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門川市長記者懇談会(2017年5月10日)

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2023年4月12日

市長記者懇談会(2017年5月10日)

(新税の検討について)

記者

 本日の「京都市住みたい・訪れたいまちづくりに係る財源の在り方に関する第6回検討委員会」にて,宿泊税の導入に向けた話が出ていたが,それについて市長はどのように考えていますか?

 

市長

 検討委員会では,開かれた場で,前提条件をつけない議論をしていただいている。京都の観光と市民の皆様の暮らしが持続可能なものにするための,新たな財源の在り方について幅広い議論をされる中で,当面実現可能なのは宿泊税であるということにまとまりつつあると聞いています。

 観光が賑わい,まちは活気づいているが,それが京都市の税収には直接的に影響していません。しかし,京都の経済の活性化,関西で高水準の雇用が生まれていることには,観光の力が大きく関係していると思います。

 観光と市民生活を調和し発展していくためには,取り組まなければならない課題があります。京都の観光は,道路の整備,観光客の受入環境,伝統産業,あるいは国内外から高い評価を受けている文化,そして文化の担い手の質の高さ,こうしたものが根底にあると思います。また,景観,自然も重要であります。これらをしっかりと持続可能なものとし,100年後も京都が京都であり続けるために,必要な予算をしっかりと確保していかなければならないと思います。

 市民の皆様の意見もお聞きしたうえでの答申になると聞いていますので,答申を尊重し取り組んでいきたいと思います。

 その時に重要なことは,何のために新たな財源を必要とするのかということについて,市民,あるいは負担いただく方の御理解を得ることが重要であります。答申を受けて,より深い議論をし,そして実行に移していかなければならないと思います。

 

記者

 具体的には東京都,大阪府が宿泊税を導入されているが,一人当たり100円,1万円未満は非課税となっています。行政サービスを共有できるメリットを考えれば,すべてに対し宿泊税は必要である,また,民泊に対しても適用が必要ではないか等と,様々な議論がされているが,それらについてはどのように考えていますか?

 

市長 

 まず,修学旅行生を免除するという議論があるが,それは極めて妥当であると思います。そのうえで,基本的に行政サービスを受けられた方に負担していただこうと思います。現在は市民の皆様の税金で観光客の受入環境の整備をしています。

 検討委員会では,景観や自然を維持していくための費用を宿泊税として御負担をしていただこうと,議論を深めていただいています。贅沢税ではなく,例えば,観光客向けの公衆トイレなど,観光客の方を受け入れる環境を整備するために,広く観光客の皆様に負担していただくものであります。

 民泊についても,差をつけずに全員から負担していただく,また,価格の高いホテルに泊まられる方には,宿泊税も価格にあったものにする等,非常に適切な議論をしていただいていると思います。贅沢税ではないため,受益者の皆様に負担していただこうという主旨ではないかと私は理解しています。

 

 

 

記者 

 宿泊税は,宿泊施設の差も問わないのか。

 

市長

 宿泊施設は,旅館業法によって,ホテル,旅館,簡易宿所と定められています。宿泊施設と住宅の間である民泊については,新しい法制度の案が固まってきており,ホテル,旅館と簡易宿所,新しい法制度に基づく民泊,これらの全てを宿泊税の対象にするべきだという,宿泊施設関係団体の意見があったと聞いております。旅館業法に基づく旅館等は宿泊税の対象とするが,民泊は対象にしないということはしないでほしいという意見も出されていました。

 

記者

 その意見について市長はどう考えですか。

 

市長

 妥当であると思います。

 

記者

 違法なものも含めてどれだけの民泊があるか把握することが難しい現状で,全てを把握するためにどれくらいの費用が掛かりますか。

 

市長

 新たな民泊制度が法令化されれば,把握できるようになります。ネットで斡旋される民泊等の全ての把握が前提の法制度となります。しかし,把握できない違法な民泊に対して,地方自治体に調査権,営業停止を勧告することが出来るような法制度の設計を要望しております。

 極端な言い方になりますが,違法な状態で泊まっていても,負担しなければならない制度になるかもしれません。例を挙げると,建築基準法違反の建物であっても固定資産に対して課税を行う,これと同じことかと思います。

 民泊が新たな法令により適法化されることと,宿泊税をどの時点で,どのように具体化するかということは,平行して進めていくのではないかと思います。具体的に制度として設計していく時には,もっと精密な議論をしていかなくてはならないと思います。

 

 

 

記者

 宿泊税について,宿泊料金による免除等はせずに全ての宿泊者に対して課税する方向でお考えですか。

 

市長

 最終答申ではないが,金額による免除はしないということにまとまろうとしています。先ほども申しましたように,受入環境の整備を持続可能なものにするための負担の在り方について,議論をしていただいています。修学旅行生を除いて,全ての人に負担していただき,また,高い宿泊施設に泊まられた方には,価格に見合う負担をすることは,妥当な議論であると思います。

 

 

 

記者

 検討委員会からの答申が8月頃にあると聞いているが,その答申を受けてから条例を作りその周知期間があって,実際に徴収を始めるまでのスケジュール感というのはどのように考えていますか?

 

市長

 答申までに市民意見を聞くという場合と,答申を受けてから市民意見を聞くという場合があります。次に議会で議論をしていただき,議会で条例が可決されれば総務大臣と協議して同意を得ます。それから一定の周知期間を置き,その間に徴収義務者に説明をして準備をしていただくという流れになりますので,一定の時間を要します。

 急増するインバウンドと減少してきている日本人旅行者,また市民生活とを調和させるための取組が待ったなしだと思います。答申を受けたら議会とも相談しながら,短期間にできるようなものではないが,ゆっくり議論するのではなく,できる限り早く実行していくことが重要であると考えています。

 

 

 

記者

 いつまでにはというのはありますか?

 

市長

 そこまではまだ決まっていません。非常にコストも人手も必要ですが,できるだけ早く取り組んでまいります。

 昔,嵐山の地域の方とミーティングをした際に,アジア系の旅行者が増えており,神社などでお守りの札を勝手に持ち去られるなどの苦情が多くあると聞きました。日本では,ティッシュペーパーなど色々な物が無料で配布されており,これらも無料だと思われています。確かに中国語で有料とは書いておらず,お金を入れるところもあるが,日本語でしか書かかれていません。また,日本ではどこでも水道から水を飲めると観光業者が案内していますが,水を飲んではいけない場所でも,中国語では記載されていません。アジア系の旅行者はマナーが悪いと思われているが,これらの表示が徹底できていないところがあり,しっかりと周知すると落ち着いてきます。最近では漫画に注意書きを描いたらいいとも言われています。これらが徹底できれば,双方気持ちよくなりますし,しなければいけないことが多くあります。

 従前から来ていただいている日本人旅行者や住んでいる方々,施設の管理者などにとっても良い環境を作っていかなければなりません。

 

 

 

記者

 8月に答申いただいた後,総務省との協議もあるのであれば,徴収開始は早くて来年度以降ということになりますか?

 

市長

 来年度以降になります。可能な限り,早期に実現していくため,答申を受けたら体制を組んで進めたいと考えています。

 あと,別荘と駐車場。駐車場はなかなか難しいと思いますが,マンションや別荘などにおいて億ションというものが増加しており,事実上の空き家になっているということも引き続き検討ということで議論していただいています。

 

 

 

(祇園祭クラウドファンディングについて)

記者

 祇園祭のクラウドファンディングが一日余りで目標額を達成しましたが,市長はどのような所感を持っていますか?

 

市長

 私は,これは集まるだろうと思っていましたが,その通りになって良かったです。岸本理事長とは懇意にしています。新しい発想であり,目標額については慎重な設定であると感じておりました。毎年このように集めるためには,様々な工夫をし,継続し取り組んでいただくことが必要です。特別展であれば入場料がありますが,祇園祭は巡行や宵山を見るために,入場料を支払うことはありません。これはこれで良いことですが,今回については何らかの形で,みんなで負担し合いましょうという発想であり,これも良いと思います。

 祇園祭の全体の費用からすると一部ですが,新しい安心安全の取組,祇園祭を継続して実施していくための新しい方法であります。過去に,太秦萌をアニメにしようとした際,100万円を目標額に設定したところ,1,000万円集まりました。

 

記者

 京都の有形・無形の文化財の保護について,財源が厳しい状況にありますが,こういった方法は,有効であり,他にも広がっていくと思いますか?

 

市長

 そうですね。このようなことを実践し,そして負担していただいた方に返す。受益と負担とを共有していける一つの仕組みとして良いことであると思います。

 

 

(民泊新法について)

記者

 民泊新法が固まってきていると思いますが,新法に対する受け止め方と,独自のルールはどのように策定していくのですか?

 

市長

 政令指定都市の市長会,あるいは関西広域連合で色々と議論はありましたけれども,その地域の特性,また理念,こうしたものに基づいて,条例で独自の規制が出来ることを強力に要望してきました。ネット事業者に対する罰則規定があるかなどについては,これから国会審議も含めて,最後の法案が可決されるまでにより一層注意をして,その時々に他都市とも連携して要望していきたいと思っています。

 そこで,これは観光の基本法でも高らかに宣言されていますが,その地域の住民と観光客が共存して文化を共有していき,地域の振興を図ることが観光の基本であり,その基本法に基づく民泊新法でなければならないと考えています。

 具体的にいくつかありますが,京都市では,家主不在型の集合住宅での民泊は原則認めていません。しかし,管理組合がしっかりと機能している場合であれば別とも考えています。家主がいて,夏の間に海外からの短期留学生がそこに住み大学に通うというのが,本来の民泊であると考えており,それが最大の京都の独自性になるのではないかと考えています。

 

記者

 マンションなどの集合住宅での独自性というのは京都市単独で可能なものですか?

 

市長

 それらが可能になるような法律にしてもらう必要があると考えています。今回の法令のポイントは賃貸住宅や不動産関係の業界の方と旅館ホテル業界の方との利害関係の調整であるという解釈が広がっており,一部マスコミでは営業日数の制限でいかにそれを調整するのかといったように報道されていますが,問題の本質は別にあります。集合住宅での民泊を認めたら,その集合住宅の住居としての価値はどんどん下がってしまいます。今ある空き家を民泊にしたら良いという声もありますが,民泊にすることで夜中の出入りなどが頻繁になると定住者が去ってしまう可能性があり,人口減少に転じてしまいます。こうしたことはパリの観光地で起きています。

 また,集合住宅で民泊を認めると住居としての価値が下がるのであれば,一棟すべてを民泊にすればいいという意見がありますが,しっかりと旅館業法に基づく設備を備えた簡易宿所であれば365日営業いただけますが,民泊新法では180日しか営業ができません。一棟すべてを民泊にするくらいであれば,旅館業法の許可をとっていただいた方が宿泊施設の不足を解消するという民泊新法そもそもの趣旨に合致すると考えます。しかし,東京等では民泊というのはマンションの空き室のことを指しています。現に京都でも中古のマンションを買い,それを仲介業者に登録し,外国から宿泊客を大量に送り込み,利益を出している無許可営業が多く見られます。こうした違法状態の解消については警察とも連携して様々な取組を進めていますが,もっと毅然とした対応をしていかなければならないと考えています。

 

 

(ラグビー抽選会について)

記者

 ラグビー抽選会について,もともと大会の試合会場そのものに立候補した経過もあったと思いますが,最終的に抽選会が京都に来たのは,市長から団体や政治家,組織委員会に要望していたからですか?

 

市長

 はい。京都で抽選会を開催して欲しいということは,組織委員会にお願いしつづけてきました。抽選会は,ロンドン,アイルランド以外門外不出であったため,簡単ではないですし,水面下でなんとしても日本でかつ京都でとお願いしてきました。実際に昨日レセプションが行われ,本日は下鴨神社,迎賓館で行われます。迎賓館が使えるというのは夢のまた夢でありました。それらも含めて関係者の御理解,御英断に敬意を表したいです。

 

記者

 迎賓館というのは京都市からの提案だったのですか?

 

市長

 清水寺という提案もありましたが,組織委員会の方にも実際に御覧いただき,雨のことも含めて迎賓館が良いと双方の話し合いの中で決定されました。

 

記者

 試合の開催が京都でできなかったことから抽選会を行いたいというような交渉があったわけではないですか?

 

市長

 そういうわけではありません。レセプションの際,「どうして京都なのか」という質問があったと組織委員会の人が仰っていたが,「理屈なしで京都。それだけで通じた」とのことでした。ありがたい。「そうだ京都へ行こう,日本に京都があって良かった」と同じ答えだと思いました。

 英国発祥のラグビーは,非常に品格,文化などを重んじておられます。

2019年に日本で開催されるラグビーを盛り上げるには,多くの人に世界から来ていただけかつ情報発信をするという意味で,理屈なしに京都が最適であるということを仰っていただきました。

 

記者

 それは公式のあいさつの中ではなく委員会との雑談の中で直接出た話ですか?

 

市長

 雑談の中です。ロンドン,アイルランド以外で抽選会を実施するとなった時に,日本なら京都でやると多くの人からの合意があり,京都に絞っていただきました。ありがたいです。

 

 

(北朝鮮ミサイル発射時の交通局の対応(Jアラート)について)

記者

 北朝鮮情勢が緊迫する中で,弾道ミサイルが発射された場合,東京メトロでは列車を停止したという事案がありましたが,京都市交通局としての対応について具体的に何か指示を出されていますか?

 

市長

 国としっかりと連携して安心安全に最大限の努力をすることは当然のことであります。しかし過剰な対応というのも不適切ということで検討を進めてまいりました。そうした中で,昨日,国において,第一段階のミサイル発射情報と同時に避難を国民に呼びかける取扱変更の発表が出されたようですので,それに従って地下鉄も最寄駅で停めるということに致します。これは地下鉄だけではなく,市バスもそうした対応が必要になると思いますので,交通局において直ちに対応を確立する作業に入っています。

 

記者

 Jアラートが作動したら地下鉄は最寄りの駅に停めるということですが,その方針はいつ頃までに固めるのですか?

 

市長

 今日中にでも決めたいと思っています。地下鉄には近鉄と京阪が乗り入れしていますから,それを考慮する必要もありますので,国には何らかガイドラインを作っていただかないと対応が難しいと思います。そうなるとミサイルが発射される度に,日本中の都市機能が停止してしまうということも懸念されますが,まずは国に方針に基づいて対応し,同時に必要な意見も言っていきたいと思います。

 

 

記者

 その場合は防災危機管理室等に集まって判断するのか,又は市長の判断で対応するのか,どのように想定されていますか?

 

市長

 これも今検討させていますが,市長が指示するということを超えた対応にしなければならないと思っています。発射されれば国は様々な手段で避難を呼びかけることになりますが,それを交通局が受ければ直ちに対応することになると思います。

 

 

(大学新増設の抑制について)

記者

 今政府において検討されている,地方大学の振興のために,都内の大学の新増設を抑制してはどうかという話しがあると思いますが,それについては大学のまち京都の市長としてどのようにお考えですか?

 

市長

 都内の大学の規模拡大を認めないというのは極めて妥当な判断だと思います。その前に,国において,これまで大規模な大学に20%まで定員超過を認めていたのを10%まで段階的に厳格化されることになりました。この問題で難しいのは,定員を超える人数に合格通知を出しても,国立大学等に合格をした人が逃げていき,結果として10%を超えることもあれば,定員割れになる可能性もあるということで,京都の大学も定員管理の厳格化については非常に危機感を持たれていました。ただ,正直越えていかなければならないことかなと思っていました。

 首都圏の大学に対する一極集中が進んでいるということで,都心への過剰な集中はよくないと思いますので,都内の大学の新増設を抑制することは妥当なことだと思います。

 今,京都の平安女学院の山岡理事長が小規模大学連合を立ち上げようと取り組まれておられます。国や全国の自治体は中小企業が大事だと言っているが,大学だけは大規模が中心になっている。小規模の個性ある大学が,建学の精神を大事にして,地域に根差して役割を果たしていくのが難しい時代に継承されていくことは非常に大事だと思います。

 例えば,京都美術工芸大学は,新たに様々な伝統産業とのマッチングもやっていこうということで,定員増の申請をされています。このように個性ある大学の理念や実績等がしっかりと認められていくように考えないといけないと思います。

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