門川市長記者懇談会(2019年6月20日)
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2023年4月12日
市長記者懇談会(2019年6月20日)
(第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)について)
市長
5年に1度開催される刑事司法分野における国連最大規模の会議である,第14回国連犯罪防止刑事司法会議(京都コングレス)を成功させる国会議員の会が発足し,先日,谷垣禎一先生に久々にお会いしました。上川前法務大臣が会長となり,弁護士会,更生保護司連盟,刑務所出所者の就労に一生懸命取り組まれている民間事業者,外国大使館の方などが参加し非常に盛大で,私も出席させていただき挨拶させていただきました。
谷垣先生の基調講演では,「法に基づいて公正で一人一人を尊重し合い,犯罪の少ない町,京都がそうした文化を大事にしてきた都市である」と仰っていただきました。車いすを使っておられた谷垣先生は,本当に明るく,谷垣先生に対するみんなからの信頼というものを実感しました。
50年ぶりの京都開催です。もっとも,同じ都市で2回開催するのは,ジュネーブと京都だけです。しかし,認知度は高まっていません。
京都市は,京都府警察をはじめ市民・事業者等が一体となって「世界一安心安全・おもてなしのまち京都 市民ぐるみ推進運動」に取り組んできた結果,犯罪発生件数も大きく減少しており,この機会に,京都コングレスを成功させるだけでなく,より犯罪の再犯防止を促し,一人一人の人間の尊厳を認め合い,多様性,社会包摂を大事にするまちづくりを進めていかなければいけないと思っています。
また,色々な方がスピーチをされておられましたが,その中で,大阪の千房さんのお話には感動しました。刑務所出所者を雇用して,そのネットワークを全国的に作り,200人を超えて雇用されています。それをオープンにして,企業で受け入れることを社会で受け入れるようにする。刑務所を出た者であることを隠す必要はないと。感動しました。企業経営の中で,誰一人取り残さない,人や環境問題,平和について大事にしていこうと正面から取り組んでおられることに頭が下がります。
(出水期の対策について)
記者
昨年の台風被害や豪雨被害を踏まえて,当初予算でも予算を付けられていましたが,どのような対策をお考えですか。
市長
昨年の4日間に及ぶ豪雨,それ以後の台風等々,あらゆる自然災害が続発しました。建設局を先頭に,あらゆる民間事業者と連携しながら,しっかりと総括し,議会にも報告をしています。それに基づき対策を講じていますが,とりわけ,ハード面の整備については着々と進めています。まず,電源対策です。電気が通じなければ,あらゆる危機管理ができませんので,山間部の区役所出張所に非常用発電機を整備しました。
そして,昨年の反省も含め,関西電力に被害状況の把握や復旧見込みの情報提供を強力に要請し,対応いただいています。また,倒木,道路の路肩崩落等,あらゆる場面を想定し,緊急車両の通行確保など,万全の体制で臨んでいくことを机上でなく現場も含めて確認し,取り組んでいます。
記者
避難情報の発令対象地域を細分化する狙いというのは。
市長
これまでの発令基準では,川の近くのエリアなどの緊急度の高い場所に発令してから,その後,地域の一番端のエリアも含めて一斉に発令していましたが,浸水の時間や危険度も大きく違いました。この間,専門家等々にしっかりと検証していただき,段階ごとに避難勧告,避難指示をしていくということにしました。
それを正しく使うということが何より大事です。京都はおかげさまで地域住民の活動が危機感も含めて活発になってきています。また,ハザードマップを全区にお配りしていますが,配るだけでなく,それを繰り返し,学区の自主防災会や企業等の自主防災班,さらには,消防団,水防団等を通して周知徹底していきたいです。
記者
一番浸水リスクの低い地域は,従来のものと比べると発令件数が減り,防災意識の低下につながるのでは。
市長
全国も同じ傾向にありますが,非常に難しい問題です。今までのことを繰り返していたら,発令されていなければ大丈夫だと思われてしまいます。昨年は,百万人に避難指示等をして,2千数百人しか避難しませんでした。避難勧告,避難指示が発令されているが,結局誰も避難しなかったとなってはいけない。災害時に正しく恐れてもらうことは大事なことです。決して安全ということではないと伝える必要があります。同時に,勧告,指示をしても受け入れの体制が必要となりますので,その受入れ体制の迅速化も含めて,両方の取組を進めていきたいです。
記者
自分の住んでいる地域が,発令された時にどのあたりの地域なのか関心があると思いますが,事前の周知については。
市長
ハザードマップを配っていますので,そちらを見ていただきたいと思います。ただ,どこまで読んでいただけるかが問題です。ずいぶん関心は高まっていますが,それが行動に繋がっているかどうかが大切。昨年の防災訓練の際に,東日本大震災の被災地からの交流事業があり,3つの教訓をお聞きしました。
一つ目は,たんす等が倒れてきたら,ケガをするところに寝ていないか。二つ目は,3日分の食糧,水を保存しているか。三つ目は,いざという時に何も持たずに誘い合わせて逃げられるか。この3つだけが私たちの体験です,と仰っていました。非常に説得力がありました。自分だけは大丈夫,滅多なことはない,という意識がお互いにあるといけません。今度も災害が続発する可能性もありますので,昨年の災害をしっかりと教訓化していきたいと思います。
記者
国の警報レベル改定についてどのようにお考えですか。
市長
より特徴,メッセージ性を加えるということは大事だと思います。
(参議院選挙について)
記者
参議院選挙について,どのように盛り上がってほしいとお考えですか。
市長
令和の時代の最初の選挙で,本当に平和で一人一人が幸せを感じる時代になっていかなければなりません。人口が国内では急減し,世界では急増しています。もう一つは,地球温暖化を含めた環境問題。そして,災害の続発と危機管理。
今の日本,あるいは世界の置かれている実情をしっかり把握して,持続可能なまちづくりをしていくこと。そのために,子育て支援,教育,高齢者が生き生きと暮らせる健康長寿,東京一極集中の是正のための経済政策,福祉,安心・安全,危機管理に焦点を当ててほしいと思います。
(北陸新幹線のルート案について)
記者
明日の環境影響評価審査会で諮問される配慮書に示されたルート案について,伏見の酒造エリアを回避したことを,どのようにお考えですか。
市長
幅の広い範囲での環境影響評価をされるということで,私は良かったと思います。このコースだと決めてしまって環境影響評価をするのではなく,あらゆる可能性を考え,幅広く調査して最も適切なコースを決めていこうという国の御意向だと思います。
長ければ15年くらいの工事期間になります。京都は職住接近しているところですので,市民生活への影響,地域企業の経営への影響,そして京都は井戸水が非常に大事ですので,井戸水に与える影響,あるいは文化財に与える影響について,繰り返し,十分な配慮をしていただくよう国土交通省に対して求めてきました。それらに対して,現時点で応えるための幅広い範囲での調査だと思います。引き続き,想定されるあらゆる影響についてしっかりと検証し,説明責任をしっかりと果たしていただきたいと考えています。
(「市民生活と調和した持続可能な観光都市)推進プロジェクトチームについて)
記者
市民生活と観光との調和について,5月議会でも仰っていましたが,市長として今京都が抱える課題がどういった所にあり,今後どのようなことに重点的に取り組もうとお考えですか。
市長
5月22日に,全庁横断的なプロジェクトチームを立ち上げました。京都市では,観光政策監という役職を,市長,副市長の次に置いています。観光というものが,市民生活への影響も含めて,一つの部局に属さず,保健福祉,教育,都市計画,産業政策,交通も含めて横断的なことですので,観光政策監をトップに立ち上げました。
1400以上の事業者に会員として参画いただいている京都市観光協会等々が,市民ぐるみで進めてきた取組の成果,そして,課題,これらを客観的にしっかりと評価し,現状の課題の洗い出しをしてもらいたいと思っています。そのためには,有識者,関係事業者,市民の御意見も聞いていくことに取り組んでいきたいと思っています。
とりわけ,喫緊の課題が,一部の地域における混雑です。これは,今までの繰り返しになりますが,時期と時間と場所の分散化について,あらゆる施策の優先順位をつけて最優先でやってきましたが,これらの効果等も検証していきます。
さらに,今,モノからコトへという流れがありますが,観光客が,伝統産業,伝統文化などの厳しい状況にある分野との接点がどのようになっていて,どのような取組が必要なのかということをしっかりと検証いただきたいです。そして,宿泊施設についても京都駅周辺等の都心部に急増していますが,望まれるところにまだできていません。例えば,山科は人口13万人と,宇治に匹敵する観光的にも輝かしい歴史があるところです。しかし,京都に来られる方の2.5%しか山科に行かれずに,宿泊される方は0.3%です。そうしたことも踏まえ,どういう課題があり,また,今の日本の法制度の中で,どういう施策がとれるのか,同時に国に対して要望しなければいけない課題が何なのか。
例えば,この12年で景観政策を実施し京都のまちは美しくなったという評価を国内外からいただきますが,景観法という法令を12年前に国に制定していただき,それを根拠として景観政策を断行してきました。したがって,看板については,行政代執行にも着手し,3万7百の是正を行いました。観光政策というのは,自治体が独自の考えで都市の大事にしてきた理念を活かし,地域住民が豊かになるということが一番大切なことです。これは観光振興基本法に明確な法理として明記されています。
住宅宿泊事業法についても,3年で見直しをするという付帯決議があります。これまでも,集合住宅の住宅宿泊は認めないということを条例でできるようにしてほしいと,政令指定都市会や関西広域連合を通じて国に対して要望してきましたが,できませんでした。もう一つは,届出制ではなく,どんな小さな旅館でも認可制にしてほしいと要望してきましたが,これも認められませんでした。
結局,京都市の場合,30種類近くの届出を出さなくてはならないようになっています。届出なのに30種類も出すのは法律の趣旨に反するという御意見もありますが,法律ぎりぎりのところで取り組んでいます。それらについても総括をして,京都市として,また,他の都市とも連携して,国に対して課題を明確にし,要望していかなければならないと思っています。
記者
宿泊施設が中心部に急増している対策として,分散化を図っていくということですが,分散化以外で何らかの対策,手立てが必要とお考えですか。
市長
法律の専門家の意見も含めて検討を深めていきたいです。例えば,四条通からパチンコ店が撤退していっています。これは,新たなパチンコ店は認めないと住民の皆様の合意により地区計画が作られました。烏丸通では,パチンコ店を作る場合は道路から何メートルセットバックしないといけないと住民の合意により地区計画で定められました。日本の法律というのは,個人の権利を高く評価し,権利制限をなかなかできないことになっているため,地区計画という手法で制限しています。
カプセルホテルについても,なんとか規制できないかと問題提起をして専門家も含めて議論をしていただきました。しかし,カプセルホテルが増えすぎてこれ以上は大変だという状況であれば,地域を限って住民合意のもとでできる可能性はありますが,京都の状況ではできません。
また,住居専用地域にホテルを建てないようにすることはできますが,商業地域でのホテル建設,営業を認めないということが,法的に可能かどうかは極めてハードルが高いですが,研究対象にはしていきたいと思います。
記者
新しい対策については,タイムスケジュール的にどれくらいでお考えでしょうか。
市長
今していることを深掘りしていくということもありますし,今の課題についてはまだ時間が掛かかります。長い時間というわけではないですが,あらゆる課題を全部出し合い,それからスケジュールを決めていきたいと思います。
(自民党国会議員秘書への献金について)
記者
3年前の市長選で,市長の後援団体が自民党の国会議員の秘書に献金を寄付していたことについて,改めてコメントを。
市長
私を応援いただいている会ですが,会計については監督する立場になく,関与していないため,承知していないと申し上げました。それ以上のコメントはありません。
(着物について)
記者
最近,「祇園辺りを歩いているペラペラの着物を着た外国人はどうにかならないのか」と言われる方がおられました。観光客の服装も一種の景観であると思いますが,市として対策等を検討されていますか?
市長
どういう服装をされているのかというのは,大事な景観の要素であります。道を歩く人の服装,笑顔。あるいは,新しい景観政策で話し合っていただいている明かり,光,音,香も含めて,景観です。お茶屋の女将さんが,「隣の店から焼肉の香りがする。」と言っておられ,焼き肉屋さんが外に香りが漏れないようにされたという話も聞いたことがあります。
着物については,最近,「よく見たら,良いものも増えてきているよ」ということもお聞きします。文化の違いで,日本人が大事にしてきた柄と外国の方が好む柄は違います。これはなかなか難しい面もありますが,質の良いものを着ている人が出てきています。現に東山区で正絹しか扱っていないお店もあります。4,5人のスタッフで,あまり儲からないけど,良いものを売っている。そうするとリピーターも増え,初めは外国人ばかりでしたが,今ではお客さんの半分くらいは日本人です。また,日本の若者達も着物を着はじめるといった傾向になってきています。したがって,批判も大事ですが,良いものを出していくということも大事です。
着物産業,和装産業はかつてない危機的な状況で,西陣織は最盛期の5%です。しかし,最近の空前の着物ブームを,需要の開拓につないでいる方もおられます。そうした動きが大切です。全国の着物の小売店,生産者を含めた会合の基調講演でこんな話をしました。「和食・日本酒も危機的状況でした。どんどん日本酒離れ。料理学校を行く人の1割しか和食を学ばない。しかし,世界で和食がユネスコの無形遺産に認められて,世界で和食店が増え,約3倍の12万となりました。それに伴って日本酒が売れ,同時に日本でも和食が再評価されています。こういう流れがあります。これを,和装,着物の文化のほんまもんを追及していく契機にしていきたい。」
トルコに行った時に,イスタンブール市長が「日本では男性も,公式行事や普段着として,民族衣装がまだ通用するのですね。トルコでは男性の民族衣装はなくなりました。正確に言うと,民族舞踊の人がその時にだけ着ています。しかし,日本は素晴らしい。」と仰っていました。100年後に日本がどうなっているのか。日本では外国人も含めて和服のブームがきています。それをどう活かすのかというプラス思考で,「良貨が悪貨を駆逐する」というようにしていかなければなりません。
京都市では,御用始めは着物勤務を推奨しており,参加者が500人を越えました。他にも,祇園祭は浴衣,11月15日は着物の日です。私は毎日着物の日です。今年から,教育委員会が地域とともに,全小学校で全ての子どもが卒業までに一度は茶道の体験をする,中学校は卒業までに全員が華道を体験する,という取組を3年計画で進めています。今ならまだできます。団塊世代の地域の人が,お茶も生け花も若い時に学んでおられるからです。地域の力を得て,あらゆる茶道のお家元,華道33流派の御支援を得て,やっていきます。これが和の文化の親しみに繋がっていきます。
(プラスチックごみについて)
記者
環境省から,廃プラスチックを,それぞれの自治体で受け入れてくれないかという要請がありましたが,京都市としては何か検討していますか。
市長
京都市では,例えば食品スーパーの売り場面積あたりで,既に90%を超えてレジ袋の有料化が実現しています。コンビニ等においても徹底して取り組んでいます。それから,2Rの運動を推進して,ペットボトルの取組も先進的に進めています。なお,発生抑制を徹底していかなければいけないと考えています。
記者
今年度になってから,レジ袋の全面禁止について,亀岡市長から何かお話しはありましたか?また,連携していくというお考えはありますか。
市長
話はありません。連携していくというより,京都市は,常設の審議会で,既に様々な議論をし,取組を積み上げてきております。直ちに市長が条例を提案するという仕事の仕方はしていません。市長が条例を提案するのではなく,ボトムアップで仕事をしていくことが,持続可能で「ほんまもん」になると思っています。それぞれの自治体が課題意識をもって取り組んでいくことは尊いことだと思います。さらに,「食品ロス」についても徹底してやっていかなければなりません。
(高齢運転者の運転免許証自主返納について)
記者
各地で高齢者の事故が起きていますが,運転免許の自主返納について何か取組を考えておられますか。
市長
交通事故は大きく減少しています。死亡事故については,去年が15件。この5年間を見ても京都市では激減しております。そんな中で,高齢者の被害あるいは加害が,大きなこれからのテーマだと思います。
運転免許証の自主返納者数ですが,5年前,3400人程度でしたが,去年は4700人程。地道に交通安全対策協議会等々と連携のうえ,講習会等も開催していただき向上しています。関心が高まっているこの機会に,より高めていきたいです。
現在,自主返納された方に500円のギフトカードを渡しています。これについては,あり方の検討を指示しています。運転免許証を身分証明書としていた場合,返納後に区役所で身分証明書を発行する手数料が500円でした。マイナンバーカードを使っていただくといった費用はいらなくなります。500円のギフトカードの自主返納支援数が5年で倍になっているということもあります。上から目線で自主返納をしろということではなく,一人一人が自分の運転能力,適性を確認され,自主的な返納を促進していくために,500円のギフトカードのあり方について,幅広い議論をしてまいります。
記者
周辺部に住んでいる方は,車がないと生活に困ることについての対策はお考えですか。
市長
先日,京都府警察の方に,京都市内での自主返納が,京都府域より大きく進んでいることは,公共交通の利便性の向上と相まってのことだろうと評価いただきました。交通弱者の問題も大事だと考えています。
(8050問題について)
記者
全国的に問題となっている8050問題で,京都市は政令市なので「ひきこもり地域支援センター」があると思いますが,今後どういう対策をお考えですか。
市長
ひきこもり地域支援センターについては,若い人のひきこもりと中高年者のひきこもりを年齢で区分して対応しています。ひきこもる人に地域で気付いて,専門機関,福祉施策等に繋ぎ,専門職員と地域ぐるみで支えていくことが大事です。地域あんしん支援員は,着実に数を増やしてきて,現在12人で,区役所・支所の保健福祉センターと連携し,ひきこもりを含む複合課題や制度の狭間にある世帯への寄り添い支援を行っております。色々な福祉施策の中に相談員がいますが,地域あんしん支援員は幅広い課題に対応できます。生活困窮者の自立支援も,5人の相談員が1500人の相談を受け,そのうち200人以上が就労に繋がっています。このような地域と専門職員で取り組んだ成功事例も出てきています。
個別の取組を,より強固なネットワークを作り,地域の基盤に進化させていくという検討も始めております。今,しっかりとした対策をとらなければ,ますます厳しくなってくる重要な問題だと思います。ニュースを見て胸を締め付けられる人がたくさんいます。我々もしっかりと取り組んでいかなければと思います。
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