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門川市長記者会見(2015年12月3日)

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2023年4月12日

市長記者会見(2015年12月3日)

「イクボス宣言」について

  最初に1点お伝えしたいことがございます。先月23日の「ワーク・ライフ・バランスの日」に,「イクボス宣言」を行いました。

  「職員のワーク・ライフ・バランスを考え,その一人一人のキャリアと人生を応援しながら,自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司」を目指すことを宣言するのが「イクボス宣言」であります。一般的には,仕事と家庭生活の両立を応援するものとされておりますが,「真のワーク・ライフ・バランス」を目指す京都市では,「社会参加,地域貢献,自己研さん等に率先して取り組む」ことも応援していくこととしております。

  京都市では,「真のワーク・ライフ・バランスを実現するまち・京都」を「はばたけ未来へ京プラン」の最重要事項の一つとして掲げています。

  「はばたけ未来へ!京プラン」の重要事項は,初めは5つでした。パブリックコメントを実施した際に,若い人たちで構成するU-35の皆さんが,「真のワーク・ライフ・バランスを京都のまちづくりの最重要施策に位置付けてもらいたい。」という提案をされました。若い人たちの意見を基本計画に反映させようということで,異例ではありましたが,真のワーク・ライフ・バランスが最重要事項になりました。

  京都市では,昨年度から,「まずは市職員が率先して取り組もう」ということで,建設局の若手職員が,「仕事・生活いきいきプロジェクト」を作りました。私もそのプロジェクトの皆さんとハートミーティングを行いました。その時,若い女性職員が,「ワーク・ライフ・バランスは,仕事を一定割り切って,家庭生活を大事にする生き方と誤解されている面があります。そうではなく,仕事を効率的に行い,家庭や地域の活動に参加する時間を生み出す姿勢がワーク・ライフ・バランスだと思います。」と話した言葉に非常に感銘を受けたのですが,そうした第一線の若い職員からの動きが大きく広がってきました。

  そして,今年度に入り,課長級以上のリーダーが,「自分も模範になろう」と自発的に「イクボス宣言」され,その動きが続いています。現時点で,373人のリーダー,課長級以上の職員がイクボス宣言を行っております。

  こうした機運の高まりの中で,私と三人の副市長も,真のワーク・ライフ・バランスを率先して実行していこうということで宣言させていただきました。他都市でも広がっておりますが,市長がまず宣言して,それを広げていくということではなく,若い第一線の職員が職場を変え,それに呼応して課長級の職員がどんどん宣言していく。それを市長が応援していく。このようなボトムアップの取組が進んできたことを力強く思っております。市役所は,1万3000人の職員が働いております。京都市の中で最大の事業所が真のワーク・ライフ・バランスを率先する,また先進的な取組を実践されている民間双方で,京都全体の雰囲気を変えていく取組にしてまいります。

京都市認定通訳ガイド制度の開始及び研修受講生の募集について

  本年9月に申請しておりました通訳案内士法の特例に関する構造改革特区について,内閣府から正式に認定を受け,京都市認定通訳ガイド制度を開始します。

  現行制度では,外国語で旅行に関する案内を有償で行う場合,国家資格である「通訳案内士」の資格を取得する必要がございます。しかし,国の特区制度を活用することで,一定の語学力を有している方が,市の認定を受けることにより,京都市内において有償で通訳案内業務を行うことが可能となります。

  京都市独自の通訳ガイドを育成することにより,外国人観光客の増加に伴う通訳案内士の不足を解消するとともに,「ほんまもの」の奥深い京都の魅力を伝えることで,体験ツアー等の更なるサービスの充実を通じて,京都の伝統産業の活性化や地域経済の発展に寄与することを目指しております。

  今回開始する制度において,全国で初めての取組が4点ございます。

  1点目は,一般的な京都の知識に加えまして,それぞれが得意とする分野の専門性を持つ通訳ガイドを育成することであります。基本的なガイドスキルや一般的な京都の知識を学んでいただくことも大事でありますので,基礎研修も実施しますが,基礎研修に加えて,京都観光の専門分野について深く学んでいただく専門研修を実施することで,伝統産業や文化財など得意分野を持つ通訳ガイドの認定を行います。これにより,幅広く京都の魅力を伝えるとともに,各自が得意分野を極めることで,奥深い知識を伝えることができる通訳ガイドを育成してまいります。奥深い伝統産業,伝統文化には専門用語も多く,精神性等もございます。そうしたことをしっかりと伝えられる通訳ガイドを育て,京都の伝統産業,伝統文化の振興につながる取組にしてまいります。

  2点目は,大学と連携した研修を実施することであります。専門研修の実施に当たり,より専門性の高い充実した研修が実施できるよう,「大学のまち京都」の特性を活かしまして,市内の大学等に御協力いただき,連携して研修を実施いたします。

  3点目は,通訳ガイドと通訳ガイドを活用したい旅行会社や宿泊施設等の事業者とのマッチングを支援する仕組みを構築することです。これにより,通訳ガイドの活躍の場を提供し,外国人観光客のツアーサービスの充実を図ることで,安定した雇用の場をしっかりと確保したいと思っています。

  4点目は,京都・観光文化検定試験と連携して通訳ガイドの認定を行うことです。3年以内を目途に,京都独自の通訳ガイドについては,京都・観光文化検定試験2級以上の合格を要件とすることを予定しております。しっかりと京都検定の勉強にも取り組んでいただきたいと思います。

  本制度によって,認定された方については,「City of Kyoto Visitors Host(京都市ビジターズホスト)」として,京都市内において,外国人観光客を対象としたツアーのガイド,奥深い京都の魅力を伝えるおもてなしの専門家として活躍いただくことを想定しております。

  第一期の研修受講生の募集につきましては,英語・中国語の一定の資格要件をお持ちの方を対象に,本日から12月25日まで募集を行います。詳細は,募集要項を御覧ください。

  研修については,来年1月から基礎研修,4月から専門研修を実施し,平成28年8月に,第一期生の認定を予定しております。第一期の専門研修については,「伝統産業」と「文化財」の2科目を開講します。

  認定を受けた通訳ガイドの方々には,旅行会社等の外国人観光客向けのツアーや国際会議等で訪問された方を対象に実施されるツアー等において,案内業務に従事いただきます。また,専門知識等を活かして,ホテル・旅館等の宿泊施設や観光施設等において,京都の魅力を伝えていただきたいと考えております。特に,最近希望者が増えている伝統産業品等の工房見学・体験ツアーや寺社仏閣,京町家や庭園等において,それぞれの専門性を活かし,より奥深い知識や京都の魅力をお伝えいただけるものと思っております。

  また,この通訳ガイドを活用した外国人向けビジネスの拡大により,雇用の創出,地域経済の発展,更には伝統産業の発展につなげていきます。

  外国で留学経験のある方,外国で仕事をしてこられた非常に語学力のある方が,京都に帰って来られて,または京都が好きで京都に来られても安定した仕事がないのが現状です。そういった方々から,すでに問い合わせもいただいておりますので,しっかりと御活躍いただける場を京都で作っていきたいと考えております。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(認定数の目標について)

記者
 何年までに何人認定するといった目標はあるのか。

市長
 まずは1期生50人に御活躍いただきたいと思います。将来的には10倍ぐらいにしていきたいと考えております。

 例えば,ある神社では,外国語が話せるスタッフを受付に配置されていますが,受付以外の有料の案内を,英語や中国語で合法的に行う場合は,認定が必要になります。

 語学力のある方に専門分野を学んでいただき,より奥深い内容を案内していただける。京都は大学のまちでもありますので,学んでいただける環境もございます。そうした点も含めて,認定ガイド制度を広めていきたいと思います。

 なお,すでに通訳案内士として登録されている方は,京都府内で759名いらっしゃいますが,実際に活躍されている方は少ないと聞いております。

(京都市認定通訳ガイド制度の開始及び研修受講生(第一期)の募集について)

記者
 専門研修について,現在想定される「伝統産業」と「文化財」のほか,科目を細分化していくのか。

市長
 専門研修の実施は,一般的な通訳ガイドにプラスされる得意分野を作っていただくことを目標としていますので,細分化していくことは現時点では考えておりません。

 例えば,医学関係の国際会議であれば,医学に詳しい通訳が登用されるように,通訳ガイドについても,資格としては同様ですが,一般的な文化財や京都の歴史を学んでいただき,例えば食文化などの得意分野に磨きをかけていただくような取組を行っていきたいと考えています。

 庭園等についても,非常に詳しい知識をお持ちになられる外国人の方に質問されることがあります。このような方々に対応するために,極端な例で言うと,二条城専門の知識を持って,通訳をするのと同時に,詳しい説明ができる通訳ガイドを有償で行うことも以前から求められてきました。

記者
 府内で既存の通訳案内士に登録されている方が759名いるということだが,今回,京都市に限定した認定通訳ガイドとのすみ分けをどのように考えるか。

市長
 いろいろな意見がありましたが,通訳案内士の方々を含めて,多くの皆様に歓迎していただいていると感じています。今回の京都市認定通訳ガイドは,京都市内における,特定分野の観光案内に限っての活動ですので,うまくすみ分けできるものと考えています。

記者
 活動エリア等を特化していくなど,そのような通訳ガイドを想定しているということか。

市長
 京都市内どこでも活動していただけるガイドを想定しています。

記者
 今回の通訳ガイド制度の目的として,利益の獲得を優先するものとするのか,多くの市民が通訳ガイドを目指していくような幅広いものを目指すということか。

市長
 二つの方向があると考えています。ひとつが,通訳ガイド制度による京都経済の活性化です。
 
 観光産業と言いますと,非正規雇用者の多いところです。それを,働く労働の価値と生産性を高めることで,安定した収入を得られる仕組を作らなければならないと思います。これは京都だけでなく,日本中の課題であると思います。
 
 例えば,京都市内では,多くの方が誇りを持って,旅館の仲居さんの職に従事されています。仲居というのは,お客様の様々な会話を聞かないように聞きながら,どのタイミングで,どの料理を出すのかを判断するなど,神経を研ぎ澄まして,おもてなしをされています。
 
 京都に限らず,全国で大学への進学率が上がってきておりますが,私は,大学を卒業して,仲居になろう,ホテルの受付で働こう,コンシェルジュをやろうということになれば,本当の意味で,日本は観光立国を実現するのにつながると考えています。
 
 この仕組づくりのために創設したのが,「京都観光おもてなしコンシェルジュ」と「京都国際観光おもてなしコンシェルジュ」の制度です。仲居さんをはじめとして,宿泊施設や観光施設,タクシー事業等で,観光客と接する業務に従事する方で,語学試験等の一定の要件を満たし ,京都市が行う研修を修了された方を対象に,コンシェルジュに認証させていただき,誇りを持って業務を行っていただく取組です。
 
 通訳ガイドの資格を持っていただくと,コンシェルジュの取組に加えまして,海外のお客様を,有償で文化財等に案内していただくことが可能になります。
 
 このように,観光産業で働く方の労働の価値を高めて,収入の安定した職業とすることで,誇り高い仕事を行っていただくことにつながります。これが,目指すひとつの道であります。
 
 もうひとつが,サービスの向上を通じて,京都を訪れる外国人旅行者の満足を高めていただくことです。
 京都市では,外国人向けに京都観光ウエブサイト「Kyoto Official Travel Guide」を開設し,13か国の言語で観光情報を発信していますが,これは,京都観光の入口の案内に位置づけられるものです。京都を訪れる観光客の皆様は,インターネット等でしっかりと調べ,一定の知識をお持ちになって来られます。このような方たちに,通訳案内業務を行う上での接客対応やガイド知識に加え,一般的な京都の知識や,奥深い京都観光の専門分野における知識を習得された京都版の案内人を育て,外国人旅行者の皆様に質の高いサービスを提供して,満足度を高めていただくことが大切であると考えています。 

記者
 新たに発足する京都市認定通訳ガイド人材バンクは,どこに設置するのか。

市長
 
京都市の観光MICE推進室に設置します。

報告案件以外に関する質疑

(高浜原発の再稼働について)

記者
 本日,高浜町長が高浜原発の再稼働について同意したが,京都市としての見解は。

市長
 市会でも議決されていますが,できるだけ早く脱原発の社会を実現したいと考えています。そのためには,省エネ再生エネルギーを広めていきたい。仮に再稼働する場合には,その必要性を明らかにするとともに,安全性を確保し,周辺住民の理解を得ることが条件になると主張し続けています。政府及び事業者の責任において,きちんとした説明責任を果たしていただき,安全に責任を持っていただくことが大事だと考えています。  


(北陸新幹線について)

記者
 色んな方が色んな発言をされているが,今後,京都市が問題提起して,関西の意思統一を図っていくのか。

市長
 北陸新幹線の整備は,京都にとっても,関西全体にとっても重要なことであります。まずは早期実現を目指していきたい。その過程において,京都はもとより,関西全体にとって最も有効なルートを決定していただく必要があります。3つの選択肢しかなかった段階で,関西広域連合では米原ルートを決定しましたが,JR西日本が第4のルートを検討していることが明らかになるとともに,米原ルートについては,JR西日本は適切ではないという表明をしています。こうした状況の変化がありますので,まずは,JR西日本に説明してもらうことを関西広域連合で合意しています。
 
 したがいまして,まずはその説明を受けたうえで,関西全体で議論していきたいと考えています。

記者
 新ルートを市長が評価しているポイントは。

市長
 第4のルートが明らかになった後の反響は,好意的な意見が多いとJR西日本から聞いています。私は,北陸各県の住民の皆様が,京都市内を通ることに大きな期待を持っている。住民の皆様が京都へ来たいというお気持ちと,京都に来た観光客が北陸へ来ていただけるという期待が大きいと感じております。そういうことを含めて,世界の文化首都を目指している京都として,歓迎していると申し上げています。しかし,京都市だけではなく,京都府全体,関西全体としても,大変重要な事業になりますので,みんなで英知を集めて,議論していくべきだと考えております。


(市政運営の評価及び今年の漢字について)

記者
 2期目がまもなく終わりますが,公約について9割達成し,全ての項目に着手されたとのことですが,最終年の1年間を振り返って御自身の市政運営の評価は何点か。また今年1年を漢字で例えると何か。

市長
 評価は自分でするものではなく,他の人が市民のみなさまがされるものだと思っています。市会の議決もいただき策定した京都市の基本計画である「京プラン」の項目について,公開の場で点検委員会を開催し,大学の先生や市民の方々と喧々諤々の議論し進捗してきました。経済活性化の課題はありますが,全体として大きく前進してきたことを評価していただいており,その評価を受け止めたいと思います。点数は避けたいと思います。
 
 私自身としては,国等の制度でできなかった課題もありましたが,現行の市職員・機構の中でやれることは全部やり切ってきた達成感はあります。
 
 漢字は着実な「歩」。歩くまち京都でもあります。ようやく四条通の歩道も完成し,歩きやすくなったという評価をいただいています。
 
 8年間の様々な歩みを振り返ると,市バス,地下鉄の赤字が最大の頭痛でありました。あるいは財政が第二の夕張市になるおそれがあるなど厳しい赤字の中でのスタートでありました。職員数を3千人減らし,「民間でできることは民間に」と徹底した行財政改革を断行してまいりました。
 
 関西の政令市の中では唯一の保育所待機児童ゼロを達成し,子育て支援,ソフト面での教育についても馳大臣にも大変な評価をいただきました。
 
 ただ,有効求人倍率が40年振りの高さで,大阪も超えています。正規雇用を増やしていく一方で人不足の問題も出ています。歩みを前進すればまた,次の課題が出てきますので,全力投球してまいりたい。
 
 馳大臣が,文化庁移転候補地の学校跡地を非公式で訪問されました。一部報道でも出ていますが,御覧いただいて大変な関心もっていただきました。自らの目で現地を見られ,京都に文化庁を移すことについてコストも含めた価値を,さらにどういう夢があるか,こういうことをしっかりと訴えてほしいと言われ,誠実な大臣であると感じました。
 
 文化庁の東京にある現在のオフィスの面積が約5000㎡ありますが,京都に移転すれば同面積のオフィスが東京で空くことになり,年間約5億円のオフィス代になるため,行財政効果も十分ありますと御説明申し上げました。 


(市長選に向けて)

記者
 様々な報道がありますが,3期目の市長選に向けてどうお考えか。仮の話だが,昨日,京都維新は今の段階で現職に推薦はできないと表明したが,仮の話として,維新の動きはどう影響するのか?

市長
 既に120を超える様々な市民団体等から出馬要請をいただきました。この2期8年間を高く評価していただき感激しています。先だって,私の選挙の時の母体であります,立石会頭を先頭とする「未来の京都をつくる会」からも要請をいただきました。
 
 近く,私の決意を固めて,基本的な考え方と合わせて表明したいと思います。
 2期8年の市政は,自由民主党,公明党,民主・都みらいからの力強い御支援をいただき,与党3会派と連携をとって進めてまいりました。同時に幅広い市民の皆様と意見交換を重ねながら進めてまいりました。そうした私の基本姿勢は,今後もブレることなく貫いていく。そのことが私の生きざまであり,私の政治姿勢であります。
 
 その他の政治団体がどのように私を評価するかは,それぞれが考えられることであります。あらゆる市民の皆様からの御提言,御意見を排除しない。これも私の基本的な考え方であります。

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