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門川市長臨時記者会見(2022年2月7日)

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2023年4月12日

門川市長臨時記者会見(2022年2月7日)

「令和4年度当初予算(案)の概要」について,京都市長が記者会見を実施しました。

※発表内容は,令和4年2月7日時点の情報です。 

会見要旨(摘録)

【はじめに】
 コロナ禍で厳しい状況にある市民の皆様,地域企業,中小企業等の皆様を守り抜く。同時に,財政危機を乗り越え,明るい未来を切り開く。この両立を図り,京都の今と未来に責任を果たすため,全庁一丸となって予算編成にあたりました。本日は,その概要がまとまりましたので,御説明いたします。


【1 予算編成方針】
 それでは資料の1ページを御覧ください。はじめに,予算編成に当たって,私の考えを申し上げます。
 令和4年度予算案は,令和3年8月に行財政改革計画策定後,初めて編成する予算でございます。市民生活の安心安全,都市の成長戦略の推進,財政構造改革この3つの重点のもと,政府の経済対策と歩調を合わせ,令和3年度2月補正予算と一体的に編成いたしました。この間,2年間にわたり,本市の財政状況をすべて公表し,公開された審議会で議論を深め,議会でも議論を重ねていただき,市民の皆様への説明責任をしっかりと果たしたうえで,行財政改革計画を策定し,令和3年度から令和5年度までの3年間を集中改革期間と位置付け,私自身が抜本的な改革を決断,実行する,その不退転の決意と覚悟をお示ししてまいりました。

 行財政改革にあたっては,市民生活への影響を最小化するため,まず,行政の効率化など行政内部の改革を徹底して行ったうえで,あらゆる知恵をしぼり,汗をかき,取り組んでまいりました。更に,経費の節減,事業費の縮減にとどまらず,社会経済状況の変化や時代の潮流をとらえて,施策を持続可能なものに再構築することを基本といたしました。その結果,令和4年度予算においては,行財政改革計画で定めた歳出上限を厳守し,歳出上限よりも一般財源を68億円抑制いたしました。

 一般財源収入につきましては,市民・事業者の皆様の努力,国・府とも連携した経済の下支えにより,リーマンショック並みと危惧された市税収入の減少は回避できる見込みであることや,国においても必要な地方一般財源総額が維持・確保されたこともあり,令和4年度の一般財源収入は,前年度から56億円の増となる4,415億円を見込んでおります。 特別の財源対策による収支不足の補てんを前提とせず,徹底した見直しを進めた結果,実質的な赤字である収支不足額は,前年度の236億円から119億円改善し,117億円となりました。
この不足額を補てんするための特別の財源対策のうち,公債償還基金の計画外の取崩し額は,前年度の181億円から125億円と大きく圧縮しましたが,しかし脱却には至らず,やむを得ず,56億円を取崩します。3ページを御覧ください。公債償還基金残高の確保についてでございます。
行財政改革計画策定前の試算では,一般財源収入が増えない中,社会福祉関連経費が増加。拡大する収支不足に対して何ら改革をせず,公債償還基金の取崩しを続けた場合,令和6年度に基金は枯渇が見込まれました。このため,基金の枯渇を回避し,令和7年度の残高1,000億円以上を確保することを行財政改革計画の必達目標として設定しました。

 これに対して,現在の状況は,まず,今年度,令和3年度は,市税の減少が想定より小幅にとどまる中,急激な景気悪化に備えた国の的確な地方財政対策により,一時的に,一般財源収入が,当初予算を200億円と大幅に上回る見込みでございます。この200億円については,令和3年度2月補正予算で活用(13億円)するほか,187億円を,これまでの公債償還基金からの借入288億円の返済に充て,将来世代への負担を軽減いたします。なお,平成17年度から20年度に借り入れて以降,初めての返済となります。

 次に来年度,令和4年度予算においては,計画外の取崩しを,行財政改革計画での試算160億円から104億円圧縮し,先ほど申し上げたとおり56億円といたします。これらに加え,令和5年度から7年度においても,行財政改革を着実に達成することにより,令和7年度末の公債償還基金の残高を令和2年度決算と同水準の1,330億円以上を確保し,公債償還基金の枯渇の危機を確実に回避できる目途を立てました。

 この間,大変な御心配をおかけしましたが,行財政改革計画を着実に達成することにより,明るい展望が確かなものになります。令和4年度予算は,その第一歩となる予算でございます。 改革の中には,一定の負担をお願いすることもありますが,改革の趣旨とその先に持続可能な京都のまちの姿があることを,魅力溢れる京都,未来に繋いでいく。そうしたことを丁寧に説明のうえ,ゆるめることなく,着実に行財政改革計画を進めてまいりますので,何卒御理解をお願いしたいと思います。 

 

【2 主な重点施策の概要】
 4ページを御覧ください。まず「市民生活の安心安全」でございます。

 1つ目の新型コロナウイルス感染症対策におきましては,「感染拡大防止と医療の確保」として,新型コロナウイルスワクチン接種の推進や,検査・相談体制の確保,保健所体制の強化,入院治療費公費負担等により,179億円を計上し,万全を期してまいります。
「市民生活の下支え,京都経済の回復」としては,府市協調による中小企業融資制度預託金による支援や,中小企業や商店街等のデジタル化への支援,宿泊施設と伝統産業製品等の京都の事業者とのビジネスマッチングを行う「宿泊施設と連携した京都経済の域内循環促進事業」に取り組むなど,合計1,591億円の予算を計上し,コロナ禍で厳しい状況にある市民生活や中小企業,京都経済をしっかりと支えてまいります。

 2つ目は「防災・減災対策」でございます。政府の経済対策を活用することにより,令和3年度2月補正予算と合わせて,防災減災対策予算を507億円確保いたしました。引き続き,市民の皆様のいのちと暮らしを守る防災・減災対策には,政府と歩調を合わせて,万全を尽くしてまいります。
また,京都が誇る地域の防災力の強化に向け,消防団員の処遇改善・消防団施設補助の拡充などを行ってまいります。

 3つ目は,子どもから高齢者まで「あらゆる世代がすこやかに暮らせるまちづくり」でございます。 京都ならではの地域力をいかしたフレイル対策の全市展開や,府市協調による不妊治療費等助成の拡充,医療的ケアが必要な児童・生徒への通学支援など,出産・子育ての不安に寄り添った施策を充実いたします。
さらに,全ての市民の皆様に,安全安心に御利用いただけるよう,地下鉄車内・ホームの安全対策として,烏丸線新型車両への車内防犯カメラの設置,北大路駅への可動式ホーム柵の設置を進めてまいります。
次に,都市の成長戦略の推進でございます。別冊の資料「都市の成長戦略~進化する戦略~」を御覧ください。

 1ページを御覧ください。「都市の成長戦略」では,令和15年度までに税収を400億円以上増加させるという目標を掲げ,時代の潮流と京都の強みを掛け合わせ,新たな価値を創造する中長期的な都市のあり様を「5つの都市デザイン」として描き,その実現を牽引する「リーディング・チャレンジ」をはじめとする具体的取組を推進してまいります。

 2ページを御覧ください。「都市の成長戦略」を推進する具体的アクションについてでございます。令和4年度は,「都市の成長戦略」の基盤づくりの一年と位置付け,外部人材の積極的な活用などによって,様々な課題整理や方向性の検討,組織基盤づくりなどを行い,「リーディング・チャレンジ」を推進してまいります。
具体的な取組につきましては,7つのリーディング・チャレンジ毎にポイントを絞って簡潔に御説明申し上げます。

 3ページを御覧ください。資料には,目指すべき目標,目標達成のための取組方針,具体策及び主な令和4年度の関連予算案を記載しています。

 1つ目は,「京都の求心力を受け止める空間づくりプロジェクト」 についてでございます。近年,京都の玄関口である京都駅周辺をはじめ都心部においては,アート複合施設の整備や,梅小路のクリエイティブタウン化の取組など,民間投資によるまちづくりが大きく進展し,また,企業の研究開発拠点の開設も相次いでおります。

 こうした京都の求心力を受け止め,多様な地域のポテンシャルを最大限引き出していくため,都市計画手法をはじめあらゆる手法を総動員し,住み,働くまちとして,また,文化と経済が好循環し,スタートアップ等が醸成されるクリエイティブなまちとして,将来にわたって新たな価値を創造し続ける都市を目指してまいります。

 具体的には,地域ごとの特性を踏まえた都市計画の方策の具体化,空き家をはじめとする非居住住宅の有効活用,若者・子育て世帯が魅力に感じる,すまいの供給促進や住宅情報の発信強化に取り組んでまいります。また,向島国道1号周辺エリアにおいて,ものづくり分野などの所定の要件を満たす特定用途の施設の立地について,原則不許可となる農地転用の例外許可の対象とするとともに,市街化調整区域における地域と調和した開発行為等を可能にした産業用地の創出,約43ヘクタールでございます。これを図るほか,「京町家オフィス」の創出・振興などを進めることにより,新たな空間の創出や既存空間の更なる活用を図り,若者・子育て世帯などの移住や定住,働く場を創出してまいります。

 5ページを御覧ください。2つ目は,「京都アート・エコシステム実現プロジェクト」についてでございます。
文化庁の京都への全面的な移転,京都市立芸術大学の京都駅前への移転や市内における産学公・地域連携の更なる進展など,今後,文化芸術を基軸とした都市経営を一層力強く進めてまいります。 こうした背景を捉え,企業をはじめとする多様な主体が文化に投資する潮流を生み出し,国内外からの投資,支援を呼び込むことで,文化芸術を社会全体で支えると同時に,文化が人々を元気にし,社会的課題を解決し,経済を活性化させ,市民の豊かさにつながる好循環を創出してまいります。

 具体的には,京都の芸術家等の意欲的な活動を,個人・企業の寄附等により社会全体で支える「Arts Aid KYOTO(アーツエイドキョウト)」や,京都の多様な文化芸術の蓄積や創造力と,スタートアップ支援等の融合して取り組む「アート×ビジネス」などを推進してまいります。

 6ページを御覧ください。3つ目は,「持続可能な京都観光」推進プロジェクトについてでございます。今後の京都観光は,コロナ以前に戻すのではなく,市民生活との調和のもと,京都観光に関わる全ての方々の満足度を向上させ,観光の力で京都の魅力を更に高め,市民生活を豊かにし,持続可能な観光へ進化させてまいります。
具体的には,「とっておきの京都プロジェクト」をはじめ観光客の誘客誘致と分散化,地場産業と宿泊施設のビジネスマッチングによる京都経済の活性化,京都観光ののDX推進などに取り組んでまいります。

 7ページを御覧ください。4つ目は,ESG投融資を呼び込むプロジェクトについてでございます。
1200年を超える歴史を有する都市として,また,京都議定書さらにパリ協定の実行を支えるIPCC京都ガイドライン誕生の地として,脱炭素,SDGsをはじめ,国際社会において共有される持続可能な社会という目標に対して京都が果たすべき役割は非常に大きいと考えております。
そのため,「2050年CO2排出量正味ゼロ」への変革を成長戦略とし,世界的に急速に拡大するESG資金を呼び込むなど,環境と経済の好循環の流れを拡大するとともに,新型コロナウイルス感染症からの回復をグリーンリカバリーで実現してまいります。
具体的には,「京都市グリーンボンド」の発行など「グリーンファイナンスの推進」,2030年までに先行して脱炭素を実現するモデル地域の創出など,地域の脱炭素化を先導してまいります。

 8ページを御覧ください。5つ目は,「木の文化都市・京都」として人や投資を呼び込むプロジェクトについてでございます。本市が有する,豊富な森林資源,産学公連携による技術の蓄積などの強みを生かし,木材利用に関わる幅広い業界の連携体制の構築,建築物等における全市的な木造・木質化の誘導など,「木」にとことん力点を置いたまちづくりにより,林業などの成長産業化を促進してまいります。
具体的には,多様な木材サプライチェーンの構築,都市計画手法による木造・木質化の後押しなどによる京都市版ウッドチェンジの推進などに取り組んでまいります。

 9ページを御覧ください。6つ目は,都市の特性・強みを活かした,公民連携による企業誘致プロジェクトについてでございます。 近年,本市には,市外企業の研究開発拠点の立地が相次いでおります。更に,新型コロナの影響などによる企業のサテライトオフィス開設の機運が高まっております。「ものづくり都市」として,製造業中心の企業立地促進に加え,こうした時代の潮流と,歴史文化,環境,大学のまち,人材力,先端産業の集積などの本市の特性・強みを掛け合わせ,デザイン拠点や研究開発拠点等をターゲットとした市外企業の誘致を強力に推進してまいります。具体的には,ビジネス都市としての京都のブランディングや,小規模オフィス向けの制度を創設するなど,企業立地施策の強化・充実を全庁挙げて企業誘致に取り組む体制を庁内に整備してまいります。

 10ページを御覧ください。7つ目は,京都デジタル文化・経済圏創出プロジェクトについてでございます。
デジタル技術が浸透し,社会が変化していく中で,新型コロナウイルス感染症が社会・経済を揺るがし,その流れを大きく加速させています。このデジタル化という時代の潮流を捉え,先端デジタル技術を活用した仮想空間で京都のコンテンツを発信・販売し,国内外から投資等を呼び込むなど,デジタル技術と京都の強みを掛け合わせた新しい価値の創造に,事業者や大学等と連携し,取り組んでまいります。具体的には,中小企業のデジタル化推進などをはじめとする企業変革への支援,NFT(エヌエフティ)やメタバースといった,新たなデジタル技術の活用による文化・アートと産業の融合,そして,外部人材の積極的な活用による取組を推進するために研究を深めてまいります。 以上が成長戦略についてでございます。

 元の資料「令和4年度当初予算(案)の概要」に戻りまして,6ページを御覧ください。財政構造改革について,御説明いたします。令和3年度の財政状況でございますが,コロナ禍の影響により,宿泊税の減収などの影響が出ていますが,市民税の減収や,生活保護費の増加などの影響は,想定よりも小幅で収まりました。
こうした中,令和3年度は,急激な景気悪化に備えた国の的確な地方財政対策により,一時的に,一般財源収入が200億円と大幅に予算を上回り,このうち,令和3年度2月補正予算で活用する13億円を除く187億円を活用し,公債償還基金からの借入れの65%を返済いたします。

 次に,令和4年度の歳入・歳出構造についてでございます。人件費の削減については,市民の命と暮らしを守るための行政サービスの維持や,新たな行政需要への対応に必要な執行体制を強化しつつ,徹底した事業の見直しや委託化,働き方改革により,職員総数147人の人員を削減し,人件費12億円を削減いたします。
また,危機的な財政状況にあっても,災害や新型コロナなど緊急の事態に際して,機動的に市民の命と暮らしを守ることができるよう,職員給与の最大6%カットにより,令和4年度は12億円の財源を確保します。期末勤勉手当の減も含めて,令和3年度から総額50億円を財政調整基金等に積み立ててまいります。
また,改革の推進に当たっては,まず,私ども行政が知恵を絞り,汗をかき,市民サービスの向上と行政運営の効率化を徹底的に行う必要があります。

 7ページを御覧ください。具体的な取組を列記しております。まず,府市協調により,安祥寺川の改修について, 国の支援制度も最大限活用し,事業費の削減や工期短縮を実現しました。次に,組織の効率化でございます。

 まち美化事務所については,北部と東部の統合により7箇所から6箇所へ再編し,ごみ収集運搬業務,北部クリーンセンターの運転監視業務など,定型性の高い業務の民間への委託化を進め,社会情勢や職員削減などに合わせ,組織のスリム化を図ってまいります。

 また,消防音楽隊・消防カラーガード隊を廃止する一方で,SNSの活用など,時代の変化に合わせた施策啓発にしっかりと取り組んでまいります。 さらに,民間ビル等を賃借している部署について,完成した市庁舎や業務の集約化により生み出した区役所等の活用可能スペースを最大限活用し,移転させ,賃貸費を削減いたします。

 行政のデジタル化に関しては,国に歩調を合わせた標準準拠システムへの着実な移行,業務プロセスの点検・見直しを行い,行政手続のオンライン化や書かない窓口を伏見区役所深草支所で施行実施しておりますが,そのモデル実施などを推進し,市民サービスの利便性の向上と行政運営の効率化を積極的に図ってまいります。

 ふるさと納税については,京都ならではの返礼品や専用サイトの充実,首都圏等へのPRなど,全庁を挙げて戦略的に取り組んだ結果,令和3年度の寄付額は,12月末時点で,過去最高となる約52億円を達成しました。これは,令和2年度比約3倍,令和元年度比約20倍の成果となっております。ふるさと納税を通じて,京都ならではの食文化や伝統産業,伝統文化の魅力のPRになっており,コロナ禍で厳しい状況にある事業者の支援にもつながっております。引き続きクラウドファンディングサービス事業者との連携によるふるさと納税型クラウドファンディングや,海外からの寄付の受け入れの推進などに取り組み,さらなる民間資金の獲得を推進してまいります。

 また,事業を取り巻く環境の変化や,地域・民間主導への転換といった局横断的に補助金やイベント等の見直しを実施いたしました。更に,事業の見直しについては,経費の節減,事業費の圧縮にとどまらず,社会経済情勢等を踏まえ,施策を持続可能なものにするという視点から再構築いたしました。

 8ページを御覧ください。 改革により得た財源により,社会福祉関連経費の増16億円や子宮頸がんワクチン等の予防接種のための15億円の費用など,社会福祉関連経費の増加にしっかりと対応でき,セーフティネットを維持いたします。
さらに,子育て支援の高い水準もしっかりと維持いたします。保育料を国基準の約7割に軽減するために必要な財源15億円を確保し,令和4年度は,保育料を据え置きます。

 また,民間保育園等の職員給与等運用事業補助金については,令和3年度に実施した調査により明らかになった補助金制度の課題を踏まえ,保育士や調理師,事務員といった園運営に欠かせない職種を対象に,人件費が確実に行き渡る制度へと再構築いたします。本市独自の設定額を設けたうえで,国制度だけでは不足する分を補助するというルールを徹底し,全体として,全国平均を上回る保育士の現行の給与水準及び国基準を上回る配置水準を維持してまいります。

 公共施設については,時代に合わせた新しいサービス形態に生まれ変わらせるとともに,PFIなどの公民連携の手法による効果的な運営や賑わいの創出を目指し,西京極総合運動公園における民間活力導入可能性の調査・検討,民間企業による公園利活用の推進,図書館運営体制の効率化と電子書籍の導入に取り組んでまいります。
あわせて,施設をとりまく老朽化の進行,更新時期の集中といった課題や,この間の民間サービスの充実,デジタル化の状況を踏まえ,施設が持つ機能を,将来にわたって発揮できるよう,総量の最適化と受益者負担の適正化に取り組み,令和4年度は138施設の使用料を改定します。

また,手数料についても,受益者負担100%を原則とした見直しを行います。補助金,イベント,使用料及び手数料の見直しの主なものについては, 後日,行財政局から,発表を予定しております。よろしくお願いします。公費投入による利用者負担の軽減を持続可能なものとするため,高齢者インフルエンザ予防接種,障害児通所支援については,負担軽減の見直しを実施いたします。

 9ページを御覧ください。こうした改革を踏まえて,次に「財政健全化の令和4年度予算での到達点と今後の展望」を御説明いたします。令和3年度,令和4年度は,リーマンショック並みと危惧された市税収入の減少を回避できる見込みであることに加え,国においては地方財政計画について,令和3年度は5.4%減少を見込まれました。京都市は4.7%の減少を見込みましたが,減少幅は少なく済みました。

 そして,令和4年度予算については,行財政改革計画の策定後,最初に編成した予算として,歳出を計画で定めた上限以下に,抑制したことにより,計画の試算を上回って収支を改善いたしました。冒頭申し上げたとおり,令和5年度から7年度においても,行財政改革計画を着実に達成することにより,令和7年度末の公債償還基金残高を,1,330億円以上維持できる見通しであり,公債償還基金の枯渇の危機を確実に回避してまいります。そして,行財政改革計画の取組は,令和8年度以降にも効果が表れ,投資的経費の市債の発行を,年平均400億円以内,令和4年度から7年度までの4年間で1,600億円以内に抑制し,令和8年度以降もこれを継続することにより,公債費を令和7年度から15年度にかけて100億円減少させます。人件費につきましては,行財政改革計画に基づき,令和7年度時点で見込まれる他都市平均との乖離90億円を,令和15年度までに確実に解消いたします。 公債費や人件費といった固定費を190億円減少させ,社会福祉関連経費の増加を吸収するとともに,都市の成長戦略を推進し,一般財源収入を令和元年度予算の水準から更に100億円増加させることにより,収支差を埋め,公債償還基金の計画外の取崩しを大きく圧縮してまいります。

 まずは行財政改革計画の着実な達成に全力を挙げ,令和5年度までの集中改革期間終了後に,コロナ禍の収束状況や行財政改革計画の達成状況を踏まえ,中期収支試算の再算定を行い,財政運営の目標を改めて設定し,令和15年度までとしている公債償還基金の計画外の取崩しを可能な限り脱却を,前倒しで実施してまいります。


【3 公営企業会計・特別会計の状況】
 11ページを御覧ください。「公営企業会計・特別会計の状況」でございます。 まず,市バス・地下鉄事業でございます。 市バス・地下鉄事業については,新型コロナウイルス感染症の影響により,令和2年度からの2年間で約280億円もの減収となる厳しい状況です。令和4年度も感染症拡大以前の状況までお客様が戻ることが見込めない厳しい経営環境の中,お客様の安全・安心を最優先に,車両・設備の更新や感染症対策に要する経費はしっかりと確保いたしました。
一方で,様々な観点から業務を見直し,人件費・あらゆる経費の削減や,収入増加・利用促進策に徹底的に取り組むものの,赤字の解消までには至らず,令和4年度は,市バス事業については,41億円の赤字予算,地下鉄事業は54億円の赤字予算となりました。今後も,厳しい経営環境は継続すると見込まれますが,市民の皆様の足を守り抜くために,令和3年度中に策定する「市バス・地下鉄事業経営ビジョン【改定版】」を踏まえた経営改善化策を着実に実施してまいります。

 次に,水道・下水道事業でございます。 「中期経営プラン(2018-2022)」の最終年度として,引き続き経費削減に努めるものの,コロナ禍の影響などにより,水道料金収入は292億円,下水道使用料収入は228億円となり, プランと比較して大幅に落ち込む見込みでございます。 そのため,建設改良等のための積立金は,水道事業で17億円,公共下水道事業で28億円となり,プランの目標達成が困難な見通しでございます。

 このように,経営環境は厳しい中ではありますが,配水管の老朽化対策の更新につきましては,この間,年0.5%から1.5%と画期的に拡充していますが,その継続や「雨に強いまちづくり」,持続可能な「レジリエント・シティ京都」の実現に向けた取組はしっかりと推進してまいります。

 また,本市一般会計の厳しい財政状況を踏まえ,公共下水道事業においては,令和3年度から7年度まで合計98億円の出資金の収入を休止いたします。併せて,下水道事業全体の経費を見直すことで,雨水処理負担金をはじめとした一般会計からの繰入金の縮減に努めてまいります。

 12ページを御覧ください。 国民健康保険事業についてでございます。まず,令和4年度の保険料改定についてでございます。高齢化の進展や医療の高度化等の影響に加え,令和2年度におけるコロナによる全国的な受診控えの反動等により,国保財政運営の主体である京都府から示された令和4年度の納付額は大幅に増加しております。平成23年度に保険料の引き上げを実施して以降,一般会計からの財政支援などにより,10年間,保険料を引き上げておりませんでしたが,今回の京都府への納付金額の増加分等を保険料で賄う場合,被保険者一人当たりの保険料は,前年比で12%とかつてない大幅な改定が必要になります。しかし,今日のコロナ禍の厳しい社会経済情勢における市民生活への影響を考慮し,一般会計からの財政支援等の繰入金を,前年度と同額の64億円を維持したうえで,さらに,臨時特例措置として,臨時交付金を18億円活用して,医療費の伸びと同程度の3.7%の改定に抑制します。

 次に,令和5年度以降の保険料のあり方でございます。今後も,医療費の増加が続くと見込まれる中,市民の皆様の健康を守る相互扶助の制度である国民皆保険を堅持するため,納付額の変動に応じた保険料の改定は避けられない状況でございます。こうした中,急激な引上げ等が生じないよう,令和3年2月補正予算で国民健康保険事業基金を27億円積み増すこととし,国民健康保険事業が持続可能なものとなるよう保険料を検討してまいります。

 また,抜本的な改革に向けては,引き続き,保険料の徴収率向上等による歳入の確保,被保険者の健康づくりなど医療費の適正化に努めるとともに,国に対しては,医療保険制度の一本化と,それが実現するまでの更なる財政支援の拡充について,強く要望してまいります。被保険者の皆様には,御負担をおかけしますが,何卒御理解をお願いします。


【令和4年度の予算規模】
 13ページを御覧ください。これまで御説明いたしました施策や改革を盛り込んだ令和4年度予算の規模は,特別会計,公営企業会計も含めた全会計で1兆7,970億円,一般会計で9,204億円となります。

 14ページを御覧ください。令和4年度末実質市債残高については,令和3年度末比で全会計,一般会計ともに減少させており,引き続き,市債残高を的確にコントロールしてまいります。

 

 私からの説明は以上です。これらの取組を盛り込んだ来年度予算案について,2月市会に提案し,御審議いただくことになります。

 市民の皆様の命と暮らしを守り抜くとともに,行財政改革に知恵を絞りに絞って,今回,持続可能な未来への展望をお示しすることができました。市民の皆様に丁寧に説明し,引き続き,京都の今と未来に責任を果たすべく,全力を尽くしてまいります。

質疑応答(摘録)

記者

 行財政改革計画策定後,初の予算編成となりますが,予算編成にかける市長の思いや,行財政改革計画における令和4年度予算の意義についてお聞かせください。


市長

 コロナ禍の厳しい状況の中で,市民の皆様の命と健康,暮らしを守り抜く,京都の地域企業,中小企業,経済をしっかりと下支えする。同時に,持続可能な財政の確立。昨年8月,徹底した議論のもとに策定した行財政改革計画をしっかりと実行して,持続可能な財政の確立,魅力溢れる京都を次の世代に引き継ぐ,そのために全力投球いたしました。全庁を挙げて,あらゆる知恵を絞り,創意工夫を重ね,汗をかいて,まずは市の内部から改革を行っていく。同時に,市民の皆様にも分かりやすい丁寧な説明を心がけ,あらゆる施策を持続可能にしていく,社会経済情勢等の変化に応じて見直していく,そうした視点で取り組みました。おかげさまで,行財政改革計画で策定した必達目標を上回って改革が進み,さらに,コロナ禍で税収の大幅な減が想定されていましたが,これも小幅にとどまりました。これは経済界,市民の皆様の努力の賜物であります。また,国の地方財政対策が非常に的確に行われたことも相まって,令和7年の公債償還基金残高は必達目標の1,000億円を大きく超えて,1,330億円確保できることとなり,財政危機を克服できる見通しが立ちました。しかし,緩めることなく,行財政改革をしっかりと推進してまいります。その先に展望が拓ける,そのことに確信を持った予算編成であります。


記者

 公債償還基金の取り崩しが,行財政改革計画よりも圧縮できていますが,この点についてはどのようにお考えですか。

 

市長

 令和3年度予算において187億円の借入の返済をすることができ,さらに,来年度予算においても計画より大幅に圧縮できました。しかし,56億円取り崩さなければならないことは事実であります。これを厳粛に受けとめて,さらなる行財政改革,とりわけ,内部努力を積み重ねて,できるだけ早期に公債償還基金の取り崩しからの脱却を目指してまいります。


記者

 施設使用料・手数料の改定について,具体的な内容は後日発表とのことですが,これはいつ頃発表の予定でしょうか。


市長

 2月10日の議案発送までに整理して,行財政局から御説明申し上げます。138の使用料改定と申し上げていますが,そのうち99については,児童館等で実施する学童クラブ事業の利用料金体系の変更に伴うもので既に条例改正しております。それ以外の施設等の使用料改定については,御説明申し上げます。また,手数料についてコスト意識を持っていただくために,一つ一つ丁寧にどれだけのコストがかかっているのか試算して,改定をお願いしますが,来年度予算の財政効果としては全体で900万円でございます。手続きされる方とされない方の公平性の観点も踏まえて,手数料を負担いただきます。その中で,現行料金が手続きにかかる行政コストと比較して,多く負担いただいているという例も一部ございました。それについては引き下げていきたいと考えております。


記者

 令和4年度の新規充実事業は53事業と昨年度より7事業少なくなっています。それだけ市長らしさが削がれているという見方もありますが,その点についてはいかがでしょうか。


市長

 改めて,あらゆるイベント等について,総点検を行いました。そうすると,近年,京都において,民間主体の事業が大きく発展していることが改めて明らかになりました。行政主導の様々なイベントや事業も意味があるということで実施してきましたが,民間が創意工夫を凝らして事業を実施いただいて,行政が応援する,後援する。その方がより京都の文化力,歴史力,地域力,そして,京都への求心力が高まるということを実感しております。例えば,KYOTOGRAPHIE(京都国際写真祭)。また,京都国際映画祭。かつては京都市が映画祭を実施していましたが,民間主体の方がより広がりがあります。こうした事例がいろんな場面で出てきており,それが今後の行政の役割ではないかと思います。行政が税金で主導的な役割を果たして事業を実施するよりも,民間でやっていく。一方で,例えば,社会的課題解決やSDGsの達成など,行政が主導する必要性があることについては,しっかりとやっていきたいと思っています。



記者

 予算編成にあたって,2月補正予算と一体的に編成とのことですが,その理由や狙いについてお聞かせください。


市長

 国が大型の補正予算を組まれました。ほとんどの事業が繰り越して来年度に実施することが想定されています。したがって,一部の事業についてはスタートしますが,事業の主たるものは新年度になります。そのことから,15ヶ月予算という言い方をされることもありますが,補正予算と令和4年度予算を融合する方が継続性も含めて事業効果も高いということで,一体的な編成としております。


記者

 地方交付税が大幅に増えていますが,その要因についてお聞かせください。


市長

 大まかに言いますと,基準財政需要額と基準財政収入額の差額が地方交付税として計算されますが,令和3年度は国の地方財政計画において,地方の市町村は平均5.4%税収が減るだろうという想定のもとに,的確に積算されました。京都市では4.7%の減に設定しましたが,それほどの減少にはなりませんでした。これは,経済対策等含めて中小企業支援を行ったことと,京都の場合は一部の大企業の業績が非常に好調で法人市民税等が大幅に伸びているという要素もございます。一方で,国においても想定よりも税収が増えたため,地方交付税の減資が確保されたことから,追加で地方交付税の交付がありました。そのため,税収が増えているにもかかわらず,地方交付税も増えるという,経験したことのない現象が起こりました。

 なお,法人市民税等の超過75億円分については,地方交付税が今後3年間減ることになりますので,財政調整基金に積立てを行い,25億円ずつ取り崩すという措置もしております。コロナという100年に1度と言われる経験したことのない状況のもとで,令和3年度の地方交付税が増額されました。法人市民税等の75億円を抜いても200億円の一般財源の増収です。これを公債償還基金の借入分の返済に充てます。

 令和4年度は,地方交付税は大幅に減ることも想定されます。そして,昨年決められた国の骨太方針でも,感染状況を見ながら,平時の体制に変えていくことが明記されています。したがって,今後,地方交付税の動向についてはしっかりと注目していかなければならないと考えています。



市長(補足発言)

 私が市長になって14年ですが,成長戦略による税収の増加や行財政改革,例えば3,500人以上職員を削減して,280億円以上の人件費を削減するとか,こうしたことは,計画通り,或いは,計画を上回って実行してきました。

 しかし,いわゆる三位一体改革,税財源を地方に移し,地方交付税は減らす,これが地方の時代だと。掛け声は非常によかったわけですが,実態としては,この15年間で,一般市は,地方交付税1%増,中核市は4%減。政令指定都市が40%減。なお,京都市は44%減りました。これが財政危機の大きな要因の一つです。

 今後,地方交付税の必要額の確保ということは,国に対して,政令指定都市共同でしっかりと要望していきます。しかし,地方交付税の動向によって,市の財政がまた厳しくなったということは許されませんので,しっかりと固く見積もって,それに耐えうる行財政構造にしていかなければならない。このように考えております。



記者

 施設使用料の改定については,値上げという認識でよいのでしょうか。


市長

 受益と負担の関係で,ほとんどが値上げであります。一部,値上げではないものもあります。既に発表している学童クラブ事業の見直しでは,月額でみると4割の人が下がり,2割の人が同額。こうした制度改革もあります。

 また,例えば,観光駐車場については,必要なコストは全て利用者に負担していただく,或いは,周辺の民間駐車場の料金も考慮しながら,場合によっては,より高く負担していただく。文化施設等については,半分は税金で負担し,半分は利用者に負担していただく,などの明確な基準を作り,一つ一つ丁寧に点検し,使用料の御負担をお願いしたいと思っています。また,そのときに,単なる利用料の引き上げということではなく,さらに利用率を向上させていく,或いは,民間の支援を得ていくなど,様々な知恵を絞った取組にしております。


記者

 令和4年度の保育料について,4月の段階では据え置きということですが,年度内をとおして見直しのお考えはありますか。


市長

 昨年8月に策定した行財政改革計画の中において,厳しい社会経済状況と,子育て支援の重要性を踏まえて,検討するということを明記しております。子育て支援の重要性を考慮し,他のあらゆる改革がある中で,引き続き15億円の予算を確保し,令和4年度については,据え置きとする。このように考えております。なお,保育料の据え置きと,民間保育の国基準を上回る保育士の配置,そして,国基準を上回る保育士の給与水準。全体としてこれを維持していくということです。



記者

 イベントの削減については,例えばどのようなものが対象になるのでしょうか。


市長

 例えば,区役所が中心となり,地域と一緒に実施する「ふれあいまつり」であります。令和4年度は,そのあり方を,もう一度原点から考える1年にしようということで,例年どおりの予算は計上しておりません。毎年,それぞれの地域で工夫して実施していただいていますが,事業というのは,20年,30年とやっていきますと,事業の実施が目的化してしまう面もあり,それで現場が多忙化することもある。

 また,地域では,民間主体の様々な事業も実施されている。したがって,ずっと実施しないということではなく,この1年は,そのあり方を根本から皆で考えていく,こうしたことから来年度予算では計上していないということです。

 コロナ禍のもと,地域の様々な事業のあり方も,見直す時期に来ている。デジタル化等々も含めて,あり方を検討し,いい機会にしていこうと。これは一つの例でございます。


記者

 嵐山や東山での花灯路も令和3年度で終わるということですが,これも見直しに含まれているものでしょうか。


市長

 花灯路も,見直しに入っております。開始当時,桜や紅葉の季節では,多くの方がお越しになり,紅葉が終わった後は,なかなか来られないということがありましたので,これを平準化していこうということで,花灯路を実施してきました。しかし,今は,それぞれ地域で年間通じた様々な行事が実施されている。とくに,嵐山と東山というのは,どちらかというと,人が集中する場所でもある。したがって,地域・民間の主体的な力も踏まえて,行政が旗振り役になるのではなく,今後は,灯篭の貸出しといった物品をお貸ししていく形での支援・取組に進化させていこうと考えています。 


記者

 公債償還基金について,圧縮はできているものの,まだ取り崩しをせざるを得ない理由について,改めてお聞かせください。


市長

 大きく3点あるかと思います。

 一点目は,先ほども申しましたが,とりわけ政令指定都市における地方交付税の大幅な減少。私は,京都市は大都市でありつつも,偉大な田舎とも思っています。そうした都市特性が,かつては認められていた。しかし,それが地方交付税の算定が大都市に一律に厳しくなり,大きく減少した。事実として,ピーク時から500億円ほど減っている。これは大きな要因であります。

 二点目は,昭和の時代,高度経済成長期。京都では,国の制度に対し,それに上積みするということで,福祉先進都市として,様々な取組を先導してきました。結果,それが今日の優れた保育環境,学校教育につながっている。学力は,政令指定都市でトップ水準である。これは素晴らしいことではありますが,一方で,一つ一つの施策で,その効果や,時代の変遷を踏まえ,根本から見直して行っていなかった側面もあります。これも大きな要因の一つであると考えています。例えば,敬老乗車証のように,他都市で廃止されたところも多い制度も,持続可能なものにするための見直しを行っています。

 三点目は,成長戦略です。例えば,景観政策。これは今後も大事にしていきます。しかし,景観政策は,保存・再生・創造,三つのコンセプトの調和が大事ですが,この10数年,全市域が「保存」であるかのような印象を与えてしまっている。そこで,景観政策の成果と課題を認識し,より良い景観を作っていくとともに,活力ある京都を維持していくため,二つの審議会を設置し,答申をいただいています。そして今,それを実行する段階に来ておりますが,そうした取組が,少し遅れておりました。

 また,せっかく京都にすばらしい企業があるのに,生産拠点を地域外に置かれるという課題もあり,それについてしっかりと対応してまいりたい。例えば,向島に,ものづくりの拠点となる産業用地(約43ヘクタール)の創出を計画しています。京都に拠点を移したい,京都で拠点を作りたい,そうした方々に誘致していく。或いは,京都で成長されてる企業が市域外に生産拠点を移すことに歯止めをかける。こうした取組が重要であると考えております。


記者

 公債償還基金の取り崩しが禁じ手であることは,市からも御説明されている中であり,また,集中改革期間の中でありながら,まだ基金の取り崩しが必要であることについて,市民の理解は得にくい。なぜ,あと50億減らせなかったのでしょうか。


市長

 例えば,直ちに敬老乗車証制度を廃止すれば,52~3億円浮きます。しかし,私は,そうした政策の理念を覆すようなことはしないという覚悟の下,少し時間がかかりますが,丁寧に改革を進めていく必要があると考えています。敬老乗車証制度も,持続可能なものとなるよう丁寧に改革していく。この他,京都市民と行政で大事にしてきた様々な福祉制度,子育て支援制度があります。もちろん,コロナ禍の改革でもある。何を最優先していくかということであります。

 直ちに廃止したら,お金は捻出できるという考え方もありますが,それは私のやり方ではない。京都市のやり方ではない。だから,一つ一つ,少し時間は掛かりますが丁寧に改革を進めていく。もちろん,そのときに財政が破綻してはなりません。

 今この改革を続ければ,令和7年度に1,330億円の確保ができる見込みであります。更に,令和15年度までブレずに成長戦略を推進する。また,7年度以降も行財政改革を貫く。そうすることで,明るい未来を確実に展望してまいります。したがって,急ブレーキをかけることは,市民生活を失速させ,かえって経済が活性化しないことになる。バランス感覚を持って着実に進めていくものであると考えています。


記者

 2月市会において,地下鉄とバスの値上げについて,市としてはどのような方針をまとめるのでしょうか。


市長

 フルオープンな場で,地下鉄と市バスの現状を御説明し,そして,専門家・市民の代表に参画いただき,侃々諤々の議論をいただきました。市民の足をしっかりと守っていく,そのために新たなビジョン案ができ,パブリックコメントも実施しました。そして,それに基づいて,年度内に地下鉄・市バスの経営健全化計画を策定し,市会にお諮りし,承認いただければ,国に対して,具体的な改革計画を提出し,国の理解を得る。その次に,いくらを御負担いただくかという手続きが必要となります。今年度予算で決めることはできない仕組みになっております。大事な市バス・地下鉄,市民の足を守り抜くために,まずはコストカット等を徹底して行います。同時に,安心・安全については絶対に手を抜かない。こうしたことを踏まえプランを作り,お諮りしてまいります。


記者

 値上げの幅については,市民の関心事だと思います。この2月10日には議案発送が行われますが,現時点での値上げについてのお考えはいかがでしょうか。


市長

 繰り返しになりますが,値上げは,もっと先になります。まずは,経営健全化計画を作成し,そして,市会で承認いただけたら,国に対して申請をする。そして,国の承認の下に実施するということになります。現時点で,地下鉄は7%,市バスは8%というのが,答申で示されている改定幅ですが,これからなお議論を深めていくものであります。


記者

 若い世代を呼び込む政策の中でも非居住住宅の新しい税について検討を進めておられ,2月市会で提案されると思いますが,改めて,非居住住宅への課税の狙いについてお聞かせください。


市長

 京都の都市の魅力,都市格がこの10年大きく向上してきました。その結果,土地の値段が高くなっています。その中で,若い人が住みやすい住宅が供給できていない。これは景観政策も相まってのことであります。また,京都市内には空き家もたくさんあります。マンションが建っても,それが非常に高級なマンションで,首都圏の方々が一時滞在用に購入されるということもあります。それらを否定するものではありませんが,できるだけ若い方が住める住宅を供給してほしいということもありますので,非居住住宅を所有する方々については,相応の負担をしていただこうというものです。また,週末だけ,年に何回かだけ,来られる方のために,上下水道や道路,危機管理体制などの社会的費用も,すべて京都市が皆様の税金で賄っていることになりますので,その一部を御負担いただこうというものです。なお,税金を取ることが目的ではなく,若い人が住める,居住者優先の住宅政策の一つとしていきたいと考えています。



記者

「リーマンショック並み」と想定していた法人市民税と個人市民税が上振れしている点について,当初の想定よりも厳しさが緩和した形ですが,当初の想定で厳しく見込み過ぎていたのではないかという指摘もあると思うが,いかがでしょうか。


市長

 先ほどもお話しておりましたが,国は地方財政が市町村分は5.4%減少するという見込みでした。本市としては,国の算定よりも低く算定し,リーマンショック並みの4.7%の減少を設定しておりましたが,実際には,そこまでは減少しなかった。これは国の経済の下支え,更には,府市協調で実施した様々な下支えや,特定の大企業の好決算も背景にあると考えております。このような様々な事柄が相まって,結果として,税収は減少しなかったということであります。これは良かったことでありますが,私どもが過大に算定していたわけではありません。


記者

 公債償還基金の残高が,当初計画で想定していたよりも更に積み増せるということですが,これも計画での試算が厳し過ぎたという指摘もあるのではないかと思います。市民サービスのカット等すべて公債償還基金の残高に基づいて行われています。なぜこのような見込みになっていたのでしょうか。


市長

 例えば,令和3年度の決算について,200億円の増収になるということは,誰も想定できませんでした。

 今回は,地方財政が大幅に減るだろうということで,国が地方交付税を大幅に積み上げています。また,京都市の税収が想定よりも減らなかった。国では税収が増えて,地方交付税の追加配分もありました。今まで経験したことのない要素があります。そして,令和4年度予算は,行財政改革計画の歳出上限額を68億円超えて削減しました。

 厳しい御指摘もいただいているが,公債償還基金を取り崩すことを前提とした予算編成は早期に脱却せねばなりません。まだ,56億円取り崩さなければならないという現実があります。それを,想定よりも良かったことから,改革は必要なかったのでは,ということにはならないと考えています。できるだけ早く,公債償還基金の取り崩しから脱却する,市民の皆様の今と未来に責任を持つ,これが私は大事なことだと確信しています。



記者

 予算規模については,行財政改革を行う上で抑制の方向で編成されたと思いますが,昨年度,過去最大となった歳出予算からは減少しているものの,これまでの推移を見ると,それでも大規模な歳出予算になっています。その理由はどのようにお考えでしょうか。また,市長が今回の予算編成の中で,ここは重点的に配分しようと考えたなど,強調する分野があればお聞かせください。


市長

 コロナ禍で厳しい市民生活,京都の中小企業を守っていくということ,厳しい中ではあるが,子育て支援,高齢者福祉,そうしたことはしっかりと持続可能ものにして,維持していく。こうしたことを重視しながら,最大限努力した予算だと考えています。


記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

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会見資料

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