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門川市長定例記者会見(2016年7月15日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2016年7月15日)

平成27年 京都観光総合調査について

 本日は,私から,「平成27年の京都観光総合調査」の結果について御報告させていただきます。

 京都市ではこれまでから,京都観光総合調査を毎年実施し,日本人及び外国人の観光客の皆様から大規模なアンケートを行いまして,御満足いただいた点,御不満な点を丁寧に聞き取り,把握することで,観光施策に活かしてまいりました。可能な限り,観光客の皆様が感じられた残念,いただいたクレームをなくし,さらに,良い点を伸ばしていくための取組を進め,進化させてまいりました。

 観光政策は,産業,文化・芸術,環境,交通,景観,まちづくり,教育,人づくりなど,あらゆる分野を横断する幅広い総合政策でございます。京都市では,先人たちによって,脈々と築かれてきた,文化・芸術や景観,伝統産業など,京都の都市特性をしっかりと活かしながら,創造的な取組を進めるとともに,京都の魅力をさらに磨き,都市格を高めていく取組を実施してきました。

 私が市長に就任した時に,年間観光客数5,000万人の目標を達成しました。その後,平成22年からの5年間は,「質の確保」を目指す「未来・京都観光振興計画2010+5」に基づく116の施策を進め,東京オリンピック・パラリンピックが決定したことを受けて,「京都観光振興計画2020」を半年前倒しで策定し,世界があこがれる観光都市を目指して,191の事業を,市民や事業者の皆様,お寺,神社,幅広い文化芸術関係者の皆様などと一緒になって取り組んできました。

 観光で市民生活を豊かにする,伝統産業を活性化する,京都ならではの奥深い文化を多くの方々に御理解いただき,感動していただくことで,世界があこがれる都市にしていこうという取組であります。

 そのために,この間,特に力を入れましたのは,「観光消費額」の増額であります。2020年には観光消費額を1兆円にすることを具体的な数値目標として掲げました。そして,京都の魅力を実感していただくためには,「泊まってこそ京都」でありますので,宿泊観光を強化するため,特に消費額向上に大きな力になる「外国人宿泊客数」について,300万人を数値目標に掲げ,あらゆる政策を推進してきました。

 本日発表します平成27年の調査は,計画策定後の成果が数字となって表れる,いわば成績表とも言えるものであります。

 結果でございますが,昨年に引き続き,非常に大きな成果,良い数字が出ております。観光客数,宿泊客数,外国人宿泊客数,観光消費額,全てにおいて過去最高となりました。

 計画の中で,2020年の達成目標として掲げました「外国人宿泊客数」は,5年前倒しで目標の300万人を達成しました。この300万人という目標を掲げるときは,非常に躊躇いたしました。京都の修学旅行生は,一時期93万人まで減りましたが,現在110万人であります。この修学旅行生の3倍の外国人の方が京都に泊まられるということは,目標設定時は大きな数字に思われました。しかし,300万人を達成することができました。同時に,「観光消費額」につきましても,前年から27%増加し,2020年の目標とする1兆円まで達成率97%と,あと一歩のところまでまいりました。

 この計画は,多くの市民の皆様,社寺関係者,文化関係者,観光関連事業者,地元企業,大学・学生の皆様と,総力を挙げて取り組んできたものであります。目標を明確にし,課題意識や行動を共有したことによる成果であります。

 今回の結果はまさに皆様の御尽力,御支援,御協力の賜物であると考えています。また,更なる進化,課題解決に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。

 それでは,調査結果の主な内容について御報告いたします。

 観光客数ですが,昨年から120万人,2.2%増の,過去最高の5,684万人となりました。これは,海外からのお客様が増えたことはもとより,オール京都で取り組んできました「琳派400年記念事業」,過去最高の139万人の来場者数となりました「嵐山花灯路」,さらに,「京の夏の旅」の文化財特別公開や動物園のリニューアルなどが観光客数の増加に大きな役割を果たしてくれました。

 また,観光産業の安定的な雇用の創出や閑散期対策のために,通年型観光の取組を強力に進めてまいりました。「花灯路」,「京の七夕」に加えまして,2月に開催しました「レストランウィンタースペシャル」などが成果を挙げました。お陰様で,観光客の皆様が最も多くお越しになる桜の時期と,最も少ない時期との差は,平成15年は3.6倍でありましたが,一昨年は1.5倍になり,昨年は1.4倍と大きく縮小してきました。

 次に,宿泊客数です。泊まっていただかなければ京都の魅力を十分に味わっていただくことができません。同時に,泊まっていただくことで,経済の活性化に大きく寄与するということになりますが,過去最高の1,362万人となりました。前年比で,21万人,1.6%の増となっています。

 続いて外国人宿泊客数ですが,先ほどお知らせしたように,過去最高の316万人となり,計画目標の300万人を早くも達成しました。平成26年の訪日外国人客数は1,341万人から1,974万人と,約47%の伸びでしたが,京都市の外国人宿泊客数は国の伸び率を上回る73%の伸びを示しています。

 全国的には,アジアからのお客様の伸びが多い傾向がありますが,京都市では,アメリカからの宿泊客が,前年比85%増の大幅な伸びを示し,過去最高の32万人に達しました。国全体のアメリカの伸び率は19%でございました。調査の本冊32ページを御覧いただくとわかりますが,例えば,スペインは113%増の94,000人,昨年フィレンツェとの姉妹都市提携50周年を迎えましたイタリアは110%増の72,000人,イギリスは84%増の82,000人,カナダが60%増,オーストラリアが60%増と,アメリカ,ヨーロッパ・オセアニアで大きく伸びているのが,京都市の特徴であろうかと思います。幅広い国・地域からお越しいただいておりますが,特にアメリカとヨーロッパの増加が多い結果となっています。

 なお,調査結果の宿泊客数には,近年急増する無許可民泊施設での宿泊客数は含んでいません。京都市は民泊の実態調査を徹底的に行ってきましたが,マンションの一部屋あるいは一軒家の町家に何人泊まられているか把握できません。稼働率を30%で推計しましても,延べ宿泊客数は110万人程度となります。

 外国人宿泊客数の大幅な増加は,世界的に最も影響力をもつ旅行雑誌のひとつ「トラベル・アンド・レジャー」誌の読者投票において,5年連続で観光人気都市ベスト10に選ばれるなど,世界的な認知度の高まりが,要因の一つではないかと考えています。5年連続でベスト10にランクインしている都市は京都とフィレンツェのみとなっております。もちろん,ランキングの思想というのは,必ずしも京都が大事にしてきた,日本人の考え方ではないとは思いますが,同時に,常にベスト10に入り続けていることも大事であるとも考えています。

 さらに,京都の奥深い魅力を知っていただくため,10箇所の海外拠点を活かしました情報発信の強化,13言語対応である海外公式ホームページの充実,さらには,世界最大の口コミ旅行サイト「トリップアドバイザー」,「VISA」や「ぐるなび」等の民間事業者の皆様との積極的な連携強化などの成果も大きいと考えています。

 次に,観光消費額でございます。

 平成27年は観光消費額が大きく増加しました。平成26年も過去最高を記録しましたが,一人当たりの単価があまり伸びていないという課題がございました。今回は,平成26年から2,078億円,27.2%増の9,704億円となりました。

 特に,日本人観光客の一人当たり観光消費額は,1万7千円となっており,平成26年から約3千円,約25%増加しています。お茶や工芸品などの土産品の購入費が高まっており,買物が増えることは大変ありがたいと思っています。免税店の増加も観光消費額の向上に寄与していると思います。

 私は,単に観光消費額の向上を目標に掲げるだけではなく,質の高い観光を提供し,滞在を伸ばし,そして,日本文化の神髄といえる伝統文化や伝統産業などを感じていただくことが大事であると考えています。50回を迎えた「京の冬の旅」や40回を迎えた「京の夏の旅」等を通じて,京都の庭園・建築並びに文化・芸術を堪能していただきたいと思います。さらに,朝観光や夜観光をはじめとする体験型プログラムや着地型観光ツアー,「京の食文化」普及の取組などがこのような結果を生み出したものと考えています。

 次に,入洛利用交通機関割合についてです。

 マイカーを利用してお越しになる観光客の割合は,約20年前の平成6年は41.7%でしたが,平成25年は15.1%になり,平成26年は9.9%,そして,平成27年は6.3%と,この2年間でマイカーでの観光客は6割近く激減しています。

 この間,歩いて楽しいまち京都,公共交通を充実させていこうという取組を進めてまいりましたが,京都の魅力は車で走っていては感じることはできません。鉄道,バスを御利用いただくと,より多くの観光地を回っていただくことができますし,歩くことによって,お地蔵さんやまちの様々な文化に触れていただくことができます。お酒も飲んでいただくこともできます。歩いてこそ感じられる京都の魅力を発信してきた成果が数字につながっていると思います。

 とりわけ,マイカーの市内への流入抑制策に御理解をいただいた市民並びに観光客の皆様に感謝したいと思います。平成22年1月の「歩くまち・京都」憲章の制定,そして,様々な議論がなされましたが,ぶれずに進め実現した四条通の歩道拡幅や,パークアンドライドの推進,市バス・地下鉄等の公共交通機関の利便性向上等の環境整備を進めてきたことが大きく寄与したと思っています。四条通の歩道拡幅により四条通を通行するマイカーだけでなく,周辺道路のマイカーも減少しています。そのことによって,京都のまちが持つ様々な奥深い文化をさらに深く感じていただくことができると思っています。感慨無量であります。

 最後に,観光客の皆様の満足度調査についてであります。総合満足度については,約9割の方が満足と回答いただいております。特に外国人の総合満足度は98.1%と高い水準を維持しております。個別で見ても「歴史や伝統文化」に関する項目の満足度,感動度が大きく向上しております。来訪動機についても,伝統文化鑑賞と答えた方が増加しています。京都の強みが皆様に届いてきていると手応えを感じます。

 また,過去の不満項目にWiFi環境がありましたが,約1,700箇所のWiFi環境を整備しています。さらに,5年間で約600箇所に及ぶ多言語の観光案内標識の計画的な改善,英語対応も行っている「歩くまち京都アプリ」の配信など,受入環境整備を着実に進めてきたことも成果となって表れていると感じています。

 計画の目標にも掲げております「再来訪意向」についても,9割を超える高水準を維持しています。いずれにしましても,こうした数字に安心することなく,皆様の思いをしっかりと把握し,そして,さらに高いレベルを目指してまいりたいと思います。

 今回の調査を踏まえて,早急に取組を進めていかなければならない課題を3点申し上げます。

 一つ目は,宿泊施設の課題であります。昨年の調査でもそうでしたが,平成26年と比べ,観光客数は2.2%の伸びだったのに対して,宿泊客数は1.6%にとどまっています。この大きな要因は宿泊施設の不足であります。外国人の方からも「不足している」という声をお聞きしています。

 宿泊施設の残念度を見ますと,外国人の個別残念度は前年と比べて7.3%から3.9%と,3.4ポイント減少しているにも関わらず,日本人の残念度は1.1%から2.6%に上昇しています。少ない数字ではありますが,この変化を重視しなければならないと思います。これは,比較的早い時期に宿泊施設を予約される外国人観光客に比べて,日本人観光客の予約時期はその後になるため,日本人の宿泊予約が取りにくくなっていると考えられます。文化庁の職員の方が社会実験に来られていますが,京都市内で宿が取れないと聞いております。「泊まりたいのに泊まれない」という現状を改善する必要があります。現在,「宿泊施設拡充・誘致方針」の検討を進めていますが,しっかりと宿泊環境の改善を推進することで,魅力ある京都観光を満喫していただき,新たな安定した雇用の創出,地域経済の活性化につなげていきたいと思います。

 二つ目は,混雑の問題であります。日本人の残念度を見ると,混雑や交通状況の項目が上位になっております。特に,特定の観光地での混雑はこれまでからの課題であります。観光客の多い時期と少ない時期の差は3.6倍から1.4倍に改善するなど時期の分散は実現していますが,場所の集中は残っています。大原あるいは高雄は,観光客が多かった時期に比べて半分以下になっています。また,都心部でも非常に静かなところがございます。そうしたところに着目し,幅広い,京都の魅力,様々な地域の魅力をしっかりとお伝えし,混雑の分散化を図っていく必要があると思っています。

 三つ目は観光消費額であります。消費額全体としては大きく向上しましたが,観光の経済効果を市内の安定した雇用に結び付けていく,市民お一人おひとりの豊かさに結びつけるという意味では,まだ,市民の皆様が実感されていない状況があろうかと思います。

 京野菜や日本酒,あるいは,工芸品,伝統産業品は,ほんまもんの職人が手間・ひま・心をかけて創り上げられたものです。こうしたものの魅力を観光客の皆様にしっかりとお伝えし,地域経済,伝統産業,そして中小零細企業の活性化につなげていくための取組をさらに強化していきたいと思っています。

 この度,文化庁の京都への全面的な移転方針が政府の御英断によって決定されました。京都は地方創生のモデルとして,先駆者としての役割を果たしていく必要がございます。京都の観光の振興が,全国津々浦々の地場産業を元気にすると同時に,全国規模の広域観光により,京都観光が活性化していくための取組についてもしっかりと議論し,さらに,推進していきたいと思います。京都市として,全国のお役に立っていきたいと思います。

 観光は交流する新たな人の流れをつくり出します。今,世界中で,環境破壊の問題,あるいは,宗教や社会体制の違いによる軋轢や対立,紛争等が絶えない状況でありますが,京都の平和の精神,京都の宗教的な寛容の精神をしっかりと発信するうえでも,観光というのは偉大な営みであると思います。世界の人々の幸せと平和に,同時に,京都の人々の豊かさにつながる,観光振興策を多くの関係者と共に,より進化させていきたいと思います。

質疑応答

報告案件に関する質疑

記者

 為替の円高傾向など,今後の経済状況が京都観光に与える影響をどのようにお考えるか。

 

市長

 私は市長に就任して8年4箇月です。この間でも為替は激変しており,常にあらゆるリスクを考えておくことが大事だと思います。しかし,観光事業者や世界の様々な観光に取り組んでおられる関係者にお話を聞きしていると,一進一退は少々あろうとも,京都市へお越しになる観光客はますます大きく伸びていくと確信しております。

 特に我々は今,富裕層観光に力を入れております。京都にできた新しいホテルの単価率が,日本で一番になっているという現象もあり,為替が10%,20%変化することによって,観光客が激減するということは京都市ではないと思います。しかし,微妙な変化にも注意しながらあらゆる取組をしっかりと進めていく必要があると思います。

 

記者

これから伸びていくと確信できる要素は何か。

 

市長

 日本人もそうですが,世界の人々の生活が変わってきたと思います。これからは,時間の使い方が一番のテーマになっていきます。これはまさに観光に当てはまると思います。

 例えば日本人でいいますと,かつては自動車やカラーテレビ,クーラーが生活の豊かさを示す指標でありました。これが多くの人に行き渡った時に,生活をより豊かにするのは,時間の過ごし方や質の良いものを求めていくということに変化してきました。これが世界中での観光ブームであります。この動きをしっかりと受け入れていくことが大事だと思います。

 フランスのアーティストが京都に来られて,3年前に協定を結びましたが,京都の工房に滞在し,匠の技の偉大さを感じて,一緒に製品を作っていこうという取組が進むなど,観光の形はさらに進化します。同時に,進化させていかなければいけないと感じております。

 世界の富裕層は,まだまだ日本には来られていません。ジェット機で来られても停めるところがありません。これらの問題に対して,ヘリの観光を充実させるため,空港からヘリで京都に来ていただく取組も始めていますが,そうしたことも観光消費額や市民の豊かさにつなげるという意味で大きな可能性があると思います。

 

記者

 観光消費額の伸びの税収に対する影響と,さらに伸ばしていくために,市長は何が必要と考えるか。

 

市長

 「京都観光はすごく元気ですね」と,多くの人に言っていただきますが,例えば,旅館・ホテルや飲食店から京都市へ入っている税収は,市全体の税収の0.3%の7億円です。平成27年度では法人の利益に掛かる税のうち79%が国に行き,13%が府にいき,残る8%ぐらいが京都市に入ります。政令指定都市ですので,観光客用のトイレや道路の整備をはじめ,191に及ぶ事業を京都市が主体的に民間事業者と実施しているわけですけれども,実際の法人の利益はほとんど京都市に入ってきません。したがってお土産を買っていただいても法人が儲けた分はなかなか京都市の税収につながりませんが,安定した雇用が生まれ,そこで働く人の給料が増えれば,京都市の税収になります。旅館・ホテル,飲食店の非正規雇用が75%,市内のものづくり企業の非正規率は全国水準の30%であり,このままの状態で観光立国はどうなるのだろうという点で非常に危機感を持っています。

 日本のものづくりは労働生産性が先進国トップ水準ですが,零細企業や,サービス業の労働生産性は先進国の半分だと言われています。サービス業の,とりわけ観光の労働生産性を高めていくことが持続可能なほんまもんのおもてなしの観光振興につながり,市民の豊かさにつながり,市の税収の向上にもつながると考えています。

 例えば,地域限定の通訳士の取組を特区制度で始めましたが,伝統産業,伝統文化を英語,中国語,フランス語で説明できることによって通訳としての報酬を得られるということにつないでいかなければなりません。フォーリンフレンドリータクシーなどの外国人対応のタクシーを用意して,質の高いおもてなしをして,タクシーの運転手さんの労働条件の改善につなげていくことも大切です。このような,質の高いおもてなしをひとつひとつ進めていかないことには,京都市の税収増にはならないということであります。

 

報告案件以外に関する質疑

(通路橋について)

記者

 市内にある水路橋の6割が無許可であったことについて市長の思いは。また,未払いの占用料については今後どのように対応していくのか。

 

市長

 平成17年度の地方分権一括法により,河川法の適用を受けない河川については,国から地方に譲渡することが決まり,管理責任を都道府県から政令指定都市に移すことになりました。それまで京都府が管理していた河川については,京都市が管理することとなり,これまで局地的豪雨による河川の氾濫対策を最重点に取り組んできました。

 譲渡された河川に掛かっている通路橋については,平成25年と26年の2箇年にわたり一斉調査を実施し,無許可の橋が多くあることが判明したことから,翌27年には,適正化に向けたパイロット事業を実施しました。パイロット事業では,対象地域の200件を一軒一軒訪問し,122件は許可を取っていただくなど,改善いたしました。

 今年度からは,職員8名体制で適正化に向けた取組を本格的に実施しています。また,京都府が管理されているときから,占用料を徴収することになっていましたが,十分に周知できていないということもありましたので,しっかりと事業の趣旨をお伝えしていく取組も進めております。占用料収入については,27年度は1,250万円でしたが,すべての橋が適正になった場合は,2,400万円増える計算です。

 河川管理者として,安全性の確保はもちろんのこと,社会的公正,公平感を確立していくことが我々の責務だと考えております。

 

記者

 譲渡される前から6割が無許可であったということについてはどうお考えか。

 

市長

 過去のことについて誰が責任を持つべきかといった議論は意味がないと思います。未来に責任を持つ取組を行ってまいります。

 

(東京都知事選挙について)

記者

 東京都知事選挙について,東京一極集中の問題点を示している候補者もいるが,東京一極集中打破に取り組む市長のお考えは。

 

市長

 東京都知事は東京都民が選択されますので,賢明な選択をしていただきたいと思います。

 このままでは日本の市区町村の半分が消滅する。その中で,東京一極集中をいかに是正するかが我が国最大の課題であります。その課題に正面から向き合い,東京都と日本の未来を考えて取り組まれるということは意義のあることだと感じております。

 京都では,オーストラリアから来られる観光客が10年間で10倍に増えました。これは北海道との連携により,1度の訪日でスキーと奥深い文化が堪能できるようになったからだと思います。

 東京都が東京都だけのことを考えて政策を進めれば日本の未来はないと思います。広域の取組がまちの発展につながる。その重要性を理解し,政策の理念としている人に都政を担ってほしいと思います。

 

(ヘリ観光及び周遊観光について)

記者

 富裕層観光について,ヘリ観光とは何か。また,周遊観光の今後の重要性について市長はどうお考えか。

 

市長

 関西国際空港と京都をつなぐ空路については,民間事業者に御尽力いただき,横大路にヘリポートができました。自家用ジェット機の受け入れはできませんが,ようやく空路の開拓が進んでおります。

 また,周遊観光ですが,京都市が力を入れている富裕層の誘致に関する取組として,全国の観光都市が連携する仕組みを新たにつくりました。富裕層の観光は,1箇所に長く滞在することも多いですが,多様な日本の文化,地域の魅力を感じていただくことも大事だと思っています。

 

(民泊について)

記者

 民泊に関する方針をまとめるに当たって京都らしい規制の在り方を議論されているとのことだが,どのような規制になるのか。

 

 

市長

 宿泊の課題については,第一に宿泊施設の拡充であります。

 大原に訪れる観光客が非常に少なくなってきています。大原では,現在住んでおられる農家の方以外は家も建てられない規制になっています。大原も含めて,素晴らしい景観や自然のある地域に,周囲と調和した宿泊施設を認めていきたいと考えています。最近では産業観光も盛んになってきておりますので,工場地域でも認めていきます。

 また,住居しか建てられない住居専用地域であっても,アマンやフォーシーズンズのように特別に許可し認めていきます。そうした取組を,丁寧にスピード感を持って進めていくことが大事であります。

 次に,民泊についてですが,京都市では全国に先駆けて,町家の一戸貸しができる制度を設けています。旅館業法では,宿泊施設には受付のカウンターが必要ですが,カウンターを設けると町家が町家でなくなりますので,カウンターを設置しなくてもゲストハウスとして営業できる条例をつくりました。現在,旅館業法や建築基準法など,あらゆる法令に適合したゲストハウスが次々とオープンしております。

 一方で,違法状態の民泊についてですが,これには3つのタイプがあると思います。一つは,手続きをすれば許可が取れるが手続きをしていない,あるいは,手続きが必要だと思っておられないケース。このケースについては,しっかりと手続きをしていただく必要があります。

 もう一つは,一戸建て等の形態で,住居専用地域にあるケースです。このケースについては,ホテルや旅館は特別に許可して,民泊は一切できないというのも合理性がありませんので,どこまで認められるのかをしっかりと議論しなければなりません。管理者がいる場合は認めても良いというのが大方の合意ですが,管理者がいない場合にどう判断するのかを現在議論しています。

 最後に,マンションの1室を利用するケースであります。静かに暮らしていたのに隣の部屋が突然民泊になり,夜中に人がうろうろする。こういった状況は良くないと思いますので,政府が定める新しい方針もしっかりと見極めまして,「宿泊施設の拡充・誘致方針」を発表したいと思います。

 

(天皇陛下の生前退位について)

記者

 天皇陛下が生前退位の御意向を示されているといった報道について,市長のお考えは。

 

市長

 日本にとって,皇室の弥栄にとって大変重要なことですので,慎重な判断,発言が必要だと思います。天皇陛下が日本の国民のこと,日本の未来のことを真剣にお考えになられたうえでの御発言ではないかと受け止めさせていただきました。

 

(文化庁の移転について)

記者

 来月には移転の概要が決まるとされているが,馳大臣が来られた際には,国立博物館を候補地とする案が急に挙がるなど,未だに候補地が定まらない。市長は,2020年のオリンピックまでの移転を望まれているが,スケジュール感についてはどうお考えか。

 

市長

 文化庁の移転候補地については,オール京都で議論したうえで提案させていただいています。したがって,次は国において議論を深めて決定していただく番だと思いますので,コメントは差し控えたいと思います。

 また,今回国立博物館が1番とおっしゃったことについては,他の候補地を検討せず最初に一番良いと言った候補地だけで進めるのではなく,真剣にお考えいただいているからこその御発言だと思っています。

 

記者

 4月から移転協議会が始まっているが,進展が見えないことについてはどうお考えか。

 

市長

 現在,来年度の予算要求に向けて取り組んでいただいていると思います。

 私どもも財務省に対して,文化を基軸とした国づくりが,いかに国力を高めることにつながるのかを提言していきたいと思います。

 馳大臣と宮田文化庁長官が,「生活文化の振興,地域コミュニティの活性化,地場産業の振興,観光との連携といった機能を強化し,文化行政の裾野を広げることが大事」とおっしゃいました。そういったことを実現して,「文化庁が京都に移ってよかった」と感じていただける取組を一緒にやっていきたいと思います。

 また,文化庁の移転には何年かかかりますが,私どもが提案していた「機能強化と先行実施」について,「ソフト面でできることはどんどんやっていく」という力強い発言もございました。「文化を振興することが日本中を元気にする。」そうした視点であらゆる政策,具体的事業の見直しを行ってまいります。

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