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市長定例記者会見(2022年8月2日)

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2023年4月12日

市長定例記者会見(2022年8月2日)

「令和3年度決算概況」について、京都市長が記者会見を実施しました。

※発表内容は、令和4年8月2日時点の情報です。

会見要旨(摘録)

市長

 本日は、令和3年度決算の概況をお知らせします。決算の詳細な説明の前に、二点お伝えしたいことがあります。

 一点目は、今回の決算で公債償還基金の枯渇の危機は回避できたということであります。

 本市は、地方交付税等の削減により一般財源収入が伸び悩む中、公債償還基金の取崩しなどの「特別の財源対策」により高い水準の各種施策を維持してまいりました。

 しかし、「特別の財源対策」はいつまでも続けることができません。私は持続可能な行財政の確立に向け、市長就任以来、3,800人の職員数削減などの行財政改革を徹底するとともに、国と一体となった経済対策を実行し、コロナ禍前、令和元年度の市税収入は過去最高になりました。

 ここから更に改革のギアを上げていこうとした矢先のコロナ禍であります。国も地方全体で5%以上の税収減、本市においてもリーマンショック並みの税収減が見込まれる中、今後、改革をしなければ、令和6年度にも公債償還基金が枯渇する危機に直面いたしました。

 こうした中、私は持続可能な行財政への道筋をつけるとの不退転の決意と覚悟で、本市の財政状況をすべて市民の皆様に改めて公表し、フルオープンでの「持続可能な行財政審議会」やパブリックコメントを踏まえて、令和3年8月「行財政改革計画」を策定。基金の枯渇を回避し、令和7年度末の残高を1,000億円以上確保することを必達目標にいたしました。

 この計画に対して、令和3年度決算と令和4年度予算の2年間で447億円の収支改善を達成しております。今後も改革を続けることにより、令和7年度末の残高は1,400億円以上を確保できる見込みとなっており、基金の枯渇の危機は回避できたことをはっきりとお伝えしたいと思います。

 二点目は、魅力あふれる京都を未来につないでいくために、今後もたゆまず、「京都ならではの改革と成長」を推進していくということであります。

 後ほど御説明しますが、福祉、子育て支援、教育、安心・安全、文化、環境、地域コミュニティなど、他の都市にはない京都の魅力は枚挙にいとまがございません。このオンリーワンの京都の魅力を未来に継承・発展させていくことこそ、改革の本旨であります。財政の現状はなお厳しいものがありますが、この指標だけを競い合うものでもないと考えております。

 あらゆる世代の方々に京都の魅力を感じていただき、住まい、働き、学ぶ、そして、将来につないでいくために、基盤となる行財政が持続可能であることが重要であります。令和3年度決算でなお残る85億円の赤字の解消等に向け、今後も行財政改革と都市の成長戦略を推進してまいります。

 改革に当たっては、これまでのまちづくりの施策の理念、一つ一つの施策の理念を大事にする。そして誰ひとり取り残さない、セーフティネットを守っていく。市民生活への影響を可能な限り抑えることに注意してきました。これからもそういたします。例えば、この10月から実施する敬老乗車証制度の見直しについては、20指定都市の中で7市がこの制度を廃止、又は、そもそも制度を持っていない中、本市では今後10年かけて、交付開始年齢を50年前に定めた、70歳から75歳に引き上げるとともに、市バス・地下鉄共通全線定期券、年額20万円相当のフリーパスを所得に応じて最小5%程度、最大でも2割程度の御負担で交付できるようにするなど、制度を再構築し、続けていこうとするものです。

 あわせて、文化芸術、産学公・地域連携、ソーシャルビジネス、スタートアップ、クリエイティブな担い手の集積など、他の都市にはない京都の強みを徹底していかした成長戦略を推進し、市民生活の豊かさを税収の増加につなげてまいります。例えば、国のスタートアップ・エコシステムグローバル拠点都市選定後のスタートアップ設立件数は70件と着実に実績があがっております。

 この間、一部、本市の財政状況について、あたかも破綻してしまったかのような論調もあり、市民の皆様には大変な御心配をおかけしましたが、しかし、「京都ならではの改革と成長」の確かな実績をこの決算でお示しすることができました。引き続き、市民の皆様と明るい展望を共有し、全力を尽くしてまいります。


 それでは、令和3年度決算について、具体的にご説明申し上げます。

 資料の2ページを御覧ください。令和3年度の市政運営においては、コロナ禍と財政危機の「二つの危機」が大きな課題でありました。まず、コロナ禍に対して、市民のいのちと暮らしを守るために全力を尽くしました。医療・保健所体制については、市長就任以来、全体の職員数を3,800人削減いたしました。一方で、あらゆる危機に対応した必要な執行体制はしっかりと確保しており、例えば、人口1万人当たりの保健師の配置数は、政令指定都市トップです。20市平均で1万人当たり1.6人ですが、平均の1.5倍となる2.4人、合計346人を配置し、コロナ禍で大きな役割を果たしております。

 また、市民の皆さん等への情報発信の強化にも努めるとともに、生活困窮者への支援や、中小企業等再起支援補助金・応援金、事業者への支援はもとより、文化・芸術関係者への支援も充実し、行ってまいりました。

 さらに、国や京都府においても、コロナ禍で様々な施策が実施されてきた中、市民に最も身近な京都市として、市民や事業者の皆さまに伴走型の支援を実施したことにより、それぞれの事業者等に必要な施策をつなげ、しっかりと活用していただけたと思っています。

 なお、地域の金融機関等とも連携を深め、共々に努力し、例えば、国の補助を受けられるよう、支援を行った結果、国の事業再構築補助金の金融機関別採択件数は、上位10行のうち3行が京都の金融機関であります。

 直近の京都市内の1週間の新規感染者数は、オミクロン株BA.5系統への置き換わりなどにより、驚異的なスピードで拡大を続けております。

 市民の皆さまの命と暮らしを守りきるため、保健所体制の強化・効率化、24時間体制で医療を提供する仕組みの強化など医療提供体制をしっかりと確保してまいります。往診等に協力していただく医療機関も49機関から184機関に拡充してまいりました。お盆が控えていますが、お盆休みの間の地域の診療体制についてもしっかり対応したいと思います。

 更に、ワクチン接種については、若い世代の方への3回目接種や、60歳以上の方、基礎的な疾患のあるリスクの高い方、医療従事者、高齢者施設・障害者施設等のスタッフ等の4回目接種に向けた接種体制の拡充や、幅広い啓発活動に全力で取り組んでおります。

 引き続き、感染防止対策の徹底と、地域コミュニティ、地域に根差した福祉の機能、社会経済・文化芸術活動を維持していくため、引き続き全力で取り組んでまいります。

 資料の3ページを御覧ください。財政危機の克服のために定めた行財政改革計画の確かな実績を刻んだ決算であります。

 昨年8月に、行財政改革計画を策定しました。歳入・歳出の改革に全力で取り組み、歳入面では、国や京都府とも連携して経済の下支えに取り組むとともに、何よりも市民や事業者の皆様の御努力があって、市税収入は堅調に推移いたしました。さらに、地方交付税の確保を国に求めた結果、地方交付税等を増額確保し、一般財源収入が増加いたしました。

 歳出面では、安心安全、京都ならではの子育て支援、教育、文化、環境など、京都の強みを伸ばしつつ、行財政改革計画の初年度として、人件費の削減など、行政の効率化を徹底いたしました。

 資料の4ページを御覧ください。この結果、令和3年度の決算と令和4年度の予算で計画を447億円上回る収支改善を達成いたしました。

 ただし、令和3年度の一般財源収入の増加は一時的なものでございます。また、収支は、前年度から改善したものの、85億円の赤字であります。更に、公債償還基金の計画外の取崩しの累計が大きく減少したとはいえ、505億円に上ることに加え、今後も超高齢化社会等の関係から、社会福祉関連経費の増加が続くことが見込まれます。財政は依然として厳しい状況にあります。今後も、改革を着実に実行し、特別の財源対策から早期に脱却することを目指してまいります。

 資料の5ページには,収支の状況、6ページから8ページには一般会計歳入決算の状況を記載しております。後ほど行財政局から説明させていただきます。

 9ページを御覧ください。歳出の状況です。新型コロナウイルスに対して、感染拡大防止と京都経済・市民生活の下支えに約3,000億円の対策を実施いたしました。あわせて、安心安全で子育て支援・教育が充実したまち、暮らしに文化が息づくまち、環境と調和した持続可能なまちなど、京都の強みをいかして、人と企業に選ばれるまちづくりを推進してまいりました。

 具体的な主な実績をご紹介させていただきます。保育所等を利用される児童数の割合は人口100万都市で最高となっており、保育所等は9年連続で、国の基準での待機児童ゼロ。学童クラブ事業は11年連続で待機児童ゼロを達成しております。

 また、環境と調和した持続可能なまちづくりにも挑戦しており、例えば、令和3年度のごみ量は、これまでの長年にわたる市民・事業者の皆さまのご尽力の結果、21年連続で減少し、ピーク時の82万tから38万tになりました。市民1人1日当たりのごみ量は、404g。先日環境省が発表しましたが、事業ごみも含め、政令市及び人口50万人以上の都市で最小となっております。

 さらに、市民の皆さまに安心安全に暮らしていただけるまちづくりを進めております。例えば、これまでから雨に強いまちづくりを進めてきており、5年に1度の大雨に対する整備率が全国トップの91%であります。

 また、現在、国が35人学級の実現に向けて計画的に実施が進められようとしています。取り組んでおりますが、本市では、全国に先駆けて、独自予算で平成15年度から小学校1年生の35人学級を、平成16年度から小学校2年生の35人学級を、また、平成19年度から中学校3年生の30人学級を実施しております。

 小中学校の1学級当たりの児童・生徒数は、小学校が約28人,中学校が約31人であり、政令市最高水準の指導体制を整えております。

 こうした少人数教育や、地域・PTAなどと連携し、参画していただく、開かれた学校運営等による学力向上の取組も成果をあげまして、全国学力・学習状況調査において、本市立小学校は連続して政令市1位になるなど、小、中学校ともに47都道府県及び20政令市、合計67自治体の中で、実質、全国トップ水準であります。

 その他、救急車が到着する早さは、8年連続で大都市トップであることに加え、人口1万人当たりの火災件数が大都市で4年連続最少であります。刑法犯認知件数もこの10年で7割減少しております。

 行財政改革を徹底しつつも、市民の皆さまのいのちと暮らしを しっかりと守っております。今後も市民の皆さまとともにくらすまち、働くまち、学ぶまちとしての京都の魅力を高めてまいります。

 10ページを御覧ください。京都のまちを発展させていくため、行財政改革を徹底してまいりました。例えば、市民のいのちと暮らしを守るために必要な執行体制は確保しつつ、業務の委託化や効率化等により、職員数を116名削減するなど、年間の人件費を45億円削減するほか、市民の皆さまの御理解、御協力、現場の職員の努力により、令和3年度の市税徴収率は99.0%となり、平成30年度と並んで過去最高となりました。こうした、行政の効率化の成果と一般財源収入の増加により、将来負担比率も低減させております。

 11ページを御覧ください。続いて,公営企業の決算についてご説明いたします。まず,市バス・地下鉄事業です。お客様数は増加するも、新型コロナの影響により依然減少したままの、厳しい状況が続いております。

 運賃収入は、令和元年度には市バスと地下鉄の合計で458億円あったことと比較すると、令和3年度で120億円、令和2年度で149億円の減収となり、この2年間、両事業合計で約270億円の減収となっております。

 厳しい経営状況を踏まえ、感染症対策と安全対策を徹底しながら経費の削減に努めたものの、運賃収入の減少の影響は甚大で、経常損益は、市バスは35億円、地下鉄は38億円の赤字であり、2年連続の赤字を計上しております。

 また、地下鉄は、累積資金不足が過去最大の417億円、資金不足比率は経営健全化基準の20%を上回る24.2%となり、昨年度陥った経営健全化団体からの脱却には至っておりません。

 市民生活と都市活動を支える市バス・地下鉄の持続可能な安定経営を目指し、令和4年3月に中長期の経営計画を策定しており、着実に実行してまいります。

 12ページを御覧ください。上下水道事業についてです。使用水量は、新型コロナウイルス感染症の影響により大幅に減少した令和2年度よりもさらに減少し、水道料金・下水道使用料収入は依然厳しい状況であります。

 大幅な減収が続く中にあっても業務執行体制の見直しなど、人件費、経費削減の取組を着実に進め、長期的な視点に立ち、市民の皆さまの生活を支える重要なライフラインである水道・下水道を守るため、老朽化した配水管の更新や、「雨に強いまちづくり」に向けた雨水幹線の整備等を着実に推進してまいります。

 13ページを御覧ください。今後の財政運営についてでございます。

 冒頭申し上げたとおり、公債償還基金の枯渇を回避するめどを確かなものにできました。今後も、魅力あふれる京都を未来につないでいくため、行財政改革と都市の成長戦略をしっかりと両立させて推進してまいります。

 私からは以上です。


質疑応答(摘録)※発表案件分

記者

 一般会計に関して、今後の目標としては、令和15年度までに公債償還基金の取り崩しから脱却するだけでなく、行政改革推進債など、全ての特別の財源対策から脱却されるということでよいでしょうか。


市長

 まずは公債償還基金の計画外の取り崩しから、できるだけ早く脱却する。そのために改革と成長戦略をしっかりと取り組んでまいります。特別の財源対策である行政改革推進債等についても同様です。


記者

 できるだけ早期ということですが、何年度と明確に示されていない状況が続いていますが、その点のお考えはいかがですか。


市長

 令和4年度予算、令和3年度決算では、計画を大きく上回る改革、収支の改善を行うことができました。しかし、このウィズコロナの時代に先行き不透明な部分も多くあります。当然、一日も早い計画の達成、収支の改善の前倒しに努めております。何年度ということも大事ですが、まずは何よりも市民の皆さんが安心・安全に暮らすこと、その上で、しっかりと未来につながる成長戦略も推進していく、このバランスが非常に大事です。そのため、現時点で何年度と決めてしまうものではないということです。昨年8月に決めました行財政改革計画を必達目標として、できる限りそれを上積みしていく。この取組を引き続き推進してまいります。


記者

 交通局の市バス・地下鉄の運賃値上げについて、令和4年3月の議会では、「あらゆる手段を取ったうえでの値上げ」という付帯決議がつきました。一方で、市としては、以前から値上げは必要であるとのお考えでした。いつ値上げが必要だという判断になると、お考えでしょうか。


市長

 今も市バス・地下鉄は、厳しい状況が続いています。祇園祭でたくさんのお客さんに御利用いただきましたが、それでもコロナ前より2割少ないという状況です。そんな中でも、市民の財産である地下鉄・市バスを長期にわたって安定的に経営していくことが必要です。市民の方々も参画され、令和4年3月、「京都市交通局市バス・地下鉄事業経営ビジョン【改訂版】」を策定しました。その中には、地下鉄は7%、市バスは8%の値上げが必要であるということも記載しています。しかし、これは決定したものではありません。以前は、地下鉄・市バスとも、10%値上げが必要だという議論もありましたが、あらゆる努力を講じたうえで、値上げという方向を示したところです。

 あらゆる情報を公開しつつ、市民の皆様には御理解・御協力をいただきながら、値上げ自体は最後の手段とする。市会を含め、最初から値上げありきではなく、あらゆる努力をした結果であるという議論をされました。したがって、現時点で、いつ、いくらの値上げをする、ということを表明する考えはありません。引き続き、あらゆる努力を続けてまいります。


記者

 その「あらゆる努力」というのは、おそらくコロナ禍が無かったとしても、当然続けられていることだと思います。コロナ第7波もあり、今後の見通しが立たない中で、市バス・地下鉄の健全化のためのリミットがいつか。これはどこかで判断しないといけないことだと思いますが、いかがでしょうか。


市長

 仰るとおりで、民間の鉄道等についても、この間、様々な要因で運賃改定が続いているところですが、運賃改定にあたっては、議論を含めて、改めて国への申請が必要になります。いつまでに何をするということを現段階で申し上げることはできませんので、御理解賜りたいと思います。


記者

 今回の発表で、昨年度と比べて赤字が半分と、大きく進歩されています。一方で、その要因は、企業の収益や、国から地方への予算という側面が大きい。まだ、赤字もある中で、今後の改革を続けていくには、根本的な解決は、まだまだ厳しい状況かと思います。この点について、市長のお考えをお聞かせください。


市長

 昨年、約2年間にわたる持続可能な行財政審議会、そして、根本的な改革につながる行財政改革計画を策定しました。それに基づき、現在あらゆる取組を実施、実行しているところです。したがって、その改革期間を長く取れば令和15年まで、当面は5年間、そのうち集中改革期間は3年間。こういうスパンでやっています。今回の令和3年度決算と、令和4年度予算で計画を大きく上回る収支改善ができましたので、令和6年度に公債償還基金が枯渇してしまうのではと言われた状況から大きく前進したわけです。

 これは当初の危機感の表れですが、リーマンショックの際は過去最大の税収減と、大変な事態でしたので、そうした経験も踏まえて、今回の行財政改革計画を策定しました。そして、抜本的な改革を打ち出し、この2年間で大きく前進したということです。

 しかし、依然として実質的な収支は赤字。特別の財源対策として、公債償還基金を取り崩しています。また、これから中長期的に超高齢化社会となる中での改革となります。京都は手厚い福祉施策等をやっていますが、これをしっかりと維持しながら改革をしていかなければならない。民間企業と違い、行政は福祉施策を安心・安全の取組として行っています。施策の水準を国並み落とせばすぐ改革できますが、それでは、京都の魅力がなくなってしまいます。こうしたバランスを取りながら改革を進めます。しかし、一部で挙がっていた、破綻するのではないかという御心配については、それは無くなりましたということを申し上げます。


記者

 以前、保育料については、値上げを先送りするというお話もありました。これについて、現状のお考えはいかがでしょうか。


市長

 あらゆる世代が京都に住まい、働き、そして、学び、子育てする。そういう魅力ある京都を継続していくことが、財政改革であるとともに、成長戦略も含め、魅力ある京都を未来につなげていく上でも、極めて重要です。

 来年度予算の検討はまだこれからですが、私としては、子育て支援は大事にしていきたい。保育料だけでなく、保育士の配置基準についても同様で、これは国の基準の1.3倍を超えています。90人定員の保育所については、国の基準では12人のところ、京都市は16人配置しています。こうしたことをしっかり確保しながら、持続可能な財政を確立する取組を進めてまいります。


記者

 先ほどの令和6年度の公債償還基金の枯渇の危機を回避したというお話ですが、更にその後の危機については、どのような認識でしょうか。


市長

 公債償還金の枯渇の恐れがあることが、一番の山場という当面の想定でしたが、今回、将来にわたって改革を進める中で枯渇することはないと見通しが立ったということです。公債償還基金の計画外の取り崩しから脱却していくことを掲げての取組ですので、極端に言えば、更に将来にわたって公債償還基金を枯渇させない見通しが立ったということでもあります。


記者

 財政再生団体には転落する可能性があるという危機が無くなったという理解でよいのでしょうか。


市長

 はい、その理解で結構です。


記者

 市の税収額が令和3年度は史上2番目ということでしたが、これはどのような取組が特に奏功したと御自身で評価されていますか。


市長

 コロナ以前、税収は令和元年度まで5年連続で増加し、令和元年度が過去最高でした。その5年間で、納税義務者数も5%増加。そうした上向きの状態だった中でのコロナ禍でした。ただ、一昨年は危機的な想定をしていましたが、おかげさまで市税収入は堅調に推移してきました。コロナ禍で、納税義務者数は4,000人減っておりますが、令和元年度からは4,000人増えている。コロナ禍の影響は大きいですが、全体としていろんな本市の経済対策や、市民、事業者の皆様の御努力で、堅調に推移したと考えております。


記者

 依然として赤字であり、公債償還基金もまだ取り崩しているということで、今後も税収を増やしていく必要がある思いますが、今後の取組はどのようにお考えでしょうか。


市長

 昨年8月の行財政改革計画で、京都の5つの未来の形を示しております。端的に言えば、京都のポテンシャルを最大限に生かしていく。例えば、文化と経済の融合。文化庁が京都にやってきまして、いよいよ京都が日本の文化の都になる。もともと京都は文化を経済に生かしてきました。

 今後は、例えば、京都市立芸術大学の移転。同大学は、明治13年日本で最初の画学校として認定され、西陣織、京友禅、京焼、清水焼など、当時の京都の基幹産業に魂を入れようということでつくられたものです。それが京都駅周辺に移転します。これは単なる移転ではなく、文化と経済の融合を図る、更には、スタートアップ等々も広げていく、様々な取組を進めています。

 もう1点は、京都は魅力あふれるまちですが、多くの国内外の企業が京都に進出して起業あるいは成長していく。しかし、産業用地がない、オフィスがつくれない、そういう課題があります。景観政策は、本来は、保存と再生と創造、その三つのバランスを取ることが大切ですが、あたかも京都の町全体が保存地域かのような印象になっています。それで、なかなか、産業用地やオフィス、研究所等々が進出しにくい、また、せっかく京都で大きくなった企業が拠点を外に移さざるを得ない。こうした問題も生じています。そうした土地の利活用も含め、しっかりと取り組み、市民の皆さんも京都の中小企業等も大切にし、それが税収の増加にもつながる。こういう取組を引き続きしてまいりたいと思います。


記者

 法人市民税についてお伺いします。税収が上振れした部分で、法人市民税が一部業績の好調とありますが、もう少し具体的に教えていただけないでしょうか。


市長

 コロナ禍で厳しい業種もある中で、京都の地域企業、中小企業も含めて御尽力いただいたと思っております。その中で、大きく伸びたのは、京都に本社を置かれる地域企業。その伸びについては、どこがどれだけ払われてというのは具体的には言えませんが、とりわけ10社で、増額分の9割以上を占めています。京都のオンリーワンの取組をされている企業がコロナ禍の中で健闘していただいているということは非常にありがたいことです。


記者

 特別の財源対策が89億ということですが、令和3年度予算の編成段階では200億を超えていました。この予算における厳しい見込みは、財政危機というのを強調する意図もあったのでしょうか。今振り返ってこれは適切だったのでしょうか。


市長

 令和3年度予算編成段階では、国においては地方自治体の税収が全国で5%減という見込みを立てられました。また、本市では、リーマンショックの際の過去最大の赤字という経験も踏まえながら、令和3年度予算を編成しました。なお、リーマンショックの際は、私が市長就任1年目のことですが、一般会計で30億円と過去最大の赤字。また、特別会計も含めて300億円の赤字。さらに、生活保護費等が増え、それが7~8年続き、この5年間でようやく戻ってきた。こうした状況でした。

 国においても、当時のマスコミの報道を見る中、このコロナ禍でリーマンショック並みになるのでは、あるいは、リーマンショックを超えるのではという心配がありました。どんな事態になっても、コロナ禍でも、しっかりと市民生活を守り、そして、命と暮らしを守っていく。こういうことが大事であり、適正に国の指標等も勘案しながら過去のデータにもポイントを置き編成した予算です。

 国において厳しいコロナ禍だからということで、減り続けていた地方交付税が措置された。また、想定以上に国の税収も伸びました。京都市の税収も伸びました。さらに、歳出抑制も含めて、様々な要素で収支改善につながっています。

 そこから、令和4年度の予算においても、税収の見込み、あるいは、歳出抑制、人件費削減等を徹底した中で、トータルで大幅な改善につながっています。


記者

 この間、行財政改革計画に基づいて様々な市民サービスの見直しを進めてこられました。そして、これから始まっていく改善もあると思いますが、今回の決算も踏まえて、市民サービスを見直すとの方針を変えるお考えはありますでしょうか。


市長

 この行財政改革計画は未来のために負担を先送りしないために必ず実行しなければならない計画です。そして、それを上回る実行をしていこうということも、議会でも市民の皆さんにも公にしています。従って、令和15年度に終わるという計画をもっと早めなければならない。そのためには、この改革を緩むことなく実行し、同時に、成長戦略をしっかりと行っていきます。

 ただ、冒頭にも申し上げたように、誰一人取り残さない。何ための改革なのか。これは京都ならではの福祉や教育、子育て支援、そうしたことを将来に渡ってしっかりと充実させていく、安心・安全な魅力あふれる京都を維持していくための改革であります。それで、一つ一つの政策をその理念に基づいて見直したものでありますので、それを見直すということはございません。


記者

 一般財源で、収入が過去最大規模になっていますが、これは反面、財政難からの市民サービスカットというところと相反する部分もあるか思います。一般財源が増えているのに、サービスカットを続けるというところで、市民理解をどのように得られるか、お考えを聞かせください。


市長

 令和3年度の一般財源収入は、地方交付税が増額されています。令和4年度予算では地方交付税は減っております。従って、地方交付税が地方の独自の財源であることを国に厳しく要望し、改善を求めていきます。

 京都市の財政が厳しくなってきたのは、平成15年から始まった三位一体の改革、それにより、京都市の地方交付税はピーク時から600億円を超えて減額されました。財政計画は立てていましたが、税収の増や人件費削減などは概ね計画どおり、又は計画を超えて実行してきました。しかし、地方交付税が計画以上に、想定以上に減っている。それが一番大きな要因です。

 従って、令和3年度の地方交付税は、ボーナスのようなもので、国において、コロナ禍で地方財政がひっ迫しないよう、景気の下支えをしなければならないということで、特別な対策を取られた。これが続くことは、考えられません。国に地方交付税の必要額の確保はしっかりと求めつつも、特別な要素で地方交付税が増えた分を頼りにして、これが続くだろうという前提で予算編成はできないということです。

 これから、コロナ禍が収まっていけば、国も今のような財政出動を続けるかどうかは、非常に難しい状況になってくる。そういうことも含めて、国に必要な要望はしつつ、京都市は自立した財政を確立していく。国が地方交付税をちょっと変えたから、京都市の財政が厳しくなる、ということはあってはならないと思います。

 そうした考えで、いかに京都市の成長戦略を進め、市民の豊かさ、税収につなげるか。そして、制度開始から、抜本的な施策の効果等の検証がされてなかった施策等を、一つ一つ理念に照らし合わせながら、効果性のあるもの、持続可能なものにしていくということが大事だと考えております。


記者

 今の話だと、令和3年度と令和4年度の2年間での447億円の収支改善は不確定要素を含んだものということなりますが、その上で、公債償還基金の枯渇は回避できたと明言される根拠はどこにあるのでしょうか。


市長

 この改革のスタートは、令和3年8月の行財政改革計画です。また、その前、令和2年1月には改革の骨子を発表しました。その際に、このまま改革しなければ令和6年度にも公債償還基金が枯渇すると言っておりました。何としても公債償還基金を枯渇させてはならない。そのための必達目標として、令和7年に1,000億円を確保する、としたわけです。そして、今、歳出削減、また税収が堅調に推移しました。また、地方交付税も当初の予定よりも大きく前進したということで、令和6年度はもとより、令和7年度の公債償還金の残高が1,400億円を超えて確保できました。これで公債償還金の枯渇が回避できたということです。引き続き、公債償還基金の計画外の取り崩しからの早期脱却を目指して取り組んでまいります。


記者

 今回、令和3年度決算と令和4年度予算で、計画の447億円を上回る収支改善ということで、当初思われてたよりぐっと前進したということだと思います。何がそういう計画を大きく上回って前進した一番の要因だと考えておられますか。


市長

 3点あったと思います。一つは、徹底した行財政改革、人件費の削減等。2点目は税収が堅調に推移したこと。これは国や府と連携した経済対策や、それぞれの市民、事業者の御努力の賜物だと思います。そして、3点目は、令和3年度については、地方交付税が予想以上に確保できたということです。


記者

 地方交付税の増額は一時的なもので、今後減額も考えられる中で、それでも令和6年度、7年度での枯渇の危機が回避できて、その残高が1,400億円保てるという根拠について、もう一度御説明をお願いします。


市長

 この2年間、発表し続けていることを土台にして御説明していますので、原点からお話しします。

 公債償還基金の枯渇と言ったのは令和2年11月です。このまま何も改革をしなければ、令和6年度にも枯渇する可能性がある。ということで、覚悟を決めて改革すると申し上げました。そして、基金を枯渇させないために策定した計画が、令和3年8月に策定した行財政改革計画です。

 令和7年度に公債償還基金残高1,000億円を確保することを必達目標として、引き続き、計画外の取り崩しを早期にゼロに持っていくということで、この計画を実行しました。結果として、令和3年度決算と令和4年度の計画を上回る実行によって、443億円の収支改善ができました。従って、令和2年11月に申し上げた、公債償還基金枯渇の恐れについては回避できたということです。


記者

 そうすると、地方交付税増額というのも一要因ではあるけれども、行財政改革を想定を上回るペースで進めた結果、将来的に基金頼みではなくなる目途が立ったということでしょうか。


市長

 現在取り組んでいる行財政改革計画を止めたら、危機を回避することはできません。行財政改革を計画どおり実行していくことで、今回、公債償還基金残高の必達目標を上回ることができました。緩むことなく、改革をきっちりとやっていけば、公債費償還金の計画外の取り崩しからの脱却をより早め、さらに次は累計505億円の計画外の取崩しの復元を進めていくということです。これから引き続き、行財政改革計画と成長戦略の推進を両立させてまいります。


質疑応答(摘録)※一般質疑分

記者

 新型コロナ感染拡大に関連して、高齢者に対する行動制限について、市長のお考えをお聞かせください。


市長

 この第7波は厳しい状況で、とりわけ高齢者、或いは、基礎疾患のある方、重症化リスクの高い方の命をどう守っていくかということで、保健所機能の強化、6月から在宅の方、或いは、施設入所者の医療体制の充実・強化等に取り組んでおります。

 一方で、京都のまちは、地域に根差した福祉や子育て支援、子どもの見守り、あらゆることを高齢者に担っていただいています。これが非常に難しい部分です。消防団活動や自主防災会の活動、また、市独自の制度として老人福祉員が1,470人程おられ、独居老人を訪問してくださっています。緊急事態宣言中は止めていましたが、これらをやめてよいのか。地蔵盆も、3年連続実施を見送ればもう再建できなくなるのではないか。したがって、新たな専門家の知見に基づくワクチン接種、そして、感染防止策。一人一人のこの2年半の知見に基づき、あらゆる対策を徹底しながら、高齢者の見守りや、子育てや文化の継承のためにやってきた地域活動を両立しなければいけない。これは西脇知事と同じ考えですし、そのためにはあらゆる知恵を駆使したいなと思っています。

 行動制限といってもいろんな専門家の意見がありますが、慎重な人はより慎重になり、そうでない人は動いておられる。そのため、一人一人にいかに的確に行動の留意点をお知らせしていくかが、一番大事ではないかなと思います。


記者

 安倍元首相の殺害事件の関係で、政治家と旧統一教会の関係が注目を集めています。門川市長御自身は旧統一教会との御関係はいかがでしょうか。今まで選挙に協力していただいたことはありますでしょうか。


市長

 一切ございません。


記者

 旧統一教会との関係性で、市長個人としては一切関係がないというお話がありました。市としても、特段その関連団体のイベント等に後援を出したり、会場を貸与したり、先方からの打診も含めて、そうした関係性は無いという理解でよろしいでしょうか。


市長

 先方からの打診については、全てを把握しているわけではありませんが、私の把握している限りでは関係性はございません。


記者

 新型コロナに関連してお伺いします。市長御自身も先日感染されましたが、それを踏まえて、また、これからお盆も近くなる中で、対策としてどういったことが必要かなど、お考えは変わられましたか。


市長

 私自身が不注意で感染したと言ったら、感染した方を批判しているようですので、非常に難しい表現ですが、より注意していかなければと感じています。

 感染が確認されたのが選挙投開票日の翌日でした。密集するところでは、いつも不織布のマスクの上に布マスクを二重で着用しています。症状は、ちょっと咳が出ただけですが、抗原検査をして陽性になりました。会話の際にはマスクをし、それから、非常に換気のことも気を付けていました。また、消毒も非常に大事だと思っています。

 ただ、私自身は、咳は半日で収まり、10日間熱は出ませんでしたので、隠れた感染者が相当おられるだろうと感じました。これを全て洗い出すことはできないので、やはり皆がマスクの着用や換気を行い、感染対策の基本を徹底していかなければならないと思っています。


記者

 先日、NTTが本社機能を京都市の一部に移すという報道がありましたが、その受け止めは。また、もし何か企業側から市長に話があったのであれば教えていただけますでしょうか。


市長

 NTTには、今回の御英断、そして、京都のまちの様々なポテンシャルを評価いただきありがたいと思っています。今後も、市担当と意見交換させてもらい、しっかりと連携を深めてまいります。

 これからはオフィスや研究機関が置ける産業用地の確保が極めて重要ということで、引き続き、都市の成長戦略を推進していきたいと考えています。


記者

 洛西ニュータウンの再開発、活性化が昔からの課題としてあると思いますが、これについてのお考えはいかがでしょうか。


市長

 地域と一緒になって、洛西ニュータウンまちづくりビジョンを策定しています。加えて、大原野地域の一部は市街化調整区域とし、大きな竹藪と田畑を残し、農林業を大事にしていこうとしています。大原野のところは、すばらしい自然環境がありますが、農業従事者がだんだん減っている。したがって、市街化調整区域は維持しつつ、新たな住宅が建てられるようにする。こうした条例を昨年制定しました。あのすばらしい自然と農業を大事にしながら、新たに住む人を確保して、地区計画を立て、そこに産業も起こしていこうという計画です。また、洛西ニュータウンでも、やはり子育てが大事だということで、現福西小学校の敷地に、小中一貫校を創設します。

 当初は、極端に言うとコンビニも作ってはいけないというような計画で、まさにベッドタウンの地域でしたが、ビジョンでは、それをどんどん変え、将来働く場所としても、また、商業が可能な場所にしていこうとしています。そうした取組で、居住する魅力も高まっていく。そのようなビジョンを着実に進めていきたいと考えております。


記者

 伏見区に今年度中に着工予定の救護施設について、近隣住民から反対の声が上がっているのは御存じかと思います。市長として今後どのように計画を進められるか、教えてください。


市長

 大阪自彊館は、非常に歴史のある、地域に信頼されて施設等を運営しておられた団体であり、実績のあるところです。新しいものができることに対して不安を感じておられることは、しっかりと説明が住民に届いてないということだと思いますので、丁寧な説明を進めております。私は、御理解いただけると思っています。

 その施設の入所者が、幼児や子供たちに何かしたというようなことはございませんので、丁寧に説明して進めていきたいと考えております。

 全員が賛成しなければできないというものではないと思いますが、可能な限り丁寧な説明をし、理解を求めて、大事な施設ですので、早期に開設できるように取り組んでまいりたいと考えております。


記者

 3年前にも向日市と京都市の境目のところで建設計画があって、その時は、市の説明に対して一定の住民の方の理解が得られずに建てられなかったと経過もあります。今回、また同じような問題が起きていて、何か対策などを講じたりはされますか。


市長

 今回は京都市内の話ですので、京都市が事業者とともに責任を持って丁寧に御説明していきたいと思います。前は隣の市から反対されましたが、今回は京都市内です。御意見をいただく方にはしっかりと説明していきたいと思っています。


記者

 入所者の方も市民ですし、地域に住んでいる方も市民です。どちらも良い関係を築くためには、まだ歩み寄りと理解が必要なのかなと思いますが、その辺りはいかがですか。


市長

 いろんな施設を建てるとき、当初は反対意見も含め様々な御意見をいただきますが、できてからは非常にいい関係になっていることもたくさんあります。可能な限りの御説明、努力をしながら、必要な施設だと決断し、やっていかなければならないと思います。そのため、関係者が丁寧に説明させていただいているところです。皆様が理解し合わなければ世の中の社会的な課題は解決しませんので、御理解いただきますようよろしくお願いします。


記者

 計画に変更はないという認識でよろしいですか。


市長

 ございません。


記者

 コロナ禍の中で3年ぶりに祇園祭が開催されましたが、コロナ禍での祭のあり方について市長の御見解はいかがでしょうか。また、併せて、因果関係は分かりませんが、祇園祭の山鉾巡行等が終わった最中に市内のコロナの感染者数も急拡大しました。その辺りの検証について何かお考えはありますか。


市長

 これは全国レベルで調べなければならないことだと考えております。私どもも、感染拡大の要因は様々なデータを取り入れながら分析していきますが、一つの行事で感染拡大したというのは非常に難しいと考えております。そして、八坂神社、山鉾連合会等のそれぞれにおいて感染防止のため、最大限の努力をされたお祭りだったと考えております。

 その上で、ウィズコロナ時代、いろんな知見を生かしながら、文化、伝統の継承、そして、感染防止を両立させていく教訓を得ていきたいと思いますし、次にも生かしていきたいと思っております。

 これから五山の送り火がございます。当事者の皆様は、密にならないように気を付けるなど、 感染対策をしっかりと講じつつ準備を進められているとお聞きしています。


記者

 全国学力テストの結果についてです。京都市立の小学校は特に20政令市の中でもトップ、47市町村を加えても石川、秋田、福井に続いて4位と聞いております。このトップ級の結果を継続している理由について、市長はどのようにお考えでしょうか。


市長

 その四つの県というのは日本海に面しており、昔から学力が高い。大きく二つの要素があると考えています。一つは、古き日本の原形があること。おじいちゃん、おばあちゃんが近くに住んでいる、共働き世帯が多いなど、様々なことが言われています。もう一つが、私学がほとんどないこと。学力テストは私学を除いて実施されています。

 京都市の場合は、私学教育発祥の地で、京都市内だと日本で最も私学の割合が高い。私学教育が非常に活発な中で、その私学を除いて、京都市立の小学校だけで、政令市1番となっています。

 私が教育長をしている頃は、小学校は全国の都道府県で10番ぐらい、中学校は40番ぐらいでした。中学の方が低いのは、1割が私学へ行くというのが、学力テストへの影響が大きい。しかし、私は現場の先生方が偉いなと思うのは、親の教育的関心が高い層、学力の高い層が私学に行っているから、学力が相対的に低くなるとは言ってはならない、とされていることです。難しい問題をやっているわけではなく、基本的に身につけるべき学力が見についているかを問うている問題だと。したがって、頑張れば伸びるということで、一生懸命やっていただいた。それが、保護者の参画も得て、地域の参画も得て、子どもたちのモチベーションも高く、狭い意味での学力ということではない意識で取り組んだ結果だと思います。

 議会で、学力テストの全国一番を宣言すべきだ、という質疑がありましたが、それはしない。学力には、見える学力と見えない学力、後伸びする力があります。これをトータルでやらなければなりませんので、今回の学力・学習状況テストを目標にした取組はしてはならない。今回の好成績は、日常の学習をしっかりと高め、結果として、学力テストの成績につながることを地道にやってきていただいたおかげだと思います。

 もう一つは、やはり幼児教育、保育も含めた力だと思います。文科省の保育所、幼稚園、小学校教育の連携のモデル校に指定されたこともございます。また、幼児教育も京都が発祥の地です。また、何よりも子どもたちと先生が頑張っていただいています。いろんなことが土壌になっていると考えております。


記者

 3年ぶりに山鉾巡行も再開して、夏休みに入って、観光客も増えるということを見込まれていたところで、今、第7波が来ています。観光業や宿泊業に従事されてる方には、打撃もあるかと思います。そういったところへのサポートなど、観光・宿泊業へのてこ入れなど、現時点でどういうことをお考えでしょうか。


市長

 まずは体調の悪い時は出かけない。旅行に行かない。こういうことの呼びかけを徹底していくしかないと思っています。そして、旅館等においては、検温とか消毒などをより徹底していただくようお願いし、やっていただいています。そうしたことを、一人一人が、一つ一つの事業者が、再徹底していくことが大事だと思います。


記者

 手指消毒などは、今まで実施されてきた事業者等の方も多いと思いますが、これまでどおりの対策をこれまでも続けていくということでしょうか。


市長

 より効果的に徹底していくということです。また、もう一つはワクチン接種です。今、3回目接種の接種率が20代、30代の方が低い。それらをより徹底していきたいと思っています。3回目接種は12歳以上で全体では63%。特に60歳以上が8割を超えています。一方で、30代は45%、20代は42%、10代は23%。そして、この世代に感染者が多い。若い方の3回目接種をあらゆる方法を使って啓発し、重症化リスクの高い60歳以上の方の4回目接種、これもより強力に推進してまいります。まだ2回目接種しかしていない、又は1回も接種していないという方が現在47万人おられますが、これらの方に対して、京都市独自で8月末に再度接種をお勧めするはがきを送りたいと考えています。さらに、この間、KBSホールや、みやこめっせなど、様々な場所で事前予約なしの接種会場を設けていますが、あらゆる啓発も含め、ワクチン接種の条件整備を進めたいと思います。 


記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

https://youtu.be/pN2SV5nVa-0外部サイトへリンクします

会見資料

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