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門川市長記者会見(2019年5月14日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2019年5月14日)

京都・ボストン姉妹都市提携60周年記念事業に係る海外出張について

 まずは,4月24日から28日までの間,姉妹都市提携60周年を迎えたアメリカのボストン市へ行ってまいりましたので,その概要を報告させていただきます。

 ボストン市にとって京都市は,初めて姉妹都市提携を結んだ都市であります。1959年,戦後主権を回復して間もない時に,当時の京都市長が姉妹都市提携の申し出をしたことから始まったものです。このような時代から既に都市間交流の可能性,重要性に着目していたということです。それ以来,交流を深めてきました。

 今回の訪問には,京都市会の寺田一博議長をはじめ,京都南ロータリークラブ,青い目の人形米国お里帰りプロジェクトチームの皆様,経済,文化等の各界を代表する方々にも民間交流,市民交流のためにボランティアでお越しいただき,総勢70名以上の訪問となりました。この訪問以外にも,年間を通じて様々な60周年の事業があり,今後も様々な民間交流が深められるところであります。

 世界最先端の研究成果を発表する「ライフサイエンスフォーラム」にも参加し,京都市のライフイノベーション創出事業の取組,さらに大学・産業界・京都市による産学公連携の取組を紹介しました。改めて,本庶佑先生や,山中伸弥先生の存在の大きさも現地で感じました。フォーラム後,ボストン・チルドレンズ・ミュージアムを訪れた際に,40年前に京都市が寄贈した京町家の展示には,毎日200人を超える子供たちが訪れているとお聞きしました。これは,西陣で実際に住まわれていた町家を丁寧に解体したうえで,京都の大工さんがボストンで再建したものが,そのまま保存されています。五月人形やお雛さんもございました。京都の文化をボストンの子供たちが毎日感じておられ,素晴らしいと思いました。

 翌日のウォルシュ市長,ボストン市の幹部職員との懇談では,環境問題やイノベーション等について活発な議論を行いました。特にウォルシュ市長は,SDGs,パリ協定の実行に向けて,京都市と共に努力していくと明言されました。両市とも「100のレジリエントシティ」に選ばれています。その面でも連携していくことを約束いたしました。

 さらに,京都南ロータリークラブによるアメリカ最初の公立植物園での植樹式,そして「ボストン日本祭り」。アメリカに初めて桜が植えられてから100年目に「ボストン日本祭り」が始まり,今年が8年目です。桜は当初ボストンに植える予定だったのが,寒さの関係でワシントンになったとボストンの方は仰っていました。行政の連携も大事ですが,何よりも市民の皆様,企業の皆様,様々な民間事業者が交流を深めていただいていることに感激しました。

 帰国後も,ボストン・チルドレンズ・ミュージアムにおいて今井眞(まき)正(まさ)先生による陶芸ワークショップや,青い目の人形を通じた交流も行われました。御尽力いただいた皆様に改めて感謝申し上げます。これ以外も様々な交流事業をしっかりと展開し,SDGs,世界の平和と人々の幸せのために両市が役割を果たしていきたいと,決意を新たにしたところです。

保育所等及び学童クラブ事業における利用児童等の状況について

 本年4月1日時点におきまして,保育所等待機児童ゼロを6年連続,学童クラブ事業の待機児童ゼロを8年連続で達成しました。私と妻は共働きで,1人目の子供は,本市が全国に先駆けて実施していた「昼間里親」さんに定員外で受け入れていただき働き続けることができました。2人目の子供はそれもままならず,一軒家を借りて保育士さんをお願いし,共同保育をやりました。身をもって保育の大事さを実感してきました。子どもが熱を出した時には,祖父母や地域の人にも支えていただきました。家族や地域のつながりの重要性を痛感してきました。

 市長就任以来,市政の最重要課題は「子育て支援施策の充実・強化」。「子育て・「共育」環境日本一」を目指してあらゆる取組みを進めてまいりました。これらができたのは,保育園関係者,私立幼稚園関係者等,御理解いただいた多くの市民の皆さん,近隣住民の皆さんのおかげであると感謝の気持ちでいっぱいです。

 保育所等の利用児童が毎年増え続ける中,保育所等待機児童ゼロを,保育の質を確保し向上させながら,6年連続で達成できたのは人口100万人都市で京都市だけです。待機児童ゼロを継続するために,本市では様々な取組を行ってまいりましたが,この1年間の主な取組を4点御説明いたします。

 1点目は,児童の受入枠の拡大です。この1年間で,民間保育園の新設3箇所,増改築等6箇所をはじめ,小規模保育事業等の新設などを含めて,合計23箇所,375人分の受入枠を拡大。直近の4年間では,計146箇所,3,485人分の受入枠を拡大しました。今後は,特に必要と思われる地域を中心に,整備してまいります。

 2点目は,幼稚園での放課後等預かり保育の充実です。京都の幼稚園は,崇高な建学精神の下,それぞれの特色を生かした教育実践を重ねておられます。 さらに,全ての私立幼稚園で預かり保育を実施いただくなど,長年にわたって待機児童の解消等に多大の御協力をいただいています。私は本当に頭の下がる思いを致しております。

 私立幼稚園が長期休業期間中の保育を実施する場合や,保育の実施時間を延長していただく際に,毎年1億円を超える支援を本市独自で実施してまいりました。市立幼稚園においても,全ての園で午後6時までの放課後等預かり保育を実施しています。また,本年度は,保育要件を満たす700人以上の児童が新たに幼稚園を利用しています。引き続き,多様な保育ニーズにこたえるために,各幼稚園と連携を図っていきたいと考えております。

 3点目は,保育の質の向上と保育士の確保です。子どもたちに深い愛情と限りない情熱を注いでいる保育士さんの処遇改善は,保育の質に直結します。私は徹底した行財政改革を断行しながらも,保育士の皆さんの処遇の改善,配置基準の上乗せ等の取組を実施し,過去10年間で累計400億円以上の本市独自の財源を投入してまいりました。本年度も約49億円の予算を投入し,国基準を上回る保育士の手厚い配置と,保育士の給与改善等を実施しています。

 保育士の確保が全国的な課題となっている中,優秀な保育士を確保していくため,本市の保育士の配置基準は,国基準の12人に対して1.3倍の16人の保育士を配置しています。そして,平均年収は,全国民間保育園の保育士334万円の1.4倍の468万円となっております。全産業の平均年収456万円をも上回っています。その結果,常勤保育士の離職率は政令指定都市で最も低くなっております。全国の政令指定都市の平均離職率12.2%に対して本市の離職率は8.2%です。

 すなわち,政令市のどこよりも辞めない,定着しているということも保育環境の充実に大きく寄与していると考えています。子どもたち一人一人の心に寄り添った温かな保育を継続的に実践していただいている各園の努力にも感謝申し上げるとともに,引き続き,全国トップ水準の処遇確保に努めてまいります。

 最後に,保護者に寄り添った丁寧かつ的確な入所相談でございます。保育所等の入所を希望する保護者に対して,他の政令指定都市では実施していない,希望状況を踏まえた一斉面接を実施しております。各区役所・支所の「子どもはぐくみ室」が中心となって,一斉面接でお聞きした内容を基に入所調整を行っております。「子どもはぐくみ室」は,子どもや子育てに関する相談や手続きの一元的な対応を目指して2年前に設置しました。福祉・医療・事務の全職員が「子育て支援コンシェルジュ」として,お一人お一人のニーズや悩みに気付き,寄り添い,的確な支援につなげるべく日々奮闘しており,保護者の皆様からも高い評価をいただいております。

 これらの取組により,本年4月1日現在の保育所等利用児童数は,過去最高の31,478人,小学校入学前児童に占める割合は50.6%に達しました。  これは,人口が百万人を超える大都市・11市の平均38.7%(平成30年4月)の1.3倍に当たり,11市の中で最も高い数値となっております。

 私が市長に就任した平成20年度以降の11年間で,のべ249箇所の施設の整備等を行い,保育所等利用児童は5,645人増加,小学校入学前児童に占める割合は13.2ポイント増加しております。平成27年度から令和元年度までの5箇年の計画である「京都市子ども・子育て支援事業計画」において,これまでの過去4年間で,計146箇所,3,485人分の児童受入枠を拡大してまいりました。

 今後も引き続き保育需要の拡大が見込まれる地域がある一方で,子どもの減少や,近年,新設保育園が相次いだ等の地域の定員割れの人数は1,533人となりました。京都においては保育園連盟,私立幼稚園協会等の関係者の皆様が,子どものためにと新増設を行ってくださっている。これが京都の一番の強みではないかと思います。感謝しながらしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 当該計画の集大成として,来年4月に向けて,保育所等新設・増改築等で11箇所,小規模保育事業で2箇所,合わせて298人分の整備予算を確保しております。厳しい財政状況ではありますが,入所を希望する保護者の方に安心してもらえるハード面での取組を強力に推進してまいります。

 また,「保育の質の確保・向上に向けた取組」をさらに拡充し,保育士等の専門職を対象とした処遇改善を実施するとともに,従来実施してきた本市独自の「保育料の軽減」も含め,これまでの施策と重層的かつ効果的に実施していくことにより,質・量ともに,全国トップ水準の子育て環境の実現に向けて取り組んでまいります。

 次に,学童クラブ事業でございます。本市では,平成27年度からの子ども・子育て支援新制度の下,小学校3年生までを対象としていた学童クラブ事業を小学校6年生まで拡大し,保護者等の就労等により放課後留守家庭となる児童のための居場所づくりを進めてまいりました。

 また,新制度施行以降,180人の大幅な増員を行うことにより,総数688人の職員を配置するとともに,小学校の余裕教室等を活用することにより,新たな実施場所を26箇所確保し,子どもたちが安心・安全に過ごすことができる環境づくりを進めてきました。その結果,利用希望者全員の受け入れを行い,平成24年度から8年連続となる「学童クラブ事業待機児童ゼロ」を達成。

 本年4月1日現在の学童クラブ事業登録児童数は,昨年度と比較して,581人増加の,14,657人となりました。今後も共働き家庭の増加に伴い,引き続き高いニーズが見込まれることから,利用児童数等の動向を見極めながら,必要に応じた職員配置,新たな実施場所の確保を行うなど,待機児童ゼロを継続するための取組を進めてまいります。

 SDGs 誰一人取り残さない,すべての子どもが健やかに育てるように,しっかりと取り組んで参りたいと思います。さらに,妊娠・出産,若者支援,京都ならではの子育て・教育環境の一層の充実に,令和の時代が良い時代になるように取り組んで参りたいと思います。

質疑応答

報告案件に関する質疑

記者

 6年連続で待機児童ゼロを達成したことについて,市長の受け止めをお聞かせください。

 

市長

 私はあらゆる場で「お母さん,お父さん心配しないでください。しっかりと京都市は民間事業者とともに保育所を充実させていきます。」ということを断言してまいりました。現状,共働きの家庭が増えることにより,保育所のニーズが高まるという,いい意味での追いかけっこが続き,保育所等利用児童数の小学校入学前児童に占める割合が50%を超えるところまできました。

 他都市では,保育士が足りないために待機児童ゼロを達成できないという都市もあります。待機児童ゼロは長年の積み上げであり,行政が何を優先するのかが大事です。本市では,保育士の処遇改善や配置基準の充実に全力を挙げてきました。さらに,地域間のバランスもありますので,丁寧な入所相談を行ってきました。すべての希望者の希望が実現したことについて,御努力いただいた民間保育所,幼稚園,多くの関係事業者に感謝の気持ちでいっぱいです。引き続き頑張ってまいりたいです。

 

 

記者

 10月から保育の無償化が実施されますが,その影響についてお聞かせください。

 

市長

 現在は,幼児教育保育の無償化の影響をあまり感じていません。今後の動向をしっかりと見極めていきたいと思います。保育所には,最高11時間まで預けることができます。その中で,保育利用時間の区分については,国基準に基づくと,8時間と11時間の2区分しかありません。しかし,京都市では7段階に区切って3%ずつ保育料を軽減し,必要な分だけ保育を利用できるような仕組みを導入しています。そのような中,無償化に伴って長時間保育所に預けることが,かえって子どもの育ちにとって良いのかどうかということです。

 また,各家庭で色々な事情はあると思いますが,11時間保育の希望が増え,そのことが,子どもの学び,育ちにとって良いのか。また,過度に保育士に負担がかかっていくのではないかという心配があります。

 こうしたことは,子どもの立場,また親御さんの立場に立ち,専門家がしっかりと相談,対応していくことが大事ですので,これからも丁寧な対応をしていきたいです。

 例えば,今までは,子どもを迎えに行ってから買い物に行く。しかし,これからは,買い物に行ってからゆっくりと保育所に迎えに行くということになると,30分,1時間,迎えに来る時間が遅くなり,その分,現場の保育士の負担が重なっていきます。したがって,幼児教育保育の無償化が最善のものになるように,保護者に必要な分だけの保育を利用していただくよう,御理解を求めていきたいです。

報告案件以外に関する質疑

(IPCC総会について)

記者

 IPCC総会が京都で開催され,温室効果ガスの排出削減のためのガイドラインが策定されました。「IPCC京都ガイドライン」という愛称を市長から提言されたということもあり,京都市が率先した取り組みを進めていく必要があると思います。今後どのような取組ができるとお考えでしょうか。

 

市長

 人類初の京都議定書誕生の地,それが大きく飛躍してパリ協定へと発展しました。そのパリ協定実行のためのガイドラインです。IPCC総会の開会時に,基準なしに評価なし,基準なしに削減なし,その基準を作る大事な総会であるということを議長も力説されていました。

 その愛称については私から提言しましたが,ホーセン・リーIPCC議長も「素晴らしい提案だ。どうして私はそのことに気づかなかったのだろう」と賛同いただきました。また関係者の皆様も異口同音にそのように仰っていただきました。パリ協定実行のためのIPCC京都ガイドラインが成立したことに感動を覚えております。

 さらに,環境省や多くの環境問題に取り組む方々,そしてIPCCの共同議長にも参画いただき,シンポジウムを開催しました。2年前の京都議定書誕生20周年の時に,持続可能な地球環境を守っていくために京都宣言を発信しました。環境問題,温室効果ガス排出量削減について真剣に取り組んでいこうという内容の宣言でしたが,その段階で世界の平均気温の上昇が1.5℃の場合と2℃の場合とでは,その影響に顕著な違いがあることを示した「1.5℃特別報告書」はございませんでした。

 昨年,「IPCC1.5℃特別報告書」が発表され,それを踏まえ,この京都から新たなアピールとして,気温の上昇を2050年までに1.5度℃以下に抑えることを目指し,「2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロ」を目指すということを提言し,有識者に御理解いただき,今回,「1.5℃を目指す京都アピール」とすることができました。

 また,シンポジウムでは,原田環境大臣がその場に同席され,舞台に上がり共感いただきました。原田大臣のHPでも「1.5℃を目指す京都アピール」について真摯に受け止めると仰っていただいています。

 「IPCC京都ガイドライン」,そして「1.5℃を目指す京都アピール」ということで,京都議定書誕生から22年経ちますが,京都が大きな役割を果たしていかなければならない。

 この京都議定書誕生以来,例えば,ごみが半減。また,人口は横ばいでかつ,観光客が増加しているという様々な環境変化がある中で,エネルギーの消費量を27.2%削減した等々の成果を踏まえ,その取組をさらに延長させるとともに,次元を超えた取組も大事です。

 都市の機能の在り方,あるいは,産学公連携で新たなイノベーションを起こしていく。こうしたことを,京都市はもとより,産業界,大学,京都府や自治体,また,国等とも連携し,さらには世界の都市とも連携した新たな挑戦のスタートにしていきたいと思っています。

 

記者

 温室効果ガスの排出量の基準年度に比べて2020年までに25%下げるという高い目標があると思いますが,どのようにお考えでしょうか?

 

市長

 2020年度は,現行の地球温暖化計画が最終年度になっていますので,これまでの取組を総括し,専門家や市民の代表を交えて議論を深め,具体的な道筋を検討してまいります。

 

記者

 大規模排出事業者などの排出量についてはだいぶ減少していると思いますが,民間事業者の取組についてはどのようなお考えでしょうか?

 

市長

 京都の99.7%が中小企業であり,その中小企業が環境問題についても地域企業宣言をされ,真正面から取り組んでいこうという機運が盛り上がっています。

 また,住宅の環境度を高めていくことも大事です。そうすると,ハウスメーカーが中心になってしまうという議論もあります。しかし,京都の中小企業の大工さんが環境問題について真正面から取り組み,環境問題と自分の仕事の継承・発展とを一体的に考えて取り組んでいます。あらゆる知恵を集めて,当事者が主体的に考え,それを行政も応援するという取組を進めていきたいと思います。

 

 

記者

 先日も,京都府と合同で気候変動対策の在り方について研究会が開かれたと思いますが,府や他自治体との連携についてはいかがでしょうか?

 

市長

 気候変動対策については,森林の在り方も非常に重要です。昨年の台風で大きな被害も受けていますが,森林を豊かにしていくことは,京都府と京都市,府下の自治体,また国とも連携していかなければなりません。産学公のイノベーションにおいても,あらゆることでしっかりと連携してまいりたいです。

 IPCC総会については,環境省から,京都市をホストシティとしてやっていこうということになりましたので,京都市が中心となって多くの関係団体と連携させていただきました。今までも,様々なことを府市協調,産学公,全国の自治体と連携しております。私は指定都市自然エネルギー協議会の会長もしていますので,そうした成功事例を共有することの大事さも実感してきましたし,そうした経験も生かしていきたいです。

 

 

(大津市の園児巻き込み事故について)

記者

 今月4日に園児が巻き込まれる大変痛ましい事故が発生しましたが,京都府知事の会見によると,警察等とも連携を図っていきたいとの言葉がありました。交通安全対策というのは極めて重要かと思いますが,どのようにお考えでしょうか。

 

市長

 事故の当日に保育園,幼稚園,あるいは学童保育所,障害のある子どもの900の施設に安全確保等を周知徹底いたしました。担当局が迅速に対応してくれています。そして,心配される場所についてはどんどん報告してくださいと周知しています。

 また亀岡の衝撃的な事故がございました。その後,警察と京都市との協議の場を設置しており,有効に機能しております。毎年,地域の学校や保育所,幼稚園等の要望を踏まえ,改良も進めてきております。そうしたことにもう一度立ち返り,危険な所を個別にしっかりと対応していきたいと思います。

 

 

(民泊について)

記者

 来月で民泊新法が施行されて1年。先日の大型連休でも多くの方が京都へ来ていたと思いますが,民泊の状況について,どのように捉えていますか?

 

市長

 違法民泊,宿泊施設に対する苦情等の相談・通報窓口を全国に先駆けて設置しました。平成28年4月から平成31年3月末までに通報があった無許可営業疑い施設は約2,400件あり,41名の専任体制のもと,徹底的に指導してきました。その結果,閉鎖されている,使われていないものも含めて,現在の違法民泊は24件,約100分の1になりました。また,違法でなくとも,近隣住民に迷惑をかけている事例もあります。その場合には,現地に担当者が出向き,状況を把握します。そして,法的に適法であっても近隣住民との調和なしに京都の宿泊事業は成り立たないということを強力に説明し,厳しい指導をしております。この間,苦情の数は減ってきています。引き続き,万全の体制で指導してまいります。

 地域の充実,発展に寄与する宿泊施設は歓迎しますが,質の高くない,乱造するような宿泊施設は本音で遠慮して欲しいと思います。地域との調和,文化,暮らしの美学,生き方の哲学が京都観光の一番大事なところです。これらを継承発展していくことが京都の目指す観光であるということをはっきりしていかなければならないと思います。

 

 

(新景観政策の見直しについて)

記者

 先日,新景観政策の見直しについて,検討委員会から答申がありましたが,議論の途中で地域住民から反対の意見も相次いでいました。その際,市長は一概な緩和ではないということを強調されていましたが,その真意を教えていただきたい。

 

市長

 前市長の時に,6つの条例を全会一致で制定していただきました。その2年前に京都市が中心となって,全国的な運動をした結果,国において景観法が制定されました。それから,2年間で条例が制定されました。これは時間との戦いでした。条例制定前に45mで建築確認がされれば,既得権になります。例えばNHK京都放送局があるところは,元々45mのホテルが建つ予定で,建築確認もされていました。

 しかし,リーマンショックで会社が倒産したためホテルの建設はなくなり,結局NHK京都放送局が入りました。規制の強化に向けて3,4年も議論していると,その間に建築確認がされて,既得権になります。そのような状況であったため,地域ごとに特性を考えて規制するのではなく,ほぼ一律に一段階下げるという方針のもと実施しました。この10年間,徹底してぶれることなく,取り組んでまいりました。10cm出ている看板の撤去をお願いした際には,「図上で引いた線やないか。」と,厳しい御意見をいただくこともありました。

 結果的には,30,550件の看板を撤去・是正していただきました。決めたことは実行するという,京都市民,事業者の皆様の心意気に改めて敬意を表します。京都の景観は大きく前進し,世界的にも評価されています。絶対にぶれない。これは大原則であります。また,規制の変更は,新景観政策でなくとも,新たな道路や駅ができることで,地区計画が変更される,住居地域が近隣商業地域又は商業地域になるということがありえます。

 この10年間の景観政策の成果を,シンポジウム等を含めて議論いただき,市民意見も募集し,ひとつの答申をいただきました。貴重な答申です。門内委員長も,繰り返しおっしゃっていますが,単純に強化あるいは緩和するようなものではありません。

 強化するという面では,眺望景観。御所の横,梨木神社に4階建てのマンションが建つということは想定外でした。後に,マンションは地上2階建てに変更していただきました。これを教訓にして,こういったことが2度と起こらないよう,眺望景観の規制を,お寺・神社の中から,門前町まで広げました。景観規制は,住民の皆様の御負担も強いて,待ったなしで急いで強化してきました。

 今後は,新たな道や駅ができるなど,地域の変化に応じて取り組んでいく,あるいは,地域のコンセンサスのもとに,地域の活力と景観を調和させ,地域を活性化していく。そんな手法について検討していくことだと認識しております。答申に関わっていただいた,あるいは今日まで大変な思いをして,景観政策を作り上げ,実行していただいた地域住民の方々と,しっかりと連携して,取り組んでまいりたいです。同時に大学のまち京都,あるいは若い人が活き活きと暮らしていける京都,クリエイティブな京都,これをいかに景観と調和させていくのか。こうしたことについて,関係者のコンセンサスを得ながら取り組んでまいります。

 景観政策を緩和すると思われていますが違います。例えば,崇仁地域は,河原町通に面していながら,様々な経過もあって住居地域でした。しかし,移転してくる京都市立芸術大学は31mで,河原町通り沿いの高さ制限と同じです。住居地域が近隣商業地域,商業地域になるため,容積率が緩和される。これは景観政策緩和の議論ではありません。五条通も同様の話です。これを景観政策と一緒にしてしまい,規制の緩和であると市民の方が思われています。我々の広報の問題でもあります。一概に緩和であると言うような伝わり方にならないように,我々も注意いたしますので,よろしくお願いしたいと思っています

 

 

(来年の京都市長選挙について)

記者

 来年2月に京都市長選挙がありますが,現時点での市長の意向は?

 

市長

 私の任期は,あと約9か月ありますので,粛々と務めを果たしていきたいと思っております。

 

記者会見資料

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