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門川市長記者会見(2015年7月2日)

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2015年7月15日

市長記者会見(2015年7月2日)

京町家魅力発信コンテスト~ムービーからムーブメントへ~の開催について

 本日は,京町家の保全・活用に向けました新たな取組「京町家魅力発信コンテスト ~ムービーからムーブメントへ~」について,御報告します。 本日の午前中には,京都の歴史と伝統に輝く祇園祭のくじ取式でございました。祇園祭は京都の宝ですが,京町家も京都の宝でございます。「日本のこころのふるさと,京都」の美しい景観と,茶道や華道などの世界に誇る伝統文化や四季折々の自然を感じる生活文化の象徴であり,京都の暮らしの美学,生き方の哲学,そうしたものが活かされてきた京町家。これは,京都だけでなく,日本の,世界の宝として,未来に継承していくことが大事であり,我々の使命であると考えています。

 京都市におきましては,これまでから,京町家の保全・活用に向けまして,国の伝統的建造物群保存地区制度,また京都市独自の指定制度において,現在,15箇所指定しております。景観重要建造物等の修理・修景に対する様々な助成と建築行為の一定の制限,市民が残したいと思う“京都を彩る建物や庭園”制度による選定,空き家の改修助成制度の創設と補助金の上乗せ,京町家に関する相談体制の構築など,様々な支援策を講じることで,一定の成果を挙げてまいりました。

 しかし,京町家が姿を消す事例が後を絶たず,重大な危機であると考えています。

 こうした状況を踏まえ,本市におきましては,本年4月から都市計画局まち再生・創造推進室に京町家の保全・活用を専任する部署を設置しました。専任の課長,係長,担当者と強力なメンバーを揃えました。

 そして,従来から取り組んでいる支援策に加えまして,都心部の大型町家所有者を対象にした意向調査を行い,それを踏まえた保全・活用に向けた積極的な働き掛けや,新たな改修資金の調達方法としてのクラウドファンディング制度の活用等に取り組んでまいります。

 今回,開催させていただく「京町家魅力発信コンテスト ~ムービーからムーブメントへ~」では,京町家の魅力を効果的に伝える短編の映像作品を広く募集し,優秀作品を選定・表彰いたします。

 そして,優秀作品を国内外に広く発信することにより,京町家の保全・活用の機運を高め,従来から取り組んでいる京都市の支援策や新たな支援策との相乗効果を図り,大きなムーブメントを起こそうとするものでございます。

 応募作品の募集に当たりましては,特段の制限を設けず,また,海外メディアに対しても,募集開始の案内を行うことで,京都市民の皆様はもとより,世界中から求めたいと思います。

 また,京都市民の皆様には優秀作品の選定にも直接関わっていただきます。このコンテストに多くの方に御参加いただくことにより,京町家の保全・活用の機運を大いに盛り上げてまいりたいと考えております。

 それでは,「京町家魅力発信コンテストの流れ」について説明させていただきます。

 まず,今月10日から応募作品の募集を開始いたします。京町家の様々な住み方,使い方を自由に,大胆に表現していただき,京町家の魅力を効果的に分かりやすく伝える短編映像を期待しております。

 また,今月下旬には,映像制作を支援するため,映像作品の応募方法や映像制作者と京町家所有者等とのマッチングを希望される方の申込方法など,コンテストに関する情報を一元的に発信する特設ウェブサイトを開設いたします。「京町家に興味があるのでぜひ応募したい」,「京町家の魅力を世界へ発信する映像を作成したい」など,意欲的な応募者の皆様を支援し,その想いを実現する取組にしてまいります

 特に,映像制作者と京町家所有者等のマッチングにつきましては,本サイトを活用しながら,本市職員が専門的な知見や情報を駆使して双方の橋渡しを行い,よりリアリティのある映像制作の環境を提供していきたいと考えております。

 次に,作品の選考についてでございます。まず,御応募いただいた作品について,著作権等について問題がないか確認を行ったうえで,11月下旬に京町家や映像制作に関する有識者で構成する審査委員会により,一次選考を行います。

 一次選考を通過した作品の中から,市民参加型の公開審査会を12月上旬に行い,最優秀賞1作品,優秀賞1作品,特別賞2作品などの受賞作品を決定いたします。

 なお,審査委員会の委員については,本市の国際観光大使であり,国宝や重要文化財の補修に精力的に取り組まれているデービッド・アトキンソンさん,京都を代表する映画監督の中島貞夫(なかじまさだお)さん,京都への移住応援サイト「京都移住計画」の代表である田村篤史(たむらあつし)さんなど,京町家や映像制作等に造詣の深い方を検討しております。

 結びに受賞作品の活用でございますが,来年1月以降に京町家の魅力をリアリティのある映像によって国内外に発信し,京町家所有者に,京町家の価値を再確認していただき,空き家となった京町家や継ぎ手がいない京町家を民間市場に供給していただくとともに,現在,お住まいになられている方には,大切に住み継いでいただく気運を醸成していきたいと思います。市民をはじめ,世界中の方々に,京町家の暮らしの魅力を感じていただき,京町家に住んでいただくといったことに,繋げていきたいと考えております。

 日本の財産,世界の宝である京町家の保全・再生は,行政の力だけでできるものではありません。民間の活力,知恵を活かして,危機感を共有し,同時に使命感や夢を共有しながら,取り組んでまいりたいと思っております。

質疑応答

報告案件に関する質疑

(京町家の魅力発信と地方創生との関係について)

記者

 空き家問題は京都だけではなく全国的な課題になっているが,京町家をPRすることで
京町家の空き家への移住につながるなど,地方創生にも結び付けていくことができるとお考えか。

市長

 京都には国宝の2割,また,多くの重要文化財が集積していますが,京都の景観や京都ならではの,日本人が大事にしてきた暮らしに大きく関連する京町家も大切にするべき宝であると考えています。京都市内には,京町家が4万8000軒,その内,70坪以上の大型町家が,1600軒ほど残されており,また,5000軒は空き家になっていると推計されています。空き家になっている京町家が,宿泊施設に改修され,人気が出てきている例や飲食店に利用されている例もございます。空き家と様々なニーズをいかにマッチングしていくかが重要になってくるわけですが,高い評価を受けている一方で,年々姿を消している現状もございます。毎年2%の京町家が姿を消しているという推計もございます。
 京町家の多くは築100年近くになる木造住宅であり,建て替えの時期が来ていることに対して非常に強い危機感を持っております。
 したがって,京都の景観や京都ならではの暮らしの美学を大事にする点を踏まえて,地方創生が叫ばれるこの時期に,京都への移住ということも含めて,所有者,京都市民,外国人が京町家の価値を再認識できる取組をあらゆる政策と融合させて取り組んでいきたいと思っています。

(公募の狙いについて)

記者

 有名なクリエイターに委託する方法もあったと思うが,あえて公募にした狙いは何か。

市長

 建築や文化芸術を学ぶ学生さんが考える京町家の魅力,地域に根差した福祉から視た京町家の魅力など,京町家が持つ魅力は多種多様であると考えています。実際,京町家を利用した福祉施設もございます。行政が決まった概念や制限を設けず,自由な発想で学生さんや市民の方,京都が大好きな外国人の方などに応募いただきたいと思います。
 今回,映像作品の質よりも,京町家に伝わる知恵や文化的価値をみんなで活かしていくムードを高めることに重点を置いています。そして,そのムードをクラウドファンディングなどの投資につなげ,京町家の保全・活用を進めてまいります。

(海外への情報発信について)

記者

 募集について,海外に向けてどのような方法で発信するのか。

市長
 海外の記者にも非常に関心を持っていただいていますので,海外の記者向けに発表を行うとともに,ウェブサイト等での発信も行う予定です。

報告案件以外の質疑

(政党の報道機関に対する圧力について)

記者

 某政党の若手議員の勉強会において,報道記者に対する圧力に関する発言が相次いであったが,市長のお考えは。

市長

 報道の自由は,民主主義社会の根幹を成すものであり,政治や行政に携わる者は,報道の自由を尊重するという基本的な姿勢を大切にしていかなければならず,言うまでもないことだと考えております。

記者

 本来,政治家はそのような考え方を持っているものだと思うが,今回そのような発言があった原因は何だと思うか。

市長

 より良い民主主義社会をつくるために報道の在り方も含めて議論することはあると思います。報道に対する動きについては,党としての見解を発表されておりますので,今後の党の動きに期待したいと思います。

(文化庁移転について)

記者

 先月行われた文化庁移転に関する石破大臣との対談について,どのような内容であったか。

市長

 石破大臣には,京都への文化庁移転の要請について,真剣に話を聞いていただきました。「熟度の高い提案をお待ちしています」という御発言があり,非常に前向きに受け止めていただいていることを実感しました。また,対談の中で,反対意見も踏まえた提言にしてもらいたいという御発言もございました。
 地方創生のための省庁移転リストは発表されておりますが,その中にあえて文化庁は入っておりません。石破大臣が,文化庁はリストに入っていないが,「文化庁を京都に」という要望は,国民に納得感が一定あるのではないかという御発言が以前報道されていました。地方創生担当大臣として,その地方創生を実現していく一つの象徴的な取組として,京都市を含めたオール京都の熟度の高い提言を期待していただいているのではないかと感じました。
 また,提言する場ではありませんでしたので,あらためてオール京都で提言をお持ちしますと申し上げました。

記者
 これまで何度か移転について話をされているが,以前と比べて手ごたえはあったか。

市長
 教育委員会に長年おりましたが,河合隼雄文化庁元長官とは30年を超えるお付き合いがございました。河合先生が,文化庁長官になられたときに,週末は京都で執務を行いたいということで,京都に文化庁長官分室が設置されました。その時,河合先生が,「『京都に文化庁を』ということではなく,『関西に文化庁を』と言いなさい。『京都』と言うと難しいが,『関西』と言うと結果的には京都に決まるから。」と言われました。何度も相談させていただいたことを思い出します。
 現在,関西創造推進室が京都に設置されていますが,地方創生元年と言われる今,移転に向けた活動を本格化していきたいと思っています。大変なハードルがあることは事実であります。このハードルを越えて,日本のために京都が役割を果たすという決意で,山田知事や立石会頭をはじめとする経済界,文化団体等とも協議をしてきました。その中で,担当大臣が真摯に耳を傾けていただいていることについて,一定の手ごたえを感じています。
 一方で,下村文部科学大臣は,「なかなか難しい」という発言をしておられることも事実でございます。省庁の移転は今まで例がないことでありますので,相当の汗を掻き,英知を集めていかなければなりません。しっかりとオール京都で取り組んでまいります。

(京都縦貫自動車道について)

記者
 京都縦貫自動車道が7月18日に開通するが,観光に関する新たな取組は考えているか。

市長
 南部と北部とがようやくつながり感慨深いものを感じています。
 京都市は政令指定都市ですので,地方負担分として約215億円の費用負担をしています。多くの関係者の努力のもと実現しましたので,しっかりと自動車道を活かした取組を実施していきたいと思っています。
 例えば,大改修を計画している京都市中央卸売市場ですが,現在は舞鶴で捕れた水産物が入ってきていません。一方で,便利な大阪には流通しています。舞鶴で捕れた水産物を中央卸売市場に卸す取組をしましたが,非常に好評でした。道が無いことから,流通できていませんでしたが,京都と舞鶴をつなぐことによって,舞鶴にとっても,京都にとっても良い,何よりも京都市民の皆さんの食生活,食文化の発展にとっても良い取組がいくつもあると思います。京都府や市町村と更に連携を深めて全力投球していきたいと思います。また,防災の観点からも非常に大きな役割を果たすと思います。

(京エコロジーセンターにおける情報管理について)

記者
 京エコロジーセンターの職員が,クラウドを使って個人情報を管理していたという案件を受けて,外郭団体の取り消し等の処分を考えているか。また,本庁でもそのような案件はあるか。

市長
 外郭団体を取り消す考えは一切ありません。クラウドの活用の指針については,先日,新たに明確にしましたので,しっかりとそれを生かしていきたいと考えています。

記者
 外郭団体に委託している市の事業について,個人情報の管理が徹底できていないという部分があるが,この点において外郭団体に対して指導等を行うか。

市長
 既に,これを徹底しております。

(国立大学の入学式等における国旗掲揚及び国歌斉唱について)

記者
 国立大学の入学式や卒業式における国旗掲揚と国歌斉唱の要請を受けて,京都市立芸術大学でも,同様の趣旨の要請を行う予定はあるか。

市長
 昨日も教育再生実行会議があり,下村博文文部科学大臣と懇談の場がありましたが,大臣自身が,「大学の自治は大事なものであり,文部科学大臣として大学に強要するという性質のものではない」という趣旨の御発言をされていました。
 私もそのとおりだと思います。それぞれの大学が大学の自治,そして国際化社会における日本の大学として,国・公・私立を問わず,あるべき姿を求めて,真摯に検討して,対応していただきたいと思っています。

記者
 確認ですが,大学側の自主的な判断に任せたいということか。

市長
 大学において,今日のグローバル化する国際社会,また,日本における大学としての役割をきっちりと認識していただき,どう対処するべきかを考えていただきたいということです。
 私は京都市の教育委員会に長年在職していましたが,昭和42年に,当時の文部省が,公立学校の卒業式,入学式で,国歌斉唱が行われているかを初めて調査されました。結果は,沖縄がゼロで,京都市は3校だけでした。これを受けて,学校の校長先生をはじめ,教職員に議論を重ねていただき,数年かかりましたが,京都市の全ての学校で,国歌を斉唱して,国旗を掲揚することになりました。
 それから20数年経って,大阪で議論されておりましたけども,京都市の公立小中高等学校では,現場の英知を集めまして,国歌斉唱と国旗掲揚に取り組ませていただいております。  

(関西電力の株主総会について)

記者
 先日行われた関西電力の株主総会で,京都市が提案した6議案すべてが否決されたが,平成24年から市として提案を繰り返しているが,今なお変わらない状況を市長はどのように考えるか。

市長
 京都市では,京都市会の決議を踏まえまして,中長期に渡っては,脱原発依存社会を実現していくことを主張し続けています。今回も否決されましたが,主張し続けていかなければならないと思っています。
 同時に,平成24年当時は相当波紋があった,発送電の分離や,スマートメーター等,創エネ,省エネに対する真摯な取組等,これらの部分では,現在では大きく前進しています。4年前は,発送電の分離という考え方に戸惑いを感じていた時代ですから,やはり,一貫して主張し続けることが大事であると改めて実感しております。

(国による原子力災害対策指針の改定について)

記者
 京丹後市,与謝野市,大津市,彦根市,米原市の原発30キロ圏のUPZ(緊急時防護措置区域)外の自治体から,原子力規制委員会,原子力規制庁に対して出された意見について,市長はどのように考えるか。

市長
 原子力発電所に近い地域の方々の不安感は大変なものであると思います。そうした地域の方々の安心・安全,そして,心情的なものも含めた理解が必要であると思っています。こうした方々の理解の元に,再稼働の議論が進められなければならないと常々主張しております。

記者
 京都市の中では,UPZ圏内にかかってしまうことで,左京区の介護施設等の対応で懸念が生じることはあるか。

市長
 率直に言いまして,京都市では,避難計画など,国に先んじて進めてきました。30キロ圏というのが山間部かつ山頂付近ということでありますので,今回のことだけで,大きな支障は京都市だけに限ってはあるというわけではありませんが,きめ細かく対応していきたいと思っています。

(企業版ふるさと納税について)

記者
 菅義偉官房長官から,企業版のふるさと納税を検討されているとの発言があったが,市長はどのように考えるか。

市長
 検討段階なので,コメントのしようがないと思っています。基本的に,地方にしっかりとした税財源を移していくことが重要であると考えています。
 京都市も,ふるさと納税を頑張っておりますが,これが抜本的な地方の財源確保に役立つとは思っていません。また,過疎地域などの財源の確保等に非常に困窮している地域で役立っているという実績は今のところはないように思います。
 地方交付税や税財源の割り振りのあり方に迫った議論をしなければなりません。ふるさと納税制度で,うまく税財源が配分されるという甘い期待はよくないと思います。また,過度な商品等を提供して,ふるさと納税の本来の趣旨を歪めているという面もあります。
 我々は,この制度を生かしていくと同時に,国と地方,地方の中でも税財源が脆弱なところと豊かなところで大変な格差がありますので,それらにしっかりと対応した税制に関する議論をしていただきたいと思います。
 今回,政令指定都市の市長会等で,総務大臣等に会いますが,この点について申し上げていきたいと思います。

(同性婚,同性者パートナーに関する対応について)

記者
 アメリカの連邦最高裁で出された同性婚を認める判断,渋谷区で成立した同性パートナー条例等を受けて,同性婚及び同性者のパートナーに関する取組について,市長はどのように考えるか。

市長
 性的少数者の権利を保護していくという基本的な考え方や,国内におけるこのような流れについては,正しく認識していかなければならないと考えています。
 京都市では,市民の皆様の多様な意見を聞く仕組みを作っており,また,議会も含めて,あらゆることが活発に議論されていますが,私は,京都市内において,そういう大きな気運や流れができてきているとは,今のところあまり実感しておりません。あくまでも,市民の皆様の意識の高まりとか,変化,こうしたことに依拠して,取組を進めていきたいと思っています。

記者会見資料

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