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共同記者会見(2017年2月8日)

ページ番号214700

2023年4月12日

ロックフェラー財団「100のレジリエント・シティ」プロジェクト アジェンダセッティング(課題設定)・ワークショップにおける共同記者会見

 京都市は,アメリカの慈善事業団体であるロックフェラー財団(以下「財団」という。)により創設された「100のレジリエント・シティ」(以下「100RC」という。)プロジェクトに参加する世界100都市の1つとして,昨年5月に選定されたところです。

 この度,財団との協働による初めての取組として,市民をはじめ関係者の皆様にプロジェクトの趣旨について御理解いただくとともに,京都市が災害や混乱に強いレジリエントな都市となるために克服すべき課題(自然災害等の急性的な危機や,人口減少をはじめとする慢性的な脅威)や実行すべき取組等について御意見をいただくことを目的とするアジェンダセッティング(課題設定)・ワークショップを開催します。

 それに合わせて,今後の取組等について市長及び100RCチームから御説明いたします。

開催日

平成29年2月8日水曜日 午前10時から10時30分

場 所

国立京都国際会館 Room 103

市長からの説明

 100のレジリエント・シティに応募して良かったと実感しております。市役所の中でも,応募すること自体に議論がありました。先ほども申し上げましたが,京都は世界の文化都市を目指し,また,歴史都市,観光都市でもあります。そして今日本中が地方創生の大きな課題を掲げているときに,モデルとなる取組を世界標準でやっていくべきだとの決意のもとに挑戦し,10倍の競争率の中,選定されて喜んでおります。

 本日のアジェンダセッティング・ワークショップは,本市とロックフェラー財団によって創設された100のレジリエント・シティ(以下「100RC」という。)との最初の協働の取組であります。本市の喫緊の課題でもあります自然災害や危機事象等の分野でお世話になっております京都市の防災会議,国民保護協議会,また,物資の供給,帰宅困難者支援,災害復旧など,本市と災害時応援協定を締結していただいている多くの団体の皆様,さらに,中長期的な課題である人口減少や高齢化等の課題に共に尽力いただいている団体の皆様など,分野を超えた125名の皆様,そして京都市の職員,100RCの関係者の皆様と共に開催しております。これほど多くの関係団体のトップ,リーダーが一堂に会して意見を出し合うワークショップという経験は,京都市でも類を見ないものでございます。

 この間,全国で地震が多発し,また,局地的な豪雨等による自然災害も多くございます。また,人口減少社会・超高齢化といった課題への挑戦も重要であります。本日御参加いただいた関係者の皆様との活発な議論による御意見を活かしながら,京都市の強み,弱みをしっかりと分析し,世界の選定都市と相互に連携し,また,100RCチームの皆様ともさらに緊密に連携を図り,世界の京都として世界最高水準の危機事象等への対応を,スピーディに取り組んでいきたいと決意を新たにしております。また,自然災害だけでなく,世界ではテロやサイバー攻撃といった安心安全を脅かす事象が頻発していますが,そういうことに対しても世界最高水準の対応ができる都市となるよう努力してまいりたいと思っております。

 今後の取組,展望でございますが,このワークショップの後,まず今年4月に京都市におけるレジリエント・シティ推進の取組を先導するCRO(レジリエンス統括監)を設置し,同時に専属スタッフによる専任体制を整備します。加えて,局区長等による全庁体制としてレジリエンス推進本部を設置し,また,幅広い関係者と共にレジリエンス運営委員会を設置し,取組の推進体制を整備します。そして,本日のワークショップの結果も踏まえまして,京都市が克服すべき課題の洗い出し,その解決に向けた取組等につきまして徹底した議論を行い,100RCチームとも連携しながら,平成29年度中にレジリエント・シティ構築への取組指針となります「京都市レジリエンス戦略」を策定し,実行へと移していきます。

 CROの任期は2年,つまり前半の1年で戦略を策定しきる,そして後半の1年で戦略の実行を軌道に乗せる,これがこのプロジェクトにおいて当初から想定されていることであります。100RCによる様々な支援を活用しながら,京都ならではのこれまで積み上げてきた取組,理念,ノウハウ,また,京都の千年を超える都市の理念,市民の暮らしの美学,そうしたものを大切にしながら,いっそう磨きをかけ,世界と連携しながら世界最高水準の取組を推進してまいります。そして千年の都,京都から,レジリエンスについて京都モデルを構築し,世界に発信していくことも目指していきます。

 

ローレン・ソーキン氏(100RCアジア太平洋地域ディレクター)による説明

 ただいま,市長より非常に正確に,この100RCについて説明いただきました。門川市長ありがとうございます。

 今,皆様お聞きになられたとおり,京都市は素晴らしいビジョンをお持ちです。また,日本を代表する観光都市であり,学術都市でもあり,先端技術産業が存在するなど,この京都というまちはスタートラインからすでに非常に強固な基盤を持っておられます。京都市のような非常に強固で,また強いリーダーシップを発揮いただける都市に参加していただけたことを,とてもうれしく思います。やはりリーダーシップなしに,また政治的なビジョンなしにレジリエンス戦略を実行していくことは困難だと考えております。

 100RCは,2013年にロックフェラー財団が設立いたしました。その時の理念は,発展途上国,あるいは先進国といった立場に関わらず,社会的,経済的,そして環境的に   21世紀に我々人類が直面する困難,課題に立ち向かうためのツールを提供しようというものであります。これによって,世界のどのまちでもレジリエントなまちとなることができると考えております。

 このレジリエンスの定義を今一度,私なりに申し上げたいと思います。門川市長もおっしゃられたように,本日のアジェンダセッティグ・ワークショップに多くの方々に参加いただいたということ自体に,このプログラムのオープンな対話により取組を進めるという姿勢を見て取っていただけると思います。レジリエンスとは,能力であります。個人の能力,災害に対する様々な対応力を保つための能力,それは地域の能力でもあり,制度,機関の能力でもあり,また,空間的なまちの中に組み込まれたシステムの能力でもあります。この能力をどんどん高めることで,様々なショックやストレスを乗り越えて,都市のレジリエンスを更に高めることができるはずです。ショックとストレスの間にも相互作用があるはずであり,これらの課題をチャンスへと変えていく時に,人,あるいは地域,制度といったものがさらに能力を高めることができると信じています。本日のアジェンダセッティグ・ワークショップは,市民,コミュニティ,企業等の様々な皆様の声を聴く場であります。そうすることで私達はさらに成長できると考えています。

 このレジリエンスをさらに高めていくために,我々は4つのツールを都市に提供させていただきます。

 まず1つ目は,京都市がCRO(レジリエンス統括監)を任命するためのサポートです。CROは,直接市長に報告をする立場で,責任を持ってすべての部局を横断的に,また,地域的にもすべての地域コミュニティを統括して,どのようにその中にショックがあり,ストレスがあるかを観察し,対応する中心となる方です。

 2つ目は,レジリエンス戦略の策定に関するサポートです。CRO,そして専任体制が発足いたしますと,初年度は戦略を策定し,次年度はその実行を軌道に乗せることになります。

 3つ目は,都市側において無料で使っていただけるプラットフォーム・パートナーのネットワークサービスの提供です。これは民間企業,学会,公的部門等が持つ様々なリソース(資源)であります。現在,USドル金額に換算して,2億ドル相当のサービスがあり,プラットフォーム・パートナーから提供を確約してもらっています。京都市側で,レジリエンスの推進にこれが必要だ,あるいはここで調査が必要だ,などの状況が生じた時に,それに対応するリソースがあるということです。今申し上げたネットワークから無償で提供させていただきます。

 そして4つ目ですが,100RC加盟都市間のネットワークです。レジリエンス戦略を  CROが実行していく際に,やはりネットワークが鍵となります。CROには,現在50名以上いる世界中のCROによるネットワークにお入りいただくことができます。市長も,他の99都市の市長の皆様と直接連絡を取ることができるようになります。例えば,京都市での素晴らしい取組があれば,他都市のCRO,あるいは市長にお伝えしていただく,逆もあります。最高の実践を,このネットワークを通じて効率良く共有し,さらに高めていくことができます。文化保存,観光,高齢化に対する諸策等,ある都市で非常に優れた取組があれば,それを共有し,そのまま学習していただくということが可能となります。さきほどのプラットフォーム・パートナーのネットワークの活用も含めて,最終的には,世界標準での取組の実践を共有していただけることとなります。

 最後に,改めて門川市長に,また京都市チームの皆様にお礼を申し上げたいと思います。この100RCに加盟していただくということは,非常に大きなチャレンジであります。  これまでの方法を踏襲することは簡単です。しかし,それでは世界が開けません。これまでとは違った方法と他の都市との協働によって,未来への大きな飛躍が待っていると思います。そして,世界中に京都モデルを発信していただけることにも期待しております。

 

質疑

【記者】

 京都市が100RCに加わることについて,ロックフェラー財団としてどういう意義を感じていますか。

【ローレン・ソーキン氏】

 京都市は,常に伝統と現在を融合させ,今の目標を現在の問題解決だけにとどめず,将来を見据えて取組を進めてこられた革新的な都市であると敬意を表しております。

 そして,市長と今朝,話をさせていただいたのですが,歴史都市,観光都市としてリーダーシップを発揮されている。また,環境保全では京都は名立たる成果を挙げられておられます。今だけでなく,常に将来を見据えたビジョンをお持ちであり,まさにロックフェラー財団が持つ,そして我々がレジリエンスと唱える概念と一致しております。

 今の我々には,問題を一つ一つ解決していく時間はなく,またそれだけのリソースもありません。いくつかの問題があっても,一つのやり方でそれぞれに結果が出るようなやり方が必要です。それが我々の唱えるレジリエンスの枠組みです。京都市から,どういったアプローチが可能かということを,世界に示していただきたいと思っています。そして,歩みをとめず,常に上のレベル,世界最高の水準を目指しておられるその姿勢も併せて,全体的なアプローチ,価値観というものを,100RCのネットワークにもたらしていただけるものと信じています。

 

【記者】

 門川市長にお伺いしたいのですが,4月に設置するCRO(レジリエンス統括監)について,登用や権限など市長が今お持ちの具体的イメージがあれば教えてください。

【門川市長】

 CROの登用は,一番大事な要となる行為でありますので,100RCとも相談させていただき,前提条件を付けずに白紙の状態でこれから議論し,決断していきたいと思っております。

 

【記者】

 ローレン・ソーキンさんに質問ですが,世界100都市というのは,もうこれが上限でこれ以上増えることはないのですか,そしてなぜ世界100都市なのですか。

【ローレン・ソーキン氏】

 なぜ100都市かということですが,ロックフェラー財団100周年を記念してプログラムを発足させましたので,100周年から100都市ということです。また,そこには別のより深い意味もあります。世界の都市の数は約1万です。そこで,まず1パーセントとなる100都市をパイロットシティとして,これまでとは違う方法を試みて,その中で何か良いツール,あるいはアプローチが見つかれば,それを世界中に広めることができるのではないかと考えました。

 これ以上増やす予定があるかという質問ですが,あります。ただ,アメリカのダコタやオーストラリアのビクトリア州のまちなど,我々のこのレジリエンスの枠組みが非常に素晴らしいということで,我々のサポートなしに独自に同様の取組をしているところがすでにあります。直接我々がサポートするのは現在100都市ですが,こういった独自での取組はさらに広まっていくと思います。

【門川市長】

 私どもも,政府,また政令指定都市ともしっかりと連携をして,京都の取組が全国のレジリエンスに役立つモデルとなるように,情報公開も含めて取り組みたいと思っております。

 

【記者】

 ローレン・ソーキンさんにお伺いします。先ほどプラットフォーム・パートナーによる  2億ドル分のサービスがあるとのことでしたが,京都市への直接的な財政支援は今後予定しているのでしょうか。あるとすればそのタイミングは。

【ローレン・ソーキン氏】

 先ほど申し上げたとおり,都市に無償で使っていただける我々の持つプラットフォーム・パートナーのネットワークサービスが2億ドル相当の価値があるということです。これ以外については,各都市側で調達,あるいは手当てしていただくことになります。我々ロックフェラー財団は,直接融資団体ではありません。我々が最初に投資させていただくのは,世界のレジリエンスのための投資として,CROに係る資金(人件費等)及び戦略策定のための経費(現物支給)のみです。CROは制度として後年度まで残りますし,戦略も都市自らのものとして将来的に生きていくものと捉えて初期投資させていただきます。それ以降は考えておりません。

 

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