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門川市長記者会見(2021年8月4日)

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2021年8月4日

市長記者会見(2021年8月4日)

令和2年度決算概況及び今後の改革について

「令和2年度決算概況及び今後の改革」について,京都市長が記者会見を実施しました。

※発表内容は,令和3年8月4日時点の情報です。

会見要旨(摘録)

市長

 本日は,令和2年度決算概況の御報告と合わせて,今後の改革をどのように進めていくのかについて,御説明いたします。それでは,まず,令和2年度決算の概況について御説明申し上げますので,資料の1ページを御覧ください。

 令和2年度決算の規模ですが,新型コロナウイルス感染症対策に取り組んだ結果,決算では初めて1兆円を超え,歳入・歳出ともに過去最大となりました。
 続いて,収支の状況についてです。新型コロナウイルス感染症の影響等により,一般財源収入や,施設の使用料収入が大きく減少する一方で,社会福祉関連経費が増加したこと等により,特別の財源対策を行う前の収支は,172億円の赤字となりました。

 これは,特別の財源対策として公債償還基金の取崩しを開始した平成16年度以降では過去最大となります。本市においては,厳しい財政状況をすべて市民の皆様に公開し,「特別の財源対策を行わなければ赤字」であることを説明してまいりました。

 一方,これまでの決算の収支については,他都市比較が可能となるよう,特別の財源対策を行った後の地方公共団体財政健全化法上の「実質収支」を中心に発表してきました。
 今回の決算からは,昨年度に設置した持続可能な行財政審議会の答申で「市民目線に立った分かりやすい言葉を補って発信することが極めて重要」との指摘をいただいたことも踏まえ,特別の財源対策を行わない収支を「赤字」としてお示しすることで,本市の財政状況の実態をより分かりやすく,市民の皆様にお伝えしていくこととしています。

 次に,令和2年度決算での公債償還基金の計画外の取崩し額は,予算同額の119億円となり,令和3年度当初予算での取崩しと合わせ,既にあるべき残高の1/3以上の823億円を取り崩している極めて厳しい状況です。

 

 2ページを御覧ください。一般財源収入の状況です。一般財源収入は,前年度比53億円の減となり,4年ぶりの減収となる非常に厳しいものとなりました。その要因について,詳細に御説明いたします。
 市税収入のうち,個人市民税については,新型コロナウイルスの感染が拡大する前の平成31年1月から令和元年12月の所得に対する課税であり,納税義務者数は過去最高の67万9千人で過去最高となりましたが,新型コロナの影響で所得が減少した方への徴収猶予の特例適用等により税収としては2億円の減となっております。

 法人市民税は,税率引き下げの影響や企業業績の低下により75億円の大幅減,宿泊税は前年度比約7割減と非常に厳しい状況です。固定資産税は,新築家屋の増加等に伴い,堅調に推移したものの,法人市民税等の減収の影響が大きく,市税収入全体では,前年度比96億円の減となり,4年ぶりの減収となりました。

 

 3ページを御覧ください。府税交付金は,消費税率の引き上げに伴う地方消費税交付金の増や,税制改正による法人事業税交付金の新設により,前年度比80億円の増となったものの,地方交付税等は地方消費税交付金の増等に伴い,大幅に減少しました。

 国の三位一体改革以降の制度改正により,本市への地方交付税が大幅に削減され,一般財源収入が伸びない中で,高齢化の進展等に伴う社会福祉関連経費は累増し,非常に厳しい状況が続いております。

 なお,表の下から2番目に記載しております,戦後最大の瞬間風速を記録した台風21号など,平成30年度に相次いで発生した自然災害への対応等により残高がゼロとなった財政調整基金は,令和2年度も災害対応等に活用した結果,引き続き残高がゼロとなっております。

 

 4ページを御覧ください。新型コロナウイルス感染症拡大の影響です。新型コロナウイルス感染症は,外出自粛,飲食店の営業時間短縮・酒類提供の制限,学校の休校やイベントの休止・延期など市民生活や経済活動に現在進行形で多大な影響を与えております。

 本市では,誰ひとり取り残さず,徹底して市民生活に寄り添った支援を行うため, 10度に渡って補正予算を編成し,感染拡大防止対策に万全を期すとともに,市民生活・京都経済の下支えに全庁を挙げて取り組み,総額 約3,300億円の対策を実施してまいりました。

 引き続き,市民の皆様のいのちと健康,暮らしを守るため,感染拡大防止のあらゆる施策を徹底してまいります。また,その鍵となるワクチン接種を最優先に,各種の取組を推進してまいります。

 また,新型コロナウイルス感染症の収入への影響としては,先ほど申し上げたとおり,宿泊税が減少したほか,施設の使用料収入等が20億円もの大幅な減収となっております。

 主な項目を資料に記載しておりますが,二条城の入城料で12億円,観光駐車場等の駐車場料金で3億円の減収となっております。

 また,ごみ処理手数料の3億円の減少は,経済活動の停滞に伴い,事業ごみが大きく減少したことが要因となっております。その他,様々な面で数値化しにくい影響等もございます。

 

 5ページを御覧ください。続いて,公営企業の決算についてです。まず,市バス・地下鉄事業です。これまでに全庁を挙げて進めてきた取組が身を結び,着実にお客様数は増加してまいりましたが,新型コロナウイルス感染症の影響により,1日あたりのお客様数は,市バス・地下鉄ともに前年度比3割以上の減となっております。

 お客様数の減少に伴い,運賃収入は市バスが前年度比61億円,地下鉄は前年度比88億円もの,大幅な減収となる非常に厳しい状況です。

 令和2年4月に緊急事態宣言が発令された際には,感染症拡大防止を最優先に,市バス・地下鉄の御利用8割削減を目標に掲げ,減便や運休を実施するとともに,車両の定期消毒や抗ウイルス加工などの対策を着実に推進してまいりました。

 厳しい経営状況を踏まえ,日々の安全運行に直接関わらない混雑対策事業の中止など,経費の削減に努めましたが,運賃収入減少の影響は甚大でございます。経常損益は,市バスが平成14年度以来となる48億円の赤字。地下鉄は,平成26年度以来となる54億円の赤字となりました。

 また,地下鉄は,累積資金不足が過去最大の371億円となり,資金不足比率は経営健全化基準である20%を大きく上回る62.6%となり,経営健全化団体となります。

 今後,将来に渡って「市民の足」としての役割をしっかりと果たせるよう,令和3年度中に安定経営に向けた中長期の経営計画を策定してまいります。

 

 6ページを御覧ください。上下水道事業についてです。新型コロナウイルス感染症の影響により,使用水量が減少し,水道料金・下水道使用料収入は,前年度と比べ25億円の大幅な減収となりました。

 浄水場や水環境保全センター等の一部業務の委託化など,民間活力の導入や業務執行体制の見直しなど,経費削減の取組を徹底して着実に進めた結果,黒字は確保したものの,減収の影響が大きく,建設改良等の財源となる積立金は,中期経営プランで掲げた目標を下回る厳しい状況です。水道・下水道は,1日たりとも欠かすことのできない,市民の皆様の生活を支える重要なライフラインであります。

 コロナ禍にあっても,安定的なサービスの提供に努めるとともに,厳しい経営状況ではありますが,将来にわたり,この重要なライフラインを守り抜くため,老朽化した配水管の更新率が,10年前は0.5%でした。それを着実に改善し,昨年度は1.5%,3倍まで引き上げました。更に,上下水道施設の改築更新や耐震化,雨に強いまちづくり,豪雨等に対応するために,雨水幹線の整備等を着実に推進しております。

 

 7ページを御覧ください。「3 財政の危機克服に向けた取組」であります。まず,「(1)行財政改革に向けて」でございます。

 6月に公表しました行財政改革計画案ですが,6月12日から7月11日まで約1カ月間のパブリックコメントにおいて,約9,000件もの多数の御意見をいただきました。
 市民の皆様の京都のまちを愛し,信じ,この危機を克服して,明るい未来を切り拓こうとする熱い思いを,改めて実感しております。

 来週8月10日に計画の全体像を公表させていただきますが,それに先立ち,この計画に掲げる改革の理念やデザインについて改めて御説明させていただきます。

 本市は,これまで職員数の大幅な削減などの行財政改革に努めつつ,昭和の時代,つまり人口増加,高度経済成長期に設計した制度をもとに,国や他都市の水準を上回る,京都ならではの福祉や子育て支援等の施策を維持・充実してまいりました。

 同時に,市民生活の安心・安全,利便性向上,豊かさにつながる都市基盤を整備するとともに,京都ならではの文化を基軸とした都市経営,豊かな歴史的資産を保全・再生しつつ,時代に応じて新たな価値を創造する景観づくり,更には,全国に先駆けた市民,事業者等との協働による地球温暖化対策,環境保全,また,誰ひとり取り残さないSDGsの達成に向けた取組など多くの施策を推進してまいりました。

 これら本市の独自施策は,市民生活の豊かさや世界の京都としての都市格の向上などに大きく寄与してまいりました。一方で,国の制度変更等により,令和3年度予算では,三位一体の改革前の平成15年度比で,地方交付税が約500億円減少し,また,人口減少,これからの低経済成長期に入り一般財源収入が伸び悩むなか,収支バランスの不均衡が長期にわたって常態化しています。
 こうした不均衡を,行財政改革に努めつつも,禁じ手である公債償還基金の計画外の取崩しなど,将来世代への負担の先送りとなる特別の財源対策により補填し,施策の水準を維持してまいりました。

 このような中,更なる少子化,超高齢社会への対応,激甚化する災害や地球温暖化,緊急事態への機動的な対応,老朽化する資産,ストックへの対応が求められております。また,グローバル化への柔軟な対応や,コロナ禍を契機としたデジタル化の加速,新しい生活スタイルに合わせた施策の展開,国制度の充実等,様々な変化への対応が求められてまいります。

 今回の改革は,本市の施策を,単に足元の財政が厳しいから廃止したり,国や他都市の水準並みに削減するのではなく,社会経済情勢の変化に対応し,一つ一つ丁寧な検討のもと,再構築・持続可能なものとして維持していくことであります。

 

 8ページを御覧ください。まず,「(2)行財政改革のデザイン」でございます。改革を貫く基本姿勢を改めてお伝えします。

  「1 徹底した庁内改革」,社会経済情勢の変化に合わせて,まずは,行政内部の徹底した業務の効率化等による組織・人員体制の適正化,人件費の削減に取り組みます。

 令和7年度までに新たな行政需要に対する増員を120人見込む一方で,業務の効率化,ごみ収集業務,業務の委託化等により670人を減員。また,災害や新型コロナウイルス感染症など緊急の事態に際して,機動的に市民の皆様のいのちと暮らしを守る財源を確保するため,令和3年度から開始している臨時的な職員の給与カットにより50億円を捻出し,災害救助基金等に積み立てます。これらの取組等により,令和7年度までに総額で215億円捻出いたします。さらに,職員の平均年齢が高く,また,これまでの歴史的経過や都市特性により他都市を上回る職員を配置している本市特有の事情は多々あるものの,それらを超え,令和15年度までに人件費が他都市平均以下となるように取り組んでまいります。

 次に,「2 社会経済情勢に対応した施策の転換,再構築」であります。「【1】財源の再配分によるセーフティネットの維持・充実」です。敬老乗車証など,本市独自の施策について,見直しにより持続可能性を確保してまいります。また,これまで全国でもトップ水準を維持してきた,子育て支援施策については,国制度の充実や,受益と負担のバランスに応じた制度の見直しを行いますが,セーフティネットの理念のもと,施策を維持し,あらゆる施策の見直しにより財源を確保し,本市ならではの独自性はしっかりと継続してまいります。

 「【2】あらゆる主体との適切な役割分担」でございます。この間,地域や社会課題に取り組む地域の団体,NPOや企業等が京都市で増えており,京都はソーシャルビジネス,ソーシャルイノベーションの中心になりつつあると評価いただいております。多様化する市民ニーズに,的確かつ迅速に応えるため,行政による直接支援だけでなく,こうした団体等とも連携を深めまして,多様な主体による支え合い社会への移行を加速してまいります。

 「【3】ストック,保有施設の総点検」。人口減少,施設の老朽化,デジタル化等の社会変化を踏まえ,保有施設の総量の見直しを進め,維持管理費の軽減を図りつつ,用途を終えた施設は,民間等に貸付,売却により,更なる地域の活性化につなげるなど,戦略的な活用を進めてまいります。

 「【4】補助金,イベント,受益者負担の見直し等の総点検」であります。受益と負担のバランス,実施の意義・効果等,全庁横断的な視点で総点検し,厳しい時代の変化に対応し,より効果的で公平性のある持続可能な,また住人主体の仕組みとなるよう,機動的に対応してまいります。

 次に「3 歳出上限の設定」です。こうした個々の事業の見直しを進めると同時に,持続可能な行財政に向けた取組をより確実なものとするため,毎年度の予算編成で項目ごとに歳出上限を設定し,歳出を確実にコントロールしてまいります。

 

 9ページを御覧ください。将来世代への負担の先送りからの脱却し,本計画期間中の財政運営の目標として,「令和7年度の公債償還基金残高1,000億円以上」を掲げ,これを確実に達成してまいります。

 更に,「4 社会経済情勢の変化をとらえた都市の成長戦略」を実施します。歳出の改革だけでなく,経済の活性化,市民の皆様の豊かさを実現し,それを担税力の強化に結び付ける。そして,歳入増加を加速化しなければなりません。これまでにない大胆な都市の成長戦略を進めることが重要です。新たな価値を創造する都市デザインの実現に向けた取組を推進し,市民の豊かさと収入増の実現にチャレンジします。令和15年度までの早期に,一般財源収入を100億円以上,税収ベースでは400億円以上増加させてまいります。

 こうした取組により,令和15年度までに,できるだけ早期に公債償還基金の計画外の取崩しから脱却し,持続可能な行財政を確立してまいります。

 

 10ページを御覧ください。「(3)改革の具体化」でございます。今後,早期の具体化に向け,検討を進めている項目です。

 「1 実施による効果,施策の今日的な意義を踏まえた補助金,イベントの総点検」を実施します。また,「2 受益者負担の適正化のための施設の使用料や行政手続き等に係る手数料の見直し」を行い,秋ごろに結果を公表し,令和4年度予算に反映させてまいります。

 「3 行政手続のオンライン化等,デジタル化の推進,市民サービスの向上と,行政の効率化」を加速します。

 更に,「4 保有施設の総点検,公共施設の安心安全の確保と複合化,集約化の推進」を実施します。今年度内に「公共施設マネジメント基本計画」を改訂してまいります。

 

 11ページにまいります。「5 受益と負担のバランスの観点や国制度の充実等を踏まえた施策の見直しと持続可能性の確保」を行ってまいります。また,「子育て支援は,財源の再配分によりセーフティネットの維持・充実」を進めてまいります。

 そして,「6 新たな価値を創造する5つの都市デザイン」,すなわち「若い世代に選ばれる千年都市」,「文化と経済の好循環を創出する都市」,「持続可能性を追求する環境・グローバル都市」,「『知』が集うオープン・イノベーション都市」,「伝統と文化が融合するデジタル創造都市」。この5つの都市デザインを掲げ,都市の成長戦略を推進し,早期の効果発現に向けて取組を推進してまいります。

 これらについて,8月10日に開催する行財政改革推進本部において行財政改革計画を確定した後,スピード感を持って改革の具体化を図り,順次,市民の皆様や市会に対して御説明してまいります。

 なお,敬老乗車証や学童クラブ事業については,9月市会で条例提案を予定しております。現在最終の詰めを行っており,近々,御報告させていただきます。

 敬老乗車証制度は,半世紀にわたり,この間平均寿命の11歳の伸びとともに,対象者が大幅に増える中でも,なんとか制度を持続可能なものになるよう改め,そして,高齢者の皆様に積極的に社会の中で活躍いただくため,厳しい財政状況の中でも,どのような仕組みができるか,徹底して知恵を絞っているところです。

 また,学童クラブ事業については,他都市を上回って実施してきた。特に低所得者に対する子育て支援等を今後も持続可能なものとして守っていく。そのために,支援を必要とする世帯への配慮を十分に行ったうえで,利用実態に応じた新たな料金体系へ転換し,子育て世帯にとってより分かりやすく使いやすい仕組みとして再構築してまいります。こちらも,最後の詰めを行っているところです。

 

 結びに,改めまして今回の改革は,単に足元の財政が厳しいから施策を中止・廃止し,あるいは国基準や他都市と同水準にするというものでは決してございません。今の子どもたちに,将来,過度な負担を負わせないように,そして,これまで守り抜いてきた福祉,教育,子育て支援,安心安全などの施策の理念をしっかりと活かしつつ,持続可能なものにしてまいります。そのために,限られた財源を,より支援が必要な人々にどう再配分するか,考え抜いたうえで進めてまいります。

 市民の皆様に御負担をお願いする場合もございますが,守り抜いていくべきもの,見失ってはならない価値を見極め,本市施策の基本理念を守るために何を見直すか,市民の皆様と思いを共有し,不退転の決意で改革に取り組み,市民の皆様と共に,明るい未来を,魅力あふれる京都を,次の世代に引き継いでまいります。

 

質疑応答(摘録)

記者
 特別の財源対策を抜いた収支は赤字172億円。そして,特別な財源対策を含めた収支もマイナス3億円となりました。これについて,市長の率直な受け止めをお願いします。

市長
 京都市は,コロナ禍以前から厳しい財政状況でありました。そこに,コロナ禍で一層厳しさが増すこととなりました。危機感を感じると同時に,この厳しい状況を市民の皆様,議会にしっかりと御説明し,持続可能な財政を確立しなければならない。また,将来世代に負担を先送りしてはならない。このように考えています。
そのために,昨年から「持続可能な行財政審議会」を開き,全て公開のもと,市民代表・専門家の方々に英知を集めた議論していただき,答申をいただいています。
 そして,この間のパブリックコメントでは,皆様には幅広い年代の方から,9千件にも上る多くの御意見を頂戴しました。厳しい御意見もたくさんございます。御意見をいただいた方の割合は,30代の方が一番多い。若い方が,京都市の財政・行政のあり方に関心を深めていただき,様々な意見を言っていただけることはありがたいことだと思っています。近くに,その答申に基づく計画をまとめてまいります。市民の皆様へ丁寧に説明し,思いを共有し,改革を進めていくことが私の責務だと考えています。

記者
 公営企業決算について,市営地下鉄の資金不足額が財政健全化法による基準の20%を大きく上回り62.6%となった。経営健全化団体に陥ることについて,その受け止めと市民及び利用者にどのような負担を求めていくかお聞かせください。

市長
 10数年前,私が市長に就任したとき,京都市の公共交通(地下鉄・市バス)は,全国一厳しい,危機的な経営状況でした。その状況を市民の皆様にきっちりと説明し,歩くまち京都として,公共交通優先のあらゆる取組を進めてきました。
 そして,劇的にお客様数が増加。経営が改善してきました。そんな状況でのコロナ禍で,全てが振り出しに戻ったような状況だと感じています。
 しかし,市民の皆様にとって大切な足である,地下鉄・市バスを,何としても持続可能な経営にしていかなければならない。そのため,「京都市交通局市バス・地下鉄事業経営ビジョン検討委員会」を発足させ,市民代表,専門家の方々からなる,公開の議論を行っております。厳しい状況ですが,コスト削減が可能なところは最大限努力してまいります。また,当然,それだけで改善可能な経営状態ではありません。
コロナ禍以前,市バスは,観光客の増加等により想定以上の経営改善ができたことから,それを生かした路線の拡充を進めてきました。全国の路線バスが路線を縮小している中で,この十年間で系統を74系統から84系統に増やし,8%を超えて,走行距離を増やしてきました。こうした取組については,原点に返って,何が本当に必要であるか,しっかりと検討していきたいと思います。
市営地下鉄は,前回の経営健全化計画の際には,5%の値上げが議会で議決され,国でも承認されました。その後,観光客の増加等による経営状態の改善から,その値上げは先送りされましたが,この度の経営健全化においては,皆様の足である地下鉄・市バスを守るために運賃の値上げを考えざるを得ないと考えております。これについても,開かれた場で徹底した議論を行い,事業者の皆様・市民の皆様の御理解のもと,取り組んでまいります。

記者
 今後,行財政改革計画を策定し,計画を具体的に進めていくことになりますが,パブリックコメントを踏まえ,どのような計画となりますか,また,かつてない改革をどのように進めていきますか。お考えをお聞かせください。

市長
 まず,財政の現状・厳しさをしっかりと分かりやすく市民の皆様に御説明申し上げることが重要だと思います。そして,パブリックコメントで市民の皆様9千名もの方々に頂戴した御意見を基に計画をまとめます。8月10日には,行財政改革推進本部会議を開いて,発表させていただきます。御意見には,厳しい責任を問うものもございます。また,「今,将来世代のために改革を徹底して実行するべきだ。」,「京都の強みを徹底して生かし,もっともっと若い人に選ばれる都市になる。」など,多くの御意見をいただいています。改めて京都の最大の強みである,地域力・市民力を実感しています。市民の皆様と英知を集めて,必ずこの行財政改革計画を実行することが私の責務だと思っております。

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記者
 今回の決算で発表された収支赤字について,基本的な要因は,たコロナ禍にあるという認識でしょうか。

市長
 コロナ禍は,本市財政が厳しくなった要因の一つではありますが,それが全てではありません。コロナ禍以前から,本市の財政状況は厳しいものでした。
令和2年の市長選挙の途中からコロナ禍が始まり,感染が拡大していきました。私は4期目の公約で「挑戦と改革」を掲げていますが,これまでから過去の延長でない改革を行ってきました。行財政改革に取り組み,経済政策により税収も増えてきましたが,コロナ禍でその成果が吹き飛び,元々の厳しい財政状況に追い打ちをかけたと認識しています。したがって,あらゆることを見直していく必要があります。コロナ禍で,社会のあり方,働き方,都市経営,様々な考え方が変わっています。これを大きな契機として未来に責任を持っていきたいと思います。

記者
 特別の財源対策を除く収支について,コロナ禍以前から赤字がずっと続いているという状況ですが,この要因についてはいかがお考えでしょうか。

市長
 公債償還基金の取り崩しなど,特別の財源対策を行わなければ,予算を編成できない。こうした状況については,予算発表でも議会での議論でも,特別に説明してきました。特別の財源対策から脱却を目指すには,歳入増,とくに,市税をふやしていくことが必要だと考えています。そして,地方交付税の増額を求めていくことも必要な措置です。これまでの取組から,税収(歳入)については,この5年間で見れば比較的順調でした。しかし,地方交付税が想定外に減少してしまった。これが大きな要因の一つとなりました。
一方で,歳出については,社会福祉関係経費が累増したこと。そして,台風の影響など,様々な要因がありました。そうしたところにも切り込んでいけば,歳出は削減できますが,いずれもそう簡単に切り込んで削減できるものではありません。こうした点から,結果として,特別の財源対策を実施し,施策の水準を維持してきましたが,これについては反省しなければならないと思っています。

記者
 長年,市長を務められる御自身の責任としてはいかがお考えでしょうか。

市長
 私自身としても,改めて責任を痛感しています。この状況を市民の皆様に赤裸々に御説明していく。改革していく。そして,持続可能な財政の確立へ,その道を切り開いていく。これが私の現在の最大の使命だと考えております。

 

記者
 市民に財政状況の実態を分かりやすく伝えることが重要ということを仰っていますが,市長としては,どういったお考えから今回の発表に至り,また,どういった状況であることを市民の方に伝えたいとお考えですか。

市長
 これまでは,財政健全化法に基づいて,特別の財源対策をしたうえで赤字であるか黒字であるかという,実質赤字・黒字という形でお伝えしてきました。しかし,昨年,持続可能な行財政審議会で徹底して議論をしていただいた際に,「審議会は全て公開であるものの,もっと市民にわかりやすく,わかりやすい言葉で説明すべきではないか」という意見がありました。また,実質赤字・実質黒字という言葉だけが結果的に独り歩きすることはよくないと考え,今回,特別な財源対策を含めて赤字という発表に変更しました。その方が,京都市の財政の実態をよりよく御理解いただけると考えております。

記者
 財政調整基金の残高がゼロになったことについて,受け止めをお伺いできますでしょうか。また,どれくらいの残高を理想としているのか,今後の方針をお聞かせください。

市長
 公債償還基金については,取り崩しを最大限減らし,そして,令和7年度に1,000億円以上確保することが最優先課題だと考えております。
 また,年度ごとに歳入・歳出が変動しますので,財政調整基金は大事な要素であります災害等に対する緊急財政出動が必要であるため,新規採用職員等を除いてほぼ全職員の給与カットを今年度から行い,この3年間で50億円積み込みます。職員の理解のもとに,そうした取組を進めています。

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記者
 令和2年度の市税収入について,新型コロナウイルスによる影響は限定的であるとのことですが,令和3年度の見込みはいかがでしょうか。

市長
 まだ年度半ばのため,見通しは立ちません。令和2年度の宿泊税は元年度比で70%減となっています。これは非常に痛いです。通常,税収が伸びれば,その75%分の地方交付税が減ります。したがって,400億円税収が増えた場合に,実質の財源が100億円増えることとなります。ところが,宿泊税は法定外収入のため,地方交付税は減りません。したがって,宿泊税が29億円減ったとことは非常に大きく,今年も極めて厳しい状況にあります。そして,個人市民税もまだ分かりませんが,昨年度はほとんど影響を受けませんでした。コロナ禍以前は,成長戦略が功を奏して,個人市民税の納税義務者数は,この間増加し続けてきておりました。今年度は,さらなる厳しさを感じています。一方で,企業業績は,国レベルでは非常に順調という報道もございます。景気状況をしっかりと見極めながら,年度途中ではありますが,コロナ対策など必要な財政出動は躊躇なく行っていく。同時に,引き続き,徹底した事業の見直しも続けてまいりたいと考えております。

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記者
 宿泊税は,新型コロナウイルスによって税収が大幅に減りました。いわゆる水物であり,安定した財源にはなっていません。今回,宿泊税に不安定な側面があることを露呈したと思いますが,その点についてはどのようにお考えでしょうか。

市長
 おっしゃる通りだと思います。ただ,そういう意味では,地下鉄・市バスも含めて,全てが水物である,サービス業とはそういうものである,こういう言い方もできると思います。したがって,先ほども申し上げましたが,財政調整基金をしっかりと積み立てるといった財政運営が必要であると考えております。
 宿泊税についは,非常に厳しい状況ですが,将来必ず回復する貴重な財源であると考えております。コロナ以前の観光に戻すのではなく,市民生活や地域の豊かさに繋がる観光政策にいかしていくべきだと考えております。

記者
 ふるさと納税について,様々な取組を進めたことで寄付額が大幅に増加しましたが,一方で流出額も膨らんでいる状況です。ふるさと納税について,改めて市長のお考えをお聞かせください。

市長
 私は,ふるさと納税の制度そのものについては,一定の疑問を持っています。地域の住民として必要な負担をしていただくというのが住民税の考え方だと思います。当初においては,へき地等に対する支援になるのではないかということで,始まった制度だと考えております。
 本市も,2年前まで,そうした理念のもとに,二条城の入城券を返礼品にする,また,三条大橋の改修を目的に寄付を募るといった取組を進めてきました。しかし,ふるさと納税によって40億円近い流出額があること,また,ふるさと納税を通して,地域の特産品や伝統産業製品の魅力発信,地域の活性化に寄与できること,そうした点に着目して,積極的に取り組んだ結果,令和2年度の寄付額は約18億円となり,前年の約7倍にもなりました。なお,返礼品のうち,約4割はおせち料理でした。コロナにより経営状況が非常に厳しい料理屋さんが,年末のおせち料理の注文のおかげで,一息つくことが出来たとのお声も伺っております。あるいは,京都の様々な伝統産業製品は厳しい状況ですが,ふるさと納税返礼品にすることで,魅力発信に繋がり,喜んでいただいております。新型コロナウイルが落ち着いたら,京都にお越しいただいて,そして,京都の食文化を味わっていただく,京都の奥深い魅力を感じていただく,伝統産業製品をお求めいただく,こうした取組をより強化して,歳入確保に全力を挙げてまいりたいと思います。なお,8月3日から,ふるさと納税返礼品として電子感謝券を新しく追加しました。市域外の方が京都にお越しになり,登録されたお店で京都の産物を買われる,京都の食文化を楽しまれる,地域通貨のようなものです。これを制度化することができました。観光は,どちらかというと市民生活の幅広いところに恩恵がなかったのではないかとの御指摘がありました。今回,地域の身近な小売店,飲食店等で,お金が循環していくという制度設計ができました。これは,実は1人の職員の提案から生まれました。今後,加盟していただくお店を増やしていく事が大事です。観光客の増加が,小さな小売店,飲食店,さらには,伝統産業,京都の手作りの品物等の販売促進につながるような取組を進めてまいりたいと思っています。

記者
 地下鉄事業について,今年度中に今後のビジョンを策定されるとのことですが,現時点で,どういった内容をお考えでしょうか。

市長
 ありがたいことに,京都には,公共交通において全国トップ水準の学識者がおられます。また,多様な市民の方にも真剣に検討いただいております。審議会において,市民の足を守るという視点で徹底した議論をしていただいていますので,ここで先ほど答えた以上のことを申し上げるべきではないと思っています。ただ1点申し上げますと,12年前からスタートした前回の経営健全化計画では,10年間で5万人増客するということを計画に明記しました。それに対し,京都市の外部監査委員の方から,「絵空事である」と厳しい御指摘をいただきました。その時の胸に刺さった気持ちを今も忘れていません。しかし,交通局が先頭に立ち,全庁を挙げて,そして,市民ぐるみで取り組んだことで,計画を前倒しで達成することが出来ました。そして,5%の値上げも回避することが現に出来ました。今回も一般的には,真っ青になりそうな現状であります。しかし,市民の皆様と一緒にあのどん底から改革することができた教訓を大事にし,市民の皆様と一緒に考え,一緒に改革してまいります。

市長
 市営地下鉄の赤字が5千億円であった当時,こんな御意見をいただいたこともありました。『地下鉄の赤字は京都市の借金であるが,市営地下鉄は「市民の宝」である。これを活かして,赤字は克服しなければならない』と。そして,皆様と取組を進めてまいりました。そんなことも改めて思い出しております。
もう一点,あまり知られていませんが,国によると,地下鉄のトンネルについて,60年で償却しなければならないとされています。これが非常に厳しい。例えば,大阪市の御堂筋線は古くから開通し,収益性の高い,いわゆるドル箱路線となっていますが,京都市の地下鉄についてはそうではありません。ドル箱路線になるのを待っていられる状況ではありません。トンネルの償却については,実態に合った改革をしてほしいと国に要請しているところです。

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記者
 前回の経営健全化計画の中では,5%の値上げを計画されていましたが,結果として回避されました。先ほど,値上げを検討する必要があるという主旨の御発言がありました。この点,改めてお考えをお聞かせいただけますか。

市長
 これから審議会や議会も含めて,深い議論をしていただくことになります。正確に言いますと,前回は,計画の前期・後期でそれぞれ5%値上げする計画でしたが,値上げは回避できました。これは,当時の駅ナカビジネス(コトチカ)が順調に増収につながったことなどから回避できたものです。
そして,今回また大変な危機であります。これから,地下鉄車両の更新等,様々なことが必要になります。それらを含めて受給者負担をどのようにしていくか。持続可能な経営とするために何が必要なのか。しっかりと議論してまいりたいと思います。

記者
 前回の経営健全化計画では,一般会計からの支援が入っていて,800億,900億といった多額の軽費を投入されていました。しかし,今回は一般会計の決算内容も非常に厳しい。市営地下鉄について,一般会計からの支援を行うことについてはどのようにお考えですか。

市長
 一般会計が危機的な状況にある中で,市民の皆様に様々な改革を御理解いただかなければならない。そんなときに地下鉄に財政出動する考えはございません。

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<記者会見案件以外の質問>

記者
 新型コロナワクチン接種事業についてお伺いします。65歳以上の方の接種はどれくらい完了しましたか。

市長
 第5波という状況ですが,ワクチンの効果を実感しています。
 京都市において,現時点で65歳以上の方の接種率は,1回目が83.03%。2回目が77.50%です。多くの方に受けていただきました。感染急拡大している中ではありますが,高齢者(65歳以上の方)の感染は一時に比べて激減しております。また,重症化されている方も少なくなった。いつ何が起こるか分からないので気は抜けないですが,7月16日以降,死亡者が出ていないということもあります。ワクチンの効果を実感しております。
 この間,65歳以上の方を7月中に最優先で受けていただくために,様々な取組をしてきました。御承知のとおり,京都市では,身近な医療機関等,かかりつけ医での個別接種を大事にしながら,集団接種について10数箇所を準備してきました。予約開始の当初からいろいろ御心配をおかけしたこともありましたが,先着順から登録制に変更も行ってきました。7月10日まで1回目の接種を受け,そして,2回目は7月中に受けていただくように御案内し,また,かかりつけ医での接種に時間を要する場合は,登録制の方に案内しました。ワクチン供給量の減少という問題もありましたが,個別の医療機関での接種についても最優先でワクチンを供給しましたし,集団接種会場での接種も着実に進めてきました。そんな取組により,ワクチン接種を希望される65歳以上の方については,7月中にほぼ接種していただけたと認識しています。
 ワクチンの効果が報道機関等でも発信され,そして,御近所でも受けた方がたくさんおられたりすると,「私も受けたい」と思う方もおられる,ですから,今でも,毎日40名ほど,65歳以上の方からの申込みがあり,最優先で受けていただけるよう案内しています。したがって,VRS上での接種率は約83%になっていますが,あくまで登録上の数字ですので,まだこれから伸びていくのではと思っています。

記者
 8月から64歳以下の方の接種が再開されますが,その見通しはいかがでしょうか。

市長
 64歳以下の方の接種も非常に大事であります。なかなか若い方の関心が高まらないという問題がありました。そんな中,おかげ様で毎日登録される方の数が増えてきている。ワクチン接種について,再び関心が高まってきていると感じています。しっかりと御案内して,10月中には希望される方全てにワクチンを受けていただけるように,医師会,私立病院協会等,医療関係者の御協力の下で,全力を挙げてまいります。

記者
 64歳以下の方に関しては,登録は既にしたけれど,一体いつ接種できるのかということが関心事であり,知りたいと思っている方も多いと思います。集団接種の状況も含めて,いつ頃から接種が受けられる見込みでしょうか。

市長
 現状,まだ不確定なところが多く,できるだけ早期に接種いただけるように,取り組んでまいります。現時点で登録されている方が約10万人おられ,御案内については現在進行中です。
 個別接種は,8月2日から64歳以下の方への接種を再開し,700程の医療機関に,1週間につき48回分のワクチンをお送りしています。集団接種は,今週8月7日(土曜日)から始めます。例えば,KBSホールは,8月10日から,夜間も含めて午後8時半まで接種していただける体制となりました。それから,イオンモールKYOTOにおいても,午後(夜を含む)の時間帯において,8月10日からの平日に接種を開始します。それから,国にも申請されているところですが,企業・大学等での職域接種についても積極的に取り組んでいただいています。

 

記者会見動画

下記URLから御視聴いただけます。(京都市動画情報館(YouTube))

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記者会見資料

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