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門川市長記者懇談会(2021年4月17日)

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2023年4月12日

門川市長記者懇談会(2021年4月7日)

市長記者懇談会(2021年4月7日)

(新型コロナウイルスの感染状況について)

記者
 大阪で新型コロナの陽性者数が800人を超えたとの報道がありましたが,どのように受け止めておられますか。

市長
 京阪神は,人の動きも社会経済活動も非常に一体感のある地域です。我々も緊張感をもって感染拡大防止の取組を徹底し,さらに,市民・事業者の皆様に基本の徹底を改めて呼びかけてまいります。とりわけ,関西では,変異株が多いです。厚生労働省が府県単位での発表としていますが,府県単位で見ると,京都では週毎に変異株が増えています。また,京都市の衛生環境研究所で検査している事例からも,5割近くが変異株になってきております。ウイルスは,どんどんと変異して,置き換わっていくと言われていますが,それを目の当たりしております。変異株の動向も含めて,感染防止対策に取り組んでいきたいと思います。

記者
 国のほうで,京都への「まん延防止等重点措置」の適用が検討されていますが,その点についてはいかがでしょうか。

市長
 一ヶ月後までに首都圏の感染が収まらなければ,日本全体が収まらないと言われていました。大阪で急激に感染が増えて,それが兵庫,奈良へ影響しております。大阪,兵庫の1週間から1ヶ月遅れで,京都でも感染拡大したのが第3波の傾向でした。今が一番踏ん張るべき時と考えています。今までの知見から,まずは,基本の徹底が一番大事だと思っています。

記者
 今回の特徴として,学生や若い人の感染が多い状況です。飲食店への時短要請を出しても,学生はお昼から会食をするということも多いかと思います。その点についてはいかがでしょうか。

市長
 20代の割合が40%を超えています。これが,これまでとの大きな違いであります。とりわけ,三つの大学でクラスターが発生しました。大学に対しても,緊急の要請を行っております。ホームページ等々での発信に加え,教職員があらゆる機会に学生に訴えいただきたいともお願いしております。卒業・入学という一番手薄になる時期であります。現に,卒業後に起こっている事例もあります。我々としても,直接若い人に訴えると同時に,大学と連携強化していかなければならないと思います。教育活動の中で,感染が拡大していることはほとんどありません。やはり,コンパや飲食の場であります。飲食の場というのは,昼も夜も含めてです。そうした時に大切なのが黙食です。食べる時は,マスクを外さざるをえませんが,喋る時はマスクをしていただく。この徹底と,飲食店等への周知も含めて,取り組んでまいります。

 

(観光事業者の状況について)

記者
 2月の観光閑散期を乗り越えないと,3月に廃業するような旅行業者等も出てくるとおっしゃっていましたが,実際の状況はいかがでしょうか。また,桜シーズンの観光客の状況はいかがでしょうか。

市長
 観光事業者,飲食関係者の立場からすると,ようやく落ち着くかなと思った時に,三度目の厳しい状況であります。我々も相談体制,あるいは府市協調,国との連携による融資等々,全力をあげています。現時点で,店を閉められる事業者が増えているというところまではいっていないと思います。これは,国も含めた様々な支援策で何とか持ち堪えられている状況です。しかし,これが長引けばなお厳しい状況になってきます。伴走型の支援体制をより充実させてまいります。

 

(ワクチン接種事業について)

記者
 振り返ってみると,この1年間,特別定額給付金の時には,政令市が大変な苦労をされました。そして,今回の住民接種も基本的に基礎自治体が担われて,京都市においても約130万人,うち高齢者約40万人の接種がいよいよ始まるところです。門川市長は政令市市長としての経験が長いですが,今回のワクチン接種は,政令市の立場からすると,どのような難しさがあるのか教えていただけますでしょうか。

市長
 政令指定都市が保健所を持ち,また飲食店等への日常的な指導を行っています。高齢者福祉施設に対しても日常的に指導を行っています。責任はありますが,法令による権限は全て都道府県知事に集約されています。この点について,改善していくべきであるということは,政令指定都市市長会として国に提案しております。これらについては,新型コロナの状況が落ち着いたら,もっと議論を深めていきたいと考えております。幸いなことに,京都においては,西脇知事としっかりと連携して,その課題を乗り越え,対策を実施しております。我々は,河野大臣に対しても,政令指定都市には,独自にワクチンを送っていただく方が,都道府県の手を煩わせることもないと申し上げましたが,河野大臣は,それは厚生労働大臣の仕事だとおっしゃっておられました。これについては,改善していただくようお願いしていきますが,現時点でそれで困っているということはありません。何よりも,より早く,より多くのワクチンを供給していただきたい。そのことにつきます。併せて,情報共有を徹底していただくようお願いしたいです。

記者
 府市協調が非常に友好な状態にあることは取材の中でも感じています。しかし,ワクチンは住民からすると期待値が大きいです。京都府内で見ると,京都市と府域の人口比に対して,感染者の比率は,やや京都市の方が高い傾向にあります。京都市がワクチン接種を先に先に進めていかないと,それが府南部等に波及してしまう可能性もあります。そのような状況を踏まえ,京都市がワクチン接種をリードしていきたいというお考えはありますでしょうか。

市長
 限られたワクチンを,より効果的に,より迅速にという視点にたって取り組んでまいりたいと思います。ただ,この1,2週間において,京都市と府域では,府北部での発生はあまりありませんが,それほど変わらなくなってきています。これは,大阪の影響もあるかと思います。こういうこともあるため,京都府の立場からすれば,人口比で配分していかないと仕方ないかなという気もします。しかし,事態はどんどんと変わっていきますので,感染者の状況を見ながら,京都市長という立場ですので,可能な限り,京都市域に配分していただけるようにお願いしていきたいと思っています。

記者
 先日,第1回新型コロナワクチン接種推進協議会を開催され,医療,看護,介護等の現場の方々から意見がありました。今後解決していかなければならない課題がいくつか見えてきたというのが私の率直な感想です。第1回を終えて,市長はどのような課題があると受け止めておられますか。

市長
 各団体の代表の方々と個別の意見交換はしてきました。今回,一堂に会した場で,かつ開かれた場で議論するのは良かったなと思っています。とりわけ,私が感謝したいのは,医師会,看護協会,老人福祉施設協議会等の方々が,実に主体的に考えて,このワクチン接種を安全かつ迅速に実施していくとの責任感を持ち,自分ごととして取り組んでいただいているということです。例えば,看護協会では,看護師の確保は自分たちの責務である,それぐらいの思いでやっていただいております。もちろん私どもは,看護協会だけにお任せするつもりはありません。あるいは,老人福祉施設関係者が,老人福祉施設のスタッフも早期に接種しなければ,入所者の感染を防止できないと切実に訴えておられました。これは,早速国にも伝えています。このように,みんながそれぞれの持ち場で,感染拡大防止のために,課題意識をもって提案いただいております。国においては,何とか早く国民の皆様に接種を始めることが大事だという考え方があるのかと思いますが,接種の優先順位も含めて,必要な意見は引き続き国にも申し上げていきたいと思います。
 ワクチンへの期待が非常に高まっていることを実感しています。コールセンター等々への問い合わせは約2,800件(4/7時点)あります。接種時期も含めて非常に関心が高まっています。いよいよ明日ワクチンが届きます。無駄なく接種していくことも大事です。現場力をいかして取り組んでいきたいと思います。

記者
 第1回新型コロナワクチン接種推進協議会では,高齢者の接種の優先順位をどのように付けていくのかは非常に難しい問題であるとの発言もありましたが,接種の優先順番について,現状のお考えがあれば教えてください。

市長
 65歳以上の方が約41万人います。4月中旬から23日までに,接種券をお送りし,その後,ワクチンが送られてくる量に応じて,予約していただく御案内をします。基本はより重症化リスクの高い高齢者から予約の御案内をしていきたいと思っています。それを何歳で区切っていくのかという詳細はまだ決まっていません。行政区別にするなど,色んな考え方があります。我々の積み重ねてきた知見からしても,やはり高齢者ほど重症化リスクが高いです。尊い命を守るためにも,65歳以上の中でもより高齢の人を優先していくということが大事ではないかと考えています。ただその時に,例えば,御夫妻の方には,年齢が離れていても一緒に受けていただくなど,きめ細かい対応も含めて,今検討しております。
なお,100歳以上,90歳以上という,きめ細かな区切り方にすると,先ほど申し上げた御夫妻のようなこともありますので,もう少し大掴みにして,近しい高齢者の方から接種いただくというのが,重症化リスクの高い方を守るという点でも大事と思っています。

記者
 今の話で言いますと,75歳以上から,さらに年代別ということでしょうか?

市長 
 75歳以上でいくのか,そこからさらに区切るのか。これは非常に難しいところです。また,ワクチンが十分に供給されるよう,国に要望していきたいと思います。ある大学からは,大学単位で接種することはできないだろうかという御意見もいただきました。その際,私は,「大学生は非常に元気なので,ワクチン接種の順番でいうと一番後になるだろう」と申しましたし,その考えは今も変わりません。しかし,これだけ多くの若い人が感染しているという状況があるのも事実です。京都は大学のまち・学生のまちです。学生に対して,大学が責任を持って,接種指導していただくというのも,意味のあることだと考えています。京都市内に住んでいない方,京都市に住んでいるが住民票を移していない方も多い。そういった方が京都市で接種していただくには,手続きを踏んでいかなければならない。また,大阪や滋賀から京都の大学に通っている方も大勢おられ,基本的には,京都市域外に居住されている方は,それぞれ住民票のある自治体で受けていただくことになります。こういった課題もありますが,しかし,大学生がしっかりとワクチン接種していただくことは非常に大事なことです。看護師も保健師も医師もおられ,ワクチンさえあれば,大学単位で接種を実施できるところもあります。もっとも,これはワクチンが潤沢に供給されてきた場合の話です。もし,こうしたやり方が実現するなら,対面授業の実施にもつながります。京都の都市特性も踏まえ,どういう方策があるのか知恵を絞り,国に対して改めて要望してまいりたいと思います。

記者
 自治体の長として,市長はいつごろワクチンを接種されますか。先日,菅総理が,政治のトップとして責任を果たすためということで受けておられました。

市長
 私は,順番が来てから接種したいと考えています。

記者
 デジタル情報の観点などから,市民の中でも情報を得やすい方と,そうでない方もおられます。そうした,どちらかというと情報が入りにくい方にも,きめ細かくワクチン接種について情報を伝えていくことが大切だと思いますが,市長のお考えをお聞かせください。

市長
 仰るとおり,きめ細かくワクチン接種について情報を伝えていくことが大切です。京都市では,民生委員制度も機能していますし,独自の老人福祉員制度も整っています。そうしたボランティアの方々も含め,市民力・地域力をいかしてしっかりとお伝えしていく取組を重層的にやってまいります。なお,既に市民しんぶん等々も含めて,様々な取組を行っています。
在宅の高齢者には,4月23日までに接種券が送付されると思いますので,並行してお知らせも随時行っていきます。高齢者ワクチン接種は少なくとも7月いっぱいまで掛かるので,状況を見ながら的確に取組を進めてまいります。

 

(聖火リレーについて)

記者
 オリンピックの聖火リレーを実施すべきどうか,市長のお考えはいかがでしょうか。

市長
 何とか踏みとどまっていることを念願しつつ,可能な限り3密にならないための取組を進めています。セレモニーでお集まりいただく方々を限らせていただくなどし,粛々と実施していきたい。ただ,当然ながら,今後の感染状況を踏まえて判断していくこともあると思います。

記者
 今後,感染状況が大阪・兵庫のように膨らむ可能性も否定はできません。場合によっては,聖火ランナーも中止するということでしょうか。

市長
 そうした事態にならないように,まだ1ヶ月以上ありますので,感染防止に全力を傾注まいります。市内の聖火リレーの出発式やゴールも開かれた場とし,万全の体制で取り組めば,実施できるものと考えています。

 

(敬老乗車証について)

記者
 敬老乗車証については値上げの方針を示されていますが,値上げの幅についてはどのようにお考えですか。また,対象年齢の引き上げについては,どのように考えられていますか。

市長
 現時点では,まだお伝えできる事項がございません。これからしっかりと議論してまいります。

記者
 今年度示されるという行財政改革計画の中で,敬老乗車証について触れられるのでしょうか。

市長
 先だって開かれた「持続可能な行財政審議会」で,幅広い答申をいただきました。その中の大きな要素の一つが敬老乗車証の見直しです。受益と負担のあり方や,平均年齢が11歳高まっている点など指摘されています。しかし,持続可能な行財政審議会では,敬老乗車証だけではなく,施設の使用料,行政の意思決定の仕組みのあり方,評価制度のあり方も含め様々な御意見をいただいています。今後,幅広い項目で行財政改革の案を作り,議会にも説明し,基本的な考え方を示し,パブリックコメントをさせていただく。そして,その結果に基づいて詳細な方針を決めていく。さらには,最終的に個別の条例案として議会に提案していきます。そのため,いつの段階にということについては,現時点では未確定です。また,敬老乗車証以外にも様々な事柄がありますので,細部にわたって具体的にどこまで触れられるかというところも現時点ではお答えが難しく,必要なときに改めて御説明させていただきます。

記者
 敬老乗車証制度については,京都市交通局からすると約50億円の収入になっています。仮に対象年齢を引き上げる等により,その収入金額が下がる可能性があります。市交通局の経営が厳しい中での,そうした対応について,お考えはいかがでしょうか。

市長
 公営企業として,京都市交通局の経営健全化の取組はしっかりと進めてまいりますが,それと,敬老乗車諸制度をどうしていくのかというのは,別次元での課題であると考えています。

記者
 敬老乗車証制度も含めた制度も見直しだけでなく,交付率の地域偏在という観点から,地域の公共交通をどうしていくのかという検討も必要かと思いますが,その点について,市長のお考えをお聞かせください。

市長
 そうした議論があることは承知しております。市バスが通ってない地域,あるいは,公共交通の少ない地域もあり,一方で,民間鉄道が多く走っている地域もあります。地域の事情はそれぞれ違うため,それを公平にしていくということは,根本的には不可能ではないかと考えています。
市バス・地下鉄の経営が厳しい。また,民間の公共交通機関も経営が厳しい。しかし,こうした経営の厳しさを,敬老乗車証制度の見直しとともに解決するいう話にはならないと考えています。いただいている答申に基づいて,しっかり取り組んでまいりたいと思います。

記者
 敬老乗車証制度の課題は理解できますし,以前から指摘されていたことでもあります。しかし,市民感情としては,今コロナ禍で,なぜ今なのかという声もありますが,お考えを改めて伺えますか。

市長
 持続可能な財政を確立するために,開かれた場で議論してきました。もし,京都市が財政再生団体になったら,市民の皆様と共に築いてきた,京都ならではの様々な独自施策が,破綻してしまいます。そうした状況の中で,財政負担の最も大きい事業の一つが,この敬老乗車証制度です。時間を掛けてしっかりと議論していくことも大切ですが,これについては,早く改革をしていくべき,というのが今回の答申であったと考えています。

 

(地下鉄・市バスの経営について)

記者
 経営健全化団体となるのがほぼ確実視されている地下鉄経営について,地下鉄の料金値上げについては,どのようにお考えですか。

市長
 様々な要素が重なっての地下鉄の厳しさであります。私が市長就任時は,1日4,600万円の赤字でした。そこから,あらゆる努力をし,増客運動等にも取り組んでまいりました。当時,議会では,10年の間に5%値上げすることを承認いただきました。これは約10億円の増収です。しかし,駅ナカビジネス等によって10億円稼ぐことが出来るとなったことから,値上げを引き延ばしにしております。
地下鉄の持続可能な運営のために,適正な価格に改定していくことは,重要な課題の一つだと考えていますが,詳細な議論はこれからですので,現時点でお答えすることは難しいです。なお,料金の改定には,再建計画を作って,シミュレーションをして,これだけの改定が必要ということを国にも示していかなければなりません。しっかりと議会でも議論いただく必要もあります。何よりも破綻したらいけないので,持続可能な市バス・地下鉄の経営のためにも,安定した運営に資する料金設定が必要です。しっかり検討し,取り組んでまいります。

記者
 今の価格は適正ではない可能性があるということでしょうか。

市長
 市バス・地下鉄両方で令和2年度の運賃収入は150億円減収の見込みです。取り返しのつかない金額です。国が面倒を見てくれるわけではありません。何とかして払っていかなければなりません。

 

(新税について)

記者
 空き家や,別荘等に対する課税の件ですが,今月中にも検討委員会から答申が提出されるとのことですが,実際の導入時期はいつ頃を目指されているのでしょうか。

市長
 間もなく答申をいただきます。非常に深い議論をしていただきました。日本の税制の第一人者,不動産の流通関係者の方々にも参画いただいております。当初,不動産流通関係者の方々から,税の意義等についての議論もありました。不動産の価値をしっかりといかしていく,眠っている不動産をいかしていくための税制である,このような議論を深めていただいたと感じております。別荘だけでなく,使われなくなっている,十分にいかされてない,そうした住居に対しても適正に負担していただく。この負担も二つの要素があります。1つは,若い人がどんどんと住んでいただけること。もう1つは,空き家であっても,インフラの整備等に負荷を掛けているものに対して,適正に負担していただくことです。答申受理後,京都市としての案をまとめ,議会で議論いただき,総務大臣の同意を得る必要があります。京都市だけでできることではありません。実際の課税までには少し時間が掛かると考えております。

記者
 この件については,市長の選挙公約にもありましたが,市長任期中に目途をつけたいということでしょうか。

市長
 当然,そのように思っております。

記者
 課税対象は非居住住宅ということで答申が出てくるかと思いますが,その認定は難しいと思います。認定,課税するにあたり,システム整備は今後どのように進めていくのでしょうか。

市長
 非常に難しい要素がありますが,それらについても,かなり深い議論,調査をしていただいております。最も適正な案を採用していきたいと考えております。

 

(上質宿泊施設誘致制度について・宿泊施設のバリアフリー)

記者
 仁和寺門前のホテル計画についてです。3月に正式に計画案が提出され,京都市が上質宿泊施設誘致制度に該当するのか,調査しているところだと思います。市長は,この計画が上質宿泊施設としてふさわしいものであるとお考えでしょうか。

市長
 地域住民の方々が,長年空き地になっている場所に,一時期ガソリンスタンドとコンビニができることに対し強力な反対運動をされていました。その中で,仁和寺前の静かで景観の素晴らしい地域に調和した土地活用を,地域の方々が長年求めて,議論されてきたと考えております。もちろん多様な方々がおられ,一部に異論もあることは事実ですが,議論に議論を重ねていただいていると思います。今回,事業者から計画が提出されましたので,地域との調和が図られた計画となっているか,有識者の意見も聴取し,審査してまいります。そして上質宿泊施設候補として選定された場合は,事業主が景観の保全について検証するための美観風致審議会などの様々な法定手続きに臨まれます。私どももその手続きをしっかりと見守っていきたいと考えております。
 私は,基本的に,地域と調和したものになるよう議論が重ねられていると考えております。確かに宿泊施設は3000平米までという一般的な用途規制がありますが,極端な話,ホテルが2つ隣り合わせに建つことは問題ありません。事業者が,地域の文化,安心安全に貢献するというコンセプトのもと,地域の方々と長年にわたって話し合いを積み重ねてこられました。これを大切にしていきたいと考えております。

記者
 上質宿泊施設誘致制度は2016年から今年度までの計画ですが,延長される予定はありますか。

市長
 あえて一定の期間を決めてやっています。総括し,今後については検討してまいります。

記者
 新型コロナによってインバウンドや宿泊客が減少しております。その中で,この制度に基づきホテルが建てられると,飽和状態がさらに加速するのではないかと思います。その点については,どのようにお考えでしょうか。

市長
 例えば,京都駅の周辺や市内中心部都心において,宿泊特化型の宿泊施設は,一部過剰になっています。それに対しては,日本は計画経済ではないため,非常に難しい面があります。しかし,カプセルホテルについては事実上,建設できないようにしていこうと,四条通が地区計画を作られました。あるいは,これからできる宿泊施設については,SDGsの理念に則り,宿泊施設の内部までバリアフリーを徹底するための制度を作りました。これにより,新しく建てられるのであれば,高齢化社会,ノーマライゼーション社会に対応していただきます。また,京都市と言っても,右京の端から左京の端まで,非常に範囲が広いです。左京区の八瀬や大原では宿泊施設が減っております。そういうところには,宿泊施設が必要であるという声もあります。それらも含めてじっくりと検討してまいります。なお,宿泊施設の建築については今年4月以降新たなルールの運用を始めています。様々な制度をいかして,地域と調和していくことを原則にしていきたいと思っています。

記者
 上質宿泊施設誘致制度について,概ね100メートル以内というのが地域住民との合意形成の条件ではありますが,まちづくり協議会の範囲とは一部違っており,その部分については,意見を掬い上げるのが難しいと思います。その点についてはいかがでしょうか。

市長
 コミュニティの考え方はいろいろとありますが,上質宿泊施設誘致制度では100メートル以内を目安とした範囲を合意形成の対象としています。景観については,上質宿泊施設誘致制度とは別に,美観審議会等もありますので,そこをいかしていくのが良いと考えております。

 

(聚楽保育所について)

記者
 聚楽保育所について,市長は議会において縮小又は廃止を検討していきたいとの発言がありました。令和3年度は,定員110人から85人に縮小するとのことですが,今後,廃止になることもあるのでしょうか。

市長
 地域において,将来にわたってしっかりと見通したうえでのことだと思います。近年,民間保育園が充実してきております。そうしたもとで,聚楽保育所が将来にわたって必要であるかどうかというのを見極めていくという意味です。

記者
 再度,民間移管に向けた事前調査が行われていますが,ここで手を挙げる方がいなければ,それをもって廃止の方向に進んでいくということもあるのでしょうか。

市長
 ありえます。もちろん子育て環境は,しっかりと大事にしていきます。保育需要があり,ここを廃止したら,この地域で待機児童が発生しかねないということであれば別です。だから,その点も見極めたうえでのことであります。

記者
 保護者からは,京都市からの説明が不十分であるとの声もありますが,その点については,どのようにお考えでしょうか。

市長
 繰り返し,丁寧に説明してきていると思います。

 

(行財政改革計画について)

記者
 行財政改革計画ですが,これは4月中に発表されるのでしょうか。

市長
 計画案を作り,パブリックコメントを実施するため,5月になると思います。

記者
 どういった内容になるのでしょうか。

市長
 財政改革ではなく,行財政改革です。したがって,非常に深く,また幅広いです。京都市政のあり方,行政のあり方,意思決定のあり方,それらが財政に与える影響等も含めてです。非常に広範囲な議論を重ねていただき,厳しい,鋭い答申をいただきました。本日の局区長会においても,再度,全ての関係職員がじっくり読み,現場から改革をしていかなければならないと申しました。したがって,行財政改革方針というのは,どこの施設使用料をいくらに値上げするといった内容ではく,受益と負担のあり方をどうすべきか,持続可能にするためにどうしていくべきか,そういう理念,取り組むべき方向が主な内容となります。そして,最も大事なことは,京都のポテンシャル,文化と経済の融合,スタートアップ,あるいは,若い人が生き生きと生活し,子育てしていけることです。基本構想,基本計画も答申いただいています。理念を大事にしながら基本的な骨子を作って,パブリックコメントを実施していきます。そして,具体的な改革については,年度毎に策定していくことになろうかと思います。

記者
 令和7年度に公債償還基金1,000億円を確保するために,760億円の財源捻出が必要ですが,それについて5月の段階では発表できないのでしょうか。

市長
 最低限760億円を財源捻出する。そういう基本的な考え方については示していかなければならないと思います。

 

(森林政策について)

記者
 今年度新たに森林政策監を設置されましたが,新たに取り組まれる施策等はあるのでしょうか。

市長
 日本は,約70%が森林ですが,京都市は74%が森林です。この豊かな森林が1000年を超える都を支えてきました。しかし,今この森林が負担になっています。3年前の倒木被害については,今も一生懸命復旧しております。様々な課題があります。しかし,これを宝として認識して,脱炭素社会・「2050年CO2排出量正味ゼロ」も含め,中長期・短期の取組を新しい森林政策監のもとに,自由に発想し考えていきたいです。今しばらく待っていただきたいと思います。壮大な学びの場,観光の分散化,あるいは木の文化など,京都ならではの木材をいかしたまちづくりを,遠大な構想とともに,当面の取組も含めて打ち出していきたいと思います。よろしくお願いします。

 

(吉田副市長の就任について)

記者
 新しく就任された吉田副市長に,どのようなことを期待されていますか。

市長
 人物像は誠実そのものと多くの方が言っています。非常にきめ細かく,熱意にあふれ,信頼できる人物です。コロナ禍と財政危機を乗り越えていく。そして,誰1人取り残さないSDGsの理念に基づくまちづくりを推進していく。その中心を担っていただくのに,ふさわしい人物であると確信して任命させていただきました。

 

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