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共同記者会見(2019年12月11日)

ページ番号260713

2023年4月12日

「『京都こども宅食プロジェクト』の始動に係る三者での協定締結について」

記者会見概要

1 日時

 令和元年12月11日(水曜日)午後2時~午後2時30分

2 場所

 京都市役所 北庁舎4階 第一応接室

3 内容

 京都市,社会福祉法人あだち福祉会及び一般社団法人こども宅食応援団では,支援が必要な家庭に食品を届けることをきっかけに,必要な支援につなぐ,政令市初の「京都こども宅食プロジェクト」の始動に向けた連携・協力に関する協定を締結します。

4 出席者

 <京都市> 

  門川大作 京都市長

 <社会福祉法人あだち福祉会>

  畑山 博 理事長

 <一般社団法人こども宅食応援団>

  駒崎 弘樹 代表理事

5 次第

 出席者紹介,概要説明

 協定の締結・署名

 写真撮影

 畑山理事長 挨拶

 駒崎代表理事 挨拶

 門川市長 挨拶

 質疑応答

 写真撮影


記者会見の様子

社会福祉法人あだち福祉会 理事長挨拶

 門川市長と駒崎代表と一緒に,この日を迎えられたことを大変感謝しています。
 私は,30年以上,京都市の足立病院で産婦人科として働いてきました。この間の京都市の変化はすごいもので,街は駐車場と空き地ばかりだったのに,どんどんマンションが建って若い世代が入ってきました。
 しかし,近年,日本全体が観光に力を入れ,京都市も道路や看板をはじめ,街はきれいになり,観光都市という点ではうまくいきましたが,あんなに京都に住みたかった若い世代が,マンションが建たないからどんどん京都から出ていくようになりました。こんなに成功した,世界中から見てもみんながうらやむ京都という輝ける都市の裏側に,取り残された暗い部分が大きくなってきていると私は思っています。
 全国で7人に1人の子が貧困家庭で生活しており,京都市にも経済的に課題を抱える世帯が多くおられます。こんなにきれいでみんなが憧れる京都に,なぜこんなことが起こっているのか,今後の京都を誰が支えるのかということを考えると,文化都市を目指す京都が今やらないといけないことは,子ども達への投資であり,今生活に苦しんでいる親,あるいは子ども達に少しでも食べ物と学習機会を提供することだと思っています。子ども達が,自分の親は苦労していたけど一生懸命育ててくれたし,京都市も一生懸命支えてくれた,いつか自分も京都で働いて,結婚して,子どもを産んで,親がやってくれたように一生懸命いい家庭を作りたいなと思ってくれると,おそらく20年後には京都の少子化は止まっていくと思います。  
 20年後には,子どもの都,京都っていいよね,観光客もいるけど若い子もいっぱいいるよね,子ども達もいっぱいいるねってそういう京都市を目指してやっていきたいと思います。
 その他の自治体でも,もし一緒にやりたい,自分たちもやりたいっていう方がおられたら,ぜひ協力して,みんなでノウハウを蓄積しながら広げていきたいと思います。

一般社団法人こども宅食応援団 代表理事挨拶

 こども宅食は,東京都文京区でNPO,企業,そして行政が一緒になって開発した子どものための子育て世代のためのアウトリーチの事業です。
 従来の福祉施策は,お店モデルでした。つまり,困りがあったら行政の窓口に時間内に来てください,申請書がしっかり書けたら福祉というものを提供します,というのが基本的な形でした。しかし,お店モデルの福祉では,困っている方がなかなか福祉とつながれない状況になってきました。取りこぼされる方々や子ども達が出てきたわけです。こうした課題を解決するために,こちらから出張っていく福祉,届ける福祉が必要になってきました。
 アメリカ,ヨーロッパ等では,このようなアウトリーチ支援が90年代頃から盛んに行われるようになりましたが,日本ではなかなか存在しませんでした。それをこども宅食という取組によって,継続的に食品を届ける行為を通じて信頼関係を築き,ご家庭のモニタリングができて,困りごとがあったら行政や様々な社会資源につなぎ課題解決をしていくという,予防的な介入が可能になります。
 こども宅食応援団は,東京都文京区で始まったこのモデルを広げていくためのお手伝いをしています。その中で,京都市,畑山理事長のような心ある方々がこれを担っていこうという風に思ってくださったこと,政令市で初めて京都が手を挙げてくださったことは本当にありがたいことで,大変大切なことです。
 最初に京都と聞いた時,「華やかな京都で,意外だなぁ」と思いました。畑山理事長が言うようにとても輝かしいイメージがありました。しかし,京都は日本一の観光地だからこそ,季節で繁閑差が激しく,それが厳しいご家庭を生んでしまっているという側面もあると伺いました。だとすれば,そうしたご家庭に対して支援の手を差し伸べ,提供していくことが大変重要になるなと合点した次第です。
 京都でこのモデルが成功し,京都市から,全国に広がっていってくださることを心から祈っております。私どもも全力で支えていきたいと思っていますので,どうぞよろしくお願いいたします。

京都市長挨拶

 畑山理事長,あだち福祉会で取り組んでいただくこと,本当にありがとうございます。そして,駒崎代表理事,素晴らしい取組を紹介いただき,本当にありがとうございます。
 一人ひとりを徹底的に大切にするため,京都市でも様々な取組を進めてまいりました。困りごとを抱えた家庭の実態を把握するため,一万人規模のアンケート調査や子育てに関わる関係団体に聴き取り調査を実施した結果,大きな課題の一つが,孤立されており,相談相手がおられない家庭の存在でした。相談体制を充実し,この3年間で相談する相手がおられない方の比率は11.6%から2.8%に減少したものの,それでもまだ,誰にも相談できない方がおられます。
 また,地域の皆様の多くのご支援のもと,子ども食堂や学習支援の取組が広がってまいりました。しかし,そこにも来られない方がおられる。そこにどう接点を求め,様々な支援の仕組みにつないでいくのかということ,「気付き」,「つなぎ」,そして「みんなで支える」ということが何よりも重要であると認識しています。
 そのような状況の中,こども宅食応援団の駒崎代表理事を中心に東京都文京区で取り組まれているこども宅食事業を紹介いただき,これまでから様々な子育て支援に尽力されているあだち福祉会の畑山理事長からもこの取組を進めていくことを提案いただきました。しっかりと地域と連携し,三者が連携して広めていきたいと思っております。  
 京都市は誰一人取り残さないSDGsで首位という評価をいただいた実績もあります。一方で,観光で街が活性化している中,一部地域の混雑,観光客のマナー問題,急激な宿泊施設の増加という3つの課題を抱えており,これらにより,都心部で若い人が住める住宅が足りない等の課題が出ていると認識しています。
 これについては,既に発表させていただいておりますが,市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市を実現させるため,マナー対策,混雑対策をはじめ,宿泊施設の急増に伴う課題への対応を全力で進めているところです。同時に景観政策も10年間徹底して取り組んでおり,景観と持続可能な街づくりを両立させていくということにも取り組んでおります。
 この5年間で,京都市内で働く人は10%増加しました。全国では4%の中,京都市は10%です。非正規率も全国は横ばいの中,京都市は下がりだしています。6年連続の待機児童ゼロについても,100万人以上の人口のある都市では京都市が唯一です。畑山理事長には,看護士が常駐しなければ保育できない,医療的ケア児を預かる保育所を開設いただいており,このような御協力がなければ待機児童ゼロは継続されません。
 皆様一人ひとりを大事にして,誰一人取り残さないSDGsの取組を推進していただきながら,課題を総合的に解決していくことが我々の責任と思っています。子育て環境を更に向上させ,人口減少に歯止めをかけ,京都で子どもたちが学んでよかったと思っていただける取組を,今後とも推進してまいります。

質疑応答

記者

 文京区ではふるさと納税を財源として活用しているが,京都市ではどうするのか。

市長

 まずは実証研究を実施し,その後,歳出予算を組む手続きが必要となるため,時間がかかるものの,可能な限り早く活用出来るよう前向きに検討していきたいと考えています。

記者

 実証研究の対象地域はどこか。

記者

 実証研究を行う対象地域は検討中ですが,子ども食堂や学習支援事業など,地域が主体となった取組が根付いていて,地域ぐるみでこの取組を育んでいただける観点で,丁寧に設定してまいりたいと考えています。

市長

 実証研究の対象世帯数などの規模感は。

記者

 まず,5学区の概ね400~500世帯を対象に実施し,成功させたいと思っています。
そして,その成果と課題をしっかりと検証して,次に進めていきたいと考えており,あだち福祉会とも相談しながら,手を挙げていただいた地域に拡充していけるよう,取り組んでまいりたいと考えています。

記者

 あだち福祉会が宅食プロジェクトを実施されるに至った経過と今後の意気込みは。

畑山理事長

 産婦人科として働いてきた中で,最大の問題は少子化だと思っています。子どもが欲しくてもできない方には,不妊治療を行うセンターを作りました。出産後の行き場が無いお母さん達を見て,一緒に集える居場所を作りました。働きたくても預ける場所がないと聞き,保育園を作りました。熱を出したら働けない,ということで病児保育を作りました。医療的ケア児がいたら,家で引きこもらないといけない,という母親には医療的ケア児を預かる場所を作りました。
 もちろん京都市の多大なるバックアップもありますが,そうやって少しでも,お母さんお父さんのために,産んで良かった,育てて良かった,京都市も病院も一生懸命サポートしてくれた,そういうような街づくりをしたいと思ってきました。
このこども宅食があれば,我々のところに来られないような家庭にも,細かく支援ができると思いました。それがきっかけです。
 できれば他の自治体にも広げていきたいと考えており,ノウハウを蓄積して進めていきたいと思っています。

記者

 資金調達はどうするのか。

畑山理事長

 食品を提供したいという企業や団体の声もいただきつつありますが,配送にかかる運送費等もかかってきますので,最初は現在いただいている寄付に加え,私自身のお金も使いながら運用していきます。
ただし,それでは長く続かないため,京都市にふるさと納税の活用も含め検討いただきながら,持続的な取組になるよう,検討してまいりたいと考えています。

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