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市長年頭記者会見(2023年1月4日)

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2023年4月12日

市長年頭記者会見(2023年1月4日) 

「年頭の抱負」及び「京都市中央市場新水産棟の全面オープン」について、京都市長が記者会見を実施しました。

※発表内容は、令和5年1月4日時点の情報です。

会見要旨(摘録)

年頭の抱負

市長

 明けましておめでとうございます。新年に当たり、皆様のこの一年の御多幸を心からお祈り申し上げます。

 昨年は、長引くコロナ禍、さらに物価高、非常に厳しい年でした。市民の皆様のいのちと健康、暮らしを守り抜く。全庁挙げてスピード感を持って、様々な取組に全力投球した一年でした。

 また、財政危機の克服と、持続可能な財政の確立へ、侃侃諤諤(かんかんがくがく)に議論し、市民の皆様とともに作った計画に基づき、改革に邁進した一年でもございました。

 改革の徹底や税収の増加等により、計画を大きく上回る、447億円の収支改善が実現しました。市民の皆様の御理解と御協力に改めて感謝申し上げます。

 同時に、引き続き、気を引き締めての改革が大事です。集中改革期間が令和3年~令和5年の3年間で、最終年度が来年度予算です。今、予算編成に没頭していますが、市民の皆様に明るい展望をお示しできるよう、全力を傾けているところです。引き続きの御理解、よろしくお願いします。

 さて、年頭の抱負についてです。昨年は、市民の皆さんの参加と協働による市政運営、まちづくりが大きく前進した1年であったと実感しています。

 例えば、守るべき京都の景観の骨格を堅持しながら、まちの発展を目指す「都市計画の見直し」。若い人が求められる住居、或いは産業用地、オフィス空間について、せっかく京都の優れた企業が発展しても、京都市内に用地が無い、オフィスが無いということで、市域外に出ざるを得ない。或いは今、国内外から「京都に拠点を置きたい」という希望が増えていますが、オフィスが足りないという課題がありました。

 昨年秋、都市計画の見直しについて、市民意見の募集を行いました。2,400件を超える御意見をいただき、7割近い方々に御賛同をいただいた。とりわけ、60歳未満の、特に若い人に多くの御賛同をいただいています。住んでよし、働いてよし、子育てしてよし、訪ねてよし。そうした魅力あふれる京都の新たな前進に向け、企業の立地に対する支援制度も含め、力強く前進させる今年にしていきたいと考えています。

 もう1つは、環境問題です。「京都議定書」誕生の地、またパリ協定の実行を支える「京都ガイドライン」採択の地の誇りを胸に、市民ぐるみで様々な取組を進め、例えばごみの量は、21年間減り続け、半分以下になりました。人口50万人以上の都市の中で、京都市は最も少なくなっております。そうした市民ぐるみ、事業者ぐるみの取組を経て、昨年末には環境省の2050年CO2排出量正味ゼロを目指し、更には、2030年CO2排出量正味ゼロに挑戦していく、「脱炭素先行地域」の選定を受けることができました。すばらしいことであります。市民・事業者の皆さんと一緒になって、力強く展開していく決意を新たにしております。

 なお、CO2排出量正味ゼロを目指すまちづくりというのは、大きな成長戦略でもあります。市民・事業者の皆さんとともに、しっかりと未来を見つめ、魅力あふれる京都、住むまち、働くまち、子育てするまち、更には、人類共通の課題である環境問題に積極果敢に挑戦するまち、として進めてまいりたいと思っています。

 これらの取組の一つである、2050年CO2排出量正味ゼロを目指す「2050京創ミーティング」では、例えばファッションロスをゼロにする取組など、市民ぐるみの取組が大きく広がっており、そうした取組の成果も出てきております。

 さて、いよいよ文化庁が、機能強化して、京都に全面的に移転してきます。京都の強み、いや日本の最大の強みは、文化であると私は考えています。更にウィズコロナ、ポストコロナ時代に、改めて文化芸術が大きな役割を果たしていく。そんな時に、文化庁が京都に移転し、文字通り京都が日本の文化の都になります。文化芸術が新たな価値を創造し、そして、市民を物心ともに豊かにし、更には、経済の活性化。経済が文化を支える、京都ならではの好循環のモデルを創っていきたいと考えています。京都市では既に御案内の通り、京都市立芸術大学及び京都市立美術工芸高等学校を、来年度、京都駅東部(崇仁地域)に全面的に移転します。1つの学校の移転としてではなく、文化を基軸としたまちづくりに魂を入れていく。そして、経済の活性化をもとより、あらゆる社会課題の解決に、大学が大きな役割を果たしていく。その具体的な展開を進めてまいりたいと思っています。

 なお、崇仁地域に芸大と芸術高校を移しますが、それ以外の例えば京都駅の東南部、東九条地域では、チームラボなどを誘致するなど、文化芸術を基軸としたまちづくりが進んでいます。或いは、梅小路で、食とアートとものづくり、世界一クリエイティブなまちにしていく動きが、大きく広がっています。

 京都市内のあちこちで、文化を基軸としたまちづくりの機運が高まり、実行段階に入っています。改めて、あらゆる社会課題を解決し、そして市民生活を豊かにし、済の成長につなげていく取組を加速化していく年だと考えております。

 結びになりますが、長引くコロナ禍のもとで、孤立、孤独、格差、貧困、虐待。更には、世界を見ると分断、或いは、ロシアのウクライナ侵略。姉妹都市であるウクライナのキーウ市で、悲惨な戦争が続いています。世界の平和と、誰一人取り残さない、SDGs先進都市・京都として、真価が問われる年だと考えています。

 市民の皆さんと一緒に、あらゆる課題解決、SDGsの達成に引き続き全力を傾けてまいりたいと思います。


発表案件「京都市中央市場新水産棟の全面オープン」

市長

 続きまして、本日は、「京都市中央市場新水産棟の全面オープンについて」御報告させていただきます。

 京都市中央市場は、日本で最初にできた卸売市場です。大正時代に米騒動が起こりました。米騒動は、米の不作でもありましたが、流通の問題が一番大きかったということで、当時、政府は、大正末に市場法という法律を作り、そして、いち早く、京都の商業関係者が駅の近くに卸売市場を作ったことが、日本の卸売市場の始まりです。

 全体として、野菜も果物も水産品も、中央市場を経由する率が減ってきていることは事実でございます。しかし、中央市場の役割は、1つは生産者を支える。卸売業者は生産者を支える、仲卸業者は消費者を支える、自由な競争をもとに価格形成されていく重要なものです。(今回の中央市場の整備は、)そうした市場の役割をしっかり果たしていくための改革です。

 新型コロナウイルスの関係で、この3年間、市場関係者は非常に厳しい状況にありますが、それを乗り越えて、しっかりと食の安全保障やレジリエンスの観点からも公共インフラとしての役割を果たしてまいりたいと考えております。

 なお、前回の改修から40年近くが経過する中、施設の老朽化が進み、多くの建築物が耐震基準に達していない。或いは、せり場に外壁がないため、外気や風雨が入ってくる。温度管理が適切に行われていない、様々な課題がございました。また、輸送業者からは、入荷トラックの待機時間が長い、或いは出入の調整がなかなか難しいという課題がありました。

 このように、衛生管理の向上や物流の効率化といった社会的なニーズに応えられていない。このままでは市場としての機能が継続できないという状況のもと、平成27年3月に「京都市中央市場施設整備基本計画」を策定し、約600億円の経費と10年の歳月を掛け、再整備に取り組んでおります。

 ただし、再整備に当たっては、新しい機能を持たせるのと同時に、施設の効率化や建物の高層化を図ることにより、現在の敷地面積約15万㎡を約10万㎡に圧縮します。したがって3分の1の土地が生み出されます。立地条件がいい場所ですから、借地や売却等により有効活用することで、総額約100億円を超える財源が確保することができる。売却した場合は固定資産税、都市計画税が入り、そこに進出する企業等から税金も入ってくるということで、非常に効果的・効率的な、市場と余剰地の活用で、できるだけ将来世代に負担をかけない取組をしたいと考えております。

 なお、場内事業者にとっては、再整備の成否が将来の経営に直結するため、市場の開設者である京都市としては、しっかりと連携して、特に場長を先頭に、市場関係者と話し合いを重ねてきました。実に約2千回以上に及ぶ話し合いを進めてきて、合意形成をして、今日に至っています。一昨年、市場関係者の全国の集いがありました。その時に、他の市場関係者が、開設者、つまり自治体と市場関係者のコミュニケーションがうまくいっているのは京都だけだと評価をいただきました。長い間の信頼関係の賜物だと考えております。そうしたことも活かしていきたいと考えております。

 新水産棟の整備工事は平成30年11月から開始し、昨年度にⅠ期エリア(鮮魚部門)が完成し、Ⅱ期エリア(塩干・綜合部門)及び見学エリアが完成します。新水産棟が全面オープンする運びとなりました。

 市場関係者が一丸となって作り上げた新水産棟、是非とも皆様、御期待いただきたいと考えております。


 最初に、Ⅰ期エリアを含む新水産棟の概要でございます。Ⅱ期エリアの営業開始日は、令和5年3月22日の予定です。1ページの下段には、新水産棟を中心とした鳥瞰図(ちょうかんず)を掲げております。

 それでは、2ページを御覧ください。「(2)主な特徴」でございます。 「ア 衛生管理の向上」でございます。閉鎖型施設とし、エリア毎の最適な温度設定や最新の食品安全国際規格に対応した高度な衛生管理を実現しています。また、清潔な棟内環境を保持するため、入場時や清掃時の消毒を徹底することといたしております。さらに、コールドチェーンを確立するため、専用のトラックバースを通じて直接商品を入出荷いたします。

 3ページを御覧ください。「イ 物流の効率化」でございます。円滑な業務オペレーションを実現するため、商品の入出荷動線を明確に分離し、各所に荷捌きスペースを設置しています。また、買出人動線を整理、集約することにより、店舗ごとに時間をかけた品定めが可能となるような工夫がされています。

 3つ目の特徴は、「ウ 環境への配慮と災害時の業務継続」でございます。環境配慮型設備の導入や井水の活用により、停電時や断水時に対応するとともに、耐震性能の向上により、災害時における業務の継続性を確保しています。

 4ページを御覧ください。最後に、「エ 安全・安心な歩行空間の創出」でございます。歩行者専用通路である屋根付きのプロムナードを3階屋上に設置し、隣接のホテルエミオンと連絡デッキでつなぐことにより、JR梅小路京都西駅から延びる歩行者専用橋を通って新水産棟や後ほど説明する見学エリアに直接アクセスできます。さらに、将来的には新青果棟にもプロムナードを延長します。五条通と七条通間の約700m超を結ぶ安全・安心な歩行空間を創り、市場を見ながら通っていける、全国でも珍しい、例の無い市場として運営していきます。


 続いて、見学エリアの概要でございます。子どもたち、大人も含めてですが、市場の機能や食文化を楽しんでいただくためにも、生産から流通までしっかりと知っていただくことが大事です。切り身の魚しか見たことないということを言われますが、そうではなく、どのような苦労をされて食があるのかを学んでいただきたいと考えています。

 「設置場所」は新水産棟西側2階、「総延長」は約260mです。「通路幅」は、広いところで約4m、「天井高」は約2.2mでございます。

 見学エリアの「供用開始」は令和5年4月1日を予定しております。「供用時間」は、せりを御覧いただけるよう、早朝の午前5時から午後5時まで、「閉所日」は祝日を除く水曜日及び年末年始となる12月31日から1月4日まででございます。どなたでも無料で御利用いただけます。

 4ページ中ほどの図は、見学エリアとせり場との位置関係を示しております。見学エリアからせり場が見られる。そして、音も聞こえる。せりの様子も見られる。豊洲の様子も市場関係者が見に行き、そこから良いところと課題を学び取り、直接では聞こえないので、市場が開いていない時は、録音した音声が、臨場感をもって聞こえる。開いている時も、音声が見学コースに入ってくるという工夫もされています。

 次に、「(2)設置趣旨」でございます。ア、イ、ウという大きく3つのねらいを掲げています。食文化の振興やSDGsの実現などに寄与していきます。また、近隣施設等との連携により、「京都駅西部エリア」をはじめとする地域全体の活性化に貢献してまいります。

 5ページを御覧ください。「(3)主な展示内容」でございます。まず、エリアマップです。現在予定している展示内容等をエリアマップ記載の番号順に御紹介します。

 「1エントランス」で見学エリアへの期待を高めていただきます。次に「2 ガイダンスシアター」では、長年にわたり「食」を支えてきた京都市中央市場のイメージを迫力ある大画面スクリーンで表現します。

 6ページを御覧ください。「3 時を越えて受け継ぐ役割」では、市場の歴史や役割をわかりやすく解説するとともに、「4 産地と消費者をつなぐ市場の流通」では、手を近づけると動き出すアニメーション映像等を用いて、市場の流通をダイナミックに実感していただきます。「5 臨場感溢れるせりの様子」につきましては、通路に大きく広がる窓を設置するとともに、現場の音声をスピーカーから流すことで、安全に体験いただけます。また、せりの時間外でも、直前のせりの様子を映像でリアルにご覧いただけるよう工夫します。

 7ページを御覧ください。「6 通路演出」としましては、通路の途中に、あたかも海の中を歩いているかのような仕掛けなどを用意しています。また、「7 水産物と駆け抜けるプロの一日」では、場内事業者の仕事や熱い想いを、グラフィックやインタビュー映像等を用いて紹介します。「8 せり ON STAGE」では、ビニールカーテンで仕切ったエリアに冷風を流すとともに、せりの緊迫した様子を3面モニターでドラマチックに再現します。

 8ページを御覧ください。「9 進化を続ける「京の食文化」」では、その歴史や本市の食文化振興策を御紹介しており、文化庁の京都移転の意義に大きく関わるものです。文化庁が機能を強化して、京都に全面移転するにあたり、この「機能の強化」の最大の要素は「食文化」です。かつての文化庁では、食文化は農林水産省が担当ということでしたが、文化芸術基本法が改正され、そこに食文化が明記されました。さらに、文部科学省設置法が改正され、政府全体の政策に横ぐしをさすように、文化の視点で調整していく役割を持った文化庁が、京都に移転してきます。そこに、タイミングよく、京都中央市場の見学コースができます。食を通じて環境問題を考える、食を通じて文化を考える、また、命の問題に向き合うことで、食品ロスの問題から、あらゆる問題、或いは気候変動等、食品生産、そうした人口問題と食品問題を考える機会にしていただきたいと思っています。

 「10 タッチde市場クイズ」では、大人も子どもも楽しめる食材に関する豆知識など、楽しみながら学んでいただきます。さらに、「11 モートライドツアー」では、「モートラ」に乗って、普段は入ることのできない新水産棟の中を映像と音響で巡ることができます。

 9ページを御覧ください。最後に「12 フォトスポット」として、ユニークな記念写真が撮影できる楽しいスポットを各所で用意しております。

 長くなりましたが、4月以降ぜひお越しいただきたいと思います。


 なお、令和5年度以降には、加工食品や市場業務に必要な梱包材等を扱う新関連棟、新青果棟の整備工事を順次行います。新関連棟は令和8年度、新青果棟はⅠ期エリアが令和7年度、Ⅱ期エリアが令和10年度の完成を予定しています。

 今後とも、令和9年に迎える市場開設100周年に向け、市場関係者の皆様としっかりと連携をしながら、再整備に取り組んでまいります。

 冒頭の御挨拶でも触れましたが、本年は、文化庁の京都移転という、非常に大事な時期です。中央市場が、食料の生産に、また安心安全な食生活に、また世界に誇る「京の食文化」にどのような役割を果たしてきたかを含めて、取り組んでまいりたいと考えております。

 このエリア全体では、今、食と文化とものづくり、世界一クリエイティブなまちにしていこうという取組が大きく進んでいます。近くに500社、約6,000 人が働くKRP地区(京都リサーチパーク周辺)がございます。また、中央市場の野菜の倉庫だったところは、現在、「河岸ホテル」として、芸術家が滞在して、芸術活動をしながら宿泊もできる施設となっています。芸術家がホテルでアルバイトをしながら制作活動もできるという、世界で評価されるユニークな宿泊施設ができています。水族館や鉄道博物館も含め、年間約500万人が集う場所が大きく発展してきています。その中の、大きな一翼をしめる施設として、京都中央市場の役割を果たしていきたいと考えております。

 なお、(中央市場(第一市場)整備に関する)総事業費は約600億円と申し上げましたが、国の補助金が30%、そして、京都市が法令等に基づき負担するのが約10%、そして、約60%が市場関係者の使用料ということで、長期に渡って運営していくことになります。今、厳しいコロナ禍の下ですので、(水産棟は)現在の使用料の1.3倍以内に抑える取組も進めています。そのため、将来を見通して、市場の規模を縮小するなど様々な効率的・効果的な取組を行っています。

 京都になくてはならない、中央市場関係者と、何より市民の皆さんと一緒になって、守り、発展させていきたいと考えています。


質疑応答(摘録)

発表案件「京都市中央市場新水産棟の全面オープン」について

記者

 魚離れなどもあり、京都市中央市場での水産物の取扱数量及びその金額は、コロナ禍も相まって年々減少傾向にあります。今回の新水産棟の全面オープンによって、取扱数量はどのぐらいになると予測されていますか。また、取扱数量の拡大に向けて、どのような取組を考えておられますか。

市長

 魚もそうですし、野菜、果物を含めても、中央市場を経由するものが年々減少していることは事実です。しかし、国内産のものは相当量を維持しています。例えば、野菜については、外国から輸入されたものがそのまま大型スーパー等に行くことが多いですが、近郊で生産されたもの、国内で生産されたものは7割を超えて中央市場を経由しています。水産物についても、詳細なデータがあるわけではありませんが、おそらく同じことが言えるのではないかと考えています。

 また、コロナ禍を経て、中央市場の機能が改めて評価されています。産地直送の契約をしている飲食店等では、コロナ禍で産地から生産物が届かない事例もあったそうです。また、生産者にとっては、コロナ禍で飲食店等が閉まり、出荷先がないということが京都でも起こりました。

 しかし、中央市場では、原則として、持ってこられたものを全て受け取りますので、飲食店等に商品が入らないといった問題が生じる中でも、中央市場には常に商品がありました。ですから、コロナ禍でも生産者を一定守ることができたと考えています。中央市場があって助かったという声も多くあります。やはり中央市場というのはなくてはならないものであります。

 民間の流通、消費者と生産者の直接のつながりを否定するものではありません。しかし、それだけに頼ってしまうと、大切な食料の供給や生産が止まってしまう。或いは、無駄になってしまう。消費者の皆さんも食料にしっかりとアクセスできるような体制は不可欠です。そうした前提のもと、中央市場の運営は、大きな役割を担っていると考えております。

 平成28年3月には、10箇年の計画(京都市中央卸売市場第一市場マスタープラン)を策定し、取扱数量等についての目標(令和7年度)を記載しています。しかし、とりわけ水産物については、近年、例えばサンマやイカなどが取れなくなってきています。日本の近海漁業の関係者の皆様への大きな影響があり、さらに沿岸まで行って漁業を行うかどうかなどの問題もあり、取扱数量についても流動的な状況です。

 したがって、コロナ禍も含めて、現時点で今後の取扱数量をこれだけにできるといった算定はできる状況にはありません。これから農林水産省とも相談しながら、また何よりも、中央市場関係者の皆さんとしっかりと連携しながら取り組んでいかなければならない大きなテーマだと考えております。

 なお、新たな取組の一つとして、この中央市場の必要性や役割、京都の食材、京都の食文化などを学んでいただける場である「見学コース」を新たな市場機能として設置いたします。

 新たに京都で飲食店等を開かれる方々をはじめ、「京都の食材」として、中央市場で取り扱っている生産物にこだわっておられる方もおられます。食べるときに、どこの食材であるかどうかが評価される時代になってきています。その点でも、中央市場が新たな価値を創造するという役割もあります。

 こうしたことも含め、中央市場のこと知っていただければと思っています。そして、市民の皆さん、事業者の皆さんを共に守っていく。それが、生産者の皆さんも守ることになる。ひいては、SDGsにも貢献できる。こうした取組を進めてまいりたいと考えております。


記者

 東京の豊洲市場など、他の施設の良いところを取り入れられたという話がありました。どのようなことを取り入れられたか、又は、課題を改善した事例などがあればお聞かせください。

古井 中央卸売市場第一市場 場長

 豊洲市場の見学コースを御覧いただくと分かるのですが、非常にシンプルな構成になっているため、市長からも説明がありましたが、中央市場の機能や役割として、いかに食料の安全保障やレジリエンスにとって大切かといったことをもう少し訴えられるような施設となるよう工夫しております。

 また、見学コースの窓を大きくし、現場の声も聞きながら、臨場感あふれるせりを大きな窓で、体感いただけるようにしております。中央市場では、夜の遅くから朝にかけて、皆さんが知らない時間帯に毎日こうしたせりが行われていて、それで我々の食生活が守られている。こうしたことを実感していただきたいとの思いから、様々な工夫を取り入れることとしました。

市長

 私もこういう立場ですから、早朝4時や5時に中央市場には何度も足を運びました。衛生管理を徹底した施設としたため、靴裏や手指消毒をして入りますので、一般の方は入れません。

 今回、見学コースにおいて、そんなせりの様子を見ることができるようになるのは、施設としての強みになると思っています。例えば、その日東京に帰る予定の方が、朝5時に起きて、せりを見に来ていただいても、新幹線でその日の早いうちに東京に帰れますので、観光的にも非常に魅力あるものになるのではないでしょうか。


記者

 事業費600億円の内訳は。

市長

 平成28年度以降、10年をかけて実施していく(京都市中央市場施設整備基本計画に基づく)整備全体の事業費が600億円ということです。そのうち3割が国の補助、1割が法令に基づく京都市の負担、6割が市場関係者の賃料です。同時に、市場をコンパクトに、また高層化していますので、3分の1の余剰ができます。これを有効活用すると土地の値段だけで100億円、それ以外にも様々な新たな税収効果等が出てくるということです。


記者

 鮮魚部門を含め、新水産棟は関西最大級と言ってもよい規模なのでしょうか。

市長

 規模は大阪の市場の方が大きいと思いますが、規模は別として、見学コースとしては世界一のものになればと思っています。


一般質問

記者

 市長の御発言にあった「文化と経済の好循環」について、食文化や観光を念頭に置いてのお話かと思いますが、文化芸術はビジネスだけのためではないという意見もあります。市民に文化が日常的に根づいているまちにするという意味で、「文化と経済の好循環」にどのようなイメージを持っておられますか。

市長

 本日発表した中央市場も、観光を意識してはいますが、観光を目的にしたものではございません。そこは御理解いただきたいと思っております。

 京都観光が評価されています。その観光の対象は、全てと言っていいぐらい京都市民の長年にわたる暮らしの中にできた文化であると言っても過言ではないと思います。お寺、神社、京町家、食文化、或いは、能、狂言など。今は、京都市交響楽団も高く評価されていますが、観光のために作られたものではありません。京響(京都市交響楽団)については、国内外から来られた方が、京都にこんな交響楽団があったのかということで、次(に京都に来るとき)は、京響を聴きに行きたいという方がじわじわと増えてきております。

 観光というのは、総合経済、総合産業ですが、京都市は観光も意識していますが、基本は京都に伝わる市民の「暮らしの美学」や「生き方の哲学」、これを大事にしていくことが観光の振興にもつながると考えております。

 文化芸術と経済の融合ですが、私どもは、決して新しいことを申し上げているわけではありません。例えば、琳派(りんぱ)、伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)、西陣織、京友禅、京漆器、京焼・清水焼、あらゆる京都の伝統産業は、100年前、50年前まで基幹産業でありました。文化が経済を活性化していたということで、明治から大正時代にかけて、京焼・清水焼も輸出産業でありました。

 少し話が飛び申し訳ありませんが、京都市中央市場は、中央卸売市場として95年前に今の場所にできましたが、当時、錦市場の仲買機能を(輸送面から)鉄道の近くに開設しました。この錦市場は400年の歴史がありますが、そこに300年前に生まれたのが伊藤若冲です。八百屋さんの息子さんでした。伊藤若冲が錦市場を作ったというようにも伝わっていますが、京都では文化と経済の融合が(歴史的に)しっかりとなされてきたということだと思います。

 明治維新で都市存亡の危機の時に、まずは小学校を作りました。その後、明治13年に画学校が作られました。それまで、都でできたものということで売れていたものが、富裕層のお客さんが東京に行ってしまい、売れなくなり、人口は3分の1に減りました。その時に、「京焼、清水焼から京友禅まで、そうしたものに魂を入れなければならない」、「もう一度、京都のあらゆるものづくりを文化や芸術によって価値を高める」ということで画学校が作られました。まさに、文化と経済の融合を先進的にやってきており、その歴史にも学びながら我々は京都市立芸術大学を崇仁地域に移転します。新たな時代の文化芸術の経済との融合を図っていこうという取組です。

 さらに、生活の中に文化を、というのが文化庁の新たな取組です。その象徴としての食文化であります。単に栄養があって安全に食べられたらいいということではなく、食というものを文化として取り上げ、同時に、その文化は多様性を認め合い、包摂性のある社会を作っていこうということも含めた文化だと考えています。あまり難しく考える必要はないと思います。

 魯山人(ろさんじん)が何を一番食器で大事にしたかという話を聞いたことありますが、箸置きを一番大事にしたそうです。箸置きは食事をする時から食事が終わるまでずっと置かれています。箸置きに注目して色々な箸置きが作られます。世界には、素晴らしいスプーンやフォークがあります。しかし、スプーン置き、フォーク置きは非常にシンプルなものです。(日本では)この箸置きにこだわって芸術性を高めています。

 最近、「なかなか抹茶茶碗は売れないが、箸置きはよく売れています」という陶器屋さんがおられましたが、色々あっていいと思います。ポストコロナ時代に、モノからコトへということが言われて久しいですが、これからは生活の中に文化がある、生活を文化する、モノを買う場合でも、機能も大事ですが、そのデザインが楽しいか、遊び心があるかということも問われており、色々なメーカーが京都にデザイン拠点を置き、京都市立芸術大学の卒業生が今まで就職していなかったところに就職しています。会社に技術者はいっぱいいますが、デザインの担い手がいないという課題も出てきているそうです。

 大上段に文化芸術が新たな価値を創造し、そして、経済を活性化すると言うと、ちょっと引かれる方もおられますが、京都の1,000年の歴史は、文化芸術が価値を高めてきました。明治13年に画学校ができた。そして、明治19年に日本で最初の工業高校ができた。これも、明治維新で都市存亡の危機の時に、京都のまちの大事なものづくり(の価値を高めること)に取り組んできたということです。ここから、あらゆる陶磁器、織物、染物、窯業、或いは、金工、木工が始まり、(現在まで)しっかりと結果を出す仕事をしてきました。

 もう一つ、最近注目されているのは、障害者アート、天才アートです。障害のある人で本当に素晴らしい芸術的才能を持っている方がおられます。これが非常に評価されて、その人の作品自体も売れますし、色々な(商品の)パッケージになったりしています。これも文化が経済を活性化するという事例だと思います。


記者

 来年度は財政改革計画の最終年度ということで、財政危機の克服についての成果は一部出ているということですが、一方で、よくなったという実感がまだ持てていないという声もあります。最終年度に向けてのお考えはいかがでしょうか。

市長

 改めて、京都市の財政状況を全て分かりやすく御説明し、開かれた場で行財政改革審議会をつくり、答申に基づき行財政改革計画を策定したのが令和3年8月です。まずはこの計画を着実に実行していくことが私どもの使命であると考えております。

 コロナ禍での改革だったため、全国の自治体と同じような税収の減や生活保護費の増加等を見込んでいましたが、幸いなことに政府の的確な対策等もあり、生活保護費は増えませんでした。さらに、飲食業とか宿泊業などは厳しい状況にありますが、京都の企業は非常に多様性に富んでおり、このコロナ禍であっても税収は増えました。さらに、職員数の削減等、様々な改革を行ってきたので、収支の上振れがあり、令和3年度決算と令和4年度予算の2年間で447億円の収支改善を達成しています。そして計画策定段階で言われていた、何も改革しなければ、将来の公債償還基金の枯渇のおそれすらあるという危機は回避しました。

 これから、改革を聖域なく進めて、将来世代に負担を先送りしない。この覚悟を決めて、同時に丁寧な説明も行いながら改革を実行してまいります。さらに、コロナ禍の改革です。様々な改革を実行していますが、国等の基準を大きく上回る施策を維持しています。とりわけ、子育て支援等につきましては、集中改革期間中も引き続き、保育料は国基準の約7割に軽減することを表明しています。丁寧な御説明をしながら進めてまいります。

 もう1点は成長戦略です。これほど厳しい状況のもとでも税収が伸びています。これは国と軌を一にした、この間実施した成長戦略の成果でもあると考えています。コロナ以前の5年間で税収は9%伸びました。コロナ禍によって税収は落ちると思われましたが、令和2年については若干厳しいところもありましたが、今、順調です。

 もう一つは、京都の強みを徹底的に活かそうということです。景観政策については大切な骨格を堅持しながら、産業用地やオフィス、若い人の居住空間を創出していく。そうした都市計画の見直しにつきましても、最終的に3月ないし4月の都市計画審議会で議論し決めていただきます。先般実施したパブリックコメントでも計画案について多くの御賛同をいただいています。機運が大きく醸成されてきたと考えております。

 さらに、国のスタートアップエコシスム拠点都市のグローバル拠点都市に京阪神で選ばれましたが、選定後約1年半の実績で京都でのスタートアップ設立件数も既に70件と計画を上回る勢いで立ち上がってきています。そうした京都の強みをしっかりと活かして、文化庁の京都移転も大きな飛躍の契機として、経済を活性化し、市民生活を豊かにし、税収を増やし、担税力を向上させていく。そうした改革と、成長戦略の2本柱で大きな成長をしていく、そのスタートの令和5年にしていく決意です。

 なお、コロナ禍において、孤独孤立、貧困格差、様々な課題があります。また、子育て支援は京都の未来にとって極めて重要なことです。それらについても、きめ細かい京都ならではの取組を引き続き充実させていきたいと考えています。


記者

 保育料の値上げについて、市長の中ではいつまで据え置かれるお考えでしょうか。令和6年度以降は未定ということでしょうか。

市長

 保育料の値上げについて、集中改革期間中は実施しないということを既に表明しています。引き続き検討課題ではありますが、子育て支援は私の市長就任以来の市政の根幹ですので大事にしていきたいと考えています。令和6年度以降は未定です。


記者

 文化庁の京都移転は、市民の皆さんにとっては、どのような利点があるのか教えいただけますでしょうか。

市長

 岸田総理からも御発言がありましたが、京都にはすばらしい生活文化がある、また、歴史と伝統に培われた京都ならではの文化がある。京都に文化庁が来るということは、これらを京都から全国に、世界に発信するということになります。そのことによって、自ずと世界の人々が受け止める重みや深さが違ってくるということです。これは京都市役所がやってきたことではなく、市民の皆さんが誇りに思っていただくべきことだと思います。

 もっと言えば、それは京都の無形文化遺産であるといえます。有形の文化遺産はたくさんありますが、生活の中に文化がある、そして、文化庁が機能を強化して、生活文化を大事にしながら京都に移転してくる。この意義をしっかりとお伝えしていくことが大事だと思っています。

 そして、秋口から文化庁京都移転の機運醸成事業として、京都市も京都府も文化庁も様々な取組を行いました。例えば、京都市京セラ美術館は、土日の来場者が1万人を超えるようになってきています。コロナ禍で、リニューアル後のスタートが厳しかった面もありますが、大きく前進していると考えています。

 ただ、もっともっと市民の皆さんに文化庁移転の意義を知っていただくと同時に、全国、世界に、文化庁が京都に来るということの認知度を高めていくということが大事だと改めて痛感しています。多くの皆さんの御理解の下に進めてまいりたいと考えております。

記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

https://youtu.be/xgmakIzxFtA外部サイトへリンクします

会見資料

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