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門川市長定例記者会見(2016年5月11日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2016年5月11日)

「みっけ隊アプリケーション」の運用開始について

  熊本地震から約1箇月が経とうとしています。被災地ではまだ余震が続き,避難生活を余儀なくされている方も多くいらっしゃいます。引き続き,市民の皆様と一緒に被災地の一日も早い復旧復興へ向けて全力で支援してまいります。

  それでは,市民ぐるみで道路や河川,公園を維持管理する取組,「みっけ隊アプリケーション」の運用開始について御報告します。

  「人は安全で安心に暮らせるまちに集まる」。京都に住んでおられる方にとっても,京都を訪れる方にとっても魅力あるまちであり続けるためには,安心・安全を市民ぐるみで進めていかなければなりません。この度の熊本地震も含めましてその意を強くしているところであります。

  京都市では,市内約3,600kmの道路を管理しております。これは東京3往復半分の道路に相当します。また,京都市内には380の河川がございます。そのうちの340の河川を京都市が管理しております。さらに,市内にある906の公園,380の河川に掛かる2,900の橋についても京都市が管理しております。例えば,桂川は国管理の河川ですが,桂川に掛かる渡月橋は京都市が設置,管理しており,大きな責任を担っております。こういった施設設備は,市民の皆様の生活を守る基盤であると同時に,地域住民の憩いの場,交流の拠点であり,重要な役割を果たしています。そして,京都市では,8つの土木事務所と2つのみどり管理事務所が日々パトロールを行い,市民の皆様からいただく連絡を基に補修や整備を行っています。

  「京の道110番」という取組を3年前に開始しました。危険な場所,損傷があった場所を電話,FAX等でお寄せいただく取組を進めており,年間2万件の様々な改善要望等がございます。また,京都市においても,道路等の安全確保のために,日々パトロールを行い,危険な箇所を見つけ,点検補修を行っているところです。取組を始めてからは,第一線の職員の意識が大きく向上し,例えば土木事務所に電話をいただくと,「御連絡ありがとうございます」の第一声から始まる。そんな姿勢が,市民の皆様から評価いただいております。そういった取組に伴い,市民の皆様からの改善要望の声も増えてきましたので,平成25年に「京の道110番」のリーフレットも配布しています。また,道路・河川・公園の維持管理の(25年度の)予算は約46億円でしたが,今年度は,25年度比,約24%,約11億円増の約57億円にまで増額し,できるだけ市民の皆様の声に応える取組を進めております。

  これらの取組を前提としまして,公共土木施設の維持管理を,より一層迅速かつ的確に市民の皆様と進める取組として,スマートフォンやタブレットなどのICT端末から道路等の損傷箇所を投稿できるアプリケーションを,市民の皆様とワークショップを行いながら共に開発してきました。「みっけ隊アプリケーション」という名前も市民の皆様の発案であり,親しみやすく,使い易く,楽しみながら維持管理に参加してもらえるものにしました。また,京都ならではの地域に根差した自治活動と連携する,また,若い世代の方などに自主的な取組に参画していただける仕組みを附加しました。今年の1月から3月に,中京区,右京区,伏見区で実施した実証実験を経て,明日から全市で本格スタートしてまいります。

  今回のアプリケーション開発には,4つの特徴がございます。1点目は,最先端機器を積極的に活用すること。2点目は,自治会・町内会,公園愛護協力会等,京都ならではの「市民力」・「地域力」で培われてきた,京都の良さを活かしていくこと。3点目は,この2点を融合させて,スマホを使い慣れておられる若い方々がまちの維持向上,安心・安全の取組に参画していただける機会をつくり,自治活動を活性化させること。そして,4点目は,市民と職員が知恵を絞って一緒になってアプリを作り上げ,進化させていくことでございます。京都ならではのアプリケーションが開発できたと考えております。

  それでは,アプリの主な機能を3点御説明します。

  1点目は,「投稿」機能です。道路や川,公園,橋で損傷箇所を発見した際に,アプリを通じて,写真を撮影し,損傷内容を土木事務所やみどり管理事務所に直接送信することができます。始めに「みっけ隊員」として氏名や電話番号などを事前に登録していただき,投稿自体はニックネームで行います。これは,他都市の実証実験で匿名による投稿を可能にしたところ,無責任な投稿や根拠のない書き込みなどが行われ,本格実施に至らなかった例もあり,また,地域の自主的な活動の支援に繋がらないため事前登録制としました。投稿された情報をもとに,職員が現地調査を行い,緊急度や重要度から優先順位を付け,補修等の対応を行います。

  また,除草や清掃活動など,地域に根差した自主活動や日頃から市民の皆様が自主的に活動いただいている取組についても広く共有できる,「私たちでやりました」という機能も付いております。活動を広く共有することで,自主活動の輪を広げてまいります。

  2点目は「地図」機能です。市民の皆様に投稿していただいた内容や本市の対応状況等が,地図や一覧画面で確認できます。進捗状況を色別で表示しておりますので,投稿内容や進捗が一目で誰でも確認できます。また,「私たちでやりました」投稿は,“はなまる”のアイコンで地図上に表示されます。

  3点目はミッション機能です。アプリの機能を利用して,京都市がみっけ隊員の皆様に調査協力をお願いすることもあります。例えば,昨年11月以降1月までの間に約40件の雨水枡の蓋を落とし込む事件がありましたが,こういった場合には,「周りで,同様の箇所があれば投稿ください。」といったお願いを京都市から「ミッション」として要請して見つけてもらう仕組みにしています。この機能は災害が起こった時にも役に立つ機能だと思っております。

  市民の皆様と京都市が情報を共有しながら,より安心・安全なまちづくりを進めるためにこのアプリを活用してまいります。さらに,市民の皆様,とりわけ若い世代の方々も含めて,土木に馴染みのない方が多いと思いますので,「京都市には380の河川,2,900の橋がある」といったことや「雨水枡って何?」などの皆様が土木に関心を持っていただけるような豆知識を発信してまいります。また,スマートフォンを利用されていない市民の皆様にも,インターネットから投稿内容を閲覧していただけるよう,みっけ隊のホームページも開設いたします。

  市民の皆様と作り上げたアプリを活用しながら,アプリの登録者については,5,000人を目指してまいります。多くの方に登録いただき,市民の皆様と共に京都の安心・安全のまちづくりを進めてまいります。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(実証実験の結果について)

 

記者

 実証実験ではどれくらいの投稿があったのか。また,実験で得た課題は。

 

市長

 本格実施前の実験でしたので,広く周知したわけではありませんが,約380人の方に登録いただき,63件の投稿をいただきました。これは順調な滑り出しだと思っております。今回の取組は,投稿に対する対応をすべて公開しますので,行政としては一定の責任を負うことになります。一方で,市民の皆様と情報を共有することによって,「暫定的なことは自分たちでやろう」という雰囲気になれば,行政と市民の皆様との関係が向上し,「やれることは自分たちでやろう」というみんなごとのまちづくり,共汗のまちづくりが広がっていくと思います。

 

(職員体制について)

記者

 投稿が増えることによって,対応する職員を増やす必要があると思うが,対応は考えているのか。

 

市長

 職員を増やすかどうかについては,取組を進めていく中で考えていきたいと思います。現在実施している「京の道110番」の取組では,土木事務所の職員が,自ら研修を行い,チームを結成し,啓発パンフレットを作り,その結果,市民の皆様からの通報が増えてきました。それに対応するためこの3年間,厳しい財政状況ではありますが,予算を24%増額し,身近な生活道路の安心安全の確保に取り組んでいます。

 したがいまして,今回のアプリについても,市民の皆様の声を反映させる仕組みをつくり,行政も緊張感を持って市民の皆様の安心安全のために取り組む。一方,急を要しない事案などは,場合によっては補修できないこともあると思いますので,公園の管理を公園愛護協力会が努力していただいているように,「簡単なことは自分たちでやりましょう」という取組に繋がっていけばありがたいと思っています。こういった点で,このアプリは,一つのまちづくりのモデルになると思っています。

 別の都市の先行事例では,匿名で誰でも投稿できる仕組みにしたところ,利用者の方が無責任な発言をするなどのトラブルが発生して運用が困難になったケースもあります。そういった先行事例を調べ,市民の皆様と議論して,4つのコンセプトの基に作り上げた全国最高水準のアプリだと思います。

 

記者

 今回の「みっけ隊アプリ」について,今までの「京の道110番」と比較して,投稿から整備までのスパンが短くなるというような違いはあるか。

 

市長

 一番端的な特徴は,場所がきちっと特定されることです。さらに,写真が届くことで,現地で行う第一次調査を行っていただいていることになります。これは非常にありがたいことであります。

 この他に,みんなで情報を共有して,自分たちでできることは,自分たちでやろうという,京都の自治の伝統を生かしていきたいと考えています。例えば緊急の対応などは,地元の方に行っていただくことで,その力を別のところに回していける場合もあります。もちろん限られた予算で,限られた人員の中でやっているわけですから,行政の効率化にもつながると思います。

記者

 場所がすぐ特定できるということで,どれくらい整備まで時間が短縮されますか。

 

市長

 様々なケースがありますので,今回のアプリの導入で,これだけ早くなります等の測定はちょっと難しい面があると思います。

 もう一つ,スマートフォンを利用される多くの若い人たちに,今回のアプリを契機に,市の取組に参画してほしいと思っています。地域での子供の見守り活動,公園愛護協力会の活動,自治会の活動など,その担い手として,どちらかというと高齢の方に頑張っていただいています。

 若い人は,現役でお仕事をされていたり,転居してこられて,地域になじみが薄いという方もおられます。このような方でありましても,スマートフォンで通勤の途中で気が付いたことを写真に撮って投稿していただきたいと考えています。アプリをきっかけとして,若い方による,地域における参画の輪につながっていって欲しいと,市民の皆様と議論して作り上げてまいりました。

記者

 登録者5,000人を目指すとありましたが,登録してもらうために考える工夫について教えてください。

 

市長

 自治会及び公園愛護協力会,あるいはPTA等,スマートフォンの利用者は,若い人が多いと言いましたが,団塊の世代くらいの方,さらには,もっと高齢の方でもスマートフォンを使っておられる方もいますので,幅広く,啓発を行っていきたいと考えています。

 同時に,若い世代の方へ京都市のホームページとかフェイスブック等のSNSを通じて,この情報を拡散させていきたいと思っています。

記者

 このアプリは市で作ったのか?

 

市長

 京都市で独自に作りました。他都市においても,既存のアプリはありますが,様々な課題があるということで,2,230万円の予算を掛けまして,市民の皆様のお知恵を活かし,ワークショップを重ねながら作り上げたアプリであります。

記者

 アプリの導入で,これまで,損傷を発見しにくい,あるいは,優先順位として,後回しになっていたところに適切に対応できるという面もあるか。

 

市長

 まず一つは迅速性があります。スマートフォンの機能で,場所が特定され,写真を投稿していただくことができます。さらに,5,000人の方に御登録いただけましたら,毎日,徹底した生活者,市民の目線で,道路,橋,公園,その危険箇所を見守っていただき,行政に,手軽に御連絡をしていただくことができます。これは,画期的なことになると思います。

 その中で,行政は優先順位を付けて,それをスマートフォンあるいは  ホームページ上で公開しながら,実行いたします。同時に,自分たちで出来ることは自分たちでやろうという市民参加が促進されます。そして,行政の判断というものが明らかになって行政の透明性がより高まります。我々も緊張感を持って取り組まなければならないと思っています。

 

記者

 その他の都市における具体的な先行事例は。

 

市長

 千葉市,半田市,相模原市,浜松市,泉佐野市,この5市がこの1年で開始されています。一番早いところで平成26年9月開始です。全国でも,動き出したというところであります。

 

記者

 アプリの導入効果として,巡回の頻度が少し減らせるとか,行政の側に対する効果についてはどう考えるか?

 

市長

 目標とする5,000人の方に,全市隈なく御登録いただくことができれば,効果も出てこようかと思います。効果を受けての行政としての取組につきましては,取組を進めながら,これが出来たから,この部分を今すぐに割愛しようということではなく,市民の皆様と一緒になって,行政がどのように,より大切な,重要度,緊急度が高いところにシフトしていくかということについて,考えていくことが大切だと思います。

 土木事務所の職員がパトロールしている何倍もの力になると思います。同時に,それを受けてパトロールがいらないとはならないと思います。

 

記者

 市民の方から見たら,市,府,国等,道路の管轄について,区別がつかないこともあると思うが,市の管轄外のものが報告されてきた時にはどのような対応を行うか

 

市長

 京都市の場合は,市内の府道は京都市が管理していますし,先程お伝えしたように,橋もほとんどを市が管理していますが,国が管理する河川,あるいは国道もあります。また,京都市の中でも,地下鉄の駅のここが危ないよとか,こういうことも,現在でも,土木事務所やみどり管理事務所に情報をいただいております。さらに,私道の損傷についても入ってきます。市の管轄外の情報につきましても,このアプリで投稿いただきましたら,その所管にきちっと連絡しまして,そこに連絡しましたということもアップしていくという対応になります。

 

記者

 市民の皆様に情報提供をお願いする責任として,例えば危険個所等の法面の状態が変わったらLEDの発色が変わって判断できるようなセンサーを設置する,あるいは,市民の方からの投稿を呼び込む工夫はあるか。

 

市長

 市民の皆様と作り上げていくアプリであると思っておりますので,これを完成形とせずに,また技術の進歩もあるでしょうし,それらを活用しながらいろんな知恵をいただきたいと思っています。そういうことも含めて,どんどんと投稿いただけたらありがたいなと思います。

 ミッションで,我々はここまでやってきたけど,どういう御意見がありますか,というのも問い掛けていきます。さらに,みんなでまちの安心安全を守るために,あらゆる知恵を出し合って,みんなで努力していきたいと考えています。同時に,行政が果たすべき役割はしっかりと果たしていきます。

 今回のアプリの導入につきましては,それなりの覚悟がなければ踏み込むことができないものですけれども,あえて挑戦して,どんどんと登録者を増やし,投稿を増やし,関心を高めて,次のステージに移っていくことが大事であると思います。

 

記者

 熊本地震で行政機関の庁舎が被害を受けて,機能できないという事態も出ていますが,京都市で同規模の震災が起きた時に,代替機能含めて大丈夫か。また,新庁舎の建設もあるが,耐震改修の計画の前倒しなどは検討しているか。

 

市長

 京都市の場合,公の施設としては市民の皆様の避難所になる小中学校の耐震補強に全力を投球してきました。おかげ様で,学校統合,建替計画のある校舎以外は東日本大震災の時には,すべての耐震補強が終わっておりました。その次に,区役所を最優先に耐震補強するということで,上京区の庁舎が完成しまして,区役所・支所は耐震完了致しました。

 そして,本庁舎に取り組むということで,同時に検討をしてきました。例えばこの本庁舎の耐震指標は0.3以下であります。非常に厳しい状況であることは事実であります。検討を始めた段階では,耐震補強として,庁舎あるいは議会棟など,鉄骨の壁を入れなければならないので,建物の価値を活かしながら,耐震工事を行うのは無理ではないかと言われてきました。しかし,この間の技術の進歩と検討の結果,地下1階の下に免震構造を入れることで,文化財的価値を活かしながら,耐震が耐えられる建物に改修できることがわかりました。

 現在,解体に入っていますが,一番危なかった西庁舎については一足早く解体に入ることが出来ました。本庁舎については,実施設計に入っております。これもおかげ様で,半年前倒しすることができまして,来年6月に実施設計が完成します。これ以上の前倒しは日程的にも技術的にも無理だと考えております。

 なお,この間,平成27年度を耐震イヤーということに決めまして,民間の木造住宅の耐震化の補助制度を拡充し,さらに京都ならではの知恵を活かした耐震補強ということで,取り組んできました。

 今回の熊本の事態を見てより一層,公の施設も大事ですけれども,民間の施設,さらに民間のお住まいの耐震化へ向けた取組を充実させていかなければならないと思っています。

 なお,修学旅行生をお迎えする旅館,ホテル等につきましては,耐震化に向けた補助をする取組も全力で進めております。

報告案件以外に関する質疑

(京都高速道路について)

記者

 昨日,京都高速道路3路線の見直しに関する検証専門委員会が開催されたが,改めて3路線についての市長の考えは。

 

市長

 歩くまち京都,公共交通優先の取組が大きく前進してきました。例えば,観光客だけでいいますと,20年前41.7%の方がマイカーで来られていたのが,一昨年は9.9%というように,劇的に減少しています。

 専門委員会では,そうした状況を,あらゆる角度から検証していただいております。3路線については,構想ができた段階と状況が変わっているということを前提に議論を進めていただいております。そのうえで,なお,南北のボトルネックになっているところをどうするのかという部分について,議論を深めていただいております。

 まだ,最終的な結論を我々に提示されている訳ではないので,最終的な委員会としてのまとめをいただいた段階で私の見解を出していきたいと思っています。

 基本的には,私が,前回,前々回の選挙でも申し上げていますが,基本的な考え方と,この度の専門委員会における議論の方向性あるいは,客観的な状況の認識も一致しているなと考えております。

 

 

(二条城北大手門の毀損調査について)

記者

 二条城北大手門の毀損調査の結果について,経緯と市長の受け止めは。

 

市長

 毀損についての情報提供をいただきまして,担当局で,30名近い元職員も含めて,徹底した調査をいたしました。そこで,明らかになったのは,平成18年以降,そういうことを見た人はいないということであります。それ以前につきましては,聴き取り以外に方法はありませんが,事実を確認することができませんでした。現在,警察とも連携を取りまして,調べていただいております。

 現地は,私もよく通るところですが,平成17年以前は,多くの木々が茂り,森のようになっているところです。管理上も景観上も好ましくないということで,樹木を整理し,今のようなきれいな状態になり,非常に見通しもよい状況になっています。

   

(民泊について)

記者

 先日発表された「京都市民泊施設実態調査」の結果について,市長の受け止めと,市が行う今後の対応は。

 

市長

 本年4月1日付けの人事機構改革で,保健福祉局保健衛生推進室及び産業観光局観光MICE推進室に,担当の課長と係長を増員し,体制を強化するとともに,ホームページにも京都市の見解として,法令に基づいた手続きをきっちりとしてくださいと,明確にお示しております。さらに,都市計画局,消防局等との連携を深めたチームを作りまして,宿泊需要の増加に対して,手続きを経て,旅館,ホテルあるいは簡易宿泊所として経営していただきたいということをお伝えしています。

 ネットの事業者には,何度も口頭で申し上げてきましたが,法的手続きを取っていない民泊施設については,文書で,当該施設を削除していただきたいということを申し入れております。

 日本の事業者にも申し入れてきたわけですが,最近では英文での申し入れの要望を受けて,英文で本社に申し入れる等の対応をしています。あらゆる取組をしていきたいと思っています。

 何度も申していますが,観光,おもてなしというのは,安心・安全が大前提であります。同時に,おもてなしというのは,訪れられた方と京都市民の心の触れ合いが一番大事であります。京都市は,観光都市として,そうしたことを大事にしてきたいと考えています。

 訪れられる方が増えることで,安心・安全を守る,最低限の基準である消防,建築,保健衛生を守らないで営業するということはありえないことだと考えています。

 一方で,ホストとして御本人がそこに住まわれていて,2階に,留学生を,あるいは旅行者を泊められるのは,旅館業法が想定していないことであります。これらについては,国の方でも検討されておりますが,近隣住民の皆様からの苦情もないということで,大学のまち,観光都市,さらに,京都のまちの活性化について,新たな状況として,把握して,どのようなソフト面での取組が大事なのか,研究してまいりたいと思っています。

 

記者

 どこの仲介事業者に対して,法的な文書での申し入れを行ったか。

 

市長

 文書を出したのは,Airbnbです。Airbnbには市内で確認された民泊の9割が掲載されています。他の事業者は,きちっと,そういうことを自覚的に整理しているところもございます。

 

記者

 先方からの反応はあるか。

 

市長

 当事者間のことなので,難しい面もありますが,今のままで良いとは考えておられないという印象を受けました。私共は,この間,毅然として対応してまいりました。

 ネット事業者には,法的な責任はありませんが,法的手続きを行わず,さらには,法令等の基準を満たさない施設を民泊として提供される所有者は刑事罰の対象となりますので,そういうことも明確にしながら,改善を要望してきました。

 調査を行ううえでの問題点の一つは,ネットを介して申し込まなければ,民泊施設の所在を把握できないことでした。申し込むことでキャンセル料が発生してしまいます。このような,想定外の状況もございますが,きちっと,民泊施設の実態を把握できるように,データを提出していただくこと,そして,法令上の手続きをしていない施設を削除してくださいと,申し入れています。

 同時に,民泊の利用者の方々に,しっかりと啓発していきたいと考えています。京都市では条例を作りまして,町家を改装したゲストハウス等では,カウンター(玄関帳場)の設置義務を緩和するなどの対応を行っています。このような,今あるやり方をより進化させていく取組も必要であると考えています。

 京都市における宿泊施設の誘致に関する方針を明確にしますが,現在,京都市内でも,過疎化が進む市街化調整区域において,宿泊施設を建てたいという,悲痛な要望がきております。そういうところに,環境や景観にしっかりと調和した宿泊施設を特例的に認めていくことも求められます。あるいは,最近,京都市内の工業地域でありましても,宿泊需要が非常に多くなっています。出張で京都に来られた方,会社員の方がなかなか泊まれない場合がございます。工業地域であっても,その地域の街づくり全体の長期的ビジョンに合うものなら,特例許可をして,宿泊施設を認めていくなど,いろいろな形で,宿泊需要の増加に合せて対応することが必要になると考えています。

 

記者

 民泊について,今年4月から,国においては,ワンルームマンションのカウンター(玄関帳場)の設置義務規定が緩和されているが,京都市の対応は。

 

市長

 まだ,結論ではないですが,集合住宅の一部を,民泊にするということについては,棟全体,あるいは,目的を変えて,宿泊施設の認可を受けるということですと別ですが,私は基本的には似つかわしくないと考えています。突然,隣りの部屋が民泊になっているという状況は,今,市民の方から一番多い苦情となっております。

 それから,もうひとつは6泊以上することが民泊の前提ということですが,市内の民泊施設で6泊以上を最低宿泊日数としている施設は,全体の 1.6%に過ぎません。この宿泊日数の基準についても,検討が必要であると考えています。

 

記者

 宿泊日数の基準を短くする等の対応を行うか。

 

市長

 この間,まずは実態を把握しなければ,新たな施策を行うことができないと,実態調査を進めてまいりました。追いかけっこのようなところもありますから,調査に半年も要しました。

 マンションの一室を,民泊にするということは,私は基本的には好ましくないと考えていますので,この部分で,何か工夫してやるという考え方には立たないと思います。ただ,ホストがいて民泊施設として利用されるということなら,ありうる場合があると思います。

 

記者

 今,国が進める検討に対する意思表示として,マンションの民泊への規制緩和は望ましくないということか。

 

市長

 私はそう思います。

 

(保育所待機児童について)

記者

 今年度の保育所の待機児童ですが,集計中ではありますが,見通しは。

 

市長

 一昨年は555人の保育所・小規模保育の定員を拡充し,昨年度は過去最高の1,112人,今年度は900人を超える定員増を確保するということで,全力を尽くしてきました。

 同時に,市立,私立の幼稚園が,保護者の皆様のニーズにお応えして,放課後の預かり保育を6時まで延長するなど,取組も非常に進化してまいりました。そんな中で,国基準に基づく保育所の待機児童の状況は,現時点で,まだ集計中ですので,私が現時点で,推測で申し上げるのは避けたいと思います。しかし,引き続き,がんばって取り組ませていただいております。

 

記者

 市営保育所の民間移管に係る選定部会が進められていますが,改めて,市営保育所を民営化する上でのメリットとねらいを教えてください。

 

市長

 保育行政は,民間であっても,京都市及び,厚生労働行政が責任を担う立場にあります。したがって,公立であるか,私立であるかによって,保育の質に差を設けないというのが,我々の理想であると思っています。それに向けて,あらゆる努力をしております。

 京都市では,条例で,例えば1歳児の職員配置について,子ども1人当たりの保育士の人数を,国が子ども6人に対して1人のところを,本市では5人に1人に,今年は,更なる充実に向けて取り組んでいます。また,保育士の方の平均年収についても,全国平均の309万円(26年度)に対して,京都市独自の補助を行うことで,436万円(26年度)という数字になっています。

 小中学校においては,個人の方が市立,私立いずれかを選択されますが,保育行政では,個人の選択どおりとはならない場合があります。京都市内の私立の保育所におかれては,貴い取組を積み重ねられてきております。民間でできることは民間に担っていただき,民間に力を付けていただきたいと考えています。

 また,市立と比べて,民間保育所との運営費の子ども一人当たりのコストが1.5倍ほどかかっているのも,客観的な事実であります。国の制度の変遷等によるものもありますが,限られた財政運営の中で,あらゆる取組を,民間でできることは民間で,より質の高い取組も含めて,やっていただこうという考え方に変わりはありません。

 

記者

 今年度,選定対象になっている保育所の保護者会が,今回の選定手続きについて,民営化そのものの進め方が一方的ではないかと,市に対して抗議書を提出されたが,市長はどのように信頼回復等を考えるか。

 

市長

 全国での取組と同様に,京都市においても,この間,市立の社会福祉施設の多くを民間に移管してきました。移管に際しましては,我々の説明もより充実させていきますが,不安感から御心配される方もいらっしゃるかと思いますので,より丁寧に御理解いただけるように説明し,説明責任を果たしていきたいと思います。

 ただ,市立でなければならないということで,市立で責任を持つべきだというお考えをお持ちの方への御説明は,難しいなと思っています。民間でしっかりとした保育が現にできています。移管にあたっては,丁寧に一人ひとりの子どもに寄り添って,質の高い保育が継承されるように,より努力していきます。そういうことを申し上げていきたいと思っております。

 

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