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市長定例記者会見(2023年1月25日)

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2023年4月12日

市長定例記者会見(2023年1月25日) 

以下3つの案件について、京都市長が記者会見を実施しました。

○ 市バス・地下鉄の運賃改定の検討状況について

○ 敬老乗車証制度の利便性を高めるための見直し(案)について

○ 福祉乗車証の交付対象者の拡充について

 ※発表内容は、令和5年1月25日時点の情報です。

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会見要旨(摘録)

冒頭(大雪に係る対応等)

(門川市長)

 まずは、昨夜からの大雪により、京都市内でも大変な積雪があり、それによって鉄道網の大きな混乱等がございました。そんな中で、エッセンシャルワーカー等の方々が賢明な御努力をいただいていますことにも敬意を表したいと思います。市内の平地でも15センチメートルの積雪が確認されています。

 特に交通網が混乱しております。雪による切替器の故障や大雪による運休が多数出ております。また、JR京都線では、複数の列車が乗客を乗せたまま線路上で立ち往生し、数千人の方が駅に取り残される事態となりました。

 JRでも様々な対応をされていますが、京都市でも直ちに災害対策本部を立ち上げ、例えば、山科駅に近接する市の生涯学習施設「アスニー山科」や、市営地下鉄山科駅の連絡通路を開放して約500人の方に待機していただく、そして、防寒用の毛布や飲料水を提供するなど、夜を徹して取り組んでまいりました。

 交通渋滞なども発生しております。現在は大雪注意報に変わっておりますが、引き続き市民の皆さんの安心安全、また社会機能が回復するように、関係機関と連携して全力を尽くしてまいりたいと考えております。

市バス・地下鉄の運賃改定の検討状況について

(門川市長)

 まずは、市バス・地下鉄に関して、昨年末に引き続き、昨日、国において公営交通に対する財政支援措置が発表されたことを踏まえ、運賃改定の検討状況について、発表させていただきます。

 市バス・地下鉄は、市民の皆様の暮らしと多様な社会経済活動を支える重要な役割を担っており、市民の皆様の財産でございます。これをしっかりと守り抜くため、度重なる経営改善の取組を着実に進めてきました。

 この10年で、地下鉄・市バスともに、お客様が大幅に増加し、安定経営へ前進してきたところでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、危機的な経営状況に直面することとなりました。

 市バス・地下鉄ともに、お客様の人数は、現時点においても、80%強までしか回復しておらず、両事業とも、令和2年度から、3年連続の赤字となり、合計で200億円を超える赤字という極めて厳しい状況です。

 そこで、令和3年度には、京都市交通局市バス・地下鉄事業経営ビジョン検討委員会を立ち上げ、将来にわたり市バス・地下鉄を維持していくための方策を議論いただきました。両事業とも10%程度の運賃改定を見込むべきとの答申をいただきました。これを踏まえ、令和4年3月に策定した「京都市交通事業市バス・地下鉄事業経営ビジョン【改訂版】(2021-2028)」では、市バス8%・地下鉄7%まで改定率を圧縮したものの、なお運賃改定を見込まざるを得ないというビジョンでございました。

 ただ、運賃改定は最後の手段との認識の下、全庁一丸となって経費削減や増収増客、市民の皆さんの御理解のもとに取り組んでいく。さらに私が先頭に立って、自民党の京都選出の国会、市会議員、さらに公明党の国会の先生方のお力を得ながら、積極果敢に、強力に要望活動を展開してまいりました。そして内部的にも、あらゆる経営改革に取り組んでまいりました。

 その結果、今般、これまでにない国の支援措置が設けられることが実現しました。その成果を踏まえ、現時点の運賃改定の検討状況をお知らせいたします。

  まず、京都市の地下鉄の運賃改定についてでございます。新型コロナや燃料費高騰の影響により、全国の鉄道事業者が非常に厳しい経営状況にあり、本市地下鉄だけではなく多くの民間事業者がすでに運賃改定を実施又は表明しています。

  本市の地下鉄は、建設時に要した企業債返済の負担が重いことが課題であります。交通局における経営改善の取組や最近のお客様数の回復に加え、何よりも今般決定された国の財政支援措置の効果がとりわけ大きく、経営ビジョン【改訂版】の財政目標である累積資金不足の抑制が図れるため、更なる経営努力、お客様の増客、これを前提としてではありますが、京都市の地下鉄の運賃改定は回避することといたしました。京都市地下鉄の運賃改定は行いません。

  次に、市バスの運賃改定についてでございます。この10年、全国のバス路線が縮小される中、本市のバス事業は、観光客・インバウンド増加など、増客が大きく前進し、車両数・系統数を増やし、走行キロ数も令和元年度は平成24年度比で108%となりました。路線と走行距離を大幅に増やすという取組は、全国で唯一だと思っております。こうしたことを積極果敢に行ってまいりました。

 しかし、新型コロナや燃料費高騰の影響により、全国のバス事業者が非常に厳しい経営状況にあり、本市バスだけでなく、多くの民間事業者が運賃改定を既に実施又は表明しています。

 京都市内を800台のバスがきめ細かに走る市バスネットワークは、京都の貴重な財産であります。ただ、この市バスのネットワークは、新型コロナ前においても、3/4が赤字です。1/4の黒字で3/4のネットワークを支えるという構造になっております。

 今後も経営改善の努力はいたします。さらに、歩くまち京都、公共交通優先の取組、また観光客の増加など、プラス要素もございますが、地下鉄と抜本的に収支の構造が異なります。したがって、今回の国の支援措置についても効果が限定的であります。昨今の燃料費の高騰、さらに人件費が高騰していく状況のもと、市民の皆様の生活の足を守り、公営交通として市バスネットワークを将来にわたって維持するためには、運賃改定を見込まざるを得ない状況に変わりはありません。引き続き、あらゆる経営改善努力、増客の取組に全力を挙げてまいります。

 市バス・地下鉄は、お客様に御利用いただくことで成り立っています。 多くの皆様が、毎月1回でも2回でも、多く御利用いただきますよう、私どもも努力いたします。市民の皆様もどうぞよろしくお願いいたします。

 市バス・地下鉄は、市民や学生の生活を支えるとともに、京都市の発展、成長の基盤でございます。市民の皆様の御理解を得ながら、ネットワークを将来にわたって維持していけるよう、全力で取り組んでまいります。


敬老乗車証制度の利便性を高めるための見直し(案)について

(門川市長)

 次に、敬老乗車証制度の利便性向上についての新たな取組でございます。

 敬老乗車証制度は、おおよそ半世紀前に始まった制度です。現時点で、20の政令指定都市の中で、7市が制度を廃止又は制度をそもそも設けていない状況です。今後も超高齢化社会が進行する中で、本市ではこの事業を廃止することなく、維持していきたい。そのために、昨年10月から、負担金の改定等、持続可能性を高めるための見直しを実施してまいりました。

  この度、令和5年10月から、新たに敬老乗車証制度の利便性を高めていくために、負担金の改定等によって生み出した財源の一部を用いて、「敬老バス回数券の新設」及び「民営バス敬老乗車証の適用地域の拡大」を行う決断をいたしました。必要な予算を2月市会に提案します。

  まず、新たに「敬老バス回数券」を創設します。

 現在フリーパス証を利用しているが、負担金ほど利用していないという方もおられます。また、現在フリーパス証を利用していないという方もおられます。そうした方に利用していただけるように、市内のバス路線で利用できる回数券を、「敬老バス回数券」として創設します。

「敬老バス回数券」は、フリーパス証との選択制で、回数券綴り最大1万円分を、公費負担により半額で交付します。「敬老バス回数券」の交付方法や御利用方法等の概要は資料に記載しています。

 「事業費見込」は約9億円、公費負担は半額の約4.5億円でございます。9万人が利用いただけると想定しております。

 続いて、2ページ目を御覧ください。「敬老バス回数券」の対象バス及び券種についてです。

 大きく分けて2種類です。交通局が発行する既存の『京都市域バス共通回数券』と同じ仕組みの「共通券」と、「共通券」では利用できない特定のバスで利用できる「単独券」に分かれております。

 「共通券」については、『京都市域バス共通回数券』と同様、市バスのほか、計9社局のバスで利用していただけます。「単独券」については、近鉄バスのみ利用できる回数券と、醍醐コミュニティバスのみ利用できる回数券の2種類といたします。

 敬老バス回数券の新設により、現在フリーパス証を利用しているが、負担金ほど利用しないという方や、現在フリーパス証を利用していないという方の新たな利用につながると考えております。積極的に社会参加を支援してまいりたいと考えております。

  次に、「2 民営バス敬老乗車証の適用地域の拡大」についてです。

民営バス敬老乗車証については、「市バスは運行していないが、民営バスは運行している地域」に限定して交付してきました。しかし、これまでの民営バスへの適用拡大に係る地域要望等も考慮しつつ、敬老乗車証の利便性を向上させる観点から、適用地域を拡大いたします。

 適用地域の拡大に係る考え方等は資料に記載しておりますので、お読みいただきたいと思います。「事業費見込」は、約1億円でございます。

  3ページを御覧ください。具体的な「適用拡大地域と対象バス路線」についてでございます。

 表には、前ページに記載の拡大に係る考え方ごとに、今回新たに適用拡大する地域と対象バス路線を記載しております。上から順に、西京区松室地家町(まつむろじけちょう)他については、鈴虫寺界隈の地域ですが、新たに京都バスの最寄りバス停からJR京都駅までが適用対象となります。

 次に、洛西地域につきましては、洛西ニュータウン地域ほか、資料に記載の周辺の地域が対象です。対象となるバス路線は、町や地域ごとに異なりますが、京阪京都交通、阪急バス、ヤサカバスの最寄りバス停からJR京都駅等の交通拠点までが適用対象となります。これまで、一部の地域のみ適用対象としていましたが、今回の見直しにより、既に適用対象となっている地域も含め、洛西全域で、市バスに加えて何等かの民間バスをご利用いただけることとなります。

 最後に、右京区梅ケ畑地域については、新たに西日本JRバスの最寄りバス停からJR京都駅までが適用対象となります。

 適用地域の拡大により、新たに適用する地域における、敬老乗車証の利便性を向上し、より多くの方の利用につなげてまいります。

  続きまして、「制度周知等」についてでございます。

 見直しの内容について、交付対象となる方に知っていただけるよう、予算議案の議決後、チラシやホームページなどで広く周知をするほか、対象地域等に徹底した、様々な媒体を通じて丁寧に周知してまいります。

 なお、敬老バス回数券の利用に当たっては、新たにコールセンター機能を持つ事務センターを設置し、スムーズな申請手続を支援する取組も実施してまいります。「主なスケジュール」は資料に記載のとおりでございます。


福祉乗車証の交付対象者の拡充について

(門川市長)

 3点目です。福祉乗車証の交付対象者の拡充についてでございます。

 児童養護施設をはじめとした、児童福祉施設の入所児童等の行動圏を拡大し、積極的な社会参加を促進する。そのような目的のもと、昭和50年度から、長きにわたり福祉乗車証交付事業を実施しております。

 交付の対象については、旅客事業者に対する国の通達を踏まえ、乳児院や児童養護施設、障害児入所施設等、児童福祉施設の入所及び利用児童等を交付対象としておりました。

  この度、「SDGs」の「誰ひとり取り残さない」という理念のもと、子育て支援をより一層充実させるため、本市で財源を確保し、令和5年度から、里親や小規模住居型児童養育事業への委託児童を、新たに交付対象とすることとしてまいります。必要な予算及び関係条例の改正について2月市会に提案いたします。

 資料の「里親等委託児童への交付対象者の拡充について」を御覧いただきたいと思います。

 今回の交付対象の拡充に伴う影響人数としては、里親等のもとで生活する児童、約75人を見込んでおります。これから、里親制度の充実をはかってまいりたいと考えています。施設の入所から、里親、家庭的養育が大事になってきますので、そうしたことを含めて改善していきたいと考えております。

 児童養護施設等の入所者、或いは、里親等へ委託される方、どちらに対してもしっかりと、安心安全に移動していただけるように、日常生活を支援するために改善してまいりたいと思っています。


質疑応答(摘録)

発表案件に関するもの

記者

 京都市の地下鉄事業について、経営健全化団体となっていますが、今の状況を踏まえた中、今後の見通しを教えてください。

市長

 地下鉄経営の最大の課題は、建設当時の巨額の企業債です。特に東西線は、建設がバブル期と重なったこともあり、この企業債の返済が非常に重くなっております。地下鉄は、一度掘れば、その土地やトンネル等は半永久的に使用すると言っても過言ではないですが、国の制度では減価償却の耐用年数は60年です。その償却の最中だから大変だということです。

 京都市は全部で8,500億円、地下鉄に投資しています。私が市長に就任した時に、まだ企業債等残高が約4,900億円でした。現在約3,400億円まで減らしていますが、この3,400億円の返済の負担により増加する累積資金不足のピークが令和25年頃です。これを超えれば財政状況は安定していきます。

 今回コロナ禍もあり、債務返済のための起債を国に認めていただきました。中にはそれを一般会計で利息を補充するとか、国の地方交付税で措置するなどの内容もあります。京都市が全国で一番厳しい状況の中で、自民党、公明党の国会議員、市会議員の先生方に積極果敢に活躍していただき、副市長等をはじめ、私自身も何度も東京に行き、国に対して要請活動を行いました。結果、国には京都市の地下鉄のための新たな制度と言っても過言ではない措置を取っていただけましたので、これから電気料金の値上げなど様々な困難な課題はありますが、市民の大切な足ですので、何とか頑張って値上げを回避する決断をしました。

 同時に市民の皆さんに、より一層利用の促進をお願いしたい。私どもも経営改善に、なお一層の努力をしていきたいと思っています。乗客数が回復してきているということもありますが、国の措置に感謝して、メリハリをつけて対応していきたいと考えています。

 市バスについての課題は、設備投資ではなく、毎年の経営赤字です。燃料費、人件費、車両の買い替えなどによる経常赤字です。赤字路線を縮小すれば、運賃値上げは回避できますが、審議会の議論において、市バスのネットワークを大事にすべきだと御意見をいただきました。私もそのとおりだと思います。

 したがって、値上げを回避できるという状況にはありませんが、経営改善をどのようにしていくかということを引き続き検討してまいりたいと考えています。


記者

 地下鉄の経営健全化団体からの脱却の見通しは、「市バス・地下鉄事業経営ビジョン【改訂版】」通りにされるということでしょうか。

市長

 まだ精査が必要ですが、これからの乗客数の増加傾向も見ながら、何とか令和4年度決算での脱却を目指していきたいと考えています。


記者

 市バスの話もありましたが、市バスは今8%程度の値上げ方針を示されていますが、その8%自体を今検討されているところなのか、それとも実際に8%とされるのか、いかがでしょうか。

市長

 京都市会でも値上げは最後の手段であるという御意見もありましたし、私どももそのとおりだと思っています。

 同時に、経営をいかに合理化して経営改善していくかということと、増客がどうなっていくのかという要素があります。そんな中で、8%の改定ありきということではなく、あらゆる努力を続けていくということです。地下鉄のように値上げを回避した場合、市バスのネットワークが維持できない、或いは経営健全化団体に転落しかねないので、値上げ改定自体は避けられない状況は変わりません。詳細の検討はこれからです。


記者

 地下鉄の値上げが回避されるということで、かなり思い切った決断だと思いますが、例えば値上げ幅は7%から少し圧縮するなどというような議論はなかったのでしょうか。

市長

 もちろんありました。しかし、国の財政支援措置の効果が非常に大きいということで、回避できるだろうと判断いたしました。なお、全庁挙げての要請活動について御支援いただいた与党・自民党、公明党の国会議員、市会議員の方々に心から感謝し、国の英断にも感謝したいと思っています。


記者

 値上げをする場合の時期としては、令和6年度を予定していたということでしょうか。

市長

 国に対して多くの手続きを踏む必要があることも含め、そこまで明確にはしていません。地方公営企業の場合、市会で御議論いただいた後、国の認可も必要となるため、仮に実施するとしても、一定の時間がかかります。


記者

 今回、地下鉄は値上げを見送りますが、これまでいつするかも分からなかった値上げを見送ると言われても、どれほどインパクトがあるのか分からない方や、値上げという話が再度上がるのではないかと不安に思う方もおられるのではないでしょうか。

市長

 あらゆる状況に対応し、判断しております。例えば、経営健全化団体に指定されて、10年間の経営健全化計画を策定した際には、計画期間の後半で5%の値上げを見込んでいました。これについては、既に国に承認が得られていたのですが、これを回避して今日まで来ています。なぜ回避できたかというと、一つは、地下鉄の職員が総力を挙げてスペースを確保し、そして、駅ナカビジネスを積極果敢に取り組もうということで、それまで年間5,000万円だった駅ナカビジネスによる収入を、年間10億円確保できました。1日4,600万円の赤字と言われた経営が、増客、駅ナカビジネスによって、さらに一般会計から約900億余りの支援をし、地下鉄の値上げを回避しているわけです。こういう実績があるので信頼いただきたいと思います。


記者

 いつも京都市は値上げが必要だと言いながら撤回をされますが、それは努力の結果かもしれませんが、値上げという言葉を口にせず、先に努力するのが本来の姿ではないでしょうか。値上げが必要かもしれません、と言いながら実際にしないのであれば、市民としては不安に感じる部分もあると思います。そうした表明をされながら撤回することで、市民からの信頼に傷がつくのではないでしょうか。

市長

 市民の皆さんに御理解いただけるよう、詳細に説明してまいります。

 先ほどお答えしたことですが、鉄道は国の規制によって駅ナカビジネスが限定されていました。そこで規制緩和の要望をして、今までは、駅ナカビジネスができなかった道路の下でも駅ナカビジネスができるようになりました。そういうことも含めて前進です。

 私が市長に就任してから何度も国に要望してきましたが、それでもできなかったことを今回、認めていただいた。これは画期的なことです。そのことを議会にもしっかりと説明して取り組んでいきます。

 現にこの間、多くの民間鉄道事業者が値上げされています。それほど鉄道事業、バス事業も含めて困難な状況です。その中で従前の取組の延長ではなく、挑戦と改革をするということを申しまして、答申では10%の値上げだったところを、あらゆる英知を集めて、経営ビジョン【改訂版】では7%ないし8%に圧縮しました。経営ビジョン【改訂版】では、国の制度の抜本的改革を要望していくことも明らかにしています。その中で、地下鉄については、京都市の地下鉄の事情を国に十分飲み込んでいただいた改革ができたと考えております。これが京都市のみの判断でできるものであれば京都市の判断でします、と言います。しかし、国の判断を待たなければできないものについて、「国の判断を待ってから考えます」と言うのは無責任だと思います。しっかりとあらゆる情報を踏まえて、いかにして地下鉄、市バスを守っていくかということに徹して取り組んでまいりました。


記者

 昨年度発表された経営ビジョン【改訂版】では、かなりのページ数を割いて、「なぜ値上げが必要か」について説明されていましたが、今回の発表については、将来の見込みや資金繰りに関するデータが入っていません。このような段階で、本当に地下鉄の値上げを見送ってもよいのでしょうか。将来に負担を先送りするようなことにはならないのでしょうか。

市長

 昨日、国において公営交通に対する財政支援措置が発表されたばかりですので、改めて御説明させていただきます。

 なお、地下鉄の建設費等により抱える負債についてですが、地下鉄のような、今後長く使っていく設備等を、建てるときの市民だけが負担するのは公平性に欠けます。こうした考え方から、現役世代に負担が集中しないよう、60年での減価償却を前提にするのではなく、75年といった長期間で返済するなど、実態に見合った期間に延長してほしいと国に対して強く要望してきました。一方で、民営鉄道からすると、減価償却期間を延長することで、毎年の利益が出ると税金が掛かってしまうという事情もあります。したがって、民営鉄道と公営鉄道の取扱いを分けてもらえないか、公営鉄道を対象とする制度が作れないか、こうしたことを国や議会等、様々な方面に対して要望してきました。国家予算要望の中でも全て明記しております。今回の国の発表は、これまで要望が認められた成果でもあると認識しています。


記者

 市バスの運賃改定(値上げ)について、2月議会に条例案を出されるお考えはありますか。

市長

 ございません。


記者

 国の財政支援措置で地下鉄の値上げは回避できるというお話でしたが、国の特別減収対策企業債の活用は将来へ負担を先送りするということにならないのでしょうか。

 また、根本的な収支構造を改善するのであれば、例えば、一定時間内の乗換えを無料にするとか、「観光客」と「市民、通勤通学の利用者等」の運賃体系を分けるとか、そうした利用促進策が必要だと思いますが、市長の考えはいかがでしょうか。

市長

 地下鉄というのは、少なくとも100年や、それ以上かけて使い続けていくもの(企業債の返済が終われば収支が改善していくもの)ですので、将来に借金を先送りすることにはなりません。一方で、そうした前提がありながら、これを60年で返済しなければならないというのは、制度としておかしいと考えておりました。したがって、それを実態に合った期間、せめて75年に延ばしてくださいと、ずっと要望してきました。これは全国の自治体が共通して要望してきたことです。これまで国は、民間も含め、それは「できない」との話でした。しかし、今回、特例の起債を認めるという判断に踏み込んでくれたということです。

 もう1点、バス・バス乗継ぎについては、いずれ無料にすることが理想的でありますが、まずは、この4月に150円減額する制度を導入したいと思っております。また、観光客の方からは運賃を高く取れば、という案ですが、これは法律上できないことになっています。そこで、検討しているのは「ポイント制度」です。多く使う方については割引を適用するもので、議会にも報告しています。何よりも、お客様、とりわけ市民の皆様に愛され、生活利便性の向上に資する地下鉄と市バスにしていきたいと考えております。

 なお、同じ発想ですが、バス1日券の価格は、現在700円(大人)ですが、かつては500円(大人)に設定しておりました。これは、当時、規制緩和により民間バス運営事業者の参入が想定される中で、観光客の方をはじめとする市バス利用の獲得に繋げるための価格設定でしたが、一方で、これは安すぎる価格設定でありました。バス1日券の利用者のうち90%が観光客の方ということで、令和3年10月には、700円(大人)に価格を改定しました。こういった取組も並行して進めています。


記者

 「公共交通として、市民の足を守る」ということで、これまで値上げの方針を示されていましたが、今回の発表(地下鉄の運賃改定は回避)によって、地下鉄に関してはその道筋が立った、という御認識でしょうか。

市長

 はい。国の財政支援措置によって、大きな山を越えられたと考えております。引き続き、増客の取組、あらゆる経営改善、経営努力、利便性の向上にしっかりと取り組み、皆様に愛される地下鉄に向けて邁進してまいります。


記者

 今回の国の財政支援措置は想定外のことだったのでしょうか。

市長

 コロナ禍を踏まえての特別減収対策企業債の延長は、大きな期待をしていました。これは他都市においても考えは同じであったかと思います。

 しかし、その他の措置(特例債及び緩和債)につきましては、国の反応が非常に厳しく、私自身も副市長も足を運び、何度も国への要望をしてきたことであります。国会議員の方にも要請活動を行いました。それでも厳しい反応ばかりだったというのが正直なところですが、今回の発表で内容を聞き喜びの声を上げたほどでした。国が一つの自治体のために制度を作るということはあまりないことですし、特別な措置をしていただけたことに感謝しています。


記者

 市バスは燃料や賃金が上がっているとおっしゃられましたが、地下鉄ももちろん人件費、燃料代、電気代が上がっていると思います。それは値上げをせずにどうやって賄うのでしょうか。

市長

 地下鉄の収支は、家計で言いますと、家を買った、その家のローンがすごく多いという状況です。それにより大変な経営となっています。もちろん、光熱費、食費もありますが、ローン返済額がすごく大きい。これが少なくなることによって賄えていくということです。

 市バスは、家計に例えると、毎月毎月の収支が赤字になっている。これを改善しないといけない。経営ビジョン【改訂版】における見込みと比べると、乗客数が改善しています。令和元年度比較で、まだ80%台ですが、(経営ビジョン【改訂版】で)70%台と見込んでいたのが急激に改善していることは事実です。この10月、11月、12月とも人出がどっと増えてきているということも含めてのことですので、御理解いただきたいと思っています。


記者

 一般会計から財政支出は、財政難で難しいと思いますが、今後どうされるのでしょうか。

市長

 基本的に公営企業に対する一般会計からの任意の繰出というのはないのが原則ですので、引き続きそうした考えに基づいて取り組んでまいります。ただ、今回の措置で特例債や特別減収対策企業債の利息分の一部が地方交付税で措置されますので、有効に活用していきたいと思っています。


記者

 一般会計からの財政支出は行わない方向で考えていかれるということですか。

市長

 基本的に地下鉄、市バスは独立採算制でありますので、それを維持、経営効率化、そして公の鉄道、バスとしての責任を果たしていくのが原則的な考えであります。厳しい経営の下で、国が特例債や特別減収対策企業債の発行を認めてくれた。その中の一部は一般会計から支出してもいい。さらに、その一般会計からの支出分の相当の割合については、地方交付税で措置していただけるという制度は有効に生かしていくということであります。


一般質疑

記者

 昨日からの大雪の関連で、先ほども御説明があったように、山科駅周辺のホテルやお寺などで受入れをお願いされたということですが、京都駅の周りでも、これまでに協定を結んでいるホテルもたくさんあったと思います。駅構内で寒く過ごされた方とか、列車とはいえ、やはり建物とは違う寒さだと思います。今回、京都駅の周りでも帰宅困難者対策としてホテルへ要請すべきだったと思われないでしょうか。

市長

 JR西日本においてトレインホテルを用意されました。私どもも駅周辺等に一時帰宅困難者対策の施設122棟と協定を結ばせていただいています。今回の結果をしっかりと検証してまいりたいと思っておりますが、(今回は)JR西日本からそこまでの要請はありませんでした。山科では要請があり直ちに対応しました。これらにつきましては、特に列車内で取り残された、また夜遅くに(列車が)動いて駅で滞在されたという実態について、本市も災害対策本部を立ち上げていろいろな対応の準備をし、機能したと思いますが、当事者からの要請がどうであったのかということも含めて、危機に対してより対応しやすい、対応できるまちづくりの教訓にしていきたいと思っています。

 

記者

 要請がなかったとして、市の責任として情報収集の職員を派遣して様子を見極めるとか、できることはあると思いますが、いかがでしょうか。

市長

 災害対策本部を作って、情報収集等をしていましたが、駅で何人おられたかということにつきまして、明け方に(情報が)入ってくるというようなことでしたので、可能な限りの対応はやってきたと思いますが、今回以上の事態も起こる可能性がありますから、教訓にするべく検証していきたいと考えております。なお、JR西日本でも検証されて発表されると聞いておりますので、密接に連携していきたいと思っています。

 

記者

 今回、立ち往生、帰宅困難者が多く出たという状況を招いたJR西日本に対してどういう風に思われますか。

市長

 JR西日本と常に安全対策、危機管理を平時から協力してやっております。今回のことを教訓にして、改善点があると思いますので、共に率直な意見交換をして、より安心・安全な京都のまちづくりに共に努力してまいりたいと思っています。(鉄道網における)JR西日本の占める率が高いので、しっかりと取り組んでまいります。

 

記者

 JR西日本から要請があったとおっしゃられましたが、JR西日本も混乱していて正式に要請したという感じではないという情報もあります。先ほどおっしゃったように、要請があったら動くというよりも、並行して動いていかないとなかなか臨機応変に対応できないかなと思いますが、どう思われますか。

市長

 教訓にして、あらゆる取組の深化を目指していきたいと思っています。

 

記者

 北陸新幹線の延伸ルートについて、与党プロジェクトチームの西田参議院議員が京都駅を地下ではなく、地上駅にして少し離した場所にするといった案も示されています。京都市内をどう通過するかということは非常に大きな問題で、地下であれば地下水の影響なども懸念されますし、高架であれば景観上の問題もあるかと思います。現時点で、ルートや駅位置に関してこういった案が出ていることについて、市長の見解を改めてお願いします。

市長

 まだ詳細を聞いておりませんが、環境アセスメントをしっかりとやっていただくこと、そして、地下水の問題は京都にとって極めて重要であるということは皆さんの共通理解だと思います。どういうルートになるかということも含めて、まだ検討中ですので、色々な意見が出てきている段階であろうと考えております。

 

記者

 子ども医療費(1/23発表 子ども医療費支給制度自己負担額上限引下げ)の拡充について御見解をお願いします。

市長

 子ども医療費につきましては、市長、知事の会談で、私自身が最重要課題ということで、西脇知事にお話し、京都府においても最重要課題の一つとして取り組んできていただいたものです。

 そして、とりわけ小学校卒業までの年齢で医療費、通院率が高いため、その共通理解の下に、政令指定都市で言いますと、一部無料というところもありますが、1医療機関1か月につき200円という思い切った取組ができました。私どもも、それに対応する財源を確保した上で府に要請してきましたので、議会の議決後ではありますが、前進したことについてしっかりと周知を図っていきたいと思います。御努力いただいた皆さんに感謝申し上げたいと思っています。


記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

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