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門川市長年頭記者会見(2022年1月4日)

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2023年4月12日

門川市長年頭記者会見(2022年1月4日)

記者会見(記者懇談会)摘録(2022年1月4日)

(年頭抱負について)
記者

 市長4期目の3年目に入るということで,改めて2022年に対する見通しをお聞かせください。

市長
 年末から感染がじわりと拡大し,また,オミクロン株が確認される中,非常に緊張感に満ちた新年でありますが,まずは,感染防止対策を徹底するということで,年末年始も保健所機能は120人体制を敷きました。また,西脇知事としっかりと連携し,オール京都で第6波を食い止めていくと同時に,第5波の2倍の感染者が出ても,市民の皆様の命を守り抜く体制を確立して取り組んでいます。また,ワクチンの3回目接種の推進等,様々な課題へしっかりと対応していきたいと考えています。

 もう一つは,持続可能な財政確立のための行財政改革です。2箇年にわたって,オープンな審議会等で議論いただき,議会でも議論を深めていただきまして,昨年8月には行財政改革の計画を策定いたしました。この方針をしっかりと実行していった時に,財政危機は必ず脱却でき,皆様と一緒に築いてきた魅力溢れる京都を未来に引き継げる。将来世代への負担の先送りをできるだけ早期に食い止めていく。そんな取組に全力投球していきたいと思っています。同時に,行財政改革の方針にも掲載していますが,コロナ禍の改革であることも念頭に,様々な貧困・格差,あるいは地域企業・中小企業の厳しい状況にしっかりと寄り添った取組,そして,セーフティーネットをより充実・強化していく視点も重視していきます。

 また,未来の京都のために大事なのは成長戦略です。目指すべき5つの京都の未来像を掲げています。とりわけ,文化と経済の融合・好循環を作っていく。いよいよ来年度中に文化庁が機能強化して,全面的に京都に移ってきます。機能強化した文化庁の京都への全面的な移転が,いよいよ来年度に迫っています。また,明治維新で極めて厳しい日本の文化・経済状況を立て直すために創設された京都市立芸術大学が,京都駅東部に移転してきます。より一層文化を基軸とした都市経営をしていく。そのために,成長戦略も合わせて,文化と経済の好循環等,様々な新たな挑戦もしています。しっかりと来年度予算にも計上して,「日本に京都があってよかった」と国内外の方々から実感していただく。更に,そのことが京都市民の皆様の豊かさに繋がり,また,将来の担税力の強化にも繋がる,そうした幅広い取組を同時進行で進めてまいります。

 年頭の職員への訓示でも話しましたが,行財政改革とSDGs,誰一人取り残さない,更にデジタル化,あるいは働き方改革,成長戦略,そうした課題を一体的に取り組んでいく。どちらかというと,今まではあらゆる事業を継続することが大事だという意識もあったと思うのですが,1つ1つの施策の費用と効果をしっかりと点検し,そして,未来に責任を持つ。そんな改革をこの1年,丁寧に説明しながら,誠心誠意,覚悟を持って進めてまいりたいと考えています。どうぞ御理解をよろしくお願いします。

 

(京都市の施設運営について)
記者
 2点お伺いします。行財政改革に関連してですが,施設使用料に関して,京都市も動物園等の直営施設を中心に,公費負担の基準をクリアすることが難しい施設があると思います。そうした施設に増収を求める中,早期に値上げする可能性はありますか。

市長
 その施設の目的一つ一つを点検して,必要な改定を進めてまいります。この段階で何をどうしますということまでは申し上げられません。
基本的な理念としては,すべての施策・政策等について,前提を置かずに聖域なく見直す。そして,皆様と一緒に作ってきた,この魅力溢れる京都を未来につなげていく。こうしたことが重要です。
 例えば,イベントも,施設の使用料も,更に成長戦略も含めた総合的な見直しをやっていきます。施設の使用料につきましては,考え方を行財政改革計画の方針の中に示しています。この他,観光地の駐車場等については,受益者にコストをすべて負担していただく。あるいは,それ以上に負担していただくということも,近隣の民間駐車場等の利用も,値段も含めてこれは必要なことです。同時に,それぞれの施設の設置目的に応じて,例えば「スポーツ施設等なら半分は負担していただこう」とか,「4分の1までは負担していただいて,あとは税金で負担しよう」とか,そういう基本的な考え方を整理します。使用料はランニングコストであり,初期投資を負担していただくという考え方ではありません。
 また,コストを下げ市民負担をできるだけ少なくしていく努力も必要です。更に民間資金を獲得して取り組むということも含めて,しっかりと説明させていただきながら,新たな料金体系を作っていきたいと考えています。

記者
 施設側に対しての増収策を具体的に求めていくのですか。

市長
 それぞれの施設で「稼働率を高めていこう」とか,施設ごとに「料金設定をもっと知恵を出していこう」とか,あるいは「サービスを向上させて,利用料をもっといただこう」とか,様々なことに創意工夫していただいているところです。

 

(京都刑務所の移転について)
記者

 もう1点,別の質問になるのですが,京都刑務所の移転や費用負担等の検討について,具体的に何か進んでいるのでしょうか。

市長
 様々な考え方がありますが,まだ発表できる状況ではなく,詳細な説明は,ここでは御容赦いただきたいと思います。
なお,京都刑務所は,昭和2年に,当時はまだのどかな田園風景が広がる現在地に移転。ところが,現在は周りすべてと言ってよいぐらい住宅街になり,地下鉄の駅から5分というところに10万平米を超える刑務所があります。市長就任早々,法務大臣に直訴しに行きました。真摯に話し合いをしていこう,双方にとって良いものにしていきましょう,こういうことになっています。

 そこで2点の課題があります。1つは,私たちは山科の刑務所を迷惑施設と一切思っていません。そして,山科の地域の方々も非常に刑務所と良好な関係を築いて来られています。従って,山科の刑務所が移転することについて,山科の住民,とりわけ近隣住民のコンセンサスを作っていくことが大事です。そうした取組をしっかりと進めて,おかげさまで,8割近い方が移転するのは良いことだという意見を表明されるようになってきました。次に移転先の問題ですが,これは非常にデリケートです。新聞記事で山科の刑務所の移転構想があるというニュースが出た途端に,誘致の取組をされた方もおられましたが,なかなか今の世の中,トップの方が言われたからといって,その地域でスムーズにいくものでもありません。この点については,これから慎重に移転先というものも考えていかなければならないということです。

 もう1点は,確かに今の山科の刑務所は年次計画で改修し,日本中の刑務所の中では比較的新しい施設であるということもあります。同時に,PFI手法は世界で大きく広がっていますが,日本でも民間資本で刑務所が移転するという事例も出てきています。そうしたことを総合的に考えて,京都市の施設ではありませんので,法務省・政府の御理解の下に,また地域の御支援の下に,時間がかかりますが,あの土地を有効に生かすことによって,山科はもとより京都全体,関西全体の発展に資していくのではないか。そうしたことを目標に着実に取り組んでまいりたいと考えています。

 

(3回目の新型コロナワクチン接種について)
記者
 コロナワクチンについて,3回目接種については,既に一部施設入所の高齢者や一般の高齢者の接種間隔を7箇月にすると発表されているが,大臣が年頭会見で市町村の準備が整えば1月にも7箇月の前倒しを行っても構わないと方針を示されたが,京都市でも1月末から一般の高齢者に3回目接種を行う予定はないのでしょうか。

市長
 3回目接種は,オミクロン株対策も含めて,非常に大事だと考えています。そして京都市では,医療関係者と高齢者施設の入所者,並びに施設のスタッフの方については,当時は接種間隔8箇月と言われていましたが,独自の判断で,ファイザーの10万回分のストックがございますので,6箇月に前倒して接種をするという方針を固め,12月から既に実行中です。次に,国において在宅の65歳以上の方については,今までの接種間隔8箇月という方針を7箇月にしてもよいという方針が示されましたので,1月下旬に接種から7箇月経った65歳の方に,京都市から接種券を順次,送らせていただきたいと考えています。1回目・2回目の接種記録がすべて保管されていますので,まず65歳以上,そして接種を希望される皆様が8箇月ではなく7箇月という基準で,接種できる体制を構築していきたいと思います。当面,65歳以上の在宅の方までの接種用のワクチンは確保されていますが,それ以後の4月以降のワクチンの供給等については,国がまだ明確に示しておられません。国に対して早期に示していただくこと。そして,可能な限り,モデルナとファイザー,第1回目の接種はファイザーが多いため,ファイザーの確保も大事だと思います。当面はモデルナがまだ全然無いので,モデルナについても早く送っていただきたい。そして,交互接種の体制についても,国とも連携しながら,また医療機関と連携しながら,十分配慮して,希望される方にできるだけ早く接種していただく体制を今確立しているところです。

記者
 確認ですが,入所していない在宅の高齢者については,2月から3回目接種という方針で変わりないでしょうか?

市長
 はい。スピード感をもって御案内する準備をしております。1月下旬頃に,在宅の65歳以上の方に接種券をお送りします。2回目接種から7カ月が経つ1週間ぐらい前にはお送りすることになります。

記者
 接種は2月からということでしょうか。それとも1月中に3回目接種することもあるのでしょうか。

市長
 現実的には2月からになると思います。

 

(市バス・地下鉄の値上げについて)
記者
 答申案が12月に示されたことを受けて,改めて,市バス・地下鉄の値上げに対する市長の考えをお聞かせください。

市長
 例えば,市バスにつきましては,市内のバス交通の85%を支えております。全国の大都市で最も充実した市バスの系統,車両台数を維持していると言っても過言ではありません。地下鉄につきましても,53%の鉄道輸送を担っております。市民の大切な足。これを持続可能なものにしていくため,専門家や市民の代表で構成される審議会を開催し,深い議論をしていただきました。同時に,国に対しても,交付金等の抜本的な要望をしております。しかし,国としては,公営の鉄道,バスであるため,特別な支援等はなかなか難しいという考え方であります。値上げを回避できるような交付金がもらえるという考え方はとれないと思っています。しっかりと国にも要望していきます。同時に,この11,12月と人の動きが多かったと言いますが,お客様数はコロナ以前と比べると2割から多い時には2割5分少なく危機的な状況でありますので,必要な値上げについては御理解を賜りたいと思っています。何としても,この京都の自立した市バス・地下鉄を維持していく,これが私どもの責務だと考えております。

記者
 具体的には,2月議会にその計画案を提出されると認識していますが,答申案の段階では値上げについては10%程度,また,市民意見を募られた段階では,20円,30円と具体的な金額が出ています。どれぐらいの金額を上げることが望ましいとお考えでしょうか。

市長
 これは答申を踏まえて,これから検討することですので,この場では御容赦いただきたいと思います。


(ウトロ地区の放火事件について)
記者

 昨年8月,宇治市のウトロ地区で放火事件がありました。12月に犯人が逮捕,起訴もされております。在日コリアンの方々は民族差別に基づくヘイトクライムであると危機感を強めています。また,京都市内の在日コリアンの方からは,すごく不安に感じているとの声を聞いています。この件に対するは,市長のお考えをお聞かせください。

市長
 私もかつて何度かウトロ地域に行き,交流させていただきました。私自身の様々な学びの場であり,また,そこで暮らしている方との交流の中で多くの友人もできました。なぜこういうことが起こるのか,非常に悲しい限りです。京都は,43年前に世界文化自由都市宣言を行いました。世界の人々が,民族,宗教,社会体制,あらゆる違いを超えて,この京都に平和のうちに自由に集い,そして,世界の平和と文化の発展に貢献する。これが京都の一番大事にしている都市理念でございます。コロナ禍によって,様々な分断や孤立,さらに,世界ではネット等において様々な課題が出てきております。私どもはそうした課題に真正面から対峙して,心の交流を深めていかなければならない。非常に残念な事件ですが,そこからまた学んでいきたいと考えております。


(京都府知事選挙について)
記者

 もうすぐ府知事選挙を控えております。昨年,市長は市長会のメンバーとして,西脇知事に出馬要請をされていますが,府知事への評価や出馬要請した理由についてお聞かせください。

市長
 西脇知事とは常に連絡を取り合っています。全国の都道府県と政令指定都市は,軋轢のある制度であるため,難しい課題を抱えておられる都市がたくさんありますが,私は本音で申し上げて,京都府と京都市が一番上手くいっていると思います。徹底して話し合い,課題を解決していく。コロナ禍においても,市民,府民の皆様の命と健康を守り抜く。人口10万人当たりの亡くなられた方は,全国平均以下です。これはオール京都で,知事を先頭に,医療関係者,何よりも府民,市民の方々が行動変容していただいた結果であると思います。また,コロナ禍で傷付いている中小企業,地域企業,伝統産業,飲食,観光,様々な点についても,京都府と京都市がしっかりと力を合わせて,様々な取組を進めてまいりました。また,成長戦略,スタートアップエコシステム等においては,一緒に力を合わせて,経済界とともに創設した経済センターをしっかりといかして未来を展望していく。そんな意味でも,私はこの4年間の西脇知事の取組を高く評価いたしております。もちろん課題については,しっかりと話し合い,共に京都の未来を展望していきたいと考えております。

 

(北山エリアの整備計画について)
記者

 府知事選挙で争点になる可能性がある北山エリアについてです。現在,植物園や府立大などの再開発の検討が進められており,府の事業ではありますが京都市内の景観にも深く関わってくる話と思います。これについて何か御意見やお考えがあればお聞かせください。

市長
 かつて京都の文化エリアと言うと,建都1,100年の時にできた岡崎地域。平安神宮,美術館,動物園があり,一帯が京都最大の文化エリアであります。今,それに加えて梅小路公園界隈が文化と産業のエリアとして大きく飛躍しております。さらに,これから京都市立芸術大学が移転する崇仁地域,そして,東九条地域,菊浜地域等がさらなる文化芸術ゾーンとして,文化と産業の融合のゾーンとして活性化していきます。

 そして,北山エリア。京都市のコンサートホール,植物園があり,素晴らしい地域であります。その自然や植物園の価値をしっかりといかしながら,新たな文化ゾーンとしていく構想について私は基本的に賛同しております。ただ,地域への丁寧な説明と,植物園の価値の継承については,京都府においてもしっかりと取り組まれることと考えております。

 

(きょうと魅力再発見旅プロジェクトについて)
記者

 「きょうと魅力再発見旅プロジェクト」の対象地域が今月から順次拡大していきます。一方でオミクロン株の広がりもあって,本プロジェクトの継続については議論の余地があるかと思います。この点について市長のお考えをお聞かせください。

市長
 感染防止が極めて重要であります。とりわけ,オミクロン株に対する警戒が大事であることは論を俟たないと考えております。ただ,同時に,様々な医学的な知見もしっかり生かして,感染防止策と社会経済,文化,教育活動をしっかりと展開していくことも大事であります。

 昨年の今頃,第三波の真っ最中でした。成人式の開催については,多くの方々の心配事でありました。京都市は,徹底して分散型で成人式を厳粛に行いました。他都市では,最初から中止にするところが多かったですが,京都市では厳粛な成人式が行われ,多くの方に喜んでいただきました。そして,成人式に起因する感染拡大は起こりませんでした。

 昨年度,京都市立の小・中学校全校で修学旅行が実施されました。一部の保護者の方が大変心配されていましたが,先生方が丁寧に説明され,卒業式には,その保護者の方も感謝の言葉でいっぱいであったと聞いております。そして,今年も1~2月に小学校の数校が修学旅行に行きますが,それで全小・中学校が今年度も修学旅行を実施されます。また,昨年3月,6月,10月には,感染拡大防止と集団的な学びは両立できるということを市長名で全国の教育委員会にお知らせし,多くの修学旅行生にお越しいただいております。科学的,医学的な知見に基づく感染防止策の徹底と,社会経済や子どもたちの集団的な学びの保障。この両立が一番大事な時期だと思っております。

 観光についても然りでございます。一昨年,本市と観光協会が呼び掛けを行い,観光事業者とともに,京都観光における感染症対策のガイドラインを作成しております。さらに,京都観光モラル,SDGsに貢献する京都観光。観光課題が発生していたコロナ以前の状況に戻すのではなく,観光課題解決型の全国のモデルとなる観光を事業者と一緒になって取り組んでまいりたいと思います。

 

(市長4期目の評価について)
記者

 市長は4期目に入って3年目となります。コロナと財政危機によってかなり状況は変わっていますが,現時点での4期目の評価,公約の達成度合いについてお伺いできますでしょうか。

市長
 4期目の選挙の最終盤,2年前の1月30日にコロナ感染者が京都で確認されました。選挙の演説会場から失礼し,そして,新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ,本部長として2年を過ぎるという状況です。まずは,コロナから,市民の皆様の命と健康を守り抜く,そして,コロナによって,冷えこんでいる京都の中小企業,地域企業,文化関係者,市民の皆様をしっかりと支え抜くということが,一番の私の使命であります。

 同時に,厳しい行財政を持続可能なものにしていくために,知恵を集めて策定した行財政改革計画を確実に実行して,そして,魅力あふれる京都をしっかりと未来につないでいく。将来世代に喜んでもらえる京都を作っていく。そのために,あらゆる政策を総点検,改革し,推進していきたいと考えております。何よりも,来年度予算の編成が一番の山であります。行財政改革計画を確実に実行したときに,財政危機から脱却でき,明るい未来,希望に満ちた未来が展望できます。全身全霊を捧げていきたいと考えております。

 

(令和4年度予算編成について)
記者

 行財政改革期間に入って初めての予算編成となります。その方針についてお聞かせください。

市長
 行財政改革計画は,多くの専門家,市民の代表,議会での詳細な議論を踏まえて作成されております。それをしっかりと実行していく。同時に丁寧な説明を行う。さらに,コロナ禍の改革であることに注意し,お困りを抱えた人に寄り添い,セーフティーネットをしっかりと機能させる。そうした総合的な取組を進めてまいりたいと考えております。

 

(京都市の子育て支援について)
記者

 市長はかねてから「子育て環境日本一」を掲げられています。以前に市長は,「これは現状を示す言葉であるとともに,将来の目標でもある。」と仰っていました。今年4月,いよいよ学童クラブの利用料が改定されますが,値上げとなる世帯も多く,「子育て環境日本一」を掲げることに疑問を感じざるをえません。今後,どのような認識で,「子育て環境日本一」を目指されますか。

市長
 子育て環境には,幅広いものがあります。小・中学校教育,高校教育,地域のはぐくみ文化など様々です。そして,その一つに学童保育があろうかと思います。
 学童クラブについては,現在の料金体系では,開所時間の長い土曜日や長期休暇中(8月)に利用していなくても費用負担が同じであり,これは考え直すべきだという御指摘も賜っておりました。そのため,これは単純な「値上げ」を目的とした改革はなく,かねてからの課題であった,利用料と公費負担のバランスや利用者間での公平性を改善するための改革であります。

 新たな利用料金では,同時利用のきょうだい児について,2人目を「半額」,3人目以降を「無料」にする拡充も行います。月額で比較すると,利用者の方の4割は値下げ,2割は同一料金に。そして,4割の方が値上げになりますが,改定の影響が大きい世帯には,2年間の経過措置を設けるなど,きめ細かい配慮をしており,御理解を賜れると考えております。

 また,「子育て環境日本一」というのは,一番や二番といった順位を競う意味合いではなく,「最高水準である」ということが大事だと私は考えております。
 例えば,保育所については,京都市では,国基準に対して,保育士の人数を,国の基準の1.33倍にしています。90人定員の保育所では,国基準で12人の保育士が配置されますが,本市では16人が配置されます。また,市内の民間保育園・認定こども園の保育士の給与水準は全国平均の1.34倍を実現しています。したがって,優秀な保育士が確保され,8年連続保育所待機児童がゼロにも繋がっており,質においても,全国トップ水準だと考えています。

 こうした,優れた保育,あるいは,学童保育,小・中学校教育の結果として,京都市の小学校の子どもたちの学力は,政令指定都市20市で全国トップになっております。それから,中学校(私学を除く)も全国トップ水準であります。

 そして,市民ぐるみで子どもを社会の宝として育てていく。京都にこうした機運があることに感謝しております。そうした機運も含めて,京都は子育て環境がすばらしい。子育て環境日本一である,子育て環境が最高水準である,というのは,私は間違っていないと考えています。こうしたことを明らかにしながら,市民の皆様にも御理解を賜りたいと考えております。

 

(令和4年度予算編成について(補足))
市長

 先ほどの予算編成の方針に関する回答では,長くなるので割愛しましたが,文化を基軸とした都市経営をさらに強化し,文化と経済の融合についても取り組んでまいりたいと考えております。
 京都の強みは,やはり文化だと思います。そして,やはり生活文化が大事である。例えば,包摂性・多様性のある地域社会,あるいは,2050年CO2排出量正味ゼロに向けては,京都に伝わる「もったいない」や「しまつの心」や「自然との共生」も優れた文化です。

 文化庁が京都に全面的に移転してくる,そうしたときに,京都としてどういう役割を果たすか。コロナ禍によって,多くの方の心が傷ついている,あるいは,社会に分断や格差が起こるなど,様々な問題があります。その中で,感染症の拡大防止,十分な配慮のもとで,新たな取組が大事だと思います。経済の回復というと,賑わいが戻ってくるとか,売り上げが改善していくといった面もあるかと思いますが,京都の役割として,心の回復,心の繋がり,こうしたことも大事にして,様々な取組・発信を行ってまいりたい。京都が果たす役割は非常に大きいと考えております。

 京都は,1000年を超えて,都市の機能・文化が継承されている,世界でも稀有な都市であります。例えば,その象徴として祇󠄀園祭が取り上げられますが,疫病克服,自然災害克服,振興のために始まった祇󠄀園祭が「山・鉾・屋台行事」としてユネスコ無形文化遺産となっています。そうした文化に,文化庁移転や,市立芸術大学の移転も含めて,文化を基軸とした都市経営をさらに強化し,文化と経済の融合を考えております。

 そんな中で,「Arts Aid KYOTO」というものを昨年の10月から始めました。京都の文化芸術を担うアーティストは非常に困っておられます。その人たちを個人や企業が応援する。寄付等によって,みんなで応援していこうというものです。おかげさまで,3ヶ月で,個人・企業から200件以上,約5,000万円の寄付が寄せられております。一方で,芸術関係者からは,「それを活かしたい」という多くの声を聞いております。そうした好循環,民間の力で,篤志家たちが芸術家を応援し,育てていく。同時に,心の復興を担っていく取組です。改めて,高額所得者等に対しても寄付を呼びかけ,京都の文化芸術を皆様と共に応援してまいります。

 また,アート×ビジネスの化学反応を起こす取組も進めてまいりたい。文化と経済の融合を目に見えるものにするため,芸術センターが大きな役割を果たしています。そこに,京都の様々な社会的課題を解決するスタートアップの拠点をつくる。そして,単にサイエンス,テクノロジー,イノベーションだけでなく,そこにアートが加味される。これは京都の強みであり,京都ならではのものです。これが新たな京都モデルであり,京都の成長戦略の大きな要になると考えています。

 この他,アート市場の活性化について。日本のアート市場は,世界のシェアで3~4%と言われております。日本であまり知られていない芸術作品が外国に渡り,日本での10倍もの価値で取引されることが多くあるようです。若手芸術家のアート作品を市場でどんどん評価していただき,購入を促進することで,その芸術家の暮らしが楽になるだけでなく,新たな創作に繋がり,そして,後継者もできる。例えば,オンライン販売サイトを作るなどの取組を考えています。

 こうした文化・芸術の社会的価値の向上,そして,文化芸術関係者に生き生きと活躍していただける京都のまちづくり,文化と経済の好循環を創出する取組を通じて,京都アートエコシステム(体系)を実現してまいります。来年度予算編成に向けては,民間の力も大いに生かしながら取り組んでまいります。

 

(市立芸術大学の移転計画について)
記者

 文化・芸術の話がありましたが,市立芸術大学の移転は大きく注目されるかと思いますが,同時に,財政危機の中で多額の費用が掛かることになります。コロナ禍をはじめ,厳しい状況に置かれており,文化・芸術を感じる余裕のない方々からすれば,どうしても費用の方に目がいってしまうと思うのですが,その辺りはどのように説明されますか。

市長
 市立芸術大学は,明治13年にできた京都画学校が起源です。これは京都が豊かなときにできたものではありません。非常に厳しい状況でした。当時の京都の伝統産業は,京焼清水焼も,西陣も友禅も京漆器も,全て基幹産業でした。しかし,そうした産業のお得意様がこぞって東京に移ってしまった。伝統産業はその価値をより高めていかなければ,京都のものづくり,文化・芸術が駄目になってしまう,こうした状況下で作られた学校であるという歴史があります。また,当時,日本の芸術学校では,極めて珍しい男女共学でした。女性も含め,多くの文化芸術の担い手が活躍されてきました。こうした先人の志,実行力が,今日の文化芸術都市としての京都を形作っています。

 また,市立芸術大学の移転は,単に一つの大学の移転ということではありません。そこが,文化を基軸とした都市づくりの中枢となり,京都全体,さらには全国の,現代アート,多文化共生,文化芸術の振興に大きな役割を果たす地域となっていく。そのためにも,先ほど申し上げたような,文化・芸術とスタートアップ企業による社会的課題の解決,そうした文化芸術と経済が融合した取組を京都全体で進めてまいります。

 こうしたことを多くの皆様にしっかりと御説明し,御理解を賜りたいと考えております。京都の持っているポテンシャルを最大限に生かし,未来を展望してまいります。

 

(京都駅前ビルの建替え構想について)
記者

 京都駅前の郵便局の建替え計画についてお伺いします。8年後,高さ規制を超える再開発の構想が発表されています。京都市環境影響評価審査会では,遠くからの景観はそれほど変わらないが,現代建築として非常に名高い京都駅を覆い隠すことになるのでは,という懸念が専門家から挙がっていました。この点について,市長はどうお考えでしょうか。

市長
 今は,民間事業者からの提案があり,環境アセスメントも含めて丁寧な議論がされていますので,私自身の見解をここで申し上げる段階ではないと考えております。

 京都は,文化都市であり,観光都市,ものづくり都市,歴史都市でもある,にもかかわらず,港も飛行場もない世界で稀有な都市です。世界に冠たる京都,その交通の中心が京都駅であります。建替えに際しては,例えば,災害時に一時滞在施設としてどれだけ機能するか,あるいは,バス交通等の公共性など,人の流れをどのようにしていくのか,そういったことも含めて総合的に判断し,公益性のあるものをきっちりと提案していただく必要があります。京都の未来にとって,有益なものでなければならないと考えております。

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