共同記者会見(2020年2月14日)
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2023年4月12日
「『京都×能装束』文化ものづくりプロジェクト商品完成披露記者会見」
記者会見
1 日時
令和2年2月14日(金曜日)午後2時~午後2時30分
2 場所
京都市役所本庁舎第一応接室
3 出席者
・林原美術館 谷一 尚 館長
・株式会社亀田富染工場 亀田 憲明 代表取締役
・秀和株式会社 奥 敏郎 代表取締役
・株式会社高岡 髙岡 幸一郎 代表取締役
・宮井株式会社 宮井 宏明 代表取締役
・(地独)京都市産業技術研究所 西本 清一 理事長
・ 門川 大作 京都市長
4 次第
(1)産技研理事長 趣旨説明・挨拶
(2)出席者紹介
(3)林原美術館館長 挨拶
(4)参画企業各社代表 挨拶・商品PR
(5)京都市長挨拶
(6)記念撮影
配布資料
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集合写真

商品写真
概要
(1)産技研理事長挨拶
京都市産業技術研究所では,デザインチームが中心となって林原美術館の能装束を活用して京都の4社に参画していただき,文化ものづくりプロジェクトと名付けて商品開発に取り組んでいます。16世紀後半から17世紀にかけての安土桃山時代,折しも16世紀の中頃,南蛮文化の影響を受けて桃山文化が立ち上がりました。日本では外国の文化を,「受容」「変容」「成熟」の過程を経ることで日本の文化として定着させます。令和の時代に,桃山文化で花開いた意匠を現代にあった商品作りをしたのが今回のポイントです。この後各社から説明がありますが,共通の意匠,各社ごとの意匠を選定して商品化しています。2020年の春夏に向けた商品が完成したのでぜひお試しいただきたいと思います。
(2)林原美術館館長挨拶
林原美術館には1300点ほどの能狂言衣装があり,そのうちの7点ほどが重要文化財に指定されています。これほどの桃山期の衣装が残っているのは,備前岡山藩主池田家の衣装として保護されてきたからです。美術館の本来の機能としては,後世に残すべき文化財をできるだけ長く残すということにあります。しかし,蔵の中にただ収蔵しているだけなく,桃山時代の素晴らしいデザインを後世にどう生かすかという文化資源の活用の取組として,今回の京都市のご提案に賛同し,参画することとなりました。
(3)株式会社亀田富染工場代表取締役挨拶
一人だけ派手な格好ですがお殿様ではありません。このような場所で発表させていただくことに,感謝の気持ちでいっぱいです。弊社は大正8年創業の染屋です。今から18年前に「パゴン」を立ち上げ,昔の柄を使ってアロハや女性用のファッションを作っています。小さなファクトリーブランドですが,職人と一緒に日本の伝統文化の継承も担っていると思っています。今回の商品のうち,このアロハは「雪持芭蕉文縫箔(ゆきもちばしょうもんぬいはく)」という衣装を元にデザインしています。南国にしかない植物に雪が降るという奇跡的なイメージを表しています。今回の文化ものづくりプロジェクトに参加して,我々は商品を作っておりますが,多くのお客様に,この林原美術館の素晴らしい文化的な意匠に感動していただいて,財布の紐も緩めていただいて,お買い求めいただいてこそ,職人たちの仕事になるということが大切です。その考え方に賛同いただいて,京都大丸さんで4月22日から販売会を開きますが,この商品がどうお客様に受け入れられるかを見ていただけたらと思います。私たちは「必死のぱっち」でお客様に喜んでもらおうという気持ちで取り組んでいます。どうぞよろしくお願い致します。
(4)秀和株式会社 代表取締役挨拶
秀和株式会社は創業して35年となります。がま口を中心とした服飾雑貨の製造販売をしています。洋服や着物にも合う現代のライフスタイルに合わせた様々なデザインの商品を作っています。今回の共通柄の「紅白段桜花文摺箔(こうはくだんおうかもんすりはく)」はどちらかといえば着物に合うというイメージです。「海松貝文様蔓帯(みるがいもんようかずらおび)」シリーズは,非常に可愛い文様ですが,これをワンポイントにした洒落たデザインです。パゴンさんと同じ「雪持芭蕉文縫箔」のデザインについては,少しスポーティなイメージです。文化財の良さを生かして,我々が得意とするこなし方で商品化しました。東京,京都を始め全国のショップで展開予定です。どうぞよろしくお願いします。
(5)株式会社髙岡 代表取締役挨拶
株式会社髙岡は大正8年に創業しました。主に布団を作っていたのですが,座布団やクッションなど,人々がくつろぐ時に床でも椅子でも使える商品を製作しています。我々4社は今回のプロジェクトをスタートさせたわけですが,プロダクトは違うけれど,それぞれがものづくりのプロだと思っています。林原美術館の能装束のデザインをプロダクトにして,それだけでなく,そこに至るプロセスやストーリーを発信することが大事だと思っています。そしてその発信によって京都でのものづくりに興味を持つ方や,京都でものづくりをしようと思う人が増えるなど起爆剤になればいいと思っています。そういう企画であると思って参加しております。
(6)宮井株式会社 代表取締役挨拶
貴重な時間をありがとうございます。明治31年創業,室町で風呂敷問屋を営んでおります。今回も風呂敷で参画しております。今回は共通柄と「紅白段桜花文摺箔」と鬘帯のデザインを林原美術館からいただいて商品化しました。風呂敷は一枚の四角い布でして,包むものによって柄の出方が変わりますので,デザインの構図を工夫しました。風呂敷は,日常の生活で使っていただけることが大切です。今年の7月からはレジ袋が有料化される中で,エコグッズとしての風呂敷が非常に便利なものであることを伝えたいと思います。今後は室町の自社店舗,あるいは全国のデパートでも展開予定です。今回の風呂敷の染めは,産技研(産業技術研究所)の開発した昇華転写捺染という技術で製作しました。5年前に産技研から「目の輝き」企業にも認定いただいています。技術も産技研,デザイン提供も産技研ということでまとめさせていただきました。どうぞよろしくお願いします。
(7)京都市長挨拶
こうしたことが京都市らしい取組であると思い,感銘を受けております。参画いただいた企業の皆様,ありがとうございます。文化か経済かという論争がありますが,ナンセンスであります。市民生活と産業,文化と経済が融合しているのが京都であります。厳しい現状がある中で,歴史文化を産業化して未来につなげることに参画していただき,とても嬉しく思っております。これをスタートとして,産技研とともに進めたい。文化と経済の融合は京都の原点です。伝統産業である西陣織,京友禅,清水焼や漆器もあり,全国の伝統産業が厳しい状況の中,京都が先陣を切って伝統産業を全国に,そして世界に展開して文化の力を生かすことに取り組む責務があり,皆さまのご尽力に対して敬意を表します。
昨年に第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会2019が開催されました。その中で,美術も工芸も,これまで感動していただくことに重点を置いていた,しかし,これからは買っていただけなければ,後継者育成につながっていかないという議論がありました。これからは販売にこだわることも大切であると考えています。世界博物館会議でも,今後,その取り組みを継続していくこととしています。京都市で伝統産業ふれあい館を「伝統産業ミュージアム」にリニューアルしますが,ここでも,伝統産業品を売っていくことにも力を入れていきたいと考えております。
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京都市 総合企画局市長公室広報担当
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