門川市長年頭記者会見(2017年1月4日)
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2023年4月12日
市長記者会見(2017年1月4日)
年頭の抱負
新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞ,よろしくお願いします。
穏やかな新年があけました。この年をすばらしい未来へ,明るい京都へつなげていきたいと決意を新たにいたしております。
昨年は,京都が文化で彩られた一年でございました。
1月は文化の殿堂ロームシアター京都のリニューアルオープン,さらに,京都鉄道博物館,漢字ミュージアムのオープン,伊藤若冲生誕300年,文化都市京都の誇りである京都市交響楽団60周年や京都国際マンガミュージアム10周年を迎えました。リオ・デ・ジャネイロでのオリンピック・パラリンピックが終わり,いよいよ東京オリンピック・パラリンピックに向けて動き出しました。京都市では,文部科学省と連携しまして,スポーツ文化ワールドフォーラムのキックオフを,京都で開催させていただきました。フォーラムの一環として,初めて世界遺産二条城の国宝二の丸御殿を舞台に,約400年前,後水尾天皇の二条城行幸の際に行われた催しを再現した文化イベントを行いましたが,大成功のうちに終わりました。そして,文化庁の京都への全面的な移転が決定した年でありました。オール京都で,さらに,関西全体の御支援をいただきながら取り組んできた成果であります。政府をはじめとして,京都選出の国会議員の皆様,多くの方々の御尽力,御英断に敬意を表し,感謝すると同時に,京都の責任の重さを実感いたしております。文化で日本中を元気にする,そして,文化で日本の地方創生をけん引していく覚悟を決めました。新年を迎えるに当たりまして,オール京都の取組をしっかりと推進していきたいと決意を新たにしております。
私は,昨年2月に,多くの市民の皆様の御支援によって,引き続き,市長の職を務めさせていただくことになりました。「暮らしに安心」,「豊かさ実感」,「未来に責任」を柱に,133の公約を市民の皆様にお約束しました。この133項目の全てを,「はばたけ未来へ!京プラン」実施計画・第2ステージの全307事業に盛り込みましたが,初年度で,その9割を大きく超えて着手することができました。厳しい財政状況の下ではありますが,徹底して行財政改革を推進し,財源の確保等に苦心しながらも職員一丸となって,市民,事業者の皆様の御理解の元に着実に前進させていただこうと思っています。同時に,これから,更なる政策の融合を図っていくとともに,京都ならではの地域力,市民力,何よりも文化力を活かした取組に邁進してまいります。また,議会と連携を深め,府市協調の下,国の政策ともしっかりと融合した取組を進めてまいりたいと思っています。
年頭に当たりまして,特に重点を置きたいこと3点を,申し上げたいと思います。
1点目は,京都が先頭に立って,文化の力で日本中を元気にする取組を推進してまいります。文化庁の京都への全面的移転に向けたスタートの年でもあります。4月には,東山区の京都市の上下水道局の営業所跡地に,地域文化創生本部が立ち上がります。文化と経済,文化とものづくり・伝統産業,文化と観光,また,京都が大切にしてきました衣食住,生活文化や地域コミュニティ,さらに,自然との共生,福祉,子育て支援,教育,大学,健康長寿の取組,あらゆる京都市の政策を今一度点検し,文化としっかりつなぎ,融合させてまいります。そして,日本を元気にしていくモデルとなる京都のまちづくりを推進していきたいと考えています。本年2月から11月にかけまして,「東アジア文化都市」を京都で開催します。市民そして文化団体の皆様としっかりと連携して進めてまいります。「東アジア文化都市」は文化庁の事業でもあります。4年前,中国と韓国との関係が非常に厳しかった時に,当時の近藤文化庁長官が,EUが進める「文化首都」という取組をモデルにして,東アジアの文化交流を深めて,平和を築いていこうと始められました。ありがたいことに,今年は,東アジアに加えまして,アセアンも加わった取組になります。政治や経済の面では,国と国との関係がなかなか難しい時代になっております。そのような時に,京都が東アジアの各国,各都市と文化で交流を深めることができることはありがたいことであります。東京オリンピック・パラリンピックに向けた文化プログラム,そして,文化庁の京都への全面的移転に向けた準備作業が始まります。そこに,文化庁との共催事業である「東アジア文化都市」が一年かけて行われます。こうした時に,文化という京都の一番の強みを活かした取組を市民ぐるみで推進していきたいと思います。
2点目は,経済の活性化と安定した雇用の創出であります。景気は,京都においても,全体として回復基調にあります。私が市長に就任した直後に,リーマンショックで有効求人倍率は0.48倍まで下がりました。現在は,1.3倍前後を維持しておりますが,厳しい現実も出てきております。中小企業の人手不足,人材確保が困難になっております。つい数年前では,失業対策を一生懸命やってきましたが,まったく逆の現象となっております。引き続き,就労・経営・金融,この3点にプラスしまして,文化でもって,中小企業を元気にする取組を進めてまいります。文化,観光,そして,ソーシャルイノベーション等と中小企業をつなげまして,新たな第二創業に向けた取組を支援してまいりたいと考えております。
3点目は,福祉,教育,子育て支援,防災,減災,安心安全のまちづくりをしっかりと進めます。とりわけ,私は,今年を,市民ぐるみで子どもを育む新たなスタートの年にしたいと考えております。今年の4月,「子ども若者はぐくみ局」を創設します。一年かけて,侃々諤々の議論を深めてまいりましたが,区役所には,「子どもはぐくみ室」を設置します。これは単なる役所の組織改革ではございません。平成19年2月に市民ぐるみで「京都はぐくみ憲章(子どもを共に育む京都市民憲章)」を創り,その実践を積み重ねてきました。市会で条例化もしていただいております。子どもを地域,社会の宝としてみんなで育んでいく,この京都に根付く文化を「はぐくみ文化」と位置付け,市民の皆様,御家庭,そして,行政が一丸となって,さらに一層,子どもが育ちやすい京都を作っていきたいと考えています。子どもを育むことで,お年寄りも元気になられる,地域のコミュニティも育まれていく,そのような取組を進めていきたいと思っています。
今年は,二条城で大政奉還が行われて150年に当たります。近代国家への発展に貢献した大政奉還ですが,今,歴史的な評価が高まっています。この大きな歴史の節目から150年。歴史の節目は,新たな歴史が始まる時でもあります。100年後,1000年後も,京都がすばらしい京都であり続けるために,市民の皆様と一丸となって,京都が1000年を超えて大事にしてきたまちづくりの基本となる,平安,平和,平等,安心・安全,そうしたものを大切にした取組を進めてまいりたいと決意を新たにしています。
京都議定書誕生20周年記念 地球環境京都会議(KYOTO+20)(仮称)の開催について
今年は,京都議定書誕生20周年の節目の年でもあります。20年前,人類史上初めて,地球温暖化対策についての世界的な約束事「京都議定書」が宝ヶ池の国際会議場で制定されました。そして,それが,全人類が参加する約束事「パリ協定」へと大きく発展しました。奇しくも,来年のパリ・京都姉妹都市(友情盟約締結)提携60周年を記念する様々な取組の準備をスタートさせる年でもあります。
京都市にとってパリは一番最初の姉妹都市であります。パリにとって京都は,双子都市と言われるローマの次に古い姉妹都市であります。
昨年3月に,イダルゴ パリ市長に京都市役所を訪問いただきました。姉妹都市提携50周年のときにパリを訪ねた際は,当時第1副市長であられましたがそれ以来の再会でした。歴史遺産や文化芸術など両市には多くの共通点があり,環境問題でも同じ価値観を持って連携を深めたいと意気投合いたしました。
そのあと,イダルゴ市長が,市会議場で,「テロに屈しない」,「気候変動に対して戦う」と歴史的なスピーチをされました。私も京都議定書誕生の地の市長として決意を新たにしたところであります。
私は,現在,世界1,500以上の都市が参加する国連の公式協議機関,イクレイの東アジア地域理事会の議長を務めさせていただいております。地球規模での温暖化対策に対して,国家間の連携も大事でありますが,都市間連携も大事だと思っております。現在,都市に住む人口が全人類の5割を超えました。20~30年後には6割,7割になるとも言われています。
都市が最も地球環境に負荷をかけている。それを都市間連携によって取組を進めていく。やがて,その取組が国家の対立を超えて実を結んでいくと私は感じています。そうした意味でも京都が牽引的な役割を果たしていきたいと思っております。
京都では,「環境にやさしいライフスタイル」への転換,「歩くまち・京都,公共交通優先の取組」,「マイバッグでの買物」,不要になった天ぷら油を回収して,ごみ収集車や市バスの燃料として利用するなど,世界のモデルとなる取組を進めてまいりました。産学公連携によるイノベーションも起こしてきました。今年は,「まちの美化市民総行動」20周年の記念すべき年でもあります。
温室効果ガスの排出量につきましては,京都市は2030年度までに1990年度に比べて40パーセント削減という,国よりはるかに高い厳しい目標を設定し,市民,事業者と一体となって,推進してきました。その結果,エネルギー消費量は20パーセント削減という着実な結果を今日までに出してきました。
しかし,東日本大震災,福島第一原発事故以来,原発依存から火力発電に大きく依存することとなったために,市域の温室効果ガス排出量は,1990年度と同水準にとどまっております。目標設定を定めたときと前提条件が大きく変わっていますので,目標を変えるべきだという議論もありますけども,あえて目標を変えないで,厳しい目標ですけどみんなで挑戦していこうということで,省エネ,創エネ,産学公連携によるイノベーションの推進などに取り組んでいるところです。
さて,京都議定書誕生20周年を迎えるに当たりまして,人類共通の約束事である京都議定書の意義や,議定書誕生以降,都市をはじめとした世界が取り組んできた取組の成果と課題,また,対策の更なる推進に向けた決意などを共有するとともに,国際的な都市間連携の強化により,地球規模での温暖化対策の深化を促進することが必要であると考えております。
こうしたことから,パリ市やイクレイはもとより,環境省,京都府,商工会議所等とも連携し,「地球環境京都会議~キョウト プラス トゥエンティ」を開催します。
会議は,本年12月10日,京都議定書が誕生したCOP3の会場であった国立京都国際会館で開催します。市民の皆様を含めて1,000人規模の会議になる予定でございます。なお,京都議定書は12月11日に採択されております。
COP3の時も,「今回も合意は難しいだろう」という諦めムードもあったようですが,会議を1日延長されて,未明に大きな拍手が起こった。感動的な場面だったと聞いております。参加者の一人がこういう言葉を残しておられます。「なぜ合意が成立したか。これは,京都という地が,また,あの国際会議場の場所が,千年を超えて自然と都市の営み,人々の暮らし,これが見事に調和していた。そのことをみんなが実感しながら会議に臨めた。だから成立した。」上手に褒めていただいたと感じました。
会議のテーマは,「気候変動への更なる挑戦~京都議定書からパリ協定へ~」を予定しております。
会議の最後に予定しております全体会議では,議論を総括するとともに,京都議定書が全人類の参加によるパリ協定へと大きく発展したことを踏まえ,地球温暖化対策を更に推進していくための人類が共有すべき理念や決意等を表明する,「京都宣言」を発信いたします。
なお,招聘を予定している自治体は,パリ市のほか,先進的な取組を進めておられる海外10都市程度を含む国内外の自治体を想定しております。
さらに,関連事業として,NPOや民間企業と連携した市民シンポジウム等も開催する予定であります。本市の他のイベントとも関連付けた取組を進めてまいります。
来年度予算として京都市会に提案し,承認をいただいたうえで,4月以降,関連事業を開催してまいります。詳細につきましては,随時お知らせします。
なお,京都市出身で,女優そしてフィギュアスケート選手でもある本田望結さんに,昨年から環境にやさしい取組をPRしておりますが,この京都議定書誕生20周年についてもPRいただきたいと思っています。
この20年を振り返り,京都議定書が果たした役割を再認識し,誕生の地として様々な取組を進め,未来を開いてまいります。
質疑応答
報告案件に関する質疑
(京都宣言について)
記者
今までの環境関連の宣言と今回の京都宣言との違いは。
市長
制定からの20年を振り返ると前進した点もあれば後退した点もあります。また,「これを成功させなければ人類の未来がない」と覚悟を決めて,全人類が参加するパリ協定が成立しましたが,各国の取組に委ねられているといった課題もあります。こうした前進後退,課題がある中で,今一度,温暖化に対する人類初の約束事「京都議定書」の意義を踏まえ,取組を進めていかなければなりません。
取組を進めるうえで,国家間においては明確な方針が出せないこともありますので,都市が未来のために挑戦をして成功事例をつくっていく。それを世界規模で都市間連携したときに前進できる。私がCOP15に参加した時,アメリカは京都議定書に参加されていませんでしたが,アメリカの州や都市においては主体的に様々な取組をされていました。あらためて,国家と都市は別だと実感しました。
したがって,国家の代表が集まるのではなく,都市の代表やNPOなどが集まって取組を深化させていく。そうしたことを掲げる宣言にしたいと思っています。
記者
数値目標などは設けられるのか。
市長
独自の数値目標をつくる場ではないと思っています。
(会議における課題について)
記者
京都宣言を採択するうえでの課題は。
市長
京都議定書が採択された12月11日の前日という非常に意義のある開催日だと思っています。可能な限り多くの先進的な取組をされている都市の参加をお願いしたいと思っております。
また,環境問題について,外国では日本は遅れているような印象を持たれています。経済規模や生活環境等の面で日本は先進的な環境政策を実施していますが,世界の場においては,そうした日本の姿がまったく知られていません。人類史上初の温暖化に関する国際的な約束である京都議定書。これが世界の環境政策に大きな役割を果たしています。その意義を再認識して,しっかりと京都,日本の役割を国内外に発信していくということが大事だと思っています。
(数値目標について)
記者
パリ協定が発効して世界の動きが加速している中で,日本の目標について批判もある中で,京都が更に高い目標を掲げるという考えはあるか。
市長
2030年までに40%削減という当面の高い目標,国よりもはるかに高い目標を,まずは確実にやっていく。同時にパリ協定にございますように,地球環境に負荷をかけない都市経営をやっていく。こうしたことにしっかりとまい進していかなければならないと思っています。
記者
数値目標を高く掲げることで,京都が率先して取り組むといった姿勢を示すことになると思うが,今は現状維持という認識でよいか。
市長
議会でも議論いただきながら取り組んでおりますので,市長が思いつきで言うのではなく,12月10日に向けて議論を深めてまいります。40%削減するというのは,数字を見ると想像を絶するぐらい高い目標であり,これをあえて修正せずにやっていこうということです。京都市が条例で一番高い目標を,一番に掲げて,国内で取り組んできました。そうした実績は識者にも知っていただいていますので,このことをしっかりアピールしながら次の目標に進んでまいります。
記者
0.2%削減という現在の実績においては,実現性を考慮して目標を下げる必要があるのではないかという議論もあると思うがいかがか。
市長
目標は下げません。これは議会も含めて合意しているものであります。下げない理由としては3点あります。1点目は徹底した省エネです。省エネの取組が大きな成果を上げてきております。2点目は創エネです。創エネによる再生可能エネルギーの生産を2020年度までに3倍にする目標を掲げています。京都には,創エネに必要な潮力や風力,地熱がなく,地理的には難しいのですが,皆様の御協力により,すでに1.5倍を達成しています。最後の3点目は,画期的なイノベーションです。京都の大学や先端企業と様々な取組を共有しながら,新しい製品開発を行っております。シリコンカーバイドが量産体制に入りますと,原発10基分ぐらいのエネルギー生産量になると評価されています。この取組は,文部科学省の補助金により,京都市の産業技術研究所等が取り組んできたものです。こういった様々な取組を加速化していくことが大事だと思っています。
報告案件以外に関する質疑
(経済政策について)
記者
中小企業の活性化と安定した雇用の創出を推進するための具体的な取組は。
市長
昨年,「中小企業未来力会議」を立ち上げました。従前の審議会で議論し答申をいただくという形ではなく,中小企業団体中央会の役員,経済団体のリーダーの方々に加えまして,若手の中堅のリーダー,そして,先端産業から伝統産業,観光を含めたサービス業の方々が中核となって,侃々諤々の議論を行っていただきました。
私も参加させていただきましたが,すばらしい異業種交流の場でした。会議への参加を通して,京都の中小企業に素晴らしい人がおられる,人の宝庫だと思いました。普段は各々,それぞれの会社,業界の中で活動しておられますので,皆様が一緒になって議論していただくことで,アイデアが融合し,新たなソフト面でのイノベーションを起こしていくことができると考えています。
京都市では,このような新たなイノベーションに向けて,スピード感を持って,支援していく。また,みんなごとのまちづくりとも連携しながら,できるところからやっていきたいと考えています。
京都市では,これまで,金融の支援,経営診断,人的な支援,就労の問題の支援等を行ってきました。行政と個々の企業という関係ではなく,企業,業界団体がそれぞれの力を出し合って融合していくことによって,新たな展開ができると感じています。それに対するしっかりとした支援策をその都度作っていきたいと考えています。
また,観光のインバウンドをうまく取り入れているところと,取り入れられていないところがあります。成功事例を共有することによって,一歩を踏み出される事業者もあります。京都の中小企業の場合は,伝統を守る,老舗の暖簾を守ることに誠実に努力されていますが,どんどん踏み出していくことに躊躇されているところもございます。そうした場合に,京都市が触媒の役割を果たすことが大事であると実感しています。
(北陸新幹線について)
記者
今年度中に決定される北陸新幹線の京都駅と新大阪駅間のルートについてはどのルートが望ましいと考えるか。
市長
新たに,巨額の投資をされて,新幹線を引かれるわけでありますから,危機管理等の面から言っても,今の京都・新大阪間と違うルートを通すことが良いと思います。その時に,京都府が主張される,南回りルートに加えまして,そこに新たな駅を作るということが,非常に良い案だと思っています。このルート決定に係る動きは,知事と政府で行われていますが,しっかりと連携していきたいと思っています。
記者
市長は南回りルートを支持するという認識でよいか。
市長
はい。
記者
積極的な働きかけを行っていくという考えはあるか。
市長
私どもに意見表明等の機会はございませんが,知事がしっかりと覚悟を決めて取り組んでおられることに理解を示し,知事とも常々お話ししています。オール京都が一枚岩になっていることが大事であると思っています。
お問い合わせ先
京都市 総合企画局市長公室広報担当
電話:075-222-3094
ファックス:075-213-0286