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門川市長臨時記者会見(2020年2月6日)

ページ番号264551

2023年4月12日

令和2年度予算案の概要

 令和2年度予算案を御報告する前に,一言申し上げます。先日の京都市長選挙において,多くの市民の皆様をはじめ,幅広い団体の皆様や政党の皆様の御支援をいただき,引き続き,市長の職務を務めさせていただく事になりました。これまでの12年間の延長線上に,これからの任期があるのではなく,これからは「挑戦と改革」です。市民の皆様と作り上げた141の公約。これを誠実に実行していくことが私の責務であります。この12年間の歩みを振り返りますと,その成果は着実に表れております。環境,福祉,観光,伝統産業,文化,景観,福祉,子育て,防災,農林業など,あらゆる分野で市民の皆様と共に京都のまちづくりを前進させてきました。同時に,前進の中で新たな課題も出てきております。

 我が国全体が抱える課題ではありますが,人口減少,少子化などへの歯止めを掛けていく。さらに,持続可能な財政の確立。そして,私は一貫して申し上げているSDGsの理念。貧困,孤立,8050問題,虐待など,様々な社会的課題があります。その中で,京都ならではの地域力,それを支えていただいている人間力などの力に感謝しながら,147万人市民の皆様と共に,オール京都,ワンチームで皆様の笑顔輝く京都に,そして,あらゆる社会的課題解決先進都市へと邁進してまいりたい。その想いを反映した予算案を取りまとめました。概要を御説明致します。

【予算の基本姿勢と政策の柱】

 それでは1ページを御覧ください。はじめに,予算編成に当たっての,私の考え方を申し上げます。令和2年度予算では,引き続き,文化を基軸に,SDGs・レジリエンスの理念を全ての施策の基礎に据えたうえで,「くらしに安心,まちに活力,みらいに責任」のまちづくりを進めていく。また,府市協調も,新たなステージへと高めていく。西脇知事とも府市一丸となってやっていこうと意気投合しております。構想段階からこれまで以上に積極的に意見交換し,計画を練っていく。府市協調を新たなステージへと進化させる予算案としました。また,政府の経済対策を活用した令和元年度2月補正予算と一体の通年予算として,市民生活の安心安全を守り,全国トップレベルの福祉,医療,子育て支援,教育を更に充実させるとともに,担税力の強化に向け,京都の強みを徹底的に活かした経済政策を積極的に実行します。そして,京都市基本計画「はばたけ未来へ 京プラン」の総仕上げと,私と市民の皆様との141のお約束・公約の8割を越える予算を計上し,新しい京都の挑戦と改革のスタートダッシュを切る予算であります。同時に極めて厳しい財政状況の中,予算編成の中で,担税力の強化や民間活力の導入など財源確保に工夫を凝らすとともに,人件費の削減や事業の見直しなどの徹底した行財政改革を断行し,持続可能な財政の確立を目指します。なお,厳しい判断でしたが,令和2年度は,不足する財源を公債償還基金の取崩しなどの特別の財源対策で補てんすることとしております。詳細は後ほど御説明します。

 2ページを御覧ください。令和2年度予算は5つの政策の柱に沿って編成いたしました。まず1つ目の柱は「人生100年時代の安心づくり,子育て・教育環境日本一の推進」です。京都ならではの地域力をいかした健康長寿のまち・京都の実現,全国トップレベルの少子化対策・子育て支援の更なる充実,「誰ひとり取り残さない」貧困ゼロ,虐待ゼロ,孤立ゼロに向けた支援を進めてまいります。2つ目の柱は「いのちを守る,防災減災先進,環境先進のまちづくり」です。防災・減災対策予算を前年度比72億円増となる572億円確保し,災害に強いまちづくりを進めるとともに,2050年CO2排出正味ゼロや,使い捨てプラスチック削減など,市民・事業者との協働により脱炭素・循環型まちづくりを推進してまいります。

 3ページを御覧ください。3つ目の柱は,「力強い経済の持続的発展と都市の活力の創造」です。京都ならではのスタートアップ・エコシステムの構築,子育て世代・若者が住み続けられる土地利用の促進,産業用地・学術研究用地等の創出などにより,京都経済の更なる活性化を図り,京都のまちの活力を向上させてまいります。また,政府の経済対策の国費や有利な市債を積極的に活用し,令和元年度2月補正等で105億円の事業費を計上し,景気の先行きリスクに万全を期してまいります。4つ目の柱は,「文化・スポーツの力をくらしとこころの豊かさにつなげる,「世界の文化首都・京都」の実現や観光の京都モデルの構築」です。東京オリンピック・パラリンピック,そして同時開催の日本博,京都コングレスなどを絶好の好機と捉え,京都・日本文化の更なる振興,文化と経済の好循環による文化芸術の持続的発展につなげてまいります。また,混雑,宿泊施設の急増,マナー違反などの課題解消に向け,50の取組を強力に推進し,市民生活を最重要視した持続可能な観光都市を実現してまいります。

 4ページを御覧ください。5つ目の柱は,「まちづくりを支える持続可能な財政の確立」です。京都市財政は,これまで以上に厳しい状況であります。令和元年度の地方交付税が予算額を64億円下回ったことなどから,令和元年度2月補正で,財政調整基金が枯渇。これは一昨年の台風災害の対応も要因の一つでありますが,更に公債償還基金の取崩しが追加で22億円必要になっております。また,令和2年度は,地方公共団体間の財政力格差の是正を目的とした法人市民税の税率引下げ(国税化)の影響などにより,一般財源収入は82億円と大幅に減少いたします。この下げ幅は,この10年間で最大であります。こうした中,中長期的に持続可能な財政の確立を目指した取組として,「担税力の強化」,「民間活力の活用」を徹底的に進めました。スタートアップ・エコシステムなど,京都の強みを活かした経済政策を進める。公共施設等を集約し,民間が活用できる土地を生み出す。地域・民間が主体となって,社会課題を解決する仕組みを構築する。令和2年度は,大変厳しい財政状況にあっても,こうした将来を見据えた「攻め」の取組に積極果敢に取り組んでまいります。また,Park-PFI(民間資金を活用した公園整備手法)の導入や,新規・充実事業への7億円の寄附・協賛金の確保など,民間資金の確保に最大限努めました。制度が拡充された企業版ふるさと納税についても,SDGs先進都市・京都のブランドを活かし,1億円以上の獲得を目指してまいります。

 5ページを御覧ください。歳出についても,昨年度を上回る人件費の削減で17億円をねん出,また,22の事業について,民間資金等の獲得や自走化により公費負担を軽減するなど,事業見直しにより40億円をねん出しました。新規事業についても18事業は既存事業のスクラップ&ビルドにより財源を捻出しております。これらの取組によってもなお財源が不足し,令和2年度の特別の財源対策額は193億円となっております。京プラン実施計画においては,令和2年度に特別の財源対策から脱却することを目標としておりました。しかし,地方交付税の大幅な削減などにより,一般財源収入が実施計画策定時の見込から133億円と大幅に減少したことが大きな重しとなり,特別の財源対策を講じざるを得ませんでした。令和2年度末の公債償還基金の残高は1,355億円と,今すぐ市債償還に支障をきたすことはありませんが,既にあるべき残高の3分の1を取り崩しており,特別の財源対策はいつまでも続けられるものではありません。今後も,特別の財源対策からの早期脱却を目指し,令和2年度に,財源創出のための体制を強化するほか,中長期的な視点で専門的見地から議論を行う外部有識者会議を設置するなど,歳入・歳出の改革を更に加速させてまいります。

 8ページを御覧ください。ここからは具体的な施策の内容について御説明いたします。まずは,人生100年時代の安心づくり,子育て・教育環境日本一の推進です。保健医療・福祉・介護の充実や「世界に誇れる健康長寿のまち・京都」の実現に向けて,ひきこもり相談窓口の一元化や支援体制の充実,発達障害をお持ちの方へのライフステージを通じた支援,地域あんしん支援員の全区役所・支所への配置の拡充を進めてまいります。また,地域の自主的な介護予防活動を支援するフレイル対策を拡大するほか,救急安心センター事業では,府市協調で,24時間365日の救急医療相談を開始します。さらに,外国籍市民も含めたすべての市民の皆さまに安心して京都で暮らしていただくため,多文化共生のまちづくりを推進してまいります。

 10ページを御覧ください。子育て家庭,子ども・若者の孤立ゼロ,『「子育て・教育環境日本一」の推進に向けた取組』です。7年連続の国定義での待機児童ゼロの継続に向け,保育所等の受入枠を400人分拡大するとともに,保育の担い手確保対策を充実いたします。あわせて,新生児聴覚検査費用の助成を新たに実施してまいります。また,児童相談所の更なる体制強化,養育里親の推進など社会全体で子ども・若者を支える取組の強化のほか,政府の経済対策による財源を活用し,児童生徒1人1台のパソコン整備を進めてまいります。さらに,学校・幼稚園における働き方改革についても教員の仕事をサポートする校務支援員の配置を拡大するなど,強力に推進してまいります。

 12ページを御覧ください。次に,「いのちを守る,防災減災先進,環境先進のまちづくり」です。橋りょうの耐震補強,河川の浸水対策,雨水幹線等の整備を引き続き,推進してまいります。なお,本市の5年に一度の降雨への対応が完了した面積の割合は91%と,全国平均の59%を大きく上回るトップ水準であります。学校施設の長寿命化改修等については,毎年の実施校数を3校から6校に倍増し,スピードアップを図ります。また,密集市街地の防災性・住環境の向上に向け,地域や民間事業者と連携し,避難路の確保や宅地の集約・再編といった街区計画を作成してまいります。さらに,平成30年台風21号による倒木被害の復旧を加速するとともに,国への要望によって新設された補助制度を活用し,鉄道等の重要インフラ施設周辺の森林整備を推進してまいります。

 14ページを御覧ください。「環境にやさしい持続可能な脱炭素・循環型社会」の構築に向け,2050年CO2ゼロをめざす再エネ・省エネの促進や,使い捨てプラスチック削減など,市民・事業者との協働により脱炭素・循環型まちづくりを推進してまいります。15ページを御覧ください。次に,「力強い経済の持続的発展と都市の活力の創造」です。スタートアップ企業が集積する「スタートアップの都・京都」を目指して,産学公,さらにはインキュベーターやアクセラレータと連携し,京都スタートアップ・エコシステムの形成を推進してまいります。地域企業応援プロジェクトでは,地域企業の担い手確保への支援や,経済対策に伴う国の交付金を活用した就職氷河期世代の就職支援などを進めてまいります。また,近年,顕在化している事業承継の課題については,新たな融資制度や信用保証料の補助制度を創設するなど,地域企業への支援を充実してまいります。さらに,海外経済を要因とした景気の先行きリスク等に万全を期すとともに,1月31日に,私と西脇知事の共同記者会見で発表いたしました,新型コロナウイルス感染症対策としての緊急融資制度は,令和元年度2月補正予算に10億円を計上するとともに,令和2年度も引き続き,府市協調で実施し,中小企業・地域企業をしっかりと支援してまいります。

 18ページを御覧ください。「新景観政策の更なる進化」では,京都の景観の守るべき骨格をしっかりと堅持しながら,子育て世代・若者が住み続けられる土地利用の促進を図るほか,新たな産業用地の創出,企業立地の促進,オフィスの確保に向けた取組の加速,また京都への投資喚起策として,シティPRを抜本的に強化し,企業誘致や企業版ふるさと納税等の獲得につなげてまいります。

 20ページを御覧ください。次に『文化・スポーツの力をくらしとこころの豊かさにつなげる,「世界の文化首都・京都」の実現や観光の京都モデルの構築』です。京都映画賞(仮称)を創設し,京都が培ってきた映画文化の継承と更なる振興を図るとともに,アート市場活性化事業では,若手芸術家のアートフェアへの出展を支援し,文化と経済の好循環,持続可能な創作環境をつくってまいります。今までは感動していただくが,なかなか購入していただけない。それが芸術家の豊かな生活に繋がらない。それを購買していただくことを重点的に考え取り組んでいきたい。また,福祉施設等が文化芸術の取組に着手する際の相談事業等を実施してまいります。

 22ページを御覧ください。「市民生活を最重要視した持続可能な観光都市の実現に向けた取組」です。昨年12月,京都で開催された「国連観光・文化京都会議」では,観光が文化の消費者になってはならない。文化と観光をしっかりとマネジメントして,地域ならではの文化の継承,発展につなげる。これを私が「京都モデル」として発表し,会議の成果である「京都宣言」に盛り込まれ,国内外へ発信されました。京都市が責任を持って実行しなければなりません。具体的には,マナー対策や観光地等の散乱ごみ対策,市バスの一部路線における混雑対策など,更に取組を強化してまいります。あわせて,地区計画による民泊の規制など,地域住民が主体的に取り組むまちづくりへの支援も進めてまいります。また,観光の経済効果を地域に拡大させるため,朝・夜観光の更なる推進,京の農山村資源を活用したグリーンツーリズムや,府市協調による「食の京都」の推進,本年4月に開催されます,犯罪防止・刑事司法分野における国連最大の国際会議である京都コングレスでは,安心・安全な日本・京都を世界に向けてアピールするとともに,再犯防止などにしっかり取り組んでまいります。さらに,2025年大阪・関西万博の開催に向けて,地域の活性化の核となる文化財の集中的な修理を推進するとともに,地域・くらしの文化を象徴する京都のまちなみの再生を進めるため,新築京町家の普及に向けた認証制度の創設や,空き家の固定資産税の住宅用地特例の解除を行ってまいります。

【令和2年度の予算規模と財源不足の状況】

 25ページを御覧ください。ただいま御説明いたしました施策を盛り込んだ令和2年度予算の規模は,特別会計,公営企業会計も含めた全会計で1兆6,845億円,一般会計では7,840億円となります。次に一般財源収入でございます。個人市民税は9年連続で増加し,固定資産税は8年連続で増加と堅調ですが,法人市民税の税率引下げ及び地方交付税等の大幅な減少により,対前年度比82億円の減となっております。

 26ページを御覧ください。特別の財源対策額は193億円となっております。昨年11月時点の収支不足見込額300億円から,人件費の削減,事業見直し,資産の有効活用で昨年度を上回る77億円の財源を確保するなど,107億円の改善を図りましたが,一般財源収入の減をまかないきれず,特別の財源対策を講じます。国が返済に責任を持つ臨時財政対策債を除く実質市債残高を着実に縮減しております。全会計の実質市債残高は1兆6,524億円,一般会計については,8,756億円となり,参考2にありますとおり,京プラン実施計画の目標を上回って削減しております。私からの説明は以上です。来年度予算案に盛り込んだ取組について,2月市会に提案し,御審議いただくことになります。京都市の財政は,極めて厳しい状況です。しかし,私は,これは産みの苦しみだと思っています。ここで決して,縮み志向になってはならない。これまで以上に行財政改革を断行するとともに,積極的に,どん欲に,担税力の強化に向けた経済政策にチャレンジする。同時に財政の持続可能性を追求する。これは簡単なことではありませんが,50年後,100年後の京都の未来のために,避けては通れません。今後も,引き続き,市民の皆様とともに,持続可能なまちづくりを全力で進めてまいります。

質疑応答

(令和2年度予算について)

記者

 市長選挙が終わって初めての記者会見になりますので,これから4年間の市政を運営されるに当たって,市長の想いをお伺いしたい。

市長

 12年前の市長就任当時,工場や大学が流出するなど,都心部が空洞化しており,その解決に向けた取組が京都市の最大のテーマでありました。そこからの挑戦でありました。そして,今は京都の文化芸術が評価されて,文化庁が京都へ機能を強化して全面的に移転してくる。あるいは,SDGsの取組が全国トップの評価を受けるに至っております。子育て支援や福祉,医療,介護でも全国トップ水準のまちづくりを推進することができました。しかし,これは京都市役所だけが実行した成果ではなく,多くの市民の皆様が我々と一緒に協力していただいた賜物だと思っております。しかし,これからの4年間は,これまでの延長とは考えておりません。新たな挑戦と改革であります。格差,貧困,孤立,8050問題など,様々な課題がございます。私の想いは誰一人として取り残さない。これを地域社会づくりの隅々まで浸透させていく。市民の皆様が京都に住んでいてよかったと実感し,皆様の笑顔が溢れる京都をつくっていきたい。例えば,今の京都にはオフィスが足りない。産業用地,研究開発拠点が足りない。京都で大きくなった企業が他府県へ出ていくような現実があります。こうした課題の解決に向けても全力で取り組んでまいります。京都は過去の遺産の都市ではありません。生き生きと人々が生活し,子育てし,そして働くことによって,新たなイノベーションが起こっていくのが京都の強みでもあります。それが京都市の担税力の強化になり,財政の健全化にもつながると確信しております。147万人市民の皆様とワンチームで進めてまいります。

 

記者

 実施計画に掲げる令和2年度中の特別の財源対策の脱却という目標を達成できなかったことについての市長の受け止めは?また,市長就任後12年間において,様々な事象が発生した中での財政改革,行財政改革に対する評価をお聞かせください。

市長

 令和2年度に達成できなかった要因については,地方交付税の急激な削減,また,災害復旧,防災対策をはじめとする歳出の増加です。加えて,財政の厳しい自治体への手立てを目的に実施された法人市民税の国税化が京都市にはマイナスに働きます。この現実を見つめて,京都市ならではの強みを生かした経済政策を一層強力に推進していきます。なお,市民の皆様の豊かさを実現すると同時に,財政の健全化につなげていくと,一貫して申し上げていますが,この6年で連続して市税徴収率が過去最高を更新し続けています。これは,市民の豊かさが実現している一つの表れです。したがって,来年度予算でも,市税の個人分については,28億円の増を見込んでおります。

 

記者

 これまでの財政健全化に向けた取組はどのように評価されていますか。

市長

 行財政改革と成長戦略を両立させてきたと自負しています。行財政改革については,約3,500人の職員を削減し,年間人件費は300億円近く削減するなど,徹底して取り組みました。また,成長戦略については,市民の所得が向上し,税収が増え,個人市民税は九年連続増加しております。

 地方交付税の削減については,全国の自治体と連携して,国へ要望していくことが重要であります。一方で,国だけに頼るのではなく,景観と活力ある京都の調和など,成長戦略に資する政策を新たな決意で取り組んでまいります。

 

記者

 当初予算案について,地方交付税等の減少が続くことは想定外でしたか。

市長

 地方交付税を確保するために法人市民税が一部国税に移されたうえ,京都市の場合は交付税額も減らされておりますので,二重の打撃を受けており全くの想定外です。地方自治の原則により,地方は独自性をもって取り組む財源を確保する必要があります。今後も,政令指定都市で連携して,国に地方交付税の必要額の確保を強く要望してまいります。

 

記者

 府市協調について,今後どのような事業等の連携をみせていくのでしょうか。

市長

 私はこれまで12年間,府市の政策融合を最重要視してきました。「保健環境研究所と衛生環境研究所の合築」,「消防学校の一体化」,「経済センターのオープン」など,これまでの府市協調の象徴的な取組をもとに,その教訓・成果をこれからの京都のまちづくりにいかします。

 例えば,京都市立芸術大学がJR京都駅東部へ移転し,文化芸術が振興する。そして,芸術大学には,スタートアップエコシステムの機能を校舎の中に作り,芸術とイノベーションの拠点にすることを考えています。若者が集い,出会いと気づきの中で新たな知恵産業が起こっていく。障害のある方が社会参加し,そしてそこに芸術が活かされる。そんなまちづくりを目指します。これについてはオール京都で話を進め,京都の新たなステージを切り開いてまいります。

 

記者

 公債償還基金の取崩しが,常態化していることについて,どのようにお考えですか。

市長

 あるべき姿ではないので,脱却していくことは当然であります。同時に,取崩し額が420億円である一方で,436億円の新たな積立ても行っております。これは緊急的な財源対策で,早期脱却は当然のことであり,取崩し額は市民や議会にも明らかにし,議論しながら進めてまいります。

 

記者

 特別の財源対策について,脱却の目途についてはどのようにお考えですか。

市長

 正直言いまして,法人市民税の見直しについては,京都市の場合は,法人市民税も下がり,地方交付税も来ないという全く想定外の状況になりました。かなり厳しい見込みを立てながら取り組んできましたが,国の制度改正が,京都市には不利となっています。三位一体の改革では,京都市の地方交付税が1,300億円から800億円まで下がりました。今回の法人市民税の改正もまた京都市に不利です。早期脱却を目指すとは言いますが,外部の専門家も含めて検証しなければ,市の財政当局が一生懸命やっても,自治体の努力の限界を超えるような国の制度改正があります。収入を増加し,同時に行財政改革を徹底する。これまでの取組を進めながら,地力をつけていくという王道しかないと考えております。

 

(新型コロナウイルスについて)

記者

 コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。1月30日に京都市内で初めての感染者が発生した時には,非常に速やかな対応をされて,市長は選挙中にも関わらず,選挙運動を休んで陣頭指揮を執られました。また,市長と知事が会見をされて,京都で検査を実施していく発表もありました。しかし,昨日の晩に2例目の発表がありましたが,一昨日には陽性の結果が出ていたということが分かりました。迅速な対応とは言い難い。その事情を聞きますと,調査をするのに時間が必要だったという説明もありましたが,午後5時30分に陽性反応の結果が出ていたのであれば,夜に調査を開始できたと思います。しかし,調査は翌日に行っています。さらに,発表時間の決定については,国の発表を待っていたとお聞きしました。国の発表を待つのであれば,国が検査して発表するのと変わらないと思います。市長と知事が協調して取り組まれていることが,現場では全く生かされていないと思います。市長はどのようにお考えでしょうか。

 

市長

 今後の教訓にしてまいります。2例目の患者さんについては,京都市立病院の優秀な感染症の専門医が,入院された患者さんのレントゲン画像を確認したところ,一例目の症状と似ているということに気付かれました。国の基準では検査の対象になっておりませんでしたが,念のために京都市で検査したところ,陽性ということが判明したものです。そして,患者さんの容態等を総合的に判断して,翌日に調査を開始することになったものです。そのうえで,発表時間については,国と連携を図りながら決定しております。正確な情報を市民の皆様へ迅速にお伝えするために,改善すべき点については,改善をしていきたいと考えております。

 

記者

 安全という面においては,京都で検査を実施し,市立病院もしっかりと対応されて

いると感じております。一方,安心という面においては,正確な情報を市民へ伝えることが大事だと思います。しかし,昨夜の記者会見では,記者の質問に対して,既に担当者が確認していることを確認していないと答えるなど,後で訂正するような対応がありました。間違った情報を発表するのは,報道機関を愚弄することにもなりますし,市民の信頼を裏切ることになると思います。市政の最高責任者としてのお考えをお聞きしたい。

市長

 今後の教訓にさせていただきます。京都市では,全国で初めて,24時間の相談窓口を設置し,市民の皆様からの不安のお声をはじめ,様々なケースの御相談をお受けしております。専門の知識が必要になりますので,人員体制を補強することなく,休日を含めて,担当職員が不眠不休で対応しております。不眠不休で取り組んでいることに私は敬意を表しつつ,今回のことを教訓にし,市民の皆様に正確な情報をお伝えしていきたいと思います。

 

記者

 新型コロナウイルス感染症について,厚生労働省の発表範囲とずれがあること対してどのようにお考えでしょうか。

市長

 現在,国の方針では,京都府域で発生したことまでが公表されます。しかし,京都市は,一例目の発表の際,京都市域で発生したことをあえて公表しました。これは正解だったと考えています。京都府域という情報だけでは市民の安心・安全にはつながらないという考えから,京都府に対して,京都市域での発生であることの公表を働きかけ,そして京都市も独自の発表を行ったものです。

 

記者

 積極的な新型コロナウイルス感染症検査の実施について,検査機関に相談が殺到する恐れもあります。今回,検査基準を見直されたのはどのようなお考えからでしょうか。

市長

 御指摘のとおり,検査機関の受入限度数や検査員の健康状態も踏まえると,どこまでを検査対象とするかについては極めて厳しい判断が求められます。

 しかし,「慎重に判断して,検査をしない」ということは避けるべきであり,最大限の努力をしなければなりません。京都府保健環境研究所及び京都市衛生環境研究所が最大限稼働すれば理論上は,1日60件までは検査できるということですので,検査基準については随時判断してまいります。

 

記者

 国が検査基準を段階的に広げる中で,京都市はさらに一段基準を広くとったということになりますがお考えはいかがでしょうか。

市長

 二例目のケースは,国の設定する範囲を超えて,感染の疑いのある方へ検査を行った結果,陽性であったものです。現場の京都市立病院における高度な知識と判断により検査に至りました。感染拡大の可能性もありますので,今回の病院の体制,主治医・専門医の積極的な判断が奏功しました。こうした専門性と主体性をもとに京都市が検査をしたのは正解だったと考えています。

 

記者

 国の基準についてはどのように思いますか。

市長

 国の基準には抽象的な部分もあるので,市が独自に判断し,市民の皆さんの安心・安全,感染防止に全力を尽くしていきたいと考えています。また同時に,国に対して必要な要望もしてまいります。

 

記者

 先月28日の新型コロナウイルスの庁内連絡会議において,観光事業者へのアンケート調査結果で7割近い宿泊施設で影響があったと報告されましたが,春節も終わり,現時点で京都経済への影響について,どのようにお考えですか。

市長

 回答があった施設のうち,7割近くの宿泊施設が何らかの影響があるとの回答がありましたが,それから更に状況は厳しくなっていると聞いています。府市協調で融資・相談体制にしっかり取り組んでいきたいと考えております。

記者

 融資制度以外に新たに対応を検討しているものはありますか。

市長

 何よりも,市と観光協会,観光事業者が協力しながら,状況を的確に把握するとともに,正しい情報を提供していくことに尽きると考えております。今は観光客の呼び戻しなどを行うタイミングではないので,状況を的確に把握しながら,必要な時には緊急の対策を講じてまいります。今,必要なのは,地域企業の下支えだと考えています。

 

(その他)

記者

 門川市長の選挙母体・未来の京都をつくる会が,選挙期間中に「共産党市長はNO」という新聞広告を掲載され,一部で様々な意見が飛び交いましたが,あの広告についての市長の御見解をお聞かせください。

市長

 141の公約については,私自身が検証し,お約束しました。同時に,選挙期間中のビラや広告については,選挙を担っていただく方々にすべてお任せしていた。そのような中でコメントすることはあえて控えさせていただきたいと思います。147万人の市民皆さんを対象にしたワンチームで仕事していくことが私の基本理念であります。

 

記者

 あの広告について,市長がいつの段階でお知りになったのか,経緯を教えていただきたい。

市長

 私は選挙期間中,新聞を読んでおらず,ひたすら政策を訴えていました。そんな中,ある方が,この広告を見せて,「どう思うか。」と尋ねてきた時に初めて知りました。

 

記者

 立候補の記者会見で,4選を目指すに当たって集大成という言葉を使われましたが,4期目を最後にするというお考えですか。

市長

 市民の多くの信託を得て,市長に就任させていただきました。とりわけこの20年間下がり続けてきた投票率が,20年ぶりに40%を超えるという状況の下で信任いただけたことをありがたく思っています。4期目の任期を一生懸命全うするということ以外に今お答えすることはありません。

 

記者

 今回の選挙戦は3極の争いとなり,市長以外の2候補者の得票合計が市長を上回っている点について,どのようにお考えですか?

市長

 3極になれば通常得票は減ると様々な方が言われています。その3極の中で45%を超える支持を得たことに感謝するとともに,常に批判に対して謙虚でいなければならないと思っています。私はいつも「謙虚な自信」と考えています。自信は過信になるが,謙虚だけではトップリーダーとして仕事はできませんので,「謙虚な自信」を持って市長職に邁進してまいります。

 

記者会見資料

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