事態宣言以降、平成14年度から昨年まで21年間、年平均130億円規模で続けてきた、公債償還基金の計画外の取崩しや調整債の発行、他都市でも発行している行政改革推進債も含めた、特別の財源対策を初めてゼロといたしました。

 これは、市民の皆様の御理解のもと取り組んでまいりました、3つの取組の成果だと考えております。

 1つ目は、職員数の削減やICTの活用等の徹底的な働き方改革による時間外勤務の縮減をはじめとした行政の効率化や施策・事業の総点検等の行財政改革でございます。

 この3年間、職員数は、組織・体制の見直し、委託化の推進等により、政令指定都市トップクラスの安心安全を守る体制を維持しつつ、全体として行財政改革計画における令和7年度までの目標の80%に当たる439人を削減、時間外勤務はICTの活用等の働き方改革により、令和元年度比2割縮減を継続し、それらの財政効果額は90億円となります。

 なお、災害等に際し、機動的に市民の皆様のいのちと暮らしを守る財源を確保するため、給与カット等により捻出した50億円を財政調整基金等に積み立てることとしております。

 この他、補助金・イベント・受益者負担・公共施設の総点検・見直しや敬老乗車証、さらには民間保育園等への人件費補助金等、本市の独自施策についても持続可能な観点から見直しを行い、市民・団体等の皆様の御理解と御負担を賜りました。

 この見直しがあったからこそ、収支均衡を達成することができました。御理解いただきました市民の皆様に、心から感謝を申し上げます。

 2つ目は、市税収入をはじめ、資産の有効活用、ふるさと納税寄付金等の財源確保の努力でございます。市税収入は、市民・事業者の皆様の懸命な御努力とそれを支える国・府・市一体となった経済対策・支援により、計画策定時に危惧されたリーマンショック並みの大幅な落込み。例えば、国における令和3年度の地方税収落込みの見込みは、△5.4%でした。本市はそれより堅めに見積もって、△4.7%と見込んでおりましたが、それらを回避することができました。

 そのベースには、コロナ禍前から取り組んでまいりました、まちの活性化、市民所得の向上を担税力の強化につなげるという観点での経済政策の効果もあり、市民所得が増加、市税収入は10年間で18%増加いたしました。

 また、施設の統合、集約等によって生み出された市民の皆さまの貴重な保有資産につきましては、税収や人口の増加、雇用の創出、地域の活性化等、市全体の効果をしっかり考える戦略的な活用を進め、売却・貸付によりこの3年間で116億円を確保いたします。

 更に、ふるさと納税につきましても、全庁を挙げて確保に取り組み、この3年間で234億円を確保いたします。

 京都ならではの返礼品を通じて、京都の魅力を発信するとともに、伝統産業をはじめ、京都の中小企業・地域企業等の新たな需要を創出しております。

 これらの一部は、京都みらい夢基金に積み立て、その残高は令和5年度末で64億円となります。京都の今と未来のために有効に活用させていただきます。

 3つ目としましては、地方交付税を国にこれまで以上に強く要望し、地方財政対策において、地方税収が増加する中にあっても、地方交付税が増額されました。

 この結果、行財政改革計画の集中改革期間である令和3年度から5年度にかけて、歳出所要一般財源は64億円の減少、一般財源収入は172億円の増加により、236億円収支改善いたしました。

 歳出所要一般財源は、高齢化等による社会福祉関連経費の46億円増加しております。更に光熱水費高騰による20億円増加。それらを吸収したうえで64億円の減少であるため、実質は130億円の減少であります。

 一般財源収入は4,531億円となり、コロナ禍前の令和元年度水準まで回復させ、更に100億円増加させるという計画の目標を前倒しで達成いたします。

 計画では、リーマンショック当時の経験をもとに、令和7年度まで一般財源収入の増加を見込めない仮定するとともに、改革により毎年の特別の財源対策を230億円以下に抑えることを必達目標とし、改革の継続と、成長戦略による一般財源収入の増加により、令和15年度までの早期に、まずは公債償還基金の計画外の取崩しからの脱却。その後、調整債・行政改革推進債の発行も含めた特別の財源対策から脱却することを目標といたしました。

 これに対して、3年間で必達目標から750億円の収支改善を果たし、特別の財源対策ゼロを前倒しで達成し、計画策定時には令和3年度末に823億円と見込まれていた公債償還基金の計画外の取崩額累計を505億円まで圧縮いたしました。

 また、臨時財政対策債を除く実質的な市債残高は、全会計はピーク時である平成14年度との比較で25%、5,190億円の縮減。一般会計では私の市長就任当時、平成20年度がピークでありましたが、その時点から比較しますと、16%縮減しております。

 一部報道等で、京都市は借金が増えていると言われていますが、借金残高は着実に減少させております。また、京都市の財政が破綻してしまったかのような論調もあり、一昨年来、市民の皆様に大変な御心配をおかけいたしましたが、安心してください。

 京都市は改革を進め、市民生活を守りつつ、全国に比べて高い水準の福祉・教育・子育て支援、これらをしっかりと維持・向上させながら、年間130億円の赤字を解消し、収支均衡を達成いたしました。財政難克服への道筋をつけました。市民の皆様とともに明るい展望を開ける予算といたしました。

 市民、事業者、関係団体の皆様に御理解と御負担をいただく中で、改革と暮らし・経済の下支え、担税力強化に取り組んだ結果、持続可能な行財政への道筋をつけることができました。改めて市民の皆様に心から感謝を申し上げます。

 今後も、不透明な経済情勢、高齢化等にともなう社会福祉関連経費の増加等に対応しつつ、改革と都市の成長による収支均衡の財政運営を継続し、505億円の過去の負債の解消と施策の更なる充実を行ってまいります。

 安心して暮らすことができるまちとして多くの人に選ばれ、持続的に発展する都市を目指し、市民の皆様とともに取り組む決意であります。


 来年度は「くらしに安心、まちに活力、みらいに責任」に重点をおき、京都の魅力を守り、発展させる。課題を解決し、更に伸ばしてまいります。

 中でも最重要施策は、若い世代・子育て世代が住みやすいまちづくりでございます。少子化の進行に強い危機感を持っており、子育て環境の拡充に更に全力で取り組む必要があると決意しました。

 本市ではこれまでから、保育所等9年連続待機児童ゼロ。学童クラブ事業11年連続、待機児童ゼロ。これらの継続のほか、保育料を国基準の7割に軽減し、全国トップレベルの保育所の保育士配置基準、国基準の1.3倍でございます。さらに保育士の処遇改善等によりまして、高い水準の手厚い保育を実施してまいりました。

 また、本市では、全国に先駆けて、平成15年度から小学校1年生の35人学級、引き続き小学校2年生の35人学級を実施、さらには平成19年度から、全国(政令指定都市)で唯一中学校3年生の30人学級を実施するなど、少人数教育に力を入れてきました。その結果も含めて、学力は全国トップ水準です。

 小中学校の1学級当たりの児童・生徒数は、小学校が約28人、中学校が約32人であり、政令指定都市上位水準の指導体制を整えております。

 教職員、地域の皆さん、そして子どもたちの頑張りの結果、大きく教育も前進しております。来年度は、全国トップクラスの子育て支援・教育を更に充実してまいります。

 子ども医療費支給制度における通院医療費の自己負担額について、これまでは3歳未満のお子さんを対象に1医療機関・月額200円としておりましたが、今回、府市協調により、これまで月額1,500円としていた小学生までのお子さんも1医療機関・月額200円とする大幅な拡充を行います。所得制限なしでのこれらの施策は、政令指定都市トップ水準であります。

 なお、子ども医療費支給制度は、国に制度がない中、これまで府市協調で施策を拡充しており、令和5年度の本市予算は26億円、本市負担は13億円となります。

 また、「保育料」について令和5年度のみならず、6年度以降も当面据え置きます。

 民間保育所等の耐震化率について、京都市では支援を強化し、100%を達成しております。更なる子どもの安心安全に向け、令和5年度に老朽度調査を実施いたします。

 全員制中学校給食については、これまで、その実施には、多額の経費を伴うものであり、子どもたちを取り巻く課題や教育環境整備など他にも優先すべき課題もある中、選択制給食の充実を図り、全員制給食の実施を見送ってまいりました。

 この度、岸田総理が「次元の異なるレベルで子育て支援、少子化対策の取組を推進する」と方針を表明され、岸田総理の思いを受け止め、国・府・市が連携して、子どもたちの健やかな学びと育ちのため、京都市においても今まで取り組めなかったことを一歩前に進めるべきではないかと議会から指摘もいただき、京都市として取り組んでいく必要があると考えました。

 少子化対策、子育て環境の更なる充実は目下の最大の課題の一つであること、子ども医療費の改善方針など、府市協調での子育て環境充実が前進したこと、これらが重なる今この時期を捉えて、「教育の更なる充実が、京都で子どもを育てたいと考え選ばれる都市となるためにぜひとも必要であり、子どもたちの健やかな学びと育ちのため、また、子育て家庭の支援のため、一歩踏み出す必要がある」と思い、決断いたしました。

 まずは、調査に着手し、子どもたちの健やかな成長を支えるため、速やかに実施できるよう努めてまいります。


 次に、若者が就職、結婚、お子さんの誕生などライフステージが変化する時期に転出している課題に対しては、京都の景観の守るべき骨格を堅持することを前提に、都市計画の見直しと連動して、若い世代をひきつける居住環境の創出と、オフィス・ラボ誘導エリア(京都駅南部・らくなん進都(鴨川以北))等における企業立地促進により、雇用の創出や学生の市内就職を促進してまいります。

 併せて、本市の充実した子育て支援・教育等を知っていただく。京都で暮らす魅力、京都で子育てする魅力、また、「ビジネス拠点」としての京都の強みをしっかりと発信してまいります。

 本市内に約45,000軒ある未活用の空き家や既存住宅・マンションについて、民間事業者や大学、地域と連携し、活用・流通を図り、若い方や学生さんなどの居住空間として活かしてまいります。

 また、都市計画の見直しに併せて、オフィス・ラボ誘導エリアにおいて、「賃貸用事業施設等立地促進制度補助金」により、大規模テナントオフィスビル建設に対する支援を行うほか、「企業立地促進制度補助金」の充実により本社機能を有する事業所等を新増設する場合の固定資産税相当額の補助について、補助率を思い切って最大150%まで引き上げます。


 次に、文化を基軸としたまちづくりを進め、文化庁の京都移転や京都芸大・美術工芸高校の京都駅東部崇仁への移転がいよいよ実現します。

 この好機に、文化と経済の好循環を進化させるよう、執行体制を強化し、京都の強みである文化芸術による少子化・人口減少対策に取り組むとともに、文化芸術への更なる投資・支援を呼び込む仕組みを構築してまいります。


 コロナ禍、物価高騰等のもとでの市民生活・京都経済をしっかりと下支えしてまいります。

 来年度は、コロナ・物価高騰対策予算として、1,721億円を計上し、政令指定都市トップ、平均の1.5倍となる人口1万人当たり2.4人の保健師配置を維持するほか、物価高騰が続いている状況を踏まえ、学校給食や福祉施設等の食材費高騰や地域公共交通の運行維持への支援を継続して行ってまいります。

 「国民健康保険事業」につきましては、高齢化の進展等により、国保財政の運営主体である京都府への納付金の1人当たりの額は4.6%増加する見込みでございます。

 制度上、納付金額の増加は保険料で賄うのが原則ですが、被保険者の皆様の生活が更に厳しさを増すことを踏まえ、一般会計からの財政支援の繰出金について、前年度と同額の64億円を維持したうえで、なお生じる国保特別会計の収支不足額22億円相当については、保険料の急激な引上げが生じないよう積み立てておいた国保基金からの繰入れで賄い、保険料率を据え置きます。


 次に、多様性を尊重し、誰一人取り残さないまちづくりを進めてまいります。

 本市においては、医療的ケア児の市立学校での受入体制をさらに整えるため、看護師資格を有する専任教員を政令指定都市で初めて採用するほか、政令指定都市平均の3倍のLD等通級指導教室の設置など先駆的な取組を進めてまいりました。

 また、敬老乗車証は他の政令指定都市7市が制度を廃止又は未実施の中、市民の皆様に一定の御負担をいただきながら、年額20万円相当の価値のあるフリーパスを月額750円~3,750円の御負担で御利用いただける制度を維持・充実しております。

 来年度は、「ヤングケアラーの訪問支援」や「小・中学校のバリアフリー化の推進」など、特に支援を要する子どもと家庭への支援を充実してまいります。

 さらに、健康長寿のまちに向け、最大額面1万円の半額で御利用いただける「敬老バス回数券」を新設するほか、「高齢者インフルエンザ予防接種」について、新型コロナウイルス感染症との同時流行を踏まえ、重症化リスクの高い75歳以上の自己負担を1,500円から1,000円に軽減し、接種環境を充実いたします。


 市民のいのちと暮らしを守り抜く安心安全のまちづくりを進めてまいります。

 5年に1度の大雨への整備率は政令指定都市平均の1.5倍となる91%、全国的に救急需要が増加する中、救急車の到着時間の早さは7.3分と全国平均より2分以上早く、8年連続トップ、火災件数は人口1万人当たり1.4件で政令指定都市最少など、市民のいのちと暮らしを守るまちづくりは全国トップクラスでございます。

 来年度は、2月補正予算も含めました防災減災対策予算を前年度比14%増の576億円を確保するほか、本市より南に位置する府内9つの消防本部と共同での消防指令センターの運用に向けた設計に着手し、大規模災害等への対応を強化いたします。


 豊かな自然を守り、脱炭素・循環型社会の先進都市としての全国モデルを進めてまいります。

 大都市でありながら、森林、生物多様性等の豊かな自然を身近に感じられる生活環境やごみ量のピーク時の82万tから半減以下38万tまでの減量、21年間減量し続けているのは、大都市では京都だけです。

 また、脱炭素の取組に見られる市民・事業者の皆様の地球環境への高いお志は、他都市にはない、京都ならではの宝であり、国際的な気候変動対策の情報開示システムであるCDP Cities(シーディーピーシティーズ)に、京都市は2年連続Aリストに選ばれました。世界で1,000を超える都市がこれを目指し、A評価の都市は100余り。京都市は2年連続で選ばれており、これは本市を含めて日本で2自治体のみであり、高い評価を受けています。

 2050年CO2排出量正味ゼロを目指す動きは京都から全国に広がり、国の方針となりました。更に、2030年ゼロを目指す脱炭素先行地域として国の新たな重要施策へと具体化しました。昨年11月、京都市が国の脱炭素先行地域に選定されました。

 本市においては、伏見エリアを中心としつつ、全市を見据え、京都ならではの文化遺産、社寺、大学、商店街・住まいの脱炭素化を強力に進めてまいります。

 脱炭素化先行地域として今後5年間の本市の取組に50億円の国費を獲得、太陽光発電や中小事業者の省エネ設備の導入促進等も含めて総額65億円の国費を獲得いたします。

 持ち込みごみ、業者収集ごみ搬入手数料については、排出事業者責任とごみ減量・リサイクル促進の観点からの京都市廃棄物減量等推進審議会の答申を踏まえて改定いたします。

 改定に当たっては、コロナ禍や物価高騰等の影響を受けておられる市民・事業者の皆様に対して、業者収集ごみ搬入手数料の適切な価格転嫁も含めて、丁寧に説明してまいります。御理解をお願い申し上げます。


 次に、コロナ禍後も見据え、世界の活力を取込んでまいります。特に、観光については、経済活性化、雇用創出、市民生活の利便性向上、文化の継承に大きく寄与してまいりました。その観光がコロナ禍により未曽有の危機に直面し、苦境を乗り越え、回復していく局面でございます。

 来年度は、回復に当たり、観光課題が生じていたコロナ以前の状態に戻すのではなく、安心安全の確保と市民生活との調和のもと、市民生活を豊かにする持続可能な観光へと進化させてまいります。SDGs達成にも貢献する観光としてまいります。

 観光地の混雑対策については、観光の時期・時間・場所、3つの集中の分散化、京都駅一極集中の緩和や自動車流入抑制に向けた情報発信の強化、市バス・地下鉄の混雑対策等、市民生活最優先でとりうる対策を全て行ってまいります。

 市バス・地下鉄については、厳しい経営環境が続く中でも、お客様の安全・安心を最優先に取り組んでまいります。両事業とも引き続き厳しい状況に変わりありませんが、特に地下鉄は積極的な国への要望活動により実現した、画期的な国の財政支援措置の効果がとりわけ大きく、今後も更なる経営努力を重ねることを前提としつつ、運賃改定を回避することが可能となりました。


 行財政改革計画の総括を踏まえ、「京都市 持続可能な行財政の運営の推進に関する条例」を制定し、今後も改革を続けてまいります。

 条例は京都ならではのものとし、市民の皆様と財政に関する情報を共有し、市民参加・協働の下、改革を推進していくことを明記いたします。併せて、市民の皆様への説明責任を強化いたします。

 また、行財政改革を推進する計画を策定し、その計画に沿った予算編成を条例で義務付けます。そして、機動的かつ着実な改革の推進を担保してまいります。

 この条例は、来年度予算案とあわせて2月市会に提案し、御審議いただきます。


 また、令和4年度2月補正予算も提案いたします。国の経済対策の有利な財源や、地方交付税の追加交付、保有資産の有効活用により生み出した財源等を活用し、今必要な子どもたちの安心安全の取組、防災・減災・老朽化対策など、本市独自の54億円も含めて、総額113億円規模の対策を実施いたします。


 引き続き、市民の皆様と協働によるまちづくりを進め、京都の今としっかりと未来に責任を果たすべく、全力を尽くしてまいります。

 私からは以上です。


質疑応答(摘録)

発表案件「令和5年度予算案の概要」について

記者

 令和3年8月に行財政改革計画を策定され、令和15年度までに公債償還基金の計画外の取崩しを無くしていくという中長期の目標を掲げられていました。しかし今回、そこからわずか1年半で、「状況が好転した」と発表された形となりました。この一番大きな要因は何なのでしょうか。

市長

 3点が相互に関連していると考えております。1点は、歳出削減です。例えば、この3年間での職員数、組織体制の見直し、働き方改革等による人件費の削減効果は90億円です。

行財政改革計画の集中改革期間である令和3年度から5年度にかけて、一般財源(歳出)は高齢化等による社会福祉関連経費46億円の増加や、光熱水費高騰による20億円の増加を吸収したうえで、64億円の減少、一般財源収入は172億円の増加、これらによって236億円の収支改善となり、実質130億円の歳出削減が実現しています。引き続き、歳出削減にしっかりと基準を設けて、基準以上の歳出削減に取り組んでいく必要があると思っています。

もう1点は、堅調な市税収入でございます。当初、リーマンショック時の経験も踏まえ行財政改革計画を立てましたが、コロナ前からの国等との連携による成長戦略、担税力の向上、国の経済対策と合わせた地域企業の支援、そうした取組の下、市民税、法人市民税は堅調に推移しました。さらには、新築着工等も順調であり、固定資産税等も順調です。これらにより、市税収入を令和元年度水準に戻し、さらに100億円を積むという目標を前倒しで実現しました。

 3点目は、地方交付税等の必要額の確保です。長年、税収が伸びたら、地方交付税が大幅に削減されるという構図がありました。これは、京都市をはじめとする政令市では特に厳しい措置でしたが、国に対する徹底した要望活動を積極果敢に行っており、(地方交付税等の必要額の確保は)その成果でもあると認識しています。

 そうした三つの要素が重なり、計画を大きく上回る財政の改善につながり、22年ぶりに行政改革推進債を発行しなくても収支均衡となる予算を編成できたということです。


記者

 収入面での不安定な要素も依然残っています。来年度以降もこの収支均衡を続けていける見通しはあるのでしょうか。

市長

 この収支均衡は続けていけると考えていますし、続けていかなければなりません。そのために、引き続きしっかりとした行財政改革、そして、成長戦略の推進に力を入れてまいります。

予算案の提案と併せて、「京都市 持続可能な財政の運営推進に関する条例」を提案します。市長が持続可能な行財政を推進する計画を立て、その計画に基づいて予算編成することを義務づけ、また、計画の目標として特別の財源対策を行わないことを明記し、それに向けて努力していくことを市民の皆さんに約束する、その仕組みを作ります。この条例の下、市民の皆さんと京都市が財政状況についてしっかりと情報共有し、市民参加、協働により行財政改革を引き続き進めてまいります。そして、引き続き収支均衡を達成し、505億円の過去の負債もしっかりと返済していくということです。

 なお、行政改革推進債について、本市ではあえて「赤字」と表現していますが、全国47都道府県のうち半数以上が今も発行されているものです。来年度予算どうなっているかは分かりませんが、これを赤字と定義づけているのは、全国で京都市だけではないかという話もあります。京都市では、それだけはっきりと持続可能な行財政にしていく決意があるということです。

 

記者

 改めて伺いますが、「京都市は今後も財政破綻しない」ということでよろしいでしょうか。

市長

 今後も財政破綻をすることはございません。そのために、しっかりと改革と成長戦略を推進してまいります。

 

記者

 保育料の値上げを見送るというお話でしたが、これは令和6年度以降も見送るということですか。 

市長

 はい。保育料の値上げ改定は当面見送ります。また、それだけでなく、保育・子育て環境、教育環境充実のために、新たな取組も進めてまいります。法律でも、行政でも、何年度までと明記しないものは、「当分の間」や「当面」といった表現をします。そのため、「当面」という表現を用いていますが、中期にわたって保育料を改定はしない、と受け止めていただいて結構です。

 

記者

 行財政改革計画では、保育料の値上げ以外にも市民サービスの負担増となるものがありました。今回、値上げの改定を見送る対象として「保育料」を選ばれたのはなぜでしょうか。

市長

 保育料の見直しについては、行財政改革計画の中でも、子育て環境等を考慮し適切に判断することが記載されています。そうしたことを踏まえての判断です。


記者

 令和5年度予算をもって、京都市は財政難ではなくなった、という理解でよいのでしょうか。収支均衡によって、「改革が必要」という、これまでの前提が変わり、「財政難ではなくなった」ということになるのでしょうか。

市長

一般的に、国でも地方でも、様々な社会課題がある中で、限られた財源の中で対応をしていますので、どこも財政難であるという見方もあります。そのような中でも、京都市では、「徹底した改革により財政難を克服する道筋を明確にした」と御理解いただきたいと思っています。

 なお、財政難というのは法律用語でございません。あれをやってほしい、これをやってほしいという市民の皆さんからの要望はいくらでもあります。「京都市はもう財政難ではありません」と言うならば、そうした要望も応えて行かなければなりませんが、実際には、何でも対応できるという状況にはありません。私どもは、あらゆる政策を持続可能なものにするという観点からしっかりと見直し、今、何が必要か、必要な人に必要な施策を実施していく、こういう取組を進めてきたところです。

 

記者

 今回、市税収入は過去最高を見込んでおられるという話もありました。また、歳出事業においても、当初計画にあった保育料の改定を見送られています。市長としては、改革をやり切ったという御認識でしょうか。

市長

 改革は、常に行っていかなければならないと思っています。超高齢化社会によって、引き続き、社会福祉関係費用等は増え続けます。様々な安心・安全の対策も必要になってきます。したがって、「これで安心だ」と決めつけると危ないと思っています。常に緊張感を持って、財政を健全化していく取組を進めてまいります。そもそも、財政が豊かであるという自治体はほとんどありません。財政の破綻という危機は回避しましたが、財政が厳しいのは、引き続きのことです。

京都市は、皆さんの御理解、御支援の下に、皆さんのおかげで、財政危機の克服へあらゆる努力を重ね、財政難を克服する道筋をつけることができました。引き続き、緊張感を持って頑張ってまいります。

 

記者

 これまでの改革が遅れたことによる影響はないのでしょうか。例えば、子ども医療費の助成に係る対象年齢の引上げ、負担上限額の軽減については、もっと早期に改革ができており、収支均衡を実現できていれば、もっと早くに実現できていたのではないでしょうか。

市長

 改革が遅れたことは、必ずしも無駄ではなく、その分サービスを御利用いただけた方々がおられます。そうしたことも踏まえると、例えば、敬老乗車証など、予算をもっと早くから減額しておけばよかったと、一概に言うことはできません。

地方交付税が減っている中でも、全国トップ水準の福祉や子育て支援、教育、安心・安全の取組を続けてきました。これによる収支の不均衡を何とかしていくための行財政改革計画の取組です。様々な制度等を持続可能なものにするために、少し値上げさせてください、ということをお願いしてきました。その成果としては、例えば、新たに「敬老バス回数券」を設ける、あるいは、洛西ニュータウン等における民営バス敬老乗車証の適用地域拡大といったものがあります。

 したがって、改革が遅れたから、何か損失を与えたということではなく、財政は厳しかったけれども、施策は高い水準で実施してきたということです。

 しかし、この高い水準の福祉をいつまでも続けられません。将来世代へ負担を先送りしない。一つ一つの施策を丁寧に点検して、持続可能なものにしていく必要があります。

例えば、敬老乗車証制度は、政令市のうち7都市が廃止又はそうした制度を持たない中、京都市では、今回の改革で、この制度を当面続けることにしました。

 なお、子ども医療費の助成については、議会でも度々「持続可能なものにしなさい」と言われており、4年前に月額上限3,000円から上限1,500円に改善しました。そして、今回、私どもは京都府と協調して、令和5年度から全国トップ水準の「1医療機関あたり月額200円」としていくこととしました。子ども医療費の充実は、私も西脇知事も公約で掲げていたものです。所得制限無しでこうした助成を実施するのは、政令指定都市においてトップ水準のことです。御理解賜りたいと思います。


記者

 新たに提案される条例に盛り込まれる予定の公債償還基金の積戻しについては、令和5年度中に計画を策定される御予定でしょうか。

市長

 全国の700数十の自治体の中でそうした条例を制定しているのは25市だけで、そのうち、政令市は、横浜市と名古屋市だけです。本市の新たな条例(「持続可能な財政の運営推進に関する条例」)については、市長に対して、計画の策定から計画に基づく予算編成まで義務づけ、これは京都ならではのものです。

行財政改革計画における、令和3年~5年の集中改革期間、さらに5年間の改革期間は進行中です。この段階で、中期の財政収支の見通しをどう立てていくか、次期行財政改革計画をどういうものにしていくかは、経済状況等も見極めながら、適切な時期に判断してまいります。今は少しお待ちいただきたいと考えております。

 

記者

 適切な時というのはどういう条件が整った時だとお考えでしょうか。この1年半で想定が変わってしまった計画を今後も続けるというのは、より一層現実と乖離する部分もあるのではないかと思うのですが。

市長

 そうではないと思います。計画に掲げている必達目標については最低限やらなくてはならないことで、その目標を上回ることは問題ないということです。

 例えば、本市では令和7年度で1,000億円以上確保すると、こういう必達目標を作り、それ以上を目指す改革をやってきました。その結果、目標を上回り大きく改善していますが、目標を上回ったからといって計画が間違っているということではないわけです。

先ほども申し上げましたように、景気の動向というのは不透明感がございます。また、国がどのような経済対策を取られるのかということについても極めて不透明感がございます。地方自治体の財政というのは、具体的に数字に落としていく時に、国の計画等が大きく影響します。そうしたことも見極めながら、いつの時点で計画をつくるかということについては、今、明言するのは控えさせていただきたい。


記者

 今回、特別な財源対策に頼らずに収支均衡ができたということですが、これはある意味当たり前なわけです。市長としては、これはスタートラインに立ったという御認識でよろしいでしょうか。

市長

 もちろん、スタートラインに立ったということですが、かなりハードルの高いスタートラインだと思っています。

 例えば、行政改革推進債は、都道府県レベルでは半数を超える自治体が発行しておられて、それについては批判の対象にもなっておりません。しかし、京都市は行政改革推進債についても特別の財源対策と位置づけ、これをなくしていこうという目標を立てました。そして、今回その目標を大きく前倒しで達成できました。これは、非常に水準の高いスタートラインに立ったと考えております。

 

記者

 2月市会に提案される条例の中では、特別な財源対策に頼らずに収支を均衡させて、なおかつ今ある債務を返済していくということを義務付け、それを前提にした予算を組むということを明記するという理解でよろしいでしょうか。

市長

 まず財政の情報を市民の皆さんと行政が共有する。そして、持続可能な財政を市民参加、市民協働で行っていくということを条例には掲げます。これは市民参加推進条例の趣旨ですが、行政だけがやるということではなく、市民と行政が参加と協働でやっていくことが一番大事です。

 その次に、行財政改革計画を市長が制定することを義務づけ、制定の時には市民や有識者の意見も聞くということも義務づけます。そのようにして、条例を根拠にしてできた計画に基づいて予算編成することを市長に義務づけるという条例です。

 ただ、条例は50年、100年にわたり続いていくものです。その時に、どんなパンデミックや大震災が起こるか分かりません。命を守るために緊急に予算措置を講じることも想定しなければならない。その時に、条例があるから命を守る取組ができませんということにはなってはならない。

行財政改革計画をつくること、計画は市民参加で、参加と協働で行財政改革を進めていくこと、そして、条例を根拠とする計画に基づく予算編成を義務づけること。こういうことによって臨機応変な対応ができるようになる。そして市民の皆さんへの説明責任をより強化する条例です。

 

記者

 もちろん、今後様々な災害等の発生など、状況がどう変化するか見通せないところがあると思いますが、現段階で市長としては、令和5年度予算で達成した収支均衡と、特別な財源対策を行わず、さらにこれまでに蓄積した債務を返済していくという方針は、今後も続けていくということでしょうか。

市長

 もちろん、それを将来にわたって市長に義務づけていくための条例であると考えています。従って、まずは毎年の予算を収支均衡させるということ、しっかりと市民にそれを説明して、市民参加の下に、より効果的な行財政運営に努めるということ、そして、説明責任をしっかりと果たしていくこと。そして、その計画の中には、収支均衡から過去の負の遺産を早期に解消していくことなどの姿勢をしっかりと表明しての提案になっていくと考えております。


記者

 令和3年の8月に行財政改革計画を策定して、わずか1年半でこのような好転が見られましたが、市民の間には財政危機とか財政難という京都市のイメージが結構定着してしまっているようです。この計画がむやみに市民の不安をあおったのではないかという疑問もありますが、市長はどのようにお考えですか。

市長

 計画策定時の審議会には財政の専門家も市民の代表も参画していただき、議論の全ての経過を公開の下に行っています。パブリックコメントも実施しました。開かれた場での意見交換の中でつくられたものです。

 ただ1点、コロナ禍という経験したことのない下での計画策定でした。国も、令和3年度は5.4%の税収減を見込んでいました。京都市は、国の見込みを過剰とまでは言いませんが、国が言うほど税収は落ち込まないだろうということで、4.7%で見込んでいました。このような慎重な議論、専門家の意見、市民の意見の下につくった行財政改革計画ですので、極めて妥当なものであると思っています。

 その上でですが、1点は90億円の人件費削減の効果による歳出削減。あるいは、行財政改革計画をはじめあらゆる政策を行いました。令和3年は計画を作り、令和4年で少し効果が出ました。経過措置等により令和5年度、物によっては令和6年度、7年度とこれからまだ効果が上げてくるものもあります。そうしたことで、今回の収支均衡の予算は大きな改善ですが、一つ一つ御説明させていただければ、理にかなったものであるということが御理解いただけると思いますので、説明責任を尽くしてまいりたい。一つは、歳出削減に多くの方々の御協力をいただき、収支均衡が実現した。もう一つは、税収がこの厳しい状況の中で大きく伸びている。そして、三つ目は、国の交付金等の確保が前進した。例えば地下鉄について、答申では10%値上げが必要とされましたが、これを何とか7%に縮めようと思って取り組んできました。私もなかなかこれは厳しいだろうと思っていましたが、国の大胆な制度の改革で値上げを回避できました。このような色々な要素が重なってのことです。御理解を賜りたいと思います。

 

記者

 計画を策定した時には、まさか1年半でこういう状態になるということは想像していなかったということでしょうか。

市長

 計画策定の前、3年前の12月28日に行財政改革の基本的な方針について記者会見で発表しました。強い決意とともに、本当に厳しさのにじんだ、何が何でもやり切らなければならない、私しかできないというくらいの決意で臨みました。そして、それ以降様々な取組を一つ一つ丁寧に実行していきました。これは市民の皆さんの御理解にも感謝申し上げますし、3副市長を先頭にそれぞれの第一線の職員が懸命な努力をしたおかげでもあります。歳出削減、税収の増、さらに国の交付金の確保、ここまで三つがそろって前進させた結果は想定以上でした。あらゆる御理解、御支援いただいた方々に感謝申し上げたいと思いますし、ここで気を緩めることなく、改革を進めてまいりたいと決意を新たにしています。


記者

 行財政改革計画の策定から1年半で、財政難と思っていたところから目標達成ということについて、まだちょっと受け止め切れない方もおられると思いますが、現状と今後についてどのようなメッセージを市民に送られますか。

市長

 危機感の下に行財政改革計画を市民参加の下に作成しました。そして、最悪の事態に備えながら最善を尽くすという取組を進めてまいりました。

 一つは歳出削減。この間の人件費削減は90億円の財政効果を上げました。さらに、国の水準を大きく超える京都市ならではのあらゆる施策について、一つ一つ丁寧に、廃止するのではなく持続可能でより効果的、効率的なものにするという視点で見直しました。そうした結果、この物価高騰、あるいは高齢者の福祉予算の大幅な増加を見込みつつも、なお歳出削減が計画以上に実現しました。

 2点目は、この厳しい状況の中で、市民の皆さん、事業者さんの懸命な努力の下に、個人市民税、法人市民税、また住宅の新築等が進んでいることも含めて、固定資産税も増加になりました。

 もう一つは、税収が伸びた時には、地方交付税が大幅に削減されるというのが今まででしたけども、これも国に対して徹底的な要請活動を行い、また自民党、公明党、与党議員の先生方の御尽力もあり、必要額を確保することができました。

 そんな中で、あらゆることが前進し、そして収支均衡の予算を22年ぶりに編成できた。これを大きなスタートとして、これからも気を緩めることなく、魅力あふれる京都を次の世代に引き継ぐ。そして、若い世代、将来世代に決して負担の先送りをしない、その理念の下に、行財政改革と、そして成長戦略を推進してまいります。御理解をよろしくお願いいたします。


記者

 行財政改革計画の目標を達成したところからスタートしていって、まずは収支均衡を保ち、そこから少しでも過去の負債をなくしていくということでしょうか。

市長

 はい。まず、減少させたとはいえ、505億円の計画外の取崩しがございます。それを解消していかなければならない。そして、今後、超高齢化社会の下で、高齢者の福祉予算等が増えていきます。これにしっかりと対応しなければならない。

 そして、より安心・安全なまちづくり、そしてさらに、行財政改革の成果を子育て環境、教育にしっかりと生かしていきたい。子育て環境日本一の取組をより推進していきたい。そのためには、引き続き行財政改革と成長戦略に取り組まなければなりません。例えば景観政策の骨格をしっかりと守りながら都市計画を見直し、若い人から望まれる居住空間を提供することや、オフィス空間・産業用地の創出により、国内外から企業が京都に集まり、また京都の企業が京都で発展できる環境づくりなど、成長戦略の取組に邁進してまいります。


記者

令和5年度予算の中にコロナ禍を見据えた世界の活力の取り込みということで、特に観光課題が生じていたコロナ前の状況に戻さないということで、混雑緩和や情報発信を挙げていますが、主なところでいいですので、京都市で実施する取り組みと、その目的、意気込みを教えてください。

さらに新たな観光を目指していくということでしょうか。 

市長

 観光先進都市から観光課題解決先進都市へ、京都観光の質を、SDGsの達成にも貢献するよう高めていこうということを、この3年間、観光事業者や有識者、市民代表で議論を重ねてまいりました。

 一つは観光モラルをしっかりと高めていく。そしてもう一つは、市民の皆さんの安心・安全を最優先に、地域の豊かさにつながる観光を推進していく。観光とコミュニティ、そして文化をしっかりとマネジメントするということです。

観光には地域固有の文化を再認識させ、そしてそれを持続可能なものにしていく力があります。例えば、和食、町家、そして着物、伝統産業、伝統文化について、観光に来られた方により愛されるというものです。そうしたことをしっかりマネジメントして、市民の皆さんの、また厳しい状況にある伝統産業の持続的な発展につなげていくということです。

 もう一つは混雑等の見える化です。ビッグデータ、ICTをフル活用し、例えば、観光快適度を将来にわたって5段階で、多言語で表示していく。あるいは、バス等につきまして、ライブカメラで見える化し、ここは混雑してます、こちらが空いてますという案内をしていくなど、できることを全てやっていきたいと考えています。

 同時に、世界の潮流を取り込むということは、文化と経済の好循環です。ポストコロナ時代、これからは文化芸術だと言われています。モノからコトというのは言われて久しい。さらに、最近、京都市立芸術大学の卒業生が幅広い企業に就職しています。エンジニアや経営感覚のある者がいる企業にデザイナーがいない。ポストコロナは文化芸術があらゆる場所で多様性を認め合い、包摂性のある社会を作っていく原動力になる。物を買うときに、値段とか、あるいは機能とかいうことにプラスして、楽しさ、デザイン、遊び心が求められる時代になってきています。そういう時に、京都が果たす役割というのはさらに大きなものがあると考えています。

観光課題があった時期に戻さず、さらなる発展を目指していきたいと思っています。


記者

 市バスのバス一日券の廃止なども混雑対策の一つに入ってくるのでしょうか。

市長

 そうですね。バス一日券は、700円で販売してきまして、ドル箱路線のみ民間バスが利用されるということを止めてきた大きな役割があります。4分の1の系統が黒字、観光も含めたドル箱路線であり、それで残りの4分の3の赤字路線を維持しているというのが市バスの現状であり、(民間含めた)市内バス交通の84%を担っています。

 したがいまして、確かに混んでいるところがありますが、黒字路線で周辺部のバス交通も維持しているということであり、これをきっちりと説明すると同時に、臨機応変の増車等にも努めていきます。

 同時に、700円でどこでも行けるとなりますと、地下鉄を使わずにバスばかり使われて、市バスの値段が高いように思われていますが、実質は全国の政令指定都市の平均より低いです。

 したがいまして、1,100円の地下鉄・バス一日券を使っていただきますと、利用者本人にとっても効果的に京都市内を動いていただけますし、また特定のバス路線の混雑も回避できます。バス一日券は9割の方が観光等、京都市域以外の方が使っておられます。御理解いただきたいと思っています。


記者

 これまでの行財政改革の中で、例えば京都市動物園や二条城の値上げ、市民サービスの値上げがありましたが、収支均衡を達成、今後、収支均衡を続けていく中で、これを元に戻すお考えはありますか。

市長

 施設の料金改定の時に理念を明確にしました。例えば、スポーツ施設については、利用者が半分持っていただきましょう。あとの半分は税金で持ちましょう等、その施設の性格からどういう負担割合にするかということです。二条城、あの国宝、重要文化財、また庭園等を維持していくのに相当のお金がかかります。それをやはり観光に来られた方にその多くを負担していただこうということです。ちなみに、二条城にお越しになる方のうち、京都市民は2%を満たしません。そして、市民の方には年間パス2,600円で、いつでも何度も来ていただけるという取組もしておりますので、これを値下げするという考え方には立っておりません。


記者

 都市計画の見直しについて、今春にということでしたが、具体的にいつから見直すお考えでしょうか。4月中でしょうか。

市長

 3月の末の都市計画審議会に付議したいと考えております。そして、御同意いただけましたら、できるだけ早く実行してまいりたいと考えております。(4月中と)理解していただいたら結構ですが、付議して御同意いただけたらということになります。


記者

 マンションやオフィスを誘致していくことになりますが、いつぐらいからその効果を見込んでいますか。

市長

 もちろん成長戦略というのは時間がかかるものもあります。同時に、広報をしっかりとしておりますので、事業者等が下見しておられるという動きもあります。できるだけ加速させていきたいと考えております。


記者

 何年後と一概には言えないという感じでしょうか。

市長

 早いものはすぐできるでしょうし、時間のかかるものもあるかと思います。これは京都市がやることではなく、民間事業者が行われることです。(企業立地に関しては)私どもは令和7年までに新たな企業立地、年間50件を目指すということを明らかにしています。


記者

 工業地帯でも意外と細切れの土地が多く、再編が必要といった話があると思いますが、どうやって解消していくのでしょうか。

市長

 規制緩和で容積率が高まります。土地の価値というのは容積率(の影響)が大きいです。これに、補助制度でインセンティブもつけていくと、細切れの土地が集約化されていくと考えております。これを促進するための制度でありますので、しっかりとその制度の趣旨を東京等に行ってプレゼンしてまいりたいと考えております。


一般質問

記者

 昨日、舞鶴市長選で維新推薦の新人候補が自公推薦の現職候補を破るということがありました。4月には統一地方選があります。京都で初めて維新の推薦候補が首長選に通ったということですが、この維新の勢いについてどう思われますか。

市長

 舞鶴の市民の御判断(の結果)だと思います。


記者

 維新の勢力がかなり伸ばしていくと、統一地方選で、市長にとっても(市会では)野党ですが、どう思われますか。

市長

 そのことについて私からコメントすることはございません。

 

記者

 先ほど話が出た市バスのバス一日券廃止という方針について、改めてその狙いと受け止めをお聞かせください。

市長

 バス一日券は、歩くまち京都、公共交通優先の取組として、そして、マイカーで京都に来るのではなく、市バス・地下鉄が便利ですから、それを使ってお越しください、というメッセージでもありました。30年ぐらい前ですが、京都に観光で来られる方の乗り物は41.7%がマイカーでした。これがおかげさまでコロナ以前、13%まで減りました。こういう効果もありました。

 ただ、先ほどから御説明していますとおり、バス一日券が極端に安いということです。インバウンドの方などは、バスで全てを回ろうとされる方もおられます。極端な方は京都駅から金閣寺、また京都駅に帰ってきて、その次に清水寺と、こういう方もあるように聞いています。それがバスの混雑を必要以上に悪化させています。

 そういうことで、例えばですが、金閣寺に行かれるのに、京都駅から地下鉄烏丸線に乗っていただいて北大路駅まで行かれて、そこからバスに乗られたら、本人も(移動が)早くなるし、バスも混みません。(700円→1,100円の)400円の差でバス・地下鉄一日券が御利用いただけます。それを御利用ください、その方が利用者本人の時間的な効果も、道路交通も、そしてバスの混雑も防いでいけます、ということですので、御理解を賜りたいと思っています。

 加えて、市民の皆さんと、外から来られた方の料金は分けられないのですが、歩くまち京都、公共交通利用優先、マイカーで来ないでください、という取組が、逆に市域外の人を優遇しているという制度にもなっているということで、市民の皆さんから様々な御意見がありました。したがいまして、これはバス一日券を廃止するというよりも市バス・地下鉄一日券に変えていただくということですので御理解賜りたいと思っています。


記者

 2月3日に発生したJR線立ち往生に伴う帰宅困難事案の対応について、今後の方向性を発表されましたが、その中でJR西日本から十分な情報共有がなされずに、一時滞在施設の開設に時間を要したとありました。それに対する市長の受け止めと今後の方針をお聞かせください。

市長

 既に発表させていただいてるところではありますが、やはり公共交通機関と危機管理に責任を持つ自治体との情報共有というのは極めて重要であります。私どももJR西日本からの報告とともに、Twitter等でネット情報を集めて、どういう状況か危機管理の部署で把握しながら行動しましたが、極めて残念な部分もありました。

 したがいまして、これを教訓にして、大規模な交通事業者はこういう事態の時には、直ちに京都市防災危機管理室に報告して、そして必要な対応を求めていただくことを確認する協定を結んで、今回、命を守ることはできたわけですが、より安心・安全に、危機管理を飛躍的に向上させる取組に進化させていきたいと思っています。

なお、山科駅で、消防局が現場の判断で14回、お客さんを山科駅からピストンで運びました。活動支援車は1台で最大21人に乗れます。通常は資器材の搬送や集団災害などで多数の軽症者を運ぶものですが、現場の判断でよくやってくれたなと思います。あの雪の中、また滑るような中、陵ヶ岡の消防団の方にも手伝っていただいたと災害対策本部から聞いております。

 あらゆることを想定してノウハウを作っていくことも大事ですが、同時に、その都度その都度状況に応じて判断できるスタッフがいるということが極めて重要だとも感じました。

記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

https://youtu.be/YGNx_zF3n2Q外部サイトへリンクします

会見資料

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