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門川市長定例記者会見(2016年10月25日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2016年10月25日)

「東アジア文化都市2017京都」の実施について

 本日は,来年2月から11月にかけまして,中国の長沙市と韓国の大邱広域市とともに開催します「東アジア文化都市2017京都」の事業概要がまとまりましたので,御報告させていただきます。

 「東アジア文化都市」は,日中韓文化大臣会合での合意に基づきまして,日本,中国,韓国の3箇国において,文化都市の交流を深めていこうと,平成26年から開始されました。 国のレベルでは,政治的に困難な課題もございますが,国が先頭に立つのではなく,文化を通じて,文化都市間,市民間の交流を深めていこう,そして,日中韓,さらに東アジアの発展,平和に貢献していこうという趣旨でございます。

 ときあたかも,文化庁の京都への全面的な移転の方針が決定されました。この事業は文部科学省,文化庁の事業であると同時に,来年は,京都に「地域文化創生本部」が設置され,先行実施の取組がスタートします。ちょうど,二つの取組が重なる非常によいタイミングになると思っています。

 京都市では,「東アジア文化都市」の開催により,中国,韓国,さらにはASEAN地域との交流も含めて,東アジアの多様な文化との交流を通じまして,京都の文化力に磨きをかけ,また,市民ぐるみで,京都はもとより,文化による全国の地域活性化や魅力を一層高める取組を進めてまいります。

 また,東アジア全体で考えますと,2018年に韓国のピョンチャン(冬季),そして2020年には東京(夏季),2022年には北京(冬季)でオリンピック・パラリンピックが開催されるなど,世界が東アジアに注目しています。オリンピック・パラリンピックはスポーツの行事であると同時に,文化行事でもあります。こうした中,「東アジア文化都市」が契機となり,日中韓3都市の枠組みを超えまして,東アジア全体の相互理解・連帯感の形成が促進されると確信しております。

 環境問題では,京都市長が議長を務めるイクレイを通じても,日中韓,モンゴル,台湾などと連携して取り組んでおります。そうした取組を含めて進めていきたいと考えております。そして,何よりも文化庁の方々との強力な連携を図っていきたいと思っています。

 資料の1ページを御覧ください。

 まず,来年2月を皮切りに,ロームシアター京都や二条城をはじめ,市内各所において,「東アジアが鼓動する」をメインテーマに,市民ぐるみで,多彩な文化事業を展開していきます。

 そのテーマに基づきまして,5つのねらいを掲げさせていただいています。

 1つ目は,ロームシアター京都や京都芸術センターなどを拠点に,東アジアの都市とアーティストの相互交流を促進し,東アジアをはじめ世界からアーティスト等が集うプラット フォームを形成していきます。そして,この文化交流を全国につなげていくことで,日本を文化で元気にし,東アジアの平和的な発展に貢献していきます。

 2つ目は,日本人が大事にしてきた美意識や価値観,生き方の哲学,暮らしの美学,精神的な豊かさなど,日本のこころのふるさとである京都の生活文化の魅力を市民の皆様一人一人が再発見できる取組にしたいと考えています。さらに,文化イベントや交流事業等を通じまして,東アジアをはじめ,世界に向けて伝えていくことにより,平和,環境,共生社会の推進につなげてまいります。

 3つ目は,伝統的な文化芸術をはじめ,現代美術,音楽,舞台芸術,マンガ・アニメなど幅広い京都の文化力が一堂に会する多彩な文化事業を展開します。また,日中韓のアーティストの共演など,東アジアの多様な文化と共鳴することで文化の多様性,また,新たな文化の創造を目指してまいります。

 4つ目は,長沙市及び大邱広域市との,青少年及び若手芸術家の相互派遣や,本事業の企画運営に大学生や若手キュレーターを積極的に起用することで,国際感覚に優れた次の世代の文化芸術の担い手,支え手を育成してまいります。

 5つ目は,あらゆる年代の市民の皆様や国内外の観光客の皆様が文化芸術に触れ,参画していただける機会を創出いたします。さらに,二条城をはじめとする文化財や東アジアの文化交流の歴史的資産を活かした新たな観光資源の発掘など,文化芸術を核として観光,産業,経済,地域の活性化へつなげていきます。

 続きまして,資料の2ページを御覧ください。

 具体的な事業としまして,今年度は,まず,本事業の周知と日中韓の友好に向けた機運醸成につなげるプレ事業を11月3日木曜・祝日の文化の日に開催します。続いて,オープニング事業として来年2月18日土曜日には,一年間の交流の幕開けとして,開会式典をロームシアター京都で開催します。

 また,東アジアの文化を市民の皆様に体感していただく取組として,日中韓共通の食材をテーマとしたシンポジウムや,日中韓の伝統芸能のコラボレーションによる作品の公演を3月に予定しています。

 4月から11月にかけまして,日中韓文化交流事業として,青少年や若手アーティストの相互派遣を行い,文化の多様性への理解や新たな創作の機会を創出してまいります。同時に,9月から11月を,コア期間と位置付けまして,市立芸術大学の前の学長であります建畠晢芸術監督の下,現代美術,音楽,舞台芸術,マンガ・アニメなど多様なジャンルの事業を集中的に実施します。

 京都の文化力事業では,市民の皆様をはじめ,日中韓の観光客や世界からの留学生に,茶道,華道,邦楽,能楽,日本舞踊など京都が育んできた文化芸術に触れ,その魅力を再発見していただき,次の世代へとつなぐ取組を実施します。

 最後に,これらの成果を確認し,日中韓3都市による交流を未来につなぐ閉会式典を11月に開催いたします。

 資料の3ページを御覧ください。

 東アジアの相互理解と連帯感の形成を促進し,東アジアの平和的な発展へとつなげていくためには,市民の皆様の積極的な御参画が不可欠であります。そこで,東アジア文化都市の開催をきっかけとして,例えば,KYOTOGRAPHIE(きょうとぐらふぃー・京都国際写真祭)や京都国際映画祭と東アジア文化都市のテーマに合致させるなど,連携を図ってまいりたいと考えています。また,本年オープンしました漢字ミュージアムでは,日中韓共通の808字の共通漢字をテーマとした展示を行う予定となっております。

 今後,近藤誠一元文化庁長官を委員長とする実行委員会を設立しまして,事業の募集を行い,より多くの市民の皆様に参画していただけるよう呼びかけてまいります。

 「ロゴマーク」ですが,京都が育んできた「京繍」,「西陣織」,「京くみひも」,「京房ひも」など,糸をモチーフに作成しました。本事業の開催を契機に,京都市,長沙市,大邱広域市から東アジアがつながり,交流を通じて新たな文化が創造される様子を表現しております。私も,糸をモチーフにしていると同時に,人がつながっている表現にもなっていますので,非常によいロゴマークになったと思っています。

 資料の4ページを御覧下さい。

 次に,「東アジア文化都市交流大使」として,(公財)京都伝統伎芸振興財団の全面的な御協力をいただきまして,まず第1弾として,「京の舞妓」を交流大使として任命させていただきます。「京の舞妓」は,本市独自の文化遺産にも認定させていただいておりますが,京都はもとより日本の宝であると思っています。文化として継承していくために,市民ぐるみでより一層,文化として認識し,国内外に,その魅力を発信していく機会にもしていきたいと考えております。

 最後に,私も同席させていただきましたが,本年8月28日に韓国で開催された第8回日中韓文化大臣会合において,松野博一文部科学大臣並びに宮田亮平文化庁長官の御提案により,来年,日中韓文化大臣会合の開催,そして,初めての取組でありますが,これまでの東アジア文化都市の開催都市である12都市,2018年開催候補都市である3都市の計15都市の首長が一堂に会し,さらに,ASEAN4都市も参加する東アジア文化都市サミット等が京都市で開催されることが決定しています。

 来年は1年を通じて,日中韓さらにASEANが文化で結びつきを強めていく,こうした意義ある年になります。京都がその中心的な役割を果たしていきたいと考えています。

 「東アジア文化都市2017京都」の開催を通じまして,文化庁とも連携を深めまして,文化の力による日本全体の地方創生,さらに,オリンピック・パラリンピック,そして,アジアで初めて開催される関西ワールドマスターズゲームズ等にしっかりと結び付けまして,文化力の創造と発信,そして,文化の目的であります,人々の幸せと世界の平和に貢献していきたいと考えています。

 京都は40年前に,世界文化自由都市宣言を行っております。その理念に基づきまして,世界歴史都市会議を開催するなど,文化を基軸とした都市経営を進めるとともに,世界とのつながりを大事にしてきました。中でも,とりわけ,近隣の東アジアとの関係が大事であります。そうした取組を市民の皆様とともに強力に進めてまいりたいと思います。

 

質疑応答

報告案件に関する質疑

記者

 東アジア文化都市を京都で行う強み,独自性を市長はどのように考えるか。また,「地域文化創生本部」はどのように関わるか。

 

市長

 横浜市は既に実施されていた「トリエンナーレ」と,新潟市も同様に「水と土の芸術祭」と連携して開催されました。京都市としては,準備委員会等で議論していただきまして,あえて,ゼロから積み上げて開催することにいたしました。

 京都に伝わる文化,さらには多様な京都の文化力は,歴史的に見ましても,朝鮮半島あるいは中国との結びつき,さらには,ベトナム等との結びつきも強いものがございます。また,9月に開催されました京都国際マンガ・アニメフェアにも,中国並びに韓国から,多くのリーダーの方々が御参加されています。マンガ・アニメについても,現代の共有できる文化になっております。

 歴史と伝統,市民生活の中に築いた文化力,そして,日中韓,東アジアとの深い結びつきを土台にしながら,新たな文化を創造していく拠点の役割を京都が果たしていきたいと考えています。

 2017年の開催都市として,公募に基づき,京都市から文化庁に申請いたしました。私もプレゼンテーションに参加し,理念を評価していただき,開催が決まったものであります。奈良市の次に,京都で開催する意義はどこにあるか,そして,政令市等ではない地方都市で開催した方が良いのではないかという意見もあったようでございます。しかし,日本の文化の拠点である京都で開催することで,日本中を文化で元気にする,東アジア全体を文化で強力につないでいくということを訴えて,賛同を得まして,京都で開催することに決定しました。

 同じ年に,ちょうど文化庁の先行移転の事業開始と結びつきました。非常にありがたいことであると思っています。文化庁から10名の職員が,地域文化創生本部に来られます。府・市,経済界も職員を派遣しまして,様々な事業を進めていきますが,この地域文化創生本部との連携も深められると思います。

 また,この東アジア文化都市の事業及び,日中韓,さらに,ASEANを含めた19都市の参加で開催される,東アジア文化都市サミットは文化庁の事業となります。地域文化創生本部は,これらを連携して実施していく現地実施本部のような形になりますし,文化庁と京都の様々な事業が融合していく機会になっていくと思います。

 

記者

 市民参加が大事であるという話があったが,市民の皆様の関わり方として,イベント参加が中心になるのか,あるいは,運営に関わる形を取っていくのか。

 

 

市長

 まず,イベントそのものの実施主体を可能な限り,行政主導型ではなく,市民参加型にしていきたいと考えています。同時に,NPOや様々な民間団体が積み上げて来られた事業等があります。この機会を活用して,それらの認知度を高めて,飛躍できるように,行政は支援してまいります。

 市民の皆様に主体的に取り組んでいただき,その中で,次の担い手が育っていくということに徹底してこだわった事業にしていきたいと思います。さらに,19都市が参加する東アジア文化都市サミットがありますが,サミットを契機とした各都市間の連携が継続していけるようなことにもなれば,ありがたいと思います。この部分は,文化庁等に提案していきたいと思います。

 

報告案件以外に関する質疑

(文化庁京都移転・私たちができること推進チームについて)

記者

 文化庁の京都移転に関して,市役所の中に専門のチームができると報道があったが,具体的にはどういったものか。

 

市長

 京都市では,地方創生に取り組むため,平成27年に「京都市まち・ひと・しごと・こころ創生本部」を立ち上げました。

 東京一極集中を是正し,人口減少社会に歯止めをかけていく,日本にとって極めて大事な取組ですが,政治や行政主導でできるものではありません。そこで,京都市では,市民や事業者の皆様に,「自分ごと・自分たちごと・みんなごと」として考えていただき,提案を募り,その提案をみんなで支援する「京都創生・お宝バンク」をつくりました。

 「京都創生・お宝バンク」は,京都市のホームページに掲載していますが,当初30件ぐらいの想定が,今では200件を越えています。中には,文化庁の京都移転に関する提案もあり,京都ならではの市民参加型の取組が進んできています。

 そんな中,文化庁の京都移転を契機に,お宝バンクにも御提案いただいている笹岡隆甫氏などから,自分達でも何かできることはないかという御意見を頂きました。京都全体がまとまろうということですので,行政もしっかりと応援してまいります。市民主体で取り組んでいくという非常に良い形で動き始めていると感じています。これからもそうした気運を盛り上げていきたいと思っています。

 

(国家戦略特区制度を活用した民泊実施の影響について)

記者

 今月末から大阪で,国家戦略特区制度を活用した民泊が実施されるが,京都市にも間接的な影響があると考えているか。

 

市長

 京都市では,国家戦略特区制度を活用した民泊を先行実施する考えは一切ありません。観光客や市民の皆様の安心・安全,持続可能な観光が大事であります。また,現在検討されている民泊新法については,国に対して,地方が独自性を発揮できる法律にしてほしいという要望もしております。

   

 

(リニア中央新幹線のルート選定に向けた奈良県の調査について)

記者

 奈良県がリニア中央新幹線のルート選定に向けて,独自に生態系調査を開始したことについて市長のお考えは。また,京都市も独自で生態系調査を行う予定はあるか。

 

市長

 奈良県とも連携をしていかなければなりませんので,コメントは差し控えさせていただきます。

 現在,京都市では,京都府や経済界とともにオール京都で,リニア中央新幹線と北陸新幹線の早期開業に向けて,国民ぐるみ,市民ぐるみの議論を経て決定できるように取組を進めています。

 リニア中央新幹線につきましては,法令に基づき,経済波及効果や地域社会に与える影響を含めて国において検証されるべきだと申し上げております。国が検証をされませんので,京都独自に経済波及効果を検証して公表させていただいております。

 また,生態系調査は,ルートが決まってから実施していくことが大事だと思っておりますので,独自に調査を行うことは考えておりません。

 

(大阪万博の誘致について)

記者

 大阪万博の誘致について,現段階の市長の考えは。

 

市長

 関西で,そして,大阪で万博が開催されることは基本的には良いことだと思います。かつて大阪でオリンピック・パラリンピックをという取組がありましたが,率直に申しまして,今の日本の社会でオリンピックを開催できる都市は東京だけになっており,あらゆることが東京一極集中になっている。これを是正していくために,必ずしもイベントだけが大事とは思いませんが,万博というのも大きな効果があると思います。

 関西広域連合で,大阪府知事がその趣旨を説明されたことに私も賛成しました。健康長寿が大きなテーマということですが,団塊の世代が後期高齢者になっていく中で,社会的にも,一人一人の生き方が課題になっている時ですので,連携していきたいと思います。

 

記者

 京都経済界はより広域での万博開催を求めているが,その場合,費用負担も含めて京都が担うということか。あるいは,基本的には大阪開催で,出来ることだけ協力するということか。

 

市長

 その辺りについては,まだこれからの話で,大阪からの具体的な要請もありません。したがいまして,オール京都で議論していければよいのではないかなと思います。ただ,連携できることは既存の事業の中でもいっぱいあるのではないかなと思います。

 

(北陸新幹線の敦賀以西ルートについて)

記者

 北陸新幹線について,与党プロジェクトチームに対して,国土交通省から年内のルート選定は見送るという方向性が示されたが,市長の考えは。

 

市長

 東京一極集中の是正,さらに,太平洋側と日本海側の格差是正もあります。早くコースを決めていただき,着工するとともに,是非とも関西国際空港までつないでいくことが大事であると思います。いろいろな事情があって,ルート選定時期が延びる可能性があるようですが,一刻も早い決定を引き続き要望していきたいと思います。

 

記者 

 滋賀県が独自に行った米原ルートの優位性を強調するような発信に対して,市長はどのように考えるか。

 

市長

 滋賀県が米原ルートの優位性を主張されることについて,必ずしも否定されるべきものではないと思います。我々も関西広域連合で,経済性だけ見れば,米原ルートに優位性があると言ったのですが,関西全体の発展のために,より慎重に議論しようということを決定して,現在の状況になっているわけです。

 それぞれにお立場があるので,主張されること自体は否定されるべきものではないと思います。

 

記者

 ルートが決まれば,並行在来線の問題などについて,いつ頃から関西広域連合で議論を始めるべきか。そもそも広域連合で一つの方向性をまとめるべきテーマなのかどうかということについては,いかがか。

 

市長

 ルート,早期開業,費用負担,並行在来線など多くの課題がありますが,ルート選定に向けて,それらのことをしっかりと踏まえた議論がなされていくものだと思います。私たちも京都府と協調しながら,過度な地方負担にならないこと,さらに,並行在来線の運営が大変なことにならないようにすることを国に申しております。

 関西広域連合では広域インフラ検討会企画部会で議論されていますが,どこまで議論が深まっていくかは難しい部分がございます。本当はこういうことに関西広域連合が大きな影響を与えていくことも大事なことではありますが,当事者だけで議論すると,なかなかまとまらないということも実感しております。関西広域連合自体の課題であるとも思います。

 

 

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