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共同記者会見(2018年3月19日)

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2023年4月12日

「京(みやこ)の再配達を減らそうプロジェクト結果報告会」

 京都市,パナソニック株式会社,京都産業大学等は,2017年11月から2018年1月までの3箇月間にわたって宅配ボックスの実証実験「京(みやこ)の再配達を減らそうプロジェクト」を実施しました。その結果,アパートでの再配達率が43%から15%に減少(※1)しました。

 実証実験では,パナソニック製のアパート用宅配ボックス『COMBO-Maison(コンボ-メゾン)』 合計39台を京都市内5箇所のアパート(合計106世帯)に設置するとともに,京都産業大学キャンパス内にも公共用の宅配ボックスを設置しました。

 アパートでは,3箇所(66世帯)で7日間/月×3回の出口調査と,11名の利用者へのアンケートによる利用実態を確認し,再配達抑制効果などを調査したところ,再配達が43%から15%に減少し,CO2排出量の削減や宅配事業者の業務時間削減につながることが分かりました。

 また,大学に設置した公共用宅配ボックスは,51名のモニターのうち29名が利用し,うち12名へのアンケートなどにより,利用実態やニーズを把握しました。実証実験期間中,112個の利用実績があり,キャンパス内の宅配ボックスが自宅以外で荷物を受け取る選択肢になり得ることが把握できました。

 本プロジェクトは,京都市が主催し,パナソニック株式会社と京都産業大学及び宅配事業者が協力して実施したものです。日本一学生が集中する(※2)「大学のまち・学生のまち」京都(※3)において,インターネット通販等を利用する青少年世代に働きかけ,日中留守でも宅配便を受け取れる手段を提供することにより「環境にやさしいライフスタイル」への転換につなげようという産学公連携による試みでした。

 この実証実験を通じて,再配達の問題を多くの学生に知ってもらうとともに,解決策の一つとして,宅配ボックスを利用してもらえたことも成果と考えます。

結果報告会概要

1 日時   平成30年3月19日(月曜日)午前11時~午前11時45分

2 場所   京都市役所本庁舎 第一応接室

3 登壇者  ・京都市長 門川 大作

        ・パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 ハウジングシステム事業部 外廻りシステムビジネスユニット
         ビジネスユニット長 髙松 郁夫

        ・京都産業大学 学長 大城 光正

4 次第    (1) 出席者紹介
        (2) プロジェクト概要説明
        (3) 門川市長 挨拶
        (4) 髙松ビジネスユニット長 挨拶
        (5) 大城学長 挨拶
        (6) プロジェクト結果説明
        (7) 質疑応答
        (8) 写真撮影

お問合せ先
 歩くまち京都推進室 山下・篠田 TEL:075-222-3483

市長挨拶

 本プロジェクトは,パナソニック株式会社,京都産業大学,そして,ヤマト運輸,佐川急便,日本郵便の宅配3社の協力のもと,実施することができました。御礼を申し上げます。

 「京(みやこ)の再配達を減らそう」プロジェクトは,「大学のまち・学生のまち 京都」らしく,全国的にも珍しい,大学生や教職員を対象にしたプロジェクトでした。なんと,再配達率が43%から,半分以下の15%まで減少し,更に工夫を重ねることによって,1割を切るところまで減る見込みだということも,明らかになってきました。御協力をいただいた皆さんに,重ねて御礼を申し上げたいと思います。

 実証実験により,宅配を送る人にとっても,受け取る人にとっても,そして,宅配事業者にとっても,宅配ボックスの存在が非常に便利である,負担感が少ない,ということも,明らかになりました。 

 今,宅配再配達率は,平均して2割近くあると言われます。また,再配達になった人の約4割が,宅配が届くと知っていながら不在にしていた,という調査結果もあります。これから求められていくのは,一人ひとりの配慮です。あらゆる努力をみんなでしていかないといけません。そうした努力,あるいは仕組みを作っていく。そのことによって,配達に従事する労働者の長時間労働をなくしていく。更に,みんなが利便性を高めていける。そういうことに心を寄せて,知恵を絞っていきたいと考えております。

 「働き方改革」とは,ひとりひとりが人間らしい生き方をしていく,「生き方の改革」でもあります。そうした仕組みづくりをしていく。心配りができるライフスタイルに転換していく。人にやさしい,環境にやさしい暮らし方や社会システムを,求めていきたいと考えております。

 今回,楽しいお話もうかがいました。大学の教職員の方が,自宅に届くと困るお子さんへのクリスマス・プレゼントを,この公共用宅配ボックスを利用して受け取り,夜中にお子さんの元に届けた,とのこと。心温まる,ほほえましいお話です。

 ぜひとも,こうした実証実験の結果をいかし,今,大きな社会問題になっている,宅配事業者の担い手不足,長時間労働の是正,さらに,再配達による環境負荷の抑制,道路の渋滞緩和にも大きな影響を与えてくれると信じています。

 近江商人の商売の極意は,「売り手よし,買い手よし,世間よし」の「三方よし」だと言われます。わたしども,京都では,これを「四方よし」にしたいと考えます。「売り手よし,買い手よし,世間よし」に「未来よし」を加えた「四方よし」。未来に向けて,ともに手を携えて取り組んでまいりたいと思っております。

出席者挨拶

パナソニック株式会社 エコソリューションズ社 ハウジングシステム事業部 外廻りシステムビジネスユニット
ビジネスユニット長 髙松 郁夫

 前回,あわら市で行った戸建住宅向けの活動に続き,「学生のまち 京都」において,学生を中心とした単身者がお住まいのアパートを対象にした実証実験を行いました。

 アパートには,集合住宅用の宅配ボックス(COMBO-Maison(コンボ-メゾン)のハーフサイズ)を,大学には,公共用の宅配ボックスを設置したところ,再配達が約3分の1まで減ったという結果が出ております。やはり,戸建住宅のみならず,アパートにおいても,宅配ボックスが再配達問題解決の切り札の一つになることが実証できたと考えます。 

 課題として残ったのは,サイズが大きいものが入らなかったということです。この結果を受けて,来月には,「大型タイプ(ミドルタイプ)」を発売することとしております。これによって,「再配達」となった「15%」も半減するだろうと考えています。 

 宅配ボックス「COMBOシリーズ」の販売も,順調に推移していますが,大きな社会問題を解決しようと思えば,もっともっと設置台数を増やしていくことが大切です。今回は,学生を中心にたくさんの方々に宅配ボックスの存在を知っていただけたということに大きな意義がありました。

 わたしたちは,メーカーとして,商品,サービスの充実とともに,もっと商品を知っていただくための活動を充実させ,再配達問題という社会問題を解決することで,しっかり社会貢献していきたいと考えております。

 

京都産業大学 学長 大城 光正

 産学公連携「京の再配達を減らそう」プロジェクトに参加・協力できたことを大変光栄に感じております。

 本学は,1965年に創設者の荒木俊馬が「産学公連携」を提唱して開学し,行政,大学,企業が結びついて,社会に新たなものや新たな価値を「むすんで,うみだす」という取組こそ,これまで53年間にわたって大切にしてきた,いわば本学のDNAであります。

 今回のプロジェクトでは,アパートにおける再配達率が43%から15%まで減少し,また,公共用宅配ボックスも,自宅以外で荷物を受け取る選択肢になり得ることが示されました。学生の環境問題に対する意識の醸成,ネット通販を利用する新たなライフスタイルとのマッチングという意味でも,こういった取組が更に広まることを期待しております。 

 今後も,行政,産業界と積極的に連携し,地域社会に貢献してまいりたいです。

 

質疑

質疑(1)

 宅配再配達率が3分の1まで減ったということだが,今後,この成果を活かして,どうしていくかが大事ではないかと考える。京都市として,宅配ボックス設置のために補助金を出すような具体的な施策を考えているか。この結果を受けて,具体的にこうしよう,というお考えがあれば,聞かせてほしい。

 

・門川市長(京都市)

 宅配事業者,アパート経営者それぞれに考えていただくことがあるだろう。そのうえで,行政の役割をどのように考えるかが大事というのは,御指摘のとおりである。オープン型宅配ボックスについては,国や京都府がそれぞれ補助制度を設けている。そのうえで,本市において何が必要とされ,また,最も効果的なのか,ということが,これからの研究課題である。

 

・大城学長(京都産業大学)

 大学としては,設置に向けて,引き続き前向きに取り組んでいきたい。ただし,大学設置の公共用宅配ボックスについては,(自宅と異なり)学生が毎日来ているわけではないので,荷物納品の通知方法など,クリアしないといけない課題もあると感じている。

 

質疑(2)

 パナソニック社にお尋ねしたい。当初,あわら市で実証実験を行ったときの成果が8%ということで,今回もその程度を目指したい,とおっしゃっていたが,結果的に15%だった理由をどのように考えているか。対象が学生というところが原因か,あるいは,大きい荷物がなければ,目標を達成できたと考えるか,いかがか。

 

・高松BU長(パナソニック株式会社)

 一番大きな原因は,「大きさ」だと考えている。今回の実証実験では,アパートの複数戸を対象に宅配ボックスを設置するため,スペースの問題を考え,少し小さいハーフタイプを用意した。

 しかし,宅配物の大きさを考えると,今回新商品としてここにお持ちした「ミドルタイプ」くらいの大きさが必要だったと考える。できるだけスペースを取らずに,大きな荷物を受け取れるように,というところに,今後の開発課題があると考える。

 なお,大きな荷物を受け取れるようになれば,あわら市の結果と同じ8%程度まで再配達率は下る見込みである。

 

・大城学長(京都産業大学)

 11月から1月までという実験時期も,影響しているのではないか。学生にとって一番荷物(宅配便の受取り)が多いのは,4月と9月の新学期の始まるタイミング。年間を通じて,効率化が図れれば,もっと良い数字が出るのではないか。

 

質疑(3)

 今回設置した宅配ボックスについては,そのまま設置し続けるのか。

 

・パナソニック社

 アパートについては,そのまま設置していただく。大学については,現在,検討中であり,未定である。

 

質疑(4)

 宅配ボックスは,新築アパートを対象にするものか。既存のものでも設置できるのか。

 

・パナソニック社

 新築・既存どちらにも対応できるよう,オプション部品等を準備している。4月の新商品についても,新築はもちろん,既設のアパートに簡易設置できる部材も用意している。

 

質疑(5)

 ハーフタイプの宅配ボックスについては,4~6世帯につき2台程度が推奨との話だったが,今回「ミドルタイプ」が登場したことによって,推奨の設置パターンはどのようになるか。ハーフタイプとミドルタイプの混合もあり得るのか。

 

・パナソニック社

 ミドルタイプが置けるスペースがあれば,置いていただいたらどうかと思うが,現場の状況にもよる。現在は,ハーフタイプを壁に設置するということを推奨しているが,今回の実験結果を踏まえて,ミドルタイプをもっとしっかり置いてもらうということも考えなければいけない。

 

質疑(6)

 このプロジェクトは,これで終わりなのか。今後も,「最も効果的な取組のあり方」を考えて,このメンバーで継続して取り組むのか。

 

・門川市長(京都市)

 わたしどもは,10年近くにわたって物流や環境負荷の問題に取り組んできた。鉄道駅における宅配ロッカーの設置なども少しずつ増えているところであり,そういった新たな可能性についても探っていきたい。

 

・高松BU長(パナソニック株式会社) 

 産学公の取組は大事であり,また,幅広く,大きな取組ができると感じている。再配達抑制の問題を本当に解決していくためには,まだまだ取組が必要。各関係者と協力して,取り組んでいきたい。

 

・大城学長(京都産業大学)

 学生の生活スタイルが変わるにつれ,社会の方も変わっていく。こういった取組は,社会に学生の声を反映させるという点でも有意義。また,こういう機会があれば,ぜひ積極的に参加したい。

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