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市長定例記者会見(2022年9月7日)

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2023年4月12日

市長定例記者会見(2022年9月7日)

実施日:令和4年9月7日(水曜) 午後2時~3時

会場:京都市役所 本庁舎4階 正庁の間

※本記者会見は、市長と記者の質疑応答形式で実施されました。

質疑応答(摘録)

記者

 本日(9月7日)から海外からの入国制限が緩和されましたが、一方で、個人旅行はビザの取得が引き続き求められています。こうした限定的な緩和では、観光客の回復にはつながらないのではという声もあります。市長の受け止めはいかがでしょうか。


市長

 入国制限が緩和されたことは大きな前進として評価したいと思います。しかし、今、御指摘があったように、依然として観光目的の入国にはビザが必要であることが課題であり、また、団体において、入国者フォローアップシステム(ERFS(エルフス))の登録が大変な負担になっています。これについては、事実上、大手の旅行会社等でしか対応できないという声も聞いています。

 入国制限については、特に日本、もしくはアジアが、と言ってもいいかもしれませんが、欧米等に比べて厳しい状況になっています。ビザについては、なぜ感染防止のためにビザが必要なのか理解しにくい。ビザを持っていたら感染が確認できるという仕組みのものではないので、これについては一日も早く廃止していただきたいと思います。

 なお、京都に1,500人程の医療系の方が集まる国際会議の誘致を進めていましたが、結局、水際対策の問題から、ハワイが会場になった事例もあります。

 4月1日から1日あたり1万人に入国者数の上限が緩和され、6月1日からは2万人に緩和されました。そして、6月10日からは観光目的の入国が認められ、6月中には、252人の方が日本に来られています。そして、今回の入国制限の緩和では、実際に何人の方が日本に来られるか。

 京都観光は、団体旅行というよりは、個人旅行が多い。しかし、観光目的の外国人の新規入国は、旅行業者等が受入れ責任者となることが必要であり、個人旅行は認められないという状況であり、そうした方々が、このコロナ禍の2年半来られない状態となっています。

 欧米では、旅行者から大変な感染拡大が起こっているということはないという医療関係者の指摘もございます。一日も早く、国際状況を鑑みて標準的な水準に見直してほしいと考えております。


記者

 新型コロナについて、国からは、全数把握について9月26日から全国一律で見直しを行うことや、療養期間の短縮が示されましたが、その受け止めはいかがでしょうか。


市長

 全数把握については、国において、取扱いが前進したと評価しています。この間、オミクロン株の性格や、重症化する率が大きく減少していることなど、様々な知見が得られています。そして、全国知事会、政令指定都市市長会でも、高齢者や既往症のある方々等の命を守るためにも医療的な資源を集中させる、そのためにも、医療機関や保健所に過度の負担がかからないようにと、国に要望してきたところです。しかし、いくつかの課題があります。

 一つは、軽症の方など、発生届が提出されない方を把握する仕組みの構築です。これまでの発生届に代わる仕組みが構築できないか。本市では、陽性者フォローアップセンターのオペレーター数を99人(8月2日)から192人(9月7日現在)と、約2倍に相談体制を強化しており、また、保健所は、7月の約200人から、現在は約300人となっています。このように、体制を整えておりますが、軽症者についても何らか登録していただける仕組みが全国的にできないものかと考えています。

 次に、保険金請求に必要な療養証明の対応が想定されていないとされている点です。療養証明書に代わる保険金請求の方法について、金融庁と保険業界との協議が現段階で整っておらず、それまでは、紙の証明書発行が必要となる可能性があり、これが保健所の負担となります。

 それらの対応について、引き続き、国に要望してまいりたいと考えています。


記者

 国に仕組みを整えてほしいという要望をされるということですが、それが整わない場合、全数把握を9月26日から全国一律で見直すというのは性急だというお考えでしょうか。


市長

 性急だと思っています。私どもは、陽性者フォーアップセンターの機能をより充実させようということで、軽症・無症状の方がいつでも電話で相談していただける体制をつくっています。そして、保健所に在宅療養者の医療調整チームをつくり、190もの医療機関と連携しながら、取り組んでいます。京都市としてできることには万全を期してまいりたいと考えています。


記者

 京都でも、全数把握は9月26日から見直されるのでしょうか。


市長

 9月26日から全国一律で見直すということですので、自治体の判断でやる、やらないということを問われていることではありません。知事の判断ということもありますが、今回は全国一律の取組であるため実施いたします。


記者

 安倍元首相の国葬について伺います。京都市として、弔意の表明や、半旗の掲揚、献花台の準備などの実施について、どのようにお考えでしょうか。


市長

 改めて、安倍元首相が凶弾に倒れられたことに、慎んで哀悼の誠を捧げたいと思ってます。

 いよいよ文化庁が機能を強化して京都に全面的に移転してきます。安倍元首相の下で、地方創生、中央省庁の移転についても要望してよいという話があり、京都の昭和の時代からの悲願であった、文化庁の全面的移転をオール京都で要望してまいりました。文化庁移転については、安倍元首相の御英断の賜物だと思っております。6月に京都にお越しになられた際に久々にお会いし、改めて感謝を申し上げました。

 また、私が教育長時代には、官房長官として京都にお越しになり、京都の地域ぐるみの教育改革について視察をされ、大変感激していただいた。安倍内閣発足と同時に設置された「教育再生会議」の委員として、全国の教育長を代表して参加させていただきました。

 このように様々な思い出がございます。それは別にしまして、7月12日の葬儀の際、京都市の本庁舎に半旗を掲げ弔意を示しております。この度の国葬においても、市役所本庁舎に半旗を掲げ、慎んで弔意を表したいと考えております。

 なお、学校現場等では、本市の教育委員会から特別な連絡をするということは考えてないと聞いております。


記者

 間もなく、バリアフリー条例(京都市建築物等のバリアフリーの促進に関する条例)施行から1年となりますが、見えてきた成果や課題があれば聞かせていただけますでしょうか。


市長

 大きく前進したところもございます。例えば、駅のエレベーターや、学校の施設修繕など、ハード面整備にも重点的に取り組んでいます。一方で、京都のような歴史都市、古きものを大事してきたまちとして、課題もございます。

 そうしたハード面の整備に引き続き取り組むと同時に、心のバリアフリーが課題になります。 2016年、リオオリンピック・パラリンピックから帰ってきた方が、あるシンポジウムでこんなことをお話されていました。「ブラジルでは、障害のある方々、車椅子の方、目の不自由な方などに『何かお役に立てませんか』と、どんどん声をかけられている。なぜこれだけ声をかけておられるかを聞くと、ブラジルは国全体が貧しく、ハード面の整備が遅れている。それをしっかりとカバーするのは、私たちの役割なのだ、ということだった」と。

 そのとき、日本においてもハード面の整備を充実させる中でも、人の優しさ、そうしたものもより高め、両輪でやっていかなくてはならないと、私はいたく感じ入りました。こうした、心のバリアフリーも含めて取り組んでいきたいと思っております。


記者

 バリアフリー条例では、宿泊施設に整備基準等を設けられていますが、その成果とはどのようなものでしょうか。


市長

 これから建つものに対する整備基準等ですので、時間をかけて成果が得られるものだと考えています。

 宿泊施設の入口から部屋に入るまで、部屋に入ってから、車椅子がベッドの横やトイレ、お風呂まで通れるように、宿泊施設の規模に関わらず義務づけました。宿泊施設は、量を求めるのではなく、質を求めていこうということです。これは、ノーマライゼーション社会を実現する、京都の観光、京都の宿泊施設にしていこうということで、関係者の御理解を得て行っているものです。

 既存施設の修繕、改修を求めているものではありませんので、これから建つ宿泊施設は、小さなところでもそうした配慮ができているということです。そして、大規模に改修されるときは、そうした配慮もしていただける。これは大きな前進になっていると感じております。


記者

 安倍元首相の国葬を巡って世論の賛否が割れております。国の予備費から約2億5,000万円もの支出することの是非も問われています。これに対する市長のお考えをお聞かせください。


市長

 国葬については、政府において決定されたことですので、私がコメントする立場にはございません。なお、岸田首相御自身が、国会で国民にも丁寧に説明されると仰っておられますので、そのように対応されると考えております。


記者

 旧統一教会について、政治家との関わりが社会問題化されていて、多くの政治家が知らなかったなどの釈明をされたりしています。市長としては、そういった団体との関わりは一切なかったというお話でしたが、政治家として、こうした反社会的なことをしてきた団体との接触を避けるためには、どういった注意が必要だと考えられますか。


市長

 旧統一協会の場合は、霊感商法等々で社会的な問題に既になっておりました。そういったことにも関心を高めて、注意していくことが大事だと感じております。

 しかし同時に、いろんな実行委員会的なものに名前を変えて実施されることについては、行政は一定の仕組みの中でやっていますが、個人の政治家がその関わりを把握するのはなかなか難しいと考えています。同様に、マスコミが報道される際にも難しい面があるのではないかと思います。

 したがって、国や司法当局等においては、暴力団対策法みたいなものがあればしっかりと対応するわけですが、こういう旧統一協会のような団体に対しては、人権問題との関係等で難しい面もあります。一方で、何か注意を喚起するような仕組みも必要な時代になってきているのかなと思います。

 また、会場使用・貸与の話ですと、地方自治法で正当な理由なく拒否してはならないということになっていますので、統一協会の関係団体等に会場を貸しているかどうかの調査は難しいことであります。

 より注意して判断していかなければならないことは大前提の話ですが、先だっての「表現の不自由展」。あれほどの近隣の騒ぎがあったもの、また、同日時に同会場を使用予約されていた他の方々は皆キャンセルされるほどのものであっても、弁護士等に相談し、地方自治法の規定に基づいて、これはお断りしてはならないということでした。地下鉄・市バスを乗ることと同じように、特別な事情がなければ拒否してはならず、非常に難しいことだと。

 したがって、会場使用・貸与について制限することは、現実的には非常に難しい面があると思います。


記者

 表現の不自由展について、市の施設で開催されましたが、市長としては、どちらかというと、市の施設で開催されることには消極的だったのでしょうか。


市長

 あの場所は、京都市美術館が改修のために長年閉鎖になっていたため、仮で開設した展示場ですので、そもそも構造的に美術館のような展示施設にはなっておりません。しかも、狭い道で、隣には学校があるという場所です。したがって、大きな展示場でしっかりと玄関があって対応できるものではない。ただ、街中で非常に便利だから、美術館が改修完了したけれど、この展示場はそれなりの使い方ができるので置いておいてほしい、ということで御利用いただいています。そこには、例えば、青少年活動センター、ユースサービス協会があります。孤立・孤独の方々が、そこで相談を受けられて、そして、学び直していくための機能も多くあります。展示場としての貸館ではなく、パネルで仕切って使われているものですので、表現の不自由展を今回の施設で実施するのは、申し訳ないですが、適切でないということを、担当者が主催者にも何度もお話していた経過もございます。もっと貸館のようなところでやってもらえたなら、また対応も違っただろうとということです。


記者

 表現の不自由展が開催された際に、市役所にも反対団体が来られて、街宣や、市長個人への過度な誹謗中傷みたいなものもあったようですが、それをどう受け止めておられますか。


市長

 あまり気にしてないです。ただ、私の自宅も含めて警察の方に警備していただいたと聞いております。


記者

 個人市民税の均等割の減免や敬老乗車証のような、市独自や、国よりも手厚い補助制度が行われてきた制度の見直しが進められています。昨今の財政状況の悪化をきっかけに、そうした福祉施策などは聖域なく見直していく方向なのでしょうか。また一方で、子育て支援など、市独自の手厚い施策が、定住促進、人口減少に歯止めをかけるなどの効果もあると思います。このような、見直しにあたって、施策に応じてメリハリを持たせることについて、どのようにお考えでしょうか。


市長

 私が市長就任時、個人市民税の均等割減免については、審議会の答申等が出ており廃止すべきだという話が度々ありました。その頃は、リーマンショックの影響もあり、京都市が全国で唯一残していたものでした。これは国の制度である森林環境税が令和6年に導入されることもあり、丁寧に経過措置を取ったうえで、見直さざるを得ない状況です。財政が厳しいからという議論とは別であります。また、昨年8月の行財政改革計画以前から議会で説明し、検討を重ねてきたものです。丁寧に実施していきたいと思います。

 京都市では、昭和の時代から全国に先駆けて、福祉、医療、子育て支援、教育等において、新たな制度をつくり、さらに、後に国の制度できたものについても、単に国基準と合わせるのではなく、京都市の制度として上積みしてきました。これはこれで価値のあることです。

 保育士の配置については、90人定員の保育所では、国の基準で12人のところ、京都市は16人配置しています。また、民間の保育士の給与は、全国平均の年収が約360万円のところ、本市では470万円台を確保しています。したがって、水準が高い保育にもつながっている。これを維持してまいります。

 敬老乗車証については、今では、20指定都市のうち、既に廃止、或いは、元々導入していないところが7都市あります。私どもは、それを廃止するのではなく、10年かけて見直しを進めます。

 この半世紀の間に平均年齢は11歳上がりました。70歳以上を対象としてスタートした敬老乗車証制度ですが、当時の男性の平均年齢は70歳程でした。これが今は81歳にまで伸びている。そんな状況も背景にあり、丁寧に説明をさせていただき、10年かけて対象を75歳以上にまで対象を引き上げてまいります。御負担いただいている年間3,000円という金額については、その1割を御負担いただきたい。中学生・高校生の通学定期は年間9万円です。また、利用者の選択の幅を広げるため、それほど市バス・地下鉄を御利用されない方向けに、敬老バス回数券の導入も検討しています。

 こうした見直しは、決して高齢者福祉を後退させているものではない、御理解をいただけるものだと、私は考えています。若い世代への負担をできるだけ低減化していかなければならない、そういう時代でもあろうかと思います。市民の皆さんと一緒につくってきた京都の福祉や、全国に誇る様々な制度は、廃止するのではなく、持続可能なものにしていこうということですので、御理解を賜りたいと思います。


記者

 海外からの寄付獲得について、副業の外部人材の中にお一人専門の方を採用されておられ、他都市にない新たな試みをされています。市長御自身としては、海外からの寄付獲得について、どのような御見解をお持ちでしょうか。また、トップセールスのような形で、市長が先頭に立って、そういった働きかけをされるお考えはありますか。


市長

 10年ほど前、あるアメリカの文化遺産等の保護に取り組んでいる団体から御寄付をいただき、京都の町家を改修した事例があります。京都は日本の宝であり、同時に世界の宝でもあります。これを保護し、魅力を生かしていく。みんながより親しめる機会になる。このように考え、募集しましたら、多くの御応募がありました。

 以後も、海外からお越しになる方々に対して、或いは、海外のネットワークを持っておられる方に対して、寄付に関するリーフレットをお渡しして反応を見ています。是非、そうした寄付をいただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 近く、東京でスピーチする機会もありますし、先だっては、東京のロータリークラブで卓話をする機会もありました。このように、私自身が御説明し、アピールさせていただいています。また、口で言うだけでなく、外部人材・アドバイザーの方と、より突っ込んだ仕組みについても知恵を重ねながら取り組んでまいりたいと思います。


記者

 高齢者向けの鍼灸整骨院の補助で不正がありましたが、利用者の方々もルールを守っていなかったようです。そうした利用者に対して何かペナルティなどは課されたのでしょうか。また、再発防止についてはどのようにお考えでしょうか。


市長

 医療機関に対して、改めて啓発が必要だということも含め、毅然とした対処をさせていただきました。利用者に対するペナルティは、現時点で考えておりませんが、医療機関に対して、より徹底した指導をしてまいります。信用をなくしては医療機関の運営は継続できないと思いますので、不正は許さないということを徹底してまいります。


記者

 再発防止策について、利用者がきちんとした使い方をしていれば防げたという見方もあると思います。利用者まで一緒になって不正をされてしまうと、今のチェック体制では見抜けないと思いますが、チェック体制を変えることはされないのでしょうか。


市長

 市民に対してアピールすることは検討しておりますが、これについては、一旦、預からせていただきたいと思います。


記者

 子ども若者はぐくみ局の前局長の逮捕を受けて、昨日、初公判がありました。市では、内部調査委員会を設けて、関係職員の方への聞き取り調査等を進めてこられました。その中で、夏頃を目途に報告書をまとめるというお考えを示されていましたが、現時点の進捗状況はいかがでしょうか。


市長

 担当局から、委員会でも報告させていただいておりますが、職員の事情聴取、書類の調査を丁寧に進めております。概ねの調査が終わりつつありますが、分析していく中で追加調査等も行っております。

 また、捜査機関でも様々な情報を持っておられます。それが公判で出てくることもあり得るということで、調査のまとめに入る前に時間をかけ、公判の中で出てくる事実関係にも注目し、しばらく時間がかかりますが、取り組んでまいりたいと思っています。

 改めて、多くの市民の皆さんに大変な御心配、御迷惑をおかけして、申し訳なかったと思います。また、この調査委員会の目的は、事実関係の究明とその分析、そして、二度とこうした問題を起こさないという再発防止、信頼回復です。従いまして、公判で出てくる事実も含めまして、できるだけ正確なものを報告し、再発防止に万全を期してまいりたいと思っています。


記者

 新型コロナワクチンの件で、岸田首相がオミクロン株対応の新たなワクチンについて、1日100万回を超えるペースで接種を進めるという話もされています。市としての今後の進め方などはいかがでしょうか。


市長

 現在、市民の方の3回目の接種率は65%です。しかし、2回目の接種率が85%に達しているのに比べると、まだ少ない。特に30代、20代の方の接種率が40%台にとどまっています。また、若い方の感染が多いということで、若い方に向けた啓発に全力を挙げております。まだワクチンを受けてない市民の方が47万人おられるということで、8月末にお一人お一人に改めて通知を行いました。ワクチンの接種を検討いただき、接種していただくことを勧めています。

 4回目接種については、60歳以上の方の接種率は50%を超えていますが、接種対象になった方に対する割合では、70%もの方が受けていただいています。引き続き、希望する全ての方が接種を受けやすい環境を整えていきたいと思っています。

 そして、9月19日から2価ワクチン(BA1、従来型にも対応できるワクチン)が配布されることになりました。国、そして、京都府としっかりと連携しながら、まずは4回目接種の方からワクチンを切り替え、いずれは全ての方に切り替えていこうということで、スムーズに対応できるよう努力してまいります。


記者

 入国制限の緩和に関して、国の進め方は、ビザの議論もなく、少し言い方が悪いですがちまちま進めている印象を持っています。市長は、どう考えていらっしゃいますか。


市長

 まず、なぜビザが必要なのかと疑問に思っています。ビザ取得と感染防止にどのような関係があるのか。ワクチン接種を受けた証明をしてほしいなら、まだ分かりますが、ビザにそのような機能はありません。それが非常に負担感を与えています。海外に旅行へ行くときにビザが必要というのは、半世紀とは言いませんが、随分昔に戻っている。しかも、欧米先進国でそうしたことをしている国はどこもない。日本は鎖国しているのか、という評価です。

 6月10日から観光目的の入国が認められた際は、6月中に252人の方が日本に来られています。今回の緩和では、実際に何人の方が日本に来られるか。ガイド付きツアーでなければならないという制限はなくなりましたが、依然、ビザ発給の問題等もあります。

 水際対策が大事であることは否定しません。しかし、それなら病気も含めて、科学的な知見に基づく、分かりやすい説明のもと入国制限を実施していただきたい。これが私どもの希望です。

 岸田首相は、入国制限の水準を、先進国、G7並みにすると仰っていますので、早急にそのような取扱いとなるよう進めていただきたい。

 コロナ禍で、世界中が孤立、孤独、分断され、また戦争も起こっています。文化と観光によって多様性を認めあい、そして、包摂性のある社会にしていく。そのためには、観光という営みが21世紀の平和をつくり、平和を維持していく大事な装置であると考えています。更には、観光はSDGs実現に貢献するものでもあり、京都の観光はそういうことも目指していきたいと思っています。  

 また、宿泊施設や飲食店では、しっかりと消毒等の感染症対策をしてもらうことを注意、徹底しながらやっていきたいと考えています。


記者

 新型コロナの状況について、第7波に関しては、感染拡大は、飲食の場よりは、学校、高齢者施設、家庭内での発生が多いと思うのですが、感染症対策の基本的な対応は変わっていません。そんな中で、飛沫感染ではなく、エアロゾル感染に移ってきているので、対策も変えるべきではという話もあります。これについては、お考えはいかがでしょうか。


市長

 この13日間にわたって、京都市では陽性者数が減り続けています。先週は、1万2,500人、これは前週の約28%減です。そして、今週についても速報を見ましたが、30数%ほど減っているという状況です。第6波のときもそうでしたが、学校が始まると減ってきます。学校で、いかに教育活動と集団的な学びと感染防止を徹底していただいているか、ということでもあります。

 第1波から第6波までは、飲食の場での発生が多かったですが、第7波がそうでないのは、飲食の場での非常に注意していただいているからだと思います。

 引き続き、マスクを外して、近い距離で話をするということに気を付けなければなりませんので、飲食の際、話すときはマスク着用を徹底する。それから、エアロゾル感染にも気をつける。小まめな換気より、継続的な換気。換気をしながら冷暖房を実施することが大事になっている。

 このように、新型コロナの感染状況を注視しながら、対応を変えていかなければならないと考えています。


記者

 一昨日、静岡県牧之原市で、幼稚園バスに残された女の子が亡くなった事件について、基本的な確認ができていなかった事故だと思います。昨日、大阪府と大阪市は通知を出すなど、改善を探っているようですが、市長はどうお考えでしょうか。


市長

 水筒の水が空っぽになっていたと報じられていますが、閉じ込められたバスの中でもがいている子どもの姿を想像すると、本当に胸が締め付けられる思いです。

 福岡県中間市での事故の時にも注意喚起しておりますが、幼稚園、保育所等において、(安全管理を)当然のこととしてやっていただいてます。通知を出したらなくなるというものでもないですので、どういう方法があるのかも含めて、みんなで考えていきたいと思います。二度と起こしてはならないことであります。複数チェックするとかいったことも必要だと思います。


記者

 今回は幼稚園でしたが、これまで待機児童の解消について量の部分の解消を行政が進め過ぎたせいで、質が置き去りにされているということはよく言われてきました。今回は、まだ事故原因が解明されていません。バスの中にいた職員と園長二人とも70代だったことが原因かは分かりませんが、保育の質、子どもを育てる質ということを今一度考えなければならないと思います。その辺りはいかがでしょうか。


市長

 量と質という対峙した考え方で議論するのは、私はいささか疑問です。誰一人取り残さないということで量も大事です。量を疎かにすれば待機児童を作ることになります。例えば、小学校教育ですと、その地域におられる子どもはどんな事情があっても全部預かって教育するのが当たり前です。体育館を潰して教室にしてでもきちっと教育する。もちろん教師の数も確保する。だから、質が下がるかどうかというものではないです。したがって、幼児教育も保育も義務ではありませんが、必要な人に必要な保育、子どもの利益を最優先に保障していくということが大事です。量が大事なのか質が大事なのかという対立的な概念で捉えるべきではないと思います。

 京都市では、量も質も大事であるということで、巨額の単費を措置しております。ただ、今回の事故では、70歳を超える理事長が運転していたということでしたが、70歳を超えていたら危ないのかと言ったら、そうでもないと思います。一般論では語れない部分含めて、保育園も幼稚園もこども園も組織として保育、教育活動を実践されているわけですから、仕組みを作って事故を防ぐということが大事ではないかなと思います。


記者

 安倍元総理の国葬について、先ほどの説明では、本庁舎に弔旗を掲げて哀悼の意を示されるということでしたが、区役所・支所では、どのように対応されるのでしょうか。


市長

 7月12日もそうでしたが、本庁舎に京都市を代表して半旗を掲げて弔意を表したいと思っています。


記者

 ロシアによるウクライナの侵攻から8月24日で半年が経ちました。現在、市内には50人を超えるウクライナの方がおられ、皆さん生活基盤もだんだん整いつつありますが、片や就労に関する悩みも結構あるようです。京都市として就労面で支援できるような方策はお考えなんでしょうか。


市長

 現在50名で、今週中にあと6名来られます。毎週のように増えております。民間の方々、大学関係者、様々な支援で人が人を呼んでこられるということで、嬉しく、心強く思いますとともに、半年を超えて悲惨な状況が続いており、改めて、一日も早いロシア軍の撤退と平和の回復を祈り、また必要な支援を行っていきたいと考えています。

 住居の提供、市営住宅もどんどんと使っていただいていますし、市営住宅に入るまでに、民間のホテルがによる滞在場所の提供や、保育園や幼稚園による就学支援など、様々な支援をいただいていますが、そこで次のテーマが就労支援だと思っています。京都市の日吉ヶ丘高校の英語学科で、ALTの補助として来ていただいた方が非常に優秀で、正規のALT並みの仕事を十分できるということで、教育委員会において正規のALTに任命形態を変えようとしています。そうしますと、報酬が大きく変わります。そうした、できることをそれぞれの局や教育委員会で主体的に取り組んでいます。日吉ヶ丘高校だけではなく、他の授業でも子どもたちの教育に関わっていただき、非常に大きな役割を果たしていただいています。

 そうした実例を紹介しながらやっていますと、民間事業者からアルバイトのような形でも来てもらえないかという声もあります。

 避難されている方の7割が学生さんで、多くが女性です。男性は基本的に出国できない状況ですが、出国手続、或いは、兵役猶予のための手続等について、ウクライナの状況を調べて、(男性の学生に)オンラインで説明、フォローしておられるといった志の高い方々により、学びを止めない取組が進んでおり、関係者に敬意を表したいと思っています。


記者

 昨日、都市計画の見直しに向けて高さ制限などの規制緩和について答申(駅周辺等にふさわしい都市機能検討委員会)がありましたが、2007年に景観条例ができて、それ以降、数年おきに少しずつ見直しているのがこれまでの流れだと思います。今回の見直しは、市長が進めている成長戦略でも大事な位置づけだと思いますが、これまでの見直しより広い範囲に及ぶという理解でよいでしょうか。


市長

 現行の景観政策を始めて15年間、基本的に少しずつ見直してきたということはしておりません。

 昨日の答申の際にも申し上げましたが、現行の景観政策を始めて10年間は政策の実行を強化してきました。御所の横の神社の中にマンションが建つなど想定外のことが起こりましたが、例えば、二条城や寺社などの眺望景観を保全するため、全国初、世界でも希有な眺望条例を作りました。参道など、寺社周辺の景観にまで対象を広げるといった強化はしてきました。そして、10年目に景観政策の成果と課題のための審議会(新景観政策の更なる進化検討委員会)を作りました。同時に、活力ある京都を維持していくための審議会(都市計画審議会都市計画マスタープラン部会)も作りました。その答申に基づいて、昨年、都市計画マスタープランの見直しを行いました。

 この間、京都市では一貫して「保全・再生・創造」の理念を掲げています。ところが、京都市域全体があたかも保全地域のような扱いになり、人が住み、働き、そして学ぶといった創造地域でも事実上の規制が厳しく、ポテンシャルを生かせていないといった視点を絞った審議をしていただき、答申いただきました。さらに、高さの特例許可の対象にこれまでの公共・公益施設や優れたデザインの建築物に加えて、まちづくりに貢献する建築物を加える見直しを行いましたが、なかなか実例が出てこない。事業者や市民の方々から、やはり現実に合ったものになってないという指摘もありました。

 それらを総括して、昨日の(駅周辺等にふさわしい都市機能検討委員会の)座長の話になりますと、景観政策をしっかりと守っていく、守りつつ、生かしてない伸びしろをしっかりと生かしなさい、という答申をいただいたと思っています。しっかりと(伸びしろを)生かしていきたいと思います。

 答申がたまたまこの時期になりましたので、成長戦略と重なりました。成長戦略に大いに生きるものではありますが、そのために見直しをやっているのではなく、景観政策15年の歩みの中でこのような状況になっているということです。したがって、景観政策の本来の姿を再認識して、しっかりと京都のまちの景観を大事にしながら、創造的なまち、クリエイティブなまちにしていこうと考えています。


記者

 先日、京セラ創業者に稲盛氏が亡くなられました。稲盛氏は、京都市にもいろいろ関わりがあったということで市長もコメントを出しておられました。ベンチャー育成や、仏教会との関わりもあったと思いますが、何か印象に残るエピソードなどあれば御紹介いただけないでしょうか。


市長

 いろんな思い出があります。京都市立芸術大学を崇仁地区に全面的に移転することを発表したとき、いつも伏見区の自宅から崇仁地域の辺りを通り、商工会議所でお仕事をされてきた方ですので、あの崇仁地域に芸大ができて大きく変わると、非常に高い評価をいただきました。

 稲盛会長が作られた京都賞。京都賞は、非常に珍しく、文化・芸術を大事にされています。京都市京セラ美術館もそうですけど、京都の文化芸術、また、人を育てることに非常に関心を持ち、自ら御尽力されてきた方です。

 京都市立芸術大学が、いよいよ来年秋に崇仁地域に移転しますが、稲盛会長に評価いただいたものにふさわしい、文化と経済を融合して、文化庁の京都移転も併せて、文化で日本中が元気に、文化をプラスしたサイエンスと、アートをミックスしたイノベーション、スタートアップにつながるようなものにしていきたいと考えております。


記者

 稲盛氏の関連で、1980年以降、古都税と景観をめぐって京都市と京都仏教会が対立、稲盛氏が両者を仲介した経緯があります。近年、財政難もあり、寺社仏閣からお金を取るべきだとの声もありますが、古都税の復活は考えておられますでしょうか。


市長

 今川市長時代の京都市政の中でも非常に苦い経験の古都税紛争であったと思います。それから、田邊市長になり、その後桝本市長になられたときに、桝本市長と仏教会との関係は非常にいい関係でした。関係の回復を両者ともに望んでおられましたし、稲盛会長の御尽力もあって和解が成立して、その後から様々な共同事業が始まっています。仏教会と京都市といろんな関係団体が一緒になって、京の七夕、花灯路などもそうですし、様々な事業を一緒にやってきました。

 お寺や神社から税金を取るべきだとの声は聞きますが、法律では、お寺、神社は固定資産税や、宗教活動には税金がかからないとされています。古都税は、参拝した人に50円、10年間で100億円徴収するという制度でした。観光で来られた方から税金を取り、お寺にその税金を集める役割をしていただこうということに仏教会は反対されておられました。さらに、京都会館を建てる時に髙山市長が文化保護特別税を始めて、その後で、もう二度と(このような税は)やりませんと京都仏教会と約束されていたのを今川市長の時に復活されたという経過があります。

 観光客に税金を負担いただくために、私は集める役を宿泊施設にやっていただこうということで宿泊税を作り、今はコロナで厳しい状況ですが、コロナ以前は年間で42億円、古都税とは桁が違う税収となりました。今は厳しいですが、いずれこれが伸びていくと考えております。お寺に、宗教施設に税金をかけるということではなく、観光客に負担していただくために、誰に徴収いただくかということです。

 なお、お寺、神社、これもある意味で雇用主であり、働く人ですので、個人への税としても自らの収入に対しては税金がかかっていますし、駐車場等を経営しておられるところは税金がかかっておりますので、市民の方々にまるで宗教関係者、宗教施設は一切税金が免除されているというような誤解がないように、私どもも説明もしていかなければならないと思っております。

 今、京都市内に、お寺が約1,600、神社が約400ございます。全体として資金繰りは極めて厳しいです。50年後、100年後に、どれだけのお寺、神社が維持できているかということも関係者の中で深刻に議論されておられ、お寺はお寺で、神社は神社でともに成り立つ方策を考えておられます。東山3K(東山「観光・交通・環境」協力会議)、東山のお寺や神社が合同で、交通、環境、観光、この三つの取組に独自に支援制度を作り、お寺や神社が資金を出し合って、ボランティアと取り組んでおられるなど、宗教活動とは別に、社会貢献の取組もされているということで、私どもも連携させていただいています。


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